艦長時空のお話

Last-modified: 2024-05-09 (木) 23:27:28

艦長時空の解説
新人は知らないし今後体験する機会もないだろう、かつて展開された続きもののイベントストーリー



 

艦長時空の基礎知識

第一部と並行して展開された艦長なる人物を主役とする一連のイベントストーリー
この物語は量子の海を舞台とし、世界の泡出身のキャラたちがメイン級として登場する
彼女たちは本編時空のキャラと見た目はそっくりであるが別の人生を歩んできた別人であり、性格も割と違う
そして一部はプレイアブルキャラとして実装されている
まあ詳しく把握してる「」長なんて少ないし、そんなものもあるんだ~ってくらいに掴んでおけばいいよ

ハイペリオン

量子の海を航行する超時空戦艦、艦長のハイペリオンと船頭のハイペリオンで2隻ある
何かしらの目的を持って量子の海に浮かぶ世界の泡(閉じた狭い平行世界)を探索している
艦長らが世界の泡の中に干渉する時には、その世界の誰かしらに意識を投影しており、投影中の見た目はその都度変わる
その過程で泡に居場所のなくなった者を新しい船員として拾ったりもする

世界の泡

量子の海に浮かぶ内部空間を持つ泡、主にイベントの冒険の舞台になる
本来はすぐに押しつぶされて量子の海を満たすエーテルの揺らぎになるが、エーテルアンカーという特殊な装置があれば永続的ではないものの内部空間を維持することが出来る
大陸数個分あるような世界もあれば、ビルの屋上くらいの空間しか残っていない世界もある
詳しい設定的な話は設定を参照
往々にして扱われるのは本編のプレイアブルキャラ達によく似た人がいる世界
ただし、似ているだけで立場や性格の違う完全な別人

艦長時空人物相関図

長い夢が去る前に」終了時点での相関図
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登場人物

艦長陣営

艦長の船に乗ってるのは伏龍(諸葛孔明テレサ)、リタ(ロストローズマリー)、ブロニー(ハッカーバニー)、シーリン(ミラクル☆魔法少女)、アスカ(版権の都合で出てこない)
伏龍とリタが日夜正妻マウントバトルを繰り広げたかと思えば数秒後には百合イチャコラしてるハーレム艦

艦長

一人称が艦長とかいう狂った男
だいたい主人公、度重なる投影で自我が混濁気味

伏龍

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イベント『星と君が消えた日』で艦長(刺客さん)の船に乗り込む
テレサとはだいぶ性格が違い、自分にも他人にも厳しい
伏龍は愛称で本名は諸葛孔明、その名前に相応しい天才、ただし軍師ではなく煌帝国皇帝、えらい
『崩壊戦記』、『艦長の奇妙な冒険』、『崩壊戦記・零』、『星と君が消えた日』、という1年かけて語られた4つのイベントをまたいで登場して最終的に出身の世界の泡の法則に拒絶されてしまっており、宰相リタをはじめとした大切な人たちと別れざるを得なくなってしまった
そんな結末を辿らせてしまったことを艦長は今でも悔やんでいる
リタやブロニーのように世界の泡に介入する能力を持たず、イベントに出てくる場合はハイペリオンで指揮を執る軍師として参加
艦長の正妻

リタ(ローズマリー)

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イベント『ローズマリーの花詞』で艦長の船に乗り込む
髪がロングになって狂犬っぷりが落ち着いたリタさん、ほぼ本人
つまりロリコンなのは変わらず
記憶喪失になる前からの艦長の知り合いで、艦長とは将来を誓い合った仲
おそらく『長月の夢』のロスヴァイセ、設定的に他の子らより高次元の存在らしく艦長同様投影も行える
艦長のお嫁さん

ブロニー

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イベント『ネオンシティ天穹』で艦長の船に乗り込む
本編のブローニャとは似ても似つかない丁寧語で人をおちょくるメスガキ
世界の果てのさらに先が見たくて自力で次元を超えてハイペリオンに乗り込んできた密航者
この量子の海を巡る旅を終えたら故郷の天穹市で待つ嫁のテレサと親代わりのキオラのところに帰るつもり
気分屋だがなんだかんだ艦長達には恩義を感じている

シーリン

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イベント『長い夢が去る前に』で艦長の船に乗り込む
冒険に憧れる気持ちを友人たちに背中を押されてついてきたツンデレ魔法少女
大人ぶって冷笑的な態度をとりがちなところをよくブロニーに煽られているがなんだかんだ悪友
大人ぶってるだけで子供っぽく調子に乗りやすいところは本編のシーリンと同じ


船頭陣営

船頭の船に乗ってるのは八重霞(夜隠ノ霞)、Δ(ロザリアの増幅コア)
Δの個人船にロザリア(バカ)、リリア(アホ)

かつての搭乗員はリタ、テスラ博士、鉄拳さん、泉の精霊、水色バッジの所有者

船頭

ダーク…というより艦長が光すぎるだけで相対的に影になってるだけの艦長
こっちの一人称は普通に私
各世界の泡のエーテルアンカーを集めるために暗躍しており、その最終目標は泡同士を合体させて巨大な泡を作ることらしい

八重霞

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イベント『霞隠散華抄』で船頭の船に乗り込んだサイバーニンジャ
カレンの生死以外おおよそ本編の500年前と同じ経緯と末路を辿って地蔵御霊ごと封印された八重桜のクローン
霞隠散華抄世界の八重桜の意識はこのクローンボディに移ったから封印される前の記憶は失ってるけど本人
だからイベント産のキャラにしては、「」長の知る本編の八重桜とあまり性格に差がない
ただしカレンへの感情は色々と複雑

Δ(デルタ)

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イベント『崩壊冒険譚』で船頭と行動を共にする
重傷を負ったリリアを取り込んだロザリア、あるいはロザリアの身体を乗っ取ったリリア、だからダークヒーロー化してる
全く寝ないと言っていいほどの不眠症だったり、尻尾が片割れのように振舞ったりと色々湿っぽい
本人によるとごはんはイマイチらしい、あの女に料理を習ったけど才能がなかったとか言ってた
船頭の船とは別に個人の船を所有しており、その個人船に別世界出身の双子も乗り込んでいる
在りし日に思いをはせつつ双子の世話をしている

ウォッカガールズ

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本編と全く同じ性格のいつものバカとアホな双子
『崩壊戦記・零』の最後で伏龍にどこの世界からか召喚され、そのまま伏龍のイベント4つの全てに関わった末に、また色々な世界を流され、いつの間にかΔさんの船に転がり込んでた


その他

テレサ(月下の抱擁)

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実験体A-872、オットーがカレン復活のために生み出した数いるテレサの中の1人
『長月の夢』から続く一連の艦長時空の鍵となるテレサで、艦長が記憶を摩耗しながらもずっと探している人物
A-872自身は警戒心こそ強いものの聞き分けの良い大人しい性格をしているが、吸血衝動をコントロールしきれないところもある


長月の夢

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Ver.2.5
若姫子原罪の狩人カレン吸血鬼テレサ

プロローグ

ふと目を覚ますと、艦長は姫子という女性から蒼海市連続吸血急襲事件の容疑者として取り調べを受けていた
極秘裏に開発中の戦艦の名を答えた事で、艦長は身元の確認ができるまでの間半ば強制的に深夜に自称蒼海市自警団団員である姫子の調査を手伝うことになる
そして深夜、街灯と月明かりが路地裏に入り乱れるように光を落とす中、艦長は地面に倒れた弱った少女に出会う

解説

オットーからの任務で、カレンが死なない世界を探すため艦長が初めて意識投影を行う、恐らく長らく続く続き物の最初にあたる話
【コレクション】→【アルバム】からいつでも読める
吸血鬼テレサ、若姫子、カレンの3人が登場するが最終的に誰も救えないという後味の悪いお話
この時の艦長はオットーが持つ神の鍵で意識投影を行っており、まだ自発的に行っていない

あらすじ

1章:月下の抱擁

姫子とは分かれて調査することになった艦長は、路地裏にて一人の少女が倒れているのを見つける
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抱き上げた際に噛みつかれるも、弱りきった彼女の歯が艦長の皮膚を貫通することはなかった
艦長は件の吸血鬼と知りながらも、苦痛に顔を歪める少女を放っておけず、自分の指を噛み切って少女に血を飲ませ、次第に呼吸が安定していく姿を確認した後、艦長は少女を置いて合流場所へと戻る

翌日、少女と別れた場所で意識がある状態で冷たい空気を纏った少女と相対する
幾つかの問答ののち、少女は艦長に取引を持ちかける
事件に関係のある人物の話を教える代わりに彼女の願いを叶えて欲しい、と
艦長は出来る範囲なら受けると答え、少女も了承する、彼女の名前はテレサ、テレサの願いは――

少女改めテレサは、屋上から見える蒼海市の景色に興味津々で、
威圧感のあった先程と打って変わって年相応の無邪気な表情を見せていた
テレサの願いは本から想像する世界ではなく、ただ本当の街の灯りや人々を知りたかっただけ、
その平凡な願いとも言えない願いを聞いた艦長は、今日は無理でも明日、明日がだめでも明後日も付き合うと、そんないたたまれなくなった艦長の気持ちをテレサは迷いなく断る

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テレサはオットーがカレンを蘇生させるためだけに作られた人形であり、彼女の部屋にあるのは与えられたのは本だけで外の世界を知らなかった
話し相手はオットーと血を飲んだ時だけ目を覚ます姉のカレンだけ、
後は頻繁に輸血パックを飲む事と、半月に1度カレンの血を飲むことがテレサの全てだった
それでも少女は1つだけ願った、本に描かれた外の世界をひと目でもいいから見たいと

カレンの協力もあってテレサは外の世界に出たが、
人類を前にして、テレサは人間の血を飲みたいという衝動が抑えられなくなっていった
本能に必死に抗っていたが、気付いた時には口元に付いていた鮮血が少女が何をしたのかを物語っていた

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語り終えたテレサは、自我が残っているうちに街を出ようとしていた
そして出ていく前に、最後のわがままとして艦長と一曲踊る事を願った

踊りながらもテレサは語る、自身の不安な感情と、どうして人形がこんな気持ちを持ってしまったのか、助けを懇願するような顔で艦長を見る
それを見た艦長は、明日だけ、1日でいいからホムランドに行こうと約束し、テレサは少しの間押し黙り、やがて小さくうなずいた

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翌日、艦長は少し遅れて屋上へ向かう
しかしそこに居たのは姫子とカレン、そして虫の息のテレサの姿だった
ホムランドへ行く約束を果たそうとするテレサと、既に被害が出ており、連れ出した責任としてとどめを刺そうとするカレン
艦長は急いで割って入り、止めに入るが、自我を失ったテレサが艦長の首へ噛みつき、艦長の命を抜き取った

2章:極地の戦刃

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自身の叫び声で目を覚ますと、変な角の髪飾りを付けたメイドさんが艦長を見つめていた
投影による記憶障害で誰かわからない艦長だが、メイドさんからカレンが死なない未来を見つけるのが任務という忠告を聞いた後、再び意識を手放す

そして時は調査初日に戻る
同じようなことがあった気がすると記憶が定まらない艦長であったが、おぼろげながら白髪の少女が頭をよぎり、今度は分かれず姫子と一緒に調査することになる
そして路地裏で倒れている弱った少女と出会う、1度目と同じように抱き上げ――
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テレサが艦長の首に噛みつこうとした時、姫子がとっさにかばって腕を噛まれる
艦長が助けようと突進したことでテレサが意識を取り戻し、小さく謝りながらその場を立ち去る
姫子の命に別状がないのを確認した艦長は、姫子の部屋まで背負って連れ帰り、傷口の処理を行った

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2日目の夜、怪我を様子を見るために調査を中止し、安静にする名目で二人は夜風に当たりながらビールを飲む
姫子は酒の勢いで身の内を語りながらも少しずつ睡魔が襲い、もうすぐ終わる、の言葉を最後に眠ってしまう
艦長はそんな姫子を背負いながら部屋に戻った

3日目の夜、姫子の部屋で目を覚ますも二日酔いのせいでグロッキーな艦長
部屋に姫子が見当たらず、電話もつながらない
嫌な予感がした艦長は待ち合わせ場所に使っていたホムレストランへ急いで向かった
そこにも姫子の姿はおらず、次に吸血鬼テレサの場所へと向かう
それまで何度電話を掛けても繋がらなかったが、姫子の電話のコール音が夜風に乗って聞こえた
コール音のする方へ走って向かう艦長、段々大きくなってきたところで電話がつながる
しかし、電話越しで姫子が発するのは別れの言葉であり、その後に続いたのは銃声だった

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艦長が銃声のした方へたどり着くと、そこにいたのは仰向けに倒れた姫子と立ち尽くすカレンだった
姫子を殺したと自負するカレンに対し、艦長はどす黒い感情を抑え、カレンに殺した理由を問う
カレンは何も答えず、ただ資料を投げ渡した

資料には融合型崩壊獣ヴィシュヌの細胞と侵蝕の鍵のエネルギーを混ぜ合わせた実験体A-872の事が書いてあった
A-872は血を吸うと細菌型崩壊獣を他者の体内に送ることができる
細菌型崩壊獣に感染した者は、48時間以内に半分人間、半分崩壊獣のような存在になる
感染者の場合は感覚を失い、記憶も曖昧になり、吸血衝動に駆られることになり、A-872と命を共有することになる
感染者が血を吸えばA-872に力が還元され、A-872さえ無事なら感染者は永遠に近い命を得られる
細菌型崩壊獣の力は死者にも通じる可能性がある

以上の資料からA-872はテレサの事である事がわかり、カレンはテレサに血を飲まれた感染者である
姫子もテレサに噛まれた事で感染者となり、カレンは姫子に全てを話したが、姫子は人として死ぬことを選んだ
呆然とする艦長に連絡先を渡し、カレンはテレサの討伐に向かった
残された艦長は宿泊場所に戻り、逃避気味に意識を手放した

3章:原罪の狩人

涙が乾ききらないまま、メイドさんに見つめられた状態で目を覚ます艦長
意識投影の同期が完了したことで艦長はリタの名前を思い出し、これまでの事も全て思い出す
そして艦長は1度目と2度目の記憶を保持したまま、全てを救うため、もう一度1日目の調査時点へ意識投影を行う

調査初日の夜
艦長は姫子の感染を避けるため、1度目の行動にならって姫子と別行動を取り、倒れているテレサに指を噛み切って血を分け与え、姫子と合流する
その後、予め2度目の最後で手に入れたカレンの連絡先を使い、会う約束を取り付けていた艦長は、カレンと二人で話すことになる

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ホムレストランで食事をしながら艦長はカレンの信頼を得るため、2度目のテレサ…A-872の資料を見て得た情報を話し、天命本部の特別調査員と偽った
A-872は天命のトップシークレットであり、オットーの許可がなければ詳細を知る手段がないため、カレンは艦長の事を信じることになる
艦長はテレサの消息を告げるのを条件に、次の日の3時までテレサに手を出さない事をお願いした

2日目の夜、艦長は路地裏でテレサと相対する
1度目と同じように問答後取引をし、屋上で蒼海市の景色を見せ、一緒に踊る
そして人形なのに揺れる自身の存在に悩むテレサに、艦長は1度目に言えなかった言葉を告げる
「人形なんかじゃない、悩むのも、もがき苦しのも、生きている証だ」と
その言葉を聞いたテレサは自然と涙を流す、テレサは誰かに今を生きている人として肯定してほしかったのだ
しかし、そんな空気を壊す銃声があたりに響き渡る

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急いでテレサを逃した艦長は、銃声のした方へと向き合う
テレサの最後の願いを叶えたい艦長、危険すぎるテレサをこれ以上放置できないカレン
二人の思惑は対立することになる

カレンは500年前に既に亡くなっており、テレサの力を使って蘇生したに過ぎない
テレサとの命の共有で一時的に蘇生しているだけなので、テレサを殺せば当然共有者のカレンも死ぬ
これ以上犠牲者を出さないために、カレンはテレサ共々死のうとしていた
蘇生された事自体を小さく恨みながら

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テレサに対する優しさを見出したカレンは、銃を逆手に持ち、艦長に銃を託す
テレサとカレンに致命傷を与えられる弾が1発だけ入った特殊な銃
既にテレサを殺すことしか選べないカレンに代わり、艦長に選択肢を与えることにした、どちらを撃つのかと
そしてカレンは艦長を置いてテレサを追った

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艦長がカレンに追いついた時、既に戦いは始まっていた
カレンの連絡を受け、テレサを足止めしていた姫子は負傷して片膝を付いている
まだ最後の願いを叶えてないテレサ、殺してでも阻止しようするカレン

艦長は銃を構える
テレサを撃てばカレンも死ぬ、カレンを撃てばテレサは死なずに済むかもしれない
艦長は――

テレサを撃った

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引き金を引き、その弾がテレサに命中する
テレサの意思か、崩壊獣の意思かわからないが、撃たれたテレサは艦長に恨み節をぶつける
そして弱りきったテレサは最後に何かに触れようとして灰となって崩れ去った

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同時にカレンが糸が切れた人形のように倒れる
抱き起こしたカレンは既に呼吸をしておらず、だがその顔は開放されたかのように安らかだった

カレンを撃った

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引き金を引き、その弾がカレンに命中する
その場によろめき倒れるカレンを艦長は抱き起こす
カレンは選択を艦長に任せた自身の弱さを謝罪し、決断してくれた事に感謝した
その後、カレンの体は灰となって崩れ去った

