- 「優勝」のこと。現阪神タイガース監督・岡田彰布が生み出したおーんと並ぶ「どん語」の代表例。2023年のものが特に有名。ちなみに当時の阪神のチームスローガンも「A.R.E.」だった。
- 名前を出してはいけないもの扱いされるようになってしまったものへの呼称。お粗末な行為を繰り返したりその舞台となったりしたために名前を呼ぶ気すら無くなってしまった場合、犯罪に手を染めたが故に存在そのものが抹消されてしまった場合などがある(稀にいずれにも該当しないこともある)。
- 特定の選手に関する有名なプレーの総称。「江尻のアレ」「長野のアレ」など。
ここでは1.と2.について解説する。
1.の「アレ」
2010年オリックス監督時代の「アレ」
2010年のオリックス・バファローズはセ・パ交流戦で優勝争いを繰り広げており、この際に岡田は優勝争いを経験していない選手が緊張しないように「優勝」を「アレ」と置き換えて表現*1。岡田の配慮が功を奏して、この年にオリックスは球団史上初のセ・パ交流戦優勝を果たした*2。
これがきっかけとなり、岡田退任以降もオリックスの選手間で優勝のことを「アレ」と言う慣習が残った*3。
なんJで開幕直後に好調なチームのファンが「アカン、アレしてまう!!」とポジる際の「アレ」はこの出来事に由来する。
2023年阪神監督時代の「A.R.E.」
岡田は2022年に退任した矢野燿大に代わり、2008年以来15年ぶりに阪神タイガースの監督に復帰。
その際の就任会見にて早速優勝を「アレ」と表現。以降先代の矢野の方針とは打って変わって秋季キャンプでも選手たちに「優勝」というワードを口にしないように徹底させて「アレ」と言い換えさせた結果、阪神の選手の間でも「アレ」が浸透していく。
さらに12月には2023年の球団スローガンとして「A.R.E.(Aim! Respect! Empower!)*4」が採用された。
この年の阪神は5月半ば頃にDeNAから首位を奪取、以降独走態勢に入る。そのような中でも岡田監督・阪神の選手・阪神ファンたちは気を緩めないように「アレ」という言葉を使い続けた。岡田監督は2008年に悲劇的なV逸を経験していたこともあり、監督・選手やファンたちが優勝に対して非常に気を引き締めていたことがうかがえる。また2021年のV逸の戦犯の一つともされる(ABCテレビなどの)在阪メディアにおいても報道規制が敷かれたのか「優勝」という言葉が禁句とされ、「アレ」というワードに置き換えられる流れができた。
阪神は幾度か首位陥落の危機に瀕したものの9月からは11連勝するなど無双状態に入り、その勢いのまま9月14日に18年ぶりのセ・リーグ優勝を成し遂げた*5*6。リーグ優勝後の監督インタビューにて、岡田は「優勝」という言葉を解禁した*7。
その後、セ・リーグ2位・広島との対戦となったCSファイナルも無敗で突破。
日本シリーズではパ・リーグ3連覇中のオリックスとの対戦となり、最終戦までもつれる死闘を繰り広げた末に4勝3敗で勝利。阪神は1985年以来38年ぶり2回目の日本一に輝いた。優勝インタビューの際に岡田は「何とか達成できたんでね、この…、アレのアレを」と発言している。
その後、遂に「ユーキャン 新語・流行語大賞2023」にて「アレ(A.R.E.)」がノミネートののち年間大賞に選ばれる*8にまで至った。
2023年の阪神タイガースの戦いぶりを表すワードとして、「アレ(A.R.E.)」は選手やファン、更には在阪メディアの間でも大きな定着を見せた。
2024年、2年目の「A.R.E.」
こうして阪神ファンや野球ファンにすっかり馴染んだ「A.R.E.」のフレーズだが、2024年シーズンも引き続きこのスローガンが使われることが決まった。前年の「A.R.E.」に「日本一を勝ち取った先でも挑戦をやめず、『アレ』に向かって挑み続ける」という意味が込められた「GOES ON*9」というフレーズを加えた「A.R.E. GOES ON」というスローガンのもと、第二次岡田政権は2年目を迎えることとなった。なお佐
また、アレという名前の競走馬がデビューし、二戦目で初勝利を飾っている。
2.の「アレ」
斎藤隆(アレ様)
