キアナ・カスラナ

生い立ち

各所の話
10年間ずっとシベリアの寒村のさらに離れたところでクソパパと二人で暮らしていた
長らく名前もつけられていなかったし家からも出してもらえなかった
2007年あたりにやっとキアナって名前をもらえた
2010年に家が焼けてクソパパ失踪、この時10歳
以降ずっと一人で各地で人助けしながらクソパパを探してさまよい、南下して日本海を渡り極東の長空市に流れ着く

第三次崩壊

漫画『第1章・長空市脱出編』、chapter16の話
なんかこの街臭い…
カスラナの勘が働いたキアナちゃんは生徒のふりをして現地のお嬢様学校、千羽学園に潜入する
そこでいじめられていたmay先輩と出会い、ひとめぼれする
ひとめぼれはカスラナの悪癖である
そうしてmay先輩をいじめていた連中を蹴散らしてmay先輩と交流を深めた
しかしキアナちゃんが目を離したところをmay先輩は仕返しで的にかけられ、第三律者に覚醒する
may先輩はキアナちゃんの活躍でなんとか身体の主導権を取り戻し、二人で長空市からの脱出を目指した
途中で第三律者を確保しに来たブロにゃんを逆に助けて仲間にしたり色々あったが、油断したところを崩壊獣の襲撃を受けキアナちゃんは重傷を負い、それを見て激昂したmay先輩は律者に再覚醒してしまう
may先輩はちょうど出撃してきたハイペリオンを襲撃し、迎撃に出てきた姫子おばさんを殺しかけてしまう
しかしキアナちゃんが理屈はわからないが律者の崩壊エネルギーを消散させ、意識を失った二人は天命に保護された
目覚めたキアナちゃんは自分の知り合いを名乗るテレサという小娘にクソパパの手がかりを餌として提示され、A級戦乙女になれば教えてやるという言葉を信じて聖フレイヤ学園で訓練を受けることになった
ちなみにテリテリが最後にクソパパに会ったのは十数年前、もちろんクソパパの手がかりなんか持ってない、騙しやがったなババア！

聖フレイヤ学園の日々

漫画『第2章・桜花追憶編』『第4章・ネゲントロピー侵入編』『第5章・恩返し編』『第6章・月影編』、編年史『軒轅編』『蚩尤編』の話
馬鹿やりながら仲間達との絆を育むキアナちゃん
大好きなmay先輩、生意気なブローニャ、教官の姫子おばさん、学園長のテレサ、嫌われ者の委員長、メイドのリタ、これから運命を共にする彼女らとはこの頃から既に何度も戦場で肩を並べている
筆記が壊滅的すぎて直接前線に出られないC級やD級の戦乙女になるところだったが、仲間達の協力もありキアナちゃんはなんとかB級戦乙女になることが出来た

ムーンライトスローン

chapter1、2の話
第三次崩壊から3年
やっと正式にB級戦乙女になったキアナちゃん達は巨大空中戦艦ムーンライトスローンの青海市への落着阻止のために出撃した
出撃シーンがアプデ中に流れるこちペリオン報告！青海市上空に敵機出現！のムービーである
えっ！？そっち蹴るの！？って困惑されながら無人機に飛び乗ったキアナちゃんは帝王級崩壊獣の追撃を受けながらなんとかムーンライトスローンまで辿り着く
ちなみに帝王級崩壊獣は本来戦乙女小隊（最低でも隊長のA級戦乙女とB級戦乙女数人）全員で対応してもちょっとキツい相手、キアナちゃんは余裕そうだけどどう考えても戦力過小である
しかも1体だけかと思っていたらもう1体上位種が乱入してきたりするんだから困っちゃうよね
まあ任務は崩壊獣退治じゃなくて戦艦の停止だし結局may先輩が律者の力で帝王級崩壊獣を倒しちゃったからいいのか…？S級戦乙女も出撃してるしね
遅れて追いついてきた大好きなmay先輩とも合流して「may先輩がいれば百人力だよ～❤」とご満悦なキアナちゃんはそのまま崩壊獣やら防衛機構やらをなぎ倒しつつクソガキのブローニャを拾ったりしながら動力炉に辿り着き、ブローニャのハッキング能力で戦艦の停止を試みる
しかしシステムにプロテクトはかかっておらず、代わりに残されていた「4つのジェムを集めろ」という謎のメッセージを受け取った時、ブローニャは暴走、キアナちゃんも昏睡してしまう
何か腑に落ちないがとりあえず事態は終息し、一行は聖フレイヤに帰投する

律者っていうのがいてね

chapter3、4の話
巨大戦艦の解析のために4つのジェムが必要と考えた極東支部はオセアニア支部の持つデザイアジェムを受け取るためにキアナ達第5小隊を派遣する
しかし第5小隊がニュージーランドに到着した時、そこでは運悪く大規模な崩壊が起こっており、オセアニア支部とも連絡が取れなくなっていた
なおさら早急にデザイアジェムを確保しなければならなくなった第5小隊はジェムの人間格納器にされているA級戦乙女ウェンディの捜索を開始する
しかし発見されたそのウェンディこそが、このニュージーランドを壊滅させた崩壊の元凶、風の律者だった
未だ戦乙女としての人格を残していたウェンディを救うために極東支部は律者の討伐に出撃してきた天命本部のS級戦乙女とネゲントロピーの空中艦隊を鉢合わさせて時間を稼ぎ、先んじてウェンディとの接触に成功する
しかしネゲントロピー艦隊を率いていたカカリアに出し抜かれて戦闘で消耗したところを強襲され、ウェンディ共々カカリアの娘であるブローニャと雷の律者であるmay先輩も拉致されてしまう
ていうかウェンディちゃんよっっっわ……
極東のME社に連れ去られた3人を奪還するべく極東支部は奇襲をかけたが既にウェンディは死亡しており、そのコアであるデザイアジェムは迎撃のために起動したデウスの動力として用いられていた
デウスを破壊してmay先輩とブローニャを奪還し撤退しようとしたところ、カカリアはブローニャの脳チップに指令を飛ばしてムーンライトスローンの時のように暴走させようとしたが、これはブローニャが脳チップを自ら焼き切ったことで失敗する
ていうかデウスよっっっわ……
結局無事救出出来たのはmay先輩だけで、ウェンディちゃんは助けられず、デザイアジェムはネゲントロピーの手に落ち、ブローニャは脳を損傷して寝たきりになってしまう

