SOLラプター/猫ラプ怪文書2

Last-modified: 2019-05-09 (木) 23:50:27

ラプター / 猫ラプ怪文書1 / 猫ラプ怪文書3

 

「にゃー」「にー」「にゅー」「ねこー!」
ラプターと猫達が会話している。
メガミデバイスはかつて存在したニャウリンガルを使って猫と会話できると聞いたが本当なのだろうか。
「?そんなの使ってないよマスター。目を見れば…分かる!」
俺もシマウマとトナカイとは意思疎通できたんだが……まだまだ修行が足りないということか。
「ちなみにさっきのは『ちゅ~る美味しいよね』『私はマグロが好き』『私はカツオ』『ねこー!』って言ってたよ」
怜、分かるのか!?……それとラプター話分かってないんじゃないか?
「河川敷マスターの私の傍には猫が寄ってきたから自然と話せるようになったんだよ……どうでもいいけど」
羨ましい。俺も河川敷マスターになりたい。
「ちなみに私はクモと意思疎通ができます……。可愛いですよねハエトリさん…」
深沙希さん、話すなら天井から降りてからにしてくれ。心臓に悪い。
ハエトリさんは確かに可愛いけど意思疎通って何話すんだ。
「今日の双子の様子を教えてくれたりします……。服に張り付いててくれるんですよ?」
何それ怖い。……家の中にもいたりしt「それでは私はこれで……」。
否定してくれ深沙希さん!

怜と深沙希さん以外の奴らも何かしらモチーフの動物と話せるのではないかと調査してみることにした。
まずは杏奈と真理の前にミミズク君と買ってきたウサギを差し出す。
「あ、ウサギちゃんですね」
「なになに隊長。今度はウサギ飼うのー?」
しばらく杏奈がウサギと戯れる様子を観察してみたが「この白さはササニシキですねー」とか言いながらモフモフしている。
ウサギの方は捕食される恐怖からか怯えて動きが硬いし杏奈はウサギと意思疎通できないらしい。
真理の方ではミミズク君が肩に止まったり羽を動かして意思疎通を試みているが成功していない。
いつもと様子の違うミミズク君に真理が戸惑っているだけだ。
直接動物と話せたりしないか聞いてみたが否定されてしまった。
「というか、怜ちゃんと深沙希ちゃん話せるの?」
「流石に信じられませんよー」
そういうお前らの背中にはハエトリさんが引っ付いているんだが指摘はしないでおこう。
こちらが見ていることに気が付いたハエトリさんが手を振ってくれた。可愛い。
「……隊長さんも絡めとられてみますか?」
もう捕まってるからいいです深沙希さん。

杏奈がウサギと意思疎通できるか調べるためついラプターと一緒に買ってきてしまったがその後どうするか考えていなかった。
取りあえず家に連れて帰り猫達と対面させる。
「にゃー」「にー」「にゅー」「……」
猫達がウサギの周りを取り囲んで匂いを嗅いだり舐めたりしている。ウサギの方は固くなっているがまあそのうち慣れるだろう。
「妹増えたねマスター!」
これで5人?姉妹+長男だな。俺の背中に張り付いてるハエトリさんは深沙希さんちの子だからカウントしない。
「もっと増やしてもいいんじゃないかな……どうでもいいけど」
どうやって増やすつもりなのかは聞かないぞ怜。
「どうでもいいよ、増やすからね。それより狐と猪とかは捕まえてこないの?」
楓は話せそうにないしリンは会話始める前に食い始めそうだしな。
狼と象は日本にいないし、鹿は狩ってくると文句言われそうでな。
「鷹とかいいんじゃないかな」
うちにはもう猛禽4属いるからなそれはちょっと。それに増やすんだろう?
「うん……そうだね」
その日は健全に家族みんなで一緒に寝た。

成子坂の談話室には休憩用の2段ベッドが備え付けられている。
上のベッドで遮光用のカーテンを閉めてラプターと猫、ウサギと一緒に横になってうとうとしていると誰かが部屋に入ってきた。
「だから私は言ってやったっス。『酢っス』…ってね」
「すっす?すっすって何よすっすって」
この声はすぐみと安里………すっすってなんだ…。
「だから酢っス」
「いや、だからすっすって何って聞いてんのよ、金潟すぐみ!」
す……す…す…巣っす?ピッピちゃんが一杯っ巣?
一杯いたら一匹くらい食べてもばれないもす……。
「今、お酢の話していましたか!」
「うわ!宇佐元さん!?」
「そうっスよー。いいっスよね、お酢」
おす……おす…雄っす?やっぱりピッピちゃん…。
甘酢あんの美味しい酢鳥を食べる夢を見て見が覚めた。
美味しかった。

飼い始めたウサギを見にバーベナがやってきた。ベッドの上でウサギと猫達と戯れている。
「ねえ隊長、この前来たときベッドこんなに大きくなかったよね?」
「綾香ちゃんのベッドより大きいですー」
「寝心地は私のベッドのほうがいいけどね!」
いつの間にか大きくなってたんだ。怜と深沙希さんに聞いても前から大きかったとしか言わないし。
「隊長、そんな様子じゃ尻に敷かれっぱなしになるよ」
「た、隊長さんはおっきいお尻が好きなんだよきっと!」
「……それは違うんじゃないかしら愛花」
俺が好きなのはおっぱいだがお尻も好きだぞ綾香。
「どうでもいいわよそんなこと。それより、この子の名前は?」
「ラプター、ミミズク君、ヴァルチャー、ファルコ、ラニウスの妹なんだからやっぱり猛禽類からかな」
「そういえばウサギさんって一羽って数えるんですよねー」
俺はウサ美がいいと思うんだが妹たちの名付け親はラプターだからこいつもラプターに任せる。
「「「それがいいわ(と思う)(ですー)!」」」
……将来子供の名前を付けさせてもらえない気がしてきたぞ。

炬燵の上で一点倒立をしながら唸っているラプターを猫達が突っついている。
五女のウサギの名前が思いつかず昨日からどうにかして捻りだそうと色んなポーズを取っては猫達に邪魔されている。
「ううーん……。ねえマスター、ウサギは鳥なの?猫なの?ウサギなの?」
思考の迷路に陥っているが少なくとも猫ではないな。
別に妹だからって猛禽類に関係した名前を付けなくてもいいんだぞ。ウサ美とか俺は完璧だと思うんだが。
「……もうちょっと考えるね」
駄目か、ウサ美……。
「隊長さんはネーミングセンス無いですねー。ここは宇佐元ウサ子でファイナルアンサーです!」
ウサギを飼い始めてから入り浸るようになった杏奈が何か言っているがお前にセンス云々言われたくない。
「えー、ウサ子って可愛いじゃないですかー」
ウサ美とウサ子ならウサ美の方が良いに決まってるだろ。そもそも宇佐元ってなんだ。
「私の家の子になってもいいんですよー」
お前家を留守にすること多いから飼えないって言ってただろ…。
「夢見たっていいじゃないですかー。私が隊長さん家の子になってもいいですね!」
お前の後ろにいる怜に許可を取ってからにしてくれ。

「ウサギの名前?」
ラプターが妹の名前を考えすぎて熱暴走しそうだったのでウサギモチーフのジニーにアイデアを聞いてみることにした。
「妹の名前を思いつかない私はダメなお姉ちゃん……」
いざとなればウサ美「ウサ子がいいです!」杏奈は黙ってろ…でいいと思うんだが。
「ウサ美はともかく、猫達はラプターの猛禽類繋がりだったよね?」
だからミミズク君を入れると猛禽4属揃ってるから案が思いつかないらしい。
別に全員同じ系統でそろえる必要もないんだが。
「……ラプターの妹か。じゃあライトニングってのはどう?」
ウサギに付けるには仰々しすぎる気がするが、そうかステルス戦闘機繋がりか。
「?マスター、どういうこと?」
ネットから画像を拾って来てラプターに見せてやる。
これが昔ステイツで作られていたF-22ラプターとF-35ライトニングⅡだ。カッコいいだろう。
「おおー、カッコいい!じゃあこの子の名前はライトニング!!」
やっと名前が決まった。これからよろしくライトニング。
「ウサ子g」黙れ杏奈。

アクトレス定例会議、今日はラプターが質問があると言うので締めを譲る。
「それでは最後に、ラプターさんどうぞ」
「うん。あのね、誰が一番マスターを好きなの?」
だらけていた空気が一瞬で霧散した。爆弾突っ込みすぎだぞラプター。
「ラプターはなんでそんなことが気になるのかな。……どうでもいいけど」
「すぐみがお母さんでいいって言ってくれたけど、マスターのこと一番好きな人をお母さんって呼ぼうかなって」
誰も何も言わない。俺は好かれていない?
「一番かは分かりませんが、私は旦那様のことをお慕いしてますよ……」
天井からすすっと降りてきた深沙希さんが背中に抱きつきながら言った。
「じゃあ、深沙希がお母さんか「一番は私だと思うよ……どうでもよくないからね」な。……じゃあ怜がお母さん?」
「それでいいと思う「私も隊長好きだよー」……リン!?」
リンとそういう空気になったことはないんだが。
「隊長はねー、するめなんだー。噛んでると美味しいのがいっぱい出てきてウマーってなる!」
「おうまさんですわ!?なら、わたしもたいちょうをかんでみますわ」
結局誰が一番好きかはうやむやになった。

「マスター、お願いがあるの」
どうしたラプター、改まって。東京シャードを破壊する以外のお願いだったらなんでも聞いてやるぞ。
「あのね、ライトニングにも武装が欲しいの」
確かに猫達に用意してウサギのライトニングに用意してあげないのはいかんな。
よーし、パパがルシファーズウイングでも龍装具〈アギト〉&龍装具〈リュウビ〉でもなんでも作ってやるぞー。
「OIGAMIを二つ!……だめ?」
誰でもやってみたくなるよな、両肩OIGAMI…。だが、ライトニングが耐えられるか?
「私の妹だから大丈夫!……な、はず」
ライトニングが絶対無理って顔してこっち見てるんだが、まあやってみないと分からないか。
「駄目っスよ隊長。無理やりの重量過多はパワハラっス!」
鍵かかってなかったかすぐみ。
「やすったっス。もうちょっと頑丈にした方がいいっスね」
そうだな、そうするモス。で、駄目出しするからには対案があるんだろうな。
「BULLET KNIGHTS ランチャーを2個買いして両肩ランチャーにするっス!」
どっちにしろ重量過多じゃねえか!

