相手の起き上がり動作に合わせて攻撃を出し、一方的にダメージを与える行為。
アクションゲームや対戦格闘ゲームで見られる戦法のひとつ。
元々は格闘ゲーム界隈で使われていた俗語なので、音写から「置き攻め」の表記があてられることもあった*1。
概要
- 強力な技や足払いなどで相手を転ばせ、起き上がる動作あるいは
動作終了後の隙に次の攻撃タイミングを合わせることで、抵抗を受けずにダメージを与え続ける。
「倒れている間は無敵状態」という、非現実的な設定があるゲームならではの戦法であり、
対戦ゲームで行う場合は動作のタイミングを覚えている必要があるため、
経験的な知識に基づくテクニックの一種とも言える。- しかし、起き攻めとダウンを取れる攻撃を繰り返せば簡単にハメ技になってしまう。
それではゲームが成り立たないので、予防策として起き上がり動作にも無敵時間を設けたり、
回避手段やフェイントなどの駆け引きを組み込んだりする事が多い。
- しかし、起き攻めとダウンを取れる攻撃を繰り返せば簡単にハメ技になってしまう。
- プレイヤー同士の対戦ゲームではないMHシリーズでは、
主にハンターの起き上がりタイミングを巻き込むように放たれるモンスターの攻撃動作を「起き攻め」と言う。
巨大なモンスターと人間の戦いという都合上、モンスターがダウンする事は
1回の狩猟中数える程しか起こらないのに対し、ハンター側がふっとばされてダウンしたり
尻もちをついたりする回数は数え切れないほど頻繁に起こる。
そして、そのダウンや尻もち中にモンスターが攻撃を重ねてくるという事故もしばしばあり、
連続被弾→気絶→乙というようなパターンも少なからず起こっていた。- シリーズ初期作品においては、尻もちやダウンの後に再び操作可能になるよりも
くらい判定が有効化される方が先だったり、ほぼ同時で先行入力も効かないというような例もあった。
そのため、モンスターに完璧なタイミングで起き攻めを仕掛けられるとプレイヤーがどう頑張ろうが回避不能になる。
この仕様は初代~MHP2まで共通しており*2、
操作を受け付けず一方的になぶり殺しにされる不愉快さや理不尽さもあってか、
MHシリーズの問題点として挙げられる事も度々あった。
- シリーズ初期作品においては、尻もちやダウンの後に再び操作可能になるよりも
- MHP2までの作品では、ハンターのリアクションが尻もちで済む
ガミザミの突き飛ばしやガウシカの頭突きであっても、運が悪いと
壁際に押し付けられた状態で連発され続け、力尽きるまで延々ハメられる可能性があった。
- 似たような例として、エリア移動直後の硬直中に一方的に攻撃を重ねられるケースもある。
エリアの境目でモンスターが他のプレイヤーやオトモに突進を繰り出したり、
マップの上から着地する前に反応されたりといった事故はペイントが切れたりするとほぼ防ぎようがない。
- こうした問題に対して、MHP2Gでは起き上がり時に回避を出せるように調整された。
また、MH4Gでは起き上がるタイミングを任意に調整可能になり、
MHWorldでは更にしばらく様子見ができるようになった。- 逆に言うと、MHP2Gの時点ではあくまで回避を1回出せるだけに過ぎなかった為、
フレーム回避ができないレベルの持続・範囲がある攻撃には無力だった。
その後も根本的にこの部分にメスが入る事はなく、MH4ではアカムトルムの
往復突進が往路で轢かれると復路でも轢かれるのは確定だったりした。 - MH4G以降ではふっとばされたら様子見する事でやり過ごせるパターンも増えたものの、
モンスター側も露骨にディレイをかけて起き上がり硬直を狙ってくるようになったり、
グラビモスやラージャンのビームのようにディレイもクソも無いレベルの持続の攻撃を重ねてくる等の
