桃歌ちゃん

Last-modified: 2020-06-10 (水) 17:39:31

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エンパイア中野所属のアクトレス。
江古田のアイドルとして活動中。
時代が求めた歌って踊れるアクトレス――と、本人は思っている。
メジャーアイドル目指して周囲に愛想を振りまいているが、ついつい荒んだ本音が出てしまうことも…

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今日は桃歌ちゃんでシコリましたか

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桃歌ちゃん!桃歌ちゃん!凄く可愛いよ桃歌ちゃん!19歳になってもランドセル背負ってミニスカの下にスク水着せられても笑顔を崩さない桃歌ちゃん可愛い!身の程弁えず楓さんを目の敵にする大胆不敵さが可愛い!何?楓さんを信用しない方がいい?分かったよ桃歌ちゃん!楓はクビにします!!!え…クビはかわいそう…?日和った桃歌ちゃんは優しいなぁ!!!今度は成子坂の娘はウラで色々アレコレやってる噂がある…?桃歌ちゃんが言うなら事実だね!後で行為室で問い詰めてくるよ!江古田にそんな由来があるなんて桃歌ちゃんの話は為になるなぁ!もう帰るの桃歌ちゃん!明日でもいいからまた来てね!事務の仕事溜めて待ってるよ!

今日は中野から桃歌がやってくる日なのだが、どういうわけか彼女は吊りスカートにランドセルという妙な出で立ちだった
「桃歌ちゃんは~隊長がこういうの好きって知ってるんだゾ☆」
とその場で一回転してみせる、スカートがふわりと際どい所まで持ち上がった
なるほど……
皆が白い目をこちらに向けているのに気付いた俺は、慌てて桃歌を行為室に連れ込んだ
「も~隊長ってば積極的~、でもぉアイドルに手を出すのはご法度だゾ☆ 」
わざとらしく瞬きを繰り返す桃歌に本気でイラッとした俺は、少しばかり脅かすつもりで押し倒してみた
「あっ…」
目潰しくらいはしてくるかと思ったが抵抗するそぶりはみせない
それどころか依然ぶりっこのまま困った顔でこちらを見つめてくる
なるほど……また何か企んでいるに違いない、ここで手を出せばやつの思う壺、こいつはそういう人間なんだ
その顔立ちの割には意外な程豊かな桃歌の胸をまさぐりながら、俺は自分を律した

新曲のリリースイベントを終えた後、俺は桃歌を中野の事務所に送った。
「隊長さん、今日のイベントどうでした~?」
最高である。もはや文句のつけようもない。あれほどの振り付けと歌唱たるやどれほどの練習を重ねたのか推し量ることも難しい。後ろで静かに見ていなければならない隊長という立場をこれほど悔やんだことはない。
「うん、悪くない。すっごく悪くないよ」
「それ褒めてんのかよ…」
桃歌の機嫌が悪くなる。そりゃそうだ、俺だってこんな失礼なことは言いたくない。しかし守らねばならぬ一線があるのだ。
「も~隊長さんがいたからいつもより頑張ったんだゾ☆」
はいあざとい。ぶりっ子ってわかっててもそんなこと言われたら隊長勘違いしちゃうゾ☆
「今~事務所に誰もいないんですよ~」
これはあれか、お誘いか。確かに桃歌のことは好きだがそれはあくまでアイドル、崇拝の対象としてのこと。彼女は不可侵の存在でなければならないのだ!
気付けば俺はステージ衣装のままの桃歌に覆いかぶさっていた。ローカルとはいえアイドルという事実に予想以上の昂りを感じている自分に驚きつつ情けなく腰を振り続けた。

“アイドルはトイレにいかない……”
そう言い始めたのは誰だろうか、ふと調べ物をしていた時にその言葉が脳をよぎった。
そんなものはまやかし、誰かがイメージアップのために言い始めた宣伝文句だろう。
そうとは言ってはいるが実は気になっている。そう、我らがエンパイア中野のアイドル、下落合桃歌ちゃんもトイレにはいかないのか。
実際桃歌がトイレに行くところを見たことは無い......気がする。というか女子トイレなど見ていたらそれはそれで怪しまれてしまう。
そんなことを考えながら仕事をしていると桃歌の声が。任務を終えてこちらに戻ってきたらしい。
これはチャンスだ、そう考えた私は桃歌に「アイドルはトイレなんて行かないのか?」と若干セクハラまがいな質問をする。「えっ、えっ、もちろんアイドルの桃歌ちゃんはトイレなんて行かないんだゾ☆」と桃歌は戸惑いながらも答える。
ふーん、そうなのか、とそってけない返しをしてしまったがやはりなんとなく気になり、今日一日は桃歌の様子を観察していた。
そして皆が帰り、事後処理で残っていた桃歌がもじもじし始めていることに気付く。トイレを何度も見ているがこちらを見ると若干顔を赤くしてそっぽをむく。間違いなく今の私の顔がとんでもなく気持ち悪いからだろう。
そうして数分、桃歌がトイレに行く素振りを見せようものなら「桃歌ちゃんはアイドルだからトイレに行かないんでしょ??」と煽っているとそのまま地べたに座り込む桃歌。
桃歌の座っているところから広がる湿り気。
辺りに漂うアンモニアの香り。
そう、ついに桃歌は粗相をしてしまったのだ。
その様子をじっくり見た私は「ご馳走様でした。」とお辞儀。
桃歌は今にも噴火しそうなほど真っ赤な顔で「後で覚えておきなさいよぉ……」
今夜はごはんが美味しかったしぐっすり寝れた。ありがとう、桃歌。

桃歌とワンダフルフェスタ……ワンフェスに行った時の話をしよう。桃歌は自分以外のアイドルの観察やメガミデバイスのコラボを見たいって言ってたがコトブ〇ヤブースにあったのは桃歌じゃなくて楓だった。ディーラーで立体物を作っている人がいないか探したが桃歌のもの字はなく、アイドルブースの人気っぷりを見て桃歌は終始文句を言っていた。
しかも当日は大雨で待機列にいた人は基本的にびしょびしょ。私は桃歌が心配になり自分の上着を桃歌に着せていたが結局二人とも濡れてしまった。会場入りした後買い物を済ませ、建物内の休憩スペースで座り込む。桃歌は「なんでこんなに濡れなきゃ行けないんだか……隊長、どうしてくれんのよこれ」と言ってこちらを睨む。本当にすまない、と謝ろうと桃歌を見た瞬間、顔をそむけてしまった。水に濡れて服が張り付いたことで身体のラインがはっきりとわかるようになり、崩れた髪を束ねていた桃歌は今まで見たことがない姿であった。桃歌はアクトレスの中でもそれなりに大きく、スタイルもほどほどによい。まるでクラスメートの女子を異性と感じた瞬間のごとく私は顔をそむけたのだ。桃歌は不思議そうな顔でこちらをのぞいていたが意図せず反応してしまった私の身体を見て事の重大さに気付く。顔を赤らめた桃歌は汗を拭いていた私のタオルを奪い、身体を隠すように巻いた。私はそのときの様子がずっと脳裏に刻まれ、その日はずっと桃歌を直視できなかった。桃歌も顔を赤くしながらタオルに顔をうずめていた。帰りに桃歌が「…責任取りなさいよ……」といい私の腕を掴み、近場のホテルへと向かう。私はこの後の処理等そういったものは考えようとはせず、桃歌と体を重ねた。
次の日そろって風邪をひいて事務所に帰る二人。やよいとゆみさんは呆れていたが、桃歌と私の距離は一段と近づいていった。

