人格ストーリー
人格/イサン/ピークォド号1等航海士
(▌=船員たち、▌=慌てる船員、▌=呆れた船員)
▌さぁ!かくせば、さらに楽ならずや?
▌お、おお...。
子供は人のよさげな顔をしながら、どこかを指差してた。
かつて帆を張るために使われていた木材は今や廃木になり、船員たちの訓練材料として絶賛活用中だね。
そしてそこには、数百の武器が通り過ぎた痕跡が残っていて。
そしてその中でも一番深いのは、ついさっきできた痕跡だった。
▌秘訣は疾くやることなり。武器に重さを乗せてはならぬというよしには...あらぬが...。
子供は再び自分の槍を持って、姿勢を整えた。
細長いけど、良く研がれているその槍は軽いから素早く振るにはお誂え向きだったんだ。
▌さぁ。武器突き刺さば、すぐ重心を動かすべきなり。かくせば...。
▌いや、待った待った...そんなの急にできるわけないですよ?
▌そうですよ。何ですかその...教科書通りに勉強すれば1位取れるみたいな感じで言われても...。
▌...さりや?
子供は顎を撫でながら、微妙そうな顔をした。
自分の説明方法が、船員たちに上手く通じないんだろうかと思ったんだろうね。
可能であれば船員たちがこんな時間を通じてより強くなって、波へ立ち向かったときに生き残る方法として使うことを望んではいたけど...。
簡単なことじゃなかったみたい。
波に向き合い鯨に向き合えば、必ず誰かがやられなければならなかった。
死を迎えたり、湖に落ちて見つからなくなるのはむしろ幸いなことだろうね。
中途半端に強い普通の船員たちは鯨との戦いで傷を負い、段々人魚になっていく様子を見守るしか無かったから。
▌「...小舟を下ろせ。」
船長はよく、子供にそんな命令を下した。
子供はその意図が痛いほどよく分かっていた。ピークォド号船長の命令無しに、誰もこの船で死ぬことがあってはならないから。
死んだり人魚に変わったりしなかったと主張するためにはその事実を隠してくれる媒介が必要だったんだ。
最初は子供もその命令に反旗を翻すこともあった。
生かすために手を尽くすべきではないか、そもそも波へ向かって今動くべきではなかったのではないか、そんなことを...。
でも子供は悟ってしまったんだ。
1等航海士である自分は、結局船長の言葉に逆らえない位置に置かれているということを。
だから子供は...船員たちのつまらない冗談に付き合ってあげて...。
あまり通じもしない武術訓練を引き続き見せて、少しでもその命令が下される瞬間を減らすことを望んでいたけど。
少しずつ減っていく船の上の人を見ながら悟るんだ。そんなことは意味がなかったってことを。
▌...この航海さえ終わらば。
そう望むことは、道がただ一つへと狭められたということ。
航海を一番早く終わらせるためには、船長の言葉に忠誠する航海士になるしかないと思うようになってしまったんだ。
まさにピークォド号の船長、イシュメールの命令にね。
人格/ヒースクリフ/ピークォド号銛使い
子供はギラギラに研がれた短剣を持っていた。
それを握った手と反対の腕は始終一貫ぶるぶる震えてて、刃先を見つめながら流す汗はまるで雨みたい。
子供は口に咥えている太い縄をギシギシと噛みながら、今一度自分の腕に刃を近づけて線を引いた。
悲鳴と呻き声、その間にあるようなおぞましい声が縄の隙間から少しずつ漏れ出してきたけど、子供は刃を止めようとはしなかった。
むしろより素早く、何度も肉を穿(ほじく)りかえしていた。
刃で皮膚に斜線を入れていくたびに肉は広がり、その下にあった刺青が少しずつ、本当に少しずつその姿を隠していった。
子供が、中指の痕跡を全て消したかったからなんだ。
都市に刺青を消す技術が無かったのかな?いや、そんなことは絶対有り得ないだろうね。
いくら中指の刺青が他の強化刺青より特別だとしても方法さえ探せば、必ず解決方法はどこかにあるはず。
でも子供はそんな風に、その刺青を消したくはなかったんだ。
自分の選択に対する後悔、過去に対する恥ずかしさ、所属に対する烙印。
自分の心を痛めつけた、愛する人のある言葉を聞いて憤怒と嫉妬に彷徨い入った中指。
そうやって入ってきた中指にどれだけ長居したところでこのままではあのときには戻れないことを。
それらを自らの手で穿り返してこそ逃れられて、愛する人へ堂々と戻れるという思いで...。
子供はずっとそんなことを繰り返してるんだ。
遠くの湖へと行けば、彼らの追跡から少しは逃れるんじゃないだろうか。もしかすると子供はそういう考えで船に乗ったかもしれないね。
...ピークォド号の銛使いとして働きながら、子供は沢山のものを殺さないといけなかったんだ。
人魚のヒレ肉ジャーキーを作るための狩りから...邪魔な海賊や、果てには鯨まで。
あの巨大な銛はいつであれ忠実に船長の命令に従って突き刺され、収められた。
子供にとってそんな仕事は苦でもなかった。
子供は中指にいた頃から、無数の人々を殺してきたから。
ただ、そのときと違うことがあるなら...。
あのときは自らの選択がそんな自分を形作ったということ。
今は自分のことを信じられず、誰かの命令に従ってるってことかな。
あの人は確かにこう言ったから。
「この航海が終われば、全てが保障される。」
子供が望んでいる保障された未来、子供が真に願っている方向、子供が必ず戻って会いたい恋人。
子供は、この「こうかい」さえ終わればそれら全てが戻ってくると信じて。
今日も刺青の上を引き裂いて、鯨たちを貫いている。
人格/イシュメール/ピークォド号船長
(▌=船員たち、▌=銛使い、▌=1等航海士、▌=声のでかい船員)
▌船員たちよ!