ラプターが地衛理の乳に挟まっている。
「ぬくもるもす……」
「おうまさんですわ」
谷間が埋まったからおうまさんですわってそれ言うためにラプター挟んだのか。
「たいちょうもうまってかまいませんわ」
乳に突っ込んだらラプターが潰れる。どこに埋もれろと。
「あしのあいだがあいてますわ」
凸と凹で丁度いい…ってお下品が過ぎるわ。今日は飛ばしてるな地衛理。
「しいながおうまさんはきんしといっておうまさんだちさせられてますの」
禁断症状が出てるのか。そういう時は何か別のことに集中すればいい。
「しいな、しいながほしいですわ」
まあ一番好きなのはそれだよな。ちょっと待ってろ、電話して呼ぶから。
「……隊長でも構いません」
地衛理にめっちゃおもちゃにされた。
後日それがばれて椎奈にもおもちゃにされた。

うちの猫達は地衛理が乳を吸わせたせいかおっぱい好きだ。
ウサギのライトニングは何故か尻好きになった。
「お尻を楽しんでねってのは顔を突っ込んでねって意味じゃないんだけど…」
談話室のベッドでうつ伏せになっているジニーの尻にライトニングが突っ込んでいる。
隙を見せたお前が悪いんだぞジニー。こいつは俺の尻にも突っ込んでくるからな。
「節操なさすぎじゃない?隊長、子供とかちゃんと育てられないんじゃないかな」
子供はすくすく育ってくれればそれでいいんだ。
あと、女の子だったら不特定多数にお尻を楽しんでねと言って欲しくはないかな。
「……最初は映像が残るって思ってなかったんだ。見られることなんてなかったからね」
おまえくらい美人なら誰だって見るだろ。流石に自己評価が低すぎるぞ。
「いや、そういう意味じゃなかったんだけど。……まあ、いいや」
尻に突っ込んでたライトニングが仰向けになった胸の方に抱き寄せられた。
「隊長はおっぱいの方が好きだったよね。楽しんでみる?」
今から仕事だから猫達を楽しませてくれ。仕事が終わったら迎えに来るから。
「了解、隊長。……少しは楽しんでくれてもいいのに」

また来弥がもやしを買っているところを見つけてしまったので家に招待した。
「来弥はモヤシが好きなの?モヤラー?」
「アーバン流忍術はお金がかかるから好きにならざるを得ないんでござるよラプター」
そういえばリンはぶっ壊した分身の術を弁償したのか?
「形あるものいつかは壊れるものだからいいって言ったんだけどねー。そこらへんはきちんとしているよね日向っち」
家に入ると猫とウサギと深沙希さんがお出迎えしてくれた。
「お風呂にしますか?ご飯にしますか?それとも、バトルしますか?」
超エキサイティンッ!は後回しにして来弥に飯を食わせてやってくれ。
「……隊長の家に来るといつも深沙希っちがご飯作ってるよね」
深く考えても仕方ないぞ。それより腹減ったから早く食おう。
「いやー、いつ食べても深沙希っちの筑前煮と糠漬けは美味しいでござるよー」
「ふふ、ありがとうございます…」
しかし育ち盛りなのに見るたびにモヤシばかり食べてるのは如何なものか。
ここは隊長権限で来弥の食生活改善に乗り出すべきか…。
猫×3、ウサギ、蛙、ラプター、ミミズク君、ハエトリさんでピラミッドを作りながらプランを練った。

バレンタインの翌日、ラプターが白目をむいてフリーズしていた。ミミズク君とハエトリさん、ウサギと猫達が心配そうに見ている。
外付けの機械で食事ができるようになったので時々おやつを食べているが今日は薫子さんのチョコを食べてしまったらしい。
「………。マスター!そっちは地獄だよ!!……あれ?」
夢でも見たのがラプター。俺はここにいるぞ。
「マスター?……マスターがチョコの剣山に貫かれてたけど、夢?」
悪夢みるほど刺激的だったか薫子さんのチョコ。
「あれはチョコじゃないよマスター。だってチョコって甘いんだよ」
カカオが入ってればチョコなんだラプター。薫子さんのは99%以上らしいからよりオリジナルに近いといえる。
「……薫子は人間じゃないの?」
なんでそんな結論になったラプター。
「だって私の味覚は人間を元にしてるから。もしかして薫子はヴァイスなんじゃ!」
落ちつけラプター、俺も食べようと思えば食べれるぞ。
「そんな!マスターもヴァイスだったの!?」
まずは苦いの=ヴァイスの公式から離れようか。
薫子さんはしばらくラプターに監視された。

「マスター大丈夫?お薬刺す?」
すっかり体調を崩してしまった。ベッドの中には猫達とウサギが入りこんで温めてくれている。
病院で貰った薬は飲んだが効き目が表れない。それとラプター、座薬は最終手段だしやるなら自分でやる。
「でもこの座薬って丁度バズーカで撃ちだせるし撃ってみたい!」
お前は俺の尻を破壊するつもりかラプター…。いかん、頭がボーッとしてきたがここで気を失ったら尻がどうなるか。
「隊長さん、私が撃ちましょうか……?」
だから座薬は撃ちだすものじゃない…。ハエトリさん、手を振って応援するのは中断して深沙希さんを止めてくれ……。
「私が撃ってあげるよ……。隊長が辛そうなのはどうでもよくないからね」
自分でやると言っているだろう怜。……布団に入ってズボン下げるのやめて。
「Hey!隊長!撃つって聞いてやって来たよ!」
ジニー、お前の銃で尻を撃たれたら俺の尊厳が死んでしまう。
……なあジニー、誰から聞いたんだ座薬撃つって。
「ウサギは寂しくなったら死んじゃうからテレパシーができるんだよ隊長」
まじか。スパイは布団の中にいた。
――結局3日間寝込んだ。

ハエトリさんがシュパッとコバエを捕まえていた。座敷鷹の名に恥じない俊敏な動きだ。
「座敷鷹ってなにマスター?」
昔は家で飼っているハエトリグモを競わせていたりした。
ハエトリグモとハエを鷹狩りの鷹と獲物に見立てたわけだ。
「じゃあハエトリさんも猛禽類だね!」
ハエトリさんがシュシュっと手を振っている。これは肯定なのか否定なのか。
「私が鷹なのではなく鷹がクモなのだと言っていますね…」
なかなか強気な発言だなハエトリさん。鷹より強いとでも言うのか。
ハエトリさんがまたシュシュシュッと手を振り体を小刻みに動かした。
「私達に了リスギ了をよこせばヴァイスなどたちどころに駆逐してやると言っています…」
ヴァイス下に見られすぎだろう…。というか人類も下に見られてないか。
「この子達は強気な性格なので……。他のハエトリグモは割と穏やかなのですが」
……達って言ってるけどいつも俺に張り付いてる一匹じゃないのか?
「皆さん出てきていいですよ…」
自己紹介されたが流石に100匹以上は覚えられなかった。

「窓を開けましょ、るるるー、呼ーんで見ましょうヴァイスさん」
深沙希さんがはぐれヴァイスを主人公にした昔のアニメの主題歌を歌っている。
人気が出たがヴァイス主人公は問題があるということで打ち切りになった迷作だ。
「日本のシャードは大らかだよね。シタラにヴァイスさん見せられて驚いたよ」
ウサギを抱えてベッドでごろごろしていたジニーが言う。
飯を一緒に食べれば仲良くなれる。本当のヴァイスが飯を食べられるかは知らんが。
「アイスとか食べてたねーヴァイスさん。……口っぽいものがあるのはサーペントくらいかな」
餌食わせたらテイムできねえかな。
「……!マスター、私と一緒で食事を食べられるようにすればいい!」
ラプターは外付けの機械で食事ができるが、なるほど、強制的に味覚を刺激してみるか。
「どうやるのさ隊長。色々シャードは回ったけどそんな機械は聞いたことがないよ」
リタに頼む。こんなこともあろうかとと言ってくれるに違いない。
「シタラの見てるアニメじゃないんだから…」
後日リタにお願いしてみると一晩で作ってくれた。
サーペントに使ってみると虹色に発光してシェルを落として去っていった。

「……というわけで、レイとサウザーによって古のヴァイスは『ピンポーン』……どなたかいらっしゃいましたね…」
ハエトリさん一族に伝わるヴァイスの歴史を通訳深沙希さんで聞いていたのだが誰か来たようだ。
「こんにちは隊長」
忍び込むんじゃなくてチャイムを鳴らすなんて珍しいな怜。
「今日は友達を連れてきたからね」
そう言って差し出した腕に捕まっているのは鷹だった。
……どこから連れてきたんだこの鷹。
「河川敷仲間だよ」
なんでも河川敷と言えば納得するわけじゃないぞ。
そもそも何でうちに連れてきたんだ。
「ラプター達を襲わないように面通ししておこうと思って。河川敷でたまに遊ぶでしょ?」
確かに武装したラプター、猫たちとウサギでバトルはしてるな。
「縄張りが被ってるから喧嘩しないようにね」
しかし小鳥遊なのに鷹と仲がいいんだな。
--後日河川敷でバトルする際に仲間が一匹加わった。

「ぴょーんぴょーん」
バニーガール衣装を着た杏奈がウサギを抱えてベッドに寝っ転がっている。
動くたびにペロンと乳の部分の布がめくれそうになるので目を離せない。
「ハァ…ハァ……アンナチャン……」
おそろいの衣装に身を包んだシタラが興奮で死にそうになっている。
テレビ番組の収録前にバニー杏奈に慣れさせようと思って呼んだが無理かなこれ…。
「まあ、いざとなったら私が気絶させるよ」
そんな事態にならないようにしたいんだぞジニー。
「…ねぇシタラ、どうしてシタラは杏奈が好きなの?」
ラプターそれ聞いたら駄m「アンナチャンノカワイサガワカラナイノラプター!?」…ラプターが捕まってしまった。
「アンナチャンノトウトサヲリカイスルニハマズハジメテシュツエンシタコノドラマヲ「怖いよ~~~!!びえぇぇぇぇぇん!!」あ痛っ!ちょっ、やめて!!」
ラプターが泣いた瞬間シタラが猫達に引っかかれた。家族愛は尊いな。
「シタラおっぱい見えちゃってるよー」
「見てないで猫達止めてジニー!!」
反応が無いなとベッドを見てみると杏奈はウサギと一緒に眠っていた。

怜が炬燵に入ってちくちくとウサギの服を縫っている。
うちの娘たちの服は基本的に怜が作っているのでウサギ用におそろいの服を作成中だ。
「……ねえ隊長、盟華さんの作った奴もコピーしていいのかな」
盟華はストレス発散と言ってはラプターや猫達に商売っ気なしでデザインした服を着せていく。
社長業で大変なのは分かるが夜中に急に来るのはやめて欲しい。
それはそれとして、まあコピっても文句は言われないだろう。
ウサギだけおそろいの服が無いのも可愛そうだし何より盟華に作ってる時間があるとも思えん。
「じゃあ責任は隊長にあるってことで作っちゃうよ」
それにしても最初は苦労してたのにラプターサイズの服を作るのも大分早くなったな。
「50着もつくってればそれなりに慣れるよ」
……冷静に考えてみるとラプターと猫達がうちに来て半年も経ってないのに50着っておかしくないか。
「愛だよ」
愛か……愛なら仕方ないな。
あっという間にウサギ用の服も揃っていった。
後日盟華にあーしが作ったのにと怒られた。

ラプターとミミズク君、猫達+ウサギと散歩をしていると河川敷で手掴み漁をしている女の子達を見かけた。
「……マスター、あれでお魚さん捕まるの?」
無理じゃねえかなぁ。釣り竿使っちゃいけない家訓でもあるんだろう。
「にゃー」「にー」「にゅー」「……」
今日の晩飯は魚がいいのか。ウサギって魚食べられるのかね?
「ノウサギとかは肉も食べるみたいだよ……どうでもよくないから栄養のバランスは考えないといけないね」
結構ワイルドなんだなウサギ。ところで縄張り荒らされてるけど大丈夫なのか怜。
「河川敷は誰でも受け入れるんだよ隊長。……段ボールハウスは景観を損ねるから撤去するけどね」
引きずってる段ボールはハウスのだったのか。中身はどうした。
「ハウスのあった場所にメモを残して落とし物として交番に届けたよ」
そうか……結構容赦ないな怜。
「私の居場所を奪おうとする奴らに遠慮はしないよ」
?……まあいいや、今日は鰯のつみれ汁にするから買い物行くか。
「つみれ汁にもマロニーを入れるらしいね。ダイマだよ」
じゃあマロニーも買って帰ろう。

