グループGT3

Last-modified: 2019-05-08 (水) 22:33:37

自動車レースに使用する競技車両のカテゴリーの1つである。2005年に当時存在していた既存のGT1クラス、GT2クラスの下位カテゴリーとして設立された。FIAによる正式な呼称は「Groupe GT3(仏語:グループ GT3)」であるが、日本国内ではあまり一般的な呼び方ではなく、スーパーGTのJAF GTとの対比で「FIA GT3」などと呼ぶことが多い。湾岸マキシでも公認を取ってる車が登場し、一部はGT3仕様をモデルにしたエアロもありその仕様に近づける事が出来る。

市販の2シーター又は2×2シータークーペを改造した車両がホモロゲーション(公認)の対象となる。当初はGT1・GT2各クラスとポルシェ・カレラカップなどの国内ワンメイクレースの中間に位置するアマチュア向けのカテゴリー設立を目指していたが、上位のカテゴリーが相次いで消滅した結果、2012年にFIAGT世界選手権を争うカテゴリにまで成長した。ただし、アマチュア向けとしてマシンの高コスト化などに十分配慮して作られた当初のレギュレーションは現在でもその性格を多分に残しており、特にバランス・オブ・パフォーマンス(BOP)と呼ばれる独自のマシン性能調整システムはこのグループGT3レギュレーションにおける最大の特徴と言える。

パワーウェイトレシオは以前はGT2(現LM-GTE)マシンとほぼ同等であったが、軽量化により馬力で勝るGT3が直線で優位である。ただし空力の関係でラップタイムはLM-GTEよりわずかに遅い程度である。

このようなレギュレーションの恩恵を受け、GT1エントラントの減少、マシンの高コスト化などの問題に直面していた世界各地のレース運営者が相次いでグループGT3に基づいて制作されたマシンを導入しており、ニュルブルクリンク24時間レース、ブランパン耐久シリーズ、IMSAなどのWEC(ル・マン24時間)を除くほとんどの主要耐久レースで導入されている。日本では、SUPER GT・GT300クラス、スーパー耐久・ST-Xクラス、スーパーカーレースシリーズにおいてGT3クラス車両の導入が認められている。

レギュレーションはそれほど多くなく、以前は低価格重視のためJAF-GTやGT2などに比べると改造範囲は自然と狭くなっていたが、現在はカスタマー向け車両売り出し価格からして高騰化している。エンジンは条件を満たせば自社の他のエンジンに換装が可能。レギュレーションで定められているものとしては材質*1、テレメトリー禁止、運転補助の電子的安定制御システム禁止、車重制限およびバラスト規定、エンジンコントロールユニット(ECU)へのアクセス保証、吸気リストリクターの装備、排気音110dB以下、燃料補給の規定、始動装置装備、灯火類の規定、アンチロックブレーキシステム(ABS)機能制限などである。

チタニウムなどの高価な材料や複雑な電子装置を禁止し車両のコストを制限する規定が中心であり、出力もリストリクターによってイコールコンディションとなるように制限されている。FIA GTコミッティは、車両同士の性能均衡を保つために個々の車両の重量制限や過給圧を調節する権限を留保している。

車両価格は以前は3000万円程度だったが、現在は5000万円~8000万円まで高騰しており、非常に高額な高級車と化してる。この為現在ではGT3マシンが参戦可能なレース*2が世界的に多数存在し、特にレース数の多いヨーロッパでは1台のマシンを複数のレースシリーズで使い回すことも多く行われている。レース数が多くなれば1レース当たりの参戦コストが低下し、自らマシンを所有しないドライバーでもレンタル等でマシンを確保してレースに参戦することが容易になるほか、メンテナンスガレージでも車両レンタルやマシンメンテナンスにより新たな収入を得られるというメリットが有る。

ただレース主催者側から見た場合、複数のレースシリーズに同じマシンが出走することは「他のレースで走行データを得ることは事実上テストを兼ねることになり、他のチームに比べ有利になる」という問題をはらむ。実際、コスト抑制のためにシーズン中のテスト走行に制限をかけるレースシリーズも多い。さらに、他のレースとのエントラントの取り合いとなり、その結果エントラントが減る可能性もある。これらの理由から、日本のSUPER GT・GT300クラスでは、同クラスに参戦するマシンの他シリーズへの掛け持ち参戦を原則として認めていない。

これに対し、せっかくエントラントの融通が利くのにその可能性を潰してしまうのは問題があるとして、元SUPER GTチャンピオンの竹内浩典などの一部のドライバーや、GT3マシンを所有しているジェントルマンドライバーからは不満の声もある。特に竹内は、2014年よりGT3マシンによる新シリーズとして「スーパーカーレースシリーズ(SCR)」*3を立ち上たものの、SUPER GT執行部と対立することとなったため、2014年に関してはSUPER GTへの参戦を見送らざるを得なくなってしまった*4

湾岸マキシに登場してるFIA-GT3ホモロゲーション取得車または関連する車は以下の通り

  • Viper (SRT-10)*5
  • Z4 sDrive35is (E89)*6
  • M6 Gran Coupe (6C44M)*7
  • 911(991) Turbo S
  • RGT*8
  • Rt35*9
  • SLS AMG GT (C197)
  • R8 Coupe 5.2 FSI quattro (ABA42)*10
  • NSX (NC1)*11
  • GT-R (R35)*12
  • CORVETTE ZR1 (C6)*13
  • CAMARO SS RS

*1 チタニウムはオリジナルな部品に使用されているもの以外は禁止
*2 ブランパンGTシリーズやマカオGT、スパ24時間耐久、ニュルブルクリンク24時間耐久等
*3 FIA GT3規格の車両や、フェラーリ・チャレンジやポルシェ・カレラカップなどのいわゆる「カップカー」など複数のカテゴリーの車が混走し、実質的には文字通りの『スーパーカー』によるレースである
*4 その後SCRの主催者となるとともに、SUPER GTにも復帰参戦している
*5 実際はコンペティションクーペ
*6 GT3仕様はオリジナルの直6ではなくM3に搭載されたV8エンジンを搭載
*7 実際は2ドアクーペが取得。GT3仕様を意識したエアロがあるがもしも4ドアのGT3仕様があったらと言う仕様である
*8 ベースの997型が取得。GT3カップ、GT3カップS、GT3 Rがある
*9 ベースの991型が取得。GT3 R
*10 LMS。後にLMS Ultraも登場。実車はレギュレーションの関係でMR駆動
*11 アキュラNSXGT3として取得。残念ながらドレスアップ不可能の為再現不可能。実車はR8と同様MR駆動
*12 GT-R NISMO GT3。NSXと同様ドレスアップ不可能の為再現不可能。実車はR8と同様の事でFR駆動
*13 実際はキャラウェイ コルベット Z06R GT3