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残ったテレサは既に自我を失っており、血を求めて艦長を押し倒す
艦長は何度もテレサに呼びかけるが、瞳に狂気にを宿した彼女は涙を流しながら斧を振り上げた
「いや…やめて…」
最後の最後でテレサはわずかに自我を取り戻すが、それが艦長が聞いた最後の言葉となった

エピローグ

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意識投影が解除され、目を覚ます艦長
目の前には微笑む金髪の男、オットーがいた
カレンを助けられなかった事を謝る艦長だが、オットーはどう選択しても最後にカレンが死ぬことを理解していた
艦長は最後、銃口を向けるのにためらったことを反省していると
オットーは「それは君が優しすぎるからだ、優しい、正しい人は生きづらい、この世界は優しくも正しくもないから、だから僕に優しさなんて必要ない、わがままに奪うだけ、欲しい結末を手に入れるまで」と答えた
それも一種の優しさと評す艦長だが、それは錯覚だとあしらわれる

そしてオットーは意識投影するための神の鍵が再起動まで48時間あるから、それまで艦長に休むように命令する


双子・侵入 海淵遊園地編

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Ver.4.1
ロザリアリリア

プロローグ

復刻したら書く

解説

話の内容自体は特に関連性のないイベント話(のはず)だが、大事なのは最後
律にゃんのバイクで轢かれて双子が量子の海へ飛び込み「崩壊戦記」の伏龍に召喚される

あらすじ

復刻したら書く

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何らかの理由でテスラが双子を量子の海の監獄に放り込んだが脱獄
その後いろんな世界を超えてこの海淵遊園地へ
神州料理対決以来の濃厚なリタテス描写にリタテス派「」長の聖書になった
キテル…


崩壊戦記

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ver3.1
伏龍編第1章
ロザリアリリア伏龍

プロローグ

宰相『リタ』とアイドル皇帝『テレサ』の率いる煌帝国、英雄王『フカ』と天子『キアナ』の率いるシックザール教国、海賊王『姫子』と参謀『ブローニャ』の率いるヨルムンガンド連邦、の三国が国境を挟んでにらみ合う世界
そんな中、煌帝国の初代聖賢王と宰相リタが不老不死の願いを叶えたという伝説のある海底祭壇が起動
これを巡り三つ巴の戦いが始まる
この世界に流れ着いた艦長、ロザリア、リリアの三人は生き残ることが出来るのだろうか

解説

陣営戦
最初にどの陣営に艦長が配属されるかはランダム
配属される陣営によって話は違うが、艦長と双子を主役として物語が展開し、最終的に三人は海底祭壇に足を踏み入れることになる
艦長を主役とした一連のイベントの艦長視点での始まりのお話
ただしこの世界の時系列としては崩壊戦記・零の1000年後で星と君が消えた日の3ヶ月前

あらすじ

海底祭壇に辿り着いた艦長と双子
実はこの世界はこの海底祭壇を巡る三つ巴の戦乱を何度もループしており、その元凶は海底祭壇の「なんでも願いを叶える」ゴーレムに変な願いをした双子だった
双子だけはこのループを自覚しており、進まない時間に困り果て、自分たちがこの世界に召喚された方法を真似して艦長を召喚し、再び海底祭壇を目指す手助けをさせていたのだ
その結果無事にループは解消され、海底祭壇が再び機能を停止したことによって三国の三つ巴の争いも終わるのだった


艦長の奇妙な冒険

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ver3.3
伏龍編第2章
ロザリアリリア伏龍

プロローグ

夏休みを利用して船でバカンスに向かう艦長と聖フレイヤ学園一行
しかし突如として船が沈没
目を覚ますとそこは怪物のうろつく無人島だった
とりあえず歩き回ってはぐれた仲間達と合流してこの島を脱出しよう!

解説

クソシュー
ハーブシナリオで有名
初っぱなから艦長が2人に分裂してたり、八重村でひぎょをむさぼり食ったり、わらわのわらわのわらわらわらでお前は何重桜?だったり、ゼーレとブロにゃんの悲しい別れ…→と思ったら氷の下で引きこもってただけでお姉ちゃん何やってるの…?→gameoverだったり、頭がおかしくなる
しかもこのハーブシナリオが伏龍編の入れ子状構造の時系列の中でだいぶ重要なポジションだったりする 勘弁してください
だいたいギャグシナリオで、続き物として語られるのは最後の方だけ

後にここで登場した吸血鬼テレサは 赤い月が沈んだ後に にて、別人のふりをしていた長月の夢のA-872テレサ本人と判明する
更にこの島で見知った顔やわらわらわらわが沢山いたのは、この島自体が各世界の泡の記憶が流れ着き、静止した時空の中で混ざった「世界の泡の残響」だったからとリタさんから説明された
このイベント復刻しなかったのに後から重要な要素にしすぎじゃない? 勘弁してください

あらすじ

“あのお方”の命令を受けた?と言いながらどうにも命令を間違えて襲ってくる双子の妨害をはね除けながら島を探索していく艦長
ついに島の中央にある塔で艦長Aと艦長Bと聖フレイヤ学園一行とアインテスラは合流をはたした
そこに双子と“あのお方”、つまり聖賢王伏龍が現れる
ここで艦長Aと艦長Bの記憶が戻る
崩壊戦記のお話の後、艦長と双子はループは解消されたものの元の世界に戻ることができず途方に暮れていた
そこで艦長と双子は隠居の身にある伝説の聖賢王『伏龍』を訪ねた
伏龍は3人を元の世界に戻す陣法を用意し発動したが、ここで事故が起こる
艦長の崩壊戦記世界に対する未練に反応した陣法が暴走し、伏龍を巻き込んで艦長と双子を元の世界ではなくこの無人島のあるまた別の世界に飛ばしたのだ
つまり、艦長Aと艦長Bは、(崩壊戦記世界に呼び出された艦長+最初に難破した無人島世界の艦長)÷2の結果生まれた2つの存在だった
とりあえず今度こそ伏龍の力で元の世界に戻れる…はずだったが→星と君が消えた日


霞隠散華抄

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ver3.6、ver5.2(復刻)
八重霞

プロローグ

人はなぜ…
愛されることに拘るのか?
長い年月の中で
妾はずっとそれについて考えていた
それはきっと
「今を生きる」自分のことを永遠に好きになれないから
そう妾に教えてくれた人がいた
彼女がまだ「彼女」であった時
しかし今日になってもなお
妾はその言葉の意味を理解できていない
故に、汝を見続けるしかなかった
彼女のために生まれた汝を
汝から
彼女が口にしなかった言葉を見つけるまでは
なにせ……
汝は昨日の妾、妾は明日の汝じゃから
妾は何の答えも持たぬ
汝にかけられる言葉もない
それでも
昨日の自分に何か言わねばならぬのなら……

解説

八重霞のテーマイベント
本編の世界に近い歴史を持つが、カレンが極東で500年生き続けている世界の泡を舞台にした話
天命の暗部に所属する霞は大主教オットーの命を受けて派遣されてきた極東の地で今回の任務に隠された真の目的、そして自身の出生の秘密を知ることになる

あらすじ

極東に降り立った霞は船頭なる人物のサポートを受けながら八重城への潜入を開始する
目標は500年生きると伝えられる城主カレンが開発したという常軌を逸した力を持つ6つの呪印である
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呪法の争奪戦は城主カレンの配下の影軍団首領『雷電芽衣』、影軍団元首領『雷電龍馬』、城下町を支配する不夜天の首魁『リタ』、謎の怪盗『黒羽』など様々な思惑が交差し、混迷を極める
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5つの呪印を集めた霞は、6つ目の呪印を奪うために城主カレンの待つ天守閣に忍び込む
そこには刀で胸を貫かれて磔にされている、自分そっくりの身体があった
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彼女は八重桜、500年前にその身体を捧げ地蔵御霊を封印した城主カレンの恋人
崩壊エネルギーによって見た目には500年前から変わらぬ若々しさを保つその身体は、その実朽ち果てる寸前にあった
そこにリタ──不夜天の首魁は仮の姿で真実は天命が極東に置いた駒──が現れ、この任務の裏側に隠された本当の計画を霞に明かす
八重桜の肉体の限界を悟り、地蔵御霊の封印が破れることを恐れたカレンは天命のオットーを頼り、八重桜の代わりを果たす別の肉体を用意させた
それが八重桜の細胞から作られたクローン、八重霞であった
予定通り極東に派遣された八重霞は6つの呪印を手に入れ力をつけ、八重桜の代わりに封印の依り代にされるはずだった
しかし、怪盗黒羽として八重霞と接触した城主カレンは、霞こそ桜の生まれ変わりだと確信し、二度も愛した人を失うことは出来ないと計画の放棄を決めた
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カレンは自分の持つ最後の呪印を解放し、自分ごと地蔵御霊を世界の外側に追放することを選んだ
愛した人を失い、生まれた意味を失い、残された霞は生きる気力をも失っていた
「その時、彼女はそう聞いた。」.jpg
そんな霞に船頭は説く
今は生きる意味も見えなくなってしまっても、あなたを必要とする人は必ずどこかにいる、そしてそういう人に求められた時、我々のような人間は初めて己を赦し、己を愛することが出来るようになるのだ、と
その言葉に一筋の希望を見た霞は、船頭について見知らぬ地へ行くことを決めた


崩壊戦記・零

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ver3.9、ver5.3(復刻)
伏龍編第3章
伏龍鉄拳さん

プロローグ

世界の泡の外から来た艦長が降り立ったのは、先代皇帝が崩御し混乱のまっただ中にある煌帝国
先代皇帝の遺言で跡継ぎに指名されたのは、天才と名高い皇太孫・諸葛孔明、またの名を『伏龍』
しかし即位を前にしたある日、伏龍は皇城を抜けだしいずこかに消えてしまう
消えた伏龍の行方をめぐり、宰相『リタ』、第二皇女『キアナ』、将軍『デュランダル』、そして伏龍の命を狙う何者かの策謀が交差する
はたして艦長は相棒の武装人形『テスラZERO』と共に伏龍を守る使命を果たせるのだろうか

解説

陣営戦
最初にどの陣営に艦長が配属されるかはランダム
陣営によって導入は違うが、トップから伏龍の捜索を依頼される流れは同じ
以降は全て共通で結末も変わらない
零というだけあって無印の崩壊戦記の1000年前のお話
ただし、艦長の視点では崩壊戦記、艦長の奇妙な冒険、星と君が消えた日の後のお話となっている
ちなみに実装順は崩壊戦記(2019年6月)→艦長の奇妙な冒険(2019年9月)→崩壊戦記・零(2020年6月)→星と君が消えた日(2020年7月)
一部に神州仙遊記(2020年2月)を下敷きにしたらしき展開があるが、あちらはほぼ本編時空のお話なので単なるセルフオマージュ

あらすじ

ご褒美
色々あって伏龍と合流した艦長
しかし、伏龍からは刺客と思われて警戒される
なんだかんだあって絆を深め誤解は解けたものの、「刺客さん」呼ばわりは最後まで続く

伏龍が城を出たのは復活が予測される強大な妖獣、至陽の獣・禍斗を封印するため
そのための陣法を帝国各所に設置しながら、その傍らで暗殺を企む何者かをあぶり出す企みを宰相リタと叔母のキアナと進めていた
無事陣法を設置し逆賊ジャッカルを排除した伏龍、艦長、テスラZERO、宰相リタは禍斗の出現する海底祭壇に向かう

海底祭壇でなんとか禍斗を封印した一行
しかし祭壇には艦長の奇妙な冒険で破壊された「なんでも願いを叶える」ゴーレムが半壊状態で流れ着いており、その効果で伏龍と宰相リタは不老の身体を手に入れてしまう
ここでエネルギーを消耗したテスラZEROがスリープモードに入り、艦長の意識はこの世界の泡から離れる

その後、伏龍は煌帝国皇帝に即位し、初代聖賢王として宰相リタとともに1000年間君臨することになる

そして1000年後、隠居した伏龍はもう一度あの『刺客さん』に会いたくなり、残されたテスラZEROを媒介に召喚の陣法を発動する
しかし、そこに現れたのは知らない赤青の双子だった
そう、ここから無印の崩壊戦記の話が始まる


星と君が消えた日

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ver4.0、ver5.3(復刻)
伏龍編最終章
伏龍鉄拳さん

プロローグ

艦長の奇妙な冒険の最後で聖賢王『伏龍』に元の世界に送り出されたと思っていた艦長
しかし、艦長が目を覚ましたのは三つ巴の戦乱から3年後の崩壊戦記の世界だった
目を覚ました艦長とそこにいたアイドル皇帝『テレサ』は煌帝国の兵士に捕らえられ、煌帝国の玉座に戻った聖賢王『伏龍』の前に引き立てられる
やさぐれ伏龍
そこにいたのは確かにあの伏龍だが、艦長の知る尊大ながらも優しい彼女ではなかった
英雄王と海賊王
そこにシックザール教国の英雄王『フカ』とヨルムンガンド連邦の海賊王『姫子』が連れてこられ、目の前で残忍な処刑が執り行われた
なぜこんなことをするのかと訪ねると、復讐のためだという
伏龍が艦長と双子の騒動に巻き込まれこの世界を離れていた3年間封印が更新されなかった結果、至陽の獣・禍斗の封印は解けかかっていた
イベント冒頭で艦長が目覚める3ヶ月前にこの世界に帰還していた伏龍は戻ってすぐに禍斗の討伐に乗り出し、隣国2国に協力要請を出したが、黙殺されたという
その結果煌帝国は独力で禍斗と戦うことになり、その中で宰相『リタ』が戦死した
伏宰キテル…1
伏宰キテル…2
リタを見殺しにした償いはさせなければならない、だから殺したのだという
そして討たなければならない仇は、もう一人いると
飲まずにいられないッ!
伏龍は無気力に毒酒を飲む
そして倒れ、艦長に語る
死にかけの伏龍1
「今やっと確信できた、自覚はないのだろうけど、やっぱりアナタはあの刺客さんだった、きっとアナタには時間を超えるような力があるはずだから、もしそうなら、お願い、煌帝国を…リタを助けて…」
死にかけの伏龍2
その時1000年間眠っていたテスラZEROが輝き、時間溯行が始まる

解説

伏龍のテーマイベント
「星と君が消えた日」はこのイベントの劇中で流れるテーマソングであり、崩壊学園のテレサのテーマソングでもある
伏龍をめぐる艦長(刺客さん)の冒険の最終章
破滅の正史を覆し、偽史の中で幸せな結末を掴むお話

あらすじ

目覚めたのは3ヶ月前、リタが戦死するあの日
隣国の援軍がないことなどを知った伏龍らは全力で禍斗の迎撃にあたり、なんとかこれを犠牲を出すことなく討伐できた
やったーリタさんかっこいい!1
やったーリタさんかっこいい!2
艦長は禍斗と共に海へと落ちていったが、気づいた時には元の時間、3ヶ月後に戻ってきていた
そこでは、煌帝国が教国と連邦の奇襲にあい、帝都を焼かれ、滅びのただ中にあった
そして大樹の骸に佇むリタは語る
伏龍は戦死した、と
またしても艦長は彼女を救うことが出来なかった
国敗れて山河あり
二度目の時間溯行
隣国が帝国に攻め入るのは、禍斗討伐のために送った援軍が帰還しなかったことが理由である
艦長はこれを調査しに赴き、何者かの計略にはまり壊滅の危機にあった教国と連邦の援軍を救出する
これによって両国の煌帝国に対する誤解は解け、戦争の危機は回避された
伏龍様とデート1
伏龍様とデート2
その後気づいた時には、艦長は再び元の時間へと戻されていた
そこには七夕祭りのただ中にあって少し忙しそうにしている伏龍とリタとテレサがいた
今回は誰の犠牲も出ていないことを確認し、安堵する艦長
やっと伏龍とリタは誰も欠けることなくこの夜を迎えることが出来たのだ
しかし、この穏やかな七夕祭りの中でも、蠢くものがあった
結果的に、艦長はこの夜を何度も繰り返すことになる
いつも最後には伏龍が殺されるから
死んだ伏龍1
死んだ伏龍2
伏龍の死という果を避けるためにその因をたどって阻止すれば、思いもしないところから別の因が生えて再び伏龍の死という果に繋がった
全てを投げ捨て帝都を離れ、遠くに逃げようとしたこともあったが、死の因果から逃れることはかなわなかった
伏龍だけが死ぬのみならず、多くの人々と共に帝都が灰燼に帰すこともあった
千万回目の七夕の夜を迎え、心が折れかけたその時、それまで眠っていたままだった『刺客さん』の置き土産、テスラZEROが起き上がり、語り始めた
自分は溯行が規定の回数を超えた時に起き上がるようプログラムされた、刺客さん──遠い未来の艦長が残した最後の切り札である、と
そして艦長が相手をしているものの正体を教えてくれる
相手は海底祭壇のゴーレムの修復機能、それが艦長の不思議な冒険の世界の無人島に飛ばされた伏龍をこの世界の異物と判断し、排除しようとしている、と
そしてゴーレムは排除ための手段を選ばず、リタや帝都や煌帝国やこの世界全体を巻き込んででも必ずそれを成し遂げる因果をたぐり寄せる、と
これを聞いた伏龍はもはやこの世界にいられないことを悟り、艦長と共にこの世界に永遠の別れをつげる決意をする
気がかりなのは、やはり、1000年間共に過ごした、最も信頼する部下であり親友でもある、リタ
本当は一緒に行きたいが、そういうわけにもいかない
お別れver1
お別れver2
お別れver3
別れは言わないことにした
「どうやら、今回は長旅になりそうですね…」

全てを終え、量子の海に浮かぶハイペリオンに戻ってきた『刺客さん』は、出迎えてくれた伏龍の顔を見て申し訳なく感じた
本当はもっといい結末が、伏龍とリタが別れなくてすむ結末があったかもしれない
遠い過去の自分には到達出来なかったその結末を、もしかしたら1000年後の艦長は見つけられるかもしれない
そんな願いを、千万という数字に託して、過去に置いてきた


ローズマリーの花詞

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ver4.2、ver5.7(復刻)
アイリーン・アドラー

プロローグ

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少女は焼けた廃墟の中で横たわり雨に打たれていた
何かが焦げた臭いと雨の臭いに混ざってローズマリーの香りがする
少女の胸には巨大な爪痕、間違いなく致命傷だった
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助けてほしい、せめてジョイスくんだけでも
──そう願って伸ばした手は、見知った大人の男性に取られた
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彼はずっと謝っていた
でも謝られなくていい、絶対に許せないのだから
今まで信用していた分、憎くてたまらないのだから
それでも助けたいと言うのなら、先生、どうか約束してほしい
せめてジョイスくんだけでも助けてあげて
男は応えた
ああ約束するよ、例え悪魔に魂を売ろうと、必ず彼を人間として生かしてみせる
──彼が握りしめたその手の主は、もう静かに眠っていた

解説

お嫁さん加入編
2020年のリタさんの誕生日イベントを知っていればすこし幸せになれる
神州仙遊記と同じくフカさんのロンドン時代の話を再構築したイベント
…かと思いきや?

