モンスターの分類カテゴリーのひとつ。小人のように小柄な人型の知的生命体。
主に猫に似た獣人、仮面を被った"奇面族"、花畑に暮らす"ウルキー"に大別されていが、
MHW:Iにて新たに草食種の毛皮を纏った"獣纏族"が追加された。
便宜上モンスターという括りになってはいるが、作中では人類社会の一員として振る舞う者も数多くおり、
野生の個体も原始的とは言え文明を有するため、竜人同様に人間から見た亜人類と称して差し支えない。
目次
概要 
- いずれも人と獣を足して2で割ったような姿をしており、体格は小柄。独自の文化や風習を持っていて、
技術的には人類社会に劣後するものの、人間や竜人にはない高い機動性や環境適応力を持ち合わせる。
好奇心の強い個体や群れは、人間や竜人など別の文明を持った生物と積極的に関わり、共存しようとする。
野生の個体は種族間にしか通じない言語を用いているようだが、別文化の言葉を習得する高い能力を持つ。
- 基本的な性質は、大別された種族によって明確に傾向が異なっており、
おおざっぱにウルキーは友好的、猫系は中立的、奇面族、獣纏族は敵対的となる。
とは言え彼ら全員が必ずしも、これらの類型に当てはまる訳ではない。- 最も友好的なのはウルキーで、彼らはハンターが話の分かるヤツらだと理解しており、
ハンターが縄張りの花畑に来ても、モンスターの時のように排除するどころか支援すら行う。
仮にハンターの力を理解した上での打算があったとしても、融和的で寛容な態度である。
ただし友好的なのはあくまで人類視点であり、花畑を荒らすモンスターを見るや否や
それが大型モンスターだろうが大人しいケルビだろうが断固排除する過激な面も見せる。
その強さたるや、本気を出すと奇面族と同等以上に厄介とさえ思えるほど。味方で良かった - 猫系は一見友好的に見えるが、実のところ野生状態だと人間が近づいても気に留めず、
メラルーに至っては古龍さえ討ち取るプレイヤーハンターにさえ盗みを敢行すると言う、
良くも悪くもマイペースな態度を取る。友好寄りの中立とでも称するのが妥当だろうか。
なお、人類社会と最も接触の多い種族であり、特にギルドの周辺ではよく仕事をしている。
ただ、住み込みをしている節はあっても他種族の町に自宅を持っている様子がない*1ため、
あくまで移住ではなく、生業の一環として出稼ぎに来ているだけの可能性も否定できない。
友好的な態度も見せる一方で、いかにも猫らしいドライさを併せ持っていると言えようか。 - 一番苛烈なのが言わずと知れた奇面族。彼らは殆どの場合でハンターに敵対行動を取り、
排除するためなのか圧倒的な破壊力とすばしっこさで翻弄しようとする攻撃性を見せる。
また落し物が略奪品か定かではないが、王もそれ以外もハンターのアイテムを保有しており、
いわゆる権威付けの威信財としてハンターのアイテムを狙って来ている可能性もあろう。
あるいは強豪のハンターを打ち倒すことが、彼らにとっての名誉になるのかもしれない。
ただし、幼少の個体や一部の穏健派などは人間に友好的な態度を取るのもまた事実で、
あくまで敵対的かつ攻撃的ではあれど、絶対に他種族と相容れないという訳ではない。 - 獣纏族に関しては概ね奇面族に準じると言った所で、
攻撃的な者が多数派の様だが(ゲーム上では緑色の)穏健派もいる。
「狩りの上手い生物を尊敬する」と言う価値観を持つ他、
攻撃的な者でもハンターに仲間のボワボワが同行している場合は攻撃を控えるなど理性的な面を持つ。
また親からはぐれた子供のポポを親の元へ返そうとする、と言った行動も見せており、*2
弱い子供に同情する共感性、または子供を見逃して狩猟対象を保護する合理性ゆえか、
いずれにしても人間などに共通する価値観や観念を有していることが分かる。
- 最も友好的なのはウルキーで、彼らはハンターが話の分かるヤツらだと理解しており、
- 討伐しても即座に撤退してしまうため、ゲーム中では事実上不死身のモンスターである。
なお落し物を拾ったり、遺留物から剥ぎ取りを行ったりすることで素材を得ることは可能。
公式は彼らをモンスターよりも人類に近い存在として扱っている節が往々にして見受けられるので、
獣人の殺害は即ち殺人と見做せる。ハンターが彼らを殺せない理由はそれが大きいと思われる。*3
そのくせクエスト目的には一貫して討伐と書かれてしまっているが- とは言えこの辺りはシステム上の都合も大きいと思われ、猫系も奇面族も大人しいどころか
