MHR:Sにおける、メインモンスターをはじめとする三体のモンスターの総称。
爵銀龍メル・ゼナ、氷狼竜ルナガロン、剛纏獣ガランゴルムの三体が名を連ねる。
英語版における名称は“The Three Lords”、直訳で「三体の君主」。
目次
概要
- 観測拠点エルガドを有するとある王国はその周囲を“王域”として治めており、
この領域を棲息範囲としている生物達は「王域生物」と呼ばれ、王域は彼らによる固有の生態系が形成されている。
そして王域生物達の中でも特に傑出した力を持つ存在として知られているのが
三体の大型モンスター達であり、王国の人々は畏敬を込めて「王域三公」と称している。
中でも数百年前に突如として王域に現れた記録のある古龍、
メル・ゼナは“王域を統べる龍”としてこの領域に君臨する王域生物の筆頭格である。- 王域三公は以下の三体のモンスターで構成されており、その特徴はどれも個性的。
- 爵銀龍メル・ゼナは謎の吸血生物を駆使する白銀の甲殻が美しいどこか気品漂う古龍。
獲物の精気を奪うために、夜の闇に紛れて背後に忍び寄り襲いかかる。
凛とした優雅な見た目だが、精気を集めるとその内に潜める凶暴な本性を剥き出しにする。
- 氷狼竜ルナガロンは瑠璃色の甲殻が特徴的で昂ると全身に氷を纏う牙竜。
体内に取り込んだ空気を冷却する器官があり、
冷やした空気を全身に巡らせて体温調節をおこなっている。
長距離の移動や環境の変化にも耐えられるためその生息域は広範囲。
- 剛纏獣ガランゴルムは重厚で強靭な巨体が特徴的な牙獣。
体液に植物の成長を促す成分があり、共生する植物や周囲の土砂を体液で固め、
体に付着物として纏うことでその部位での攻撃を強化する。
- 爵銀龍メル・ゼナは謎の吸血生物を駆使する白銀の甲殻が美しいどこか気品漂う古龍。
- しかし、50年前に開けられた大穴「サン」の出現以降は扱いが変化する。
それまで王国の周辺地域でのみ確認されていたモンスターが異常な活動を始め、
更に一部のモンスターは地方を跨ぎカムラの里近辺にまで生息地を拡大し始めたのだ。
特に現在“城塞高地”と呼ばれる城下街の滅亡を筆頭とした王国への被害は尋常ではなく、
何度も王国を崩壊の危機に追い込んだとされるメル・ゼナを筆頭とした王域三公は広く恐れられ、
その脅威を排除する事は王国民全体の悲願とまでされるようになった。
そして現在、大穴「サン」近郊に建てられた観測拠点エルガドは、
この王域三公を調査における最重要ターゲットに定めている。
- 王域三公は以下の三体のモンスターで構成されており、その特徴はどれも個性的。
- MHR:Sは、大社跡に現れた盾蟹および三公の一角たるルナガロンの襲来から始まる。
ルナガロンを追って駆け付けた王国騎士フィオレーネから顛末を聞いたカムラの里長フゲンは、
里でも指折りのツワモノである「猛き炎」をこの調査に同行させる。
こうしてエルガドへと出向いた猛き炎と王国騎士たちは、
王域生物、特に王域三公の狩猟・調査を中心として話を進めていくことになるのである。- この関係上、ストーリーにおいても王域三公の出番は非常に多い。
上記のようにルナガロンとの遭遇から始まり、
クエストを進めていけばガランゴルム、ルナガロン、メル・ゼナと順番に相手をする事となる。
更に調査が進むと異常なルナガロンの狩猟の先にすべての元凶が姿を現し、
締め括りには王国に安寧の焔をもたらす騎士たるメル・ゼナの特殊個体が顕れる…と、
サンブレイクのストーリーは王域三公と共にあったといっても過言ではないだろう。
- 王域を支配し被害を撒き散らしていたかに見えたメル・ゼナだったが、
実は王域を外敵から守護していた存在であったという驚きの事実が判明している。
メル・ゼナの討伐と前後して王域には危険なウイルスを保有するマガラ種が流入し、
更には王域に前から目を付けていたガイアデルムの行く手を阻む者が居なくなった事でかの者の侵攻が開始され、
その討伐によって結果的に傀異化モンスターの大量発生による生態系の大幅な乱れを招く事になったのである。
また、最終的には原初の姿を留める個体がキュリアの騒動を治めにやって来ている辺り、
王域の領主としてメル・ゼナはこれ以上ない働きをしているとも言える。
フィオレーネが意識を改めようとしたのも無理らしからぬ事だろう。- ではメル・ゼナの討伐が間違っていたのかというと、
必ずしもそうとは言い切れない事情もある。
メル・ゼナがガイアデルムやキュリアと争っていたのは
