鳳さん

今日私、鳳加純は成子坂製作所の視察に来ていた
AEGiSの職務として成子坂の勤務状態を確認するためだ
それがどうしてこんなことに……
「やめなさい！こんなことして良いと思っているのですか！！」
私は身体をよじらせ逃れようとするもあの手この手で妨害され身動きがとれない
口元に黒く、熱く、大きいモノが寄せられる
「いやっ…やめ…こんなことでは屈しない！！絶対に問題になるわ！！」
「加純さん…悪いようにはしないから従ってください」
「そうです鳳さん。隊長の頼みなので私は全力で協力します」
そんな勝手なことを…隊長はアクトレスに一体どのような教育をしたらこうなるのだろう…私も屈してしまうのか
身体のどこかで最強を自負していた私を打ち倒す者の登場に響くところがあったのかもしれない
その油断が私の口にモノの侵入を許してしまう
「あっ…ふがっ…やへなさい…だめ…こんな…収賄になっちゃう…」
隊長謹製特大チョコを口にねじ込まれながら鳳加純のバレンタインが始まりを告げた

「なぜこんなことに…おい。叢雲から接収した社員に大関小結はいなかったのか？」
「鳳さん…はい。気づいたときには既に除籍になっていて現在は成子坂に引き込まれたようです」
「そうか。ベテランが欠けているとこういうときつらいな。わかった。なんとかしよう」
話をしている間も手は止まらない。
元最強の称号を得たアクトレスがこんなことでくじけるわけには行かない。
手のひらの熱がどんどんあがり指がいたんでくる。
「ところで成子坂で思い出したがあの…オペレーター。あいつは呼び戻せないのか」
「難しいでしょうね。学生の自転車操業への助っ人ですから引っ張りだこでしょう」
「それもそうだな。実際百科は経歴を見るによくやっている」
私は気を引き締め直しおにぎりの量産の速度を早めた。