【判断力】

Last-modified: 2020-06-18 (木) 05:00:18

概要

敵モンスターにのみ設定されているステータス。基本的には、これが高いほど無駄な行動をしない傾向がある。
「賢さ」と呼ばれることもあるが、味方ステータスの【かしこさ】とは何の関係もなく、混同を招くので注意。
 
なんとなくでも想像できる通り判断力が高いほど効率的な行動を行うので、必然的にモンスターの【行動パターン】と深い関係がある。
なおこれが導入されたのはDQ2からで、FC版等のDQ1の場合はこれの設定はなく、このページの一番下にあるような全員共通の思考を行う。
 
長らく公式書籍で触れられることは無く、はじめて触れられたのはDQ8の【公式ガイドブック】下巻である。
ただ、DQ3発売時の『ファミコン通信』1988年4号のインタビュー記事では、次のように【堀井雄二】【中村光一】がこのパラメータの存在を示唆している。

──モンスターの頭がよくなってるんですか?
中村 頭のいいのも悪いのもたくさんいますよ。
堀井 たとえばね、魔法を使えるモンスターの場合、あんまりかしこくないモンスターは、自分のマジックポイントがなくなっちゃってもエンエンと同じ呪文を唱えてる。
ところが、頭のいいモンスターになると、マジックポイントを使いきったあとの次の手段を考えている。そういう性格づけがビシッと決められているわけ。
かしこいモンスターの戦い方を具体的に言うと、たとえばザオリクとかザオラルといった、仲間をよみがえらせる呪文を使えるやつが出てきたとする。
こいつが頭のいいやつだと、自分のマジックポイントを使いきったあと、マホトラでこっちのマジックポイントを奪って、さらに呪文を唱えて仲間をよみがえらせる。
──イオナズンも使えたりするんですか?
堀井 そのモンスターのマジックポイントがイオナズン1回分しかない。そんなときは「2回目は安心だな」なんて思うでしょ。ところが次にマホトラをかけて、こっちのマジックポイントを奪っちゃって、もういちどイオナズンをかけてきたりするわけ。これはもう大パニック(笑)

※この記事で挙げられているケースはあくまで例えであり、ゲーム内に該当するモンスターがいるというわけでは無いので了承いただきたい。また、マジックポイントとはご存知のとおりMP(マジックパワー)のことである。

判断力による具体的な行動の変化

判断力は0~2の3段階に分かれており、数字が大きいほど頭が良い(DQ2のみ0~3の4段階となっている。DQ4も4段階あるが後述の通り特殊なケース。どちらも後述とする)。
ここでは便宜上数字で説明するが、SFC版DQ3の【ダミーデータ】によると判断力0は「せんたくバカ」、1は「せんたくにんげん」、2は「せんたくかみ」とされているようである。
 
判断力が3段階に設定されている場合は、基本的に判断できる内容ではなく判断できるタイミングが違うだけである。

判断力判断の有無タイミング
0×-
1ターン開始時
2行動直前

判断力0は、ターン開始時にモンスターごとに設定された行動パターンに従って抽選された行動を必ず行い、状況判断をしない。
判断力1は、ターンの途中で呪文や特技を封じられた場合、状況が変わっても、ターン開始時に決定してしまった行動はそのまま実行される。
プレイヤーキャラクターのマニュアル入力および【めいれいさせろ】に近い仕様である。
判断力2は、実際に自分が行動するタイミングで行動選択を行うので、より一層無駄が少なくなる。DQ6以降では判断力1よりも判断項目が少しだけ増える。
ただし、味方の【AI】とは違って相手の耐性までは参照しないので、その呪文が効かない相手に対しても呪文を唱えることがある。
例外的に、DQMシリーズでは判断力の高い敵が相手の耐性を参照する仕様になっている場合がある(この仕様の敵はGB版DQM1から存在する)。
 