桃歌さ、料理得意って言ってたよな。だから何か俺にご飯作ってくれないかな。…とは言って出てきた素麺とおにぎり。この暑さだから軽いものになってしまうのはわかってはいたがミョウガや葱が入っていて彼女なりの工夫が嬉しい。おにぎりも中の梅干しがほどよい酸味でとても美味しい。小さめに握ったお握りを頬張る桃歌を見ているとふと気付く。いつも手袋をしている彼女が素手で握るおにぎりはとても美味しかった……それは彼女なりの優しさなのだと。無理を言ってめんどくさそうな顔をしていてもそういった気持ちで作ってくれたと思うととても嬉しい。ご飯を食べ終え、桃歌にとても美味しかったと伝えると彼女は手を拭きながら「そう、これぐらいだったらすぐに作れるからまた作ってあげてもいいわよ」と答えた。いつも小結さんの大盛ご飯ばかり食べていたので少女が作る料理はとても新鮮だ。お言葉に甘えてたまには桃歌の手料理を食べることにしよう。
次の日も残業で何か軽食を食べに事務所を出ようとしたが桃歌から呼び止められた。「簡単なもので作ってみたけど……残すなよ」と言われ弁当箱を受け取る。おにぎり三つにからあげ、卵とトマトの中華炒め、小松菜のおひたし、それに林檎のうさぎとかわいらしさのある美味しそうな弁当が入っていた。一つ一つ味わいながら食べる。おかずはどれも冷えてても美味しいように味が濃くなっており、ご飯がすすむ。おにぎり自体にも梅干しに高菜に肉味噌と具がしっかりしているので何個でもいけそうなほど美味しかった。あまりにがっついていたのか桃歌も少し驚いており、慌てて水筒を差し出した。水筒にはジャスミンティーが入っており、これも彼女らしいチョイスだ。
林檎を食べ終え、桃歌に弁当箱を返す。米粒一つ残らず空っぽになった弁当箱を見て桃歌は「残さずにとは言ったけどすごい勢いだったわよ、隊長さんよく食べるとはきいたけど桃歌ちゃんびっくりだゾ☆」と若干呆れた様子で弁当箱をしまう。
「桃歌の弁当がそれだけ美味しかったってことだ。ほんとに料理上手なんだな、びっくりしたよ。」そう言いつつジャスミンティーを飲み干し、桃歌に水筒を渡す。「まぁ、嘘は言ってないから。やよいにも作っていたし。それに……」と言って俺の顔についていた米粒を取り「こういうのって実感なかったけど、いっぱい食べてくれるのなら作った甲斐があるってもんでしょ」と少し恥ずかしそうに答える。
「桃歌……これからも頼んでもいいか…?」「まぁ、隊長ぐらいならいいけど……」そう言って米粒を口にする桃歌。我慢できなくなった俺はソファに押し倒て、「これからも、一生だ。」と興奮気味の声で言う。桃歌は顔を赤らめ、「トップアイドルの前にママドルじゃない……」と俺に体を預けた。

桃歌が二十歳になったということなので仕事終わりに二人で飲みに行くことにした。まだなったばかりということなので軽めのカクテルを頼み乾杯。地元の話や友人との何気ない話で盛り上がり、二人とも何杯か飲んだ所で桃歌はいきなりため息をつき、俯く。
どうしたんだと訪ねると桃歌は「隊長は私のファンだからいいけど、このままでトップアイドルだなんてなれるのかなって……私は今売れてるアクトレスよりもアイドルとして売れるポイントもダンスや歌も実力もあると思ってる。でも何故かピックアップされのは楓のような子ばかり。どうすればいいの、教えて」とストローでカクテルをかき混ぜながら言う。私、いや多分他の方もわかっているとは思うが桃歌のアイドルとしての意識の高さは彼女の最大の短所でもあり長所でもあるのだ。それを言うのは彼女を傷つけてしまうと思うと口に出せない、そう考え「あっと……そう、桃歌ちゃんの可愛さに気付いてない人が多いんだよ、桃歌ちゃんはみんなに愛されるべきアイドルだからね」と言葉を濁し話題をそらそうとした。桃歌は酒で真っ赤になった顔でこちらをにらみ、
「あーもう、そういうのいいから!言えないなら良いわよ、どうせ私のこと永遠の三流アイドルだって思ってるんでしょ!!!」と怒鳴るとカクテルを飲み干し店を出ていく。私は急いでお会計を済ませると桃歌を追いかける。彼女はおぼつかない足取りで駅に向かおうとしていたので肩を掴み、今の状態で帰るのは危険だしもう江古田行きの終電は行ってしまったと説得する。桃歌はこちらを見て「だったら隊長の家で休むから早く連れていきなさいよぉ……」と嫌な顔をして言う。仕方ないので私の家で朝まで過ごすことした。
家に到着し、水を準備していると桃歌は「先に風呂使わせてもらうから。覗くんじゃねーぞ……」とお風呂に入ってしまった。仕方がないので酔いを覚ましてゲームでもして待っていると私のTシャツを着た桃歌がタオルで顔を拭きながらお風呂からあがっていた。男物の大きめのTシャツを着て髪をおろしているいる桃歌はまるでやよいのような姿だった。桃歌は水を飲み干すと「私もう眠いから寝るわね。桃歌ちゃんが可愛いからって何かしたら承知しないんだからね、おやすみ。」と言い私の寝室に向かう。
半ば当然のように寝場所をとられて唖然としていると桃歌が振り向き「隊長さんは私のこと考えてたからあえて本音を言わなかったのね、そういうところまで気遣ってくれる隊長さん、大好きだゾ☆」と言うと寝室に入ってしまった。何気ない桃歌の本音を聞いて安心した私はそのままソファーで就寝した。
朝起きると桃歌が朝ごはんにトーストと目玉焼きを作っていた。桃歌は「せっかくここまでしてくれたんだから何かお礼はしないとね。」と朝ごはんを並べる。朝ごはんをあまり食べてはいなかったので久々の朝ごはんがとても美味しい。私は食べ終わった後桃歌を見送り、家に戻った。寝室に向かうと昨日桃歌が寝ていたであろうベッドの枕やシーツからいつも嗅いでいるものとは違う匂いを感じた。同じシャンプーを使っているのに全く違う。これが桃歌から香るフェロモンだということを噛みしめ、私は何度も致した。

桃歌と江古田で買い物をすることにした。どうやら昔から通っている商店街を私に紹介したいらしく、桃歌はウキウキで商店街を歩く。桃歌は白黒の撮影用の洋服を着て歩いているが通りかかる人々に必ず声をかけられる。やはり桃歌は江古田ではどんなアイドルよりも有名だということを実感した。
商店街の方々に挨拶をし、一通り買い物を済ませた後桃歌はある店の目の前で足を止めた。それは小さな文房具店だった。子供向けの玩具や学校に支給する体操着等昔からある文房具店といったイメージだ。桃歌は振り返り、「隊長さんってヒーローものとか好きでしょ?だからこういう店とか見るの好きでしょ?」と腕を引っ張る。店内に入るとどこかで感じた懐かしい雰囲気。昔はこういう店もあったなと懐かしさを感じながら商品を見る。昔好きだったヒーローのフィギュアがあったので手に取り、レジへと向かうと桃歌と店の店主らしきおばさんが喋っていた。何を話していたのかと桃歌に聞くと「あ、隊長さん。この人私が小さい頃からお世話になってる店主の方で、体操着の宣材写真を撮らないかって話が来ててね。高校の時着ていたものがあるからそれを元に新調してもらおうかなって。」そう言って体操着を取り出す。そうして数分店主のおばさんはとりあえず試着してほしいということで宣材写真に使う体操着を桃歌に渡した。桃歌は試着室に行き着替えを始める。なんとなくカタログを見ていると体操着姿の桃歌がやってきた。「どう?似合うでしょ?」ゆっくりと回る桃歌。ショーパンの体操着はブルマのように面積では圧倒的不利だがショーパンの隙間から見える肌はとてもいい。ついつい見とれていると桃歌は「ちょっと~~どうなのよ感想をいいなさいよ隊長さん」と見下ろす。胸の部分の膨らみがそそる。若干透けてるような気もした。私は「似合ってるよ桃歌。素晴らしい。」と言い拍手をした。桃歌は照れながら「ありがと。やっぱり桃歌ちゃんは何を着ても似合うゾ☆」といつものダンスをした。
この夜、店主のおばさんからもらった写真を見て興奮した私は桃歌が着ていたものと同サイズの体操着で致した。