あくまでメル・ゼナ自身の縄張りを守るためであり、
他のモンスターや人類への影響を顧みる様な事はなかった。
特に50年前の城塞高地の滅亡のように、縄張り争いの過程で王国に無視できない被害を齎している他、
キュリアと共生するようになってからは
メル・ゼナ自身もキュリアのウイルスを広める結果にもなってしまっている。
これらの事情を鑑みると人類側がメル・ゼナを討伐するに至る道理は十分にあるのだ。
- ではメル・ゼナの討伐が間違っていたのかというと、
- この関係上、ストーリーにおいても王域三公の出番は非常に多い。
- かつてのシリーズにおいてもMH2の「ドス古龍」、MHP3の「三界」、
MHXの「四天王」、MHXXの「双璧」など、公式・ユーザー間を問わず、
複数体のモンスターをまとめた呼称は存在していた。古龍級トリオと一部で呼ばれるモンスター群もある
しかし、これらは多くの場合ゲーム外における扱いが大半を占めており、
このまとめ方に意味を見出しているのは開発陣やプレイヤーのみで、
モンハン世界の人々がこうした名前で呼び称する事は殆どなかった。- しかし、MHR:Sで登場したこの「王域三公」はそうではない。
こちらは作中人物によって呼び称される総称であり、
しっかりゲーム内においても言及される、世界観上で通用する括りになっているのである。
作中においても重要なターゲットとして認識されているため、
何も知らずにゲームをやってもしっかり印象に残るだろう。
- しかし、MHR:Sで登場したこの「王域三公」はそうではない。
モンスター同士の関係
- 王域三公として一括りにされている三体のモンスター達だが、
当然ながら彼ら自身に仲間意識などなく、王域の縄張りを争う仲であり、
フィールド上で鉢合わせれば縄張り争いにまで発展する事もある。
- しかし、王域三公として並び立つ脅威かのように呼ばれているにもかかわらず、
彼らには明確なパワーバランスが存在している。
具体的にはメル・ゼナ>ルナガロン>ガランゴルムという強弱関係があり、
作中やシステム上の扱いからもそれを見て取る事が出来る。
狩猟解禁時期はガランゴルムがM★3、ルナガロンがM★4、メル・ゼナがM★5でそれぞれ緊急クエストを担当し、
危険度も順にガランゴルムが6、ルナガロンが7、メル・ゼナが8となっている。
また、最も顕著なのが縄張り争いであり、ガランゴルムVSルナガロンではルナガロンの勝利、
ルナガロンVSメル・ゼナではメル・ゼナの勝利と、分かりやすい実力の差が出ている。- ただし、ガランゴルムの危険度自体はルナガロンと縄張り争いで互角のジンオウガと同様だったり、
特殊個体を含むメル・ゼナに対しルナガロンが縄張り争いで一矢報いる場面があったりと、
単純な序列だけでは語れない複雑な込み入った関係もある様子。
- ただし、ガランゴルムの危険度自体はルナガロンと縄張り争いで互角のジンオウガと同様だったり、
- 初報が出た際は、MHシリーズにおいても近い概念である「四天王」等の前例から、
彼らが全員同格の存在なのではないかという誤解が生じた事もあった。
四天王は四大属性における別格に強力なモンスターという扱いであり、
設定上どれかが飛び抜けて強いということはなかった*1。
使用属性と弱点属性についても三すくみならぬ四すくみになっていた為、
全員が同格の存在として非常にバランスの取れたグループとなっていたのである。- 一方、王域三公は一般モンスターと隔絶した力を持つ古龍種を含んだグループであり、
属性も龍属性、氷属性、無属性(一時的に火と水を持つ)とあまり統一感のない状況となっていた。
ならば並び立てられた牙竜と牙獣は古龍に匹敵する存在なのかといった疑問や、
三すくみのようなバランスもない事に対する疑問などが話題に上がっていた。
結果としては古龍であるメル・ゼナを頂点とした階層構造になっていたわけだが、
当時のネット上では古龍・狼・ゴリラがまるで同格のように並べられているという点について盛り上がっていたのである。
- 一方、王域三公は一般モンスターと隔絶した力を持つ古龍種を含んだグループであり、
公式における扱い
- 最初に公式から「王域三公」が紹介されたのは、プロモーション映像第1弾が公開された
『モンスターハンターライズ:サンブレイク スペシャルプログラム 2022.3.15』での事。
既に公開済みだったメル・ゼナとルナガロン、新規に公開されたガランゴルムの驚きの繋がりと、
王域三公というカッコいい名前に対し多くのプレイヤーが度肝を抜かれる事となった。