ときどき誤解されることがあるが、「判断力が高い→より有効な行動を能動的に選ぶ」というような判断はできない。
あくまでも「先に行動が抽選され」、且つ「その行動が無駄かどうか」で判断するのである。
例えば「絶対に勝てない相手からは100%逃げる」「最も強力な特技だけを連発する」「強力な呪文に備えてまずマホカンタを唱える」という判断はできない。
後述の【NPC戦闘員】(戦闘に加わるNPC。以降この表記を用いる)の例からもわかるとおり、総じて行動が多彩なほど最適な行動を選ぶ確率が低くなり、強さを活かしきれないことが多い。
ただし、モンスターの【行動パターン】によって強力な特技を選択する確率が非常に高く設定されているといった状況は存在するため、この両者の組み合わせによっては非常に優秀な判断を行うモンスターもいる。
また、内部的には判断力2のモンスターがターン開始時に一度行動を決定し、そのあと自分の行動直前にもう一度抽選するという2段階の判断を行う作品もある。
 
判断力が1以上のモンスターの判断材料は下記の通りである。

判断できるもの
  1. 相手が自分よりも強い(レベルが高い)かどうか。
    基準を超えない場合は「逃げる」をキャンセルする。作品ごとの基準についてはこちらを参照。【スライム】のような序盤に登場する敵たちが、こちらのレベルが上がるにつれて逃げるようになるのは、判断力が「1」以上になっているため。メタルスライムやはぐれメタルがすぐに逃げ出すのは、彼らの判断力が「0」に設定されているのが理由。
  2. その行動が封じられているかどうか。
    封じられている場合はキャンセルする。MPが足りない場合もやはりキャンセルする。ただし、判断力1の場合は1度だけ「MPがたりない」「じゅもんがふうじられている」となってからキャンセルするようになる。また、DQ3では判断力1では呪文が封じられたことを認識できない、DQ5では判断力1でも判断力2と同じくMP切れの状態では呪文はキャンセルする、DQ11では仕様が変更されており(後述)、少し基準にブレがある。
  3. 仲間を呼ぶスペースがあるかどうか。
    スペースがない場合はキャンセルする。DQ3やDQ5のマドハンドは集団で同種や異種の仲間を呼びまくるモンスターだが、判断力2なのでターンの途中でスペースがなくなった場合は異種呼びをキャンセルして同種を呼ぶ、画面いっぱいに敵が埋まると仲間を呼ばなくなり、臨機応変に切り替えられる。
  4. 回復呪文・回復アイテムを使うべきかどうか。
    自分や仲間の現在HP/最大HPを基準(たいていは50%未満)にする。基準を満たす対象がいない場合はキャンセルする。必然的に判断力0だと回復呪文を唱える対象もランダムで選ぶ。回復判断とは逆に自分の残りHPが基準以下でないと使わない攻撃特技(メガンテ・たいあたり等)もある。
  5. 蘇生呪文・道具を使うべきかどうか。
    死亡した対象がいない場合はキャンセルする。メガザルやメガザルダンスは基本的に2匹以上死亡していないと使わない(DQ11では1匹だけ死亡している状況でも使う場合がある)。蘇生呪文や蘇生アイテムを使用するモンスターは無駄打ちを避けるために基本的に判断力2に設定されている。
  6. ラリホーを初めとする補助呪文が相手全員にすでにかかっているかどうか(DQ3以降)。
    全員にかかっていた場合はキャンセルする。マホトラや不思議な踊りはMP0の対象には使わないし、DQ6以降ではルカニ系は守備力が下がりきった相手には使わない。
  7. 攻撃対象に【マホカンタ】【おいかぜ】の反射効果がかかっているか。
    かかっている場合はその対象には反射される呪文・特技の使用を避ける。反射効果のかかった者が多い場合(DQ3以前は全員、DQ5以降は概ね生存者の30%以上の割合が基準)は全体呪文・特技はキャンセルする。FC版DQ4では全体対象の呪文はマホカンタ・マホステの有無を判断基準としない。
  8. すでに力溜め・気合溜めを実行している状態かどうか
    前のターンまでにすでに実行している場合は無駄に溜めない。DQ4のNPC戦闘員の【ホフマン】のみ、なぜかこの判断ができない。
  9. 直接攻撃(通常攻撃や剣技)が相手に通じるかどうか。(DQ6以降)
    判断力2のモンスターは相手の守備力が高くてミスになる相手には守備力依存の直接攻撃(強化攻撃を除く)をしない。全員がそれに該当する場合、その攻撃手段をキャンセルする。ただし、制限行動で他の行動がすべてキャンセルされると例外的に通常攻撃をする。DQ4では例外的にばくだんいわ(攻撃力0)だけが通常攻撃をキャンセルする仕様がある。
    DQ11では後述するように守備力が高い相手への直接攻撃をキャンセルしなくなった一方、【ゴールドアストロン】状態の相手に対しては単体対象の攻撃を行わなくなる。
判断できないもの
  1. その行動が本当に効果的かどうか。
    守備力の低い相手にルカニ系、呪文を覚えていない相手にマホトーン、「様子を見る」のような【無駄行動】は、キャンセルの基準に入らない。
  2. 攻撃対象の残りHP。
    オーバーキルするかどうかは気にしない。打撃で倒せる瀕死の相手にわざわざザラキを使ったりする。HPや守備力の低い相手を優先的に狙うという判断は、判断力ではなく専用の特性で決まる。
  3. 回復対象にマホカンタ・マホステがかかっているかどうか。
    仲間のHPが回復呪文使用の基準を満たしたとき、その相手にマホカンタ・マホステがかかっているかどうかは認識せずに回復呪文を唱える。DQ9以降は味方の呪文は反射されなくなったのでデメリットはない。
判断力に関わらず判断されるもの
  1. 死んだ敵は攻撃のターゲットにしない。
    ターン開始時点で死亡している相手にはたとえ判断力0でもターゲットすることはない。
  2. MP0の相手をマホトラ・不思議な踊りのターゲットにしない(GBC版DQ3を除く)。
    使用するかどうかの判断には判断力が関係するが、実際に使用した場合は必ずMP残量が1以上のキャラが優先される。