あらすじ

廃城へ

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コナン・ドイルは親友であり助手のフカと共にセントフォンテーヌへ向かう汽車の中にいた
“The rose is red, and Marry's blue. We were deceived, and so are you.”
「この詩に隠された情報に心当たりがあるならセントフォンテーヌのヴェルト荘園に来てほしい」
ヴェルト・ジョイスの署名が入った招待状は、しかしながら筆跡からして女性によって書かれたものだ
件の詩には心当たりがなかったが、この挑戦状は年中暇な医者、または著名な小説家、そして名うての探偵であるドイルの興味を引くのに十分なものだった
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そして同じ招待状を受け取り列車に揺られる者がもう1人
彼女はアイリーン・アドラー、引退したワルシャワ帝室の主席オペラ歌手、そしてヴェルトの旧友だという
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『荒れた都市』セントフォンテーヌ、5年前の大災害の爪痕が未だ残る、止まぬ長雨に昼夜を奪われた街が見えてきた

事件の始まり

迎えのテスラと合流した一行は崩壊獣が徘徊する街を抜けヴェルト荘園に辿り着いた
本来であれば荘園に併設された天命教会帝国研究院42実験室によって開発された装置『ネゲントロピー』が崩壊獣を隔離しているはずだが、この時は何者かによって破壊されていたらしい
荘園にはローズマリーが咲き誇っていた
大災害において唯一その花壇だけが焼け残り、荘園が再建される中で好まれて荘園中に植えられたのだ、とテスラは語る
そして館で出迎えてくれたアインシュタインからテスラがヴェルトの名を騙り招待状を送った経緯、現在この荘園が抱える問題、そしてドイルに解決を依頼したい事件について語られた
2日前に『ヴェルト』が何者かに刺し殺され、さらにその遺産を巡りヴェルトの血縁『ジョフリー』とその後見人である『アイン』と『テスラ』、ヴェルトの養子『ブローニャ』とその後見人である『ヨアヒム』、ヴェルトの元部下でブローニャの家庭教師として遺産管理の代理人の座を狙う『ジャッカル』、世話をする孤児『空』の治療法を求めヴェルトの研究成果を探りに来た傭兵『ワタリガラス』、この互いに利益背反する8人が荘園に揃う事態になっているのだという
この中でヨアヒムは遠方に住むブローニャを駅まで迎えに行っていて不在だった
また、それとは別件で『セントフォンテーヌの亡霊』と呼ばれる強力な崩壊獣がおり、これを捕獲するためという名目で天命の戦乙女小隊が市街に展開したまま行方不明になっているという
とりあえずドイルはヴェルトの殺害現場となった書斎を調べ、フカはテスラとネゲントロピー装置の破損状況を点検しつつヨアヒム達を迎えに行くことにした
ヴェルトの書斎からは、ローズマリーの香りがした
ドイルの調査によりわかった事実は以下の通り

  • テスラが扉越しに確認したところヴェルトは殺される前に何か1人で話していたらしい
  • アイン達が部屋に踏み入るとヴェルトは刺し殺され、その傍らに『灰蛇』という情報屋の死体も転がっていた
  • 凶器と思わしきナイフは灰蛇に刺さっていた
  • ヴェルトの救命処置を行っている間に灰蛇の死体は消えていた、その間に扉から書斎を出入りした者はない
  • デスクの日誌によるとヴェルトは何か青い髪の女の子に関する夢を繰り返しみていたらしい

とその時、突然停電が起き、空の悲鳴が聞こえた
ヨアヒムらと合流しセントフォンテーヌの亡霊に襲われ逃げ帰ってきたテスラによって電気が復旧され明かりが戻ると、ナイフで刺し殺されたジャッカルの姿があった
RACHE──復讐を意味する文字、そしてローズマリーの香りと共に
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また、悲鳴を上げていた空の姿が見えず、ワタリガラスは灰蛇がジャッカルを殺し空を連れ去ったと激昂し勝手に館中の捜索を始めた
これらの状況を確認していたところ、ドイルはふと意識が遠くなるのを感じ、青い髪の女の子の夢を見た
夢の中の少女は皆を助けてほしいと繰り返し、ある詩を呟く
“The rose is…”

3人目の犠牲者

正気に戻ったドイルは再び調査を開始した
フカ、テスラ、ブローニャはネゲントロピー装置の復旧のため再び市街へ向かい、ドイル、アドラー、アイン、ヨアヒムは既に館中を虱潰しにしていたワタリガラスをなだめ灰蛇らの痕跡の有無を聞き出すことにした
ワタリガラスはヴェルトの書斎におり、アインが煽ったことで多少揉めることになったが、これが発端となり偶然先程は見つからなかったヴェルトによる大災害の調査報告、というより日誌を取りまとめたものが見つかった
内容は以下の通り

  • 2人の孤児が行方不明になり、ヴェルトは行き先を探していた
  • その中で帝国技術院42実験室で行われている人体実験の存在を知った
  • 子供のうち片方は見つけて保護したもののΩ2は行方知れず
  • この人体実験の結果溢れ出した崩壊エネルギーによって大災害が起きたとヴェルトは確信している
  • 孤児院の子供のうちヴェルトが引き取って治療に出していたためブローニャだけが大災害を免れた
  • 帝国42実験室で信用出来るのはアインとテスラの2人だけ
  • 人体実験の背後に天命上層部の関与があり、情報統制が厳しく関係者は灰蛇という名前の男を除き未だ不明

この調査結果に目を通したワタリガラスは一連の殺人事件に関して納得のいく理屈を得たようで、他言無用を条件にドイルにのみ自身が知る情報を伝え協力を求めてきた
ワタリガラスの話によると、大災害前の帝国技術院42研究室では天命上層部からの命令を受けジャッカルが人体実験を行っており、そのための素材である子供達を灰蛇が確保しヨアヒムの孤児院に送り込み、その運搬をワタリガラスが担当していたらしい
なお、この非合法の実験は室長のヴェルトと孤児院の経営者のヨアヒムには伏せられており、2人は知らないうちに利用されていたのだという
そして今、灰蛇はこの真実を葬り去るために実験の関係者を皆殺しにするつもりなのだろう、とワタリガラスは予想した
となれば灰蛇が空を連れ去ったのは自分を狙うためであり、逆に手掛かりは向こうから示されるはずだから、もし自分になにかあった時は空を頼みたい、これがワタリガラスの申し出だった
ドイルはワタリガラスの要請を受け空を救出するため市街へ向かった
しかしワタリガラスは単独行動を始め、ドイル達もテスラからの救援要請を受けそちらに向かわざるを得なかった
テスラらを襲ったのは行方不明になっていた天命の戦乙女小隊、ネゲントロピー装置を破壊したのも彼女らだった
その目的は依然不明であったが、攻撃を受けては撃退するしかない
全員が入り乱れての激しい戦闘が終わり、当たりの安全確保が行われる中で、意識の朦朧とした空が発見された
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その傍らにはワタリガラスと灰蛇の死体、そしてRACHEの文字があった
雨中でも消えぬ、ローズマリーの香りがした

状況整理

一行は2人の死体を荘園まで運び、特に灰蛇の死体は徹底的に調べられた
やはり灰蛇は2日前に死んでいたようで腐敗が進んでおり、何らかの働きによって死体が動き回っていたようにしか思えない
また、ワタリガラスの致命傷となった首の傷は右下から左上に向かって斬り上げられていた
そこまで確かめたところでひとまずずぶ濡れになった身体を温めるため順次風呂に入ることになり、この機にドイルとアドラーによって状況を整理するための密談が行われた
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灰蛇が真実を闇に葬るために3人を殺したというワタリガラスの推理は確かに尤もらしい、しかし辻褄が合わない部分がある
それがRACHE、復讐という意味の文字
少なくともこの文字が遺されたジャッカルとワタリガラスの殺人には何か復讐と関連する要素がなくてはならないように思われた
そして、その言葉に当てはまる者を単純に考えると、孤児院の経営者だったヨアヒム、もしくは孤児院の仲間を実験台にされたブローニャ、この2人が思い起こされた
元々ジャッカルとワタリガラスを遺産争いに誘ったのもヨアヒムであり、疑わしさは十分にある
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しかしこの2人には少なくともジャッカルとワタリガラスの件について完全なアリバイがある、とアドラーは反問する
そう、そこが問題である
何かがおかしく、超常的な力の介在を疑わざるを得なかった
しかしドイルにはまだそれを解明するだけの情報が不足しているように思われた

解決の糸口

ドイルはヴェルトと共に調査を行っていたと思しきアインに人体実験の子細、特にΩ2とは何なのかについて訊ねた
アインは何の抵抗もなく話してくれた
ヴェルトは実験サンプルΩ1と呼ばれており、Ω2はヴェルトから作られた2体のクローン、ジョフリーはそのうちの1人だという
ここで空が目を覚ましたという知らせがあり、ドイルは空にさらわれている間の出来事を聞いた
空はやはり灰蛇に連れ去られたようで、しばらく縛られて声を上げることも出来ず、そのうちワタリガラスが助けに来て灰蛇を倒し、自分を解放してくれて緊張が解けたせいか眠ってしまい、起きたらベッドの上だった、という認識だった
そして眠っている間に青い髪の女の子を見たような気がすると語った
この話を聞いていると、ドイルもまた再び意識が遠くなるのを感じた
今回見た夢、5年前の大災害の直前の青い髪の女の子の体験は、鮮明だった
実験に対する自信を語るジャッカル、運び屋ながら実験を心待ちにする灰蛇、仕事を終え立ち去ろうとするワタリガラス、実験台のジョイス、そして怒るヨアヒム…
“The rose is red, and velvet's blue. Marry is sweet, and so are you. The rose is red, and Marry's blue.We were deceived, and so are you.”
正気に戻ったドイルは窓の外に広がるローズマリーの花畑を眺めていた
ようやく、色々なことに説明がついた

豹変

ドイルは皆をホールに集め推理を始めた
ヴェルトを殺害したのは灰蛇、その動機はワタリガラスが死の前に語ったように口封じだろう
しかしジャッカルとワタリガラスについては違う、もし同じように口封じだとするとRACHEと遺した意図について説明がつかない
灰蛇、ジャッカル、ワタリガラスという5年前の人体実験の当事者が一堂に会すこの状況自体が偶然と言うには都合が良すぎる
ヨアヒムは5年間ヴェルトの隣にいながら実験の関係者の件を彼に伏せ、今回は遺産を餌にジャッカルとワタリガラスを呼び寄せ、復讐という言葉に似合う動機がある
しかし自分には完全なアリバイがある、とヨアヒムは反論した
ドイルはローズマリーの花畑を燃やすとかまをかけ、これを聞いたヨアヒムは全て自分のやったことだと白状しようとしたが、突然ブローニャがヨアヒムの拘束を解き暴れ始めた
全ての絵を描いたのはブローニャだった
人体実験の本当の名前は疑似律者計画、理の律者ヴェルトのクローンを改造することで超越者を作り出すことを目的とした実験
この実験の失敗により孤児院で出来たブローニャの2人の家族、ジョフリーはセントフォンテーヌの亡霊にされ、ゼーレはそんなジョフリーに殺された
だからその復讐をした、灰蛇は事故で思わぬところで殺してしまったが、ジャッカルは灰蛇を死んでも動くバケモノにして操って殺し、ワタリガラスは愛する空の手にかけてやった、次は天命をこの手で滅ぼしてやる
ブローニャはそう言い残し、彼女がジョフリーと呼ぶヨアヒムと共にセントフォンテーヌの亡霊に連れられ逃走した

浄化

ドイル達はブローニャを追いかけ、セントフォンテーヌの亡霊を制圧した
今のセントフォンテーヌの亡霊の中身こそ彼女らの先生、ヨアヒムであり、今ヨアヒムの身体に入っている中身がΩ2であるジョフリーらしい
『ローズマリーの香りを鍵とした魂の転移』、それが一連の事件の種だった
5年前、ヨアヒムは魔女と契約して瀕死のゼーレの魂を焼け落ちたローズマリーの花畑に転移させ、セントフォンテーヌの亡霊と化したジョイスと自身の身体に入る魂を交換した
今回、ヴェルトはドイルと同じようにゼーレの夢を見ていたところを灰蛇に殺され、抜け殻となったヴェルトの身体に入ったゼーレは灰蛇を殺し、そして灰蛇の身体を操りジャッカルを殺し、空を乗っ取ってワタリガラスを殺した
しかしブローニャにはわからなかった
なぜゼーレは復讐に協力しながら復讐を邪魔するようにRACHEなどとわざわざ遺していったのか、なぜ自分の夢にだけは現れてくれないのか
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ゼーレは本当は復讐なんてやめてほしかった、誰かに姉を止めてもらいたかった
たとえ物言わぬ花になってしまってもゼーレはずっと2人のことを見守っている、そう伝えたかった
ブローニャのために涙を流すのは、ゼーレだけ
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ブローニャは光の中へ去って行くヨアヒム先生とゼーレを見て泣き崩れた
復讐の火は消え、ローズマリーは枯れた
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全て終わった
あとは2人をどうするかだが、それはヴェルト、魂の宿らなかった抜け殻のクローンに入りジョフリーと名乗っていた第一律者に任せることにした
彼もまた灰蛇に殺された後に気づいた時には子供の姿になっており、裏からアインとテスラを操り適宜ドイルに情報を開示してことの真相を確かめようとしていた
ヴェルトは2人を裁くことはせず、殺人事件は関係者の胸の内に留められた

残った謎

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後にヴェルトはネゲントロピーとして天命から独立し、責任を取ってブローニャの代わりに天命と戦うことを選んだらしい
魂の転移などという摩訶不思議な技術をヨアヒムがどこから手に入れたのかという謎は残るが、ドイルには心当たりがあった
ヨアヒムとゼーレが光の中に消える時、少し振り返り誰かに感謝を伝えていたように見えた
それに応えているように見えた女性が1人──
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実に奇怪な事件だった
結局のところ皆が見た灰蛇は灰蛇ではなく、ヨアヒムもヨアヒムではなく、ジョフリーすらジョフリーではなかった
ではアイリーン・アドラーもまたアイリーン・アドラーではない可能性があるだろう
──君はいったい何者だ?
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私が誰なのかは重要ではありません、大事なのは──アナタのことです
そう問うたコナン・ドイルさんもまた、どちら様なのでしょう?

お帰りなさいませ艦長様

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世界の泡へ投影を行いそのまま戻れなくなっていた艦長は、リタ・ロスヴァイセのサポートによってなんとか自分を取り戻すことが出来た
投影された相手の人格と記憶は投影を解除した後でも影響を残し、どんどん自己認識が希薄になってしまう、これ以上使わない方がいい
そうリタは釘を刺したが、艦長はまだこれからも投影を続けるだろう
誰かを救うためなら我が身を顧みない、そんな人だからリタもまた艦長を追いかけて来たのだから
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しかし、久々の再会だというのに、思い出す素振りすらないのは、少し傷つく
他のことなら鋭いのに、自分のことになると鈍感だから困ったものだ
この衣装に着替えて会えば、鈍い彼でも少しは思い出してくれるだろうか?
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崩壊冒険譚

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ver4.3
デルタ ロザリア(エピローグ)リリア(エピローグ)

プロローグ

復刻したら書く

解説

デルタさん加入編

あらすじ

復刻したら書く


ネオンシティ:天穹

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ver4.7、ver5.8(復刻)
ブロニー 伏龍(エピローグ)

プロローグ

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「注文の生肉だ」
蛇眼の情報屋は取引を終えた。相手は子ウサギ、中身はとある情報。
「まさか噂のハッカーがこんなガキとはな」
蛇眼の情報屋は取引を終えた。相手は虎頭組、中身は子ウサギの情報。
子ウサギは虎の尾を踏み恨みを買っていた。罠にかかった子ウサギは虎の牙で引き裂かれその生涯を終える運命、そのはずだった。
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「虎を食べるウサギを見たことないんですか?」
彼女はブロニー、無人機を自由に投影する能力を持つ凄腕のハッカー。
人呼んでハッカーバニー!