メタ読みしたパターンが増えていった。また、クシャルダオラの移動竜巻のように
何をした所でどうやっても避けられない起き攻めパターンになるものもある。 - MHX(X)では狩技「絶対回避【臨戦】」やブシドースタイルのジャスト回避と言った
回避強化要素や、そもそも吹っ飛びを封じる狩技「金剛身」などが登場した。
しかし、新モンスターや新モーションの身も蓋もないまでのメタ読みっぷりが極まっていた時期であり
ハンターの回避するであろう方向を先読みして二段目の攻撃判定が出てきたり
あからさまな起き攻めパターン、ジャスト回避狩り等が乱れ飛ぶという状態になっていた。 - MHWorldでは3DSシリーズのようなモンスターのメタ読み行動は控えられたものの、
ネルギガンテのダイナミックお手のように起き攻めかつ慌てて最速で起き上がろうとすると
大威力の攻撃をモロに食らってしまうというような要素は部分的にはある。
MHW:Iでは「ハンターが完全に動けるようになるまで被ダメージ判定も戻らない」という
修正が入っており、一見起き攻めを緩和するかのようにも見えたのだが
実際には追加モンスターの多くに発生の早いふっとばしでハンターを転がし、
ブレスや往復突進や範囲攻撃を仕掛ける事で積極的に起き攻めを成立させるようなルーチンが組まれていた。
この調整は、逆にモンスターに露骨な起き攻めをさせるが故のものだったようである。 - MHRiseでは翔蟲という新たなシステムが導入され、ふっとばされた時に
翔蟲受け身を取る事で安全な方向を選んで離脱する事ができ、しかも納刀状態になる。
翔蟲さえ残っていれば起き攻めで延々ハメられる心配は大幅に減っている。- 本作では起き攻め行動自体も大幅に減っており、前作でふっとばし→起き攻めパターンだった技が
ただふっとばして特に何もせず終わりになっていたり、いわゆるコンボでも初段後に
受け身を取れれば極小ダメージだけで済むようになっていたりと、だいぶ優しい仕様になっている。
シリーズ12作目、初代発売から数えて実に17年越しに起き攻め問題に根本的に決着がついた。かに思われたのだが…
しかし一方、調子に乗って鉄蟲糸技を使いまくっているといざというときに受け身が取れず
思わぬ追撃を受けたり、そのまま気絶させられて乙というようなパターンはあり得る。
また、翔蟲受け身のクールタイムは長く、乱用すると必要なときに回避、カウンター用の鉄蟲糸技が出せない、
本当に危険なコンボを受けそうな時に受け身できないなんてことにもなりかねない。
攻撃で気絶してしまうと翔蟲受け身を出せない。そもそも受け身不可の攻撃があるなど、万能でもない。
さらに高ランクのモンスターは一度の行動で2回以上連続で攻撃するパターンが搭載されたものが存在し、
1撃目で慌てて受け身を取ると2撃目に当たるようになっていることも多い。
これは「受け身狩り」と呼ばれている。
真のラスボスに至っては1撃目で受け身をしなかったら起き攻め、
適切なタイミングや方向に受け身をしないと受け身狩りというコンボ攻撃まで搭載されている。
モンスターの攻撃が激しくなるマスターランク後半ではこの攻撃を受けると起き攻めされるのか受け身狩りされるのかといった判断が欠かせない。 - 味方をふっとばしたり転倒させる攻撃についても、ごく一部の例外を除いては
味方に当たらないように変更されている為にあまり心配しないでもよくなった…のだが、
のけぞりについてはこの限りではなく、味方の攻撃でのけぞり続けて動けないなんて事はしばしば起こる。
そのため、一部武器種ではひるみ軽減はマルチ必須スキルと言われている。
Ver.15からは味方間での被弾リアクションを完全無効化する緩衝スキルの登場により、