 

作品別判断基準一覧

DQ2ではパーティの強さ以外は判断力2以上で判断できるようになる。

チェック項目キャンセル基準キャンセルする行動DQ2DQ3DQ4DQ5DQ6DQ7DQ8DQ9備考
パーティの強さ基準値以下にげる評価項目は作品による
自分の状態魔封じ呪文
自分の状態踊り封じ踊り系特技
自分の状態マホカンタマホカンタ自分にしかかけられない作品
自分の状態マホターンマホターン
自分の状態力溜め力溜めDQ4のホフマンのみ無効
自分の状態気合溜め気合溜め
自分の状態スカラ上限自分にスカラ
自分・仲間の状態マホカンタマホカンタ※ターゲット変更1
自分・仲間の状態バイキルトバイキルト※ターゲット変更1
自分・仲間の状態スカラ上限スカラ系※ターゲット変更1
仲間の状態生存蘇生呪文・アイテム※ターゲット変更1
自分のHP基準値以上自分への回復FC版DQ4にはない
自分のHP基準値以上メガンテ
自分のMP不足MPを消費する呪文・特技
自分・仲間のHP基準値以上対象への回復※ターゲット変更1
相手の状態眠りラリホー系※ターゲット変更1
相手の状態魔封じマホトーン系※ターゲット変更1
相手の状態幻惑幻惑系※ターゲット変更1
相手の状態混乱メダパニ系※ターゲット変更1
相手の状態踊り封じ踊り封じ※ターゲット変更1
相手の状態マホカンタ相手にかける呪文すべて※ターゲット変更1
相手の状態マホカンタ相手にかける単体呪文※ターゲット変更1
相手の状態マホステ相手にかける単体呪文※ターゲット変更1
相手の状態マホカンタ相手にかける呪文すべて※ターゲット変更2
相手の状態マホターン相手にかける呪文すべて※ターゲット変更2
相手の状態おいかぜおいかぜ有効な特技すべて※ターゲット変更2
相手のMP0マホトラ系※ターゲット変更3
相手の守備力0ルカニ系※ターゲット変更1
相手の守備力基準値以上通常攻撃※ターゲット変更1
相手の素早さ0ボミオス※ターゲット変更1
相手の素早さ2段階減ボミオス※ターゲット変更1
死亡した仲間数1匹以下メガザル系
出現枠空きがない仲間を呼ぶ同種・異種の区別あり

※ターゲット変更1と書かれたものは、単体なら対象から外すのみでキャンセルはされない。対象候補全員がキャンセル条件を満たすとキャンセルする。
※ターゲット変更2と書かれたものは、単体なら対象から外すのみでキャンセルはされない。キャンセル条件を満たした対象が一定の割合を超えると全体対象呪文・特技をキャンセルする。
※ターゲット変更3と書かれたものは、判断力に関わらずキャンセル条件を満たす相手は対象から外し、対象候補全員がキャンセル条件を満たすとそのキャンセルする。