「猫の日ということはつまり私の日よ!」
芹菜が湧いて出るからそういうことを軽々しく言うんじゃない綾香。
「猫さんなら睦海ちゃんもだよね!」
「まあ、そうだね。……そういえば愛花だけ猫じゃないね」
専用スーツ作る時にバーベナで猫で統一しようとか無かったのか?
「猫がいいんじゃないかって言ったけど愛花ったら一度決めたら頑固なんだもの。……メリーはメリーで可愛いけど」
「隊長さんも羊さんかわいいと思いますよね~」
毛刈り大変だけどな。刈った時はふわふわもこもこしてないから残念だった。
「なんで毛刈りの経験があるの隊長」
色々シャード回ったんだ。その経験が今活きている。
「毛刈りと隊長職には何の関係も無いと思うよ隊長……どうでもいいけど」
3人が驚いてるから音も無く家に入ってくるのはやめなさい怜。
「なんか話がそれちゃったわね。と・に・か・く!今日は私を可愛がりなさいって言うことよ!」
いつも可愛がってるんだが、じゃあ取りあえず膝に抱えるか。
抱っこしたら大人しくなった。

無性に揚げ物が食べたくなったのでやよいの手羽先、小エビ、ふぐ、馬肉などを大量に買ってきた。
黙々と揚げているといつの間にか降りてきていた深沙希さんがリビングにから揚げを運んでいく。
「ワーイ、おかわりだー」
なんか普段家の中では聞かない声が響いてきたが……俺の分は残っているんだろうか。
「隊長の分は私が確保しているよ。……あとで食べさせてあげる」
から揚げは誰にも邪魔されずにむしゃむしゃと食べたいんだが…。そもそもなんでリンがいるんだ。
「二人で遊んでたら隊長とから揚げの匂いがするって」
俺食べ物と一緒の枠に入ってないか。
「隊長は私が食べるから食べ物だよ。……飲み物かな」
18歳になるまで食べさせないぞ怜。
「残すのはもったいないですし私が頂きますね……」
別にゴミ箱に飲ませてもいいんだぞ深沙希さん。
「隊長ー、おかわりー!」「マスター、おかわりー!」「にゃー」「にー」「にゅー」「……」
欠食児童どもめ…。腹が破裂するまで食わせてやるわ。
――先に財布が壊れた。

以前ラプターのおっぱいを作るためにアクトレスのおっぱいを揉ませてもらった。
その甲斐あってラプターのおっぱいは素晴らしい弾力に仕上がったがよく考えるとお尻が硬いままなのはよろしくない。
柔らかいおっぱいと柔らかいお尻が合わさって初めて柔らかいラプターが完成する。
ということでラプターに一番好きなお尻を選んでもらうことにした。
「それじゃあマスター、行ってくるね!」
ラプターが事務所にいるアクトレス達のお尻に飛んでいき跳ね返される。
夜露、シタラ、文嘉と試して楓、リン、怜のお尻にも突っ込んだが気に入ったお尻は無いようだ。
「納得いかないっす!」
どうした夜露、お前のお尻が悪いわけじゃないぞ。
「楓さんのお尻が一番のはずっす!」「夜露ちゃん……」
そっちか……ラプター何がダメだったのか教えてやれ。
「あのね、楓のお尻は……筋肉っぽいから妹のライトニングの好みじゃないかなって」
「筋肉……っぽい!?」
なんか想像したより楓がダメージを受けてしまった。
鍛えてるから筋肉量多目なだけで柔らかくないわけじゃないんだがな。

ラプターの理想のお尻を実現するためアマルテアの生徒会室に潜入して天井に張り付いている。
ハエトリさん仕込みの隠密スキルが役に立ってここまで誰にも見つかっていない。
「……何してるんですか隊長さん」
部屋に入ってきた椎奈に一発でばれた。流石椎奈、おうまさんですわ!
「おうまさんですわ!」
「おうまさんじゃないです。それで何しに来たんですか?」
「バレンタインのお返しはまだ早いですよっ!」
お尻を揉みに来た。
「お注射お腹に打ち込みますから降りてきてください」
椎奈の手の先からは薬は出ないと思います。
これは真剣な話なんだ、ラプターのお尻を柔らかくする為のサンプルになって欲しい。
「そういえばお胸を作る時も揉ませてくれって言ってましたね…」
「おむねさんですわ!」
「バイクに乗る時クッションになりますからお尻には自信ありますよーっ!」
ラプターが3人のお尻に突っ込んでいったが満足するものは無かったようだ。

アマルテアでも満足の行くお尻を見つけることができずに家に帰ってきた。
料理している深沙希さんのお尻に顔を埋めながらお尻について考えているとウサギのライトニングが私も突っ込みたいと膝を叩いた。
抱きあげて深沙希さんのお尻に鼻先を押し付けるとピスピスと鼻息を出しながら顔をこすりつけている。
「……マスター、私分かったかも!」
寝ころんだ怜のお尻の上で瞑想していたラプターが叫んだ。
「私たちが一番なじんでいるお尻は怜と深沙希のお尻……。つまり二人のお尻を足せばいいんだよ!」
なるほど……。一つのお尻で解決できないなら二つのお尻のいい所を取ればいい。
深沙希さんの柔らかさと沈み込んだときの怜の弾力が合わされば……。
「そう簡単に行くっスかねー」
いつの間に入り込んだ、すぐみ。
「おっぱいは簡単に換装できるっスけどお尻は簡単にはいかないっス」
おっぱいの時もフィット感を確かめるために夜中に起こされたりしたな…。
「妥協は許されないっスよ。それでもやるっスか二人とも」
睡眠時間削られるのは嫌d「私頑張るよ!」……頑張ります。
――睡眠時間を削られたのは日中休めない自分一人だけだった。

「びえぇぇぇぇぇん!!マスター助けてぇぇぇぇぇえ!!」
おっぱいに続いてお尻も柔らかくなったラプターが猫達とウサギに埋もれている。
ミミズク君が助け出そうとしているが流石に質量差は如何ともし難い。
「助けなくていいの隊長?」
スキンシップは大事だからな。そのうち疲れて離れていくさ。
「そうだね、スキンシップは大事だね」
人間同士のスキンシップで服を脱ぐ必要は無いんだぞ怜。脱がすんじゃない怜。
「しかしスキンシップというのは肌を触れ合わせるものではないでしょうか隊長さん……」
頭撫でたり手を握ったりでいいと思うんだ深沙希さん。だから下まで剥ぐのやめて。
「「隊長(さん)の意思はどうでもいいよ(んです……)」」
俺の人権はいつの間にか無くなっていた…。
素っ裸で絡み合っているとプルプル揺れるおっぱいとお尻に気が付いた猫達とウサギが突撃してきた。教育に悪い…。
「マスター、助けてくれたの?」
おっぱいとお尻にこいつらが釣られただけだぞラプター。
――そのまま全員裸で布団に入って眠った。

たまにはうどんでも食べるかと思い立ち事務所の食堂で麺をこねている。
うどんのつゆもトッピングの具材も用意して後は茹でるだけだ。
「マスター、おうどんって美味しい?」
美味しいぞラプター。俺の中では麺と言えばうどん>とんこつラーメン>その他だ
「楽しみ!……おうどんの上にたくさん具を乗せていい?」
猫達とウサギにもちゃんと分けてやるんだぞ。さて、茹で上がったな。
猫・ウサギ用の皿に塩分控えめにして冷ました汁と麺を入れるとラプターが具を乗せていく。
「私は卵とゴボ天ね隊長」
いつの間に来た真理。俺は店員じゃないから自分でやれ。
「ケチ―。美味しくなかったらタダじゃおかないかんねー」
食堂の椅子に座って全員でうどんを食べ始める。
「……ぅう~ん?ねえ隊長、これ全然コシがないんだけど」
俺の中でうどんといえばこれだ。牧のうどんには足を向けて寝られない。
「隊長って博多シャードの回し者だったの。これをうどんって言うのは無いっしょー」
貴様、香川の者か。一生合い入れないものが出会ってしまった…。

地衛理が乗るヒコーキを間違えてそのままサファリシャードで迷子になったということでラプター達と迎えに来た。
「おうまさんですわ!」
目の前に野生のキリンがいるが地衛理的にはお馬さんらしい。
我が家の娘たちは危ないのでサファリカーに避難して狩りの前に子供を預けに来たチーターと戯れている。
「……おうまさんですわ?」
ちょっと首が長いかなと思ったようだ。これは、キリンだと認識できるんじゃないか。
「………おうま……おうまさん………いえ、これは麒麟さん?」
惜しい!賢くなりすぎだ地衛理!もう少しIQを落とすんだ!!
「…ヒヒーン!」
空気を読んだキリンが馬の鳴き声を真似した。そこは普通にモーって鳴いていいんだぞ!
「!おうまさんですわ!!」
良いことをしたという顔でキリンが去っていく。
地衛理のお馬さん狂いを治せるかと思ったがなかなかうまくいかないようだ。
「おうまさんですわ?」
どうかしましたか?って普通の人には通じないからな地衛理。

キリンが去ったので地衛理と一緒にラプター達と合流する。
「おぉー。埋まるー」
親チーターが置いていった3頭の子チーターにラプター達が埋もれている。
これ親が帰ってこないと出発できないな…。
「おうまさんじゃないですわ…。あなた、おうまさんになりませんか?」
地衛理が1頭のチーターを抱きよせて問いかける。困っているから止めてやれ。
「お馬さんよりチーターの方が柔らかいから良いと思う!」
2頭のチーターの間から顔を出したラプターが断言する。
一緒に出てきた猫達とウサギも同意見のようだ。
「……おうまさんが、まけた?」
好みの問題だ地衛理。こんなことで泣くんじゃない。
「たいちょう、たいちょうはおうまさんですわ…」
変なプレイしているように思われるからそういうこと言うのはやめて地衛理。
「がーんですわ。もうおうまさんいがいしんようできない…」
いや、椎奈と奏は信用してやれ。

「さむいですわ」
サファリシャードに別れを告げ、地衛理とラプター達と一緒に東京行のヒコーキに乗った…はずだったんだが何故か北極シャードに着いた。
次のヒコーキが来るまでラプター達は暖房付きケージの中で温もっているので安心だがこちらは防寒具も何も用意していないからとんでもなく寒い。
「たいちょう、にーなさんがてをふっていますわ」
現実逃避は寄せ、あれはシロクマだ地衛理。俺達を吹っ飛ばす素振りをしているみたいだぞ。
「…だんすはまかせますわ」
任せないんで欲しいんだけど…。ふざけてる間にシロクマが突っ込んできた。
シロクマが後ろ脚で立ちあがり素人丸出しのテレフォンパンチを繰り出してきたのでダッキングでかわし前に出る。
素早く後ろに周りがっちりバックチョークを決める。
「おうまさんですわ…」
乗っかったからって何でも馬にはならんぞ地衛理。
シロクマが失神したので手を離す。殺すわけにはいかないのでこのまま気絶しておくことを祈ろう。
「おうまさんですわ!」
地衛理がラプター達をゲージから出してシロクマに乗って記念撮影している。
案の定撮影中に目を覚ましたが勝てないと悟ったのか大人しいものだった。