解説

ブロニー加入編
「断界の残篇」はこの前日譚にあたる、登場するテリテリは別人
最終的にブロニーはハイペリオンに密航し、伏龍から搭乗を許可する見返りとして他の世界の泡に投影したまま帰還しない艦長の救助を依頼される。
船頭陣営も霞にΔさんの場所へ向かうよう指示する
そして「盛夏の海浜遊園地」へ……

余談ながらメイン37章にてこの世界の泡について少し触れられた
光幕消失(ブロニーの旅立ち)から1年後も天穹城は残っており、変わらぬ日常が続いているようだ

あらすじ

天穹城、『光幕』によって外界と隔離された楽園。
光幕を管理する3つ鍵は天穹城を支配する三大勢力、『神城テクノロジー』『太虚門』『蛇眼』が握っている。ブロニーは蛇眼との取引によって手に入れた内部情報を元に親友であり師匠のテレサのサポートを受けながら神城テクノロジーに潜入した。神城は光幕を作ったと言われる企業、三大勢力の中で最も光幕の維持に心血を注いでおり、その警備も最も厳重だと思われた。そしてだからこそ最初に選んだターゲットでもある。警備をかいくぐり神城の地下で鍵を確保したブロニーだったが、鍵を狙う者は他にもいた。
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遅れて現れたのは忍者──明らかにこの世界のものではない力を操る相手にさすがのブロニーも苦戦は免れず、撃退には成功したものの警報は鳴り響き、脱出したところを警備に包囲されてしまう。

2週間後、ブロニーは留置場から解放された。神城はなぜかこの件を大事にしなかった。しかし奪った鍵は回収され、警備は強化された。もはや再びの潜入は難しいだろう。だがそれは問題ではない。鍵をすり替えておいたから。神城への襲撃を知った太虚門や蛇眼も次は自分が狙われるのを警戒するはずだ。だがこれも問題ではない。元より彼らの情報網で神城の襲撃を察知できないわけがないのだから。神城が事後処理に奔走することになり、テレサのアイドルとしての仕事が吹き飛んだこと、これも問題ではない。謝ったらテレサは許してくれたから。
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問題はただ1点──キオラ、ブロニーの保護者である彼女にバレたこと。テレサに袖を引かれブロニーは彼女の家、路地裏のバー『レイブンズ』に帰った。
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予想通りキオラは怒っていた。確かにブロニーのハッカーとしての腕はこの天穹城で一番だろう。しかし、1人の子供が暴れたところで天穹城の支配体制は揺るがない。いくら意地を張ろうと結局は三大勢力の庇護の下で生きていくしかないのだ。今回だって出し抜いてやったつもりでいるのだろうが、神城の「狼」の気まぐれで見逃されたにすぎない。いつまでもバカな真似をしていないで小さな幸せを掴め。キオラはそうブロニーに説教した。
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しかしブロニーは聞く耳を持たなかった。口論になり、こんな小さなバーの定員として一生を終えるつもりなんてない、と恩人に対して酷い言葉まで吐いてしまった。ブロニーは1人家を飛び出し、頭を冷やした。数時間後、テレサがブロニーを探しに来た。ブロニーはテレサにならなんでも素直に話せた。キオラが帰る場所と安定した生活を与えてくれたことには感謝している。彼女の庇護があったから今まで生きてこられたし、このまま天穹城に残ってレイブンズを継いで恩返ししたい気持ちもないわけじゃない。ただブロニーには夢があった。広い世界が見たい、自分の限界に挑みたい。だからブロニーは太虚門を抜けフリーになり、そして今光幕の外の世界を目指している。……きっとキオラだってブロニーの気持ちはわかってくれているのだろう。ただ2人とも言葉で伝えるのが苦手だから、顔を合わせるとケンカになってしまう。

2人に近寄る影があった。灰蛇、先の蛇眼の情報屋だ。蛇眼の首領がブロニーを招待したいのだという。申し出を受けヘリパッドへ向かうと蛇眼の首領リタが待っていた。
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リタは光幕の解除を狙う危険な存在は放置出来ないと語り鎌を抜き、しかしわざと負け鍵を差し出してきた。三大勢力と言われているが蛇眼の本質は情報屋、戦力で言えば神城や太虚門には及ばず、彼らとぶつかることになれば組織全体の死は免れないだろう。組織として光幕の除去に動くことは出来ない。しかし鍵を“奪われて”しまっただけならば、たとえ光幕がなくなったとしても関係のない話だ。ウサギと蛇の利害は一致していた。リタはブロニーを罠にはめ、利用する対価としてとあるデータを渡し、追い立てた。

とにかく蛇眼の鍵は手に入った、残るは太虚門のみ。リタから渡されたのは太虚門付近に設置されていた監視カメラの録画データ、そこには何者かが激しい戦闘を繰り広げている場面が映されていた。明らかにこの世界のものではない技術を使って機甲をなぎ倒していく映画としか思えない映像にテレサは驚いていたが、ブロニーはその姿に見覚えがあった。神城の地下で会ったあの忍者である。となれば狙いはブロニーと同じ太虚門の鍵だろう。現場に向かい痕跡を調べてみたものの、やはりあの忍者の力をこの世界の技術で説明することは出来なかった。しかしわかることはある。神城に潜入しようとしていたのだから神城と敵対していることは明らか、さらに今回蛇眼に情報を売られたことを考えれば蛇眼の者でもないのだろう。そしてこれほどの凄腕が太虚門の中にいたのであれば「太虚門の白い小悪魔」テレサの耳に入らないわけがない。忍者は明らかに三大勢力の手の者ではない。であるならやはり光幕の外から……しかしそうだとすると忍者が鍵を狙う理由は何なのだろうか?
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確かなことは1つ、残されている時間があまり多くないということだ。2人は太虚門に殴り込みをかけた。太虚門には掟がある。「勝者の願いは叶い、敗者は死ぬ」、ブロニーは門手フカに決闘を申し込んだ。勝てば鍵を差し出させる。
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決闘が行われるのは実に8年ぶりのことになる。8年前、彼女がブロニーを太虚門から連れ出したあの日……。フカはこうなることを予見しており、「8年も経ったというのにブロニーは子供のまま何も変わっていない」と嘆息し、決闘を受けた。しかし決闘の相手には代理を立てた。演武台でブロニーを待っていたのはキオラ──いやこの名は彼女が稼業から足を洗ってから名乗っているものだ。そこにいるのは「ワタリガラス」、8年前ここで決闘を勝ち抜いた神出鬼没の傭兵。
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──あの時、先に挑発したのはブロニーだった。太虚門には掟がある。「太虚門の弟子は太虚門から出ることは叶わない」、ブロニーはワタリガラスに決闘を申し込んだ。勝てば傭兵として雇われブロニーをここから連れ出してほしい。
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しかしブロニーは負けた。それでもブロニーは追い縋った。太虚門という狭い世界で生きるのは嫌だ、ここから出て広い世界を知りたい、そのために働いてくれるなら費用は払う、足りなければ傭兵の仕事だって手伝う、だから……。
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そんな子供のワガママにワタリガラスは付き合ってくれた。門主フカに決闘を挑み、ブロニーを解放してくれた。
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この依頼の費用は給料。バーを開いてワタリガラスがオーナー、そしてブロニーがウェイトレスとして働く、その給料が報酬になる。そう約束してブロニーは自由になった。
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──戦いの最中、そんな昔のことを思い出した。あの時と何も変わっていない。光幕はブロニーにとって昔の太虚門のように世界の限界を決めつけており、ブロニーはその外の世界へ足を踏み出すことを求めた。
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そしてあの時とは違い、今回はワタリガラスが立ちはだかった。2人とも互いのことを大事に思っており、しかし2人とも素直にそれを口に出すことは憚り、こんな形でしか話せない。2人がケンカする時はいつもこうなってしまう。
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2人ともそれはわかっていた。キオラは必ずブロニーを止めにくる、ブロニーは気まずくてキオラを避ける。だからこうしてフカは気を回し、2人が気持ちをぶつけ合える舞台を用意した。孤児、物乞い、チンピラ、ホームレス、太虚門を構成する者たちは天穹城の多くの人々にとって人間ですらない存在であり、だから太虚門の中の世界を隔離する掟が存在した。そう、8年前のあの日まで。ブロニーの後を追って外に出たがる弟子が出てきた時、フカはこの掟を廃止した。今テレサがアイドルとして活躍出来ているのもブロニーが太虚門を開いたからである。……そして今回、光幕を破り天穹城を開く存在なのかもしれない。キオラもフカと同じ気持ちだった。

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光幕を取り払う鍵は揃った、あとはもうここを出て行くだけ。それはテレサやキオラとの別れも意味する。外の世界が開かれる時、ブロニーのようにそこに足を踏み出す勇気を持つものもいる、しかしテレサはそうではない。あの光幕の向こう側に浮かぶ星空は美しいけれど、星に手が届くことはない。もしかしたら最初から星空なんてなくて光幕に映った映像にすぎないのかもしれない。そう考えるととても恐ろしい、今まで信じてきたものが突然消えてしまうかのような──そう語るテレサの目からは涙がこぼれた。ブロニーはテレサの涙を拭いてあげ、抱きしめた。ブロニーは光幕の外の世界を見てくる、そして必ず帰ってきてテレサを連れて天穹の外の星空を見に行く、だからそれまでの間レイブンズとキオラのことを頼みたい。そう約束してブロニーは駆けだした。
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ブロニーはこの冒険のゴール、光幕のコアの目の前に辿り着いた。そう、目的がコアであるならば奴は必ず現れるはずだ。
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ブロニーの目的は光幕の解除、そして忍者の目的はコアの確保。光幕の解除が達成された今コアは不要なはずであり、両者に争う理由はない。忍者の語る理屈は正しい。しかしブロニーは気に入らなかった。今ブロニーは様々な人の想いを背負ってここに立っている、不要だからと部外者に施しを与えるつもりはない。それにそんなにコアを欲しがるということは、光幕の発生以外にも使い道があるということだ。そう、今こそ神城の地下の借りを返す時!
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ブロニーは忍者を出し抜き脱出した。光幕は解除され、街は混乱に包まれている。光幕の外から怪物が来ると怯える者、神城の陰謀だと騒ぐ者、光幕の外に足を踏み出そうとする者……茫然、混乱、緊張、興奮、期待、様々な声がまるで波のように今まであった全てを飲み込もうとしている。そんな中、天穹城にこの変化を齎した人物は無表情で高架橋を走り抜け天穹城の外へ向かっていた。彼女が気になるのはそんな街に流れる風の声ではなく、大事な2人のこと。
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通信回線をレイブンズに繋いだ。キオラとテレサも光幕の消失を見届けたらしい。「よくやったな、ガキ」、キオラにそう褒められブロニーは少し驚いた。思い返してみれば、彼女に褒められたのはこれが初めてかもしれない。しかしキオラによると二度目らしい。レイブンズがオープンした初日に制服がよく似合うと褒めた、という。そんな他愛もない話をしていたらもうすぐ天穹城の端が見えてきた。まだ言いたいことはたくさんある、しかし口には出さない。必要なのは一言だけ。
「行ってきます、キオラさん、テレサ」
「ああ、行ってらっしゃい」
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忍者はブロニーの追跡を始めた。しかし予想外なことに、ブロニーは天穹城の外で忍者を待ち構えていた。
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忍者はブロニーの欲しいものを持っている可能性があった。ブロニーの無人機を投影する能力、忍者の電撃を操る異能、そしてこの光幕を発生させるコア──全て天穹城の理屈では説明出来ない力である、まるで別の世界から一時的に「借りた」ものであるかのように……。そして忍者、彼女はその口ぶりからこれらについてある程度の知識を持っており、そしてそれを求めてパラレルワールドを渡り歩くような力を持っているように思われた。ブロニーは天穹城の外に出るという目的を果たしたが、そこには何もない荒野しかなかった。荒野はまるで世界の境界のように果てしないが、何もない。こんな場所よりも忍者の来た世界の方がより興味深かった。コアを材料にした交渉の結果、忍者はブロニーの求めた答えの一部を与えてくれた。忍者が元いたのは別の世界ではなく世界と世界の狭間の海、その海を漂う花弁のようなものになり漂うことなら出来る。しかしその花弁が海を漂い別の世界に流れ着けるかどうかは運次第であるという。「後悔しても妾は知らぬぞ」と、釘を刺す忍者に対してブロニーの返答は決まっていた。
「後悔するとすれば、それをやらなかった時だけですよ」

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……以上が今回の任務報告である。船頭が語るには、子ウサギはそれと知らず「扉」を開けるための「鍵」を持っており、必要なのは少しの導きだけだという。忍者──霞にとっては船頭の目的から遠回りしているだけに思えたが、彼にも考えがあってのことなのだろう。ともあれ子ウサギは檻から出て、光幕のコア──この世界の泡のエーテル特異点も回収出来た、任務完了である。次の任務はΔへの助力。

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というわけでこのブロニーと名乗る生意気な子供はハイペリオンに乗り込んできた、ハイペリオンといっても船頭ではなく艦長の方の。伏龍はこんな正体不明の図々しい密航者を迎え入れるつもりなどなかったが、既にリタ・ロスヴァイセという正体不明の図々しい密航者の先輩がいるだろうと痛いところを突かれてしまう。このブロニーとかいう子供の能力は確からしい。彼女が乗り込んできてからの1時間でハイペリオンの航海日誌は全て盗み読まれていた。航海日誌によれば艦長達はこの海で何かを探している、そしてそれを探す船はこことは別に少なくとも1隻はある。この情報を餌として提示された伏龍はブロニーの乗船許可を艦長が戻るまで一旦保留すると決め、そしてブロニーは伏龍の口添えを求めて艦長の救出を買って出た。そして……


盛夏の海浜遊園地

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ver5.0、ver6.0(復刻)
リタ八重霞デルタ ブロニー(エピローグ)

プロローグ

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猛暑。
避暑地であるはずの海浜都市は異様な熱気に包まれていた。
うだるような凪の中、豪華な優勝報酬に釣られた男とそれに付き従う少女が街を歩く。
挑むはポケ〇ンバトル大会!
真夏の大乱闘が今、始まった!

解説

ゼーレと遊園地デート!ポ○モンだしメタいしはちゃめちゃだし何もないギャグイベント時空だな!
からの重い一撃を食らわせてくるmiHoYoちゃんはさあ…

しばしば「長月の夢」の出来事がフラッシュバックする
更に「艦長の奇妙な冒険」の吸血鬼テレサの再会を願う台詞「ずっと待つわ、どれぐらい時間が経っても」もフラッシュバックする 艦長は正妻もお嫁さんもいるのに月下テリテリ好きすぎでは?
そんなこんなで艦長がハイペリオンに帰ってきた後、上の台詞を思い出したのでブロニーに吸血鬼テレサの捜索を依頼する

船頭陣営の方はΔがロザリア化していたので霞が連れ戻した
ここで登場したゼーレは後の「長い夢が去る前に」にて「テリリと魔法の旅」以降で語られるフェレライ先輩の片割れと判明した

あらすじ

「艦長、ゼーレと一緒に涼しい場所で休みませんか❤」なんて開幕直下からゼーレ……卑しい子!
ポ〇モンバトル大会のルールは簡単。3人のジムリーダー審査員から認められてスタンプをもらい、最終決戦エリアの海中島に行く、そしてその間の全てのトラブルをゲットした崩壊獣で切り抜けなければならない。手始めにチャチャという戦車型崩壊獣をゲットした2人はチャチャの餌である崩壊獣クッキーとチャチャを入れるための鞄を求めてアイテム屋を探し、そして何やら怪しい露天商に出会った。
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公式道具屋と名乗ってはいるが探していたような基本的なアイテムは何も置いておらず、代わりに謎のぼったくりアイテムを押しつけてくる商人。しつこいセールスに5万ポイントを詐取され解放された2人は表通りでアインとテスラの公式道具屋を見つけ、やはり先程の露天商がただの詐欺師だったことを知る。チャチャに必要なアイテムを揃え気を取り直して探索に戻った2人はスタンプがあるという公園に向かった。そしてそこで先程の詐欺師と再会する。
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こんな場所で詐欺師が何をしているのかと訊ねたところ、識の  は自分こそここのジムリーダー審査員である『泉の精霊』だと名乗り、そしてスタンプを押すためだとして試練を与えてきた。その試練とはこの公園にいると噂される伝説のポケ〇ンを捕まえること。案内されるまま公園を3周も歩き回り、そして発見した伝説の〇ケモンは想像していたよりはるかに凶暴で強かった。泉の精霊?は参加者が傷つくような事態になった場合誰かに怒られるらしく助け船を出し、そのおかげで2人はなんとか伝説のポケモ〇を捕獲出来た。広場に戻ると泉の精霊?は大量のお菓子に囲まれて待っており、そして参加者達が次から次へと出された試練に従いパシリとして漫画やレジャーグッズを届けに来ていた。自分達にだけ難しい試練が出されていたことに納得いかない気持ちはあるが、とりあえずこれでこのエリアはクリア……とはいかなかった。本物の泉の精霊と名乗る白髪の少女が怒り心頭の様子で現れ、泉の精霊?に詰め寄り始めた。彼女もまたこの詐欺師に騙されスタンプを奪われていたらしい。艦長とゼーレは迷うことなく本物の泉の精霊と協力して識の律者をボコボコにし、これでようやく最初のスタンプを獲得した。