上記の判断でキャンセルとなった場合、たとえローテーション行動でもスキップする。

判断力が4段階になっているDQ2では、判断力0は他作品と全く同じであるが、判断力1は一部の条件しか正しく判断できない。
具体的には、逃げるべきかどうかなどの判断は行うが、呪文が封じられているかは認識できず、延々と無駄に唱え続ける。
判断力2は他作品の判断力1と、判断力3は他作品の判断力2と同じ仕様になっている。
 
DQ4では、判断力0~2は他の作品と同じであり、【ベホイミスライム】の非常に特殊な行動パターンを反映させる為にいわば特例としての判断力3を設けている。具体的にはこちらが【アストロン】を唱えた時に特殊な行動をとるもの。他のモンスターにはこの判断力3は一切適応されていないので、判断力0~2を覚えておけば問題ないだろう。
 
DQ11では仕様が若干変更され、

  • 判断力0の敵も、何度か「MPがたりない」「呪文はふうじられている」と表示されて不発になると呪文をキャンセルするようになる(呪文毎に使用回数が設定されている)
    • 判断力1の敵の場合、1回唱えて不発になると分かるとキャンセルするようになるのは従来同様だが、こちらも呪文毎に使用回数が設定されており、呪文を2つ以上持つモンスターはそれぞれ1回ずつまで唱える
  • 「守備力が高くてミスになる相手には通常攻撃をしない」という思考をしない(DQ11では敵が通常攻撃を選択する確率自体が大幅に引き下げられているのであまり意味がないが)

という仕様になった。
 
またDQ8では【暗闇の歌】という判断力を0にする特技があるが、それ以外に敵の判断力を操作する方法はない。
 
判断力の仕様を利用した罠を張ったモンスターたちもかなり多い。
たとえばDQ8の【ソードファントム】は、通常攻撃と【稲妻】を使用する。
こいつは全体攻撃の稲妻が危険であり、稲妻ラッシュを防ぐために通常攻撃を交えてバランスを調整していると考えられる。
ここで【スクルト】を使って通常攻撃に対処しようとした場合、稲妻連発により逆に窮地に立たされることになるので守備の固めすぎにはくれぐれも注意したい。
特に【痛恨】持ちの敵は通常攻撃の代わりに痛恨を高い頻度で出すようになってしまう。
 
この手の元祖でさらに明快な例、FC版DQ2【グール】(判断力2)の行動パターンを挙げよう。

行動グールが考えること
12345678
通常時ギラギラギラギラギラギラギラ打撃「普段はギラ、たまに打撃でいこう」
マホトーン時封印封印封印封印封印封印封印打撃「ギラが使えない。なら打撃一択だ」

FC版DQ2の【ギラ】は「単体に8~16のダメージ」なので、中盤に登場するこいつのギラはそこまで脅威ではない。
しかし、その【攻撃力】120と、この時点では場違いな高さであり、通常攻撃の方がはるかに危険。グールにマホトーンをかけるのは自殺行為なのである。
つまり、うかつにグールにマホトーンを仕掛けてギラを封じ、それによって地獄を見るぐらいなら、鬱陶しくてもギラを使わせておくほうが遥かに安全だということになる。
 
DQ6に登場する【しれんその1】も好例。
普段は【メダパニダンス】【メラ】【ギラ】【バギ】【イオ】を使い、通常の打撃攻撃は行わない。
試練その1は、マホトーンに耐性が無く、呪文を封じると、次の瞬間から【はげしいほのお】を毎ターン出してくるようになる。
メダパニダンスを【おどりふうじ】で封じ、呪文までは封じなかったとしても、低確率で激しい炎を出してくる。
このモンスターの行動パターンは、
 

メダパニダンス>ギラ>メラ>イオ>バギ>はげしいほのお

 
となっており、ランダム行動(偏向型)で1スロット目を極端に優先するようプログラムされている。
試練その1の判断力は最高の「2」に設定されており、
「メダパニダンスが使えない→呪文も使えない→残ったのは激しい炎だけ」
となり、激しい炎を毎ターン吐いてくるようになる。
こちらが4人中2人(もしくは3人中1人)が【おいかぜ】を発動した場合、激しい炎も使わなくなる。踊り封じとマホトーンを喰らっていて、こちらが追い風も使っている場合、試練その1は、初めて通常打撃を行うようになる。