北極まで地衛理の家のメイドさん、ローザリンデ・ブルートハウゼンさん(28)に迎えに来て貰ってやっと東京に辿り着いた。
「とうきょうですわ…」
「やっと着いたねマスター…」
地衛理もラプター達も流石にグロッキー気味だ。お土産だけはたくさん買えたし早く事務所に置いて家に帰って休もう…。
「それでは隊長様、私たちはこれで」
迎えに来た車に乗って地衛理とローザリンデさんが帰っていく。
……よくよく考えるとなんで俺が地衛理を迎えに行ったんだ。
「マスター、電車来ちゃうよ」
ああ、帰ろうか。
電車に揺られてやっと成子坂まで到着した。ここまで長かった……。
「あ、隊長!お疲れ様っす!」
お疲れ夜露。これ、北極土産とサファリ土産。
「?…なんでそんなところに行ったっす?」
なんでだろうな、本当に。
疲れたんで夜露を談話室のベッドに引きずり込んで抱き枕にして寝た。

成子坂の食堂で昼飯兼用で小結さんの新作料理の試食をしている。
「隊長いかがですか~?」
駄目だ、もう食べられない。流石に4品で限界だ。
「隊長さんならまだまだいけますよ~」
俺の胃は小結さんの体ほど伸縮性に富んではいないんだ…。
「何か言いましたかー?…ラプターちゃんはもっと食べられるみたいですけど」
「小結の料理美味しい!」「にゃー!」「にー!」「にゅ…」「……!」
ラプターはそもそも外付けだからいくらでも食べられるじゃないか…。
猫達とウサギ用にも料理されたものもあったが4女のラニウスは気に入らなかったようだ。
「仕方ないですねー。じゃあまた今度お願いしますねー。……まずは胃から掴みます(ボソッ」
業務が終わって家に帰ると深沙希さんが晩飯を作っていた。
「お帰りなさいませ隊長さん……ご飯にしますか?それとも…バトルドームに?」
今日はご飯からで……あれ、それ今日小結さんが作ってた。
「クモはどこにでもいるのですよ隊長さん…」
深沙希さんの料理の感想は「深沙希の料理美味しい!」「にゃー!」「にー!」「にゅー!」「……!」だった

そろそろ食べ収めかなということでポンカンを大量に買ってきた。
ラプターが飛びあがってはラプターキックで穴を開けて皮を剥いている。
「とうっ!…あれ、抜けない………。マスター、助けてー」
ズボッとラプターをポンカンから引っこ抜く。もう剥くのはいいから食べなさいラプター。
「はーい。皆にも食べさせないと…」
猫に皮は食べさせちゃダメからな。ウサギは実もダメだぞ。
「がーん。一杯剥いたのに」
俺が食べるからいいんだ。体についた汁拭いてあげるからこっち来なさい。
「んふー。マスター、くすぐったい」
体を拭き終わると柑橘類の匂いで離れていた猫達が寄ってきた。
あっという間にラプターが毛玉に覆われる。
「隊長、私のも拭いて」
いつの間にかポンカンを剥いていた怜が指を差し出してくる。
なんか勿体ないので舐め取ってみた。
美味しかった。

家で映画を観る準備をしているとすぐみと安里がやってきた。
「隊長、今日はプラモ作らないっス?」
今日はサメの気分だったのでサメ映画だ。
「ディープブルー?初めて聞いたわ」
昔の映画だからなぁ。サメ映画の金字塔のジョーズもいいが頭空っぽにして観れるこれが一番好きだ。
視聴を開始するとまず安里からダメ出しが入った。
「サメの知能上げるとかバカじゃないの!?」
まあ、サメ映画って言うのはそういうものだ。
がっつり人間が食われるシーンでは猫達がラプターの目を覆って隠していた。
ラプター、スプラッタなシーンが流れると悲鳴上げるからな…。
「ありゃ、意外っスね。死んじゃったっスよ女の人」
まあ、元凶だしな。死なないと皆納得せんだろう。
「うぅーん…。もしかして安里達も一般人からはこんなことやってると思われてるのかしら…」
まあ、海洋環境学って聞いてもよく分からないよな。
ディープブルーの後はシャークネードを見てこちらにも突っ込みが入った。

成子坂から家への帰り道、誰かに呼び止められた気がしたので後ろを振り向いた。
「マスター?」
肩の上に乗ったラプターが不思議そうな顔をしている。気のせいだったか?
元の方向に体を向けると目の前に誰か立っている。……狐だ。
「びえぇぇぇん!?何あれぇ!!」
「コンバンワ、タイチョウ」
楓……か?なんだその…狐……でかい狐の顔をはっ付けたような服は。
「ソレヨリタイチョウ、ウシロニ…」
何、何がいるんだ楓…。恐る恐る後ろを見てみるが何もいない。
……なんだ、何もいないじゃないか。おいかえ…で…?頭…どこ行ったんだ楓。
「びえぇぇぇぇぇぇん!!……プツッ」
ラプターが恐怖でシャットダウンした。俺も気絶したい。何だこの楓の髪の毛を被った妖怪。
「タイチョウ、オイシソウデスネ」
美味しくねえよ!
――逃げ回っていたらいつの間にか家に着いていた。

メガミデバイスって日本人なんだろうかと考えることがある。
ラプターが外付け機械で食事ができるようになって一番好きになったのはカレーだ。
日本の庶民派とろとろカレーが好きなラプターだが、そもそもカレーってインド発祥と考えるとインド人なのか?
「マスター、カレーまだー?」
まだ玉ねぎを炒め始めたばかりだぞラプター。
玉ねぎを5玉は飴色になるまで炒めないと気が済まないんだ俺は。
「シタラみたいにスパイスばば―ってしたらダメなの?」
あの番組見たのか。あれは悪い例だから参考にしないように。
「納得いかないんだなー!」
カレーの話したらシタラが湧いた。鍵はどうした鍵は。
「とっくにレジンで複製を…そんなことより、カレー作りに関して舐められたままではいかない!」
だってお前、いくら時間切れになったからってスパイス乗せご飯とか出すか普通…。
「あぅーん…。だって杏奈ちゃんが見てたから何も出さないわけには……」
気持ちは分からんでもないが。まあ、カレーにどうこう言うのは俺のカレーを食べてからにしてもらおうか。
――シタラがカレーに文句を言ったらラプターとケンカになった。

ラプターと一緒に猫達とウサギのブラッシングをしていると真理がやってきた。
「はぁはぁ。いいよー、その表情たまんないねー」
うちの子達を変な目で見るのやめてくれないか真理。
「最近杏奈が構ってくれなくてさー。暇な時は隊長のウサギ見に来てるっしょ」
確かに最近家に良く来るな。疲れてるのかウサギ抱いてベッドで寝てるぞ。
「もちろん撮影してるんだよね!?アクトレスちゃん達の際どい写真と交換しようよ~」
絶対ばれて怒られるから嫌だ。そんなに欲しいなら杏奈と一緒に来ればいいだろう。
「私のいないときの杏奈の顔が見たいんだよ~。ベッドの上でエッチな顔して誘われたりするんでしょ!」
あいつウサギに夢中で全くこっちに興味を示さないぞ。月がきれいだって言ったらウサギの餅つきの話から餅と米の話になるくらい色気が無い。
「……30過ぎたらアイドルもただのおばさんだって分かってるのかなあの子」
暗いぞ真理。ウサギのブラッシングでもして癒されろ。
「はぁ…。杏奈のことこんなふうに弄りまわしたい…」
杏奈に対して男がどうこう言えないよなお前…。
「真理杏来てる?」
どこでそんな言葉覚えたラプター。

以前ラプターの体の修理をしている時に頭をハイドストームにくっ付けて仮の体にした。
せっかくだからと整備をしたらクモのようにシュタタタタタッと走りはじめた。
「?…マスター、中にハエトリさんが乗ってる」
クリアのキャノピーの中でハエトリさんが手を振っている。操縦できたのかそれ…。
しばらく放置しているとミミズク君強化プラン用に貯めこんでいたパーツ格納庫に突っ込んでパーツを物色し始めた。
「トリックブレードいっぱい付いてる……」
ロード・インパルスのトリックブレードが気に入ったようだ。
触手のモンスターのようになったハイドストームにビビって猫達が避難を始めた。
「ラプターちゃんと戦いたいと言っていますね…」
深沙希さん、娘を触手と戦わせるのは抵抗があるんだが。
「あの子も女の子ですから問題ありませんよ…」
ぬう、レズ触手姦……。いや、男とか女とかそういう問題じゃない。
「隊長はお嫌いですか?手で触られるのは…」
深沙希さんの手が体を這い回る。好きです。
――深沙希さんに気を取られているうちにラプターが触手に拘束されていた。

自宅で経歴を偽造していると深沙希さんが覗き込んできた。
「あの、隊長さん……。私の前で堂々と偽造するのは如何なものでしょうか…」
この前霧島さんと愛宕さんと飲みに行った時に聞かれたんだよ。どこまで本当なんですかって。
「はあ……。それと偽造とどういった関係が?」
本当のことしか履歴書に書いてないんだけど信じてもらえなくてな。
もういっそのこと小説でも書けそうな経歴に偽造すれば前のが本物だと信じてもらえるかと思って。
「マスターは破壊された月面政府シャードの末裔でヴァイスに育てられたんだよ!」
ちなみにあらすじはラプターが考えた。ヴァイスとして活動していた俺はおっぱいを求めてヴァイスを裏切ったんだ。
「おっぱいですか……。……おっぱいですか」
だってヴァイスには無いだろうおっぱい。ラプターが頑張って裏切る理由を考えたんだ。
「おっぱいに導かれたからアクトレスの隊長になったんだよ!」
完璧すぎるストーリーだラプター。逆にこの経歴が本物だと思われてしまうかもしれない。
「それはどうかと……」
取りあえずアップロードだ。どんな反応が帰ってくるか。
――後日加純にぶん殴られた。

アキ作戦の時に夜露がヴァイスミディアムを綺麗と言っていたので作ってみた。
「おおー。ちっさい私が出てくる!」
ヴァイスを生み出すわけにはいかないのでメガミミディアム(直径15㎝)にした。
デフォルメされたラプターがポコポコ生まれてくる。
たまにラプター以外のメガミも生まれてくるのがセールスポイントだ。
「にゃ!」「にぃ!」「にゅ?」「……!」
普段はラプターの方が毛玉に覆われているが今日は猫とウサギ達がラプターに埋もれている。
「隊長……どうでもよくないよこれは」
どうした怜。安心安全隊長印のメガミミディアムだぞ。
「野球ができるくらい子供を産む予定だったのに既に子供がいっぱいだよ……予定を組みなおさないと」
子供の数は俺と相談して決めることじゃないか怜。突っ走りすぎだぞ怜。
「メガミリーグ……。宇宙一を目指して戦う野球の祭典!」
ラプターも想像力豊かだけどこいつら電力切れたらミディアムに帰っていくから長い試合はちょっと無理だ。
「残念。じゃあ今のうちに遊んでくるね!」
――ミニらぷに夢中で夜露に見せるのを忘れていた。

猫達がうちに来てしばらくしたら壁にキャットウォークを設置した。
猫用回し車等も置いて運動不足にならないよう配慮している。
「よっ。はっ。とうっ!」
ラプターもアスレチック代わりに飛び乗ったりしているが正直危なっかしい。
ミミズク君が傍に控えているが上から落ちても捕まえられないだろうしな…。
「あっ。……ぐえぇぇぇぇぇえ!!」
墜ちた。猫達が上から心配そうに見ている。大丈夫かラプター。
「うぅ…。マスター、なんか頭が変」
ポニテが折れたな。治すまでバランス調整で触手付けとくか。
ズボッとラプターの頭からポニテを抜いてハイドストームの触手を差し込む。
「うーん。なんか捕まえたい気分!」
触手に精神を犯されてしまったか。妹たちでも捕まえてきなさい。
「ラプター、行きます!」
ラプターが器用に触手を使ってキャットウォークを登っていく。
さて、こっちはポニテを治すか。