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識の律者は運営に捕まり、艦長とゼーレはさらなる崩壊獣探しのため次のエリアへ向かった。通りかかった砂浜ではカビ〇ンキアナが寝ており、彼女を起こすために王子様のキス笛を探しに行かされるところだったが、ちょうど艦長が買っていたホムアイスがキアナの口に垂れたことで時短になった。キアナはレアな崩壊獣を味わうため、このあたりにあるレアな崩壊獣を飼育しているという崩崩牧場を探して聖フレイヤを飛び出し、姫子とフカに追われているのだという。一緒に崩崩牧場を探すことにした艦長達はマップ上でその近くまで移動したが、チャチャと逸れてしまう。手分けしてチャチャを探し、艦長が何か既視感を覚えながらチャチャを見つけて集合場所に向かったところそこで待っていたゼーレはいつもと様子が違っていた。
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チャチャ探しの途中で崩崩牧場を見つけたというキアナも合流し、一行は何事もなかったかのように牧場へ向かった。しかし牧場で崩壊獣を見つけることは出来ず、代わりに見つけたシャベルと桶を持った2人の不審者には逃げられ、お腹を減らせた3人は途中見つけたホムレストランで何か食べることにした。ホムレストランとはいうものの中身はバーのようだった。店員のブローニャとリタに案内され料理を待つ間に先程見た不審者について話していたところ、その会話を聞いて興味を持った金髪の女性が話しかけてきた。彼女はデュランダル、どうやら不審者と牧場に崩壊獣がいなかった原因に心当たりがあるらしい。食事を切り上げ牧場に向かう道すがらには先程までいなかった崩壊獣が溢れかえっていた。デュランダルの推測によると、これらの崩壊獣は牧場に何かがあって逃げてきているらしい。崩壊獣の群れを抜けてようやく辿り着いた牧場は数時間の間に荒れ果てていた。そしてその中で漂ってくるめざしを焼く臭いを辿っていったところ、そこには例の不審者2人がいた。
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彼らはキングとクイーン、ボスであるデュランダルに仕える崩崩牧場の従業員だった。デュランダルと勤務を交代したキングとクイーンは泥人形に怪しい商人から買った怪しい薬剤を混ぜて動くデュランダル人形を作り、それに仕事を任せてサボっていたらしい。状況からみて、そのデュランダル人形が暴走したことが今回の事件の原因である。本人を人形と勘違いしてしゃあしゃあと語るキングとクイーンに頭を抱えながら、このエリアのジムリーダー審査員でもあったデュランダルは事態収束のためデュランダル人形の破壊を艦長とゼーレに試験として与えた。壮絶な追いかけっこの末に試練をクリアした艦長達はデュランダルにお詫びとしてホムレストランでごちそうしてもらえることになった。夜も深くなってきていたがホムレストランはまだ営業中で、そこで待っていたキアナの迎えに来た聖フレイヤの面々も加えた食事会はさながら宴会の様相を呈してきた。騒がしい食事会を抜けだした艦長が夜風に当たってこれからのことを考えていたところ、リタがコーヒーを持ってきてくれた。この店のスペシャルブレンドだというコーヒーからはローズマリーの香りがした。この真夏の都市に何を目的として来たのか、そう問うリタに対して艦長は報酬目当てと正直に答えようとしたが、なぜかそれが全くしっくりこない。混乱しながら記憶の糸を辿ってみれば、ここに来た目的は報酬などではなく、誰かとかわした約束を果たすためだったような……しかしそのことを思い出す時、なぜこんなにも悲しい気分になるのだろうか。

艦長が目覚めた時、気付けば周囲は朝になって眩しい夏の日差しに包まれ、その光を受けて輝くゼーレの青い目が艦長の顔を覗き込んでいた。あまり記憶はないが、どうやら艦長はそのままテラスで眠ってしまったらしい。しかし昨夜のことは夢ではなく、2人目のスタンプを得た今なら次のエリアに進める。艦長とゼーレは意気揚々と次のエリアである海浜遊園地に足を踏み入れたが、しかしそこで2人の出足を挫くような人物、識の律者と再会する。しかも識の律者は性懲りも無く自身こそこのエリアの審査員だと名乗り、このイベントが始まってから常に覚えていた違和感の正体もわからず、そこにロザリアとリリアも加わったことで事態は混迷をきわめていく……かに思われたが意外なことに大きなトラブルはなく話は進んでいった。このエリアの試練は識ちゃんが作ったという遊園地を楽しみ尽くすこと。数々のアトラクションに水族館まであるこんな遊園地を1人で作れるのかという疑問も浮かんだが、気にしないことにした。ゼーレの様子がおかしいのも大会に優勝してから聞けばいいだろう。とにかく遊園地は遊び尽くした、識ちゃんからスタンプをもらってこのエリアはクリアだ。しかし識ちゃんはスタンプを落としたらしく、この広大な遊園地を探し回るハメになってしまう。ふと、コーヒーの香りが漂ってきた。今までこの遊園地にこんな場所はなかったはずだが、それは確かにあのホムレストランだった。
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1人ふらふらと店内に誘われていった艦長にリタはいつもと変わらぬ優雅さでコーヒーを出してくれる。コーヒーからはローズマリーの香りがした。なぜこの大会に参加しているのか、再び訊ねられたその問いに艦長は頭を捻ったが、浮かんだどの答えにも実感が湧かない。リタはそれも当然のことだと言う。なぜならそんな記憶は最初から存在しないから。今までも何度もこの世界に違和感を覚えてきたのではないかというリタの言葉に艦長は発狂しそうになりながらもコーヒーを口に含み、最後に頭に残ったのは「ずっと待つわ、どれぐらい時が経っても」という誰かとの約束の言葉だった。
気付いた時にはかなりの時間が過ぎていたらしい。こんなところでサボっていたのかと艦長を呼びに来た(黒の方になっている)ゼーレに引きずられて外に出てみれば、空には月が浮かんでいた。艦長は思い切ってゼーレに違和感について打ち明けてみたが、どうやらゼーレにはきちんと大会以前の記憶があるようだ。そんなことよりも、スタンプをとっくに見つけた双子たちが艦長のことを待っているらしい。
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しかし合流したところ、乱入者があった。仮面の忍者は突如ロザリアに斬りかかり、何やらここを離れる時間だなどと話しかけ始め、ロザリアも今までとは違うシリアスな口調で忍者と顔見知りかのように受け応えしている。唖然としているうちにロザリアは連れ去られ、一行は忍者を追ったが、どうやら最終決戦エリアへ逃げ込まれたようだ。

最終決戦エリアには忍者とロザリアの足取りが残っていたが、追いつくことはなかった。一瞬ゼーレがうずくまり、何やら独り言を呟いた後には(白い方の)ゼーレになっていた。最終決戦エリアの最奥にはプラットフォームがあり、リタが待っていた。リタによるとここはゼーレの夢の世界であり、夢の世界だからこそ徐々に矛盾が生じて崩れていっているらしい。既に忍者とロザリアはこのプラットフォームから夢の外へ出て行っており、次は艦長とゼーレの番だという。
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しかしゼーレは夢に残ってしまった。自身の片割れに会うために作ったこの夢の世界でまだ彼女を助けられていないから目覚めることは出来ない。そして列車は走り出し、艦長はハイペリオンに帰還した。
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目覚めた艦長を待っていたのはリタ、そして新顔のハッカーバニー。艦長は誰かに夢の中に閉じ込められていたらしい。長く夢に閉じ込められていたせいで記憶の混乱がある。しかし、それによって思い出したこともある。どこの誰かも覚えていないが、誰かと再会を約束していたはずだ。艦長はずっと待っているはずの誰かを見つけなくてはならない。


断界の残篇

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ver5.7
ブロニーA-872

解説

入り組んだ後崩壊2の星門みたいな場所『蒼星城』を探索するイベント
ストーリーらしいストーリーはなく、毎日少しずつ進めてはログを回収していく
なんの導入もなく唐突に探索することになるし、いつも通り記憶喪失に陥っている艦長のモノローグで進行しながら他のキャラが一切登場しないせいで艦長時空かどうかすら怪しく、ログの内容も最初は一体何の話かわからない上に『飛魚』と出てきたせいで関係ないものを連想させたり、A-872まで関わりだしてさらに混迷を極めることになったり、とmiHoYoに振り回されることに慣れているはずの「」長達をも大いに困惑させた

散らばったログをまとめると最後にブロニーの生い立ちに係わる話と判明する
ここ蒼星城で誕生したブロニーは世界が滅ぶ直前にA-872によって「真珠」と共に別の世界の泡(ネオンシティ:天穹)へ移された

主要用語

コヤンノフ

「真珠」エネルギーの発見者で「真珠」エネルギーシステムの創始者
アレクサンドラの教師、ブラックリーフの研究者

アレクサンドラ

アレクセイの妻、■■■■の母、コヤンノフの生徒、ブラックリーフの研究者
名前と姿は漫画の第二次崩壊編40話に登場しており、
下記のアレクセイと合わせてブローニャ関連の話だと早々に判明する

アレクセイ

アレクサンドラの夫、■■■■の父
名前と姿はアレクサンドラ同様漫画の第二次崩壊編40話に登場している

■■■■

アレクサンドラとアレクセイの娘
最後のログで名前はブローニャだと判明するが
A-872が発音し辛いってことでブロニーとも呼んでる

A-872

謎の白髪少女
細腕でデカい武器を振り回してることからもほぼ間違いなく吸血鬼テレサ
A-872というのは長月の夢で登場した吸血鬼テレサの実験ナンバー
ただし長月の夢と同一人物かは不明、別の世界の泡で同じような経緯で生まれた可能性もある
ブロニーを発見した際に我々と称しているため、どこかに属していると思われる
また世界の泡を渡る術を所持している

蒼星城

この世界の泡にある中心都市
第1区から始まり少なくとも55区まで存在した
「真珠」エネルギーを使ったことで「飛魚」を呼び寄せ、最初こそは沿岸部などの外郭都市を破壊されるだけだったが、最終的に全て破壊されることになる
イベント開始時点では全て破壊しつくされた残骸の迷宮となっている

ブラックリーフ

エネルギー生産企業
「真珠」エネルギーを電力などに変換して使い、街の拡張を行う
区の封鎖や住民の移動を企業の判断で強制的に行えることから、「真珠」を手に入れてからは事実上都市の支配者となっている
「真珠」エネルギーに固執するあまり、当初ブラックリーフは「飛魚」の存在を隠蔽して区ごと封鎖を試みるが、やがて「飛魚」の勢いに押されていき結局明るみに出ることとなる
最終的に62年8月にブラックリーフの社ビルまで侵略を許し、陥落した

真珠

未知の供給源から非常に高いエネルギー抽出・変換効率を出す謎の高エネルギー体
コヤンノフが「真珠」を発見し、5年でエネルギーの抽出に成功
高い変換効率を叩き出す「真珠」エネルギーは、電力などのよく使うエネルギーに変換して利用された
6年以上抽出しても無くなる事のない無尽蔵のエネルギー源は、ブラックリーフをトップを走るエネルギー生産会社へと変えた
結果的に「真珠」は産業技術の発展に多大な貢献をしたが、同時にこの世界の泡を滅ぼす「飛魚」を引き付けた

飛魚

「真珠」エネルギーにどこからともなく引き寄せられた謎の生物
縄張り意識が強く、エリアに侵入後、そのエリアの生物や建物を捕食する
100を超える目撃情報があるにも関わらず映像記録としては一切残っていない
イベント中ではこの「飛魚」のリーダー格をハンターと呼称していた

漁網

「飛魚」を捕獲するための装置
コヤンノフとアレクサンドラが開発したもので、完成時に2.5m超の小型「飛魚」の捕獲に成功している
イベントでは12個フルに稼働させることで「飛魚」のハンターを閉じ込めて逃げられないようにしてから倒した

貝殻

「飛魚」から都市を守るため、「飛魚」を通さないバリアで都市全体を覆うプロジェクト
「貝殻」自体の開発には成功したが、既知エネルギーでは最終的に3平方キロメートルまでしか展開できず、
都市全体を覆うには数千平方キロメートルは必要なため実用には程遠かった
62年8月17日~18日、恐らくコヤンノフが「貝殻」の実現を急ぐあまり、無尽蔵なエネルギー限である「真珠」から直接「貝殻」を作り出そうとして、その時の膨大な「真珠」エネルギーが大量の「飛魚」を呼び寄せ、この世界の泡の終焉を招いたと思われる

ログの時系列

内容は誰かが記録に残したものではなくいわゆる神視点から誰かを記録したもの

月日内容
46年日時不明コヤンノフが「真珠」エネルギーを発見、研究をはじめる
51年07月14日「真珠」エネルギーを抽出することができるようになり
熱や電気などに変換できるように
57年03月09日ブラックリーフカンパニーは53区の建設を完了
コヤンノフはこの時「真珠」エネルギーシステムの創始者として扱われている
05月51区の封鎖期間延長
06月05日蒼星城の周囲32区、49区、51区が数年に渡り異常が発生しているのをコヤンノフが気付く
会社も明らか何かを知っているようだが隠している
12月湖心塔倒壊、51区は引き続き封鎖延長し、市民から反発の声
58年05月07日32区、44区、49区、51区は廃棄処理になる
59年11月13日ブラックリーフはコヤンノフ率いる研究チームに「真珠」の研究を続けさせる方針
「貝殻」の必要性については懐疑的
11月14日コヤンノフが「真珠」を発見した事自体をパンドラの箱を開けたと後悔する
12月30日コヤンノフが「真珠」に対し、私がパンドラの箱を閉めるべきだと決意する
12月31日コヤンノフが「真珠」を再び手に入れ「貝殻」の研究を開始する、「飛魚」が世界を食らいつくす前に
同日コヤンノフが第0号事務室を訪れ、約1時間後に1階3番出口が出ているのが監視カメラに残っている
60年01月07日コヤンノフがアレクサンドラを「貝殻」の研究に誘うが拒否される
この時点でアレクサンドラは妊娠しており、「漁網」については反対していない
01月13日コヤンノフが「沈む」前に31区を訪れる
07月11日「漁網」の研究完了間近でアレクサンドラが産休申請、それに関してコヤンノフと揉める
最終的にアレクセイが仲裁に入ってアレクサンドラを連れて行った
08月18日アレクサンドラの娘誕生
(同日はブローニャの誕生日)
08月19日「漁網」の全設置完了、残りは正式に起動するまでのテスト作業のみ
10月23日「漁網」で初めて「飛魚」を捕獲する
「飛魚」は既に正確ではないが変えてしまうと研究記録が噛み合わず、誤解を招くため呼称はそのままに
見た目は大きなクラゲに近く全長は2.3~2.5m超で質量はなぜか小さい
12月12区、13区、15区で合わせて6000人以上がブラックリーフに対する抗議活動を行った
「廃棄を停止すべき」「廃棄されたエリアを返して欲しい」「住んでいた場所に戻りたい」など
日に日に市民たちの声が大きくなっていく
61年01月03日コヤンノフの危惧とは裏腹にブラックリーフは「水没」しかけてるエリアの規制を緩めていく
05月19日「貝殻」の研究が進み、5平方メートルまで展開することができた
「飛魚」は貝殻を通れない
08月「貝殻」の研究が進み、1平方キロメートルまで展開できるようになった
11月22日「貝殻」の研究が滞る、3ヶ月前から何も進歩していない
62年07月03日「貝殻」の研究が停滞している、3平方キロメートルまで展開できるようになったが都市を覆うには全く足りない
「真珠」から抽出したエネルギーではなく「真珠」の中のエネルギーから直接「貝殻」を生成する「媒質」が必要だと思い至る
08月12日6区、17区、23区、41区、45区で「飛魚」が目撃される
数百回の目撃事件があるにも関わらず映像資料が確保できず、監視カメラにも姿は残ってない
41区の目撃者は「飛魚」の少し前に白髪の少女も目撃した
08月14日アレクサンドラがコヤンノフから2年ぶりにメールを貰い、会う約束をする
08月15日アレクサンドラがコヤンノフの「貝殻」開発参加を改めて拒否し、55区へ向かう
08月17日アレクサンドラが55区に入る、持ってきた武器も「飛魚」に効く
同日55区東部北東に位置するアパートでアレクサンドラが白髪の少女と遭遇する
白髪の少女が巨大な武器を振り回し、アレクサンドラを助ける形で「飛魚」を倒す
08月18日白髪の少女はA-872と名乗り、二人で2区へ向かうため南西に進む
アレクサンドラはA-872と何かを話し、「真珠」に世界を滅ぼされる前にコヤンノフを止めようと決意する
(A-872は長月の夢に登場する吸血鬼テレサの実験体ナンバー)
同日アレクサンドラ、■■■■に対して遺書とも言える手紙を残す
同日アレクサンドラとA-872、55区から抜け出し21区の空き部屋で休憩する
「飛魚」との戦いでアレクサンドラの左腕が骨折する
同日蒼星城にたどり着くも既に「飛魚」があちこちにいて人々を襲っている
特にブラックリーフが近い第2区は地獄絵図
二人はブラックリーフのビルに入る
同日実験室にてコヤンノフの死体を発見する、道中アレクサンドラも重症を負う
A-872は「真珠」を回収する
もう助からないと悟ったアレクサンドラは、A-872に自身の住所、アレクセイと■■■■の顔を教え、安全な場所へ連れて行って欲しいと伝える
日時不明A-872がアレクサンドラの住所にたどり着いた時、アレクセイは子供を庇って既に亡くなっていたが、2歳の子供はかすり傷程度でまだ生きていた
子供と世界の泡のエーテル特異点に共鳴が起こっているのに気付き、A-872は子供を「真珠」と共に比較的安全な世界な泡へ隠すことを決める
A-872はアレクサンドラから子供の名前を聞くものの発音が難しく
子供の事をブロニーもしくはブローニャと呼ぶ


