【BSドラゴンクエストI】

Last-modified: 2024-03-17 (日) 09:33:25

・DQ本編シリーズ

DQ1DQ2DQ3DQ4DQ5DQ6DQ7DQ8DQ9DQ10DQ11

DQ1・2DQ1・2・3BSDQ1DQ10オフライン

作品データ

サテラビュー名作ソフト劇場
『BSドラゴンクエストI』
本放送1996/2/4~3/1
土曜除く 18:00 - 19:00
再放送1996/4/29~5/25
日曜除く 17:00 - 18:00
対応環境サテラビュー
媒体ゲーム本体:ダウンロード
(BSデータ放送)
BGM・ボイス:BS音声放送
価格無料
放送局セント・ギガ
制作【エニックス】
任天堂
セント・ギガ
放送日程
話数本放送
(日曜~金曜)
再放送
(月曜~土曜)
第1話2/4~2/94/29~5/4
第2話2/11~2/165/6~5/11
第3話2/18~2/235/13~5/18
第4話2/25~3/15/20~5/25

※サテラビューや関連用語について知らないと理解しづらいため、それらはページ最後で説明しています。

概要

1996年2月4日から3月1日まで配信・開催されていた、SFCのBSデータ放送受信機「サテラビュー」向けコンテンツ。BS音声放送のラジオ番組と連動した「サウンドリンクゲーム」として、ストーリーを再構成し週1話づつ、4週にわたり放送されたイベントバージョンのDQ1
 
開催時間は18時から19時(再放送では17時から18時)と決められており、受信・プレイともその時間内限定。BSDQ1は1話あたり本放送は日曜~金曜に、再放送では月曜~土曜に1日1回放送され、最大12回プレイできたことになる。
ドラクエ的に平たく言うとCDシアターのような1時間ラジオドラマ番組を聞きながらSFC版DQ1をプレイする。といったところだろうか。
同時受信のラジオ放送を併用するというイレギュラーな手法ではあるが、DQシリーズとしては初めてオーケストラ音源のBGMと声優による【キャラクターボイス】を導入したゲームでもある。
実際にプレイできたサテラビューユーザー数や配信形態からして、最もマイナーなDQ1と言ってもいいのかもしれない。
 
プレイ制限1日2時間の【キッズタイム】、データ受信時には壁紙を背景に青いプログレスバーが右に伸びていく【Wii版】のバージョンアップ画面と、後のオンラインタイトルDQ10の源流を垣間見ることもできる。そしてなによりの共通点といえば、手法の違いはあれど期間限定イベントとして過去作のDQ1を体験できたことにあるだろう。
 
サテラビューのゲームとしては唯一のDQ関連作となった。配信限定タイトルゆえに、任天堂による雑誌広告やチラシでは「並んでもゼッタイ買えない、ドラクエ。」の【キャッチコピー】をアピール、さらに「BSDQ1が遊べるサテラビューはお店で買えるよ」と続けられた。これら印刷物のBSDQ1【タイトルロゴ】には「サテラビュー名作ソフト劇場」のサブタイトルが添えられた。
 
老齢のキャラクターが全編に渡り主人公へ状況説明とサポートを担当するラジオドラマの構成、姫役に声優ではない人物を起用、次回予告やスタッフロールにて公式イラストのキャプチャ画像を用いる演出など、サウンドリンクゲームの初作『BSゼルダの伝説』を踏襲した要素が複数見受けられる。

ゲーム内容

内容はSFC版DQ1をベースに改変を加えたもので、シナリオ進行やマップ、町でのセリフや店の品揃え、シナリオ用アイテム・NPCの位置は基本的に同じ。DQ1プレイ済みだと断然有利となる。
一方、第1話にてどうのつるぎが【初期装備】として入手できるなど、制限時間のある中で未経験者もプレイしやすいよう、難易度を下げる目的での調整も施されている。
もちろんフィールド上やダンジョンでは【ランダムエンカウント】により戦闘も発生。戦闘で勝利するとDQ1には本来ない【ドロップアイテム】を入手できることもあった。
 