判断力と行動スロット選択率

FC版のDQ2およびリメイク版DQ1・2において、モンスターの行動スロットの選択率が判断力によって変化する仕様がある。
具体的には、判断力が0なら完全ランダム(すべてのスロットがほぼ等確率)で、判断力が上がるほど傾斜がかかる。
FC版DQ2だと、判断力が最高の3のモンスターは行動スロットの1番目を選択する確率が約4割、8番目のスロットは1/32という低確率になる。
 
DQ3以降では行動パターンの傾斜と判断力のフラグがわけられた。詳細はこちらを参照。

隊列認識への影響

作品によっては、こちらの【隊列】を認識するか否かにも判断力が関わっている場合がある。
例えば、FC版DQ3の公式ガイドブックでは【フロッガー】【ポイズントード】に関して後列攻撃をしてきやすいとの記述があるが、このからくりは判断力にある。
判断力が1以上のモンスターは隊列を認識して前列を優先的に狙うが、判断力が0のモンスターは隊列を認識できないため標的が完全にランダム。後列を狙うことによるデメリットは何もないのだからこの設定は逆のような気がするが。
 
さらに本作では隊列の狙われやすさの傾斜が顕著で、4人パーティの場合は通常ならば前列2人が狙われる確率が約8割程度のため、判断力0のモンスターによる標的完全ランダム攻撃との落差が非常に激しい。
普段2割の確率でしか狙われないのが5割の確率で狙われるのだから、意図的に後列を狙っていると感じるのも無理はない。
 
他にも、一部の単体対象の攻撃呪文については、判断力に関わらず隊列を無視する場合がある。
代表的なのは【まほうつかい】【メラ】で、後列キャラにも等確率で放ってくるので注意。
また、【集中攻撃】を行うモンスターも、後列を狙う確率が高い特徴がある。
 
SFC版の公式ガイドブックには「後列を攻撃しやすい」と書かれたモンスターはいないが、SFC版でも同じである。
ただし、FC版DQ3以外では、判断力1以上の敵の攻撃も最後尾をそこそこ狙うため、落差がFC版ほど大きくなく、体感では分かりにくい。
 
以下に後列攻撃が脅威になりやすいブラックリストを載せておく。※印は集中攻撃持ち

アリアハン~ノアニール
フロッガー、まほうつかい、【おばけありくい】※、ポイズントード、【カンダタ】(1戦目)、【カンダタこぶん】
この時期は特に【魔法使い】が非常に打たれ弱いため、搦め手無しで後列も狙ってくる上記の連中はかなり脅威。
最初の中ボスのカンダタも高い攻撃力で無差別に殴ってくるので注意。
アッサラーム~ダーマ
【ミイラおとこ】【ごうけつぐま】
こちらの攻め手が充実してくる時期だが、高い攻撃力で後列を攻撃してくる敵はやはり脅威。
【ひとくいばこ】は判断力が0であるゆえに後列の仲間にも攻撃してくるが、初めて出会った場合、大抵は前衛・後衛に関係無くほぼ一撃で倒される運命にあり、死ぬのが早いか遅いかの違いでしかない。
船入手~オーブ集め
【どくどくゾンビ】※、【グリズリー】【だいおうイカ】【テンタクルス】
後列もそれなりに打たれ強くなってくる時期なので危険度は低くなるが、破格の攻撃力や集中攻撃・連続攻撃を絡めてくる敵には注意が必要。
終盤では、【トロル】【うごくせきぞう】が該当するが、この時期になると敵の全体攻撃や即死魔法、全体への【状態異常】の方が脅威であり、打撃一辺倒でランダム攻撃というのはむしろ攻撃が分散しやすいので脅威度は低くなってくる。

判断力の落とし穴

ただし、頭がよく設定されているモンスターでも逆にそれが仇となるケースがある。
 
例えば、DQ7の【あんこくつむり】が好例(判断力2で最高)。
彼の行動の一つに【ぼうぎょ】があるが、防御行動は通常なら本人の行動順に関わらず防御の行動を選択したならターンの最初から防御状態になる。
だが、彼のぼうぎょは「あんこくつむりは身を守っている」のメッセージが出るまでは効果を発揮しない。
 
