グループNは、自動車レースに使用する競技車両のカテゴリーの1つ。1981年、FIAの下部組織だったFISAによって、それまで1から8の数字によって形成されていたレギュレーションを改正し、AからF・N・Tという8つのアルファベットへ簡略化されたものの1つである。部門Ⅰに所属し、大規模量産ツーリングカーの中でもプロダクションカー*1と呼べる競技車両が該当する。
グループAやグループBのように一般の市販車をレース用に改造を施す点では同様だが、それらより改造範囲が狭く最小限の改造しか行わない。現状FIA規定で最も市販車に近いグループである。
グループNは、連続した12か月間に2,500台以上*2生産された4座席以上の車両で、グループAのホモロゲーションを取得した車が、ホモロゲーションの対象となる。つまり、グループNホモロゲーション取得車は、同時にグループAホモロゲーション取得車である。なおPWRCでは車種のバリエーション不足もあり、生産台数が1,000台以上なら特別にホモロゲーションが取得出来た。
公認には有効期限があり、生産を中止した日から7年後に公認が無効となる。ただしメーカーによっては公認を延長するところもある。
改造範囲を上げると、
- 消火機器の設置などの安全対策
- ロールケージを使用するなどの剛性アップ
- サスペンション、ショックアブソーバーなど
の最小限の物に抑えられており、排気量・最低車重・使用ホイール径・幅・前後最低地上高・前後最大トレッドは、車種毎に申請されたホモロゲーションシートの数値を遵守することが求められ、より市販車に近い状態の車両といえる。 そのため、ベース車となる市販車そのものの性能の高さが要求される。
ラリーではスーパー2000に対抗できるようグループNの改造範囲を広げた、グループRのR4規定が登場したものの、結局戦闘力でスーパー2000に並ぶことができず、2015年を持ってFIA主催シリーズの欧州イベントでの使用は不可能とされた。
グループNを使用したレース・ラリーカテゴリは主にプロダクションカー世界ラリー選手権*3、インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ*4、全日本ラリー選手権、アジアパシフィックラリー選手権とラリー系が多い。
ラリー系以外ではスーパー耐久が存在するが、エアロパーツの装着やオイルクーラーの装着が条件付きで認められる上、少数生産車の出場を認める等、厳密にはどのカテゴリーにも入らないレースカーになっている。
- 湾岸マキシに登場する車で該当する車種
FIAのホモロゲーションを取得していないものの、グループNとほぼ同等のレギュレーションでスーパー耐久や全日本ラリー選手権等に出ている車もいる。国際レースや世界ラリー選手権等のFIA認定競技では、特別な事がない限りは出場出来ない。