千劫

前文明

古の楽園の話
千劫は空から落ちてきた
千劫自身にさえ自分が何者なのかはわからなかったが、空から落ちて無傷で生き、崩壊獣を素手で引き裂く姿を見て、人々は彼を村の神と崇めた
人々は神を村の中心にある柱に縛り付け、崩壊に対する薬だとしてその生き血を啜った
千劫にとっては痛みに耐え続ける日々だった
そんな村にある時第五律者が降臨する
1人生き残った千劫は素手で第五律者を殺したが重い凍傷を負い、黄昏の街へ流れ着き倒れたところをアポニアに保護された
目覚めた千劫はそのままアポニアの診療所で運び屋として働いた
診療所には崩壊病を患った子供達が集められており、子供達はそこで働く千劫に懐いていた
千劫にとってもこの穏やかな日々は心地よく、そこには笑顔すらあった
しかし多数の崩壊病患者を抱えるこの診療所は火を追う蛾に崩壊病の発生源と誤解されており、ある時サクラにその掃除の任務が下命されてしまう
サクラはせめて苦痛のないまま逝かせるために皆が寝静まったところを襲撃して心臓に刀を突き立てていき、子供達と一緒に眠っていた（！？）千劫も確実に心臓を貫かれてしまう
しかしその程度では千劫は死なない
千劫は任務を終え立ち去ろうとするサクラになぜこのようなことをしたのか問い、驚くサクラから回答を得た後、激しい戦闘が始まった
この戦いの結末は詳しく語られていないが、どうやらその直後に崩壊が発生して有耶無耶になり、診療所は全焼、千劫とアポニアはサクラによって火を追う蛾に連れ帰られたらしい

火を追う蛾に捕縛された千劫はそこで裁きを受けることになったが、偉い人に殴りかかりでもしたのか、誰かを傷つけた咎で『至深の処』という太平洋に浮かぶ監獄島に収監されることになった
第八律者の撃退後にエリシアに『劫種』になってほしいとか言われて連れ出されたらしい
それが何を指してるのかはよくわからない
（余談だが、カロスタンにて戦ったオットーが呼び出した柱が「劫種」という名称であった）
この時にアポニアに罪なき人を傷つけてはならないという戒律を施されている

牢から出た後は火を追う蛾の暗部『毒蛹』に所属してサクラと組んでいた
サクラは診療所の子供達の仇敵ではあるが、事情が事情だからお互いわだかまりなく良好な関係を築けていたようだ
そこでエイマーと出会う
エイマーは千劫を殺そうとして失敗して捕まる度に脱獄してまた千劫を殺そうとしてを4、50回繰り返していたが、そんなエイマーを気に入った千劫は彼を自分の副官として『毒蛹』に入れた

第十律者が発生し、エイマーもその1人になってしまったため千劫は彼を殺した
千劫はエイマーのコアが組み込まれた第十の神の鍵を使うために融合戦士になることを決意
しかしMeta-Morphを打った状態で100本あまりの第十の神の鍵をゴミにしながら戦っても、千劫を命の危険に陥れられるような敵はおらず、超変が起こらないまま千劫の第十の神の鍵への接触禁止令が出てしまう
そこで千劫は嫌っていたメビウス博士を頼り、旧来の超変手術を施してもらうよう願い出た
メビウス博士は対価として千劫の強さの秘密の研究を要求し、千劫はこれを了承
しかし超変手術の時に採集されたデータからも何が千劫を怪物たらしめているのかはわからなかった
とにかく千劫は晴れて融合戦士となり、エイマーのコアが用いられた第十の神の鍵は異形の大剣となった

諦めきれないメビウス博士は毒蛹の指揮官に就任してまで千劫の研究を続け、内々にサクラを千劫の故郷の探索に遣わせたりしたが、成果はなかった
ちょうどこの時毒蛹に解散命令が出て暴動が起き、サクラがこの鎮圧を下命されたが不在だったため、代わりに千劫が鎮圧を担当して皆殺しにしてしまっている

第十一律者が降臨し、その結界に触れた千劫は一瞬で昏倒してしまう
これは通常ありえないことで、いくら神恩結界が著効する融合戦士といえども死ぬまでには1分くらいかかる
さらに千劫はそのまま瓦礫に埋まり、神恩結界の影響下でも命を繋ぎ続け、第十一律者討伐後に地面の下から聞こえるわずかな呼吸音に気づいたケビンによって掘り起こされた
助け出されたとはいえ千劫は危険な状態にあり救命処置が行われ、その課程でスウが無意識的にアポニアの戒律を解除してしまっている
千劫はメビウス博士の元へ運ばれ、本人の希望もあって緊急手術が行われ、かろうじて命を繋ぎ止めることが出来た
この時摘出されたあるものが千劫を常人とは違う不死の怪物たらしめていたらしい
ここで千劫はようやく普通の人間の融合戦士になったが、代償としてかつての異常な強さは失われてしまった