のけぞりに加えて吹き飛ばしまでもケアできるようになった。
- 本作では起き攻め行動自体も大幅に減っており、前作でふっとばし→起き攻めパターンだった技が
- 逆に言うと、MHP2Gの時点ではあくまで回避を1回出せるだけに過ぎなかった為、
- 歴代作品の起き攻めの中でも特に危険で有名なものを例に挙げると、
- フルフルの電気ブレス⇒飛び掛りor放電(主にガンナー。放電範囲内で当たった場合)
- フルフルの咆哮⇒放電orブレスor飛び掛り(中距離にいる場合)or更に攻撃
- グラビモスの熱線2連発
- MH3以降リオレウス系の空中ブレス⇒滑空
- アグナコトル(特に亜種)の地中跳び出し⇒地中泳ぎ(ここで確定で気絶)⇒地中跳び出しor地中泳ぎ
- ベリオロスの攻撃各種(特に翼破壊していないとかなりの確率で起き攻めに遭う)
- ギギネブラ亜種のブレスor放電⇒ブレスor飛び掛りor放電。壁際の場合更に放電を重ねられる。
- ブラキディオスのパンチ被弾⇒広範囲爆破(爆破やられによる追加ダメージで剣士でも致命傷)
- シャガルマガラのピンポイント地雷(あらゆる攻撃からピンポイント地雷に繋がる)
- ゴグマジオスの爆熱重龍油ブレス被弾⇒重油拘束状態⇒大爆発
(重油拘束状態による追加ダメージで、いくら強化した剣士でも即死不可避) - ラギアクルス希少種の往復突進(雷属性だが、ガンナーなら雷耐性値に関わらず即死。剣士でも重傷を負う)
- アルバトリオンのバックジャンプブレスor引っ掻き⇒ブレス
- 紅龍/祖龍ミラボレアスのメテオ/雷⇒スキル「根性」で耐える⇒足or尻尾に当たって死ぬ(吹っ飛ぶ方向が悪いとこうなる)
- グラン・ミラオスの這いずり⇒這いずりor後退orチャージブレス(地上又は水中での連続被弾)
- MH4以降でのキリンの麻痺落雷⇒帯電突進or溜め落雷orピンポイント麻痺落雷(最悪力尽きるまで)
- MH4以降でのアカムトルムの往復突進(初段に当たると被弾確定&剣士でもほぼ即死確定)
- MH4以降でのラージャンのバックステップor拘束攻撃⇒気光ブレス(回避性能orガード強化が無いとほぼ被弾)
- MH4以降でのテオ・テスカトルの突進⇒突進or粉塵爆破(特定の技を出すまで同じハンターを狙い続ける)
- MH4Gでのクシャルダオラの移動竜巻(倒れ中に出されると被弾確定。既に出されていた場合も近寄ってくる)
- 剛種デュラガウア(特異個体)の連続で使う竜巻(喰らうとまず確実に起き攻めに遭う)
- ティガレックス激個体の突進(一発喰らうと起き攻めになり、運が良くなければまず死ぬ)
- グレンゼブルの各種攻撃(速度が遅いので、ほぼ全ての攻撃が起き攻めになり得る)
- 剛種アビオルグのノーモーション突進(一番体力の低いプレーヤーを狙うように設定されている)
- ポボルバルムの尻尾叩き付け→後ろ向き突進(一連のコンボなうえに巨体がホーミングし続ける)
- こうした事情から、長らくMHシリーズでは起き攻めを受けやすくなる壁際や閉所で戦う事は
徹底して避けられてきたが、一部のモンスターは好んでやたら狭いエリアに入りたがったり、
突進で通路に入ったきり出てこないといった遅延行動を取ることで不興を買うこともあった。
- オンラインだとヘイト管理やラグの関係で被弾→起き攻めを食らうというパターンも少なくない。
気をつけて壁際や危険な位置を避けていても、事故って乙というのはベテランにも起こりうるパターンである。
全盛期のドス古龍を筆頭に、4人PTだとしても一度被弾したハンターを執拗に狙ってくるモンスターも居る。- PTの他のハンターを狙っての攻撃に巻き込まれ、ヘイトリスト上位の自分狙いの攻撃を