十時過ぎのエンパイア中野、私と桃歌はまだ報告書の始末で残っていた。ゆみさんは男と飲みに行くとかなんとかなんとかで帰り、やよいはそもそも来ていない。
アクトレスへの指示ミスや成子坂へ様子を見に行けてないことが多く、私は凄まじい疲労を感じていた。
そんな状況だったためか桃歌から報告書を見てほしいとのことだったので向かおうとした時に「行くよ、ママ」とうっかり言ってしまった。
少しの間が空き、「……は?なんて言ったの隊長?」と桃歌は呆れた顔で答えた。
私も自分でいったことが信じられず、「すまん桃歌……疲れていてな……」と謝った。
桃歌はため息をつき、少し悩むと「あーもう仕方ないわね、疲れているんでしょ隊長。無理はしないで。」と真剣な顔で言った。
アクトレスにここまで言われてしまうと返す言葉もない。
そんな顔でうつ向いていると、「もー……桃歌ちゃんが相手してあげますよ、ほら、ここに座って。」とソファに座り膝をポンと叩いた。
膝枕……?驚きだ。このようなことをする子だとは思いもしなかった……。私は戸惑いを隠せなかった。
そんな私を見た桃歌は「ほらほら、アイドルの膝枕なんて奇跡なんだから遠慮しないの。隊長さんには心も身体も急速が必要なんだからっ」と私の腕を引っ張りソファに寝かした。
ソファに寝そべる私、頭には柔らかい感触を感じた。
桃歌は「よしよし、桃歌ママですよ~。隊長さんはいつも頑張っててえらいですよー」と頭を撫でる。
こんなことをしてもらったのは何年ぶりだろうか……そんなことを考え、桃歌の膝枕と優しい言葉を感じつつゆっくりと目を閉じた。
「YOYO、事務所で残業、しぬほど疲労?」
目を覚ますとやよいと桃歌が見下ろしていた。
辺りを見回すとすっかり朝、私はソファで寝落ちしていたようだ。
「あれ…昨日は桃歌が遅くまで付き合ってたんじゃ……」寝ぼけた頭で記憶を整理する私に桃歌は「何言ってんの、隊長がソファで寝はじめちゃったんだから鍵閉めて先に帰ったわよ。」とスペアの鍵を投げる。
昨日のことはなんだったのだろうか…と思い返そうとする私。桃歌は「まぁ身も心もリラックスできたのならいいんじゃない。どうしても駄目そうならちゃんと吐き出しなさいよ……」と言うとやよいと外へ出ていった。
私は桃歌がしてくれたことを思いだし、彼女に対する新しい感情を芽生えさせていた。

ついに手に入れた……
シタラがデザインしたこのチア服、桃歌の分が用意されていなかったのでどうにかポケットマネーで準備した……。あとは彼女に着せるだけ、着せるだけなのだ。
しかし……こんな大胆な服を彼女が着るだろうか…? 桃歌は水着もいつもの服もランドセルも全てかわいらしいコーデが多い。専用スーツもそういった桃歌のイメージを参考に設計したものなのだ。そんな彼女がこんな大胆な服を着るのだろうか?着せてもいいのだろうか?
このままいきなり渡して着てください!というのは桃歌のドン引きした顔を見れるのは幸せではあるが桃歌に合わせる顔がないし一隊長としてもよろしくない。だからといってこれは次の撮影の衣装と騙して着せるのも一番いい方法だがTVや雑誌ににでないとなると怒られるだろうしそれもそれでなんだかかわいそうである。
そんなこんなで悩み続けて数時間、彼女には本当のことを言おう。そう決断し、書類を整理していた桃歌に話しかける。
「桃歌、あのさ」「この衣装私に作ってくれたんでしょ、そこに書類置いてきっぱだったわよ」と桃歌は注文書のコピーと領収書を見せる。
しまった……ここは桃歌と私が管理していたのだった、悩んでばかりで隠すことをうっかり忘れていた。
「そ、それは他の子が作られているのに桃歌がいなかったから寂しいだろうって作ったからであってだな……」とあわてふためく私を桃歌は呆れた顔で見ていた。
「そんな言い訳しなくていいから。着て応援してほしいんでしょ?隊長ならそういうことだろうってわかってるから。」と桃歌はいい、衣装を渡してと手を差し伸べた。私は「……そういうことだ。決して変な意味ではなくてだな、かわいい桃歌のチア服で応援してもらったら元気がどんどんわいてくるだろうなってだな」と恥ずかしそうに衣装を渡した。
「ありがと、私もなんでないのって思ってたから欲しかったのよ。ちょっと待ってて。」と更衣室に入る。
桃歌が着替えるのをそわそわしながら待っていた。
「は~い☆チア桃歌ちゃんの登場だゾ☆」と更衣室から聞こえる声、私は我慢できずに更衣室のドアを開けてしまった。
「わっ!?隊長さんったらせっかち~!焦らなくても桃歌ちゃんはここにいますよ~」と驚いた表情で後ろへ下がる桃歌。私は桃歌を眺める。桃歌のやわらかめの丸い曲線が衣装によく合う。谷間の隙間といいへそといいとても大胆な衣装だった。「素晴らしい……桃歌はどんな服を着ても似合うがこれもとてもいいな……」内心シタラに感謝しつつ、桃歌のチア服を見ながら感心した。
「ちょっと大胆かな~って思うけど、いい感じね。チアダンス覚えてきてよかった。」とチアダンスを披露する桃歌。
「で、これで応援すればいいんでしょ?ほ~ら隊長さん、お仕事まだまだいっぱいあるけどがんばれ!がんばれ!フレ、フレ、隊長さん!」とポンポンを振りながらチアダンスを踊る桃歌。
踊る桃歌。揺れる桃歌。桃歌の色々なところが揺れる。胸も、衣装も、髪も。
そんな桃歌を見ていると元気がどんどんわいてくる。元気がわいてくるどころではない。桃歌を見ていると抑えられない欲望までどんどん大きくなっている。
流石に手を出しちゃだめだ、だめだと思ってはいたが私は桃歌を押し倒していた。
「隊長……!?まさか……未成年のアクトレスに手を出すなんてことしないわよね……?」とパニックになりつつ隊長に語りかける桃歌。
「わかってはいる……わかってはいるけど……桃歌がいけないんだ……そんなに似合う桃歌が、そんなにかわいらしい桃歌が、そんなに誘ってる桃歌が…………」と言いながら下半身に手を伸ばす私。
そこからは長い夜だった。一人の男と一人の少女は二人以外いないその部屋で身体を重ねていた………