これは、判断力が最高のモンスターの「自分の行動直前に行動を決定する」仕様が仇となっている。
つまり、身を守っているのメッセージが出る=彼の行動順が回ってくる前にはそもそも「ぼうぎょを選択していない」ので、防御状態になることがないのだ。
DQ5のSFC版では、判断力2でも防御の場合はターンの最初に選択し、行動順が回ってきても違う行動に切り替えることがない。
 
防御の他にも、【しっぷうづき】のような先制効果がある特技も同様で、自分の行動順が実際に回ってきてからようやくしっぷうづきを使う。
そのため、先制効果のある特技を使うモンスターは多くの場合判断力が低めに設定されているのだが、DQ7では上記のような判断力と特技のミスマッチがしばしば見られる。
 
また、HPが減らないと回復呪文や自爆系特攻を使わないというのは、うまくHPを削ればそれらを使わせずに倒せるということでもある。
HPが一定以下まで減ると【メガンテ】を発動する【ばくだんいわ】の場合、普通に戦えばメガンテを食らう可能性が出てくるが、55~60%ずつ2ターンにかけて削るなり、気合い溜めや集中攻撃で一気に倒すなりすれば、メガンテを唱えられる前に倒せる。
「メガンテを使わせない」という目的でいくなら、ばくだんいわのHPがまだ高いうちに逃げ続けるか、MPを奪うという戦術もある。

【ザラキーマ】【ラリホーマ】で猛攻を仕掛けてくるDQ8の【ブラックルーン】の例がある。
こちらから先に一斉攻撃を仕掛けると、【ベホマ】やザオラルを優先するようになり、上記の厄介な呪文を間接的に防げるようになる。
このように行動を逆手に取ることができるケースもあるので試してみよう。
 
これら以外に特殊な例もある。
DQ5の【ゲマ】は頭が良く設定されているため、マホカンタを使っている者には【メラゾーマ】を使わない。
だが、メラゾーマで狙った仲間が既に死亡しており、残りの仲間全員にマホカンタがかかっている場合、マホカンタがかかっている仲間にメラゾーマを撃ってしまう。自動照準機能が働き、生き残ったマホカンタ状態の者に呪文を使ってしまうことになるのだ。→詳細は【マホカンタバグ】を参照。
SFC3でも、判断力が最高であっても完全ローテーションで行動する敵が、マホトーンがかかっていても【バシルーラ】を平気で唱えようとする謎の現象が起こる。
 
このことから、「頭がよい=強い」というより、「頭がよい=考えながら戦っている」と言える。
よく考えて使うほど強い攻撃もあれば、何も考えずに使った方が強い攻撃もある。
したがって、なにが脅威となるかは、攻撃手段に大きく依存する。
 
敵の攻撃手段によっては、判断力が低いために極めて脅威となる事例がある。
DQ6で新たに登場した特技の1つに【つきとばし】がある。これを喰らうと、その戦闘が終わるまで復帰できなくなるが、こちらが1人だけの状態でこれを喰らうと【全滅】扱いになる。
通常、馬車の外にいる仲間が1人だけの場合、敵はこれを使ってこないが、【トロル】はこちらが1人だけの状態でもこの技を使ってくる。これはトロルの判断力が「0」に設定されているため。
馬車内に仲間が1人もいなかったり、ダンジョン内でパーティーがたった1人だけの状態でトロルと戦う場合、常に全滅のリスクに晒されることになる。
 
同じくDQ6で、【たいあたり】を使ってくる敵の一種に【さまようへいたい】がいるが、こいつは判断力が低く設定されており、自身のHPの残量に関係無くこれを使ってくる。SFC版でのこれは「敵に現在HPの80%のダメージを与えるが、自分も現在HPの80%+2のダメージを受ける」という性能であり、その際には相手のザキ耐性を参照する。ザキ耐性が高い相手にこれを使うと、相手に与えるダメージと自分の体力が大幅に減ってしまう。人間キャラクターの多くはザキには強耐性持ちであり、喰らったとしてもそこまで体力が減る心配は無い。