かなり危険な手段でハンターに対し攻撃を仕掛けており、最悪の場合昏倒させることもあること、
ハンターの攻撃で獣人が死なないのも、公式がハンターに「殺人」をさせたくないから死なせない、
がためにゲーム上不死身なだけだとすれば、実際は互いに争い死傷者が出ている恐れは否めない。
尤も、獣人族が何かしらの霊的な加護により本当に不死身であるという可能性もあるにはあるが、
ゲームでは絶対に死なないハンターも設定上は死傷者続出である事実を踏まえればまず無いだろう。
- とは言えこの辺りはシステム上の都合も大きいと思われ、猫系も奇面族も大人しいどころか
身体的特徴 
- 人型であるため、二足歩行や手による道具の使用など基本的な特性は人間や竜人と共通する。
特徴的なのは、確認されている全種が小柄で、身長1m前後と人間の幼児程度の背丈であること。
稀に大柄な個体も存在するが、それでも平均的な人間や竜人と遜色ない程度の体格でしかない。
それゆえ身体能力は低い…と思いきや、奇面族はその剛腕で重武装のハンターをぶっ飛ばし、
アイルーたちも自分と同等以上に大きなタル爆弾を担いでぶん投げるという離れ業を披露する。
そうでなくても大柄な人間や竜人サイズの料理や荷物を運ぶこともままあるため、力はかなり強い。
また猫系は四本脚で機敏に動いたり、奇面族は子供でも水中で自在に泳ぐなど機動力も高い。- また猫系や奇面族の特殊行動としては、地面に潜って移動や逃走を行う姿がしばしば見られる。
これは規格外の肉体を持つハンターにさえできない。リアルタイムで掘っているなら破格の筋力だが、
あくまでゲーム上の話で、モグラのようにあらかじめ掘った穴を用いていると考えた方が妥当であろう。
そうでないとディアブロスよろしく敵の足元に深い穴を掘っては落とすという無双が可能になってしまう。
ただその場合でも、モグラより遙かに大きな体が通過できる穴をあちこちに掘れることになるため
何であれかなりの掘削能力である。なおニャンターは地面に潜ると敵に気付かれず攻撃も防ぐので*4、
相当な防御・隠蔽能力がある。見えないだけで、地面に巣穴を作って暮らしているのかもしれない。 - なおこちらもニャンターの能力だが、素の状態で常に大型モンスターの位置が把握できる。
ゲーム上だと効果はマップ全域に及び、乱入してきた個体も即座に感知できるという優れもの。
ただ野生アイルーが登場する生態ムービーでは大型モンスターに対する驚き役に据えられるせいで
モンスターが至近距離まで近づいても全く気付かず手酷い目に遭うことが多い。何という鈍さ。
鍛え上げたニャンターやそれに準ずるオトモのみが身につけられる技能なのかもしれないが、
逆に言うとそこらの野良猫は必ずしも熟練個体が採集に出てきている訳ではないと推測できよう。 - 他にも特筆すべき能力としては、上記もしたが投擲を行うことが可能な点が挙げられようか。
モンハンの大型モンスターたちも、力尽くで物を投げたり飛ばしたりすることはたまに行うが、
そういった本能に根ざした行動では無い、道具を用いた投擲を行えるのは人間と同じ特徴である。
特にガジャブーは極めて投擲に長けており、爆弾投げに加えて高速かつ精密なナイフ投げを熟し、
その他にもウルキーは投擲では無いが、動き回るモンスターにスリングショットを撃ち込むなど、
動体視力や空間把握能力は相当なもの。前述のように熟練個体だけがフィールドにいるとは考えづらく、
あるいはこれらの能力は鍛えた結果の「技能」ではなく、天性の「才能」である可能性も否めない。
何れにせよ潜在的な身体能力は人間や竜人に引けをとらず、分野によってはむしろ上回っている。
- また猫系や奇面族の特殊行動としては、地面に潜って移動や逃走を行う姿がしばしば見られる。
- 環境適応力は極めて高く、道具や装備の補助が必要な人間と異なり素で極限環境に対応が可能で、
熱風逆巻く砂漠からマグマ溢れる火山はもちろん、凍てつくような雪山や凍土でも平然と歩き回っている。
新大陸のテトルーやガジャブーも、あからさまに住みにくそうな瘴気の谷を含む全フィールドに現れるため、
こと生身と言う条件で比べれば、人間さえゆうに超える環境への耐性や順応性の高さを発揮する種族である。
ただし土木技術や信仰の問題か、田畑や里山など環境を作りかえて利用する例はウルキーを除くと少ない。
なまじ適応力が高すぎるために、自然環境を人工施設に変換するという必要や発想が乏しいのだろうか。
- 正確な寿命は不明だが、少なくともアイルーは猫の寿命である15~20年を遙かに超えていると思われ、
