人格ストーリー
人格/ムルソー/R社第4群サイチーム
煙たい空間だった。
空間は広く、空は開かれていたが。
鉄臭い匂いと土埃の匂いで肺の隅まで不快さが満たされ、荒々しい息と浅い息が何度も視野を曇らせた。
靴が床に引きずられる音、拳が腹、脇腹、顔、胸。あらゆる場所に突き立てられる音が散発する阿鼻叫喚。
そしていっぱいに満たされている私と、私と、私。
そこは孵化場と呼ばれていた。R社の戦闘員として配置されるためには、誰であれ孵化場を経る必要がある。
その中には無数の自分自身が入っている。昏い壺に閉じ込められた毒蟲のように、その中で生き残るために無数の私たちは格闘する。
戦闘経験を短時間で体得することになり、その中で最も優秀なものを引き上げる。
それゆえオリジナルが何かは全く関係ない。
結局、複製体の中でもっともな*1優秀な者が結局「私」になるのだから。
そうして選抜の時間を通じて選ばれた私は、彼らを通じて孵化した。
巨大な外骨格スーツを動かすための感応施術を受け、私に合うスーツを支給された。
しかし孵化場から出て来たからといって、全てが終わったわけでは無かった。
その巨大なスーツは生体エネルギーを継続的に吸い上げた。
感応施術というものでは私のエネルギーをスーツに転換するものであり、私が配属されたチームはそれを当たり前のことのように受け受れていた。
楽な仕事ではなかった。スーツの中の私と仲間たちは、絶えず疲労を訴えた。
しかし私たちが私費を投じてカフェインや糖分を補っていたのは、このスーツが軽く思えるほどに恐ろしい孵化場へと戻ることは避けたかったからだろう。
戦闘にて想定された成果を見せられないのであれば、再び孵化場へと連行され…。
私と、私と、私を敵に果てしない戦いを行うことになるだろうから。
厚ぼったい武器を以て進む他の同僚とは違い、この硬化手甲剣を使い続けるのも同じ理由だろう。
私は…これで生き残ったから。
人格/ヒースクリフ/R社第4群ウサギチーム
▌クハハッ!
子供の声は浮かれているようで、快活ながらも胡散臭い声で笑った。
▌次のヤツだ!集中砲火だ!
子供の銃は絶えず火を噴いていた。
引き金から指を放すという選択肢はそもそもないかように、子供の顔には満面の笑みが浮かんだまま、時々飛び散る敵の血の雫だけが頬と服を濡らしてた。
▌弾がねぇじゃねぇか!
遂にチカチカする閃光が消えたと思いきや、すぐに子供は弾丸を使い切った銃を相手に投げ捨てちゃった。
熱された銃は敵の身体に見事命中し、着ていた服に火が移って燃えてしまった。
▌草を掘り返す前足がねぇならば、歯で食いちぎればいいんだよ!
子供は短剣を抜き取って前に走った。まさにウサギのように前へ向かって跳躍し、敵を一人残さず切り刻んだ。
▌このスーツ…クソッ、すっげぇ気に入ったぞ!殺せば殺すほど段々強くなってるみてぇじゃねぇか!
子供の輝く瞳は、まるで何かに酔ってるみたいだったけど…。
楽しそうだし、別に気にすることないかな。そうでしょ?