「た、隊長さん…。もう無理です!」
舞がアラベスクのポーズでプルプル震えている。
事務所のトレーニング室でバレエの練習をしていた所に猫達が飛び乗ったため優しい舞は動けなくなった。
「あの、見てないで、離してもらえると……」
でもじっくりポーズ見る機会無いからもうちょっと……。やっぱえっちぃよなこの体勢。
「うぅ…。ごめんなさい!」
ああ、とうとうポーズを崩してしまった。猫達が華麗に着地する。
「はぁ、はぁ…。隊長さん……」
そんな顔を赤らめて女の子座りで睨み付けられても可愛いとしか思わないぞ舞。
「はい、舞。お水!」
ラプターがコップに水を汲んで持ってきた。うちの子は気が利くな。
「…はぁ、ふぅ。ありがとうラプターちゃん」
コップを受け取った舞がこくこくと水を飲む。何かやることなすことエッチな感じがするな舞は。
「けほっ!え、えっちじゃないです!」
スーツに零れた水を猫達が舐め取っている。やっぱりエッチじゃないか。

麻婆茄子を作った。流石に猫とウサギ達に食べさせるわけにはいかないのでラプターと一緒に食べる。
「はむ。……はむ。……ご飯。…はむ。」
黙々と食ってるなラプター。まあ、この茄子から染み出る美味しさは病みつきになる。
明日は余った茄子を使っておひたしを作ろう。
「……そういえば前に餌付けしたサーペントはどうなったの?」
あいつなら東京シャードの50000km後ろをゆっくりつけて来てるぞ。
AEGiSにお願いして定期的に料理届けて経過観察しているが大人しいものだ。
「マスターの料理美味しいから食べられなくなったら困るもんね!」
どこまで理解してるのか分からんがなー。
料理持って行ったら虹シェルくれるがどこから取って来てるのか分からん。
「夜露が言ってたけどヴァイスとお話しできるかな?」
ヴァイスの親玉にでも料理投げつければできるかもしれんなー。
そんなものがいるのかどうかも分かってないんだが。
「仲良くできたらいいね」
――翌日、麻婆茄子をサーペントに食わせたら焼夷属性になった。

「隊長の家は物であふれていますね」
ラプターがカレー好きだと話したらフンc…じゃなくてサンティがカレーを作りに来た。
夕飯まで時間があるので部屋でくつろいで貰っているが猫ウサギ用品やプラモパーツで埋まっている家が珍しいようだ。
「私はシャード間の移動が多いので中々好きなものを買ったりできないんで羨ましいです」
いっそのことAEGiS東京に就職したらどうだ。鳳さんに雇ってもらえば多分派遣されるより多く稼げるぞ。
「……それもいいかもしれませんね」
なんだこっちをじっと見て。さっき食べたかすたどんか萩の月が付いてるか?
「いえ、何もついてません。…隊長は日本のシャード以外ならどこに住みたいですか?」
住めば都って言うしどこでもいいな。ああ、猫とウサギとラプターに住みよければなおいい。
「なるほど……。相談してみますね」
……誰に何を?
「それはともかく、そろそろ作りましょうか」
なんか誤魔化された…。サンティの作ったカレーはラプターに好評だったがラプターの一言が気になる。
「マスターは日本よりネパールが好きなんだ。私も予習しとくね!」
……なんて?

「隊長、移住先を探してるんだって?」
成子坂で事務作業をしていたらリタに妙なことを聞かれた。隊長職やってるのに移住とかしないぞ。
「おかしいな?紅花から聞いたんだけど」
紅花は他に何か言ってなかったか。
「えーっと、紅花はニーナから聞いてニーナはラプターから聞いたって言ってたかな。ニーナは隊長にモスクワのいい所をプレゼンするって張りきってたらしいよ」
大人しく聞くしかないじゃないかそれ…。寒いところは苦手なんだが。
「じゃあ、カッセルも良い所だから候補に入れててね。こっちに住むなら色々紹介するよ」
チェーンソーで丸太は切ってみたいが一緒にやってくれるのか?
「それは隊長次第かな?私の作ったギアをアクトレスに沢山使ってもらえたら考えるかも」
それくらいならお安い御用だ。ただ、いつまで隊長やってるか分からないから早めに作ってくれ。
「ふふ、了解」
そのまま談笑してるとニーナがやってきた。後ろの白衣来た人誰だ?
「気にしないで。隊長、聞いて欲しいことがある」
――約1時間に及ぶモスクワシャードプレゼンが始まった。
後ろからスラーヴァモスクワと叫ばれて全く集中できなかった。

「隊長、海外旅行の行き先悩んでるんだって?インド行こうよインド!」
伝言ゲームが加速している…。仕事が忙しいから無理だぞシタラ。
「あぅ~ん。連れていってくれたらサービスしたのに」
お前もう先祖遡って何世代もインド行ってないって言ってただろう。何をサービスするつもりだ。
「シタラちゃんが教える激ウマカレーレシピ!」
要らんわ。ラプターは俺の玉葱沢山中辛カレーが最高だと結論付けたからな。
「一度くらい行ってみたいんだな~。隊長も行ったこと無いなら一緒に行こうよ~」
俺は行ったことあるから遠慮するわ。
「マジで!?隊長ズルい!!」
大変なんだぞ、シャードを渡り歩くのも。住むなら東京が一番だな。
「?…そういえば隊長って成子坂に来る前は何してたの?」
何でもやったさ、何でもな。
「あ~、もしかして聞いちゃ駄目なやつ?」
大体えっちな大人のお姉さんを見つけて金を恵んでもらってた。所長にはその過程で出会った。
「ヒモじゃん!」

成子坂ではアクトレス達にそれぞれ個別のブログが与えられている。
アクトレス≒アイドルだからなのだが特別に隊長である自分もブログを使っている。
アクセスランキングを見るとぶっちぎりでトップなのだがこれもラプターと猫の営業効果だ。
自分で撮ったものや真理に撮って貰ったラプターと猫達の写真が成子坂の一番の人気コンテンツとなっている。
深沙希さんのお料理レシピや来弥の忍具紹介、ニーナの美味しいお店探訪も人気がある。
「もっふもっふ」「にゃー」
今日はラプターと次女のヴァルチャーが遊んでいるのでその写真をアップロードしている。
仰向けになったヴァルチャーのお腹にラプターが寝ころんで抱え込まれている。尊い…。
「……私も写真撮ったほうがいいのかな」
写真を撮るのは義務じゃないぞ怜。
「ブログの河川敷ランキングのアクセス数が増えなくて……どうでもいいけど」
まあ写真があった方が想像はしやすいだろうな。カメラ欲しいなら貸すぞ。
「使い方わからないから今度教えてよ。一緒に撮りに河川敷に行こう」
いいけど、ブログとかどうでもいいって言ってなかったか。
「ただのデートのお誘いだよ。どうでもよくないからね」

夕飯を食べ終わって風呂で猫達の体を洗っていると深沙希さんが入ってきた。
「隊長さん、お背中お流しいたします……」
深沙希さんが風呂に入って来てもビックリもしなくなってしまった。これはいけない気がする。
猫達を洗い終わると深沙希さんもこちらの体を洗い終わった。……たまには逆襲するか。
深沙希さん、今日は俺が深沙希さんを洗います。
「はい?……いえ、あの、その、結構です」
湯船に逃げ込もうとしたが柔らかい腰を捕まえて椅子に座らせる。
「ひゃんっ。た、隊長さん、その……」
問答無用で頭に湯をかけシャンプーを泡立てて洗っていく。痒いところはありませんかー。
「大丈夫……です…」
そういえば怜と深沙希さんのシャンプーとかいつの間にか風呂場に増えてるな…気にしても仕方ないが。
頭を洗い終えると次は体の洗浄に移る。ラプター達はのぼせそうなのでここで退場だ。
「マスター、先に上がるねー」
さて、じゃあ深沙希さんまず背中から洗いますね。
「や、優しくしてください」

「は、入っても大丈夫ですか?」
泥棒猫退治に精を出していたラプターからの許しが出たので久しぶりに芹菜が家に入ってきた。
「芹菜っちビビりすぎだってー」「ラプターちゃんは、約束は守りますよ…」
誕生日を祝うということで来弥と深沙希さんも一緒だ。ラプターは買収された。
「高級お肉…、お腹いっぱい食べさせてくれるならオッケー!」
芹菜は分かっているのだろうか、ラプターにお腹の上限はないことを…。
芹菜の財布が寂しいことになるのはともかく、今日のところは楽しい誕生日パーティーだ。
明日は全員休みなので苦しくなるまで飲み放題食べ放題だ。
先週から深沙希さんがせっせこ仕込みをしていたので料理もアルコールも大量にある。
「ねーねー隊長。今日は無礼講ってことで私もお酒飲んでみたいなーって」
流石に高校生に飲ませ「私はいいと思います…仲間外れは寂しいものです」…うーん。
「隊長ダメですよ。来弥ちゃんはまだ「一人だけ素面ですと、新谷さんの酔った時の様子が知られてしまうかと…」たまにはいいですよね隊長!」
仕方ない、少しだけだぞ来弥。
「わーい、やったでござる!」
――翌日、起きたら皆裸だった。

乳搾りが面白かったと聞いて休みの日に出かけることにした。
小結さんから話を通してもらったのですぐに乳搾りに挑戦できた。
「むぅ…。難しいね、マスター」「にゃー」「にー」「にゅー」「……」
ラプターが牛の乳にしがみ付いて搾り取ろうとしているが流石に力が足りないらしい。
乳の下で皿に牛乳が注がれるのを待っている猫達がまだかと催促している。
仕方ない少し力を貸してやるか。搾るのは俺がやるからラプターは先っちょを皿の方に向けてくれ。
「分かった!……おぉー」
ぎゅうぎゅうと搾ると勢いよく牛乳が飛び出てくる。事前にシタラの乳で練習したのが功を奏したようだ。
「結構難しい……。あ、…へうっ!」
ラプターが手を滑らせて牛乳が入っている皿の中に落ちた。全身が白い液体まみれになる。
「びえぇぇえん!!みんなやめて―!!」
勿体ないと思ったのか猫達がラプターの体を舐めまくる。何かエロイな。
ラプターを救出して乳搾りに戻る。牛乳のほかにチーズやヨーグルトなどを味わって休日を満喫した。
家に帰ると深沙希さんが夕飯を作りながら出迎えてくれたが、
お土産と同じものが冷蔵庫に入っていたのはなぜだろうか…。

「出来たっス……」
「安里もうだめ……」
ラプターによるミミズク君改造プランⅡを実現するためすぐみと安里に手伝ってもらい徹夜でパーツをくみ上げた。
オーダークレイドルを中心にパワードガーディアンやアームドブレイカーなどの大型MSGのパーツをフル活用。
ラプターが乗りこめる究極のミミズク君(全高50㎝)の完成だ。
「すごい…!ミミズク君の精神が形になったようだね!!」
「なかなかカッコいいと思います」
今日は安里のストラプも来ているため珍しくラプター姉妹が並んでいる、尊い……。
写真…写真に取らないと……だめだ、寝るモス…おっぱいに挟まれるモス…。
「それでラプター、あなたはこれで何と戦うつもりですか?」
「もちろんメガミバトルに出て世界大会優勝だよ!」
「しかしこれではサイズ制限に引っかかるかと思います」
――睡眠を取ってすぐみと安里に挟まれた状態から起きてみるとラプターが落ち込んでいた。
メガミバトルには究極体ミミズク君が出場できないことを知ったらしい。
だが、俺達が目指すのはパーツをかけた裏メガミバトルだから安心しろラプター。