すっかり空が暗くなるのが早くなった頃のエンパイア中野。たまたま来ていたリンの提案で皆でおやきを食べることにした。私は仕事を終わらせてから向かうので先に待っていてほしい三人に伝え、仕事を片付けた。外は寒く、来たときのままでは流石にキツいと感じた私は仕方なく事務所にあった仕事用の上着を羽織って行くことにした。
たい焼き屋についたときには三人が既に到着しており、なぜかゆみさんまでいた。
「隊長遅~い!早く食べよ食べよ!」と待ちきれない様子で話しかけるリン。彼女らしいスポーティな私服で中々似合っている。
「YO、YO!遅いよ隊長!想像以上!リンは腹ペコ、暴れん坊!」と事務終わりのテンションからかノリノリなやよい。そんな彼女は朱色のパーカーを羽織っていた。いつもロッカーにいれてるのだろうか、今は文学少女のやよいではなくラッパーのやよいだった。
「女の子を待たせるなんてわかってるの隊長?罰ゲームとして奢りだからね。」と何故かたい焼きを奢ってもらおうとしているゆみさんはいつもの私服に私服にチェスターコートを着ていた。どうやら道中で出会ったらしく、夜の仕事の前に軽く口にしたかったという訳でついてきたらしい
「それにしても……何よその姿は。せっかく桃歌ちゃんが来てあげたってのに、もうちょっとお洒落しようとは思わなかったわけ?」そう言い私の姿を見る桃歌。桃歌はいつものアイドル服ではなく、ベレー帽をかぶり明るめのダッフルコートを着ていた。いつも黄桃色が似あうカラーリングの服をきているイメージが多かったがこういう桃歌もとても素晴らしい。
全員そろったのでおやきを買うことにした。私はクリーム、桃歌は小倉あん、やよいはチョコレート、ゆみさんはマヨソーセージ、リンは私たちが頼んだものを一通り購入した。ここのおやきは基本的なものから変わり種までどれも美味しいのでちょくちょく買い食いすることが多かったが皆で行くことがなかったので新鮮だ。
「ゆみさんそんなの頼んでばっかりだと女子力なくなるゾ☆」と煽っていく桃歌。
「何よ、これから仕事行くんだからある程度いれておかないと動かないのよ。それに糖分とりすぎるのもよくないってわかってるの?変にこじゃれたものより食べたいものを食べるのよ。」とおやきを口に入れながら桃歌に指をさすゆみさん。
「いろんな種類がある焼き印、あつあつの生地、口の中に広がるチョコレートの甘い香り、やっぱりここのは本当においしい……」と文学少女モードに戻り感想をひたすらつぶやくやよい。
「おいしかった~~~もっと食べたい!!いい?隊長?」と次の食べ物を探そうとしているリン。
私は今、何気ない少女達のやりとりに感動している。ヴァイスとの戦いがなければ一人の女性なのだ。それを忘れてはいけない、今この瞬間も大切な楽しい思い出になるのだと。
そんなことを考えながらおやきを食べているとなんとなく桃歌の小倉あんが気になってしまった。しかし今もう一個買うほど余裕はない。
そう悩んでいると桃歌はためいきをつくと「はい、そっちのクリームくれるなら一口いいわよ。」と手に持ったおやきをそのまま差し出す。
ありがとう、と一口食べ、クリームのおやきを桃歌に渡す。桃歌は一口食べると「ありがと。実は私もクリーム食べたいなって思ってたのよ。」とお礼を言う。
私は口にはしなかったがこの時桃歌と私は間接キスをしていることになっていた。どうやら後の反応を見るにリン以外は気付いていたようだった。
残りのおやきを食べ終え、手についたクリームを舐める。みんな食べ終わったらしくそれぞれ流れ解散の雰囲気だった。
桃歌は帰ってなにか食べようかなと思い家に向かおうとする私の肩をつかみ、「はーまったく……クリームが垂れてるわよ、隊長。今日ハンカチ忘れて袖で拭ってるんでしょ。これ使って、洗って返しなさいよ。」
と呆れた顔でハンカチを押し付ける。
すまん桃歌、後でなんか埋め合わせする。とクリームを拭く。桃歌は「いいのいいの、でもどっかで埋め合わせはしてね。」と言い後にする桃歌。
その夜クリームがついていない部分のハンカチの匂いを嗅いでみた。それはまさしく十代の少女から発せられる甘い香りの匂い。もちろん一発抜いてから洗って返すことにした。
後日、桃歌にハンカチを返した。桃歌は「ちゃんと綺麗に洗ってるじゃない~上出来ね。」とハンカチを広げ確認する。
当たり前だからなとは言ったもののそれまでにハンカチで色々としていたことに関しては何も言えない。
そのまた数日後、桃歌にハンカチをしていているかを聞いたら桃歌は驚いた顔を一瞬だけ見せ、ちゃんと使ってるから、安心してとハンカチを見せつつ言っていた。
おかしい……これは何かあるなと思った私は桃歌の様子を観察していた。観察してからは桃歌は嫌そうな顔で見つつ仕事をこなしていたが何度かハンカチを取り出して口に当てていることに気付いた、口を拭っているわけでもなさそうだったのでもしやと思い、二人の時に聞くことにしようと決めた。
残業が続き二人だけで帰ることになったので今だと考えた私は質問し始めた。
「桃歌、さっきからなんでハンカチを口に当ててるんだ?」とハンカチを指しながら質問する。
「そ、それは……桃歌ちゃんが最近ダンスの練習がなくて汗をかかなくなったからだゾ☆」と誤魔化す桃歌。
そんな桃歌の肩をたたき「我慢しないで言ってみな?大丈夫、俺もやったから。」と自信満々に言う。
桃歌はあきれ顔で「そういうのは言わなくていいのよ全く……」とため息をつくと「そうよ、隊長さんの思った通りよ。いつも嗅がない匂いだったし、好きな人の匂いを嗅ぐとドキドキしてくるっつーか……」と俯きながら小さい声で話す桃歌。
その小さな言葉はしっかりと聞こえたわけではないが驚きを隠せなかった。えっほんとか……?それは本当の気持ちか……?と私は桃歌に迫る。
桃歌はまたもためいきをつき、「まったくここまでして気付かないのね」と言い私を軽くポンと叩くと「どうやら隊長さんのことが好きになっちゃったのよ。絶対に許さないんだから、責任取りなさいよ」と私はハンカチを受け取った。思っていたより湿っているハンカチを見て彼女が夜中どうしたかがよくわかってしまった。
顔を真っ赤にしてそのまま黙り込む桃歌を抱え、自宅へと連れ込んだ。その日、私と桃歌は忘れられない熱い夜を身体を重ねながら感じていった。
 