約束の惨劇後に火を追う十三英傑が発足し、千劫もその第六位に数えられた
その後第十二律者の顛末があってそれまで良好だったアポニアとの関係が悪化してしまった

終焉の律者との月面決戦に参加しているらしい
現文明で生き残っていないことからすると戦死した2人のうちの1人だろうか

古の楽園

古の楽園の話
may先輩が6番目に会う英傑
殺すぞとか言うけど実際に手を出してきたりはしない
意外と契約や役割に忠実に従うタイプでmay先輩が質問すれば煽りつつ真面目に答えてくれる

カロスタンの一件が終わってアポニアが催眠音声垂れ流し始めた頃から妙に上機嫌でテンションが高い
久々にお友達に会えるからうれしいらしい
お前もうれしいだろう？雷電…律者ァァ！！！

なんて上機嫌でいたところ急にmay先輩にケンカを売られた
まあ戦いたいなら戦ってやるけど手加減とかしないよ？本当にいいの？死ぬよ？と再三警告したにも関わらずmay先輩に引く気はなく、全力で相手をしてやった
案の定全力を出した千劫相手にmay先輩は全く歯が立たず殺しかけてしまったが、アポニアの介入があってなんとか殺さずに済んだ

永久の楽園

本編第29章の話
やっぱサクラに隠しといたのよくなかったんじゃねえかなぁ！！？
と激ぉこで頭から隕石吹きながらキレ散らかしてたらスウに楽園の隔離空間に追放された

千劫は隔離空間でスウが来るのを待っていた
千劫としても英傑同士で争う事態は不本意であり、ただサクラの潔白を証明してやりたいだけで、そして「スウ達のやり方で」それを証明してやれるだけの証拠を持っていると思っていた
それは千劫しか知らない当時の状況、サクラの救援要請があったこと、そしてサクラが裏切り者と戦うための勿忘草の仮面を付け何者かと戦っていたこと
サクラと千劫に見られたデータ異常はサクラの空間凍結能力の影響を受けた結果だった
救援要請を受け資料室に駆けつけた千劫が見つけたのは残された勿忘草の仮面だけであり、その仮面には血痕がついていた
サクラの無実を信じる千劫にとってこの血痕の持ち主こそ犯人の可能性が高く、精神感知型の英傑であるスウであればそれを調べることが出来るだろう
しかしスウの鑑定の結果、千劫の予想に反し、この血痕はエリシアのものだった
やはりスウらの疑うようにサクラが犯人だったのだろうか、いやそんなことはない、この方法で手詰まりなら今度は自分のやり方でサクラの無実を証明してやればいいのだ
とどのつまり犯人を殺せばいい、そのためには英傑以外の楽園の全データを壊していけば、どこかで犯人も慌てて出てくるだろう
なぜなら奴は英傑ではないのだから
千劫は空間に穴を開け楽園を構成するデータの深淵に飛び込んだ

データの深淵に落ちていった千劫の意識は自身の姿形をする何者かと出会った
その喋り方はエリシアを思わせた
2人は共に千劫の記憶を辿り、その中に秘められた千劫の感情を剥き出しにしていった
エイマーの死、診療所の襲撃、この世に落ちてきた時の村の記憶…
村で神と崇められ柱に磔にされ激痛を感じながら血を抜かれ続けた怒り、診療所の子供達をサクラに皆殺しにされた怒り、エイマーを第十律者として殺さなければならなかった怒り、そのエイマーの神の鍵を使えなかった怒り、千劫の人生の中には怒りしかなかった
それは自身の弱さに対して向けられた怒り
村、孤児院、毒蛹、英傑、それらの枠組みに対して納得出来ない部分はいくらでもあったが、それらを簡単に壊せるはずの千劫が力を振るうことはなかった
なんのことはない、千劫は帰る家が欲しかったのだ
そしてその家を守れない虚弱さに対してのみ、千劫は怒っていた
心の奥底を晒し笑う何者かに千劫は殴りかかった
その仮面の下に表れたのはこの事件の黒幕の顔、そしてその顔は千劫の予想した通りの人物だった
罠にハメられた千劫にもはやこの状況を打破する術はなかったが、千劫もまたこの黒幕を出し抜くために時間を稼いでいた
黒幕が千劫に意識を割いている間に千劫の身体はデータを破損しながらも本能で至深の処まで辿り着き、狙いを理解したアポニアはすぐさま千劫の意識に接触していた
千劫は身を挺して敵の正体を伝え、サクラの無実を証明してみせ、そして消滅した

出てるからちょっとまってて