対人戦とテラレイドの違いについて
テラレイドというコンテンツは、ランクバトル等の対人戦をやりこんでいるトレーナー諸氏にとってあまりに勝手が異なる戦い方を強いられるためか、苦手意識はおろか嫌悪感すら抱いている人も少なくないようである。
では、対人戦とテラレイドでは一体何がどう異なるか、対人戦での常識のうちどの部分が落とし穴になりやすいかについて、簡単であるが整理していくことにする。
主な違い一覧
要素 | 対人戦 | テラレイド |
---|---|---|
戦う相手の数 | 3~4体 | 1体 |
こちらの選出 | 3~4体 | 1体 |
ポケモンチェンジ | 控えがいれば可能 | 不可能 |
相手のテラスタイプ | 一切不明 | 対戦前に分かっている |
相手の技構成 | 一切不明 | 対戦前に分かっている |
相手の技PP | 有限 | 無限 |
相手の特性 | 複数ある場合事前には分からない | ★が上がれば隠れ特性になりやすい*1 |
相手の努力値振り | 不明 | 不明だが、少なくともすばやさは0 |
相手のHP上限 | 150前後、多くて300程度 | 5000以上は当たり前、最大で17650のレイドが存在 |
こちらのテラスタル | 最初から可能 | 3回以上攻撃を当てないと不可能 |
相手に与える変化技 | 基本的に有効 | バリアを展開されるとバリア破壊まで無効、 一部の技は最初から無効 |
相手にかかる状態異常 | ターン制限がなければ永続 | 弱体解除やバリア展開で解除される |
アイテムの押し付け | 相手の特性によるが可能 | 原則不可能*2 |
定率要素 | 率通りの効果 | 「率÷相手のHP増加倍率」分の効果(後述) |
定数要素 | 数通りの効果 | 数通りの効果*3 |
ターン数要素 | 数通りの効果 | 所定ターン×4ターンの効果(後述) |
詳細
交代
対人戦、特にシングルバトルは「ポケモンチェンジ(以下『交代』)」が戦術の1つになっていることは、対人戦に慣れている人であれば感覚として理解しているだろう。交代読みの技選択、交代時に影響を与える設置技、交代して発動可能な特性など、様々な場面で活用される。
ところが、テラレイドでは交代が一切できない。できるとすれば自分がひんしになって再登場することくらいだが、ペナルティが発生してしまい不利になる。
当然ながら相手も交代せずその場に居続け、逃げることはしない。
これがために、バフ(能力強化)やデバフ(能力弱化)は対人戦よりも遥かに強力な効果を持つ。多くのタイプの技を揃えられてもバフ技・デバフ技に乏しいポケモン(カイリューなど)より、タイプ一致以外の攻撃技に乏しくてもバフ技・デバフ技が優秀なポケモン(メブキジカなど)の方が、テラレイドでは活躍しやすいのだ。
なお、相手が交代してこないので、技の半減されにくさ(俗に言う「一貫性」)はあまり考慮されない。もちろん汎用的に広く活躍できるアタッカーはいるが、多くの場合弱点をしっかり突いた方が勝てる。
レイドボスのHP
次に、レイドボスのHPは対人戦とは比べ物にならないくらい高い。
★6にもなると5000以上である。500や1000どころではない。
対人戦のように精々150程度しかなければ弱点を突いて確定1発も簡単にできそうなものだが、5000あるHPを確定1発など、よほど火力を高めて相手の耐久を落とさない限り不可能であることは、ランクマしかやらないトレーナー諸氏もお分かり頂けるだろう。
レイドボスには4倍弱点が存在しないのだからなおさらである。
つまり、速攻で弱点を突いて相手を確定1発という攻略法はまず不可能なのだ。
もちろん確定1発にできる場面がないわけではないが、制限時間やバリアによるダメージカットを考えると非現実的と言わざるを得ない。
また、これだけのHPがあるために先制技はほとんど活躍できないことにも注意されたい。
先制技の多くは威力が低く、蚊ほどのダメージしか与えられないからだ。
くわえて、反動ダメージのある技もほとんど活躍できない。繰り返すが相手のHPは約5000である。一撃で仕留めれられればいいが、ほとんどの場合、特にソロや野良マッチングでのレイドでは不可能。そして反動ダメージでこちらが倒れて時間が削られて負けるだけに終わる。
定率要素
「そんなにHPが多いなら、定率要素(ちまたでは「定数ダメージ」と呼ぶもの)で削ってしまえばいい」と思う人もいるかもしれない。だが、そうは問屋が卸さない。