トレニャーはMHP2(G)の時点で少なくとも50歳を超えており*5、
MHWorld開始の約40年前から活動している第一期調査団の料理長は大団長のオトモであったらしいことから、
少なくとも40歳越えだと推察される*6。また彼も老人と言うほど年を取っているようには見えないこと、
セリエナの料理長はそれなりの年齢であるはずの彼どころか一期団の人間組を子供扱いする*7、
アイルー村で老人に見える村長が「ワシはあと100年は生きる」と冗談めかしてとは言え口にしていることから、
竜人よりは短いが人間と同等以上の寿命があると見られる。何であれ、かなり長生きする種族の模様。*8
他の獣人種に関しては不明だが、アイルーと近縁のメラルー・テトルーは近い寿命をもつ可能性がある。
なお、人間社会で見られる語尾が「ニャ」のアイルー・メラルーは、幼言葉の若年個体という推察もあったりする。
生態的特徴 
- 人間に引けを取らない能力を持つとは言え、そこは怪獣みたいなモンスターが跋扈するモンハン世界。
その程度の地力と人類社会に及ばない技術しかない野生個体は、常にモンスターの脅威に晒されており、
猫系はモンスターに出遭うと翻弄され、精強な奇面族すら強大な古龍には敵わず追い出される事も。
一方で、モンスターを狩ろうとハンターに弟子入りしたり、逃げた先にもすぐ適応したりと
彼らもやられっ放しではなく、単なる暴力とは一戦を画す、転んでもただでは起きない逞しさを見せる。
また数十人がかりでモンスターを抑え込んだり、武器を駆使して挑みかかる知恵と勇気も備えており、
単純に種族ごとの類型化した性格・気質だけでは語れない精神性を発露させることもしばしばある。
言ってしまえば、獣人にも人間と同じく色んな性格の者が居て、皆一生懸命に暮らしているのだ。
- 小柄な体を活かし、モンスターの入り込めない狭い場所に隠れ棲んでいる事が往々にして見受けられる。
作中では定住しているらしきコミュニティが大半だが、獣人に限ったことではないものの
モンスターに住処を追われ、フレキシブルに移住しその先に直ぐ定着する例もあり、かなり柔軟である。
元来半遊動的な生活なのか、あるいは常にモンスターの脅威ゆえに、あまり土地に拘らないのだろうか。
- 前述のように、人間や竜人など他種族が多数を占めるギルド勢力下の集落で活動することも多々あるが、
集落内では猟区内で見かけるような、彼らの体格に合わせた建築はごく一部の例外を除いて見られない。
その例外であるオトモ武具屋などは獣人サイズの小屋になっているので、少なくとも集落内においては
専用サイズの建物を建てることなく、大きなサイズの建物やその一部などを使っていると解釈できよう。
もちろん、描写されていないところで獣人用の自宅や宿舎などを与えられている可能性もなくはないし、
メタ的に考えればハンターが侵入できない小さな建物があっても、背景や飾りにしかならないがために、
ゲームではオミットされているのもあるだろうが、何れにせよ集落内での住居事情は不明な部分が多い。
- アイルーは何かを探す様にあちこち彷徨い、単独で鉱石を拾い集めたり少数で網を用いた漁撈を行う他、
大勢で協力してモノブロスの頭骨から角を切り出すなど、大小の規模で多彩な採捕活動に従事しており、
メラルーはハンターから盗みを働き、チャチャブーはハンターを襲ったりそのアイテムを
所持していることから、野生ではリスクの低い採集活動や、弱い相手からの略取などの
小規模な生業で生計を立てていることが伺える。
ウルキーは花畑という人工的なフィールドを作り出し、釣りなど行う生業を用いている。
そして猫系の獣人種は出稼ぎか定住かは不明だが、人類社会で労働者やオトモ、
ニャンターになる者も少なくないと、一口に獣人というカテゴリーで纏めるには
不適当と言っても良いくらいそのライフスタイルには地域や種族による多様性が高い。
なお外伝のアイルー村に至っては分業が進み、並みの他種族の村より施設が充実しているケースも存在し、
モンスターを独自に狩猟することさえあるが、これは現状だと類例が乏しいので例外だと言える。*9
- 野生個体は奇面族を除けば基本的には打たれ弱く、単純な道具は用いても服や機械の使用は乏しい。
爆発物もよく使用するが、本作の爆薬は天然素材で容易に作れるため技術的には然程でもない。
ただこの事実から、彼らが爆弾用の容器を製造・輸入しているのが判る。日用品を流用してるのだろうか?