ところが、リメイク版での体当たりはザキを参照しなくなり、敵にこれを使われた場合は大ダメージを受けてしまう。
そして、さまようへいたいは判断力が低いがゆえに、超絶ダメージを与えるこの凶悪な技を平気で出してくる。
運が悪いと、簡単に死人が出る。
 
このように、「判断力が低い=弱い、楽に戦える相手」とは単純には言えない。
 
これらとは別種になるものの、【NPC戦闘員】【行動データ】も広義の意味で落とし穴を抱えている。
例えばリメイク版DQ5の【ベラ】。ホイミ・ルカナン・ギラと呪文をいろいろ使用するうえ、判断力2。
ならば効率がいいかと言われると、【AI】にはない盲点を抱えているのである。
ルカナンを例に挙げると、確かにこの呪文が有効な敵に対して使ってくれるのだが、「ルカナンが不要なほど守備力が弱い」という点までは考慮してくれない。ルカナンが有効ならば効率が悪くても使う(わざわざ守備力を下げる必要が無い状況であってもルカナンを使う)。
ギラも、効くかどうかをちゃんと判断するのはいいのだが、敵の頭数までは考慮しないため、残り1体の敵に対してわざわざ唱えてMP4を消費するという場面が見られる。
総じて、敵モンスターの判断力は、有効かどうかを判断するのは上手いのだが、効率を考えるかと問われれば間違いなく否と言えることがわかる。

強さと判断力

意外にも、後半のモンスターでも頭が悪く設定されているモンスターもいる模様。
特に最終ボス・隠しボスクラスにもなると、基本的に行動を妨げられることがないので、判断力が低く設定されている事が多い。
FC版2の【シドー】は、たとえ体力が満タンであっても【ベホマ】を唱えてくることがあるが、これはシドーの判断力が「0」に設定されているのが原因。
DQ8の【ラプソーン】も全形態が判断力0で、DQ9の【ミルドラース】が全員【ミラーシールド】(マホカンタ)状態のパーティに向かって【イオグランデ】を連発する様はある種の語り草。

この他、判断力の高い敵が「自分のすべての行動が行えない」と判断した場合は通常攻撃してくる。
上記のブラックルーンがいい例で、本来コイツは呪文攻撃しか行わないのだが、MPを全て使い果たしてしまった時のみ通常攻撃を行う。
うまく誘導すれば普段見られない攻撃モーションが見られたりする。
【しれんその1】も、前述のとおり特定の条件を満たさない限り打撃攻撃は一切行わない。
試練その1が打撃を行う際のモーションは無い。

また、本編以外でも3DS版イルルカの【名もなき闇の王】は自分に当たることが一切ない【みなごろし】で有名だが、判断力が皆無であるため斬撃が不発になる【赤い霧】がかかってる中でみなごろしを使ったりする。
DQMJ3では全てのボスの判断力が0に設定されている。また、この作品では雑魚の判断力も全モンスター共通になっており、MPが無くなっても特技を使おうとする一方、霧で特技を封じた場合は絶対に使用しなくなるという特殊なパターンが組まれている。
DQMSLでも殆ど全ての敵の判断力が0に設定されている(一部のコインボス等のみ判断力が存在する模様)。

余談:DQ1の思考パターン

DQ1には判断力の設定がなく、行動パターンは全員同じ。
だがその中身は結構特殊で、DQ2以降の全作品といずれも共通性がない。
具体的には毎ターンごとに、

  1. 主人公の攻撃力が自分の倍以上か? →YESなら1/4で逃亡選択。NOや、YESでも3/4の確率で以下の選択に移行。
  2. 主人公が寝ている状態か? →YESなら【ラリホー】の選択を封じる。
  3. 主人公がマホトーンにかかっているか? →YESならマホトーンの選択を封じる。
  4. 自分のHPが1/4以下に減っているか? →NOなら回復魔法選択を封じる。

…と、ここまでは判断力2相当の思考に思えるが、例外もある。
「自分がマホトーン状態か」という判断項目が存在しないため、呪文を封じられてもお構いなしに呪文を唱え続ける。
この点だけは判断力0相当である。
 
なお、メタルスライムが逃げやすいという特徴はDQ1から存在したが、この時点ではメタルスライムだけ特別な行動パターンがあった訳では無かった。
単に、出現時期に対して攻撃力が低いため、1.の判定に引っかかる可能性が早期から出てくるだけである。