「桃歌、誕生日おめでとう。」
と言いたい気持ちを抑えきれず笑顔で歩く私。そう、今日は下落合桃歌の誕生日なのだ。
桃歌へのプレゼントを大事に抱え、事務所に向かう私。事務所の扉を勢いよく開き、「誕生日おめでとうとう………あれ?」桃歌が事務所にいないことに気付く。桃歌はいつも時間を守って来ているはずだ。
「ったく、あいつ言ってなかったのね……隊長さん、桃歌は朝早くから緊急でお仕事がはいったらしくていないわよ。」といつもこの時間には来ることが少ないゆみが眠そうな顔でこちらに話しかけた。
「……ッ!どこに行ったんですかッ!!」とゆみに迫る勢いで問いかける私。
「えっ!?江古田の商店街だと思うけど……ってええっ隊長!?どこ行くのよ!」とゆみが答えるやいなや事務所を飛び出していく私。
「……はぁ、桃歌は幸せ者だこと……。さてと、ちょっと休憩したら準備しますか。」ゆみはため息をつくとソファーに横たわった。
江古田についた私は桃歌を探し始めた。まだ開店したばかりなので人混みが少なく、どこにも桃歌がいる様子はない。辺りを見渡していると子供が群がっているのを見かけた。よくみていると一人の女性からお菓子を受け取っており、その女性こそが桃歌だった。
「なるほど、昨日はハロウィンだったから今日もやっているんだな。」と納得し、私は息を落ち着かせた。しばらくその様子を眺めていると桃歌がこちらに気付く。桃歌は隊長に知らせてなかったことに気付き、若干しまった……といいかけたが子供の前だからかすぐに笑顔に切り替えた。私は終わったら迎えに行くから後で連絡して、とジェスチャーし事務所に戻る。
「お帰りなさい、桃歌はいた?」と事務所の中の飾り付けをしながらゆみは言った。
「あぁ、ハロウィンの手伝いしてたよ。桃歌は江古田のアイドルなんだから忙しいのは仕方ないよな。また後で迎えに行くよ。」と私は上着を片付ける。
「そう、なら大丈夫そうね。もう少しでやよいもくるはずだから準備しましょ。」とゆみは出前のリストを私に渡す。
やよいも加わり三人で準備をしつつ桃歌の連絡を待つ。桃歌から連絡が来たのは夕方だった。
迎えに来た私を待っていたのはハロウィンの仮装で魔女とカボチャを組み合わせたようなコスプレをした桃歌だった。
「あー隊長……ごめんね遅くなって…」とへとへとになった顔で言う桃歌。
「お疲れ様、その様子だと大分賑わってたんだな。」と言い私はスポーツドリンクを渡す。
「ありがとー……気が利くじゃん。」とスポドリを受けとる桃歌。
「まぁ、今朝の様子を見て桃歌は江古田のアイドルだってのが改めてよくわかっててから。それは……?」と私は後ろの荷物を指差す。
「あ、これ?誕生日プレゼント。チビッ子からお年寄りまでみんなくれるから、まだまだあるわよ。ひとまず事務所に送ってもらっていい?」と一人では抱えられないレベルの大量の荷物を指差す桃歌。私は驚きながらもその大量の荷物をまとめて事務所に郵送した。
バスに乗って事務所に向かう私と桃歌。桃歌は着替えるのがめんどくさかったのもあって仮装のまま行くことにした。
バスでの移動中、小さな寝息をたてつつ桃歌が私に寄りかかり眠っていることに気付く。やはりまだまだ可憐な少女だということを再確認し、私は目的地まで寝顔を見て楽しんでいた。
事務所に到着し、扉を開ける。
「ハッピーバースデー桃歌!」「ハッピーバースデーシスター桃歌!」
クラッカーの音と共に桃歌は驚いた顔をする。
「ハッピーバースデー。みんな忘れてないよ、桃歌。」
と後ろから背中を押す私。
「わかってはいるしみんな忘れてるわけはないんだけど……すごく嬉しい。ありがと。」と少し照れた顔で言う桃歌。
「さて、みんな未成年じゃないわけだし飲むわよ飲むわよ~~!! 」 と既に若干お酒が入っているゆみさんがジョッキを手にして言う。
「もうお酒入ってるのか………ささ、誕生日パーティーは始まったばあkりだ、どんどん楽しもう!」とビールを手にする私。
「そうね、楽しまないと損よね!」「シスター桃歌もお酒飲むYO! カクテルシェイク、グルメもテイク!」こうしてエンパイア中野の楽しい誕生日パーティーが始まった。
あっという間に時間が過ぎ、ゆみとやよいはつぶれてダウンし、ソファに倒れこんでしまう。私もそろそろ水を飲んで片付けなければなと思っていた矢先、桃歌は窓際で一人佇んでいた。
「桃歌?どうしたんだそんなところで。」と話しかける。
「あっ、いやね、私も二十歳なんだよねって。アイドル続けられるのかなって考えてたらちょっと寂しくなっちゃってね。」とカクテルを飲みながら外を見つめる桃歌。
「あぁそんなことか……」と桃歌の側による私。
「そんなことって何よ。これでも悩んでいるのよ。」とちょっとムッとした顔でこちらをにらむ桃歌。
「ごめん。たださ、桃歌はアイドルになるのが昔からの夢で今では叶っているんだろ?今この瞬間を精一杯アイドルとして生きなくてどうするんだよ、皆に光を届けるのがアイドル、私たちファンはその光を受け取って更に輝かせる鏡みたいなもんだと思ってるんだ。だから桃歌が何か考えて少しでも光を減らしてしまうのなら今はおもいっきり輝いていいと思うんだ。」と真面目な顔で桃歌を見て私は語りかける。
「……なるほどね、確かにその通りよね。」と桃歌は頷く。
「それに……」「それに?」
「もしもアイドルを続けられそうになかったら、私も精一杯考えるよ。恋した人のためなら全力で支えるさ。」
「隊長……何を言ってるの……?」と桃歌は驚いた顔で私を見る。
「遅くなったけどこれ…プレゼントだ。」と私は小さな小箱を渡す。
桃歌は箱を開け、中に入っているものを見る。「……これは?」中には指輪が入っていた。
「アニバーサリーリング、今はまだ一アクトレスと一隊長の関係だが……いつかは逆の手に着けてくれないか……?」と私は少し恥ずかしがりながら言った。
「……ふふっ……これでプロポーズのつもり?桃歌ちゃんはみんなのものだゾ☆」と少し笑いいつもの笑顔で答え、「……でも考えてあげる。それまで私にぴったりな人になってね、隊長さんっ」と頬にキスをする。
「トリック・オア・トリート!お菓子はもらえなかったからいたずらしちゃったゾ☆」と踊りながら去っていく桃歌。 私は頬に受けた感触を噛みしめながら片付けをし、三人を送ると事務所で致した。

桃歌が恋しい。
私はそう言うと目を覚ました。なんだったのだろうか……と考える私だったが心当たりはあった。
というのも、私は他シャードの調査のため一週間ほど出張で外出している。事務所はゆみさんが代理で指揮をするということだったので安心して出掛けることができた……
のだが。桃歌が恋しくてたまらない。
端末を使えば桃歌の顔を見ることができるし話をすることもできる。だが触れることができない。当たり前ではあるがその端末に触れたとしても桃歌には触れることができない。
そんな当たり前の事実が私を蝕んでいく。
このような精神状態の私が職務を全うすることなどできるわけがなく、なんとかやりくりしていくだけで精一杯であった。
やるべきことを終え、くたくたになった私はホテルのベッドに倒れ込む。そのまま眠ろうと思っていた矢先、端末から着信が鳴り響く。
電話はゆみさんからだった。今日の報告がまだだったのでその催促らしい。後で送るのでもう少し待ってほしいと伝え、電話を切ろうとしたが朝の夢を思い出し桃歌に変わるよう伝えた。
「隊長~私に何か伝えることって何?」
「実はな……桃歌、お前が恋しくて仕方がないんだ。」
「は?どうしたのよ……もしかして桃歌ちゃんのことが気になっちゃってるの?わかってるわかってる、桃歌ちゃんはみんなのアイドルだから人気者なのは事実だゾ☆」
「うん、本当に桃歌が恋しい。 もう駄目なんだ。なんとか仕事はできているが……そろそろ限界なんだ。」
「えっ……本当なの……?」
「あぁ、嘘じゃない。」
「そっか……隊長。隊長はできる人なんだからちゃんとして。帰ってからいっぱい甘えればいいでしょ。私は待ってるから……ちゃんと頑張ってね。」
「あぁ…。そうだな……。明日さえ終われば帰れるから、その時は桃歌におもいっきり甘えるよ。」
「私は待ってるからね……。じゃ、通信切るわよ。」
「あっ、ちょっと待ってくれ。一つお願いがあるんだ。」
「なに?」
「そっちに帰る時の晩御飯、桃歌に作って欲しいんだが……大丈夫か?」
「それぐらいならいいけど……事務所でいい?」
「ありがとう……通信切るな。おやすみ。」
「うん、おやすみ。」
そして中野に戻る日。大量の仕事を無理矢理終わらせ、事務所へと全力で向かう。
辺りがすっかり暗くなり、気付けば9時を過ぎようとしていた。事務所についた私は窓から明かりが消えているのを確認する。明日桃歌に謝る言葉を考えながら扉を開ける。 中はほぼ真っ暗だったが、明かりがついている部屋を見つけた。そこは食堂であった。
食堂の扉を開くと桃歌が小さく寝息を立てて机に伏して寝ていた。 目の前には少し冷えてしまったおかずがあり、まだ盛られていないお椀が置いてあった。
私を待ってくれていた桃歌のことを考えると目から涙が溢れてくる。涙を拭くと桃歌に自分の上着をかけ、おかずをレンジにいれて温めはじめた。
ご飯をよそい、お味噌汁を温め直していると伏していた桃歌が目を覚ました。
「あ……おかえり隊長。遅いわよ………」と桃歌は少し呆けたような声で言う。
「本当に待たせてごめんな…………今から食べるよ。いただきます。」と私は味噌汁をよそい、レンジからおかずを取り出し、食べ始めた。
遅くなった晩御飯を黙々と食べる私。それの様子を頬杖をつきながら見ている桃歌。
桃歌がじっと私を笑顔で見ていることに気付く。
「桃歌、そんなに私が珍しいか……?」
「いや……隊長の食べっぷりはみていてすごいなって。」
「そうか……桃歌のご飯が久々に食べられたからかもしれないな。」ご飯を掻き込みつつ話す私。
「そっ、隊長さんが喜んでくれそうなメニューを作ったかいがあったゾ☆」少し嬉しそうな顔で言う桃歌。
「ごちそうさま。とても美味しかったよ、桃歌。」と言うと私は食器を片付ける。」
「それならよかったわ。……隊長?よかったら……一緒に寝る…?」と桃歌は後ろから話しかける。
「えっ……!?どうしたんだ桃歌!?お前がそんなことを言うなんて……」突然の出来事に私は振り返り、桃歌に迫る勢いで話しかける。
「あっいやその……隊長疲れてるでしょ?私もこんな遅い時間に帰るのは嫌だし……せっかくだからここで寝てから明日の朝帰ろうって話よ。」と、私の勢いに少し戸惑いながら答える桃歌。
「な、なるほどな……まぁ、桃歌がいいっていうのならいいよ。着替えははあるのか?」
「一応事務所に撮影用のジャージがあるから、それを着るわ。先にお風呂入るわね。」と、更衣室に向かう桃歌。
二人とも風呂を済ませ、適当に準備した寝巻きを着て布団を敷く。
「じゃ、寝るわね。隊長、変なことしないでね。」と目を閉じる桃歌。私も目を閉じ、電気を消す。
背中に違和感を感じ、目を覚ます私。直接見てはいないが隣で寝ていた桃歌が背中にくっついているのことに気付く。桃歌は熟睡しており、起きそうな様子はないが私のシャツを掴んでいるため、動くことはできない。
私はそのまま眠ろうとするが背中から伝わる柔らかい感触と同じ洗剤を使っているのに全く違う香りで目が覚めてしまう。
そんな不埒な私を脳内で説得し、私は目を閉じようとしていた。
「……隊長……隊長…」
後ろを振り返ることはできないが背中から桃歌が寝言を呟いているのが聞こえる。
「……どこにもいかないで………絶対帰って来なさいよ………隊長は………私の大切なファンなんだから……待ってるから………」
そう言うと桃歌はまた寝息を立てる。桃歌の寝言を聞き、心の中に強い意思を感じた私は目を閉じた。
目が覚めると、桃歌は既に起きておりココアを飲んでパンが焼けるのを待っていた。
「おはよ、隊長。昨日は眠れた?」
「あぁ……バッチリだ。ありがとう。」昨日の夜を思い出した私は口元を隠しつつ答える。
「それならよかった…… 私の方は寒くて寒くて、そっちの布団に入っちゃってたみたい……何もしてないでしょうね…?」と桃歌はパンを取り出し、少し警戒した顔で私を見た。。
「いや、何も、何もしてないよ……?」と戸惑いながら私は言う。
「はぁ……ならいいわ。私は家に戻ってから事務所に向かうからちょっと遅くなるね。」桃歌は朝食を食べながら言う。
「わかったよ。今日も1日がんばろうな。」と桃歌の前に手をだし、ハイタッチを求める。
「そんなこと言わなくてもいつもやってるっての。んじゃ行くわね。」 軽くハイタッチをすると桃歌は家をでた。
桃歌が帰って一息つくと唐突に昨夜の出来事を思い出す。背中から伝わる桃歌の柔らかい感触。その感触を思い出してしまったせいか身体が溜まっているものを吐き出そうとしているのを強く感じる。
「桃歌、俺も遅くなりそうだ……」と言うと私は下半身から溢れだそうとしていたものを解放した。

