モンスターハンターシリーズにおいて霊長類ヒト科/ホモ・サピエンスと称される人型知的生命体。
なお作中では単に「人間」と称されることが多く、同族間でも他種族からも大抵はこちらで呼ばれる。
概要 
- 基本的に、モンハンでプレイヤーが操作することになる種族。
ハンターやギルドの社会を構成する主要な種族であり、彼らを支援してくれるNPCも人間が多い。
竜人族、海の民、土竜族といった種族も、「人類」とは別に存在しているが、
当項目における「人類」との関係は明言されていない。
また現実に準じた生物学的分類が成されてはいるものの、
実際に現実の人類と関係性があるかも不明である。
- 現在の所、作中においては当たり前のように主流派・多数派として描写されている種族だが、
突き詰めれば人型で知性を備え、言語や文字などの文化による意思の疎通が可能な生物のうち
いわゆる獣人・竜人などのモンハン世界に存在する人型知的生命体のうちの一種族でしかない。
実際の勢力や人口など、世界全体においてどの程度の立ち位置にいるのかは判っておらず、
ギルドの既知にある土地以外にも生息するのか、居るとすればそこでどう生きているのか、
また他種族も含めて「何を以て『人』と見做すのか」と言う定義も何気に不明だったりする。
「人間だから『人』である」というのはあくまで我々現実世界の人間の主観でしかないため、
現実と異なり、自らを人類・人間と名乗る知的生命体以外の知的種族が存在するモンハン世界で、
『人』の定義を決めている条文・約定・価値観・不文律・慣習法などがあるかは定かでは無い。
いずれにせよ作中の現代における「人と称される種族」に関する文化や価値観が語られることは稀である。- またモンハン世界における人類史も不明で、どのような経緯で現在に至ったのかも判っていない。
そもそも何から進化したのか、どこから来たのか、或いは誰かに創られたのかという出自も不明という
古龍種以上に謎の多い種族だが、MHWorldでは人類の過去を仄めかすおとぎ話が登場している。 - モンスターたちが絶滅種や古代種、進化の系譜などまで明らかになっているのとは対照的と言える。
仕方ない部分も大きいが、ゲーム中でも人類や亜人種の歴史について語られることも殆ど無いので、
プレイヤーが目にするのは現代の狩猟に纏わることが殆ど。いつか明かされる時が来るのだろうか。 - なお「竜人」や「獣人」との対比で「猿人」やら「無毛人」などと呼ばれたりはしない。
もしかすると他種族から面白い独特の名前で呼ばれているかもしれないが、詳しくは判らない。
- またモンハン世界における人類史も不明で、どのような経緯で現在に至ったのかも判っていない。
- 文化的には
日本産のファンタジーにはありがちだがかなりちゃんぽんとなっている。
一応、主流の文化圏にはなんとなく中近世のヨーロッパっぽい雰囲気はあるがやはり不明瞭。
和風・南国風・雪国風と風俗も様々だが、民族や氏族といった概念があるかも判然としない。
また殆どギルドの影響下にある集落や都市しか描写されないため、社会全体が把握できず、
狩猟やギルド外の社会構造・産業形態・経済状況・政治情勢・文化風習・思想哲学も不明。
ただ現状だと基本的に定住生活を営んでいることは、殆どのコミュニティに共通している。
それがどうしたと思う方も多いだろうが、実は現実だと人類が定住生活を始めたのはここ1万年のことで、
人類は誕生から数十万年、あるいは100万年近い歴史の大半は遊動的な生活をしていたのである。
長い人類の歴史で見れば、むしろ定住が主流になった有史以降こそがイレギュラーな状態なのだ。
また、現実においても遊牧民や遊動する狩猟採集民といった生活・文化を有する人々は存在する。
もちろん、モンハン世界の人類に最初から定住する性質があったという可能性は否めないだろうが、
それでも現実のように遊牧民や移動民などの文化圏があまり見られないのは特徴的だと言えよう。