重ねられたりすると、本来開発陣が想定していた以上の合計ダメージを受けてしまったりする事もある。 - ラグ・同期ズレによるものはもはやプレイヤーにはどうしようもない。
一時的に通信状態が悪化→復帰した際に安定したプレイヤーの情報を元に再処理された場合、
モンスターが自分と重なっている位置で突進やブレス等を出していた扱いになると
一切その様子が見えないのに突然ダメージを受けて空中にふっとばされていたりする事もある。
その後に自分狙いの起き攻め→乙というケースは不運な事故というほかないだろう。
- PTの他のハンターを狙っての攻撃に巻き込まれ、ヘイトリスト上位の自分狙いの攻撃を
- 逆に、ハンターはモンスターに対して起き攻めをしないのが基本となる。
モンスターはダウン時であっても無敵状態にならないので、
普通はダウンしても手を止めず、そのまま袋叩きにして畳み掛けるのがセオリーとなる。
そしてモンスターが起き上がる気配を見せたら、いったん手を止めてスタミナを回復させたり距離を取ったりする。
モンスター側は少々のダメージでは怯まないし、続けて何度も転倒させることは難しいため、
漫然と攻撃を続けず、次の行動に対するガードや回避を意識しておくのだ。
これみたいに起き上がり後も無理矢理攻撃できる手段があるなら話は別だが- 転びやすく起き上がりが隙になる代わりに、倒れている間は無敵状態のハンターと
なかなか怯まず転ばない分、数少ない転倒時が大きな隙になるモンスターという、
非対称型バトルらしいゲームバランスになっていると言える。 - ダウン中の相手の起き上がりを待たずに追撃を仕掛けることを、
「ダウン追撃(またはダウン追い討ち)」と言うことがあるが、ハンター達の間でこのワードが使われることは少ない。
相手がダウンしている時に特殊な効果を及ぼすのがMHXシリーズのチャンス位しか無く、
相手のダウン中にありったけの攻撃を叩き込むのが珍しい話*3でもないからか。 - 厳密なダメージ・怯み値計算を前提として、モンスターをずっとダウンさせ続ける
(正確にはダウンからの復帰直後に再度ダウンさせる)ということも出来なくはない。
が、これは起き攻めというよりどちらかというとハメの領分だろう。
- 転びやすく起き上がりが隙になる代わりに、倒れている間は無敵状態のハンターと
余談
- モンハンの本分ではないが、プレイヤー同士の戯れとして対人戦をやる場合にも起き攻め戦法を仕掛けることは可能。
俗に対人戦最強とも言われていたガンランスだが、前述の通り
尻もちをつかされた後の状況が良くないという弱点があった為に
上級者(?)から延々起き攻めでハメられるというパターンもあった。
逆に、ガンランス側が砲撃→クイックリロード→起き攻めの踏み込み砲撃→クイックリロード以下無限ループで
ハメてくる場合もある
- 用語の元である格闘ゲームにおいては、概要欄で述べたように
ハメ技予防策として起き上がりに無敵時間が付与されている事が多い。
主に数フレームというごく短時間ではあるものの、ダウンしている側が昇龍拳に代表されるような、
出掛かりに無敵のある技を出す事もできるため、ハメ技を防ぎつつ攻守の読み合いが起きる機会となる。
- 格闘ゲームでは非常にメジャーな戦法だが、現実の格闘技では
危険性やスポーツマンシップの面からルールで禁止されたり、
レフリーが間に入ったり、不文律として忌避されていたりする事が多い。
ショー要素の強いプロレスなどを除けば、めったに見られない動きだと言える。
逆に寝技による組み付きやダウンへの追撃が認められる柔道や総合格闘技、警察や軍隊などにおける実戦的な格闘術の場合、
相手が倒れたら起き上がるのを待たず押さえ込みやとどめの攻撃に移るので、
やはり起き攻めというシチュエーションは発生しにくかったりする。