子供がデッキの上にドン、と巨大な銛を突き刺して大声で言った。
荒波が激しくうねる湖の上で、危なげに揺れる船の上でね。
▌船長が!お前たちの声を聞きたがっているぞ。船員たちよ!
▌はっ!!!
船員の中で、全身にとてつもない量の刺青が刻まれた子供が真っ先に声を高らかに上げた。
▌他の奴らには口がないのか?船員たちよ!!!
▌はっ!!!
子供がぎゃあぎゃあ喚き立てると、船員たちは皆一丸となって大声で叫んだ。
▌この船がどこへ向かっているかは、この場に集まった全員が分かっているだろう。
▌そうだ!私たちは今、波へと一直線に向かっている!
いかなる船員もざわめいたり、慌てたりしなかった。
彼らは当然のことを言われたかのように、でも大きな決意を胸に抱いたかのように覚悟に満ちた目で子供を見上げていたんだ。
▌この波は何を駆ってくるか。それもまた自明だ。
▌その通り!
▌今夜、我々は鯨を討つであろう!
▌その鯨は何だ!
▌全てを渇かせる真っ赤な鯨!!!
皆が口を揃えて、まるで練習でもしたかのようにその長い言葉を口にする。
でも子供には気に入らなかったのか子供はゆっくりと…しかし、大きく首を横に振って叫ぶ。
▌いいや!
▌あの鯨は!我々全員の目標と!執念!目的である鯨だ!
▌はっ!!!
▌その巨大な腕が、我々に巻き付くだろう!
▌悪夢のような吸盤は、この船と船員たちへ張り付こうと必死になるだろう!
▌……。
誰も答えはしなかったが、誰も怖じ気づいたようには見えないね。
むしろ彼らは…。
笑う。
歯をむき出しにして、皆が待ちに待ったプレゼントが届いたかのように笑ってるんだ。
▌良い表情(かお)だ!
▌そうだ、我がピークォド号の船員たちはそんなものなぞを恐れることはない。
▌お前たちはただ!この船長、イシュメールの羅針盤に従えばよいのだ!
▌そこには我々全員の成功がある!この船に乗った目的がある!
▌その通りです!!!
▌船長!雷と嵐押し寄せきたり!
そのとき突然、船室の中から別の子供が飛び出してきた。
差し迫った表情ではあるが、彼もまた恐れてはいない。むしろ微笑を浮かべてるみたいだね。
▌潮は満ちた!
はじける閃光と、どこから押し寄せてきたのかも分からない太い暴風雨が皆へ降り注いだけど。
誰もそれを避けようとも、眉をぴくりと動かそうともしなかった。
▌1等航海士!
▌聞けり。
▌操舵を2等航海士へ任せる!目標は変わらず、あの真っ赤な鯨だ!
▌操舵を任せ次第、迅速に銛を持ってかじり付くぞ!
▌伝達せん!
▌銛使い!
▌船尾にて最も決定的な瞬間を狙え!全力を尽くすんだ!
▌はっ!!!
熱い会話が行き来し、ついに湖の中から赤い何かがうねり始めた。
▌あいつだ!あの鯨がついに尾を広げたぞ!
▌会いたかったよ…。
湖から大きく伸びてくる胴体を眺めながら、子供は低くつぶやいた。
▌私は誰だ!
