「戦い続ける歓びを」
キングスフィールド、アーマード・コア、ソウルシリーズなどで知られる、
日本のソフトウェア制作会社で、株式会社KADOKAWAの完全子会社。
極めて高いソフトウェア開発力を有していることから、
ユーザーからは「変態技術者集団」と呼ばれ愛されている一方、
「海外の流通網が貧弱」という弱点を抱えているため、
日本国内でのソフトウェア展開はフロム・ソフトウェア自身が行いつつ、
海外でのソフトウェア展開は主に「バンダイナムコエンターテインメント」が請け負っている事が多い。
目次
はじめに
- 編集者の方へ(必ずご一読ください)
- 当記事はモンスターハンターシリーズと関連性のあるコンテンツを扱いますが、
フロム社のゲームをはじめとした無関係な話題が膨らみやすい傾向にあります。
編集の際は、過剰に同社独自の内容・ネタを使用しすぎないよう配慮をお願いします。
概要
- 1986年に創業。
元々はゲームの開発会社ではなく、
農業関係などのコンピュータで使用されている各種アプリケーションを開発する会社だった。
その後90年代に入り、3Dグラフィックが用いられたゲームが世間で注目を集め始めると、
いよいよゲーム業界への参入を目指し始める。
そして1994年、初代プレイステーション発売のわずか2週間後に処女作『キングスフィールド』を引っ提げ、
ゲーム業界についに参入。
業界初参戦ながらその高いクオリティでファンを生み出し、
瞬く間に著名なゲーム会社の1つへと急成長を遂げた。
- 代表作は『キングスフィールド』シリーズを筆頭に、
ロボットアクションゲーム『アーマード・コア』、通称ACシリーズなど。
2000年代後半以降は「Demon's Souls」や「Dark Souls」シリーズ、「Bloodborne」など、
ダークファンタジーARPGの「ソウルボーン*1」と呼ばれる作品群がとりわけ有名で、
新たなゲームジャンル「ソウルライク」を開拓した事でも有名である。- 特にソウルシリーズは美麗なグラフィックや世界観、ゲーム性から国内外を問わず人気であり、
アメリカで毎年12月に行われるゲームの祭典「The Game Awards」では、
最も優れたゲーム作品に贈られる賞「Game of the Year(ゲーム・オブ・ザ・イヤー)」に、
2019年に『SEKIRO』が、2022年に『ELDEN RING』が選ばれるなど、国際的な評価も高まっている。
- また、同社がゲームメーカーとなった初期の頃から支えたアーマード・コアシリーズには
根強いファンが存在している事でも知られており、
2013年に発売された「アーマード・コア ヴァーティクト・デイ」以来、
実に10年ぶりとなる2023年発表の完全新作「アーマード・コア6 ファイアーズ・オブ・ルビコン」の電撃発表は、
そんな歴戦のファン達を歓喜させ、ネット上でも大きな盛り上がりを見せた。
- 特にソウルシリーズは美麗なグラフィックや世界観、ゲーム性から国内外を問わず人気であり、
- 以上の通り、ゲーム業界の中でもトップクラスと断言しても良いぐらいの高い開発力を有する会社なのだが、
株式会社KADOKAWAの完全子会社という程に企業規模はそこまで大きくないこともあってか、
外部企業の協力を得ないと開発費を十二分に確保する事が難しい立場にある。
また、フロム・ソフトウェア自身がゲームエンジンをそこまで重要視せず、
開発したいゲームタイトルに最適なゲームエンジンを随時設計しているというスタイルが祟ってか、
ゲームソフトの最適化が行き届いていない部分が多々見受けられるという難点があるのも、また事実である。
それ故に、リリースしたゲームソフトの多くが、
リリース時点で高いスペックを有するCPU、GPUやゲーム機を要求してくる事が多々ある他、
NVIDIA社の「DLSS」を始めとした、各社が開発したアップスケーリング技術に対応しておらず、
ELDEN RINGのレイトレーシング機能が激重である事から最適化が行き届いていない事が察せる程である。- しかし裏を返せば、フロム・ソフトウェアはこのようなハンデを抱えてもなお、
多くのユーザーに高い満足度を与えられるゲーム作品を作れる、
高い制作技術を有しているという証拠にもなる。
それ故、カプコンと同様に2020年代のゲーム市場において、