- 現実準拠の特徴として毛皮や甲殻を持たず、鋭い爪や牙も持ち合わせておらず、
身体的な毒や擬態(こちらは芸術としての意味合いが強い)などの対抗手段も無い。
直立二足歩行という独自の姿勢を用い、それによる広範囲の視認性や手先の自由性を取得したが
それ相応の負担も掛かるため、痔や腰痛という独特な疾病のほか
出産も他の動物や同じ霊長類と比較しても困難でリスクが高いという特性を有する。
筋力はサイズ相応であるが、個々の運動能力は特化型の動物と比較すると分が悪く、
持久力を除けば際立った身体能力を見せる面は少なく、特に短距離の瞬発力は低め。
体格は霊長類ではかなり大型で重く、動物全体では巨体でも無く隠れられる程小型でも無い中間型。
サル類が用いる登攀も可能だが、器用性重視の進化故か握力が低く足が歩行に特化している為、
自由に木や崖を登り降りしたり、軽々と木々の間を飛んだりする芸当は流石に厳しい*1。
体毛の乏しさと発汗作用による放熱能力で、持久力はトップクラスに高く(他には馬や狼など)、
待ち伏せのみならず、鍛えた個体なら徹底的な獲物の追跡という特殊な方法で狩猟が可能。
先述の放熱能力のおかげで高熱地帯(極端でなければ)には対応できるが寒冷地だと厳しい。
また哺乳類全般に散見される、意図的に代謝を落とした冬眠などは基本的に不可能とされる*2。
翼や皮膜はなく空は飛べないが、陸上生物としては水中活動がかなり得意な部類。
総合的に見ると、肉体面では極端な力は発揮出来る訳ではないが大抵の事は出来ると言うところだが、
特筆すべき点としては、手と指を使ってあらゆる道具を作り出し器用に操ること、
そして何よりも、生物界トップクラスの極めて高い知能を備えている所だろうか。
それ故に、個体による生まれつきの欠点を道具や知恵で補うことができると言う特性を持つ。
モンハン世界の人間たちも、おおむねはこういった特徴が当てはまると言える。- しかしモンハン世界の人類は、上述した現実世界の人類とは身体能力の限界値が異なる。
最大の違いは、自らの体重と遜色ないか、或いは上回りかねない巨大な武器や防具を
自在に操り、苦も無く跳ね回って怪獣のような生物と渡り合うほどの潜在能力を持つ点。
もちろん全員がそうではないにせよ、現実の人間では例え軽い素材で形だけ真似しても
絶対に不可能な装備や動きをかなりの数のハンターや衛兵が熟しているのも事実である。
また遊泳に関しても、現実ではあり得ない鎧を着込んだままの自由自在な潜水や浮上、
そして高速の推進に加えて水中で巨大武器を振り回すなど凄まじい筋力と長時間の水中での
活動を可能にする肺活量を持っている。
プレイヤーハンターが特別なだけ…と言いたいところだがそんな扱いもされておらず、
加えてNPCにも同等の重装備や身体能力を有する人々がそれなりに存在することから、
適性のある熟練者だけとはいえ、少なくない数が超越的な能力を持つのは間違いない。
- しかしモンハン世界の人類は、上述した現実世界の人類とは身体能力の限界値が異なる。
- 少なくともハンターに限っては、男女の間に顕著な身体能力の差が見られない。
女性ハンターであっても並みの男はおろか、男性ハンターにすら負けない身体能力を有しており、
現実の人類のように体格や運動能力などにおいて女性が男性に明確に劣るといった特徴は乏しい。
尤もこの事情はゲームの都合もあると思われるため、実際の設定がどうなのかは不明。
一応現実世界にも、メスのほうが男性ホルモンが豊富でオスより屈強になる動物も存在するので
モンハン世界の人類もまた、男女で身体能力に差が出ないという特性があっても不思議ではない。
ただハンターや大工・漁師など、肉体労働を基本とする職業はおおむね男性が大半を占めているほか、
女性の受付嬢に対し男性の受付係は非常に少ないなど、性別による職業分化の傾向は垣間見える。
とはいえ女性の高位職者自体は種族問わず存在するため、少なくとも露骨な性差別はない模様。