テリリと魔法の旅

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ver6.6
リタブロニー伏龍デルタ八重霞シーリン 吸血鬼テレサ(エピローグ)

プロローグ

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子供の頃から大好きだった魔法少女
本気でなりたいと思ってた
いつの間にか昨日見た魔法少女の活躍を語れる友達はいなくなっていた
まだあの馬鹿げた考えを諦めてないのか、と
それでも……あたくしは夢見てる
今でもこっそり夢見てる

解説

目覚めた心が未来を描くために走り出しそうな魔法少女イベントにして復刻と断界を除けば実に2年弱ぶりの開催となった艦長時空イベント
艦長と船頭を除いた艦長時空のメインキャラ達が総出演する豪華仕様
中断していた間に楽園やらで増えた新人艦長への配慮か、各キャラの背景や目的についてフラッシュバックする場面が挟まるmiHoYoの優しさが光る
まあこんな幸せっぽいバナーのくせにシナリオについては優しさなんて欠片もないわけだが……
BGMに懐かしのTigerや漆夜雪のアレンジが使われてると言えばわかる「」長には雰囲気が伝わるだろう

今回のミニゲームはキャンディクラッシュ
操作キャラはテリリ、ブロニー、リタ、霞、Δの5人
……バナー詐欺だな!
ところで魔法少女ならウチの出番やろキャロル!!(バシィ

あらすじ

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テリリは追われていた
魔法安全局の動きは早く、差し向けられたハンターは確実にテリリのことを追い詰めていく
だがここで捕まるわけにはいかない
かつて憧れたように、みんなを助けられる魔法少女になるまでは……
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そんなテリリの願いが通じたのだろうか
この逃走劇に割って入る者がいた
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魔法とは違う強い力を使う少女はブロニーと名乗り、一瞬でハンターを蹴散らしてしまう
彼女はようやく現れたテリリの出した護衛依頼の受領者だった
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そして彼女の仲間がもう1人
ローズマリーの香りがする彼女はリタと言うようだ
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ブロニーとは違い、彼女の力はテリリのよく知る魔法のそれに近い
護衛依頼の受領者はそれ以外にもそれぞれ霞とΔという2人が現れた
しかし先に駆けつけた2人と後から現れた2人はどうやら敵対に近い関係にあるらしく、特に好戦的なブロニーは今にも攻撃し始めてしまいそうな気配すらある
リタと霞は無用な争いは望ましく思っていなさそうだが、Δは攻撃されれば受けて立つだろう
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ブロニーが特に敵視しているのは霞と名乗った巫女服の女性だ
霞はブロニーのことなど知らぬといったように余所を向いているが、その態度もブロニーのことを刺激しているようだ
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実際ブロニーの勘は当たっていたようで、霞はかつてブロニーと戦ったサイバーニンジャその人であるらしい
もっとも、霞からすればなぜそんなに恨まれているのかもわからず困惑するばかりなのだが……
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そしてΔというコードネームで呼ばれる少女の口ぶりから察するに、後から現れた2人は2人があの方と呼ぶ人物から指令を受けてエーテルアンカーなるものを探しているらしい
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もっともそんなエージェントのようなことをしているΔにもかわいらしい一面はあるようだが
結局テリリが4人とも雇うということで2つの陣営は共闘体制を結んだようで、衝突は回避された
そう、これから向かうのは魔王によって滅び、安全局が封鎖してしまった街、残星旧町
安全局の封鎖を脱出してここ弦月新区から脱出するためにも、未だうろつく魔王の配下達を退けるにも、戦力は多い方がいい

テリリは依頼の中で嘘をついていた
目的地を残星旧町のラウィーニア図書館と偽り、その目的を卒業論文を書いて魔法少女になるためだと伏せ、護衛達にここまで連れて来させた
この嘘はとっくに見破られていたわけだが、廃れた残星旧町の中でシーリンと遭遇したことで本当の目的は白日の下にさらされる
既に公的に魔法少女として認められていたテリリが本当に目指していたのはかつての魔王城、そしてその目的はかつての魔王との決戦の中で失ってしまった友人を助け、シーリンの笑顔を取り戻すことだった
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フェレライ、ブロロ、シーリン、テリリの4人は魔法少女にあこがれて共に勉学に励んだ仲間だった
魔法少女として安全局の一員になった後も4人は協力して戦い、魔物達から人々を守ってきた
そして魔王との決戦の時
圧倒的な魔王の力の前にブロロは散り、フェレライは残りの2人を逃がすために禁術を使って命と引き換えに魔王を封じた
……後で調べてわかったことだが、このような戦いは幾度も繰り返されてきたようだ
禁術は魔法少女を新たな魔王へと変え、安全局は薪を焼べるように新たな魔法少女を送り込む、そうしてこの世界は秩序を保ってきたのだ
魔法少女はかつて憧れたような存在ではなかった
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安全局の後ろ暗さに薄々勘づいていたシーリンもフェレライ達の覚悟からこの結末を受け入れざるを得なかった
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その代償か、美しかった彼女の紫色の髪は一瞬で白く染まってしまうシーリンのモデルがなかっただけとか言ってはいけない
テリリはそうして日常が失われていく様を見ていることしか出来なかった
これがこの世界の法則……そう諦めていたテリリが今になって再び魔王城を目指しているのは、ある噂話を聞いたからだ
魔王城に眠るという奇跡の石、その石には触れた者の願いをなんでも叶えてくれる力が宿っているという
この石を頼ることをテリリが提案した時、シーリンは全く取り合ってくれなかった
そんな石があるのなら魔王が使っているだろう
それに、フェレライとブロロが犠牲になったのは遺された2人にちゃんと生きていてほしかったからであって、今のテリリのように過去に囚われて人生を無為にしてほしかったわけではない
だからテリリは護衛を募集していたのだった
フェレライ達を助け出すため、シーリンの笑顔を取り戻すため、そしてこの世界の未来の魔法少女達を救うため、かつて憧れた魔法少女になるために……

事情を知った4人は改めて最後までテリリのことを助けると約束し、再び冒険が始まった
ブロニーとリタは元からテリリのことを最後まで支えるつもりだったし、霞とΔはテリリの話す奇跡の石こそエーテルアンカーだと考えていてその方が都合がよかったのだ
そうして5人はとうとうかつて魔王のいた玉座の間に辿り着く
広間の中央にはフェレライがあの時のまま凍り付いてしまったかのように変わらぬ姿で眠っている、ただひとつ彼女の身体がこの世から失われていっているように透けていること以外は
奇跡の石の手がかりを求め、この空間に漂う魔力の残滓からリタが魔術で上映したフェレライの夢はあの日扉の向こうで何があったのかを赤裸々にする
魔術学校の先輩後輩として長い時を一緒に過ごしたテリリ達も知らされていなかったことだが、どうやらフェレライの中にはもうひとつの魂が宿っていたようだ
フェレライは自身の魂を禁術の代償として捧げて身体をゼーレと呼ばれたもう1つの魂に明け渡そうと考えていたようだが、ゼーレはそれを拒み禁術の代償を分かち合ったらしい
2人の魂が今どのような状態になっているのかは定かではないが、言い伝えられている1人で禁術を背負った場合の末路より悪いことはないだろう
この情報自体は前向きなものだったとはいえ、結局広間に漂う魔力からは奇跡の石の手がかりを得られず仕舞いである
代わりにフェレライのものではない不純物のような夢が混ざっていたことは気になるが、その正体も今の段階では判断できる材料に欠けている
とりあえずハイペリオンで待機する伏龍と相談した5人はこの魔力の残滓から手がかりを探す方法を続けることに決め、いくつかのグループに分かれて魔王城の探索を開始した
しかしそれが凶と出てしまう
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何者かに連れ去られたテリリは玉座の間で奇跡の石を抱きかかえながら息を引き取っている状態で発見されてしまう
目的の奇跡の石(エーテルアンカー)が出演したことで任務を遂行しようとする霞・デルタ組と、彼女らがテリリを害したのではないかと疑うリタ・ブロニー組の共闘関係も崩れ、一触即発の空気が漂う
しかしエーテルアンカーさえ手に入ればいい霞とデルタにテリリを襲う理由はなく、そもそもテリリが攫われた時の状況からして2人がそれを実行するのも不可能である
となればこの騒動には、奇跡の石という餌でテリリを釣って殺害を企てた黒幕が存在するのだろう
あのフェレライの夢に混ざった不純物にも目的がテリリだと考えれば、リタとブロニーには心当たりがあった
安全なハイペリオンで待っているはずの伏龍と連絡が取れないこともその心当たりが正しいことを示している
犯人はこの量子の海という大千世界から全てのテリテリを抹殺しようと企む危険な女……伏龍が危ない!
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長い夢が去る前に

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ver6.8
リタブロニー伏龍シーリンデルタ八重霞原罪の狩人カレンA-872吸血鬼テレサ

プロローグ

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解説

テリリと魔法の旅の直接的な続編

各キャラ性能

各キャラ性能

シーリン

1重につき威力が10上がるパワーを蓄積して殴るわかりやすい性能のキャラ
パワーは使用しても消費されないから継続的に高火力を出せる
また、ランクが上がればパワーを継続付与できる魔法陣も取得できてラウンドが続く限り威力が上がっていく

テリリ

ラッキーコインを集めてその数だけサイコロを振り、出目の合計が威力に加算される博打キャラ……に見せかけてランクが上がれば魔法陣で出目を6に固定出来るカードも出てくるから単純にコイン所持数×60威力が上がる脳筋キャラ
コインは使うと消費されてしまうが、取得は容易だし倍々に増やしていける

フェレライ先輩

1重につき10のダメージを与える流血効果を自分と相手に付与するドMキャラ
ランクが上がれば自分にだけ1重につき10回復する再生効果を同時に付与したり、自分の流血効果を解除して相手に移したり、相手の流血を倍にしたり、陰湿な効果のカードが増えていく

ブロロ先輩

1重につき10のダメージを防ぐシールドを自分に付与して後々シールド重数だけ相手にダメージを与えたりするカードを手に入れたりする耐久キャラ
他と比べて火力が出しづらく、後半はボス敵も火力が倍々に増えていったりと、耐久キャラというコンセプト自体がやや不遇
あと戦ってるのは全て重装ウサギでブロロ先輩はいるだけ

綺羅子先生

1重につき威力が10上がる音符を蓄積して叩き込むシーリンと似たコンセプトのキャラ
パワーと違って音符は1回使うと消費されるが、その代わりパワーより付与しやすく、攻撃カードにも多段のものが多く、ランクが上がれば抱えている音符を何倍にも増やすカードも取得できる
さらに音符を消費しなくなるカードもある存在し、それさえ取得出来れば火力の伸びは指数関数的に増えていく
リリアリリア!綺羅が歌うと敵は死ぬのよ!

セシリア校長

数ターン後に効果が発動するカードを重ねていくキャラ
ランクが上がれば発動待機中の効果を増殖させるカードも取得できる
ただしこれらは1ターンの間に発動したとしても別の行動としてカウントされているようで、「次の行動の威力n倍」の効果や音符は最初の攻撃にしか乗らない
おまけに1個1個発動する関係上、発動待機中の効果をふやしすぎると1ターン経過するのに1分以上かかったりもする

あらすじ

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赤い月が沈んだ後に

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ver6.9
艦長時空完結編
リタブロニー伏龍シーリンデルタ八重霞若姫子原罪の狩人カレンA-872吸血鬼テレサ

プロローグ

探し求めてようやく掴んだ月下(A-872)の手がかり
それを追ってこの街に帰ってきた
熱波、眩しい太陽光、耳障りなセミの鳴き声……青海市の空気を満たすのはあの時とまったく同じ夏
──残された時間はそう多くない、考え事が済んだら急いで行動しなければ
なぜかそんな考えが目眩と共に脳にこびりつく
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「艦長様、どうですか?まだ目眩がしているのですか?」
そう気遣ってくれる女性もまた、その強迫観念と関係があるような気がしてならない
何の確証も持てず、錯乱しかける意識の中で、かろうじて正気を支えているのは、遠い過去の誓い
「安心して、大丈夫だから」
たとえ何が待っていようと、彼女との約束を果たす

解説

艦長時空完結編
長月の夢と同じ蒼海市が舞台
長月の夢の出来事を踏襲しながら物語は進んでいくから、端末メニューの【コレクション】→【アルバム】から読んでおくとより楽しめるかも

あらすじ

艦長はリタと共に蒼海市近くの海辺に降り立った
ブロニーは所要で別行動をとっている
2人きりの道中でリタはいつも通り艦長のことをからかうが、やはり彼女には何か隠し事がある気がする
そんな艦長の側にもまた皆に言っていない隠し事があり、リタもそれに気づいているのだが
市街に入っても晴れない気まずさを感じながら、リタの提案で近場にあるホムレストランというハンバーガー屋に入った2人は、そこで落ち着いて話し合うことにした
──ここには以前カレンと来た気がする
1人で悩むより話してしまった方がいいと促され、まず艦長から隠し事を打ち明け始める
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ここ最近、艦長は月下の夢を見ていた
この夢が現実の彼女と関係がある証拠など何もないが、夢の中の彼女の行動は何か非常に強い執念に起因しているように感じられ、それ故に艦長は自分に彼女を止める資格などあるのだろうかと悩んでいた
それでも彼女の目的を明らかにして危険な真似をやめさせると決めてここに来たのなら、自分の選択を信じて進むべきだろう
リタはそう応えていつも通り艦長の決断を後押ししてくれたが、今日はどこかその言葉に他意を感じる
しかし別行動をとっていたブロニーが合流したことで話は流れ、その違和感を解消する機会は逸されてしまう
とはいえブロニーは貴重な戦力を連れてきたくれた、シーリンだ
彼女はブロニーに頼まれたから……なんてツンデレ発症していたが、魔王の脅威から開放された弦月新区のごたごたを速攻で片付けてわざわざ迎えを呼んで駆けつけてくれたようだ
そして食事の間に聞いた吸血鬼の噂を手がかりに、一行は日の暮れた蒼海市の路地裏へ向かった

しかし路地裏には何もなかった
──この場所のことははっきり覚えている、ここで……違う結末の記憶が複数ある?そんな馬鹿な
それにこの路地裏の景色にはどこか違和感を覚える
ならもう1つ強く記憶に残っている場所はどうか、というわけで登ってみたビルの屋上からの眺めには決定的なものが足りなかった
忘れるはずがない、あの夜彼女と行く約束をしたホムランドは、すぐそこに見えていたはずなのだ
この街は確かにあの時と同じ蒼海市だが、何者かが彼女の痕跡を隠すように世界を改変してしまったようだ
世界に疑いの目を向けてみると、怪しい場所はすぐに見つかった
シーリンが魔力の残滓を辿って発見した装置は、内蔵するエーテルアンカーの欠片を利用してこの世界の泡を同じ昼と夜を繰り返すループに閉じ込める結界の一角を形成していた

その後、世界を歪める結界は艦長たちに破壊されていき、同じ日を繰り返すだけの弛緩した世界にゆらぎが生じていった
そしてそれと同時に拒絶反応を起こすように大量の怪物がどこからともなく現れて襲いかかり、なぜか艦長の頭痛も強さを増していく
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しかし思わぬ収穫もあった、ループを脱した姫子さんの協力を得られたことだ
元自警団である姫子さんの持つ情報は非常に有用であり、彼女の汚部屋で開かれた作戦会議に従い結界を形成する装置が全て破壊されたことで、ループは速やかに終わりを迎え今まで隠されていた森の奥へと続く道が開けていった
しかし、このループの目的はなんだったんだろうか?
リタは過去の度重なる観測によって並行して存在しうる結果が多重で内包されるようになってしまった世界の泡が安定性を保つために必要だったのだろうと語ったが、はたして

