エンジンの一種。
一般的なレシプロエンジンのような往復動機構による容積変化ではなく、回転動機構による容積変化を利用して、熱エネルギーを回転動力に変換して出力する原動機である。
湾岸マキシではマツダ車にのみ搭載されている。
ドイツの技術者フェリクス・ヴァンケルの発明による三角形の回転子(ローター・通称おにぎり)を用いるオットーサイクルエンジンが実用化されている。そのためロータリーエンジンは別名ヴァンケルエンジンとも呼ばれている。
ロータリーエンジンの研究自体は原理的には古くから行われてきたが、その中で唯一実用化されたいわゆるヴァンケルエンジンは、1957年に西ドイツのNSU社*1とWankel社との共同研究により開発に成功した。
その後はNSUに続いて東洋工業(現マツダ)が量産化し、コスモスポーツに搭載。日本ではコスモスポーツが量産車初の2ローターRE車と言う話は世界的にも有名である。
マツダ以外にも20社を超える自動車メーカーがNSUから基本特許を導入して開発を進めており、シトロエンなどが生産モデルに搭載しているが、1970年代以降は実用化に向けた開発は周辺特許をマツダが先行して固めたため、既に1974年の段階でマツダの「周辺特許を避けては通れない」状況になっており、自動車用として量産を続けたのは東西冷戦の西側ではマツダのみである。
しかし、東西冷戦の東側では「鉄のカーテン」に遮られたか、ソ連のVAZ(ВАЗ)社にて独立に実用化され、同社のブランドLada(ЛАДА)
および同社からの供給でGAZ(ГАЗ)
社にて、ロータリーエンジン車を多数生産していた記録がある。
日産自動車は独自で開発を進めており、2代目シルビアに搭載する計画があった。1972年の東京モーターショーで2代目「サニー」にロータリーを搭載したコンセプトカーが展示されており、かなりの所まで進んでいたがオイルショックにより計画は白紙になり、実現する事は無かった。
メリットとしてはアクセルレスポンスの良さ、パワーロスの少なさからくる高出力と低振動・低騒音、単純な構造と部品点数の少なさゆえに小型かつ軽量である事が挙げられる。
軽量かつ小型・コンパクトであるがゆえに重心や車高を極限まで切り詰める事ができ、コスモスポーツはそれまでのクルマとは一線を画す流線的なフォルム、FDに至っては前後重量配分50:50というクルマにとってはまさに理想的な重量配分を実現した。
またその独特な甲高いエキゾーストに魅了されるファンも数多く存在し、787Bを引っさげ優勝した1991年のル・マン24時間レースでは現地のジャーナリストをして「狼の鳴き声」とまで表現せしめた。
デメリットとしては、やはりというか低速域でのトルクの細さ、そこからくる燃費の悪さ*2が挙げられる。これは燃焼室内においてローターが回転しながら位置を変えるため点火プラグと混合気の距離が離れ、ガソリンの点火が上手くいかなくなってしまうため。故に低速走行を多用する街乗りでは非常に相性が悪く、実際問題北見もFDマスター編で「ロータリーエンジンは回してナンボ」と言っている。またレシプロエンジンの約2倍の空気と燃料を吸入しながら出力は1.5倍程度しか得られないため「燃料消費率が3割悪い」という弱点も持っている…。
維持費も槍玉に挙げられる事がある。ロータリーエンジンは部品数こそ少ないがアペックスシールなどそれぞれのパーツにかかる負担も大きく*3、オーバーホールの頻度もレシプロエンジンと比べ高い傾向にある。エンジンオイルもローターを回すための潤滑作用のみならず冷却作用*4の役割までも担うため必然的に劣化も早く、その都度性能の良いオイルを用意する必要に迫られる。
当然ではあるがロータリーエンジンはレシプロエンジンとは構造も性能もまるっきり違うため、レシプロエンジンとの平等な排気量換算*5は極めて困難である。特にモータースポーツにおいては燃料タンクの容量や燃料消費に伴う車重変化まで考慮するとなると平等にスペックを揃えるというのは更に困難を極める。
そのため競技の種類(例えばスプリントレースか、耐久レースか…など)によって異なる換算係数が用いられたり、またF1やル・マンなどのようにロータリーエンジンの使用を認めない競技がある。
湾岸マキシに登場しているRE車