少なくともギルド社会においては、性別や出自を問わない実力主義が働いていると推測できよう。
- 性別があることや夫婦の存在から、繁殖も雌雄で行っていると思われるが、
具体的な生殖能力は判然としない。竜人族よりは繁殖力が高く個体数は多いものの、
獣人族と比較してどうなのか*3、また他種族との混血が可能かどうかも不明である。
- 道具の扱いにおいては全生物中最高である為、それを駆使すれば世界最強であると言える。
ただモンハン世界の道具は、個人で使えるが全然手軽では無いもの(ハンターの武器など)か、
使うのは難しくないが、個人が所持出来るとは思えないもの(撃龍槍など)ばかりと手軽な物が少ない。
生身ではない火砲がモンスターに無効などといった神秘的・魔法的な特性がある訳ではないのだが、
単純に携行可能な火器が乏しい、あってもやはり巨大すぎて一般人には使えないというのが実情。
ただし火薬及びそれを利用した爆発物は人間のみならず獣人にも積極的に運用されている。
モンハン世界の爆薬は草とキノコを混ぜるという簡易さなので、彼らの非力さも相まってなおさら多用されているのだろう。- なお現実の猟銃など、個人が手軽に使えるレベル(法律はともかく)のものだと、
モンハン世界では小型モンスターを1匹倒すのが精一杯だと思われる。*4
実際に、無印やMHGの頃のギルドナイト装備の腰部分に、
付属した短刀や銃ではモンスターに対して効果がないという旨の文が存在する
(尤も彼らの銃や短刀はモンスターと戦うためにある訳ではないが)。
本気でやり合うなら、きちんとした軍用の携行火器を持ち出すことになるだろう*5。
- ちなみに、モンハンとコラボした『メタルギアソリッド・ピースウォーカー』では、
現実準拠の強力な重火器を使ってモンスターたちと戦闘できるのだが、
討伐にかかる時間としては生身の肉体で、生物素材の武器を用いて戦っているハンターと大差無い。
銃弾よりもはるかに威力が高いはずのロケットランチャーでもそれほど高威力ではなかったりする。
ここにおいてもアタリハンテイ力学が作用しているのかもしれない。
メタ的に言えば、重火器の威力がモンハンの世界観に合わせ調整されている、と言ったところか。
素直に近代兵器の性能を反映すると、数十km単位の遠方から超音速・超威力の砲弾で狙撃や、
モンスター目線でも数百m以上遠距離からやっぱり超音速で超威力の銃弾が飛んでくると言う、
格闘ゲーム的な駆け引きも何も無くなる展開になるので、重火器の大幅弱体化も致し方ない。
- なお現実の猟銃など、個人が手軽に使えるレベル(法律はともかく)のものだと、
- モンハン世界の一般人の実力については多少の差異があるが、
ランポスなどの小型モンスター辺りを追い払うのが精一杯との事。
ハンター、特にベテランハンターがあまりにも規格外なだけである。
プレイヤー視点で見れば、「上位やG級は普通に狩猟をこなしていればハンター全員が到達できるもの」
と錯覚するのは致し方ないことではあるが、これは難易度設計というゲーム的事情の賜物である。
モンスターハンターの世界において上位に到達できるハンターはごく少数、
G級のクエストを受注できるハンターに至っては大陸全体を見ても一握りとされており、
世界観における実情は全く掛け離れている。
単にプレイヤーハンターがその特例のうちの一人というだけで、
上位ハンターやG級ハンターがホイホイ存在すると思ったら大間違いなのだ。- 例えば、MH4の筆頭ルーキーは若くして筆頭ハンターに抜擢されるほどに
素質を見込まれた人物なのだが、これでもストーリー中は下位ハンターの地位である。
エンディングを終える頃にようやく上位になった程度。
筆頭ルーキーですらこれなのだから、特殊な任務を与えられない一般ハンターでは言わずもがなである。
さらに上のG級に至っては、昇格試験に古龍(クラスのモンスター)の討伐が求められる場合が多く、
もうこの時点で伝説に肩を並べるほどの存在であると言える。 - そもそも我々が操作するプレイヤーハンターも、設定の括りに当てはめれば