全部夢

chapter5、6の話
ブローニャの治療法を探すためにキアナちゃんは聖フレイヤ学園の地下礼拝堂にあるスーパーコンピューターのもとへ忍び込んだ
滅茶苦茶な操作でなぜか起動したデータ空間に囚われたキアナちゃんはそこで16年前の第二次崩壊を追体験し、史実ではここで戦死するはずの母セシリアと出会い、自身の出生に関する秘密を覗き見て混乱しながらも母を救うために無我夢中で第二律者シーリンと戦い、勝利する
しかしそれはムーンライトスローンの時と同じように全て幻だった
この地下礼拝堂にデータ空間を構築するような設備はないのだ
精神が不安定になったキアナちゃんは力を暴走させ、狙い澄ましたかのように現れたフカとリタに制圧されて天命本部に連れ去られてしまう
事態は大主教オットーの目論見通りに進んでいた

始まりの終わり

chapter7～9の話
我らが主人公の正体はK-423、第二律者再臨のために作られた本物のキアナのクローンだった
オットーの目論見通り空の律者は覚醒し人類への攻撃を開始する
キアナちゃんを救うため天命本部に反旗を翻していた聖フレイヤ組は空の律者の矢面に立って彼女に呼びかけるが、もはや今までのキアナちゃんの意識は邪悪なシーリンの人格に塗りつぶされ目覚めることはない
しかしオットーは言う、愛で律者を殺せる、と
身近な人を殺害した精神的ショックはK-423を激しく揺さぶり人格の主導権を空の律者から取り戻させるはずだと
そして誕生するのは人類の意志を持ちながら律者の力を行使出来る存在だ、あの第一律者のように
それ故に空の律者が撤退する聖フレイヤ組に追撃をかけていても誰も止めに来ない
キアナちゃんはmay先輩からコンケストジェムを奪い、恩師を殺した

世はまさに大崩壊時代

chapter11-1の話
強力な空の律者の再臨は世界中の崩壊を活性化させていた
空の律者覚醒の余波で起きた天変地異と大量発生した崩壊獣は数え切れないほどの死者を出し、いつしかそれは大崩壊と呼ばれるようになっていった
人々は故郷を追われて防備の整った大都市に押し寄せ、難民を飲み込み巨大に膨れ上がった魔都を世界中に誕生させていく
ここ天穹市もそのひとつである
キアナちゃんはそんな自身の罪が生み出した街の影に潜み、内なる悪魔と戦っていた
神殺しの槍を打ち込まれて崩壊エネルギーを霧散させられたとはいえ一度目覚めた空の律者は急速に力を取り戻しつつある
日々自身の中で大きくなる空の律者との戦いは天真爛漫だった心を蝕み、罪深さに耐えかね自殺を図らせたこともあったが、自分のために命を燃やしてくれた先生の遺志がギリギリのところでキアナちゃんを踏みとどまらせていた
そんな結末を辿らせるために彼女は死を選んだわけではない
「世界はもうかつてのように美しくない、でも諦めないで」
残された時間はそう多くはないかもしれないが、ならせめて最期の瞬間まで先生との約束を守って抗おう
「この不完全な物語をアンタの望むとおりに変えてみせなさい」
そのためならどんな力だって利用しよう、それが原罪の在処だとしても

こうして天穹市に片青眼の遊侠が生まれた
彼女はこれまで培ってきた戦乙女格闘術に加えて一部だけだが律者の権能をも操り、夜闇に紛れて人々のために戦った
それが出来たのは神の鍵の力でキアナちゃんの脳内に意識を移していた委員長のサポートがあったからである
委員長はキアナちゃんの心に寄り添い精神的に支えながら太虚剣気という崩壊エネルギーを精妙に操る技術を教え、律者化を抑えながら権能を行使する術を与えた
しかしそれは諸刃の剣、力を求めて権能を引き出すほど彼女の目覚めの時は近づく

このあたりの空気感が一番好きかもしれない

chapter13、14の話
キアナちゃんは未だ天穹市に留まっていた
肥大化を続ける都市の影で蠢く蛇の陰謀を阻止するため追っ手のリタと手を組み神城製薬の調査を進め、予想よりはるかに強大な敵の勢力に幾度もエッチでピンチな目に遭いながらも2人は行われようとしているこの街に集まった人々を犠牲にする非道な実験の全容を掴み、最後の希望はキアナちゃんの手に託された
炸裂寸前の崩壊炉心を力を使って上空に逃した青い眼の律者は大量の崩壊エネルギーに曝されて墜落する
それを助けたのはデュランダル、天命最強のS級戦乙女にしてかつてのキアナちゃんの憧れ

出会い

chapter15の話
目覚めた時、キアナちゃんは北アフリカのヴィルム実験室の地下深くでデュランダルの手当を受けていた
都市ひとつの人々をゾンビにしてしまえるような大量の崩壊エネルギーを取り込んだキアナちゃんはもはやいつ律者として再覚醒してもおかしくなく、最悪の場合この場所なら外に被害を漏らさず天命最強の戦乙女が対処出来る
キアナちゃんは最初こそデュランダルに対してなぜあの狂ったオットーに従うのかと問い詰めたが、彼女の強さを裏打ちする強固な意志に感服し、デュランダルもまた内なる律者に苦しめられながらも高潔な精神を保持するキアナちゃんを立派な戦乙女と認め手解きを施した
うーん誰かが見たら涙を流して喜びそうな素晴らしい光景ですね
まあそんな温かい時間は長くは続かないのが崩壊3rdなわけだが
ヨルムンガンドの襲撃に対して天命の敗北を悟ったデュランダルは出撃の前にキアナちゃんを信じて逃し、キアナちゃんは脳内に宿るフカの意識を失いながらも戦場を離脱する
限界を迎える時が迫る中、キアナちゃんは覚醒に人々を巻き込まないよう廃墟と化した長空市を目指した