主人公のレベル、手持ちの装備品と道具、シナリオの進行状況は各話ごとあらかじめ設定されたものとなっており、毎回同ー条件で開始する。2~4話では前話プレイ時に所持していた装備品と道具はすべて【預かり所】へ移動される。
制限時間がある都合プレイスタイルは必然的に【タイムアタック】になるだろう。よって【ぱふぱふ】おたのしみなんかをしている暇はない。はず……。

ゲーム進行

放送開始

番組が始まるとラジオでは【序曲】とともにDQの思い出話などを語る【堀井雄二】の1人トークを放送。サテラビューの受信用カセット「BS-X」起動時にもこのラジオが流れるので、まずはこれを聞きながらBS-Xの受信メニューとなる「街」で受信操作を行う。
タイトル画面の後、初回プレイ時には【冒険の書】を作成する。SFC版と異なり書は1つのみしか作成できない。
 
冒険の書選択後、更なる受信待機画面ののち本編に入ると、ラジオ音声とシンクロしたデモシーンが開始される。新規作成の一枚絵も導入した【プロローグ】、前回のあらすじ、ラダトーム王とのやり取り、アイテム入手などストーリー上の主要なイベントが、オーケストラ音源のBGMと声優によるボイス・ナレーションで展開される。
この開幕デモをはじめとした自動イベント時はメッセージ送りも含めプレイヤーの操作は一切受け付けない。ゲーム画面右上のウィンドウ内には「18:11」のように現在時刻が表示されており、自動イベント中には「オート」の文字へと表示が変わる。
 
さらに第1話冒頭では自らを「ばば(おばば)」と呼ぶオリジナルキャラの【老婆】が登場。初顔合わせ後は姿を見せないものの、以降ラジオの声を通して主人公に助力する。ラジオ音声では全話彼女がメインキャストとなり進行していく。

ゲーム本編

デモが終わればいよいよゲーム開始となり、主人公を自由に操作できる。
プレイヤーの目的は各話ごとに設定されたシナリオ目標「きょうのもくひょう」をクリアしつつ、主人公をレベルアップや武器・防具で強化させる、ゴールドを稼ぐなどして「ランキングポイント」をより多く入手すること。
 
セレクトボタンへ追加されたステータス画面にはシナリオ目標のほか、画像付きの「つぎのもくてきち」や現在のポイント数が表示されており、さらにNPCに話す、キーアイテムを入手するなどして目的地のフラグが更新されると効果音で知らせる親切機能もある。
 
各話の概要、目標、ゲーム開始地点、操作可能時刻は以下の通りとなっている。
概要は広告チラシ掲載の放送スケジュールによるもの。

話数・概要きょうのもくひょうゲーム開始地点開始時刻終了時刻
第1話
導入
まほうのカギ
てにいれよう
【ラダトーム】の城 1階11分~~57分
第2話
ダンジョン特集
【あまぐものつえ】
てにいれよう
08分~
第3話
フィールド特集
ゆうしゃのしるし
を さがせ
【マイラ】の村 南西07分~
第4話
フィナーレ
【りゅうおう】
たおせ
【魔の島】 入口~56分

 
また、マップ上の至る場所に「しあわせのメダル」というオリジナルアイテムが隠されており、それらを集めることも目的。その数合計46枚。【ちいさなメダル】 同様マップ上ではどこに隠されているか判別はできず、家具や怪しい地形に当たりを付けて調べるしかない。
各話ともその回のシナリオ目標を達成すると、目標表示が「しあわせのメダルを あつめよう」となり、未発見のメダル数も開示される。発見済みメダルの情報は次週へ持ち越される。

ゲーム終了後

各話ともタイムリミットになると強制的にラダトームの城に戻されてゲーム終了。
第1~3話ではラダトーム王とのやり取りの後、成績画面と次回予告が表示され番組は終了する。
第4話では竜王の討伐成否によらずストーリーデモが始まり、おばばに変身していた【精霊ルビス】が旅立つところで物語は完結、スタッフロール・成績画面へ移行する。
 
いずれの回も終了後は受信カセットの街へ戻るため、SFCのリセットボタンや電源スイッチを操作する必要はない。第4話終了時にはDQ6の宣伝画面をしばらく表示した後、受信カセットの街へ移行した。