そして上記の古龍・狼・ゴリラ同格疑惑に繋がる
- 公式サイトにおいても揃って紹介をされていたり、PV4では城塞高地で剛纏獣と氷狼竜が睨み合い、
最奥に潜む爵銀龍が咆哮するという特別仕様のムービーが流れたり、
MHR:Sの公式設定資料集の表紙を飾るなど、
やはり今作における顔としてまとめて紹介されることが多い。
- クエストにおいては、ルナガロンのM★4緊急クエスト「赤月に吼える氷狼」にガランゴルムが出たり、
メル・ゼナのM★5緊急クエスト「月光の下」にルナガロンが出たりとチョコチョコ共演する。
三体が一堂に会するのは、MR★6の大連続狩猟クエスト「破滅の音は彼方より響く」にて。
このクエストでは城塞高地に集結するが、これまでに彼らが一堂に会する事態はほとんど無かったらしい。
PV4でいち早く集結していた事は内緒だ。
1頭でも圧倒的な力を誇る王域三公のそれぞれが全力で衝突し合えば、
城塞高地の生態系を破壊する危険性すら考えられる非常事態となるという。
- 王域三公の武器の大半には攻略段階では優秀という共通点もある。
- MR3では斬れ味やブレなどが悪いが圧倒的な攻撃力のガランゴルム武器*3
- MR4では斬れ味や攻撃力も優秀なルナガロン武器*4
- MR5では攻撃力も斬れ味も優秀、かつラスボスまでこれひとつで駆け抜けられるメル・ゼナ武器*5
すべて生産段階ではレア素材を要求されないのも嬉しいところ。
また、いずれの武器も14武器種全てで作成可能である。- とはいえ全てが優秀な訳ではなく、
逆に「攻略には使えるがクリア後は更に上の武器がある」パターンも少なくはないので注意。
特に無属性のガランゴルムの武器と龍属性のメル・ゼナの武器は
強豪相手が多い上に作成時期的も上記のような劣勢になりやすい。
- Ver.15アップデートのメインビジュアルではアマツマガツチと4人のハンターが対峙しているが、
内三人はそれぞれ王域三公の一式装備を纏ったものとなっている。
武器構成も大剣・ハンマー・弓と、かつての四天王装備のパーティーを思わせる並びである。- 残る一人はエルガドとカムラの里の加工屋共同開発による重ね着「爵怨の装束」を纏っており、
王域で新たな力を得たハンター達がカムラの里の災禍へ立ち向かう構図になっている。
なおVer.11のメインビジュアルでもメル・ゼナ一式ハンターがナルガクルガ希少種と対峙しているが、
武器が違う(チャージアックス)ため同一人物なのかは不明。
- 残る一人はエルガドとカムラの里の加工屋共同開発による重ね着「爵怨の装束」を纏っており、
- 派生作品のMHNowでは、リリース2周年を迎えたシーズン7大型アップデートよりガランゴルムとルナガロンが参戦。
同アップデートの情報を伝える公式番組『Nowナビ#3』では、2体のモンスターを紹介する場面で「王域三公」の名を挙げ、
シリーズファン目線で当時未実装のメル・ゼナの存在を匂わせていた。
そして後日にメル・ゼナの参戦が告知されたことにより、王域三公がMHNowでも集結する運びとなった。
モチーフについて
- 三公のモデルになっているのは「世界三大モンスター」として名前が挙げられる事が多い、
吸血鬼、狼男、フランケンシュタインの怪物*6と見られる。
これらには「1920年代~1940年代の映画を通して有名になった西洋モンスター」という共通点があり、
いずれの作品もイメージの大本になる作品を書いたのがイギリス人であるという点も共通。
- 吸血鬼伝説は世界的に広く存在しており、狂犬病説や伝染病による昏睡・仮死状態の人間が
意識を取り戻して歩き回った姿を見てそう解釈した説など様々な説が存在している。
一方で、現在の貴族・耽美的なイメージはブラム・ストーカーの『ドラキュラ』や、
シェリダン・レ・ファニュの『カーミラ』といった吸血鬼が登場する小説、
それをもとにした1800年代末~1930年代頃までの舞台・初期の映画によるイメージによるもの。
吸血鬼の発祥地はルーマニアであるとされる事が多いが、ブラム・ストーカーはイギリス人で
ルーマニアには一度も行ったことがなく、想像で書いた部分が多いとのことである。
- 狼男についても同様に、世界中に半獣人に纏わる伝承や狼を祖先に持つ一族などの伝承がある。
古くは狼の勇猛果敢さや能力を備えた者として英雄的に扱われる事もあったが、
中世に入るとキリスト教的価値観により狼は悪しき生物として扱われるようになった。
カトリックに従わない人間は狼であるというレッテルを貼られ追放刑にされるようになり、