言われた側の気持ちとか考えたことある？

chapter16、17の話
大好きなmay先輩と出会った思い出の千羽学園でキアナちゃんは律者に人格を塗りつぶされ消える時を待っていた
天命本部で見失って以来ずっと行方を追ってきたハイペリオン組はここでようやく彼女を保護したが、may先輩との再会は逆にキアナちゃんの未練を断ち切って覚悟を決めさせてしまったのかもしれない
ビーコンを得たオットーの千界一乗の起動実験は大規模な虚数侵蝕をもたらし、キアナちゃんは最後の時まで人類のために戦おうと同じ空の律者の力を使ってこれを終息させるためにmay先輩の静止を振り切って病室を飛び出していってしまう
これが私の使命だから、と
自身の無力を嘆いたmay先輩は内なる律者と人格を統合し、雷の律者として羽化を迎えて律者コアを凝集させ、キアナちゃんをボコボコにしてヨルムンガンドへ出奔していった
体内のコンケストジェムを失ったキアナちゃんは覚醒の時までひとときの猶予を得る

言われて初めてわかることもある

chapter20～22の話
may先輩のおかげで得た時間で崩壊エネルギーの制御法を身につけるため、フカさんの太虚剣気に手掛かりを求めたキアナちゃん達は太虚山を訪れた
そこで前文明から続く崩壊との戦いに明け暮れたフカさんの壮絶な人生を知ったキアナちゃんはなぜ彼女が時にオットーに協力し時に自分を助けてくれたのか理解したが、これは降臨した識の律者が用意した過去の上映会だった
自身をフカだと信じて疑わず周囲にそれを認めさせようとする識の律者と、ケビンを経て識の律者の手に渡った天穹市でキアナちゃんを助けてくれたフカの意識
当然キアナちゃんは後者を選び、識の律者は激怒した
フカさんの太虚剣気のサポートを受けて空の律者の力を駆使するキアナちゃんと識の律者の激しい戦闘は奥義太虚剣神の打ち合いの末にキアナちゃんの勝利で終わるが、識の律者を消滅させるまでには至らず、フカさんは残った力で識の律者を封印して消えようとする
これが私の使命だから、と
かつてmay先輩に投げかけてしまった言葉を言われる側になったキアナちゃんは残されるものの辛さを知り、犠牲の上での勝利なんていらないとこの結末を拒絶して手を伸ばす
フカはたくさんの裏切りと嘘を味わった、でもキアナちゃんは私は嘘をつかないと答える
フカは信じてくれた人々を自身のせいで失い続けた、でもキアナちゃんは私は強いからそんなの心配ないと答える
5万年の歳月の中で孤独に戦い続けたフカはもう疲れ果てていたが、そんなことはキアナちゃんには関係ない、なぜならもうひとりぼっちになんてさせないのだから
キアナちゃんは困惑するフカさんの手を無理矢理握り強く答える
「私から逃げるなんて、許さないんだから！」
き、キアフカｷﾃﾙ……これはもう崩壊3rdの最大手カプはキアフカだと決まったようなものですね
↑精衛仙人もそう思います
↑影騎士・月輪もその意見に賛成です
↑融合戦士華も同意します
↑探偵助手ワトソンは最初からわかっていましたよ
↑全部朴念仁じゃありませんか！自演はやめてください

お別れ会

chapter23～25の話
支配の律者が降臨した
人の心の闇につけ込む支配の律者はキアナちゃんの内なる律者の人格を目覚めさせることを目論み、手を変え品を変え襲撃をかけてくる
キアナちゃんを囮に使った作戦は一定の成功を収めたものの支配の律者を一網打尽にすることは叶わず、キアナちゃんは支配劇場に囚われ、精神的な責め苦を受ける
支配の律者の切り札となったのはプレイグジェム
なぜ月蝕装甲に装着されていたそれを支配の律者が持っているのか、その答えは今までわかっていながら目をそらし続けた現実である
「無量塔姫子は死んだ！死んだ！死んだんだよ！さあ心に浮かんだ答えを言えッ！！」
恩師を殺してしまった
その事実を受け止めた時キアナちゃんの心は揺れ、ついに空の律者が目覚めた

空の律者との主導権争いの中、2人は封じられた過去の記憶を溯っていく
空の律者はキアナちゃんに対してそのように傷ついてまで守るべき価値のあるものなどこの世に存在しないと言い、K-423としてあのオットーに作られ、そしてその後に本物のキアナを死に追いやった呪われた過去を見せる
この醜い世界に産み落とされた最も醜い存在こそが自分であると
しかしキアナちゃんはそれに対して、そんな自分にも愛情を注いでくれたジークフリートや姫子先生がいたと返す
それに空の律者だってシーリンとしての死の直前に受けたセシリアの愛を知っているだろうと
空の律者は笑う
そんなセシリアの死の原因になり、ジークフリートの片腕を奪い、姫子の命さえも奪ったのが自分だ
そして姫子への感謝を口にする割りに姫子がどういう気持ちで自身と向き合っていたのかも知らないだろうと語り、K-423が知る由もない7年前のシベリアの真実を映し出した
ジークフリートが片腕を失ったあの日に全滅した戦乙女小隊の隊長、その人こそ姫子の恩師、ラグナである
これはプレイグジェムに残された記憶を読み取ったもの、姫子は自身の生徒こそが恩師の仇であると知っていたのだ
姫子はK-423を生徒として愛していたわけではなく、これ以上恩師のような犠牲者を増やさないよう憎しみを押し殺しながら戦っていたに過ぎない、その日々はまるでいつ爆発するとも知れない不発弾を処理させられているようなものだっただろう、と空の律者は代弁する
しかしキアナちゃんはそれでも最期の瞬間までそんな仇の自分を抱きしめてくれた姫子先生の愛を信じた
人の善意を信じるキアナちゃんと人の悪意を信じる空の律者、2人の思考は正反対だった
なぜ母の愛を知る空の律者がその愛の存在を頑なに否定するのか、それに考えを巡らせた時、キアナちゃんはある推論に確信を持つに至る
そしてその結論は正しい、と空の律者も肯定する
第二律者シーリン、死の瞬間まで人と律者の間で揺れ動いた彼女の願いは2つの人格を生み出した
世界の美しさを信じたかったシーリンと、世界の醜さしか信じられなかったシーリン、それこそキアナちゃんと空の律者である
故に2人の考えが交わることはなく、和解はない
相手が退かないつもりなら……
「愚問！」
「ならばっ！」
──今こそ我ら、真に一つとなる時！──