またテトルーはモンスターを従える技術を有していたり、狩猟の補助にも使える独自の装備を用いる他、
ニャンターやチャチャブー・ガジャブーなどの奇面族は大型モンスターとも渡り合う戦闘力を持ち、
一概に他人類種と比較し、原始的な文明しか持たない技術や能力程度とは侮れない場合も存在する。
また怒ると爆弾や投げナイフなどを持ち出してハンターさえ脅かす為、決して舐めてかかれる相手ではない。
ウルキーやガジャブーの場合はスリングや大砲などの飛び道具を乱射してモンスターを圧倒し、
人類社会に帰属するオトモ辺りならばロケットや戦車に乗り始めるので、器用さ自体も相当である。
- 技術習得に関しても中々の適性があり、単純労働者の他、料理人や武器屋などの職人も存在する。
しかしこれらの職業分化は、人類の都市内やそれに影響を受けたと思しきコミュニティで
主に見られる現象であり、素のままの獣人社会でどのような職能や生業がまた分業体制が
存在するかも現状ではイマイチ不明瞭ではあるが単純な道具や乗り物などは
頻繁に用いている為、相応の生産体制を擁しているのは間違いない。
猫系が爆弾に使う樽、奇面族のお面や投げナイフ、爆弾の壺や大砲、ウルキーのスリング、テトルーの船
あたりが代表的と言える。
なおアイルーやメラルーの間には、人類社会から伝わったのかはたまた固有の技術なのかは定かでは無いが、
紙幣あるいは有価証券を製造・流通させていることから製紙や印刷の技術を有している可能性がある。
また外伝とは言えアイルー村だと住民が「手紙」や「封筒」や「文字」を認識しているという例もある。
もしかすると紙だけ人類社会から輸入しているのかもしれないが、それならそれで交易が盛んだという
証明であり、いずれのケースにしても、紙の存在と紙の通貨の運用は特筆すべき事柄だと言えよう。*10
社会的特徴 
- メタ的な扱いのみならず、作中においても人類社会での立ち位置は他のモンスターと一線を画し、
人間や竜人からも奴隷扱いなどされることはなく、モンスターを狩猟し家畜として使役する側にある。
ただ現状だと多数派の人間よりも社会に帰属する絶対数が少なく、また同じ少数派の竜人と異なり
指導者として高い社会的地位を得ているケースは希で、下っ端の労働者に収まっていることが多く、
また前述したように獣人族の体格に合ったサイズの施設・建築が集落内ではあまり見られないなど、
ギルド社会の中ではあからさまな差別意識は見られないものの、他種族と立場が同等とは言い難い。
なお、差別が少ないというのもあくまで作中において描写されるギルド中心の社会の場合であって、
人間が中心の国家などにおいて、きちんと市民権を認められているかどうかは不明のままである。- 少なくとも、強盗や略取が常態化しているメラルーは社会的信用が乏しいことが示唆されているほか、
過激派もいいところの奇面族に関しては、危険視されてクエストの討伐対象にされる事例が確認でき、
実際にギルド社会の集落や組織においても、彼らの滞在や雇用はアイルーに比べてかなり稀なケース。
オトモの猫系にはメラルー柄の個体も居るが、「アイルー」と一律に呼称されているのが特徴的であり、
「メラルー」であると公式に明言された獣人の個体が、ギルド社会に帰属している例は極めて少ない。
尤も、彼らは実際に他種族へ被害を与えることが多いため、こうした扱いもやむを得ない側面はある。
とは言え他種族がアイルーに対してメラルーが白粉でアイルーに化けてやしないかと水をぶっかけるなど
罪もないアイルーが疑われてしまったりする被害を受ける場合もあり、色々な意味で問題は根深い。
なお現実で同じよう真似、即ち肌の黒い人が白粉で肌色を誤魔化していないかと疑って水を掛けたら
確実に人種差別だと総叩きにされるが、モンハン世界で獣人ではなく人間に行うとどうなるかは不明。*11
今の時代に創作でそんな描写したらリアルでカプコンが土下座する羽目になるからやらないだろうが。
- 少なくとも、強盗や略取が常態化しているメラルーは社会的信用が乏しいことが示唆されているほか、