ラジオ放送

ゲーム本編のラジオ放送は、ラジオドラマパートをBGMで繋いだ構成となっている。
ラジオで主役を務めるおばばは年のせいか自信の表れか、わりと上から目線。プレイヤーへの操作ガイド役も兼ねているので「セレクトボタンを押すと……」などのメタ台詞も普通に飛び出す。
このおばばをはじめとしたキャラクターによるラジオドラマでは、ゲーム攻略のヒントが提供されるほか、ゲーム上では度々ラジオと連動したイベントも起こる。NPCが現れてアイテムをくれたり、突然旅の扉のようにワープして強制戦闘が発生、また【会心の一撃】が出やすくなったり、【地図】を見る機能が搭載されたりもした。
 
イベント直前でのネタバレを防ぐ目的からか【呪文】の名を詠唱することはなく、起きた効果のみ伝えるのも特徴といえる。そのため呪文を唱えていたのか、それとも【とくぎ】のような別の効果によるのか明確でない場合も多い。【パルプンテ】のみ事後にその名を出して説明がされた。
 
BGMはオーケストラ版音源を使用し、【広野を行く】をメインに様々な曲が流された。ラジオなのでゲーム内の場所に連動して曲が変わることはないため、現在流れている曲とマップにズレが生じるということも多々ある。また、主人公が戦闘中であったりフィールドマップ上にいない場合など、状況によってはラジオドラマとゲーム上のイベント進行にタイムラグが生じることもある。
イベント強制戦闘を除く通常戦闘時にはSFC音源による【戦闘】および【竜王】のBGMに切り替わる。ラジオドラマのセリフが被る部分ではラジオ音声+SFC音源戦闘BGMのミックスとなる。
他のサウンドリンクゲームではラジオ音声を常時ゲームのBGMとしていたため、プレイヤー側の状況により頻繁に音源の切り替わるBSDQ1の仕様は珍しいものだった。
なお、SFC音源によるBGMはリメイク版からの流用ではなく、新しいサウンドエンジンでアレンジし直されたものが使用されている。

ラジオドラマ連動イベント

ラジオドラマに合わせ、以下のような原作にはない様々なイベントが発生する。原則プレイヤーにとって有利になるものばかりで、不利になるものは少ない。
発生時刻を把握できる2回目以降のプレイでは、これらのイベントをうまく活用することもランキングポイント獲得・シナオリクリアのカギとなる。

  • おばばが術を使い、一定時間主人公のステータスがアップ。さらに補助呪文でのサポートや攻撃アイテム「おばばの気合い」のプレゼントも。冒険を有利に進められる。
    • HP回復、MP消費なしなど様々な効果が発生。ルビスが正体とはいえ主人公に対するわりと上から目線の態度は伊達ではなかった。
  • ラダトーム城の預言者が主人公に助力しようと何やら呪文を唱え始める。
    • 預言者とは「光あれ!」とMPを回復してくれる【ラダトーム城の老人】のこと。【ムツヘタ】の設定を取り入れたのだろうか?
    • 一定時間会心の一撃連発。これはありがたい。しかしその後力を使い果たしデロデロ音とともにぶっ倒れる。おばばは「無理するからじゃ」となぜか高笑い。
  • ヒゲ面の戦士が駆け付け地図をくれる。以降スタートボタンで世界地図が見られる便利機能が追加される。
    • 戦士曰く本当は一緒に戦いたいが歳だから、とのこと。
  • 主人公を「勇者様~!!」と慕う村娘が4人も駆け付け、自分たちで集めた薬草をくれる。
    • 主人公大モテ。フィールド上で渡されるけど、この娘たちよく外を出歩けたな……。もしや4人で魔物をやっつけながら来たのか?
    • ちなみにオートイベントのため用事を済ませた4人はさっさと帰ってしまう。さすがの主人公も5人での「おたのしみ」は叶わなかった。
    • 娘たちの声は当時のサテラビュー連動ラジオ番組『放課後の王様』金曜版で司会をしていた三重野瞳と松本梨香のコンビ。
  • 【ガライ】が主人公に語りかけてくる。竪琴を弾きつつ魔法を使い弱い敵が出なくなる
    • 声はイケメン役が多かった塩沢兼人。CDシアターの人選とは趣向が違うようだ。
  • 古の勇者【ロト】が主人公に語りかけ、力を授けるとともに【ロトのつるぎ】の存在を知らせる。
    • 会心の一撃連発タイム発生。ロトはだいぶ後年の設定なのか、落ち着いた渋い声をしている。
  • ラダトーム城の【ローラ姫】が語りかけ、主人公を勇気づける。
    • 声は当時巨乳タレントとして活動しており、サテラビューのラジオ番組『すてきに片思い』も持っていた細川ふみえ。
  • 突然別の場所へワープ。竜王の手下が出てきて強制戦闘になる。
  • 竜王の手下を辞めたいという何者かが、【のろいのベルト】をラダトームの町の泉で清めてほしいと依頼してくる。
    • のろいのベルトは受け取り拒否をすることもできる。しかし素直にこの指示に従ってしまうと……!?
  • 一定時間【メタルスライム】が出続ける。
    • 倒せば経験値はもちろん、大量ポイント獲得チャンスのドロップアイテム「ぎんのかけら」も手に入るかも?
    • でも、倒せるかどうか、かけらを入手できるかどうかはやはり運がからむわけで……。