心の内での激しい争いはキアナちゃんの勝利に終わった
しかしキアナちゃんは空の律者にトドメをささず、手を差し伸べる
本当はわかっていた、世界は最初から美しくも醜くもなく、それを美しく出来るのが人であれば醜く出来るのも人であるということを
そして空の律者もそれをわかっているだろう
最初から望まれて醜く生まれるものなどなく、空の律者が醜くあり続ける必要もない
しかし空の律者は拒絶する、その手を取るには自分はあまりにも殺しすぎた、だから……
「さらばだキアナ、精々足掻くといい」

空間は崩れ、キアナちゃんの意識は記憶の奔流に飲まれる
そして流され目覚めた場所は真っ白な聖フレイヤ学園、そこには見知った後ろ姿があった
キアナちゃんは思わず駆け寄る
彼女はプレイグジェムに宿る意識の残影にすぎないが、それでもその奇跡は起きた
「久しぶりね、キアナ」
微笑みながら振り返った恩師は、あの日のまま少しも変わっていない

それから2人は学園の頃の思い出を振り返りながら聖フレイヤを巡った
この空間なら時間は流れないから少し付き合えとのことだ
3年間を過ごした学び舎だけあってどこを見ても何らかの物語が思い出される
あの学寮の窓はいつも夜遅くまで明かりがついていた、姫子先生は酔って明かりを消し忘れて寝ただけなんて言っているが、きっと教師の毎日は大変だったのだろう
あの植え込みでキアナちゃんはよく授業をサボって寝ていたが、なんであんな見つけてほしいと言わんばかりの場所で寝ていたのかといえば、それはあの場所が日差しが当たってお昼寝にちょうどいいからだ
あの塀はキアナちゃんの脱走を防ぐためにテレサが何度も高くしていったが、いくら高くしても飛び越えていってしまうから、キアナが怪我をしないようにそれ以上は高くするのをやめたらしい
あの頃は世界なんか自分の力で好きなように変えてやれると思っていたが、こうして先生から話を聞いていると陰ながら守ってくれる人達がいたから夢を見ていられただけなのだと改めて実感する
それが分かるようになったのはキアナが立派に成長したからで、それは教師として大変誇らしいことだ、と姫子先生は褒めてくれた
でも……でもそんな先生を殺してしまった
偉そうに言ってた最強の戦乙女になる目標も叶えて、千人律者を倒して、may先輩を連れて帰って、第十一律者も第十二律者も倒して、終焉の律者にだって勝ってみせて、この完璧じゃない物語を望んだように変えたとしても、その姿を一番見せたかった姫子先生はもういない
後悔を吐露したキアナちゃんの頭を姫子先生は優しく撫でてくれる
本当はずっとここにいたいが、先生の教えを受けたものとして立ち止まるわけにはいかない
だからせめて別れだけはしっかりと
「先生の生徒になれて嬉しかった！先生に出会えて、私幸せだよ！」

自身のイドを乗り越え戻ってきたキアナちゃんに支配の律者は驚愕する
支配の律者とは結局のところ敗者の集まり
もちろん彼らも敗者になりたくてなったわけではない、むしろ誰よりも勝利に憧れ、そして力尽きた者達だ
立ち止まってしまった彼らは世界に理由を求め、そして烏合の衆と化した
しかし目の前の少女を見ているとわかってしまうのだ
自分達を敗者たらしめたのは、結局のところ、自分自身の心の弱さだということを
支配の律者は素直に悔恨と賞賛をキアナちゃんに送り、そして直視出来ない現実を否定するために圧倒的な力で襲いかかる
ただ1人の勝者が何になるのか、世界は最初から美しくないのに抗うだけ無駄だと
しかしキアナちゃんは膝をつかない
世界が美しくないのは当たり前、だけど諦めずに少しずつ変えていくために戦う
たとえその結果が望んだとおりにならなくても、戦乙女達はそうして自分達の信念を伝えてきたのだ、だから無駄になんてならない
それが皆の想いを背負った自分の道だ
姫子先生から受け継いだ剣は支配の律者を切り裂き、劇場の幕は下りた

数週間後、姫子先生の葬式が執り行われた
彼女の遺体は上がらず、既に身寄りも無く、遺品と呼べるものも折れた剣しかない
それでも多くの人が彼女を偲び花を手向けた
キアナちゃんは改めて自身を暗闇から救い出してくれた恩師に感謝の言葉を贈り、彼女が残してくれた澄んだ空の下を歩き続けることを宣言した

アポカリプスかく語りき

chapter26～28の話
キアナちゃんの活躍で第十次崩壊は終息した
人形になった犠牲者達の社会復帰も進み、人類は束の間の平穏を取り戻していた
しかしネゲントロピーは最初の討伐計画で死を偽装されて支配の律者を取り逃しており、何より未だにその律者コアは見つかっておらず、今回も同じ手にかかってしまった可能性を捨てきれずにいた
あるかもわからない襲撃に備えるだけの時間は静かに、しかし着実にキアナちゃん達の心を疲弊させていく
そんな日々が2ヶ月ほど続いた頃、事態は急展開を迎える
オットーが天命大主教を辞任するというニュースが全世界を駆け巡ったのだ
それだけでも警戒を強めるのに十分な理由だが、さらにテレサに宛ててオットーから次期主教の座と支配の律者コアを引き渡したいという申し出があり、あの狂人が何らかの謀略を仕掛けてきていることは誰の目にも明らかだった
オットーから名指しされたハイペリオン組にネゲントロピーを代表してアインとテスラを加えた一行は、引き渡し場所として指定された旧天命本部カロスタンへと足を踏み入れる
しかし予想通り、そこでは幾重にも張り巡らされた罠が彼女らを待っていた

ある者の人生は周囲の人々の心にそれぞれ違った長さの影を落とす
それがあのオットー・アポカリプスともなればなおさらである
ある人に対して男は善を説き、正しい道へと導いた
ある人に対して男は悪を為し、その一生を歪ませた
前者の代表はテレサやフカ、デュランダルだ
彼女らは男に悪の側面があることを知ってもなお憎むことは出来ない
そして後者の代表はキアナちゃんや博士達だ
彼女らは男に善の側面があることを知ってもなお許すことは出来ない
この聖女が死んだ街で進む謀の中で、皆が男の真意を見極めようとしていたが、未だ霧は晴れない
しかしその全員が共有している考えがひとつだけあった
聖女を取り戻すためなら、あの男は何でもやる
その計画を止める力を持つ中で唯一純粋な怒りを燃やせるものとして、キアナちゃんはあの狂人に引導を渡さなければならない