ジニーがウサギを抱えてベッドに寝ころんでいる。ストレスでも溜まってるのかジニー。
「隊長までそんなこと言うんだ……」
なんだ他にも言われたのか。
「舞にね。……こう、シタラ達が牧場行ったって教えたら」
ぼいんぼいんとおっぱいを強調する。ジニー、あなた疲れてるのよ。
「……そんなに疲れてるように見えるかな」
お尻に張りが無いからな。ライトニングも今日はお尻に突っ込まずに大人しく抱かれてるだろう。
「お尻で診断しないでよ…。うーん、私も乳搾り行こうかな」
牧場はいいぞー。料理も美味いしトライステラで行ってみるといい。
「はあ、そうするよ。だから今日は癒してねーライトニング」
寝の体勢に入ってしまった。こっちはお尻を見て楽しませてもらおう。
「ねえ、マスター。ストレスって溜まるとどうなるの?」
猫に組み敷かれても特に堪えないラプターには縁がないかもなストレス…。
そうだな、ストレスが溜まるとやよいみたいに唐突にラップを口ずさんだりするかもな。
――後日、ラプターに妙に気を使われて困惑するやよいの姿があった。

新しいAEGiS端末の機能を確認していると見慣れないアプリが入っていた。
『透視アプリ(お試し)』ってなんでこんなものがAEGiS端末に…。
「マスター、どうしたの?」
妙なアプリが端末に入っていてな。起動するのも怖いから取りあえず削除しようかと。
「むむっ、これは事件の気配がするよっ!」
そんな大げさなもんじゃないと思うが、試してみるか?
「うんっ!」
アプリを起動するとカメラの使用許可確認が出たのでOKを押す。
ディスプレイにカメラからの映像が映ったのでラプターにカメラを向けてみる。これは……。
「マスター、どうなったの?」
どうも人を認識してその上に裸の3Dモデルを上書きして表示してるみたいだな。ラプターが裸だ。
「マスターのえっち!」
試したがったのはラプターなのに……とりあえず薫子さんに連絡するか。
――後日調査したところ男の隊長の端末だけにSINの工作員が工作したらしい。
アクトレスの裸コラ動画を流してアクトレスを減らす作戦だったとか…。

唐突にフグが食べたくなったのでフグ刺し、てっちり、から揚げの準備をしている。
フグ調理免許は持っているがフグ処理所が近くにないので今日は処理済みの身を買ってきた。
「……ねえマスター。私ってフグの毒食べられるのかな?」
うん?……まあ外付けの機械で処理してるわけだし本体に影響はないと思うが。
「毒ってね、美味しいんだって!」
ああ、食べられる毒キノコとかはあるな。まさかとは思うがラプター。
「食べてみたい!」
いやぁ、死なないと分かっていてもそれは流石に。AI保護法とかに違反しそうだし。
どっちにしろ今日は毒の部分は無いから無理だぞ。
「そっかー、じゃあ今度毒キノコ狩りに行きたい!」
そんなに食べたいのか毒。何がお前をそこまでさせるんだラプター。
「美味しいか試してみたいのは本当だけど、食べたら桃歌みたいに毒持ちになれるかなって」
なるほど……それは盲点だった。俺も試してみたいといけないなそれは。
「!?マスターはダメだよ!」
ラプターに説教されながら食べたフグは美味しかった。

映画を観る時は俺の家でということになったので今日もバーベナが来ている。
今日の上映作品はプロメテウスとエイリアン:コヴェナント。
以前エイリアンを観たときにビビりまくった綾香のためのチョイスだ。
「ねえ隊長。私、可愛いのが良いって言ったわよね」「マスター、私怖いのは嫌」
愛花基準ではエッグチャンバーはお花みたいに開くので可愛い枠だ。
「どう見たってグロいわよ!」「え~、そんなことないよ~」
エイリアンなんて怖くないって言ってたし問題ないだろ?
「そ、そうよ!怖くなんてないんだからね!」「素直に怖いって言えばいいのに…」
ということで視聴開始だ。ラプターはパジャマの胸ポケットの中。
前回は猫が首を絞められて死にそうになったので綾香には俺の腕を抱えさせる。
「……(ギュッ」「……」「……」「…マスター、怖いの終わった?」
まだだから怖いなら先に寝てていいぞラプター。
黒酢接種からイカの誕生、糞アンドロイドの暴走を観た感想は
「…(ジー」「…(ジー」「…(ジー」「……私はあんなことしないよマスター」
綾香が泊まりたがったのでいつの間にか天井から降りてきた深沙希さんと一緒にバーベナを囲んで寝た。

ラプター、ミミズク君(オーバードマニピュレーター装備)と一緒にウサギと猫達のブラッシングをしている。
厄介なアクトレス達のサポートをして疲れた心には一番の癒しだ。
「ねえ隊長、私の髪も梳いてよ」
コアラのように背中にくっついている怜が顔をぐりぐり押しつけながら言う。
少なくともそこにたら何もできんぞ怜。
「じゃあこれならいいね」「にっ!」
あぐらの上に乗っていた三女ファルコを抱きあげて代わりに怜がすっぽり収まった。
ブラッシングを中断されたファルコが抗議の声を上げている。
「代わりに私がやるからいいでしょファルコ」
こうなったら仕方がないので怜のポニテを解いて櫛を通す。
深沙希さんもだがやっぱり長い黒髪はいいな…。
「それなら楓さんの方が好きなの?……どうでもいいけど」
楓のあれはサイドから出た触腕が気になってそれどころじゃない。あれ自分でセットしてるんだろうか。
「シャワー浴びてもいつの間にか戻ってたし癖なんじゃないかな……多分」
人体の不思議だな…。

底に攪拌装置がついていて自動的に飲み物をまぜまぜしてくれる便利グッズ「SELF STIRRING MUG」に水を注いでくるくる回る水を見ているとラプターがやってきた。
「マスター、それなぁに?」
これは底に攪拌装置がついていて自動的に飲み物をまぜまぜしてくれる便利グッズ「SELF STIRRING MUG」だ。
「……もう一度お願い」
ようはボタンを押したら自動でココアとかを混ぜてくれる商品なんだが……使えないなこれ。
「便利じゃないの?」
油が浮いてきてる。シタラがニヤニヤしながら渡してきたからどうせ使えないんだろうなと思ったら案の定だ。
流しに水を捨ててゴミの日の確認をしているとラプターが何やら閃いた。
「マスター、これ使ったらすっごい回れるんじゃないかな!」
回りたいのかラプター。まあやりたいなら回してやるが。
ラプターが中に入って回転部分をしっかりと足でつかむ。
「いいよマスター!」
ポチッとな。
「びぇっ!」
首だけ飛んでいった。やっぱりゴミだな。

「もふもふ…」「にゃー…」
ラプターが次女ヴァルチャーに8本の触手で絡みついている。
SELF STIRRING MUGで回転した結果ラプターの首がネジ切れたのでハイドストームに頭だけくっ付けた状態だ。
「蜘蛛……それともイカでしょうか……」
悩んでいるところ悪いが8本のテンタクルアームだからタコじゃねえかな深沙希さん。
「タコはあのように頭は尖っていませんよ隊長さん……」
それはそうだが、イカなら足10本だろう?
「イカの足は8本で残り2本が触腕なんです……」
まじか…俺は今まで間違っていたのか……。
「どちらか分からないということは蜘蛛でも構いませんね……」
いや、蜘蛛でないことは確かだ。
「隊長さんは意地悪ですね……」
もう100匹以上蜘蛛飼ってるんだからこれ以上蜘蛛は要らないだろう。
「家族は多いほうがいいんですよ隊長さん……」
――その夜は家族を増やすために沢山運動した。

ウサギのライトニングを顔に乗っけて仰向けでくつろいでいると誰かが家に入ってきた。
怜か深沙希さんだろうと思ったが二人とも今日は用事があると言っていたことを思い出す。
じゃあ誰だと考えていると腹を枕にされてしまった。
起きるに起きれなくなったのでラプターが話しかけてくれることを期待する。
「あれ、………誰?」
え、ラプターも知らない誰かが俺の腹を枕にして寝ているのか!?
いよいよ恐ろしくなって目が開けられない。俺はどうすれば……。
「うぅん……BBQは一日でならず……」
BBQ……最近聞いた覚えがあるが俺の家に来るほど彼女とは親しくなってないはず。
そのまま考え込んでいるといつの間にか眠ってしまい起きたときにはテーブルの上に焼かれた肉だけが残っていた。
「あ、起きたのマスター」
ラプター、この肉を置いていったのはテキサスの女だったか?
「テキサス?…かはよく分からないけどカウボーイハットのおじさんだったよ」
……誰?誰なの!?怖いよう!!

ボーっと考え事をしながら事務作業をしているとジニーが話しかけてきた。
「隊長、浮かない顔してるね」
昨日カウボーイハットの知らないおじさんが家に入って来て肉を置いて行ってな…。
何者なのか全くわからないんだ。
「……警察には言ったのそれ?」
警察?……ああ!最近アクトレス達が鍵かけても入ってくるもんだから麻痺してた。
そうだよな、不審者が入って来たらまず警察だよな。
「まあ肉を置いて行っただけなら強盗ってわけじゃないんだろうけど」
俺の腹を枕代わりにしてたけどそれが目的じゃないだろうしなぁ。
「……隊長、それもかりおかしいと思うよ」
うん?……そうかな、俺も猫達が寝てたら耳くっ付けて腹の音聴いたりするんだが。
「隊長ちょっと休んだほうがいいんじゃないかな。それで、肉はどうしたの?」
美味しかったから全部食べたぞ。さすがテキサスだな。
「それは隊長でも同意しかねるよ。BBQはテキサスのものじゃないってね」
――業務時間外にBBQ蘊蓄を2時間聞かされた。

夜露がアジを3枚におろしている。その手さばきは熟練の職人のようだ。
「ラプター、調味料は測り終えたっすね?」
「できたよ夜露!」
ラプターが正確に測った味噌、日本酒などの調味料をアジに乗せ細かく叩く夜露。
その顔はヴァイスミディアムを前にした時よりも恍惚としている。
「冥土の土産っす…。もっと粘るっす…。…っす」
「粘れー」
ラプターが手をかざして念じている。可愛い。
しかし夜露はなんでなめろうを作るのにこんなに真剣なのだろうか。
出来上がったなめろうを御飯の上に乗せてお茶をかける。
先に準備していた刺身と一緒に口の中にかっこむ。
「うーん。もう少し粘りが足りなかったっすかね」
なんでそんなになめろうに拘るんだ。
「だって舐められたら終わりっすよ隊長!」
良く分からん理屈だ…。流石夜魔無道4代目総長。

来弥の誕生日会ということで家に来弥、芹菜、深沙希さんが来ている。
芹菜の時は全員酔っぱらって裸になったので今日は気を付けねば。
「ねぇねぇ隊長さん!今日もお酒飲んでいいよね?」
お前、酔っぱらって大事なもの捨てちゃったの忘れたのか。
「覚えてるから飲みたいんでござるよー。気持ち良かったけど素面じゃあんなことできないし」
とにかく駄目だ。エッチ目当てでお酒飲むのは許しません。
「えー、けちー、えっちー」「マスターえっちー」
食卓に着いたらお高いステーキをメインとしたコースをお出ししていく。普段もやし生活の来弥のために今日は奮発した。
「ぬふふー、隊長さーん!ケーキ持って来てケーキー!!」
……おかしい、来弥酔ってきてないか?
「来弥ちゃんだけ仲間外れはよくないですよね」「仲間外れは寂しいものですから……」
貴様らこっそり飲ませたな!?来弥に縛られてまたエロい目にあいたいのか!?
「……」「……」
おい、こっちを見「隊長さーん」あ、来弥そこは…。
――翌朝、全員素っ裸になりラプターはケーキに突っ込んでいた。

