編集時Ver3.2.4
概要
Thrustercraft/スラスタークラフト。ジェットエンジン等の推力を発生させるもので空中を浮遊するビークル。
飛行機と違い速度により得る揚力に頼るのではなく、推力で直接上向きの力を与えて飛行する。ヘリコプターのローターがジェットになったような感じである。
そのためホバリングも可能で、羽という弱点がなく、またエンジン出力とジェットさえあれば際限なく飛ばせるためかなりの重装甲が可能。そのうえで空中という3次元の機動空間を得られるため回避力も手に入れられる。
欠点としては空中にとどまるために常に燃料を消費すること、浮遊用や姿勢制御用のジェットの空間を確保しなければならないこと、そしてそこを破壊されると墜落する3点か。
NeterのNPCとしてはグレイタロンズとスカーレットドーンが参考になるだろう。何よりジェットにより無理やり制御できるので、意外と簡単に作りやすく初心者にもおすすめである。
使用ブロック解説・リンク
ジェットエンジンとイオンスラスターは丸いものと四角いものがあるが、形以外に違いは全くないので片方は割愛。
カスタムジェットについては別のページがあるのでそちらを参照のこと。
構築方法
スラスター自体のUIの細かな解説はここにあり。
一応スラスタークラフトを作るうえで必要な説明はその時に加えていくのでご安心(?)を。
パパパっと飛ばす
ビークルをフリーズ(空中固定)して、前後方向をきちんと確認してミラーを起動。
いつものビークル建造前の用意が終わったら、エンジンと燃料・資源箱を設置。要求量を十分に賄えるエンジンを載せよう。
カスジェを使う場合はエンジンがいらないので燃料箱のみで問題ない。
次にAIを設置。設定画面を開いてManoeuvreタブをクリック。ここでは*1Hover movementを選ぶ。選んだあともう一回クリックして(active)にするのを忘れずに。
そのまま、ADJUSTMENTタブで高度を設定。高さが設定範囲内になるようにこれから設置するジェットエンジンをAIが制御してくれる。
Min. altitude above landが地上での最低高度、Min. altitude above waterが最低高度、Max. altitudeが最高高度である。
最低高度を高めにすると海ポチャの危険性が減るが、絶対ではない。
早速推力を取り付けていく。
まずは重心付近*2にジェットエンジン。これを垂直浮力用とする。
今回はビークルが軽いので一個で十分だが、重い場合は複数置かないとパワーが足りないので注意。必要推力については応用で触れる。
ここでAIで制御できるようにするために、カーソルを合わせてデフォルトQキーでUI画面を表示、プリセットのPusher presetを左クリック。
これで上下垂直運動用にこのジェットエンジンを割り当てたことになる。
画像では位置が最低高度を下回っているため上昇しようとジェットエンジンが起動している。
応用でも触れるが、この時の「Up」というのが、「上」という意味に当たるが、AIが「上」という指令を出した際にこのジェットエンジンが起動すると捉えてよい。
逆に「Down/下」なら「下」という指令が出たときにそのジェットエンジンが起動する。メインオブジェクト上ではプリセットボタンを押せば重心に合わせて自動設定してくれるので何の問題もないが、サブオブジェクト上では自動で設定してくれないので、これを踏まえて自分で設定する必要がある。
先にAIのManoeuvre設定をHoverにしておけばちゃんと表示されるが、万一このようなUp/downの表示がされない場合でも内部はちゃんと設定されているので安心されたし。確認したい場合はPreset and filtersのStrafe and hoverにチェックを入れよう。チェックを入れれば表示されるはずである。
今度は姿勢制御用のジェットエンジンをつけていく。重心から左右の位置と前後の位置に設置しよう。
それぞれRoll/ロール制御用とPitch/ピッチ制御用となり、設定は左右のロール制御用スラスターそれぞれのUIでRoll presetを左クリックすれば自動で設定される。
ピッチ制御用スラスターは置けば自動的にPitch presetで設定されるので問題ない。不安ならUIで左右のスラスター同様にPitch presetを左クリックして設定すればよい。
こうなる。ただ、今回は特に考えなくても、左右のスラスターはRoll presetをクリック、前後のスラスターは何もしないかPitch presetをクリックするだけで写真の設定どおりになる。
これで墜落せずに飛べるはずである。ただ、機体が推力に対して軽いとだいぶ荒ぶる。
その際は、機体を重くするか推力を設定で小さくすることでマシになるし、PIDでGain(P)を下げることでも抑えられるので、気になる場合は追加するとよいだろう。
インベントリ画面-AIタブのAI PIDをAIに接続、AIのUIのPIDsタブでこのようにチェックボタンを入れることで設定できる。
つないだ数だけしかチェックボタンは入れられないので、足りない場合はAI PIDブロックを追加しよう。
これ以外にControlタブにあるGeneral purpose PIDというAIに頼らないブロックでもPIDが設定できるが、こちらの説明は割愛。
あとは前進方向と、方向転換用のスラスターをつければ完成。
この二種類のスラスターも設定できるが、この方向については置いた時点で自動で設定されるので今回いじる必要はない。
AIのBehavior/戦闘機動は好きに選べばその通りに動いてくれるはずである。スラスタークラフトで多いのはPoint at and maintain distanceによる正面艦とCircleによる周回艦か。もちろんNavalやAttack and runなりなんでも使えるはずである。