ランキングイベント

各話ごとに獲得したランキングポイントと集めたメダルの数は受信カセット「BS-X」に記録される。
本放送では第4話最後に表示されたパスワードを放送局のセント・ギガにハガキで郵送することでランキングイベントに参加できた。応募締切は1996年3月6日消印有効。
応募用パスワードは英数字5文字×4パート構成、全20文字で構成される。文字数こそ【復活の呪文】と同じだがこれといった固有名称は付けられていない。
成績優秀者にはメタルスライムを模したペーパーウェイトがプレゼントされ、応募者には参加賞としてハガキによる賞状が発送された。
 
ランキング上位はとても無理だが、どれか1話のみのプレイでも応募はできた。第4話をプレイできなかった人のために第4話開始日~終了翌日まではパスワードを表示する番組の放送も行われたものの、同時に放送されていた通常番組への帯域割り振りを優先していたため、受信にはかなり長い時間を要した。
 
ランキングの結果は、番組表やおすすめ番組紹介、各番組のイベント告知などを掲載する文字情報番組「かべ新聞ニュース」内にて公表された。
この成績発表もおばばが進行を務めており、プレイヤーからの質問コーナーにて精霊ルビスの髪色が前年末発売のDQ6と違うことについては「姿を自在に変えられるので些細な問題である」との回答をしていた。

スタッフロール

第4話の最後にはSFC版と同じ展開の映像にオーケストラ音源BGMを被せたスタッフロールが始まる。
ラストの権利表記「SFC VERSION」が「BS VERSION」に、権利年は1996年に変更され、任天堂とセント・ギガが追加された。
ただしフォントの都合でピリオドと小文字を使わず、NINTENDO、ST GIGAと表記されている。
 
オリジナル版スタッフロールが終わり【The End】の表示後、サテラビュー版のスタッフロールが続けて開始される。
これと同時にラジオ放送のBSDQ1は終了し、定時までの隙間時間でサテラビューや番組紹介のCMが放送されていたのだが、サテラビューでBSDQ1をプレイしている場合、このスタッフロール開始とともにラジオ音声がミュートされ無音となる。
BGMのないまま進行するためいやに静かに感じるものの、余韻をぶち壊さないための配慮がされている。
 
こちらのスタッフロールはBS-Xカセット内蔵のフォントを利用しているため漢字やかなも使われており、ラジオドラマに出演した声優陣、音源制作のセント・ギガスタッフ、開発に関わった任天堂スタッフの名も見ることができる。スタッフ名や表記形式を見る限り、任天堂側で改変を行ったようだ。
後に『ゼルダの伝説』シリーズのディレクション・プロデュースを担当する青沼英二(当時は小野塚姓)、『新・鬼ヶ島』『遊遊記』などでシナリオを担当した菱田達也が参加しており、ほかにもBSゼルダスタッフの名が複数見られる。
 