呼吸で腹の上に乗せたウサギと猫達を波打たせているところにニーナがやって来た。
「何をやっているの隊長?」
波紋呼吸法といって腹の上に乗せた動物はたちまち眠ってしまう驚異の呼吸法だ。
見ろこのだらけきった娘達を。
「美味しs……可愛いけど疲れない?」
食べちゃいたいくらい可愛いってことだよなニーナ……。
最初は疲れたがもうなれたもんだ。
「じゃあ私が乗っても大丈夫だね」
腹が猫達で埋まっているので心臓の位置に耳をくっつけてニーナが横になる。
「これが隊長の音……。安心する……」
そう言うとあっという間に眠ってしまった。
「マスターお茶持ってき……私の場所盗られてる!」
止める間もなかったんだ、すまん。
「今日はマスターと一緒に寝るの私だけなら許すよ」
スラーヴァモスクワと外から大きな声がするまでニーナは眠った。

「隊長ちょりーす!」
どうした盟華、ラプターの服なら間に合ってるぞ。
「ちがうちがう。今日はうちの子のリフレッシュに来たんだわー」
うちの子?……ああ、後ろにいるのはピンサの未羅ちゃんか。
「あの、会ったことありましたか?」
アライアンスに所属した子は全部覚えてる。それで、リフレッシュってなんだ盟華。
「最近眠れてないらしくて、猫ちゃん達の力を貸してくんね?」
ああ、うちの猫達を抱いていればすぐに眠りの世界へご案内するぞ。
「あの、私は大丈夫なんで…」
睡眠不足はいかんぞ。アキ作戦の時は寝不足のせいかうちのアクトレスの目も紅くなってたからな。
盟華がパジャマに着替えさせベッドに猫達と一緒に放り込むとすぐに寝息が聞こえてきた。
それで、寝不足の原因はなんなんだ?
「風か何かが語りかけてくるって言ってたけどわかんね」
高2病ってやつだろうか。服装もそれっぽいし…。
――久しぶりにぐっすり眠れたらしく未羅ちゃんはスッキリした顔で帰っていった。

「びえぇぇぇぇん!!私のおやつ取っちゃダメ―!!」
3時のおやつにクッキーを焼いたのだがどうもラプターの分がウサギと猫達に取られたようだ。
ラプターが泣かされるの久しぶりに見た気がする。
「うぅぅ。……もう怒ったよー!!」
パーツ置き場に走って行ってしまった。ミミズク君も慌ててついて行く。
なにをするつもりだろうかと見ているとオーダークレイドルに搭乗可能な究極体ミミズク君を持ちだしてきた。
なんて大人げないんだラプター……。いや、まだ子供だったな。
「全力でいくよ~!」
猫達が逃げていくがビーストマスターソードで構成された羽に絡めとられていく。
あっという間に3匹と1羽が捕まってしまった。どうするつもりだラプター……。
「……えっと……ど、どうしよう………マスター!怒った時ってどうすればいいの!?」
いいかラプター、猫に体罰はご法度なんだ。やるとしても問題を起こしたらすぐにやらないと理解できない。
「じゃあこの後私はどうすれば!?」
ブラッシングでもしてやればいいんじゃないか?
――後日、猫のしつけ方をダウンロードしているラプターの姿があった

散歩している時に猫が犬の糞を踏んだのでちょっと早めの風呂にした。
「足くちゃい……。泡々ー」
ラプターと一緒に泡まみれになって洗っている。ゴージャスファビュラスデストロイメガミ塗装が無ければ危なかった。
「終わったー。マスター、先に上がって乾かすねー」
風邪ひかないようにしっかり頼むぞー。
「それじゃあ今度は私の番だね」
いつの間に湯船に入っていたんだ怜……、ちゃんと掛け湯したか怜。
「お湯は汚さないよ隊長。洗い場はねちょねちょしても大丈夫だよね」
そう言って猫達がいたところに座りこむ。まあついでだから洗うけども。
髪を洗い終えて背中を洗っていると怜がもじもじし始めた。痒いところでもあるのか。
「胸が痒いよ隊長」
そうか……自分で掻けばいいんじゃないかな。
「駄目だよ隊長、三助さんの仕事を奪っちゃ。だからお願い」
ぬう。そう、これは文化再現の一環だから一切卑猥は無い。
――この後めちゃくちゃ体中を洗った。

事務所で大量の蛙がジャンプしている。
ラプター達も混ざっているが何やってるんだ…。
「誰が一番ジャンプ力があるか競っているでござるよー。忍者の基本はジャンプ力!」
身長比でみたら深沙希さんちの蜘蛛が一番跳んでるな。次点は……何あの蛙、めっちゃ跳んでる。
「うちの子達も鍛えているゆえー」
鍛えてどうなる跳び方でもなかったような…。お、ラプターが跳ん……喰われたー!
「ああ、ばっちいからペッしてペッ!」
来弥、うちのラプターはちゃんと毎日風呂に入っているから綺麗だぞ!訂正しろ!
「そんなこと言ってる場合じゃ……あちゃー、ヌメヌメだー」
ラプターがぴくぴく痙攣している。いつもは駆け寄ってくるウサギと猫達も触りたくないのか遠巻きに見ているだけだ。
取りあえず給湯室で洗ってくるか。……深沙希さんの蜘蛛まで喰ってないだろうな?
「ちゃんと食べちゃダメっていってるから大丈夫……あ、吐きだしなさい!………大丈夫!」
駄目じゃねえか!ちゃんといなくなった奴がいないか確認しないと深沙希さんに何言われるか…。
「うちの子達はグルメだからきっと食べてないはず…」
――口の中で踏ん張っていた子が救出された。

「へぶっ!」「にゃっ!?」「にー…」「にゅっ?」「……」
キャットタワーから壁のキャットウォークに乗り移ろうとしたラプターが足を踏み外した。
落下地点にはカサカサ肌に塗ろうとしていたワセリンが蓋をあけて置いてあったので壊れてはいないがヌメヌメだ。
昨日は蛙に飲み込まれてヌチャヌチャになっていたし最近ついてないなラプター…。
「うーっ!ううーっ!!」
すぐ引っこ抜くから暴れるなラプター!ワセリンが飛び散る!(ズボッ
「けおっ!……うー、体が重いよマスター」
それだけワセリンまみれになったら然もありなん。
ウサギと猫達が寄ってきたが舐めちゃダメだぞ、下痢になるから。
「流してしまうのは勿体ないです…。隊長さんの体に塗りましょうか……」
さっきまで家の中に居なかったよな深沙希さん……。
「言ってなかったですね、ただいま戻りました…」
深沙希さんの家は別にあるはずだが。まあいいか、塗ってくれ。
「それじゃあラプターちゃん、隊長さんの体に体をすり付けてください……」
――ヌメヌメのラプターに体を擦りつけられるのは新感覚だった。

「おかしい…男性にはハニートラップが非常に有効だと聞いたのだけれど」
大きな体を小さく丸め込んで、机の下から俺を覗き込んでいたニーナを問いただす。
俺の机の上には、ペットボトルを切り貼りしたものに蜂蜜を入れた物体が10かそこら置かれていた。俺はカブトムシか。
「隊長は知らない…?祖国では年に数回、蜂蜜市が開かれている。
そこでは様々な種類と香り付けがなされた蜂蜜が販売されている」
なるほど確かにそれぞれのペットボトルに入っている蜂蜜は色も香りも異なるようだ
どれがどの蜂蜜かまではわからな…多分これは栗の蜂蜜だな
「ここでは見かけないものも多いから…きっと気に入ってくれると思っていたのだけれど」
ハニートラップはカブトムシの捕虫器の意味じゃないことをこんこんと説明すると
ニーナは眼を丸くさせた後、わずかに顔を赤らめる
「…なるほど、こんな初歩的な間違いをするなんて」
しかし甘いものが好きなのは事実だ。今度ホットケーキでも焼こう。と言うと、彼女は小さく頷いた。
「マスター…助けて…」
そろそろカブトムシを助けてやろうか

今日はすぐみと安里と一緒に映画鑑賞だ。
一本ずつ選んで最初は安里の選んだザ・グリードを観終わった。これは……。
「……」「ちょっと隊長も金潟すぐみも何か言いなさいよ…」
楽しかったんだがこれでいいのか海洋学者。ラプターが震えてるぞ。
「将来ああいうの作りたいっス?」「そんなことしないわよ!…地球の海ならこういうのもいたのかなって思わない?」
管理されたシャードじゃ浪漫が無いのは分かる。次はすぐみの将軍と21のコアメダルか。
「将軍様いいっスよね!」「もっとお金が貰えるなら丁髷……いや、ないわね」
江戸シャードが実現してたら将軍様も選ばれてたのかね。ラプター、刀は買ってやるから落ち着け。
「メッキしてキラキラにしたいっスね」「やすって切れるようにしないと」
事故が起きそうだからやめて安里…。最後は俺の炎の王国だな。
「……ブラキオサウルス」「……ブラキオサウルス」
……ブラキオサウルス。脱出で滅んだのも多いよな。
「案外生き残ってるもんっスよ」「海の底から這いよる混沌」
それは死んでてくれた方が良い。しかし流石に映画3本は疲れるな、ラプ…ラプター?
「固まってるっス」「充電切れたわね」

ウサギと猫達に包まれて未羅ちゃんがベッドで熟睡している。
睡眠不足ということで盟華に連れられてアニマルセラピーにやってきたがその後家に来る頻度が増えている。
盟華が言うには風が語りかけてきて眠れないらしいが、まあ原因はどうでもいいだろう。
「どうでもよくないよ」
どうした怜、怖い顔して。
ラプターが未羅ちゃんのおっぱいの谷間に隠れたぞ。
「原因を突き止めないと私がベッドで寝れる時間が少なくなるからね……どうでもよくないよ」
大事なことだから二度言ったな…。
しかし頭の中に「うまい…うますぎる」と響くらしいがどう解決すればいいのか。
「困った時のリン頼みだよ隊長」
流石に物理で頭の中を覗くのはちょっと…。
「違うよ隊長。リンなら原因を感で突き止めることができるはず」
根拠はないが信頼感だけあるな…。じゃあ今度会わせてみるか。
「ところで今日はどこに眠ればいいのかな隊長」
お婆ちゃんと一緒に眠ってこい。

家に帰ったら壁が無かった。
「隊長さんお帰りなさいませ……」「お帰り隊長」
「マスターお帰りー」「にゃー」「にー」「にゅー」「……」
うん……。俺の気のせいだと思うんだが家が広くなって無いか?
「空き部屋をそのままにしておくのは勿体ないですよね……」
「私とお婆ちゃんの部屋も増えたよ、どうでもいいけど」
……隣に住んでた石井さんどこに行ったんだろうな。
「もっと通勤に便利な所に引っ越したそうですよ……」
深沙希さんがそう言うならそうなんだろう。
「マスター見て見て。私たちのお部屋!」「にゃ!」「に!」「にゅ!」「……!」
一部屋丸々ラプター達の部屋にしたのか。壁に通路が張り巡らされている。
キャットタワーや猫用回し車もあってエンジョイアンドエキサイティング!を体現したような部屋だな。
「マスターのベッドもすごかったよ!」
見に行ったら丸いベッドがくるくる回転していた。
幸い照明はアリスギアピンクではなかった。