人格/イシュメール/R社第4群トナカイチーム
そのノートの上の一番最初の行は、些細な疑問で始まっていた。
「R社の建築様式は変だ。建築様式は通常、周辺地域の翼と似た様相であるべきだが、J社やS社、T社と何の関連もない。」
「むしろ…W社と近いっちゃ近いんだよね。その理由を人と図書館で探し回ったけど、誰も知らなかった。」
「私は、その理由を探すためにこのノートを書く。」
▌確かなのは…今のR社以前にも、きっと旧R社があったはずだということ。
旧R社がどんな特異点を持っていたのか、なぜ消えたのか。子供はそれを知りたがっていた。
そして、その事実を辿れば…。
▌うぅ…それを探すためには…旧R社に関する情報を絶対手に入れなきゃ。
自分が探している何かに対する答えが得られると信じていた。
その何かが何なのか、今話すとあんまり面白くなさそうだけどね。
機会があったら、また今度話そうか。
▌うぐっ…つ、次の場所へ…。
今は、水なしで鎮痛剤を噛んで呑むこの子供を見るだけで、物語でいっぱいになった気分だから。
台詞
人格/ムルソー/R社第4群サイチーム
人格獲得 | 準備できました。私が前に立ちましょう。 |
---|---|
朝の挨拶 | 朝目覚めるたびに、再び孵化したような気分になります。 |
昼の挨拶 | 昼ですね。機動訓練を遂行する時間です。食事は、簡単に済ませておきました。 |
夕方の挨拶 | 夜になると選抜されていた日々が思い浮かびます。 |
対話1 | このスーツ…のことですか。申し訳ないのですが、これは我々サイチーム以外は使用できないスーツです。 重さも問題ですが、生体電流と感応しなければならないので別途の施術なしでは動くこともできないでしょう。 |
対話2 | 我々は戦闘の最前を担当します。協力する者たちのため、全てを弾き飛ばして相手の前列を崩すのです。 |
対話3 | 訓練がとても頻繁にあるように見えますが…全て必要なものです。いつ、どこに投入されるか分からないせいです。 …しかし、訓練に積極的に参加するものは稀ではありますね。 |
同期化後の対話1 | 戦闘経験が劣る場合は正直、たくさんあります。一旦R社に入社すれば、その経験は飽きるほど積むことになりますからね…。 二度と思い出したくはありませんが。 |
同期化後の対話2 | 私が私を壊し潰す経験は、とても不快な経験です。 私はその必要性がよくわかっているので、理解しましたが…貴方が経験することは、できればないほうが嬉しいですね。 |
放置 | 簡単な筋トレを行うのに適した時間ですね。 |
同期化進行 | 分かりました。ご支援なさった分、確実な戦闘結果を持ってまいります。 |
人格編成 | 投入ですね。 |
入場 | スーツ加圧…実施。 |
戦闘中の人格選択 | こちらは危険です。 |
攻撃開始 | はぁっ! |
敵混乱時 | 前列が崩れたか。 |
混乱時 | うぅん…。 |
敵討伐 | 生命活動の停止を確認した。 |
本人死亡 | あぁ…また選抜過程を経る必要があるのか…。 |
選択肢成功 | 選抜された者の成果です。 |
選択肢失敗 | このような状況は…予測できませんでしたね。 |
戦闘勝利 | 悪くない結果です。本日不足した点は訓練にて充当いたします。 |
EX CLEAR戦闘勝利 | 不足ない結果ですね。孵化場の厳格な選抜による結果です。 |
戦闘敗北 | 戦闘経験が…不足しましたね…。再び孵化場へ送られることでしょう…。 |
人格/ヒースクリフ/R社第4群ウサギチーム
人格獲得 | ぴょんぴょん…飛びながら…ウサギが来た。全部ぶっ潰しにな! |
---|---|
朝の挨拶 | は?夜明けに顔洗いに来たウサギは初めて見たってか? |
昼の挨拶 | どこかに良い作戦はないか?考えるだけで血が巡って目が朱くなりそうな…そんな熱い作戦な。 |