スタッフロールに出演声優の配役記載はされていない。前述のとおり、特別出演の3人はサテラビュー連動ラジオ番組にて司会を務めていた。

スタッフ一覧

  • 声の出演
    • 京田尚子(※おばば)
    • 井上真樹夫(※ラダトーム王)
    • 柴田秀勝
    • 佐藤正治
    • 塩沢兼人(※ガライ)
    • 菅谷勇
    • 戸谷公次
    • 山田真一
    • 中井和哉
  • 特別出演
    • 細川ふみえ(※ローラ姫)
    • 三重野瞳(※村娘)
    • 松本梨香(※精霊ルビス・村娘)
  • 音声シナリオ
    • 菱田達也
  • オリジナル版プログラム
    • 田村考平
  • BS版プログラム
    • 佐々木誠
    • 住吉伸啓
    • 樽角真澄
    • 小金沢信人
    • 石川幹洋
  • BS版サウンド
    • 尾崎祐一
  • BS版グラフィック
    • 小野塚英二
    • 三島幹雄
    • 松原祥
  • BS版制作協力
    • 矢作貞雄(エニックス)
    • 山本秀樹(エニックス)
  • スペシャルサンクス
    • 西川佳孝
    • 北村典子
    • S.マリオクラブデバグチーム
  • BS版プロデューサー
    • 薬師寺文佳(St.GIGA)
    • 大和聡
  • 音声ディレクター
    • 板倉洋行(St.GIGA)
  • BS版ゲームディレクター
    • 堀田拓司
  • パブリッシャー
    • 福島康博(エニックス)

サテラビュー用語説明

展開すると各用語の詳細説明を表示します。

サテラビュー:スーパーファミコン専用BSデータ放送受信器

サテラビュー

1995年4月~2000年6月まで放送されていたBSデータ放送を受信するためのSFC周辺機器。SFC本体底面の拡張端子カバーを外し下部にドッキング、ネジ止めし一体化させて使う。
受信用カセット「BS-X」や、受信したゲームなどを記録するカートリッジ「8Mメモリーパック」、接続機材類を同梱しセット販売された。この他にSFC本体はもちろん、アンテナ・チューナーなどBS放送の受信設備(当時はアナログ放送のみ)も必要。
配信コンテンツはすべて無料の放送番組として扱われた。今のインターネット経由のダウンロードと異なり、各コンテンツの受信可能時刻はきっちり決められているものの、契約や視聴料・通信料は一切不要で、機材さえ揃えればタダでオリジナルゲーム、新作ゲームの体験版やデモ版、過去発売の旧作ゲーム、サテラビュー対応ソフトの追加コンテンツ、「マガジン」と呼ばれた文字情報番組、サテラビュー連動ラジオ番組とそれに対応したゲームやマガジンを利用できた。
 
しかし、当時はBS放送が受信できず欲しくても導入できない人(家電量販店でチューナー2万円、アンテナ1万円程度)、出始めたばかりのPlayStationやセガサターンに興味が移った人が多数で、加えて当初半年近くは通販限定という販売手法のマズさ、消費税・送料込とはいえ定価18000円の割高感も重なり、普及はしなかった。
BSDQ1の宣伝チラシではQ&A形式による説明がされており、「サテラビューでゲームをすると一回いくら?」「誤解している人が多いのですがお金はかかりません」「(BSDQ1を遊ぶには)まずお店でサテラビューを買ってください」などと、文面からはサテラビューの普及、利用体系やシステム面の周知に腐心している様子がうかがえる。

サウンドリンクゲーム:ラジオ番組と連動するサテラビュー配信ゲーム

サウンドリンクゲーム

ラジオ放送とデータ放送を組み合わせた音声連動番組の一形態で、1時間枠のラジオ番組と連動したゲーム。初作は1995年8月に放送された『BSゼルダの伝説』。
1995年度はそのまんま「音声連動ゲーム」と呼んでおり、18時から放送された。1996年度にはサウンドリンクゲームへ改称し枠を拡大。日~金曜18時と25時(翌日深夜1時)に新作の本放送、月~土曜17時には旧作の再放送がされた。
放送中の1時間限定プレイとされている作品がほとんどで、他時間帯のゲームやマガジンでは可能だった受信予約や放送時間外の利用もできなかった。ゲームデータは8Mメモリーパックに記録されるものの、放送終了後はブランク扱いとなり再起動することはできない。
BSDQ1やBSゼルダのようなゲームでは定時にすぐ受信すれば5~10分あたりのゲームスタートから50分台後半までの制限時間をフル活用してプレイできる。30~40分ごろまでは途中参加もできるがその分プレイ時間は短くなる。
ちなみにBSDQ1再放送時には『BS風来のシレン スララを救え!』の本放送が行われていた。
 