どくややどりぎのタネ等の定率要素は、「元の率÷相手のHP増加倍率分の効果」に弱体化されている。たとえば★6の場合、元のHPから25倍されているため、「どく」ダメージなど最大HP1/8分のダメージを受ける効果は「1/8÷25=1/200」分のダメージになる*4。これではまるで決め手にならない。
しかも表示される状態異常はバリア展開や弱体解除で解除されてしまうので、その都度かけ直す手間がかかる。そしてバリアを展開されると変化技も通らない。
つまり、状態異常などでじわじわ攻める戦い方は、テラレイドでは全く有効ではない。
テラレイドの対戦形式
また、勘違いされやすいがテラレイドは「(1VS1)×4」の対戦形式である。
マックスレイドのように「4VS1」ではない。
ターン発生は各トレーナーが行動すれば1ターンとみなされる。
そして、ターン制限のある効果については基本的に「本来のターン数×4ターン分」が有効ターンになる。
野良マッチング等で1人が何回も行動した場合、その人がターンを消費しまくることになる。
ただし例外として、技「げきりん」や状態異常「ねむり」など、一定ターンの間行動が縛られる要素の場合、
トレーナーAがレイドボスを眠らせる→
トレーナーBの行動時にレイドボスはねむっている→
トレーナーCの行動時に目を覚ます
といった具合で、前の自分のターンで眠らせたはずのレイドボスが次の自分のターンに既に目を覚ましているという、ランクマ慣れしている人にとってみれば致命的なバグとしか思えない現象が起きるのだ*5。
これは、ねむりやこんらん等の判定がターン経過ではなく行動回数で解除される仕様であることが原因と思われる。
このため、一定回数の行動を縛る効果(ねむりやこんらんなど)をレイドボスに使って動きを止めようとしても、まるで意味がないだけでなく時間の浪費にしかならない。これらの戦術を使い慣れているトレーナー諸氏は注意されたい。
技の制約
技についても制約が多く、何とレイドボスに「かなしばり」や「アンコール」は効かない。
にもかかわらずレイドボスが繰り出すこれらの技はこちらにしっかり効いてしまう。
この他にも変化技についてはレイドボスにのみ無効という場合が多く、技ではないがひるみ状態にもならない。
そして、バリアを張られると効いていたはずの変化技も一切受け付けなくなる。
ここから分かる通り、相手に使うタイプの変化技は使いどころが非常に限られてしまうのだ。
テラスタルの制約
テラスタルについても、対人戦に慣れている人ほど大きな落とし穴に嵌りやすい。
最も大きな制約は、初手からテラスタルすることができないという部分。
攻撃技を3回当ててオーブをチャージしないとテラスタルできず、おまけにチャージを回収されることすらある。
さらに、テラスタルシールド(バリア)に攻撃する場合、テラスタルした状態で、かつテラスタイプと一致する技を当てないとまともにダメージを与えられないという制約もある。
バリアにダメージが通りにくい技、つまりテラスタイプと不一致の技しか持っていない場合、制限時間内にHPを削り切ることは難しい。
この2点から分かる通り、相性補完に優れたテラスタイプにテラスタルして本来の弱点を帳消しにする、という戦い方は、テラレイドでは不可能なのだ。
このため、きちんと元タイプの相性を考えてポケモンを選出する必要があり、テラスタイプも持ち技に合わせて選ばなければならない。
対人戦では当たり前とされている「元タイプと不一致のテラスタイプ」は、テラレイドでは非常識なのだ。例外はあるものの、元タイプとテラスタイプが一致するポケモンこそ、テラレイドで最も活躍ができる。
さいごに
このように、テラレイドは様々な部分で対人戦とは全く異なるバトルであると言え、対人戦との仕様の違いを頭に入れた上で戦っていく必要がある。
特に、交代による受け回しも変化技での嫌がらせも通用しないので、これらが頻発するシングルバトルを好むトレーナーがテラレイドで苦戦を強いられるのも無理からぬ話であろう。
だからといってテラレイドを頭ごなしに否定するのは、テラレイドを好むトレーナー達を軽蔑することになるため、そのような暴挙は決して許されるものではない。
「テラレイドは対人戦とは全く別のバトルであり、どちらもそれに合った戦法が存在する」と対等目線で評価することが望ましい。
当Wikiがテラレイド理解の一助となれば、幸いなことこの上ない。