注目度の高いゲーム企業の1つとして数えられる事が多い。
- しかし裏を返せば、フロム・ソフトウェアはこのようなハンデを抱えてもなお、
作風
- 主な作品はアクションRPG。
「なんだ実写か」と言われる程クオリティの高いプリレンダムービーや美麗なモデリング、
一つ一つの背景や人物像等に画一性と説得力を持たせた洗練されたシナリオ性、
シナリオの様々な所に散りばめられた伏線、
そして「死にゲー」と称される程の非常に高い難易度のハードなゲームで有名。
モンハンの制作会社であるカプコンとの共通点も多いが、
(全てではないものの)フロムはよりコアなゲーマーを対象とした尖った作品が多いのが特徴。- 3Dグラフィックを得意とする会社故に、それを活かしやすいハードやPC向けに開発される作品が多い。
その作りこみの細かさやリアリティから、ファンたちからは尊敬と畏怖を込めて「変態企業」とも呼ばれる。*2
- また、カプコンが苦手とするカメラワークに関してはフロムはかなり優秀な作品が多い。
が、作品によっては「カメラワークのデーモン」や「忍法クソカメラ」*3と呼ばれることもある。
- 3Dグラフィックを得意とする会社故に、それを活かしやすいハードやPC向けに開発される作品が多い。
- 上述の通り難易度の高いゲームメーカーとしても有名であり、
その代表とも言える『ソウル』シリーズでは
ボスの攻撃はもちろん、ダンジョンの仕掛け罠やその辺の雑魚敵にさえ一瞬の油断で致命傷を食らうのが当たり前というほど。
特に高難易度のボス戦では「攻撃さえ当てられれば殺せる、三十分掛けて削り切ろう」と考えさせられる程に
プレイヤーに極限レベルの戦闘技術を要求してくるのである。- 一方で「難易度の高さ」だけがゲームプレイ上の特徴ではなく、
例として前述の『アーマード・コア』シリーズでも一瞬で死ねるレベルの高難度ミッションも多いものの
爽快感重視の簡単なミッションも勿論存在し、搭乗メカのアセンブル(カスタマイズ)によって
苦戦した相手もハメる簡単に撃破出来るようになったりする。
特定の手段で手に入る装備によってバランスブレイカー級の爽快な敵殲滅が出来たりするのは
『ソウル』シリーズや『エルデンリング』等でも同様に見られる。
- 一方で「難易度の高さ」だけがゲームプレイ上の特徴ではなく、
- 作品には過去作のパロディやオマージュ要素を散りばめるのが通例となっている。
『キングスフィールド』時代から姿や設定を変え登場し続ける、
斬撃を光波として放つ『ムーンライトソード(月光剣)』がその代表例で、
最近ではアーマード・コアの登場キャラが元ネタの盗賊「パッチ」なども看板キャラとして定着しつつある。- この他にもかなりマイナーな自社タイトルから敵やアイテムの発想を引用しているものが数多くある。
関心があれば、探してみるのも一興であろう。
- この他にもかなりマイナーな自社タイトルから敵やアイテムの発想を引用しているものが数多くある。
- アーマード・コアやソウルシリーズを含め、フロム製ゲームは世界観が暗くシリアスなものが大半を占める。
これはフロム社へのインタビューによると「活気有る街等を再現させるのに大量のNPCを必要がある事から、その手間を省くため」と語られているらしい。
また、作中に数多く張られた意味ありげな伏線のようなものが目立つ作品が多い一方、
それに関する公式からの具体的な返答がされることは稀なため、
その作品の世界観や設定を熱心に考察するコアなファンが多い。
そして、中にはその考察を妄想レベルにまで行うようになってしまう人もいる(通称「フロム脳」)。
少なくとも2024年現在まで、フロムはこの方針を維持し続けている。
モンハンとの関わり・小ネタ
- 何故モンハンとは縁遠いはずの会社の記事があるのか…?と思った方もいるであろうが、
実は『ぽかぽかアイルー村』シリーズの開発に抜擢されているのである。
さすがにアイルー達が主人公のほんわか狩猟生活では独自の変態性を発揮できない…
と、思われていた。- アイルー達のAIを通常通りに作るには、1500行のプログラミング言語における構文を作る必要があった。
これは開発チームを総動員しないと作りきれない量な上に
アイルー村は少人数で進めるプロジェクトだったため、
AI専属のプログラマーを配置するということは難しかったという。