(いわゆる中の人がいくらいようが)根本は「一人のハンター」でしかない。
オンラインプレイは謂わば「英雄クラスのハンターである主人公の分身が大量発生し、
それぞれが個別のアイデンティティを与えられた状態で協力して闘う」という
ス○ブラ夢の主人公大集結オールスター戦を無理矢理実現したものであり、
世界観上においては決してあり得ない現象といえる。
少々ややこしくなったが、つまりは如何に現実世界で上位やG級に到達したプレイヤーが多かろうと、
それに応じてモンハン世界において上位・G級ハンターが大量に生まれる訳ではないのである。
- 例えば、MH4の筆頭ルーキーは若くして筆頭ハンターに抜擢されるほどに
- 彼らの間で使用されている文字や言語も、こちらの世界とは大きく異なった極めて独特なもので、
拠点や村にある看板の内容やキャラクターの会話および発音を、我々プレイヤーが理解する事は困難である。- イベントやゲーム雑誌のインタビューによれば、キャラの声は開発スタッフが担当しているらしい*6。
一体台本にどのような字面が並んでいるのか大いに気になるところである。
短い掛け声のようなボイスが多く、アドリブの可能性もあるかもしれない。
一体何を思ってピャアウ!などの奇声を収録したのか - 近年はキャラクターが日本語や英語を話す機会が増えており、MHRiseからはハンターが決め台詞を喋るようになっている。
- イベントやゲーム雑誌のインタビューによれば、キャラの声は開発スタッフが担当しているらしい*6。
- 『人の死』と言う側面も、モンスターハンターの世界観には(直接的では無いが)随所に挿入される。
ただし、メインシリーズに於いてゲームとしての流れだけを切り抜いてピックアップした範囲に限って言えば
『人の死』がストーリーの展開を大きく左右する、と言うゲーム的なドラマツルギーは存在しない。
間接的に人の生死を彷彿とされる隠喩的シチュエーションから想像できる展開もあるが、
直接的に人間の死亡者がゲーム中のドラマとして演出に利用される事は、一度たりとも無い。
NPCも町や村ごと古龍(古龍級生物)の脅威に晒されて万死覚悟の絶体絶命に置かれても、
なんだかんだで危機を回避し、九死に一生の全員存命が伝統的な世界観として遵守されている
(これはメインシリーズのゲームのみに限定した話であり、他のメディア関連作については長くなるので言及しない)。
特に、ゲーム主人公(プレイヤー)に対する酷な扱いには定評があり
「死んで覚えろ」が信条のドSのカプコン製のゲームにしては珍しく、
モンスターハンターの主人公(プレイヤー)は、一度も「死なされた」事が無いのである。- この辺りは、いかに世界観を練り込もうとも根本がライト層向けのアクションゲームが故のことで、
プレイヤーの多くは「楽しく狩りをする」ことを求めており、「重いテーマ性」は場違いでさえある。
悪口ではなく突き詰めればモンハンとはそういうものなので、「人の死」やドラマ・社会問題など
ゲームの本質的な部分からかけ離れてしまう展開がオミットされるのも当然ではあると言えよう。
尤も上述したとおり、世界観やストーリー性を補完するメディアミックスはその限りではないが。
- この辺りは、いかに世界観を練り込もうとも根本がライト層向けのアクションゲームが故のことで、
- ストーリー性が重視されるRPGとしてデビューした「モンスターハンターストーリーズ」では、
人間の関係性について今まで触れてくることのなかったデリケートな部分にも触れており、
人の生死や、生き方による認識の相違、偏見や差別といった現実的なテーマも扱っている。
とはいえ、それがメインテーマとなって陰鬱な雰囲気を形成することはなく、
いずれも「冒険の中でぶつかる難問」であり、「それを乗り越えて前へ進む物語」を描く、
前向きなテーマとして取り上げられている。だからといってストーリーそのものが明るいかといわれると...