「トゥー・レイト・フォー・インガオホー」

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登場人物

あらすじ

「俺は、ニンジャだぞ。むしろ、お前が何だだよ！俺のセイシンテキをお前、ふざけるなよ」
「アー？」

フリーの傭兵ニンジャ・スカラムーシュ（モータルネーム：カイダ）は困窮していた。クライアントのヤクザクランが壊滅し、ビズがタダ働きになったからだ。
焦りを抑えるスパーリングも、妻のノバラに邪魔される。怠惰な癖にやかましい女だが、それでもどうにか彼女と自分の腹を満たさねばならない。こうしちゃいられない。

スカラムーシュは胡散臭い新興ソリューション詐欺企業からの依頼を受けた。上前を撥ねるヤクザクランを殲滅してほしいとのことだが、厄介なことにニンジャのヨージンボがいるらしい。
腐れ縁のハッカーをなだめ脅して下調べをさせ、スカラムーシュは慎重に襲撃準備を整える。
彼は都市伝説として語られる「死神」とは違う。カラテの足りぬサンシタは、サンシタなりの戦い方をせねば生きて行けぬのだ。

だが案の定と言うべきか、今回のヤマには、予想以上の深い闇が待ち受けていた。
不穏な符号、付き纏う違和感、端々に現れる「悪魔」の影。
依頼の果て、傭兵ニンジャが手にするのはタヌキか、フェレットか、それとも……！？

利口に生きられれば苦労はしない。
男のカラテは、針の穴じみて狭い起死回生のチャンスを捉えることが出来るか？
死神の嗅覚を誤魔化し誤魔化し、路地裏のネズミじみて汚いイクサの始まりだ！

解説

ニンジャにもピンキリだ。ニンジャスレイヤーを苦しめる猛者から……ウープス！
こんなサンシタの七転八倒なんか誰が喜ぶんだ？どうせ最後はニンジャスレイヤーが出て殺すんだろ？
ブッダシット！どいつもこいつもバカにしやがって！舐めるな、俺はニンジャだぞ！

いまいち締まらないアトモスフィアの中、それでもスカラムーシュは不可解なビズを読み解こうともがき、ヘッズと共にインガオホーの地平へとひた走る。
妻がいた。友がいた。そのささやかな暮らしは幸せであった。
「インガオホーと言ってやるには遅すぎる」かもしれない。この手を届かせるには「遠すぎる」かもしれない。
だが、それでもやらねばならぬことが有る。否、そうする自由がある！

かくして幕は上げられ、壇上より叩き落された道化は舞台たる夕闇のネオサイタマ、その掌下に広がる奈落をひた走る。
されど忘るる無かれ。拍手万雷、シナリオを手繰り滑稽模様に笑い合う観客の皆様。
古事記に曰く、汝道化を嗤うとき道化もまた汝を嗤い来て。
マキナたるインガオホーの死神は、天網恢恢疎にして慈悲なし。

足掻き、苦しみ、それでも決して止まることのなかった道化の矜持。
ヘッズを魅了し、わずか4セクションにして激動の2014年度エピソード投票、その第3位に至った燦然たる生き様。
今舞台は開かれる。どうか幕切れまで、ひとときスカラムーシュと共にあれ。

物理書籍版では「不滅のニンジャソウル#3：キリング・フィールド・サップーケイ」に収録。