- ギルドの視点だと、ギルドに帰属・交流している獣人とそうでない獣人を「別けている」節がある。
ニャンターやオトモのような前者はギルドの規則に則り、制約なども他種族のハンター準拠だが、
ニャンターは力尽きた際の救助はもちろん、オトモも移動手段や装備などの支援を受けられる。
野良の獣人たちのような後者はギルド制約がないため、4人を超える人数で猟区を彷徨くこともままあり、
時には十数人から数十人という大所帯で採集を行い、モンスターに挑む時も人数や手段の縛りなどはない。
また下述もするが、ギルドやハンターは猟区内においても野良の獣人族を積極的に排撃することは少ない。
ただしそれは当然ながらニャンターやオトモが受けられるようなギルドの支援や保護も無いばかりか、
ハンターが一方的に野良の獣人へ暴行・略奪などの狼藉を働いても罪を問われることはないと言う
非人道的な行為の横行・黙認にも繋がっている。またギルドも略奪品に何も言わず精算を行うこと、
「人類」相手には許されないハンターの傷害や略取が、猟区内の獣人相手には罷り通っていることに鑑みると、
少なくとも野生下の獣人族は、メタ的にも作中のギルドにもモンスター寄りの扱いをされていると思われる。
なお獣人族もたびたびクエストの依頼主として登場する例があるため、一時的であれど恒常的であれど、
ギルドが自分たちの社会に帰属する、或いは友好的に接すれば彼らを「人類」として扱うのがここからも判る。
人間・竜人と獣人の違いは、前者はギルドに関係なく「人類」扱いだが、後者はそうではないと見られることだろう。- 設定上においては、ゲーム中でプレイヤーが行い得るような獣人族への劫掠は存在しない可能性もあるが、
猟区内での他種族NPCと異なり「攻撃して略奪ができる」という時点で、やはり扱いが一線を画していよう*12。
獣人族が自然とも他種族とも一線を画した独自の文化と文明を有しているのは再三述べた通りだが、
ギルドからすれば「人類」足りえるものは「自らの文明」に帰属する者のみ、ということだろうか。
これを獣人族への「差別」と捉えるか「区別」と捉えるかは個々人で判断の分かれるところだろうが、
いずれにしても「モンハン世界における『人』の定義」の一端が垣間見える事例かもしれない。
ただ仮に獣人族への「差別」があっても、それが意図的・悪意的なものではないとは推測できる。 - 前述したように猟区内でも頻繁に採捕をするが、彼らは同じく採捕を行うハンターからすると
資源を争う競合相手になり得る。またウルキー以外はハンターへの略取や暴行も行うことから、
ギルドからすればある意味で商売敵、或いは妨害者・密猟者として捉えることも出来る筈である。
しかし猟区内の獣人を積極的に排除するクエストなどは、奇面族を対象としたもの以外は殆ど無い。
彼らがギルドからお目こぼしされているのか、或いは監視の目が行き届かないのかは定かではないが、
「人間の密猟者」が猟区に侵入した場合はハンターを動員してまで確保に動くのとは対照的と言える。
上記の件も合わせると、やはりギルドは自らの文明圏外に居る獣人はモンスターと見做すのだろう。
「野生のモンスター」が猟区内で生命活動を行うことを、罪に問う根拠などギルドにはないからだ。
もし猟区の獣人と何らかの同盟・協定・条約などの政治的・外交的な摺り合わせがあると仮定しても、
友好寄りのウルキーやアイルーは兎も角、敵対的なメラルーや奇面族との間には存在しないと思われる。
- 設定上においては、ゲーム中でプレイヤーが行い得るような獣人族への劫掠は存在しない可能性もあるが、
- ギルド社会からの野生の獣人への認識は、概ね上記したように各種描写から一定の推測ができるが、
野生の獣人のギルド社会や他種族への認識・対応は、種族や地域により千差万別で一括りにできない。
ただシステムの都合もあろうが、現大陸のメラルーやチャチャブーはハンターのみを付け狙うのに対し、
新大陸のテトルーやガジャブーは中立・敵対の時もあればハンターと共同戦線を張ることもしばしあり、