音声連動番組にはサウンドリンクゲームのほか、タレント等によるラジオ番組を聞きながらマガジンを見たりラジオと連動しないゲームをプレイするものもある。BSDQ1本放送時の毎日16時~18時はこのような連動ラジオ番組の時間とされており、前述『放課後の王様』『すてきに片思い』だけでなく、サテラビュー初期の宣伝で代表格として扱われていたタモリや内田有紀の番組、『エニックス情報局』『スクウェアまがじん』といったソフトメーカー提供によるゲーム情報番組などが日替わりで多数放送されていた。
しかしこの形態の番組枠は1996年度改編で土日の週3時間に縮小、リニューアル継続の数番組を残し1996年3月末をもってほとんどの番組が終了した。上記番組はすべてこの時点で終了している。

BS-X -それは名前を盗まれた街の物語-:サテラビュー付属のデータ放送受信用カセット

BS-X -それは名前を盗まれた街の物語-

データ放送を受信するためのカセット。大層なサブタイトルの付いたこれが正式名称。各ゲームのセーブデータはこのカセットに記録される。通常のSFCカセットより高さと厚みがあり、色はダークグレー、上部には8Mメモリーパックの差込口がある。
同形状のカセットを『ダービースタリオン96』やツクールシリーズなどで見かけた人もいるだろう。エニックスもSFC初のサテラビュー対応ソフト『常勝麻雀 天牌』を発売した。
 
インターフェイスは見下ろし型RPG風の現代的な街と一風変わったもの。街に住む自キャラクターの男の子または女の子を移動させ建物に入って番組を受信・プレイする。この子たちが主人公を務めるゲームもあるが、BSDQ1では採用されていない。
BSDQ1の本放送は期間中自宅横の「イベント広場」に現れた入り口両脇のスライムが特徴のほら穴、再放送では街最北に常設の「バグポタミア神殿」で受信した。
本放送時には「精霊ルビスの導きがありますように。」とのメッセージ表示後に受信開始と、ささやかながら粋な演出もされた。また冬季で街中が雪景色のため、ほら穴は白いかまくらにも見える。なおイベント応募用パスワードを表示するマガジン番組もこのほら穴から受信した。
 
この街を舞台にした1997年放送のサウンドリンクゲーム『サテラウォーカー』の第2話では、BSDQ1含む過去放送のサウンドリンクゲームを特集しており、ゲーム内容に関するクイズイベント、BSDQ1放送当時に街の店で売っていた聖水が未だに余っているという会話、スライムのほら穴などサウンドリンクゲームの受信建物は全てハリボテで放送終了後は埋立処分されている、などの描写が見られた。

セント・ギガ(St.GIGA):BSラジオ&データ放送局

セント・ギガ(St.GIGA)

社名は衛星デジタル音楽放送。当時BSアナログ第5チャンネルにて独立音声放送(WOWOWの第二音声扱いのラジオ放送)とサテラビューのデータ放送を実施していた放送局。
普段のラジオは契約の必要な有料放送だが、サテラビューと連動した時間のラジオ番組は無料で放送された。BSアナログ放送も音声部分はデジタルかつ非圧縮のため、高音質をアピールしていた。
デジタル放送への進出手法をめぐる関係悪化から、1999年に任天堂が経営離脱するとともにデータ放送運営からも撤退。2000年6月には単独運営していたサテラビューのデータ放送を終了する一方、12月本放送のBSデジタルではラジオの同時放送を開始。その後経営不振から2001年に民事再生法を申請。2003年には当時の親会社へ吸収合併され局名をクラブコスモへ改めたものの、わずか半年で破産した。
番組音源の権利所在も不明確となり、サウンドリンクゲームの完全復刻は困難と思われる。