ラプター達と花見にやってきた。
今年も桜が満開でこれぞ日本の春という感じだ。
春……卒業と入学………なんだろうか、これ以上考えたら消されると本能が訴えている。
「マスターどうかした?」
いや、何でもないラプター。サザエが食べたいなと思っただけだ。
「サザエ……。知ってる!ヴァイスから取れる奴だよね!」
ああ、特に寝るモスから抉り獲った活きのいいのが美味い……いや、間違ってるぞラプター。
「違った?……戦えなくなったアクトレスから取れるんだっけ?」
それはアワビ……、いやこれも考えたら消されるやつだ。誰だそんな知識を教えたのは。
「舞が持ってたナマモノ本?っていう薄い本で調べたよ!」
そうか、明日は舞に実践教育してやらないといけないな。
「それよりマスター、早くお弁当食べたい!」「にゃ」「に」「にゅ」「……」
花を見て回ってからと思ったがまあいいか。
「……ねえマスター、人間は何でお花を見るの?」
心が穏やかになって舞も許せるように……いや、無理だな。

飲み屋でオクシデント工業という所の男性と知り合い、10/1スケールメガミを勧められた。
ラプターモデルもあるらしく、お金をかければ食事から何まで人間と同じようにできるらしい。
まずはラプター本人に人間サイズで動きたいか聞いてみることにした。
「うーん……。おっきくなったらヴァイスと戦ってマスターの役に立てる?」
エミッション能力が使えないから無理だな。戦えても戦場に出す気はないが。
「じゃあ、別にいいかな。みんなの上に乗ってお休みもできなくなるし」
俺も一度でいいから猫達に埋もれて眠ってみたい…。
「そうだ!マスターが小さくなればいいんだよ!」
逆転の発想だな。しかし小さくなると言ってもどうやればいいんだ。
「私が食事するのと逆でメガミデバイスの感覚をマスターに送ればいいんだよ!」
なんか人体実験とかで捕まりそうな気がするな。
とはいえ毛玉に囲まれた生活というのは捨てがたい。
「隊長さん……一度人形になった人間は二度と元には戻れないんですよ……」
気配を消して後ろから囁くのは無しにしてくれ深沙希さん…。
ちょっと惜しいがホラー展開は望む所ではないのでメガミデバイスになるのはやめておくか。

「お絵かきお絵かきー」「にゃ!」「にー」「にゅっ」「……!」
舞が事務所で絵を描いていたと言ったらラプターが私も描きたいと言ってきた。
メガミデバイス用のお絵かきセットはさすがに用意できなかったので新年の書初めで使った墨と半紙を渡す。
ラプターは名前書き用の細い筆を抱えてミミズク君を描き、猫とウサギ達は肉球に墨を付けてぺったんぺったん足跡を付けて遊んでいる。
「漢字しか書くことなかったけど絵を描くのも結構楽しいね」
「この黒がいいですね、黒が……」
怜は狐を狩っている鷹の絵を描いている。楓の叫び声が聞こえてきそうな力作だ。
深沙希さんは硯に向かってせっせと墨を磨っているが何が楽しいのか俺には分からない。
「マスターは描かないの?」
アキ作戦の時に忙しすぎて全部一人でやってくれるアクトレスを脳内で思い描いてたんだがデザインがな…。
「!じゃあ妹たちをアクトレスにすればいいよ!」
動物擬人化か、なるほど……。
「成子坂で動物と言えばピッピだね」
あれは男だろう。それにえりの反応を見るにあいつの声は聞こえないほうがいい。
そうだな…やるなら陸奥TS擬人化だな!

墨でぺったんぺったん足跡を付けて遊んでいた猫とウサギ達が体中墨まみれになったので風呂に入ることにした。
お湯が溜まったのでいざ入ろうとしたら頭にシャンプーハットを付けた未羅ちゃんが先に入っていた。
「私が洗います」
その前にどこから入ってきた。
「隣の部屋の鍵を渡されたのでそちらから」
そういえば部屋ぶち抜かれた後にそっちの鍵もらってないな俺…。
猫達を未羅ちゃんに渡してリビングに戻ると怜が狐狩りをしている鷹を描き終えていた。
「……何か足りない気がする」
この「こゃん!?」と言いそうな狐の顔とか良く描けてると思うが。
「怜、マスター。猪が足りないんじゃない?」
「!それだよラプター。リンがいないんだ」
というかこの狩られてるの楓だったのか。
「そんなつもりはなかったよ……」
無意識に楓狩りしてたのならそれはそれで怖いんだが……。
――新しく描いた鷹・猪・狐の絵でもやはり狐は狩られていた。

AEGiS端末にセットしていた7時のアラームが鳴って起こされる。
先週末にヴァイスの襲撃が重なったためこれで12連勤だ。もう調査行きたくない。
『リーンチャーン』
さて、調査行くか。
「まって隊長、今の何」
左側で眠っていた怜が起きてきた。何って言われても俺にも分からん。
「今のはAEGiSの調査で判明した隊長の元気を出す音ですね……」
右側で眠っていた深沙希さんが答える。なんかやる気のない時に勝手に端末から鳴ってたけどそういうものだったのか…。
「マスター散歩いこ!」「にゃ!」「に!」「にゅ!」「……!」
メガミと動物も無性に動きたくなるようだ。凄いな『リーンチャーン』。
「それって洗脳されてない?……どうでもよくないよ」
洗脳……その可能性は考えたことなかっ『リーンチャーン』……まあどうでもいいから調査行くか。
「!?……深沙希さん」
「今度新しい端末もらってきますね……」
?どうかしたか二人とも。

注文しておいたラプターのおっぱいver2を取りにすぐみの家に来たがインターフォンを鳴らしても返事がない。
留守かと思いドアノブを回してみるとすんなりとドアが開いた。
「うぇひひー。安里ちゃんのおっぱいは柔らかいっスねー」
「ちょ、どこ触ってんのよ金潟すぐみーっ!!」
どうも安里と風呂に入っているようだ。不用心すぎる…。
風呂から上がるまで時間をつぶそうと部屋の中を眺めると机の上に妙な仮面が置いてある。
狐…ではなくウサギの仮面だ。試しに付けてみるとピタッと顔に張り付いてこれは……まずい、外れない。
なんとか外そうと試行錯誤しているうちに安里が先に風呂から上がってきた。
誰も見ていないからと油断していたのか髪の毛を拭いているタオル以外は素っ裸である。
「……え、誰!?」
気付かれた。騒がれたら困るのでベッドに押し倒して口を抑える。
「むー!?ううーーっ!!」
これでは完全に犯罪者だ……。ここから華麗にすぐみと一緒に3Pに持って行くにはどうすれば。
「隊長なにしてるっス?」
風呂から上がったすぐみに仮面を外してもらって安里を黙らせるためにプレイを始めた。

海老やキス、タラの芽南瓜に茄子になどを揚げて天ぷらにしている。
「ねえマスター、海老の天ぷらとエビフライってどう違うの?」
溶き汁にパン粉を付けるか付けないかが大きな違いか。
海老はフライか天ぷらのどっちが良いか悩むよな…。
「私はエビフライが好き!タルタルソースいいよね…」
いい……。でも俺は塩をちょびっと付けた天ぷらの方が好きなんだ。
「マスターに裏切られた…。傷心の私はご飯が出来るまで妹たちと遊んでくるね」
食事に関しては妥協は許されないんだラプター、許してくれ……。
「隊長さん、私はフキノトウの天ぷらが好きです……」
深沙希さんがさらっと食材置き場にフキノトウを置いて去っていく。
「私は隊長が作るなら何でもいいよ……どうでもいいけど」
どうでもいいならやよいの肉を置いて行くんじゃない。
一通り揚げ終わってリビングに行くと全員食器を用意して待っていた。
揚げ物なんて手伝って貰うようなものでもないが何か納得いかない。
――納得いかなかったのでその夜は深沙希さんと怜を海老反らせた。

ねこうしねこねこねこねこ。
「……あぅーん」
成子坂組と叢雲組が事務所に集まっていたが何故かシタラだけ猫でなく牛だ。
そんなに猫に乳を与えたいのかシタラ。
「文嘉の伝え方が悪い!」「さっき謝ったじゃない…」
この前貰った衣装着て来てと伝えたらしい。確かに紛らわしいな。
「私は牛の方が好きだなー。美味しいから!」「シタラさん食べたらダメだよリン」
リンはどんなときでもブレなくて安心するな。
「お揃いっすね楓さん!」「近いです夜露ちゃん」
それでどうして同じ衣装着てるんだ文嘉。
「真理さんが成子坂の公式ページに載せる画像を更新するからと」「いつの間にか写真撮ってるよねー真理さん」
しかし困ったな……ラプターの衣装が無いぞ。猫達はそのままでいいとして。
「隊長、ラプターは関係ないと思います」
そんなだからとんこつって言われるんだぞ文嘉。成子坂で一番かわいいのはラプターなのに写さない道理が無い。
――可愛いのは私だとアピールするアクトレス達の相手で一日が潰れた。

今日は綾香の家で睦海の誕生日パーティーの予定だ。
準備が終わっていないということで我が家で映画を見ることにした。
「隊長、こんな古いのどこで見つけてくるの……」
ストリートファイターII MOVIEはアンダーシャードで見つけてきた。
HDリマスター版だから割と簡単に手に入ったが子供は真似しちゃダメだぞ。
「行かないよ、そんな危ないとこ」
ソファーに並んで鑑賞を始める。ラプターは睦海の頭の上、猫とウサギ達は膝の上で撫でられている。
リュウVSサガット、ガイルVSベガ、今見てもよく動く……というか昔の映画の方が凝っているんじゃないか。
春麗のシャワーシーンになると妙な沈黙が部屋を支配する。
「……隊長、成子坂のシャワールーム覗いたりしてないよね?」
そんなことするくらいなら一緒に入る。俺は視覚より触覚を大事にする男だ。
「そんな事ぶちまけられても困るよ……」
リュウ&ケンVSベガの戦いが終わった所で綾香から準備ができたと連絡が入った。
「それじゃあ、行こうか。誕生日プレゼントはお風呂で体洗ってくれればいいよ」
ああ、分か……分かった?

先日睦海とストリートファイターの映画を見た影響か、ラプターと次女のヴァルチャーが闘っている。
ラプターのスピニングバードキックがヒットしたが、悲しいかな体重が足りない。
握力×体重×スピード=破壊力の公式には逆らえないのだ。
「当たったんだから倒れてよぉーー!ふぎゅっ!!」
ヴァルチャーのフライングバルセロナアタックでラプターが潰された。やはり勝てないか……。
「びえぇぇぇぇん!!」
ラプター、本気で勝ちたいならお前は重くなる必要がある。
「ぐすっ……重く?」
柔らかおっぱいを捨て鋼鉄の体を手に入れれば猫に勝つ可能性も生まれるだろう。
「……それは駄目かな。この体はマスターがくれたものだから」
そうか、そうだな。じゃあもう一度椎奈に弟子入りするか。
前は超級覇王電影弾で頭部が飛んでいってしまったから別のを教えてもらおう。
「私、頑張るよ!妹達より強くなって見せる!!」
椎奈に弟子入り志願したら受験勉強で忙しいのでと断られた。