またメラルー・チャチャブーと異なり、モンスターと戦ったり逆に手懐けるなどハンター以外とも絡む。
この差異が単にメタ的な事情によるのか、または何らかの習慣・価値観の相違によるのかは不明だが、
いずれにしてもこうした社会関係の多様性や変遷ぶりは、動物よりも人間のそれに近しいと言えよう。- メラルーやチャチャブーが、自分の住処や狩り場にやって来たハンターを襲ったり物資を奪うことは、
ハンターが人里近くのモンスターを排除したり、猟区で狩猟して資源を得るのと本質的に同じと言える。
現実でもヴァイキングや遊牧民族のように、余所者への略奪を生業とし正義としていた人々は実在した。
ギルドやハンターが野生下の獣人を人類ではなく他のモンスターに近い存在として扱っているように、
野生の獣人から見たハンターやギルド関係者もまた、少し変わったモンスター扱いなのかもしれない。
ハンターやギルドがそうであるように、隣人でも友人でもない異種族を同胞扱いする義務はないのだ。
或いはギルド側に被害を与えるメラルー・チャチャブーが悪評判を買っているように、獣人の社会では
自分たちの土地や縄張りを我が物顔で「管理」するギルドに眉を顰めている可能性も考えられよう。
もしそうなら、集落に殴り込んで暴虐を尽くすハンターなどはどれほど悪し様に語られていることか…。
- メラルーやチャチャブーが、自分の住処や狩り場にやって来たハンターを襲ったり物資を奪うことは、
文化的特徴 
- 野生でも集団で居住・行動していることが多く、基本的に寄り集まって暮らしているようだが、
現在のところは人間のように複雑化した大規模な国家や行政機構などの存在は確認されていない。
ギルドの文明圏に近い種も、縁の無かった新大陸の種も素朴で簡素な暮らしを送るケースが多く*13、
自力だとあくまで小規模な集落が点在する文明レベルだが、経済面では独自の通貨と思しきアイテムも見られ、
また前述のように人類社会で賃金労働者*14として働いているため、貨幣経済やその概念は浸透していると思われる。
- 文字に関しては、前述したアイルー村の「手紙」の件で「差出人や宛先も書いていない」と言っていることから
少なくともアイルー村の住民は独自ないし他種族から借用した文字体系を使用しており、かつ識字が可能
という推測が成り立つ。また、猫系の獣人がきちんと文字を認識して読み書きができるということも判る。
言語に関してはとても達者。独自の言語体系に関しては不明なところが多いが、多言語を器用に習得し使いこなし、
別種のモンスターに通じる特殊な言葉を操るなど、人間や竜人とは別方向で洗練された知恵や技能を有する。
そのためアイルー族のオトモが、ハンターに代わって地元の獣人との平和的な交渉を請け負うこともしばしば。
逆に言うとこの事例は、ハンターがそれほど多言語に習熟していない、或いは扱えないことを示唆してもいる。
まあプレイヤーハンターの場合はマルチリンガル云々以前にそもそも喋れるのかという疑問があるけども。
- 精神文化に関しては、ネコ系はネコ地蔵なる偶像を打ち立てたり、奇面族は最高のお面を探す旅に出たりと
狩猟絡み以外の信仰がそもそも設定されているのかもよく分からない人間*15よりハッキリした形で表現されており、
自前で神や仏と言った超越者の概念があるかは不明だが、人類社会には見られない、独自の儀礼が発達している。
明文化され形式化した宗教というより、生活・風習・慣行に根ざした「まじない」や「俗信」と言うべきだろうか。- メタ的な話になるが、宗教・信仰・呪術*16の要素が希薄なのはモンハン世界の特徴のひとつである*17。
狩猟にも信仰は大きく関わっており、日本のマタギやアイヌなど狩猟を生業のひとつとした人々も、
きちんと自然や動物に感謝や尊敬を抱いて、殺した獲物を天や神の元へ送る儀礼を行なっていた。
ハンターにも「獲物に感謝して自然に帰す」という思想や「五人以上だと危うい」などの俗信はあるが、
上述したマタギやアイヌのような複雑な儀礼や厳しい禁忌などとはやや縁遠い、経済的な要素が強い*18。