姿勢制御の設定
さて、自動的に設定してくれる時はいいものの、サブオブジェクト上のスラスターでは自分で考えて設定しなければならない。
ただ、これは前述の通り、そのスラスターが噴いたときにどの向きに回るか、を考えて、スラスターの噴射時の移動方向=設定の方向になるようにすればよいだけである。
Roll right/ロール右なら後ろから前に進む方向に対して右ねじの方向、右まわりであり、Roll left/ロール左なら逆の左ねじ方向、左まわりである。他にはPitch up/ピッチ上なら機首上げ、Pitch down/ピッチ下なら機首下げ、Forward/前進、Back/後退、Yaw right/右旋回、Yaw left/左旋回である。
上のRollとPitchのスラスターのその設定ごとに色分けしているスクショを例として確認してもらえるとわかりやすいかもしれない。
発展
なるべく少ないスラスターで宙に浮く/制御設定の兼任
椅子を考えたとき、安定して立たせるために必要なもっとも少ない足の数は三本である。
同様にスラスタークラフトを浮かせるための制御ポイントの数は3である。(推力偏向等の物理的に役目を変えられるもの、リアクションホイール等の別の制御装置の組み合わせは考えない。これを入れると一つでよくなるが。)
加えて、上では姿勢制御用のスラスターは反対方向のスラスターも設置していたが、重力が十分にかかる限りにおいて、下向きに力を与えるスラスターは不要になり、安定して浮くためには3つのスラスターで事足りることがわかるだろう。
これを実際にFtD上でやるためには、Presetを右クリックして兼用するか、直接スライダーをいじればよい。例えば下図の青のスラスターは、機首下げ、右横回転、上昇の三つの役割を一つでこなしている。
スライダーでいじれるように、この役割のレベルというものを、0-1の値の大きさで設定でき、たとえば緑のスラスターは前後方向の移動と、旋回の二つの役割を持っているが、旋回の役割は前後より抑えめで十分なので、0.4と少な目に設定されているのである。この0.4は簡単に言えば、全力で右旋回と指令が来ても40%までの力しか出さないという意味になる。(その分前後の制御が入る余地があく)
うまく兼用できればビークルの防御力を上げることにもつながるのでしっかり押さえておきたいが、兼用し過ぎるとそこが急所となり、損傷により制御に深刻な問題が発生しやすくなる。
どこまで装甲化出来るか、どこまで大型化・出力要求を許容できるかなどを念頭にケースバイケースでどこまで兼用するかを決めよう。
ドリフト(横滑り)してほしくない/Strafeってなに?
横方向の移動がStrafeである。写真の紫のスラスターのように左右の側面に、重心近くかまたは合力が重心近くになるように配置してPusher presetをクリックして設定する。
この横移動ができると、いちいち船体を回転させる手間が省けたり、移動の自由度が上がるため、指示通りに動いてくれやすくなる。
進路からそれた場合もこの横移動を使って修正してくれるため、いわゆる飛行艦特有のドリフトも防げるのだ。*3
このStrafeに関係することとして、Hover movementの設定にあるYaw lock distanceは、目標までの距離がどれぐらいを下回ると旋回せずに横移動と前後移動で目標地点に合わせるか、である。
旋回用スラスターで兼用したりして、なるべく横移動もできるようにしておくと、ビークルの安定度が増すだろう。
もしかしたらのために、上の写真のブループリントを置いておく。上の説明だけで理解できればそれが一番だが......PIDが妥協調整なのは許してへペロ♡
Thrustercraft_for_wiki_sukunaisuiryoku.blueprint
機体を傾けて横移動
ヘリコプターなどが機体を傾けて横方向に移動するのを見たことがあるかもしれない。この、上昇するための力を借りて横移動するという動作をHover movementでも可能である。
このMax pitch for forward/backwards movementが前後方向に移動するときに最大何度傾けるか、
Roll for left/right movementが左右方向に移動するときに最大何度傾けるか、である。
Strafe用のスラスターを用意できなくてもこのRoll for left/right movementを設定することで横方向の移動が可能になる。
上向きのパワーが余っている場合はこれを活用すると便利。
必要推力計算式
FtDではVメニューで確認できるWeight/重さをもとに、
Weight/100×9.81=<Thrust×0.6(Option>Config>Neter setting2019) |
だけのThrust/推力が上昇分あれば浮かせることができる。
見たらわかる通り、9.81は重力加速度、Thrustに環境設定の推力係数をかけたものがちょうど力になる。
潜水艦
イオンスラスター、スクリューも同じ要領で扱うことができ、これにより水中で「浮く」という――いわゆる地球のものとは原理が違うが――潜水艦を作ることができる。
やりかたはAIの設定高度や戦闘高度をマイナスに設定するだけ。簡単。空中で浮くには推力が足りないけど、水中なら浮力もあって浮けるぐらいの推力に調整するとよい。
ACBとGeneral purpose PID*4で高度を調整すれば戦闘時は潜水、なども可能になる。
コメント
- 工事完了です・・・ -- kuramubon? 2021-02-25 (木) 18:22:54
- 高高度で大気濃度10%以下になると抗力が1/10になるので、推力/面積がジェットの半分以下のイオンスラスタでも大気濃度100%を飛ぶジェット機より高速を発揮しやすいんじゃよ。 -- 2021-11-07 (日) 09:05:21