真っ赤な炎が赤い月を飲み込んでいく
灼熱の空気に肺を焦がしながら、彼女に伸ばした手は焼け爛れているのに、心臓は氷のように冷たい
それでも焦げてへばり付いた肉を引きちぎりながら前へ進まなければならない
なぜなら彼女が泣いているから、早く助けなきゃ……
「そうして他人の災難に苦しむところは、ずっと変わっていませんね。」
この声は知っている、馴染みのある花の香りにも心が休まる
でも誰だか思い出せない
「ふふっ大丈夫ですよ、私についてきてください。」
清らかな声が耳元を通ると、炎は遠ざかっていく
そして──
目覚めた時、五感に飛び込んできたのは、咳き込んだ血の味、焚き火の爆ぜる音、覗き込むシーリンの心配そうな顔、ローズマリーの香り、後頭部の柔らかな触感
どうやら森に入ってしばらくして艦長は倒れてしまい、こうしてリタに膝枕で看病されていたようだ
ブロニーと姫子は霧の向こうにぼんやりと見える城へのルートを見つけに周囲の探索に出ているらしく、シーリンも艦長の無事を確認してからリタに促されて長く戻らない彼女らを探しに霧の中へ消えていった
……どうやらリタは2人きりで話したいことがあるようだ
優雅な魔女は小さな溜息をいつもの落ち着いた笑顔で隠し、艦長に問いかけてきた
両面を苦難に埋め尽くされたコインがあったら、投げずにとどまることも悪化を防ぐ解決策ではありませんか?
しかしこれは質問した本人からして肯定が返ってくることを期待していない、一種の確認作業である
2つの悪い選択肢の中でも第三の可能性を探索することを一度も諦めたことがない、艦長とはいつもそんな風に優しく頑固な男なのだから
「ご存知ですか?実のところ彼女たち、いえ、私たちにとっては、艦長様こそがその予期せずに出現した第三の可能性なのです。それでは、これまでしてきたように、変わることなく前に進み続けてください。本来であれば、私も一緒に第三の可能性を見届けるべきなのでしょう。しかし、申し訳ありません。 今はあなたと一緒に行くことはできません。」
そう言い残してリタは去っていった
魔女が何を背負っているのかはわからないが、彼女のことだから、なにかそうせざるを得ない理由があるのだろう

戻ってきた3人の仲間と合流し、謎のコウモリに導かれて迷霧の森を抜け、一行は城に辿り着いた
そんな彼らをテラスから見下ろす人影は、エーテルアンカーを取り込みこの世界の泡をとりまく騒動を引き起こした存在
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「人類……あなたって本当に頑固ね。少しは自分自身に目を向けて、あたくしの気持ちを理解して。でないと、 あたくしがしたことは……全部無駄になってしまうじゃない……?バカ、本当にバカよ。自分勝手な優しさは自己満足にしかならないわ。何年も経ってるのに、まだわかってないのね。」

コウモリを使って一行を城に迎え入れたのはカレンだった
カレンは自分たち姉妹を助けてくれる誰かの出現を待っていたが、月下に従って手を汚し続けてきた自分に助けを求める資格などないと考え、迂遠な方法で艦長たちに姿を見せないように誘導していたようだ
しかし姫子さんの説得もあり、カレンは妹の凶行を止めるため艦長たちと共に行く覚悟を決めた
カレンによると、月下はどこからかエーテルアンカーを使って世界の泡の法則に干渉する方法を身につけており、その力を使って自身の吸血衝動を克服し、他の世界の泡のテレサたちへの襲撃を繰り返したという
また、一部の世界の泡からはテレサを拐ってこの城に閉じ込めると同時にエーテルアンカーを奪い、月下はそれを取り込んでさらに力を増していったらしい
しかしカレンもそんな妹のことを案じながらも彼女を問いただすことができずにおり、その真意は未だ判然とせずにいた
……やはり彼女に会って直接聞きだすしかないようだ

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囚われたテレサたちを開放しながら玉座を目指す一行
しかし城の奥へ進む度に妨害は苛烈になっていき、追手を食い止めるために殿を買って出た仲間たちが1人また1人と離脱していく
そして最後に立ちはだかったのは見知った顔だった
「ここから先は通しません。ここを通りたいのなら、私を倒してからにしてください。」
リタはそう言って鎌を構えるが、その切っ先からはいつものような余裕は感じられない
自分は最初からハイペリオンの仲間ではなく、時期を見計らって反旗を翻すよう命令を受けて艦長たちに近づいただけ、彼女はそう語る
しかし本当にそれだけなら、いつも優雅で穏やかな彼女がこんなにも泥臭く食い下がることはしなかっただろう
行く手を阻むようにかかる霧が、再会の時が近づく度に重くなる身体が、そして真剣なリタの様子が、薄々感じていた疑念を確信へと変えていく
──月下に会えば、艦長は無事では済まない
だからといってここで立ち止まるわけにはいかない
リタもそれがわかっていたから裏切り者の名乗りをあげて退路を断ってから挑みかかってきたのだろう
しかしそれは彼女の中に艦長が起こす奇跡を信じたい気持ちがあるからにほかならない
「どうやら、私も艦長様と同じように第三の結果を探しているようですね。伏龍様が今も艦長様を信じて待っておられるのと同じように、私も艦長様の決意を疑ったことはありません。ただ予想される結果があまりに厳しかったので、ここに来たのです。ですが……余計なお世話だったようですね。艦長様がどうしても先に進むとおっしゃるのなら、私も思い切ってお供します。」
リタは伏龍からの言伝を預かっていた
「急いで。今ならまだ彼女を止められる。」

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待ちに待った、そして訪れてほしくなかった再会の時が近づく
脚は段々だるくなり、視界は暗転し、意識を保てないほどの目眩に蝕まれながらも、体を貫くような鋭い感覚だけが残っている
そう、これは世界の泡の拒絶反応
彼が自分を救うために繰り返し行ってくれた投影の反動が、世界の泡の規則となって2人を抹殺しようとしているのだ
その力は2人が近づくほど強くなる
それでも想い人に弱った姿は見せないのが女の矜持だ
「今さらあたくしに会いに来るなんて、何の用?あたくしからは用はないし、もうあなたには何の興味もないけど、見逃してあげるからさっさと帰りなさい。」
開口一番で突き放す
しかし彼は引き下がらず、なぜこんな騒動を起こしたのか、と訪ねてくる
月下は本当の理由を隠して吸血鬼が気に入らないテレサ共を襲っただけだと嘯いたが、その場しのぎの嘘は全く通用しない
どんなに悪を演じようと、彼は信頼で応え、困難があるなら共に背負おうと手を差し伸べてきてしまう
「月下、艦長を騙すことはできません。あなたはそんなことしたいと 思っていないはずです。認めてください。あなたも艦長と同じように、再会を待ち望んでいたんでしょう。あなたも聞こえますよね?たとえ自分たちの体がこんな風に弱っていても、この心臓は大きく脈打っているんです。」
彼の言うことは、全て当たっていた
この男は本当に言ってはいけないことを話すのが得意だ
そんなことを言われると……
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苦労して決意したのに、また心が揺らぎ始めてしまう
自分が彼を想うほどに彼は自分を想ってくれていた、嬉しくないわけがあろうか
しかしその想いが強いからこそ、計画は成し遂げなければならない
あの長月の夜、運命に抗い月下を助けようと何度も観測を繰り返した艦長は月下と共に世界の泡の規則に呪われた
呪いは本来死ぬ運命にあった月下を消し去るため、それを邪魔する艦長の存在をも葬り去ろうとし、その力は2人が近づくほどに強力に作用する
さらに呪いは世界の泡の狭間を介して働くようになってきており、月下の同位体である各世界の泡のテレサと近づくだけでも艦長に影響が出ていた
しかし優しい彼は月下や他の世界のテレサが困難を抱えていれば、たとえ自身の存在を失うことになったとしても手を差し伸べてしまう、今の状況がまさにそうだ
だから月下は決意したのだ
大切なあの人を守るため、吸血鬼の能力と集めたエーテルアンカーを使い、自分ごと世界中のテレサを消すと
「あたくしが消えなければ、あなたは何度でも意識投影を使ってすべてを一変させる方法を見つけようとする。でもそれは危険すぎるわ。あたくしのために、これ以上危ないことをしてほしくはないの。だから......あなたがあたくしを傷つけてくれないのなら、あたくしが自分から離れるしかない。ねえ、人類、あたくしの最後の願いを聞いて、いいでしょう?教えて、今日のあたくしは可愛いかしら?」
彼は白いドレスが今夜の月にぴったりだと肯定してくれた
「よかった、人類なら気づいてくれると思ってたわ。あたくしを忘れた方が、あなたにとっては幸せでしょう。でもこのドレスを着替えるなんて、できなかった。一番綺麗な姿をあなたに覚えててほしかったから。人類、名残惜しいけど、今度ばかりは本当のさようならよ。ここまで付き合ってくれて、嬉しかったわ……」
そこには元から何もなかったかのように、透明な月明かりがバルコニーを照らしていた

受け入れ難い結末に艦長は泣き崩れる
追ってきた仲間たちもそんな艦長の様子を見て何があったのか察したようだ
かける言葉もない状況だが、ふと誰かが気付いたのは、涙で歪んだ視界では見落としても仕方がないだろう遺留品の存在
それは月下が使ったエーテルアンカーだった
しかしその月下の唯一の遺品は、艦長よりも早く乱入者に回収されてしまう
船頭と名乗るその男は自身のことを、霞とΔを引き連れ、リタを艦長のもとへ遣わし、月下にエーテルアンカーの使い方を教えてそれを集めさせ、そして数多のエーテルアンカーを手中に収めた、一連の騒動の黒幕だとその口で紹介した
男によると、月下はマーキングを施した無数のテレサたちと共にエーテルアンカーで道を開いた世界の泡の狭間へ消えたらしい
そして男の目的は、集めたエーテルアンカーを燃料としてその世界の泡の狭間を燃やし尽くし、無数の世界の泡をつなげた巨大な世界の泡を作ることだと語る
三千世界のテレサを殺し、数多の世界の泡の命運を生贄に捧げ、その躯の山の上に楽園を作らんとする、まさに野望だ
艦長はその野望の中で犠牲になる人々のため、船頭に挑みかかった
しかし船頭はそんな艦長を相手にもせず、彼の戦艦で飛び去ってしまった

月下の愛情と船頭の執念、2人の策謀の前に艦長は無力だった
むしろこれまでの世界の泡をめぐる旅、そしてその終着点としてこの場所に艦長が至ることすらも、あの男が思い描いた通りの展開だったのかもしれない
そのためにリタがいたのだから
とはいえ優しい彼女が月下と船頭の計画に協力するとも思えない
むしろ彼らすらも救おうと暗躍するのが艦長の知るリタだ
そんなリタが頼るとすれば、それは敵の策を見破り自らの策でもって覆してしまう力を持つ人物にほかならない
「急いで。今ならまだ彼女を止められる。」
そう伝言を頼んだのが誰だったか、彼女がそう予測したというのにやっぱり間に合いませんでしたなんて終わり方になるだろうか
ありえない
きっとこの盤面はまだ詰んだわけではない
伏龍に会いに行こう

月下が語ったように、この城に集められ囚われていたテレサたちは1人残らず姿を消していた
艦長たちが望みをかけた伏龍も例外ではない
予想通りの状況ではあるが、いざそれを確認するとさすがに不安が湧き上がってくる
本当にここから逆転の目はあるのだろうか……
中でも最も狼狽えたのはブロニーだった
彼女にとって伏龍は大事な友だちであり、そして彼女の帰りを天穹市で待つテレサもまたこの消滅に巻き込まれているのだ
そんないつになく弱気なブロニーを立ち直らせたのは、いつもどうせ無理だと後ろ向きな考えばかりを口にしてブロニーにからかわれていたシーリンだ
大人になることを賢ぶって諦めることだと思っていた自分に、諦めない強さを教えてくれたのはブロニーたちだったはずだ
伏龍という人には会ったことはないけれど、フェレライ先輩やブロロ先輩よりもすごい世界一の策謀家なら、絶対うまくいくに違いない

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そして諦めずに手がかりを探した一行は、伏龍の遺したテレサ達の目録を棋譜の中に見つけた
世界の泡を超えて艦長とテレサたちを繋げるリンクを辿り、シーリンが目録を頼りに魔法で夢の粒子を呼び込み、リタがそれを魂として確保し、ブロニーがそこから肉体を構築する
この操作で世界の泡の狭間からテレサたちを連れ戻すことが出来た
しかし構築を進めていくことであることに気がつく、それは目録に載っていない2人のテレサの存在だ
彼女らは共に出身の世界の泡に居場所を失ったテレサ、つまり伏龍と月下である
しかし目録などに頼らなくても2人のことなら艦長は誰よりもよく知っており、そして2人と艦長は折り重ねられた世界の泡の呪いで深く結びついている
理論上はこれまで通りのやり方で、さらに艦長をアンカーポイントとして使い、彼女らを救出できるはずなのだ
伏龍もそれを予想していたからあえて自身の情報を空白のまま残して予行演習をさせようとしているのだろう
「1人で全てを背負う必要はないわ。わたしがずっとあなたのそばにいて、共に背負うから。艦長だからこそ、わたしは信じることを選んだの。」
かつてそう言ってくれた彼女は今も知略を使って共に戦ってくれている、なら早く彼女がいるべき場所に連れ戻してあげよう
不安はなく、作業はトラブルなく進む
光の粒子は徐々に人の輪郭を取り戻し、色彩が鮮やかになっていく
そして心と身体の細部がはっきりしてしたところ……伏龍は艦長の首に手を回し抱きついた
「やっぱり……わたしを連れ戻したのね。ええ、わかってるわ。わたし、信じてるから。艦長はいつも…………」
回りにハイペリオンの仲間たちがいることも忘れて

……と珍しく前後不覚になっている伏龍が見られたところで、予行演習の次は本番となる月下の救出だ
しかし伏龍と同じやり方をしても構築が成功することはなかった
これまでと何が違うのだろうか?考えれば答えは明白だ、それは月下が明確に自らの意思で復活を拒絶している証拠だろう
月下をこの世界に呼び戻すことは出来ない
なら月下に会いに行って手を引き連れ戻すしかないだろう
次の目的地は世界の泡の狭間、奇しくもそこへ至る道を開くために必要なものには心当たりがある
ここに来て艦長と船頭の目的は、終着点を異にしながらも交わった

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船頭、艦長のものとよく似てはいるもののはるかに経年劣化したハイペリオンの同型艦の持ち主
彼は仲間であったはずの霞とΔに毒を呷らせて突き放し、1人艦橋で待ち構えていた
刃を交えず説得できればそれが最善だが、非道を躊躇わぬ彼の意思もまた硬い
「私が成功すれば、月下と、あのテレサたちは最後の犠牲となるだろう。そして私が繋いだエーテル特異点に対応する世界の泡たちは、再び世界の秩序を手にする。たとえ量子の海の中で漂流していても、 やがて訪れる衰微の運命を心配せずに済むんだ。それは貴殿が期待した結果だろう?そうすれば貴殿は世界の欠片の中で帰る場所を失った者に居場所を提供せずに済む。かつての私も貴殿のように、手を放そうとせず、皆を救おうとした。無数の方法を試したが、例外はなく、全てが徒労に終わった。完璧な結末など存在しないと、私もようやく理解した。少数の犠牲で、より多くの人々に生存の機会を作り出せるなら、なぜやらない?消失すると決まったあらゆる未来に終わりを告げられるんだ。私にしかできないことでもある。」
そう語ると船頭はすさまじい力で一行を圧倒し、エーテル特異点を燃やし始めた
しかし艦長の狙いはその瞬間にあった
救出したテレサ達によると世界の泡の狭間における時間の流れはこの世界の泡よりずっと早いのだ
艦長は即座に開かれ始めた狭間への道に飛び込んだ

エーテルの炎を超えた先に広がっていたのは完全な無の世界
この真っ白い広大な空間には、艦長とはるか遠くに見える人影以外の何も存在しない
その人影を追いかけて走ってもなかなか距離は縮まらず、後方の空間は焼け落ちていく
この場所でただひたすら彼女の背中を追いかけて走り続けた時間は既に日や月を超え、年の単位に入り、十年のオーダーではまるで足りず、百年を区切りに数え、千年ごとに指を折り、両手の指が足りなくなるまでになった
しかし時間とは相対的なもので、1万年という悠久の時間をかけた鬼ごっこも、手がかりさえ掴めないまま量子の海で彼女を探していた頃の体感時間を5年くらいとしたら1分くらいの短さにも思える
最初は点でしかなかった人影も一次元になり、二次元の輪郭を持ち始め、三次元のふくらみを認識し、耳で息遣いを、肌で体温を感じ、そしてついにその手で彼女に触れた
「人類?ど、どうして……早く離れなさい!あたくしたちは、ちゃんと『さよなら』したでしょ?お別れを告げたら、もう会うべきじゃないのよ。せっかく離れると決めて、めちゃくちゃになった運命の糸を切ったのに……どうしてあたくしたちの約束を守ってくれないの?実はあの時、『さよなら』って言った次の瞬間に、あたくしは後悔したの。あたくしは離れないといけない。あなたから遠く離れ て、世界に忘れられるほど離れないといけなかったのに。あたくしの名前を呼んでくれたら、あなたがあたくしを覚えてくれていたら、あなたがちゃんと生きていけるなら、それでいいと思った……なのに、どうして……あなたはそんなにもわがままなの?」
──君から離れたくない
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「そう言ってくれると思ったわ……あたくしだって同じよ。会うべきじゃないってわかってるのに、それでも再会の時を何度も何度も想像してしまった。人類、会いたかったわ。ずっとずっと、あなたに会いたかった。もう少し抱きしめさせて。運命の呪いが降臨するまで……」
──1万年ぶりなんだ、ゆっくりお互いを確かめ合おう
「えっ……もうそんなに時間が経ってるの?でも人類、あなたはあの時と全然変わってないわ。あなたの匂いも、体温も……変わってないの。待って……」
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「あたくしは、変わりすぎたかしら?」
──あなたも綺麗なままですよ、月下
「あなたの鼓動がもう教えてくれてるわよ、人類。ところで、このチクタクっていう音……あなたも聞こえてるんでしょう?この音は、まるでタイマーみたいよね。あたくしたち……もう時間がないのかしら?いいの、あなたの気持ちは全部わかってるわ。あたくしを連れてここから出たいって、そう思ってるのよね?でも、ごめんなさい。あたくしが戻ったら、また世界の規則のターゲットになっちゃうかもしれない……だから、これでいいの。あたくしはここに残る……最後まで残るわ。大丈夫、心配いらないわ。もう、あの時みたいな子供じゃないもの。もう孤独も寂しさも怖くない。だって、あたくしたちはもう再会したもの。あたくしの世界はもう真っ暗なんかじゃない。だから、今回は笑ってさよならって言いましょう、人類。」
しかし艦長は強く抱きしめたまま放さない
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「えっ?は、放して……人類!だから放してって言ってるでしょ!あなたにもう一度会えただけで、あたくしはもう満足してるの。僅かにでもリスクがあるのなら、あたくしはもう試したくないし、もう……あなたを失いたくないの。」
──一緒に帰りましょう
「もう……いっつもあたくしが決めた道とは真逆の選択を選ばせるんだから。代わりに一つ約束してくれる?あなたがあたくしの決心を変えさせた。あたくしをもっと貪欲に、わがままにした。だから……あたくし……もう二度とあなたと離れ離れになりたくないわ。」
艦長は強くうなずいた
時計の音は大きくなり、霧の向こうに元の世界の光景が近づいてくる
狭間における永劫は泡においては刹那に過ぎ去り、狭間に飛び込んだ艦長を間髪いれずに再構築するという計画通りに皆動いてくれていた
そして戦闘に飛び入った月下と艦長は巧みな連携攻撃を仕掛け、船頭を倒した