また人類社会はハンターとギルド中心の文化以外は描写されないので、土着信仰の有無も判然としない*19。
そんな中で、ネコ地蔵やお面探しの旅などは、生活と隣り合う信仰を感じさせる稀有な存在であろう。 - なお、ネコ地蔵の側からはメラルーがハンターから盗んだものが出てくることがしばしある。
このことから彼らにもお供え物という概念があるのかもしれないが、「盗んだものを供物にするとは」
と憤る方も居られるだろう。ただ信仰や宗教は洋の東西問わず良心の呵責を解消するものでもあり、
「悪銭を寺社や教会に寄進すれば罪もノーカン」みたいな思想は現実にも往々にして見られたので、
案外メラルーも罪悪感を感じているのかも知れない。役に立たない盗品を捨てただけかもしれないが。
- メタ的な話になるが、宗教・信仰・呪術*16の要素が希薄なのはモンハン世界の特徴のひとつである*17。
- 芸術方面でも多様な文化を見せており、肉体を駆使した踊りだけでなく楽器の演奏も達者にこなす。
また奇面族の被るお面は彼らのアイデンティティそのもので、至高のお面を追い求めて旅をしたり、
単なる芸術に留まらず信仰の領域に達する、祭具や呪物などとも呼ぶべき神秘的な存在になっている。
ほかにも猫系の獣人は立派なドングリに希少価値を見いだすと言う独特の美的感覚を有していたり、
ウルキーも色とりどりの花畑を作るのみならず、希望に溢れると謳われる花カゴを拵えていたりと、
獣人の文化や文明は単純に原始的などではなく、人間や竜人にも劣らない豊かさを持っているのだ。
- 人間と竜人の関係にも言えることだが、人類に準ずる扱いを受けているとは言え、
他の人類種と恋愛や婚姻などの関係が存在するか否かは現状だと語られていない。
近頃は多少敷居が下がったとは言え、やはりケモナー向けの話題は公式も避けるのか。
真面目に考察すると、やはり外見の違いなどでそういう感情は抱きづらいのかもしれない。
ただ竜人はともかく、人間と猫系の獣人は接触が多いため変わり者が居ないとも言い切れない。
なお異種間交配が可能かも不明だが、常識的に考えるとやはり種が違いすぎて無理だろう。*20
余談 
- MHWorldでは、テトルーとガジャブーという新たな獣人種が追加された。
シリーズ全体で見ればMHFにおけるウルキーの実装が割と最近のことだが、
メインシリーズに限ると、新種の獣人種が追加されるのはMH2におけるチャチャブー以来、
実に約12年ぶりとなる。
なお、詳しくは当該項目を参照してもらいたいが、
テトルーは一般的にフィールドに出現する小型モンスターとは少々異なる立ち位置にいる。- テトルーはモンスター扱いとは違い、野良のアイルーやメラルーも登場しない。
よって獣人種の「モンスター」としての登場はガジャブーのみとなっている。 - 拡張版アイスボーンでは新種族獣纏族ボワボワが登場。
立ち居ちとしてはガジャブーとほぼ同様であり、2作品続けて獣人族が追加される快挙となった。
- テトルーはモンスター扱いとは違い、野良のアイルーやメラルーも登場しない。
- MHFにおいて、獣人種の汎用素材はメラルーとチャチャブーからしか穫れないため、
気づかないうちに残り少なくなっていることも多い。
とはいえ2種類とも両者から手に入り、救済クエストがあるため集めるのは楽。- 穿龍棍の龍気穿撃を用いればアイルーからも得られるが、
さすがにそこまでする人は少数だろう。
- 穿龍棍の龍気穿撃を用いればアイルーからも得られるが、
- ハンター大全3(あるいは復刻版)、
モンスターハンターイラストレーションズ2には、
大型の獣人種と思われるモンスターの没案がある。
外見のベースは猫、あるいはライオンのようだが、
前肢に翼が付いたエジプトのスフィンクスのようなビジュアルをしている。
もしゲームに登場していたら、獣人種初の大型モンスターになるかもしれない……。
明らかに出るゲームが違う気がする…とツッコむのは禁句である
該当モンスター 
- リンク先に一覧表あり