横浜ベイスターズ時代は先発投手として1998年の日本一に貢献するが、2001年にリリーフへ転向すると救援失敗を繰り返し、いつしか「あんなのはアレで十分だ」などと言われるようになり、次第に定着していった。
しかし調整法を掴んでからは投球内容が安定・向上しクローザーに定着。前任者である「佐々木(主浩)様」*10にあやかって「アレ様」という愛称・尊称に昇格した。
2003年は山下大輔監督の意向で先発へ再転向するも度重なる故障に悩まされ成績は下降。以降は佐々木*11・鈴木尚典*12・若田部健一*13と並ぶ四大不良債権としてファンからのヘイトを集め再びアレ扱いされた。
しかし、2006年に36歳でドジャースとのマイナー契約を結んで以降、7シーズン5球団に渡って安定した活躍を見せ、最終的にはMLB屈指のクローザーに定着。2013年に地元であり復帰時に入団を望んでいた楽天で日本球界へ復帰すると、同年の球団初となる日本一に貢献、2015年に引退するまでブルペンの中心として活躍した。
渡米後の横浜晩年とは同一人物と思えないほどの活躍もあって蔑称としての「アレ」は殆ど使われなくなり、現在では尊称として「アレ様」と呼ばれることが多い。
金本知憲
右肩の負傷で満足に守れない状態にも関わらず連続フルイニング出場記録更新のために強行出場を続け拙守を連発、2010年に様々な蔑称をつけられたが、名前を出したくないファンが増えるにつれ「アレ」も多用されるようになっていった。ただし、現役引退、監督退任後は「ヤニキ」同様に単なるあだ名として定着しており、蔑称としての意味合いは薄くなっている。
時が過ぎ2020年10月4日の阪神対巨人戦(甲子園)でMBSの解説を務めた新井貴浩に「名前は忘れましたけど*14」と言われてしまった*15。
西岡剛
メジャー移籍前は日本人トップクラスの野手と認識されていたが、2010年オフに移籍すると故障や不振により置物化。不倫問題なども発覚したことで「ミネソタのアレ(the kid from Minnesota、訳すと『ミネソタからのガキ』といったところか)」という蔑称が定着した。
初出
1 :風吹けば名無し:2012/06/18(月) 16:36:27.54 ID:yqmO8Nk5
http://www.mlbtraderumors.com/2012/06/cafardo-on-youkilis-lowrie-manny-red-sox-dodgers.html
http://articles.boston.com/2012-06-17/sports/32270984_1_bryce-harper-mike-trout-ben-cherington/3
> One GM said, “Is all the money spent and devoted to scouting really yielding any great player?
> You’ve had Kei Igawa, Daisuke Matsuzaka, the kid from Minnesota [Tsuyoshi Nishioka], and really,
> is the money spent worth it?"
訳:あるGMが言うには「スカウトに費やしてきた金に見合うほど偉大な選手は獲得できたのか?
2012年オフに帰国して阪神入りするが、ほぼ毎年のように故障して長期離脱。グラティ、果ては史上初の守備妨害で日本シリーズを決着させる大ポカなどコンスタントにネタを提供。しかし蔑称が増えすぎた結果、相対的に「アレ」の使用頻度は激減した。
長野久義
2015年から攻守ともに精彩を欠くプレイが目立ち始め、2017年には金本ばりの拙守を見せたことで「アレ」と呼ばれ始めたが、広島移籍以降はファンからの印象も良好なこともありほとんど使われず、2023年に巨人に復帰して以降も移籍前ほどは使われていない。
余談
どの選手がアレ扱いされるかは当該球団のファンの気分次第で変わる。またTwitter上ではやたら選手をアレ扱いするケースも悪目立ちするため、ちょっとのやらかしで即座にアレ認定したがるお客さんは、なんJでは逆に批判されることもある。