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力なく欄干にもたれかかったまま、船頭は一方的に語り始める
「私はずっと貴殿を待っていた。心を込めて用意した手がかりを辿り、月下を見つけ出し、この船に連れてきて、私と全力で戦うことを。思った通り、貴殿は期待に応えてくれた。いや、正確には、思った通りに『私』が期待に応えたと言うべきかな。もう気付いてるだろう。この船の構造はよく知っているはずだ。貴殿はまだ知らないかもしれないが、この船も同じ名前を持っているんだ──ハイペリオンという名前を。しかし、私は貴殿の未来ではない。今の貴殿も私の過去ではない。正確に言えば、貴殿は私が捨てた初心で、私が叶えられなかった理想、かつて存在した、無数の選択肢の中で選ばれなかった答えなんだ。かつての私は、それぞれの世界の泡を行き来し、居場所を失った者たちに家と呼べる住まいを提供することに専念していた。貴殿も知ってるように、いずれハイペリオンには耐えきれなくなる時がやってくる。私にはすべての人たちを救う手段がどうしても必要だった。私は考えつくあらゆる方法を試したが、満足する結果は得られなかった。もっと重い箱を担ぐには、先に手に持ったガラスの金魚鉢 を下ろさなければならないのと同じようなものだ。ただ……私がそのことに気が付いた時、すでに当初の計画から大きく逸脱し、周りにいた古い友人たちもほとんどいなくなっていた。しかし、もう後戻りはできなかった……自分の約束のため、すべての人たちに……家を与えるため、私たちはとても大きな犠牲を払った。だから、私は絶対に立ち止まるわけにはいかなかったんだ。私は彼女たちの意志や願いを背負ってる。だから、終わりのない深淵だと分かっていても、そうするしかなかった。そして、貴殿もその時に私から分離した。あの時の私は、貴殿がただの偶然によって生まれた脆弱な生命体だと思っていた。放っておいても私の計画に影響を与えることはないと考えていたんだ。しかし、貴殿はとても強かった。私の想像を超えるほどに強かった──幼い吸血鬼のため、すべての人たちが生き延びられる未来のため、貴殿は何度も観測を行った。貴殿は諦めるということを知らず、完璧ではない結末を受け入れるということも知らなかった。そんな貴殿を見て、私はふと、『当初の私が別の選択をしていたら、今はどうなっていただろうか?』と考えた。もしかしたら、貴殿なら私ができなかったことを成し遂げられるかもしれない。私は貴殿を観察し続けることにし、リタをその傍に置いた。その後のことは貴殿も知っての通りだ。それ以外に、私は貴殿の行動には特に干渉していない。貴殿は自分の力でここまで戦い、私とはまったく異なる人間に成長した。一方、私は……ハハハ……嘘ばかりつき、誰からも見放され、信頼を裏切った。さらには最後に残った親友にまで毒薬を渡し、彼女たちに、心の底から……私を見捨てるように求めた。彼女たちには申し訳ないと思っている。そして私は誰も救うことができなかった。」
なんとも身勝手な話にさすがに腹のたった艦長は掴みかかる
──立つんだ!これですべてを終わりにしちゃいけない。本当に謝りたいと思うなら、デルタと忍者さんの前でしっかり話すべきだよ!ここで座って話しても何の意味もない。立て!立つんだ!たとえ死ぬとしても……彼女たちと話してからだ!
しかし、船頭のマントの下で肉体は既に塵と化しており、ただ録音装置が彼の言葉を伝えているだけだった
「蟻の観察をしたことはあるだろうか?理想と希望を背負い、何の成果もない結末に何度も陥る……遠くまで歩いたと思い、振り返るたびに思い知るのだ……私も運命が描いた円の中で……グルグルと回り、力尽きた蟻にすぎないと。貴殿を信じている……きっとまだ花開いていない未来に……たどり着けるはずだ。」

一行は砂浜を歩いていた
月下と伏龍はさっそくケンカしているようだ
伏龍が大きくなって頭が回るようになったとからかえば、月下もお姉様と呼びたければ別に反対しないと受けて立つ
カレンと姫子さんはすっかり仲良くなった様子で、再び主を失いた黄昏る霞を元気付けている
霞と同様に傷ついた上にロザリアとリリアに私物の小型艇を乗り逃げされた踏んだり蹴ったりのΔは怒って部屋に引きこもってゲームばかりしているが、シーリンとブロニーは意気消沈している小動物を見にいくのも面白いなんて言いつつ彼女を慰めに行くつもりらしい
そして船頭の古い友人であったリタは……やはり全てを受け入れるには時間がかかりそうだが、それでも強い彼女なら過去を糧に前へ進めるだろう
艦長とリタは蟻を見つけ、何匹かまとめて砂に書いた円で囲ってみる
すると蟻は円を乗り越えられず、その中をぐるぐる回るようになる
蟻は嗅覚に頼る動物、艦長の描いた円にある未知の匂いに戸惑い、未知に踏み出すことを恐れているのだ
しかし次第に匂いは薄れ、勇気を持った蟻が未知の中へと踏み出していった

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艦長と月下はかつての約束を果たすように遊園地に来ていた
2人はカップル向けのアトラクションを楽しみつつ、離れていた時間を埋めるように言葉を交わしあう
夢のような時間はあっという間に過ぎ、遊園地に閉園の時間が近づく
しかしこの手が再び放されることはない
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ありがとう、あたくしと出会ってくれて。
ありがとう、あたくしを見つけてくれて。


艦長の牧場ファンタジー

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ver7.0
艦長時空エピローグ
月下伏龍リタブロニーシーリンデルタ八重霞若姫子カレン

プロローグ

目の前に広がるこの「海」で、艦長たちは何度も浮き沈みした
幸運にも素晴らしい出会いがある時もあれば、突然、絶体絶命な状況に陥ることもあった
もちろん艦長は仲間たちと一緒であれば、希望を持ってさえいれば、船は沈まず、いかなる困難であろうと乗り越えられると信じてきた
いかなる……困難であろうと……
少なくとも今から10秒前まではそう信じていた……
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解説

前回が艦長時空完結編なら今回はアフターのようなもの
月下はずっとイチャイチャしてるし伏龍はヤキモチ焼いてるしリタさんは壊れてウッフン~とか言ってるし(そのようなこと申していません)ブロニーはハードウェア開発に血道を上げてるしシーリンは農産物から発掘品までなんでも売り捌いてくれるし姫子さんは酪農の女神になるしカレンは料理人として行列を作ってるしΔさんはもちもちしてる
前回の主要メンバー全員がそのままポップな絵柄になって続投
ミニゲームとしては牧場物語をベースにシリーズの要素をごちゃまぜにした感じ
やりこみ要素も完備で、クリア後も図鑑埋めが楽しめる
……ひたすら楽しめる

ブロニーの作り出した悪魔の機械

ブロニーの作り出した悪魔の機械

数多の「」長を震え上がらせたそれはクリア後に解禁された
──レインボージュエル合成──
今回のイベントにおいて、ほぼ全てのレアアイテムは鉱山の採掘や海釣りから低確率で出現する
しかしこのレインボージュエルと、その材料になるカーネリアンと、さらにその材料になるアメシスト、の宝石3種はブロニーの作った機械を使って自力で合成しなければならない
(※厳密には他に隠しイベントで入手出来るフィッシュキングや称号もあるがこちらは知ってさえいれば容易)
さて、そのレインボージュエルとその素材たちの入手条件を見てみよう

イエローベリル

リタの雑貨屋で5000コインで購入、または副産物で低確率ドロップ

ロータスジュエル

イエローベリル×3で合成(成功率50%)、または副産物で極低確率ドロップ

アメシスト

ロータスジュエル×3で合成(成功率40%)

カーネリアン

アメシスト×2で合成(成功率30%)

レインボージュエル

カーネリアン×2で合成(成功率25%)

そう、悪しき古き良きネトゲ文化が生み出した多段階合成方式である
もちろん合成に失敗した場合は素材が失われてしまうあたりも完全再現
イエローベリルやロータスジュエルもそこまでドロップするわけではないから合成を目指す場合にはもっぱらリタさんから大量に仕入れることになる
全てを店売りで賄うとなるとイエローベリル2400個(1200万コイン分)から開始すればレインボージュエルの合成期待値は1になる
ちなみに艦長の収入は育成要素を全て終えた最終段階でも頑張っておおよそ1日50万コイン程度
イベントの開催期間を考えるとあまり猶予がないことがわかるだろう
当然毎日欠かさずプレイしていたにもかかわらずレインボージュエルを合成出来ないままver7.1を迎えてしまった運の悪い「」長もいた
そしてアプデが近づき必死に合成している「」長に対して合成を終えた「」長はレインボージュエルが合成出来ないのか?俺は出来たが……と某書記官のような言葉をかけ、2個目の合成を成功させて貼るようなものまで表れた

とはいえ今回のイベントには記録が残る勲章などはなく、この賽の河原も完全な自己満足に過ぎない
miHoYoよくやった
でも合成失敗のアナウンスにわざわざこんなこと書く必要はなかったよね?
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じゃあどうしろって言うんだ!?ああ?

じゃあどうしろって言うんだ!?ああ?いつ完成するって言うんだ!?
できることはもう全部やった!全コインをつぎ込んだ!全ての野菜を!全ての魚を!つぎ込んだんだ!
でも僕らの全て──農場まるごとの産物と鉱物は合成率の前ではまったく歯が立たなかった!
教えてよ艦長村長!どうすればレインボージュエルが合成できるんだ?

ちなみに本イベントから数カ月後、本国の新年記念生ごはんでもレインボージュエル煽りが行われた

あらすじ

整備不良で墜落してしまったハイペリオン
幸い修理はなんとかなりそうな感じだったが、それに必要な機材やら部品やらを押し込んでいた格納庫の扉は動力源を消失したことで開かなくなってしまっていた
これでは船頭のハイペリオンからパクってきたジャンクパーツも使えない
……なら現地調達するしかないね!
幸い墜落地の近くには量子獣たちが牧歌的な暮らしを営む農村があり、そこに進出している多泡籍企業から必要物資の購入も可能そうであった
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まあ村人と多泡籍企業の間でベア系で妙にいかがわしい村長の殺人事件が起こるほど軋轢が高まっていることは見過ごせないが……
艦長たちは村での生活を営みハイペリオン修理のための資金を稼ぎつつこの村の背後でうごめく陰謀を解き明かしていくことになる
……っていうのが本筋のストーリーだけどイベント自体が長い冒険のエピローグだからその部分はあっさり触れるにとどめて村での仲間たちの姿を見ていこう

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カレンはレストランのコックとして働いた
その料理は村人の胃袋を掴み、連日店に行列を作らせた
……量子獣だから味覚も終わってるのか?と思ったあなた、もちろんそんなことはない
ハイペリオンで使われているレシピ本通りにやればカレンですら美味しい料理を作れるのだ
まあ食材の8割くらいはつまみ食いで消えていくことになるが……
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姫子さんはカウボーイとして採卵鶏や乳牛を育てて艦長に卸してくれる
彼女に育てられた鶏と牛は卵をよく産み乳をよく出すと評判がいい
途中から艦長の牧場を手伝ってくれるようになるのも助かる
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一匹狼なところのある霞は村では働かず、漁師として生計を立てた
村はずれの海岸に棲み着いているという近海の主フィッシュマスター
漁師たちの夢とされるその魚を追いかけた霞は見事成し遂げ、釣人の伝説となった
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機械のことならほとんど何でもできてしまうブロニーだが、工具がなければその能力も無意味だった
ハイペリオンの故障に対して悔しい思いをしたブロニーは弱点を克服するために鍛冶屋に弟子入りし、親方も目を見張る速度で腕を上げていき、自力でメカニカルアームを作り出すまでになった
ところでこのイベントスチルのブロニーちゃんかわいすぎない?
レインボージュエル合成と合わせて功罪はプラマイゼロだけど
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今回の村での生活で一番頑張ったのはシーリンかもしれない
艦長が生産する全ての農産物、海産物、畜産物、鉱石、果ては出土するわけのわからないガラクタたちまで全てを引き取り売り捌いてきてくれる彼女がいたおかげで村の生産効率は大いに改善され劇的に発展していった
まあ優しい彼女にモーモーやコッコをドナドナさせるのは畜生の所業すぎて闇のべうが騒ぐからモウコッコー卒業式でよかった……
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そしてヒロイン勢
月下は常に艦長と共に行動し前verから引き続いて盤石な正ヒロインぶりを見せつけた
ハイペリオンの修理にかかる莫大な資金を稼がなければならない艦長は面には出さないものの精神的にかなり参っていたが、隣に月下がいたことで勇気を持てていた
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月下も艦長に支えられて陽の光の下を歩けるようになったように
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そんな月下の加入で動き出したヒロインレースに余裕ぶっているわけにもいかなくなったのが残りの2人
伏龍は村の施設の設計の傍ら、料理の腕を磨いていた
将を射んと欲すれば先ず馬から、男を繋ぎ止めんと欲すれば先ず胃袋から!
知略縦横の聖賢王といえど恋の謀は人並みのようだ
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ちなみに吸血鬼除けで死ぬほどニンニクが入っている
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そして余裕の態度をかなぐり捨てて肉弾戦に打って出てきたのがもう1人のヒロイン
お花屋さんの娘らしく農作物の種となぜかレインボージュエル合成の素材のイエローベリルを仕入れてきて私腹を肥やしてくれていたローズマリーはミステリアスな雰囲気をどこへやったのか昔の衣装でアピールを開始
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ただウッフン~とまでは言っていませんよ「」長様


こうして村を取り巻く事件を解決した艦長村長はしばらく仲間たちと長閑な田舎生活を満喫した後、ハイペリオンを修理して再び量子の海へ旅立っていった
まあ出航して即ロザリリと鉄拳さんの乗った船と衝突したりと順風満帆にはならなかったが……
しかし人生の旅とは本来そのようなもの
喜びと想定外の出来事はいつも隣同士だ
不意を突くように突然やってきて、逃げることなどできずに向き合わなければならない
現実は往々にして人々に絶望を感じさせるものなのだろう
だが艦長たちは不公平な世界に幾度も挑戦し、幾度も問いかけてきた
決まった答えは今も見つけ出せていないが、もしかしたら、そうやって繰り返しトライすること自体に、答えがあるのかもしれない
船頭、やっと分かったんだ
艦長たちにはたどりつく場所なんていらない、ただ進み続けるだけでいい
艦長たちが歩みを止めない限り、希望が去ることはない
常套句と思われるかもしれないが、今回の物語に結びの言葉を添えたい

この暗く、光のない大海原で、ハイペリオンの艦長と仲間たちは再び旅に出る
艦長たちは隙を伺う狩猟者を常に警戒し、追ってくる規則に直面しなくてはならない
だが、それはすべての旅におけるエピソードに過ぎない
油断することなく、一歩一歩進んで行きさえすれば、艦長たちは幾重もの困難を乗り越え、最終的に悔いの残らない結末を迎えることができるだろう
それこそが私たちの物語であり、一人一人の物語でもあるのだ
そして我々は皆、物語の中の登場人物となる

『艦長の奇妙な冒険』、ここにて閉幕




……ん?1人忘れてる気がするって?
大丈夫忘れてないよ
ただね……
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恥を知りなさいッ!
皆が働いてる中で1人だけニート生活を満喫するなどとはッ!!
能弁の木(オレンジ色のウンコ)に煽られて心をまっすぐにして来るのですねッ!