対峙したオットーは約束の律者の力を手中に収め、さらにそれを足掛かりに偽神と化していた
今の世界を生贄に捧げて時間を500年前に戻すと嘯くオットーをデュランダルと共に追撃したキアナちゃんは空の律者の力で虚数くりこみを起こし、これを討ち取る
しかしオットーの狙いはその虚数くりこみにこそあり、今ある世界が壊されることのないまま彼の願いは成就され、同時に崩壊の神に対抗する予行演習としてこの一連の騒動は終わりを迎えた
キアナちゃんは犠牲者の代表としてオットーを討ったが、あのようなどうしようもない愚者であっても邪悪だけの存在ではなかった
この世には善と悪がある
ただ善と悪だけではない
結局のところ大事なのは善悪の彼岸を超えて自分の信じたことを貫き、その結果に責任を持つことである
キアナちゃんは仇の死に様にそう教わった気がした

xxしないと出られない世界の泡

chapter32の話
テレサを主教として戴く新体制の天命がスタートした
天命に帰参したキアナちゃんを待っていたのは……デュランダルとの訓練だ！
訓練の相手が欲しいだけならリタや素裳だっているというのに、なぜかデュランダルは妙に熱心に指導してくれる
もう1年も前になるが、ニュージーランドでテレサが言ってたことが今になってようやくわかった気がした

いつも通り地獄のようなスパルタ訓練に疲れ果てて部屋で寝ていたキアナちゃん
しかし目覚めた時、そこは見知らぬ空間だった
最初はあまりにも疲れすぎてこんな変な夢を見ちゃったよ～なんて呑気に構えていたキアナちゃんだったが、すぐに大量の量子の影に襲撃を受け、これが夢ではなく現実の量子の海だということ、そして自身の律者の力が封じられていて使えないことを把握し、事態の深刻さに気づく
とはいえなぜこのような状況に陥っているのかなど検討もつかず、勘を頼りに彷徨うくらいしか出来ることはない
そう、ただの勘である
それでも奇跡的にブローニャと合流出来た
しかし自分より量子の海に詳しいブローニャでも状況はわからず、確認できたことといえば彼女も同じように突然律者の力を封じられた状態でここで目覚めたということだけだ
おそらく何者かが律者を狙い撃ちにして作り出した状況だが、現状で出来ることといえば当てもなく勘を頼りに彷徨うくらいで変わりない
それでmay先輩と合流出来てしまったとなれば、これはもう奇跡でもなんでもなく必然だろう
まあとりあえず遠く離れていても近くに感じていたmay先輩との再会、そして久しぶりの三馬鹿勢揃いである
色々あったけどこの場所で出会う時にはあの頃の3人に戻(な)れてたみたいでよかったよかった

may先輩は聖痕計画を前にしてヨルムンガンドを解雇され、この量子の海に閉じ込められたらしい
であるならば3人の目的は同じだ
ここを抜けだし、蛇の野望を阻止するのだ！
3人を引き合わせた何者かによる導きに言及したキアナちゃんに2人も同じことを考えていたと肯き、三馬鹿は1年ぶりに同じ目標に向かって心をひとつに動き出し……ってmay先輩の言ってるやつだけなんか違くない？しかもなんか本当に道筋みたいなの見えるしなにそれ知らない……あとmay先輩がちょいちょい挟んでくるエリシアとかパルドとかって誰……？
そんな困惑するキアナちゃんとブロにゃんを尻目にmay先輩は迷うことなくどんどん進んでいき、3人はとある世界の泡に辿り着く
月面を写したそこで待っていたのは2種類の導きを用意した張本人、前文明の指導者メイ博士（の泡影）と識の律者だった

聖痕計画を立案した張本人は状況を把握していた
聖痕計画とは終焉の律者の力を封じる作戦、その完成を妨げる律者達を隔離しておくために使われたのがこの世界の泡だった
そして律者達の力を結集しここを脱出するために識の律者はキアナちゃん達に導きを与えてここに呼び寄せたらしい
脱出の鍵となるのは空の律者の力である
この終焉の力で固有世界から引きちぎられて生まれた世界の泡を虚数の樹に再接続することが出来れば帰還は叶うだろう
そのためにキアナちゃんに空の律者の力を取り戻させるメイ博士の作戦が始まった
理屈的には、律者の力を封じているのは戒律なるものに似た精神にかけられた枷らしい
……戒律って聞いてmay先輩が1人ですごい納得したみたいな顔してるけどそっとしておこう
なんだかんだ言いながら協力してくれた識ちゃんのおかげでこの精神の枷を弱めることには成功したが、戦闘を考えるとまだまだ全然足りない
そこで利用するのが律者同士の感応である
相手は誰でもいいらしいし、誰にしようかな？

1. じゃあブローニャにお願いしよう
   ↑「正気ですか……？嫌です、may姉さんに頼んでください」
2. じゃあ識ちゃんにお願いしよう
   ↑「はぁ～？私の中に受け入れるなんて冗談じゃない！それにあなたには適任がいるでしょ」
3. じゃあmay先輩にお願いしよう
   ↑「ちょっもうキアナちゃんったら❤お昼間からそんなこと言うなんてあなたの純真は失われちゃったのね❤」

というわけで律者コアを通い合わせた2人の記憶は溶け合っていく
シチュもシチュだし途中フェンスのぶち破られた千羽学園の屋上とか出てくるしでそろそろ「」長の腹筋にも限界が近づきつつあったが、とにかく薪炎の律者と雷の律者は力を取り戻した
そしてプロメテウスの指示に従い虚樹の残骸・神秘主義を討伐し、空の律者の力で世界の泡が虚数の樹との接続を回復したことで4人は固有世界の月面に存在を取り戻した