目の前に広がる最愛の嫁が真っ赤に染まっていく瞬間。その時彼は憤怒と復讐を胸に狐の仮面で鬼の形相を隠した。
ギアの部品を改良した大きな鉈。リミッターが外れ、もはや腕としての機能を無くした義肢。その腕は大きな鉈に憎しみを込め振り下ろすだけの道具に過ぎなかった。
命乞いをしていく男、それはかつて彼女に関わり彼女の人生を崩そうとした一派の人間であった。
男がどのような言葉を述べようと私には聞こえていない。私のなかには愛という言葉はすでに燃え尽き、憎しみですべて満たされていた。
憎い、憎い。彼女をこの世から追いやった人間が憎い。 彼女はもう戻ることはない、ならこの世にはもうなにもない。それならこいつらを全てを亡きものにしてしまおう。
そんなことを私は考えつつ、 鉈を振り下ろした。
一人、また一人と首を切っていく。血に染まる仮面、スーツ。隊長が疾走、通り魔のニュースが載っている新聞を横目で見ると私はまた一人、首を切る。
そうして全てが終わり、事務所の裏通りに座り込む。そして自分のしてきた事の重大さに気付く。
手足の震えが止まらなくなり、まともに立つこともできなくなる私。
沢山の叫び声、彼女の遺体、怨念が真っ赤に染まり己の身体を駆け巡っていく。
そうしたものを振り切り、通信を切っていた端末を再度開く。失踪していた間に届いていた通知が届く。どれもアクトレスや関係者の心配の声だった。もちろんそこに彼女はいない。
力を振り絞って義肢をとりつけてくれた医者に連絡をとる。鎮静剤を持ってきてほしい、それもうんと強力なやつを……と言ったところで気を失ってしまった。
……おはよう、鎮静剤を持ってきたよ。どうやらとんでもないことになっていたようだね。……そうか、そこまで変えてしまったんだね……。わかった。この特製の鎮静剤をうっておく。だから少し楽になるといい。
右腕に伝わる刺激、それと共に少しずつ広がっていく薬。少しずつ意識が朦朧としていくのがわかる。
隊長!……隊長……!!……隊長さん……!
遠くからアクトレスの声が聞こえてくる。随分と聞かなかった声。しかしそこにも一人だけ、一人だけいない。その名は……
桃……
「……さん……ちょーさん……たいちょーさん!!」
聞きなれた声に飛び起きる私。
「桃…………歌……………?」
「あけましておめでとうございまーす☆もしかしてあの後事務所で寝ちゃってたんですか~?電気がつきっぱだったゾ☆」
私は辺りを見渡す。いつもの事務所、何気ない風景。夢でみていた悲惨な光景はどこにもない。
「あぁ……とんだ初夢を見ていたようだ……。……見たくはなかったけどな……」
と自然と出てきた涙を拭く。
「……そっか。怖い夢を見たんだ。」
と桃歌はそう言うと私の肩をたたく。
「大丈夫大丈夫!みんなの桃歌ちゃんはここにいますよ~!だからほら、元気だして!一緒にお参りいこっ!」と桃歌は元気よく踊る。
「そうだな…! ありがとう桃歌。ちょっと準備してからいくから先に駅に向かってくれ、それじゃ!」と桃歌に言うと休憩室に向かう。
「……そういえば忘れていたんだった……これを片付けておかないと…… 」
と休憩室の電気をつける私。休憩室には桃歌のサークルで購入したグッズや写真集、それに大量のティッシュが転がっていた。

鐘の音で目が醒める。インフルエンザで倒れたとは言え昼まで寝ていたとは…霞む視界をはっきりさせていく。寝ている私の傍に誰かがいるのがわかった。あれは桃歌さん…!?
「あ、やっと起きたわね我妻楓。…なんで、って顔してるわね?アンタの抜けた穴の穴埋めで人がいないから中野で暇してた私が隊長さんの頼みで看病しに来たってわけ。おかゆ、食べられる?ほら口開けなさい」
勧められておかゆを食べ進む。美味しいです、桃歌さん。
「もーっ、褒めたってすりりんごしか出ないゾ☆」
ではそれもいただきます。
「ホントにお腹空いてたのね…」
食べ終わると、満腹感からか眠気が襲って来た。食器を片付けてもらうと、再び布団に戻る。りんごも、美味しかったです。…おやすみなさい、桃歌さん。
「ん。…おやすみ、我妻楓」
…………………
「ねー怜。なんで楓の部屋で桃歌が寝てるのー?」
「え、桃歌さん?本当だ…あ、もしかして隊長が言ってた助っ人って…桃歌さんだったのかな…」
「二人とも起こしちゃう?」
「いや、寝かせといてあげようか。二人が寝てる間にご飯作ろう?私は楓さんの分を作るから、リンは私達と桃歌さんの分をお願い。買ってきたお肉全部使っていいから」
「全部いいの!?任せてー!」