夕方の挨拶 | こう見えてもオレは夜行性なんだよ。暗闇はオレをもっと飛び跳ねさせるってことだ。 |
対話1 | おい!じっと座ってくっだらねぇお喋りしてる暇があるんなら、その分任務に送ってくれよ。 |
対話2 | オレはウサギだ。草がある場所ならどこであろうと行って片付けるのさ。 |
対話3 | 誰がウサギは弱いって?餓えたウサギの群れに出くわしたらどうなるか、見たことあるか? |
同期化後の対話1 | もしオレが戦ってて、あんさんまで攻撃してもそんなに恨むなよ。ウサギの習性だからな。 |
同期化後の対話2 | その時計ヅラちょっと使えそうだな、一緒にウサギチームになって飛び回るつもりはねぇか? |
放置 | 知ってるか?ウサギは、耳も良い。 |
同期化進行 | あぁ、最初からこうしろよ! |
人格編成 | さぁ、草を食む時間だ。 |
入場 | 新鮮な草が見えるなぁ! |
戦闘中の人格選択 | 熱い計画でも思いついたのか? |
攻撃開始 | ぴょん! |
敵混乱時 | もっと飛び跳ねてみろよ! |
混乱時 | はっ…! |
敵討伐 | ふぅ、噛み応えがあるな。 |
味方死亡 | 寂しかったのか?もう死んでるとか。 |
選択肢成功 | サラダ前にはカンタンだ。 |
選択肢失敗 | オレは言う通りにしたぞ。不満は上を突っつけよな。 |
戦闘勝利 | どうだ?すっごく強くて信じられないくらい速かったろ? |
EX CLEAR戦闘勝利 | 筋肉が喜んで跳ねてるな。もっと片付けるやつはいねぇか?ようやく調子が出てきたんだよ! |
戦闘敗北 | 休む暇などない。またすぐに行くぞ! |
人格/イシュメール/R社第4群トナカイチーム
人格獲得 | ふぅ、ややこしいのは省略しましょう。私は何をすればいいんですか? |
---|---|
朝の挨拶 | 朝は主に瞑想をすることが多いです。なるべく精神を空にすべきですから。 |
昼の挨拶 | はぁ、お昼の時間になるとなんで皆こうもうるさくなるんですか?静かに食べられないんですか? |
夕方の挨拶 | ふぅ…やっと落ち着けそうですね。話し掛けないでください。ちょっと休みたいんです。 |
対話1 | くっ…ちょっと待ってください。あ、頭が割れ…あ…落ち着きました。最近よくこうなるんですよ。 |
対話2 | 私はいつであれ集中しているべきです。すなわち、管理人の些細な会話に合わせてやれないという意味でもあります。 |
対話3 | うぅ…もしも私の角が壊れそうなくらい振動してたら、全員に退避命令を下してください…。 |
同期化後の対話1 | 管理人さん、そんなことはないと思いますが…もし私が正気を失ってしまうような…そんな日がいつか来たら…それも時計で解決できますか? |
同期化後の対話2 | 意識を放さずに耐えていなきゃならないというのは…寝るときも精神の一面は常に起きてなきゃならないということです。 熟睡というのはどんな感じなのか、思い出せないです。 |
放置 | 私が一番嫌いな行動のうちの一つです。呼んでおいて先に消える。 |
同期化進行 | うっ…はぁ、力が強くなった気はするんですけど…頭痛も更に酷くなった気がしますね…。 |
人格編成 | くぅっ…準備、できました。 |
入場 | 早く始めてください。 |
戦闘中の人格選択 | 正気ですよ…まだ。 |
攻撃開始 | ふぅ…臨戦態勢に入ります。 |
敵混乱時 | 精神が…貧弱ですね。 |
混乱時 | あっ! |
敵討伐 | ふぅ…騒音が減りましたね。 |
味方死亡 | うぅっ…頭の…騒音が大きすぎます…。 |
選択肢成功 | 完遂…しました。 |
選択肢失敗 | すみません。…うっ、頭が割れそうです。 |
戦闘勝利 | よかっ…たです…。正気なうちに終わって。 |
EX CLEAR戦闘勝利 | うっ…電流の放出が強すぎました。苦しいけど…なんとか無事です。 |
戦闘敗北 | くっ…頭が…他の方の精神は大丈夫ですか? |