月からの脱出

chapter33の話
固有世界の月面に存在を取り戻した律者達は月に転移させられていた聖痕覚醒者組と合流を果たした
デュデュの様子がかなりおかしいけどまあリタがいなくて心細かったのだろう
一行は識の律者を追ってクレーター底のケビンのもとを目指したが、ここで問題が発生する
いつの間にか空の律者の力でも脱出出来ない謎の空間に囚われていたのだ
結論から言うと、この空間を発生させていたのはキアナちゃん達自身である
虚数空間において対極の存在である律者と聖痕覚醒者がひとところに集まったことで聖痕計画の影響下にある空間の曲率は異常な数値を取り、距離を無限に引き延ばしてしまっていた
これを受けて一行は二手に分かれ、律者達はそのままクレーター底を、聖痕覚醒者達はその足で地球を目指すことになった
ケビンとの間に必要なのはあくまでも対話であり、戦闘力は彼に終焉を超えられると示せるだけあればいい、そういった考えだった
しかしクレーターの底で待ち構えていたケビンは逆に3人に圧倒的な力を見せつけ、去って行ってしまう
終焉に抗えるのは終焉のみ、対話ではなく力で聖痕計画を否定してみせろ
蛇主の回答は明白だった

終職活動

chapter34、35の話
ほとんど時を同じくして地球に帰還したキアナちゃん達とデュランダルおすし組は島嶼システムで虚数侵蝕の影響を免れていた天命・ネゲントロピーとの連絡を回復し、聖痕計画への反撃が開始される
作戦は虚数侵蝕で存在を否定された地球の奪還、聖痕計画の乗っ取り、終焉の力の掌握の3段階に分かれ、その最初の攻撃地点として選ばれたのは奇しくも聖フレイヤ学園だった
これは聖痕計画の信号の中に宇宙背景放射のように聖フレイヤの情報が含まれていたからである
キアナちゃんは空の律者の権能を使ってこの情報を集めて座標を割り出し、先発隊として月からの帰還組を率いて攻め込み、学び舎を奪還した
そしてこの場所が反撃の端緒となったのは偶然ではないということを知る
行方不明になっていたテレサは、宇宙にいたせいで真っ先に聖痕計画の影響下に入ってしまい孤立無援で戦っていたのだ
しかし1人ではなかったらしい
テレサと一緒に戦っていた男こそキアナちゃんがずっと探していた父、ジークフリート
彼は未だカスラナの聖痕空間に囚われているが、ケビンがキマイラを取り出しカスラナの聖痕空間を手放した今こそ奪還のチャンスだ
ジークフリートの救出に名乗り出たのはキアナちゃん、そしてなぜかデュランダル
仲間のサポートを受け2人はカスラナの聖痕空間に踏み入った

雪原を越え、キアナちゃんは再会を果たした
父のジークフリート、そして真のキアナ改めビアンカとだ
父と、本物だがその記憶を失った娘と、娘に成り代わった母の仇の生まれ変わり、それぞれに思うところのある3人の初めての顔合わせはどこかぎこちない空気が漂う
そんな空気を打ち破り、父娘を結びつけたのはキアナちゃんだった
そしてようやく素直に微笑みあった2人は妹としてキアナちゃんを迎え入れ、3人の親子は抱き合い、再会を喜んだ
いやぁよかったよかった
きっと草葉の陰でセシリアとシーリンも喜んでいるわね☆

ジークフリートを伴って姉妹が現実に帰還した時、邪悪なメイドの暴露で3人の関係は皆の知るところとなっていた
困惑するテレサ叔母さんにビアンカが捕まって質問攻めにされそうな雰囲気もあったが、誠実なメイドが気を利かせてくれて姉妹水入らずで話せる時間を設けてくれた
10年前のあの日、培養槽の前に来た男は妻を奪った律者の残滓を全て消し去るつもりでいた
しかしそれを止めたのは男が連れていた女の子
彼女のお願いがあったから実験体でしかなかった美少女はキアナとしての人生を歩むことが出来たのだ
キアナちゃんは姉に感謝の言葉を述べ、そしてこれからはデュランダルという彼女の使命を表す他人行儀な呼び方ではなく、「お姉ちゃん」と呼んでいいかと訊ね、受け入れられた

キアキアが崩壊最先端カプに浮上していたその頃、may先輩は消滅した
そして皆の心配を余所にしれっと帰ってきたかと思ったら私は起源を探すわなどと言い始める
そもそもmay先輩がろくに語ってくれないせいで起源の律者のことなど誰も知らないわけでとうとうNTRで脳を破壊されたかとも思われたが、その在処を示すヴィルヴィなる人物のビーコンを持って来たし本当にそれが存在するとしたら終焉の力の掌握には不可欠ということもあり、まあ作戦の空き時間で拾いにいっていいよ……と許可された
しかしこのmay先輩の奇行が作戦の成否を分けることになろうとは、誰が予想していただろうか

ビーコンに従って聖痕計画のメインネット『星の目次』に辿り着いたキアナ、may先輩、ブローニャの3人は実存主義を倒して聖痕計画を一瞬静止させ、may先輩を送り出した後に残された2人はとりあえずやることがなくてずっと待機していた
そのうち戻ってきたmay先輩は本当に起源の律者に覚醒しており、ちょうどケビンから終焉の座標を割り出してきた識ちゃんも合流し、さらに何故か死んだ律者達の権能もこの場所めがけて集まってきていた
あまりの都合の良さにキアナちゃんは驚いたが、識ちゃんによるとこれが起源の権能らしい
とにかくこれで条件は揃った
そして繭に選ばれたのは──キアナちゃんだった

──『真理』──
特別なことのない少女
文明はただあるがままに自然に進化する
その奇跡を起こし続けているのは、彼女のような何の力も持たない普通の人々だ

──『侵蝕』──
永遠を求めた機械
彼女に証明してみせよう
どんなものが永遠に存在すべきで、どんなものが永遠に存在出来るのかを

──『風』──
律者の力のために犠牲になり続けた少女
彼女の伝えたかった言葉は既に届いている
律者の力より、みんなの幸せの方が大事なのだと

──『空』──
全てを憎み続けたもう1人の自分
善と悪、過程と結果、互いに相反する2人が共に歩むことはなかったが、それでも彼女は最後に背中を押してくれた
Ich☆liebe☆dich、シベリアで蒔かれた種は今開花の時を迎えた

──『雷』──
誰よりも大切な少女
優しい彼女はその優しさ故に迷ったこともあったが、美しい物語は彼女を光の中へと戻した
過去の過ちは未来で雪げばいい、きっと長空市もかつての美しさを取り戻す日が来るのだから