▌ピークォド号の船長、イシュメール!
▌その通り!
子供は華麗な身のこなしで巨大な銛を振り回すと、その尾に向けて銛先の狙いを定めた。
▌真っ赤な鯨よ、お前も私の名前を呼ぶがいい。
▌私を…イシュメールと呼べ。
銛の中にあるガス燈はその熱意に応えるかのように煌びやかに、明るく燃え上がった。
▌さぁ!この銛の炎を導(しるべ)にしろ!
▌そうすれば至れる!私の目標へ!お前たちの目標へ!
▌はっ!!!
今や誰もが自棄(やけ)になった眼差し、しかし何かに取り憑かれてはいない、進んでゆく眼差し。
子供はその眼差しに、さっと目を通すと…。
▌総員!
デッキを踏み締め、鯨に向かって飛び掛かった。
▌突進!
台詞
人格/イサン/ピークォド号1等航海士
人格獲得 | イサンと呼ぶが良い。ピークォド号の1等航海士を預かれり。 |
---|---|
朝の挨拶 | 夜通し安寧なりや。今日の湖は中々穏しき方かな。外の形式を一寸楽しむはいかがと思えど。 |
昼の挨拶 | ふむ…この干からびし鰭肉を食も、一寸あからさまに疲る。そなたの口に合うや? |
夕方の挨拶 | 夜間航海を長すぐるはわろし。安全を考えば、そは常識ならん。そなたは入りて休みたまえ。 |
対話1 | さぁ、鯨のここを攻むるなり。重き一発を出すが難くば…一ヶ所疾く何度も刺し、かかる効果を得らるなり。 |
対話2 | 甲板!油を売らで、位置へ戻りて働け!…あっ、そなたが聞くには少し五月蠅かりけん。謝らん。 |
対話3 | 航海士の仕事は…まあ、悪くはあらねど。さりとて私は、この航海を終えばキャフェを一つ開きたし。急迫せることより、今はのびらかなる夢見るべくなりゆくかし。 |
同期化後の対話1 | 綱を手放すでない!銛を持ちし手を滑らせば死ぬるぞ!賢明に…大胆に臨め! |
同期化後の対話2 | イシュメール船長はそなたらの死を命ぜず!我らみな…あれ捕まえ、各自の居場所に戻るべし。 |
放置 | ふむ…水を切る音ばかり残りしも、なかなかおかし。 |
同期化進行 | 遂に私まで出づべしや…!よろしい、我が銛を持たん! |
人格編成 | 舵ばかり取れる場合ならずかし。 |
入場 | 銛、手放すでない。 |
戦闘中の人格選択 | 船長が危うしや? |
攻撃開始 | 私が手本を見せん。 |
敵混乱時 | ふむ!中々困じきめり。 |
混乱時 | はぁっ…。 |
敵討伐 | ちっ、油も出でぬ奴かな。 |
本人死亡 | はは…我が航海が…ここで…終わるや。 |
選択肢成功 | この程度のことは笑うべし。三等航海士もうまくやり遂ぐべし。 |
選択肢失敗 | うーむ…私は一生、船のみで暮らししために。 |
戦闘勝利 | さぁ、いまや航海の終わりまで残り僅かかな。いま少し進まん! |
EX CLEAR戦闘勝利 | やり遂げき! いまやこの船舐めかかる海賊も、鯨も少なからん。ふうむ、満足かな。 |
戦闘敗北 | 船体に破損せる部分が多すぐ。…停泊し、修理せん。…かくて、また湖に向えばよからん。 |
人格/ヒースクリフ/ピークォド号銛使い
人格獲得 | 縄。しっかり掴めよ。…沈みたくなきゃ。 |
---|---|
朝の挨拶 | 日が昇った。やるべきことを始めろ。まじ、めに。 |
昼の挨拶 | 人魚ヒレ肉、ジャーキー、うめぇな。お前たちには。微妙か、そんなに? |
夕方の挨拶 | 夜は、良い。夜が来ると、夕焼けも来るから。そして、覆われる。オレの身体も、刺青も。 |
対話1 | これは…恥だ。オレの皮膚に、直接刻んだ。消してぇけど、消せない。 |
対話2 | 隠れてる。オレの言葉にも、烙印が。中指が。だから剥がしといた。脳と舌を、直接。 |
対話3 | この結び目。中指で使った。よく。切迫結び。解けねぇ、大抵のことじゃ。 |
同期化後の対話1 | 銛使いは、鯨を殺す。鯨を殺せば、終わるだろう。この航海。 |
同期化後の対話2 | 船長命令、破ったことはねぇ。いつも。だけど、違ぇみてぇだ。オレが行こうとする方向。違うんだ。 これからは、知りたい。オレが行きたい方向。 |