身体が熱い!喉が痛い!頭がボーッとする!完全にアイツにうつされたわ……おのれ我妻楓ぇ!
「呼びましたか、桃歌さん。叫ぶと喉に悪いですよ?」
ううぇぇ!?我妻楓!なんで!?
「桃歌さんが倒れたと聞いて。隊長に言って休みを貰って看病に来ました。私に出来ることがあれば何でも言ってくださいね?」
私のために何もそこまで…………そーだなー…………うん。お腹空いた。
「はい。おかゆとすりりんごでいいですか?」
用意周到ね、我妻楓。…いただきます。うん、美味しいわ。
「ありがとうございます。口に合わなかったらどうしようかと…」
そんなに謙虚にならなくていいわよ。私が保証するわ。……ふわぁぁ……
「お休みになられますか?」
そーねー……食べたら眠くなっちゃった。食器の片付けお願いしていい?
「はい、桃歌さんはゆっくり休んでください。後は私がやっておきますので」
ありがと……それじゃあ、おやすみ、……楓。
「おやすみなさい、桃歌さん」
…………………
「ヘイ!シスター桃歌!具合はどうか?元気にしてるか!?」
「元気なわけないでしょ。だから私達が看病しに来たんじゃない」
「……ねえ、何で桃歌の部屋で楓さんが寝てるの?」
「え、楓?…本当だ。…そういえば楓がインフルで倒れた時桃歌が看病したんだっけ。お返しのつもりかしら?カワイイとこあるわね」
「…帰ってもらおうか?」
「このまま寝かせてあげましょ。今の内にご飯作るわよ。私が私達と楓の分作るからアンタは桃歌の分をお願い。出来る?」
「…うん、頑張る」

風邪をひいてしまった。
隊長になってからまともな睡眠をあまりとっておらず、ほぼほぼ残業してアクトレスのデータをまとめ、日付が変わった後に事務所のソファーで仮眠をとり、朝早く来たアクトレスが鳴らすインターホンで目覚める毎日、ふと身体が重いと感じ、体温を測ってみたところ高熱だった。頭痛も咳もひどく風邪をひいたと確信した。
この状態とはいえやり残した仕事はいくつかある。それらを残したまま明日を迎えたくない、と端末を手に取った瞬間、目の前が真っ暗になった。
私は暗闇の中にいた。光も音もない真っ黒な空間。 そんなところに私はいた。
「桃歌、やよい、ゆみさん、誰か、誰かいないのか。」
私はふらふらと歩き回りながら周囲に人がいないかを探した。
暗闇の中、大声をあげる私。返事も返ってこなければ光も見えない。
暗闇に目が慣れ、光を感じることもできなくなったのではないかと感じてくる。
「そうか、私の人生はここで終わりか、光を見失った私に、生きることなど出来はしない。」
そう言うと私はその場に倒れ、目を閉じようとする。
その時、小さな光が遠くで輝き始めた。その光からは微弱ながら歌のようなものが聞こえた。
知っている。私はこの声を知っている。その声は、その光は、その歌は……。
「………………桃歌……。」
私は目を覚ます。いつもの自室、だがそこに見慣れない光景があった。
「あっ隊長さん。やっと起きたの。流石に無理が祟ったわね。」
とマスクとエプロンをつけた桃歌が自室の台所で料理をしていた。
「桃歌…………どうしてここに?」
「そりゃあ隊長さんが事務所にいないから駆けつけてきたのよ。前に何かあったらーってことで私に合鍵渡してたでしょ。」
と呆れた顔で桃歌は答える。
そういえば確かに合鍵を預けていた。私に何かあったときに桃歌に預けていた。実際些細なことだがこれを使うことは何回かあった。
「ったくもー……風邪なら無理に動かないで。他人に移しちゃうのもあるし隊長さんはみんなの隊長さんなんだから。誰が指示するの。ほら、おかゆできたから食べて。」
と桃歌は熱々のおかゆを私の目の前に出す。おかゆどころか他人のおかゆを食べるのは何年ぶりだろうか、そんなことを思い出しながら口に運ぶ。
やはりできたてなのでとても熱い。風邪であんまり動けないのもあってあんまり食べることができない。
「あっ……熱かったよね、ほら、ふーふーしてあげるからっ」
と桃歌はマスクをはずすとスプーンを受け取り、息をかけて冷ます。その光景を私は幼き頃の自分と母親を重ねてしまった。
「ほらっ、これなら大丈夫でしょ。」
「はぐっ……うん、美味しいよ桃歌。」
おかゆを口に運び、味わっていく。一人の少女が作ったとは思えないしっかりとした味、とても美味しい。なによりどこか暖かく抱き締めてくれるような味がした。
「よかった。もうこんなことにならないように休んでね。無理は禁物。今日は事務所休むってみんなに言っておいたからそのまま寝てね。」
と桃歌はマスクをつけるとエプロンを外した。
「桃歌……すまない………今日は本当に助かったよ。ありがとう。」
と私は桃歌に言うと目を閉じた。
「ちゃんと元気な隊長さんになってね。そうじゃないと桃歌怒っちゃうゾ☆」
と桃歌は笑顔で返し、部屋を出ていった。
その日の夜、私は目を覚ました。風邪はすっかり治り、大分調子を取り戻していた。
と、下半身の調子も取り戻していたことに気付いた私は桃歌の看病を思い出しながらひたすら己の欲望を解き放っていた。