──『氷』と『星』──
運命に翻弄された恋人達
悲劇は何の前触れもなく訪れ、あったはずの幸せを奪っていく
それは防ぐことの出来ないものなのかもしれないが、それでも人々はより良い世界を夢見て戦い続ける

──『意識』──
他人の記憶から生まれた少女
自分とは誰なのか、彼女が悩み続けたその問いの答えはきっともう見つかっているだろう
彼女は彼女、他の誰でもない、他の誰かになる必要もない、唯一無二の存在だ

──『支配』──
世界に絶望した敗者達
人が光だけを追い求めれば影に取り残される人も出てしまう
必要なのは、旅人に寄り添い影を照らす薪炎なのだ

──『約束』──
あらゆるものを愚弄しつづけた愚者
男は誰よりも愛の力を信じていたが、その愛は人々に悲劇をもたらし続けた
それでも、愛の生み出したものならいつかは誰かの力になり、正しい結末を導く助けになるだろう

──『起源』──
起源の後継者達
彼女達は時に人類の側に、時に崩壊の側に立って互いに争い続けた
紡がれた物語は美しいものだけではなく、世界は相変わらず醜い
それでも今日より少しでも美しい明日を目指して戦うことが出来るのは、5万年前の無瑕の人が起こした奇跡のおかげだ

少女はその生まれから祝福されたものではなかった
祝福を得られない彼女の旅は困難の連続で、心が折れかけたことは何度もある
それでも彼女は試練を乗り越え続けた
それはきっと彼女に愛の暖かさを教えてくれた人々がいたからだろう
かつて雪原の小屋から旅立ったあの日、何度転んでも優しく照らし続けて立ち上がる勇気をくれた、あの月光のように
そして旅は終着点へと至る
全ての律者達の権能(想い)を背負い、今この場所に立つのは悲劇の輪廻に終止符を打つ者
彼女の名はキアナ・カスラナ──『終焉の律者』

簒奪者の玉座で待つもう1人の終焉との戦いが始まった
『業魔』の試練を超え、『救世』との死闘を制し、最後に対峙するのは彼の初心たる『ヒーロー』ケビン・カスラナ
かつて長空市で崩壊との戦いを始めた日のようにバットを手に持つ2人の表情は、かつての険しいものとは違って希望に溢れている
結局のところ、全てが終わったように見えて、全てが終わっていない
むしろ本当の戦いはこれから始まるのだ
その戦いはこれまでよりもはるかに困難なものになるだろう
これからの世界には前文明の遺した足跡もなく、繭の試練もない
未踏の雪原に立って凍えるような孤独の中、その果てにどこに至るのか、何を掴めるのかもわからないまま、人類は進むべき道を人類自身の手で決めなければならない
しかし、きっと大丈夫だろう
先行者達が託した火種が薪炎となって旅人に光と温もりを与えるのだから
「この世界は君に任せた、キアナ。」
最後の先行者は笑顔で見送り、光に消えた

聖痕計画の全てを掌握したキアナちゃんは完全な終焉の律者への覚醒を遂げつつある
終焉の律者の使命は、この世界と人類が自由に発展する運命を守ること
具体的には新生した地球が終焉の力に耐えられるようになるまで、月に残って崩壊が世界に与える影響を減らすのだ
それには5年から10年かかるかもしれないし、世界中の人々の協力が必要になるかもしれない
しかしそれが完了した時には、終焉の力は人類のために使われるようになるだろう
とはいえ、月は遠い
今までのように友人たちとずっと一緒にいるようなことは出来なくなる
しかし、そういった別れは彼女に限らず万人の身に起こることなのだ
学生時代が終わり、地元を離れて遠くに就職する、そういった普遍的な成長にも置き換えられる話だ
ただ彼女の場合はこれまでの道のりが人より少し険しく、背負う使命が少し重かっただけにすぎない
それになにも永遠のお別れが来たわけじゃない
月が遠いといっても星門を使えば来られるし、ニューアトラだって月面基地として立派に人類の住める場所になっている
寂しくなったら、終焉の権能を使うまでもなく、この時代のテクノロジーは毎日だって彼女らと連絡を取ることを可能にする
成長は痛みを伴い、いつまでも少女のままでいることはできない
でも卒業ってそういうものだよね、姫子先生？
ならその最後にこれまでの足跡を辿ろう

美少女の物語は1人で始まった

しかしその中で美少女は多くの人々と出会い

多くの先人たちの導きを受けた

そんな美少女を支えたのはいつも隣にいてくれたあの2人だ

今、美少女は卒業の時を迎える

そして再び1人になった彼女の新しい旅が始まる
けれど怖がる必要はない
彼女の足跡は人々の目印となってそこにあり続けるのだから

これは愛の物語
きっと愛に満ちた結末がある
だから昔と同じように一歩ずつ前に進もう
ほら、私たちの足跡はどんな時もここにある
「願わくば、君が世界の美しさであり続け、永遠に輝きますように」

────
終焉の律者になったキアナの日々が始まった
月は殺風景で、地球との通信も不安定だ
まあ、最初はこんなものだろう
テスラ博士も張り切っているらしいし、月はこれからどんどん栄えるはずだ
地球の神なんていってもキアナちゃんはキアナちゃんのまま何も変わっていない
今日からはこの新天地で新しい日々、新しい仕事が始まる
だからその前に……

「キアナ、出撃！」

神様になってやることが勉強だって知ってたら終焉の律者になんてならなかったかも

chapter39、42、42.1の話
権能の行使にはイメージが大事
それは終焉の律者にとっても変わらない
というわけで神様になったキアナちゃんを待っていたのは、アインやテスラや長光の超難しい授業、テレサの出す大量の宿題、月1で行われるアラハトのテストプレイ、may先輩によるクラインの尋問、そして折檻……
まあ聖フレイヤにいた頃のように座学を放り投げて逃げ出したりしなくなったあたり、キアナちゃんも大いに成長しているのだろう
努力の甲斐もあって崩壊エネルギーのコントロールは順調に上達しているようで、このまま上手くいけば今後数年かけて月が赤くなる予定らしい