そこでフロム・ソフトウェアは「アフォーダンス指向」という考え方を提案。
詳しくはリンク先に譲るが、簡単に言えば
「システム上はアイテム側から選択肢を提示し、そこからプレイヤーが選ぶ」という形。
この発想の転換といえる方式によって、
プログラムの行数を個人で製作可能なサイズまで縮めた上で、
アイルー達に1500行の時と同じ挙動をさせる事が出来たという。
- アイルー達のAIを通常通りに作るには、1500行のプログラミング言語における構文を作る必要があった。
- ゲーム内での小ネタを見ていくと、
モンハンとソウルシリーズは共にリアル寄りのファンタジー世界がモデルということもあり、
身の丈を越すような巨大な「特大剣」「大曲剣」や投げナイフなど、似通ったアイテムの登場も多い。
……そしてよりにもよって、
糞を投げて戦闘に使うというニッチな点が共通していたりもする。
しかもあちらで投げられるものは明らかに人のもの。- ちなみにダークソウルの糞団子は敵を追い払うものではなく、
ぶつけた相手と使用者自身に毒を蓄積させるというものになっている。
モンハンの方にもそういう効果があっても良かったかもしれない。 - なお、SEKIROには獅子猿という屁と糞を攻撃として使ってくるモンスターがいる。
ちなみに見た目はこちらに近い。
- ちなみにダークソウルの糞団子は敵を追い払うものではなく、
- 『SEKIRO』は中世日本をモチーフとした世界観、忍者がテーマの一つ、ということで
MHRiseシリーズと何かと共通点・類似点が多い。
具体的にはワイヤーアクションが可能であったり、
河童モチーフと思しい敵や紫の怨念を放つ、大槍持ちの落ち武者風の敵が登場する点など。- 『SEKIRO』で主要キャラクターを演じていた声優が、Riseでも主要キャラクターの声優を務めている事例も多い。
中でも里長フゲンと同じ土師孝也氏が演じた
「大忍び、梟」は大太刀を振るう高齢の忍びであり、主人公とは親族のような間柄であるなど
要素を抜き出せばなかなかフゲンと似通った立ち位置のキャラになっている。
人柄から受けるイメージは真逆と言っていいが…。
- 『SEKIRO』で主要キャラクターを演じていた声優が、Riseでも主要キャラクターの声優を務めている事例も多い。
余談
- 前述のアイルー村の一件があるためか、モンハンとのコラボを望む声が散見されるが、
今のところフロム・ソフトウェアとのコラボは実現していない。- 仮にコラボが実現したならば、
『キングスフィールド』や『ダークソウル』シリーズ、
『SEKIRO』などファンタジー系のARPGを多く手掛けているだけに、
イベント武器として「これを実装してほしい!!」と様々な武器を挙げるファンも多い。
上でも触れたフロムの伝統「ムーンライトソード」はまさにその筆頭である。 - 他方で『アーマード・コア』のようなSFロボットゲームや、
ファンタジー系ながらすべてのメイン武器が大胆な変形機構を備えている*5『Bloodborne』も扱っているため、
現状イベント武器が少ないボウガン系やスラアク、チャアクといったメカニカルな武器の実装にも期待できるところ。
- 仮にコラボが実現したならば、
- 現在のカプコンとはパートナーメーカーという関係にあるらしく、
カプコン公式通販サイト「イーカプコン」では、
カプコンとは直接関わりがないフロム・ソフトウェア開発のゲームも販売されている。
日本では入手困難な海外限定版も売られているため、フロムファンは是非チェックしてみてほしい。
- アーマード・コアシリーズの新作関連の話題になるとよく言われる
「身体は闘争を求める」はとあるTwitterユーザーの投稿がミーム化したものであり、
フロムゲーやアーマード・コアに元々存在する単語では無い。
それをアーマード・コアのキャッチコピーと誤解して使用する事は
歴戦のACプレイヤー達からの怒りを買いかねないので注意しよう。
関連項目
シリーズ/モンハン日記 ぽかぽかアイルー村
武器/キャロムボール - 強化後の「エイトボール」、「ナインボール」は『AC』シリーズにもキャラクターの名前として登場*6。
システム/環境生物/イシモリトカゲ - フロム作品のあるシステムに酷似した要素を持つ生き物。
防具/プケプケシリーズ - MR版のデザインが『Bloodborne』の狩人に似ていると話題になった。