私はいつもの時間に目を覚ました。
目覚まし時計のアラームを消し、起き上がろうという意思で抗う体に鞭を打ち、体を起こす。
起き上がり布団を畳み、あくびをしながら洗面台へと向かう。
顔を洗うとキッチンに向かい、パンをトースターにセットする。冷蔵庫から卵とベーコンを取り出し、フライパンで焼き始める。
焼けたトーストにバターを塗り、目玉焼きとベーコンをのせ、そのまま食べ始める。
食べ終わり、歯を磨いて、髭を剃り、スーツを着て家を出た。
いつもの電車、この時間はいつもサラリーマンで埋め尽くされる。人混みに流され、そのまま電車に入り、会社まで連れていかれる。
駅を降り、会社にたどり着くと上司が挨拶してきた。特にいつもと変わり映えのない、素っ気ない挨拶。
私はそれに返事をし、仕事をし始める。
書類をまとめ、上司に報告をし、客先に頭を下げ、少ない時間に食事を済ませ、次の日の準備をする。
そうして時が流れ、すっかり外も暗くなった頃、会社を出て家へ向かい始める。
私の会社は特段ブラックというものではない、やることさえきっちりやれば定時で上がることができるので上司や同僚は飲みに行っていることが多い。
私はどうかというと、特になにかあるわけではない。帰っても夕食、洗濯、風呂ぐらいしかない。あとは垂れ流しになっているTVを見ているだけ。
何かおこるわけでもない、普通の毎日。そんな何もない毎日だ。
しかし、その日だけは違っていた。
いつもの帰り道、駅から少し離れた川沿い。いつものように何かを見るわけでもなく歩いていた。
ふと、微かだが何か歌声のようなものが聞こえた。
私には歌を聴く趣味はないのだが、何かどうしても気になってしまい、声の聞こえるところへ歩いて行った。
橋の下を見ると、そこに一人の少女がいた。彼女は動きやすい恰好で長い髪をツインテールにしているような感じで、歌を口ずさみながら踊っていた。
多分アイドルなのだろう、カメラを見ながらあーでもないこーでもないと言いながら何回も同じ箇所を練習していた。
ふと、私の視線に気付いた彼女がカメラをしまいこちらに向かってきた。
「ずっと見ているけどどうしたんですか。気が散って練習の邪魔になっちゃうから。」と彼女は汗を拭きながら言う。
「あぁ、邪魔だったのならすまない。なんというか、いい歌が聞こえたのでつい気になってしまってね。」
「そっか……じゃあこれあげますね。」と彼女はバッグからCDと名刺を取り出すと私に渡した。
その名刺には“江古田のアイドル”下落合桃歌という名前と彼女SMILESHOTという彼女のサイトらしきURLが記入してあった。
「やっぱりアイドルだったんだね。これは……?」
「あぁこれ。余っちゃってたからいただいてください。お代はいりませんので。今歌ってる曲も聴けるので。よかったら、サイトも見てください。」
と彼女は再び練習を再開し始めた。私もこれ以上邪魔をしてはいけないなと思いその場をあとにした。
家に帰り、夕食の料理をし始めると先ほどもらったCDを思い出す。
試しに流してみるか……と考えた私はCDを取り出し、PCに入れると料理の続きをした。
PCから明るい音楽とともに彼女の曲が流れる。なんとなく聞いていると有名曲のカバーのようなものや江古田のローカルソング、アイドルとしての曲など様々なものがあった。
四,五曲流れたあたりで夕食ができたので夕食を食べながら残りの曲を聴くことにした
思っていたより収録されていた曲は多く、残り二,三曲まで聞いていたことに気付く。
クリスマスやひな祭りに合わせた曲もあり、まるで彼女の一年を追いかけているような気分だった。
そして最後の一曲、歌が始まる前に彼女からのメッセージで始まった。
「このCDをきいてくださっている皆さん、いつもライブに来てくださっている皆さん、私はそんな方々の光になれているのでしょうか、私は……なれていると信じています。聞いてください。」
とアイドルになった理由、これからの希望を込めた曲が流れ、CDは停止した。
すべて聞き終わり、CDを取り出す。私は濡れる感触を感じ腕を見た。そこには涙のような跡があり、私は焦って目の下を触ると涙を流していることに気付いた。
アイドル自体TVで見たことあるようなものしか知らなかったが、あそこで練習していた彼女も確固たる気持ちで、そういった想いでアイドルをやっていたのだと。
私は涙を拭き、CDをしまうと名刺に書かれていたサイトへアクセスした。
彼女なりに作成したのであろう、かわいらしくも少し不慣れな部分も見えるサイトのど真ん中にある会員登録ボタンを押した。
それから数週間後、私はというものの何かが劇的に変わったことはない。仕事もいつも通り、生活もいつも通り。
ただ一つだけ、会社帰りに彼女の曲を聴いて帰るようにしている。また彼女に会ったらお礼が言いたいと思いながら。
そんなある日、商店街で彼女の歌声を聴いた私は声を頼りに探し始めた。
たどり着いた先にはサイトに掲載されていた写真と同じ格好の彼女が歌っていた。
どうやらちょっとしたイベントでのライブのようだ、そこまで混んでいなかったので立ち止まってなんとなく聞くことにしていた。
彼女の曲は毎日何回も聴いている。だがこのライブは違う。生で彼女の歌声を聴いているのだ。
カルピスを薄めずにそのまま飲んでいるかのようにいつも聴いているCDの音源が本当に薄めたものだと実感してしまうほどには彼女の歌声が脳に直接注ぎ込まれていく。
気が付いたら私はまた涙を流していた。なるほど、これがライブに行く人間の気持ちなのだなと。
またもや彼女にお礼を言う必要がでてきてしまったとライブの余韻を噛み締め、私はまた彼女のサイトからライブの申し込みとファンメールを送った。
そしてまた数週間後……どんどん私は彼女にのめりこんでいくことになる……
「カットカット!」
と桃歌が叫ぶ。
「新PVの撮影に手伝ってくれてありがとー!隊長さん!」と桃歌が言った。そう、これは新PVの撮影だったのだ。
「……これでよかったのか。なんだかいつもの私と何ら変わりないような気がするんだが。」
「いいのいいの!1人のサラリーマンがアイドルにハマっていくテーマで歌いたかったんだから!」と桃歌は満足そうな顔で言う。
「確かにそうなんだが……あっちはいいのか?」と照明係をやらされているシャーリーとやよいを指さす。
「代金増加、頼むYO桃歌……」
「せっかくだから何かしらには出たかったわねー……」と撮影器具をもったやよいとシャーリーが頷いた。
「いいのよ、再生数もっと伸びて人気がまた増えれば二人にはいろいろと渡すから。」と二人を流すように答える。
「ならいいけど……じゃあどっかご飯行くか!三人共奢ってあげるよ。」と私は張り切って三人に言った。
「ほんと!?サンクス隊長!」
「マジ感謝!ガチ感激!」とシャーリーとやよいは喜び、ご機嫌になった。
「もーいいの隊長……。甘やかしても何ももらえないわよ……。」と呆れた顔で桃歌は言う。
「うん、いいんだ。みんなには感謝してるから。それに桃歌。」
「な。何よ……?」
「君の歌声に励まされたのはPVの私だけじゃない。もちろん現実の、今君の目の前にいる私も君の歌声に励まされた一人なんだ。だから、だから君は私の光なんだ。いつもありがとう桃歌。大好きだ。」
と私は一つ深呼吸をし、真面目な表情でそう言った。
と、桃歌は一瞬驚いた顔をすると
「ありがとう隊長。直接言ってもらえるなんて想像してなかったわ。私こそありがとう。桃歌ちゃんはいつでも隊長さんの光として、アイドルとして頑張るゾ☆」
といつものポーズをして答えた。
そして二人はそっと手をつなぐと、先に行ってしまった二人を追いかけていった。

シャーリーは救急車呼んでー!やよいは湿布もってきて!あぁもうそこの棚の上にあるでしょ!
ったく……四谷さんは早く横になって!もー桃歌ちゃんの真似なんて無理するんだから……今日の出撃は無理ですよね-桃歌ちゃんが代わりに変わってもらうようがんばりますから…って吾妻さんとなの!?ぐぬぬ……。あーもうわかりましたわかりました!吾妻さんと出ればいいんでしょ!……ってなんですか四谷さん!えっ……?ニルヴァーナの宣伝だから衣装はニルヴァーナにしてくれって……?手伝ってくれ……って?……あぁーもうやりますやります!やればいいんでしょ!でもー……こんだけ看病してあげたんですからー桃歌ちゃんの宣伝もちょっぴりしてもいいのかなーって……えっちょっとだけならですって?
やったー!いっぱい宣伝しちゃうゾ☆
あっ救急車着いたらしいですよ四谷さん!
じゃあ三人で運びますよせーのっあぁー!暴れないでー!もうちょっとですからもうちょっとですから!よしっ後でお見舞い行きますからねー!
………あっ!桃歌ちゃんの衣装四谷さんが着たままだった……回収しないと………でもー四谷さんがいないなら今のうちにニルヴァーナの衣装で撮影しなきゃソンソン!いっぱい撮り貯めておくゾ☆

お疲れ様ですー。四谷さんこれ、やよいとシャーリーと三人で出したお菓子です……とはいってもほとんど社長の出費なんですけどね。任務はどうしたって?いっぱい桃歌ちゃんの宣伝~じゃなかったニルヴァーナの宣伝はしてきましたよっ。四谷さんの方はもう大丈夫そうですか?よかった~桃歌ちゃん心配しちゃったんだゾ☆
えっほんとほんとですよ~!やよいなんかあたふたしてたしシャーリーもステーキもってくるだの色々言ってたんですから。わたしはわかっていましたけどー。というかなんで桃歌ちゃんの真似しちゃったんですか?あー山野さんに言われて…上機嫌になっちゃったんですね。
しょうがないですねー四谷さんはー……他にもあったんですか…?四谷さんもアイドルに……?ははーん、四谷さんもそんなときがあったんですねー。四谷さんがアイドルだったら桃歌ちゃんとデュエットしてもいいかな、バックダンサーにやよいとシャーリーと社長で、そうそうわたしの持ち歌でいいですね!

……でも、四谷さんはアイドルじゃないんですからあんまり無理しないでくださいね。桃歌ちゃんはアイドルだからできたんですから。四谷さんはみんなの憧れのアクトレスですよね?みんなの憧れなんですから、情けない姿見せちゃダメなんだゾ。わたしややよい、シャーリーからしても憧れなんですから。
あっもうこんな時間~。桃歌ちゃんは帰りますけど四谷さん当分は安静にしててくださいね!出撃は隊長さんと山野さんに言って皆さんに変わってもらいますから!また明日~~!

よかった。大した怪我じゃなくて。本当によかった…………。

能力

Lv80素ステ

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取得スキル
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履歴書

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