👉バーン

chapter42の話
双生の泡で起きた顛末を聞いて「娑」という脅威を知った人類は対策に乗り出す
敵の持つ力は推定で終焉の律者の1/10、これまで倒してきた律者たちよりははるかに強大だが、キアナちゃんであれば余裕で勝てる相手だ
自身をエネルギーに変換してその存在の根源に乗り込んでいったミステルの座標情報はなぜかリアルタイムでプロメテウスに同期されており、その位置は把握出来ている
問題はその場所、「娑」の位置は地球からおよそ4500天文単位のかなたの太陽系外縁にあり、権能の及ぶ範囲から遠く離れていて観測もままならない
しかしキアナちゃんは何者かの指示に従ってその場所に向けて攻撃する
光速の5336倍の速度で放たれた空間攻撃は26光日先の目標に正確に届けられた
その効果を知るのは、少し後のこと

ドサッ

chapter42の話
委員長が帰還し、宇宙の彼方であった戦いの全貌が明らかになった
この絵図を描いたのはスウというかつての英傑で、委員長がプルシャに行ったのも、プロメテウスにミステルの座標情報がリアルタイムで届いたのも、彼の力らしい
……それから1年後、彼の力が地球とプルシャをつなげた
遠い星で根付いた前文明の遺志を継ぐ同胞と初会を喜び合い、人類の意思は宇宙へと向いていく
あれ？テレサと通信がつながったと思ったら急に電波が悪くなったなぁ、何か話してるの？よく聞こえないから、通信を切るね！宿題バイバイ！あっ、違う、またね、テレサ！芽衣先輩、ブローニャ、それとみんなも！

新人訓練

chapter42.1の話
ヘリアとコラリーが訓練のために月に来る！
しかし肝心の教官であるキアナちゃんは数年ぶりの初対面にすっかりビビリ倒していた
そこでブローニャが一計を案じる
こうして始まったシミュレーションでヘリコラに慣れておこう大作戦は効果があったんだかなかったんだか微妙な感じで終わったが、まあとりあえず2人は無事月での訓練を終えて火星に旅立っていった

ちなみにそんな大人になってコミュ障発症するまでになった現実のキアナちゃんとは対照的に、ブローニャが勝手にキアナちゃんをサンプリングしてシミュレーションに組み込んだシステムボイスは聖フレイヤにいた頃の彼女を思い出すメスガキっぷりで「」長たちの膝を疼かせた
「行動評価：本当にダメダメだね。お米屋さんだって『新米だね』って言うと思うよ！」
「行動評価：何このゲーム？無理ゲーじゃない！？」
「行動評価：イメージは、破るためにある！」
「行動評価：こんな簡単なクエストのために、デュランダル様を呼び出さないでよ」

私たちの故郷には生きてる神がいる

chapter1の話
当然出てこない
ふふん、前作主人公はここぞという時に手助けするくらいが丁度いいからね
しかしキアナちゃんには知る由もなかった
まさかコラリーに協力ゲームの惨めな戦績を晒されていようとは……

結構な頻度で出てくるがイベントではだいたい端役
キャラ付けが大体初期のキアナちゃんなので、猪突猛進に単独行動を取っているか聖フレイヤ学園組といちゃついている
律ちゃんが出てくることも多く、その場合は泉の妖精として怠惰な女王様になっている

B級機械物理アタッカー
第三世代戦乙女装甲、りょういきそう・しろねりと読む、びゃくれんじゃないよ
でも初期の頃はゲーム内でもびゃくれんって呼ばれてた、いつの間にか直ってたけど
第三世代装甲には新しく時空断裂システムが搭載されている
時空断裂は発動すると自分の周りの時間の流れを遅らせ、結果的に今まで考えられなかったような高速戦闘を可能にする
このシステムは『シーリン計画』という17年前に撃破された第二律者の力を解析、再現する計画の副産物である
ネコチャームは首輪に搭載された爆発システムの起動音声コード
装甲は配備の際に戦乙女側からの要望書に従ってカスタムが施される
意匠に猫のモチーフが多いのは特に猫が好きだからというわけではなく、その要望書の空欄を埋めるよう姫子に強制されて無理やり埋めた結果
白練自体はB級以上に配備される汎用装甲をベースにしたものだが、キアナちゃんのものには秘密裏に後述の白騎士・月光が搭載されている

一番最初から使えるやつ
一応スタン付与が得意
攻撃三段目を長押しすると浮遊を付与できるので実績達成用に覚えておこう

[添付]

A級機械物理サポーター
天命極東支部の制服
ちなみに極東支部の制服はカスタム自由で、遊侠はクソパパの戦闘服をモデルにしてアレンジされている（本人はこのことを認めたがらない）
戦乙女装甲ではなく、崩壊エネルギー伝導率に優れた頑丈な布
極限回避でブラックホールを発生させつつ流血を付与するサポーター

A級機械物理サポーター
戦乙女・遊侠の強化形態
通常攻撃で小範囲の敵を集めることが出来る
高火力の分岐攻撃を使うとゲージが溜まり、限界まで溜まると行動不能になってしまう
しかしこの行動不能状態の時にキャラを切り替えると後続にバフをかけられる
行動不能状態でも必殺技を使えば強制的にゲージを0まで減らせる
メインストーリー22章以降で使う時は分岐攻撃を使ってもゲージが溜まらずスタンしなくなる

[添付]

A級異能物理or雷サポーター
クラシックタイプの戦乙女の戦闘用衣装、それをキアナ用に格闘戦を行いやすいよう仕立てたのがこの聖女祈祷
戦乙女装甲ではないのでやっぱり布だが、戦闘用だから遊侠などよりは防御力が高い

この装甲は本当によく使うね
新人は物理アタッカーの控えに入れてみるといい、それだけでダメージ跳ね上がるから
これは脆弱っていう防御力下げるデバフの効果
この効果はAランクから解放される

上級者としては雷刀持たせて記憶戦場で雷サポで使う

[添付]

S級生物物理アタッカーorサポーター
モチーフは超電磁ハンドキャノン→陽電子ハンドキャノン
第四世代神殺し装甲、キアナの白練に秘められた真の力
背部の装置から誘導ガンマ線レーザーを照射する通称『光翼展開』で多数の敵を同時に処理できる

アタッカー運用するならテスラTエカチェリーナCクレオパトラBとかで対スタン倍率盛るといい
でも主に起用される理由は通常回避で任意発動できる時空断裂スイッチ