その後狼のような仮装をして野山で生活しなければならないという掟が課される場合もあった。
19世紀末になると文学作品に登場するようになり、映画『倫敦の人狼』『狼男』等において
人間から半獣人に変身する様が特殊メイクを使って描かれ、こうした作品を通して
「普段は人間の姿」「満月の夜に変身する」「銀が弱点」というイメージが広まった。
これも走りになった小説作品『人狼』『ファントム・シップ』を執筆したのは
イギリス人のフレデリック・マリアットである。
- フランケンシュタインの怪物については1831年の小説『フランケンシュタイン』から。
「フランケンシュタイン」とは死体を繋ぎ合わせて
理想の人間を作り出そうとした博士の名であり、誕生した怪物の名前ではない。
原作では容姿こそ醜いものの、かなり高度な知性を持つという設定だった。
「全身に縫い目やボルトがある不気味な大男で、力は強いが心は子供のように純粋」というイメージは
1931年の映画版『フランケンシュタイン』が初出。
見た目にインパクトがあった事から、作品が有名になるにつれ、
次第にこの怪物自体が「フランケンシュタイン」という名前で呼ばれるようになっていった。
作中のフランケンシュタインはスイス人だが、執筆者のメアリー・シェリーはイギリス人である。- なお原作が描かれた社会的背景として、18世紀末~19世紀頃のイギリスでは
医学研究者が死刑囚や引き取り手の居ない死体を研究・サンプル収集のために買い上げたり、
引き取るという行為が大っぴらに行われていたという事がある。
また、埋葬・死刑執行された後の死体は誰のものでもないという法の抜け穴が存在しており、
それに目をつけて墓を掘り起こして死体を盗み、売る事を生業にする輩も現れた。
大量のサンプルがあった事で現代医学・生物学・人類学の発展に繋がった一方で、
私欲のために死体を粗末に扱う者も少なからず存在し、功罪両方の面があった。
唯一イギリス出身ではなく、元々はユダヤ教の伝承である。
ラビ(律法学者)が祈祷をしたうえで土を捏ねて人型に成形した後、
呪術的な仕掛けをすることによって動き出し、主の命じるままに行動するというもの。
言ってみれば呪術によって作り出されるロボットのようなもので、
ユダヤ教を弾圧する人々から教徒を守るために作られたとされる一方、
運用する上での決まりを守らなかった為に自らがゴーレムに殺されるという逸話も存在する。
創作物においてはドイツ人とチェコ人の作家が非常に好んで取り上げた題材で、
1915年の映画『ゴーレム』や「ロボット」という言葉を作り出した戯曲『R.U.R』は
それぞれドイツ、チェコの作品である。- 人間が生命を作り出そうとしたという経緯も含めて、
1818年の小説『フランケンシュタイン』では、フランケンシュタインの怪物を「肉のゴーレム」とも表現している。
元々フランケンシュタインの怪物にはゴーレムの要素が含まれていたとも言える。
時代が下るに連れて、ユダヤの伝承とは無関係に、石や金属などさまざまな材料から作り出された
人工生命体や魔力などで動く人形を「ゴーレム」と呼ぶような創作も見られる。
フランケンシュタインはそのはしりだったとも言えるだろう。
- なお原作が描かれた社会的背景として、18世紀末~19世紀頃のイギリスでは
余談
- MHXの四天王との類似点がよく指摘される王域三公だが、
そもそも「四天王」は日本のサブカルチャーでは当たり前のように使われる概念であるが、
元々は仏教用語で、仏法を守護する東南西北の四神の事を指すものである。
インド以東においては四方をそれぞれ守護する存在という概念は守護神、守護獣などとして存在しているが、
こと西洋においては東方からやってきた三賢人、三位一体など「三」という数字が出てくる事が多い。
- 本種らのモチーフが吸血鬼、狼男、フランケンシュタインの怪物なのは先述通りだが
それが漫画怪物くんに登場する怪物くんのお供のメンツと一致するため
ラスボスが判明するまでは冗談込みでラスボスは怪物くんモチーフなのでは?という考察も行われていた。
尤も実際にはそのようなことはなかったのだが。
関連項目
モンハン用語/メインモンスター
モンハン用語/ドス古龍
ゲーム用語/四天王
モンハン用語/三界
世界観/天下三刀 - MH世界観の三大○○の1つ。
アイテム/オノノコバチ - 以下、世界三大美虫と呼ばれる昆虫(トレジャー)。
アイテム/クレオパピヨン
アイテム/ヨウキヒグラシ