放置 | (銛を研いで結び目を付ける音) |
同期化進行 | 来たか、時が。鯨を、殺して。心臓を、潰して。出るとき。 |
人格編成 | 縄、キツく縛れ。 |
入場 | 行こう、殺しに。 |
戦闘中の人格選択 | また結ぶか?切迫結び。 |
攻撃開始 | 刺し入れろ。 |
敵混乱時 | 遅くなったな、あれ。当て、やすい。 |
混乱時 | うぅっ…。 |
敵討伐 | 近くなった、航海の終わり。 |
本人死亡 | 夕焼け、見てぇなぁ…。揺らめく…そら。 |
選択肢成功 | やり遂げた、解決。 |
選択肢失敗 | こんなの、無理だ。他の人が、上手いだろ。もっと。 |
戦闘勝利 | 絶った。息の根。全部。今から船へ、戻るぞ。 |
EX CLEAR戦闘勝利 | 聞こえねぇな、心臓の鼓動。全部の鯨。心臓の音。止まっても。あるか?帰る場所、オレが。 |
戦闘敗北 | 棺、作らないと。…送ってくれ。棺に入れて。オレの身体だけは。キャシーへ。いつか…。 棺、作らないと。…送ってくれ。棺に入れて。オレの身体だけは。■■■■■*1へ。いつか…。(6章クリア後) |
人格/イシュメール/ピークォド号船長
人格獲得 | 乗船を歓迎する、新入り。もちろん頑丈な身一つは持ってきただろうな! |
---|---|
朝の挨拶 | のろのろ動くやつは最初にマストへ括り付けるぞ!朝だからってぐずぐずするな! |
昼の挨拶 | 人魚ヒレ肉ジャーキーは口に合うか?もちろん合わないとな。当面はそれだけ食べなきゃならないんだ。ふっ。 |
夕方の挨拶 | 皆が寝に行ったからといって油断するな。波は昼夜を問わない…目をかっ開いてよく見るんだな。 |
対話1 | わけも分からないものが我々へと襲いかかったとして、恐れるとでも思うのか?向き合い、歯を剥き出しにして笑え。それでこそピークォド号の船員だ! |
対話2 | 船長室は!誰も侵犯することはできない。言うことがあるなら航海士にしろ。湖の波が怖いとキャンキャン言うザマを見るのはご免だ。 |
対話3 | 鯨は…驚異的でもあり、神秘的でもある怪物だ。私と共にそいつらを捕まえて殺すということは、人生における大きな栄光なのさ…。 はっ、この湖で私ほどそれに執着するものはいないだろうからな! |
同期化後の対話1 | 銛使い、銛をびっちり結べ!操舵手は右舷へ舵角最大!漕ぎ手!!しっかり漕ぐんだな!! |
同期化後の対話2 | 総員、良く聞け!…潮は満ちた!今夜、我々は待ち焦がれていたあの鯨を!…全てを渇かせる真っ赤な鯨を…捕まえる! |
同期化進行 | 雷が鳴り始めたな…。間もなく、我々が指折り数えて待っていたあの悪の鯨を狩る時間がやってくるぞ!ハッハ! |
放置 | ふぅ…良い風だな。たまには、こんな嵐の前の静けさを楽しむのも悪くないか。 |
人格編成 | 鯨へ向かって。 |
入場 | ガス点火!エンジン始動! |
戦闘中の人格選択 | 口を開く時間があるとでも?鯨に集中しろ! |
攻撃開始 | 総員、突撃! |
敵混乱時 | 勢いが衰えたか!反撃のチャンスだ! |
混乱時 | ふっ…前列を守れ!私に関心が移ったから、お前たちが攻撃できるチャンスは更に増えるぞ! |
敵討伐 | よくやったな!一人残さず斃すまで今のを繰り返す!休む暇などない! |
本人死亡 | 私、私は…イシュメールだ!私は…ここで…! |
選択肢成功 | 当然だ。私の羅針盤が、間違ったことはあったか? |
選択肢失敗 | クソッ…お前のせいだな、管理人! |
戦闘勝利 | 下らない結果に浮かれるな!我々の狩る鯨は、より大きくて邪悪なのだから! |
EX CLEAR戦闘勝利 | 今回の成績は良かったな…。しかし、遠い鯨へ至るにはまだ足りないぞ!再びガスタービンを点火する!そして…。 |
戦闘敗北 | この無能たちめ!たかがこんな場所で斃れるなど、私がお前たちに敗北を命じたか! |