バランスブレイカーとは、物事の均整を大きく乱す存在のことである。
主にゲームやアニメなどの分野で用いられる用語で、以下もそれに基づいて記述する。
目次
概要
- 一般的には、置かれている状況(アニメの場合は世界観や状況下、ゲームの場合はゲームバランス)に
明らかにそぐわないほどの実力や影響力などを持つ存在を指す。
現実世界で喩えるなら「草野球のチームに何故か現役メジャーリーガーが混ざっている」ようなものである。
バランスブレイカーは1作品に1つというわけではなく、全く存在しなかったり逆に複数存在する場合もある。
- ゲームにおいては、ある1つの事象が原因でゲームの難易度が大幅に低下してしまうという事態に対し、
その事象を指してバランスブレイカーと称する場合が圧倒的に多い。
これは単に調整ミスの結果として生じているものもあるのだが、
開発側がいわゆる裏技や救済措置、クリア後のお楽しみ要素として意図的に取り入れているものもある。
特に1990年代までのゲームは難度の高いものが多く、
それを救済するバランスブレイカーの中には好意的に受け止められているものもある。
また、バランスブレイカーの存在を前提にゲームバランスが調整されている、
もしくはプレイヤーがそれを前提に楽しむようになったというぶっ飛んだゲームも存在する。
基本的に一人プレイのゲームであれば、気に入らなければ使わないだけで済むため、
ネタとして語り継がれることは当然あるが、大きな問題となることは少ない。
却っていい意味で名物になることも。- なお、あからさまに他よりも強力なものが存在していても、
それでゲームが一向に楽にならない、もしくは逆に苦行となるようなケースもある。
この場合ゲームバランスが悪いと称されることはあっても、その対象をバランスブレイカーと呼ぶことは少ない。 - また、キャラクター、装備、アイテム、システムなど固有の存在をバランスブレイカーと呼ぶ一方で、
バグや仕様そのものをバランスブレイカーと呼ぶことはない。 - バグによって超強化された○○、仕様の影響で飛びぬけた影響を有した○○、
という形でバランスブレイカーとされることはある。
- なお、あからさまに他よりも強力なものが存在していても、
- ただし格闘ゲーム、カードゲームなどの対戦系ゲームや、オンラインゲームでは話は別となる。
前者ではバランスブレイカーとなる要素が1つでも存在すると、
対戦系ゲームの妙味である「キャラクター・行動の選択」が事実上不可能となってしまい、
プレイヤーの取れる選択肢が極端に狭まってしまう。
後者でも多人数が同時に遊ぶが故に同様の事が言えるほか、
オンラインゲームは長期間遊んでもらうのが前提の設計であり、俗に言う
「これさえ入手すればゲームクリアに等しい」という存在は基本用意すべきではないとされる。
そのため、バランスブレイカーの存在する対戦系ゲームやオンラインゲームは、
よほどの理由が無い限り評判が芳しくなく、運営側が放置しているといずれ衰退してしまう。*1
- バランスブレイカーとして有名になった要素は、
もし続編やアップデートがあるのであれば下方修正や他の上方修正によって是正される場合が多い。
また、プレイデータがそのまま引き継がれるオンラインゲームでは少ないが、
コンシューマーのゲームであればバランスブレイカーとなった要素そのものを抹消することもある。
しかしこの修正なのだが、プレイヤー側が「やりすぎだろ…」と唖然となるほど極端であることも少なくなく、
使い方や立ち回りの根幹に至るレベルまで変更を余儀なくされることも。
また、バランスブレイカーとなった要素そのものの抹消についても、
対象となったモノがキャラクターや装備など、性能以外での人気が発生するものであった場合、
続編で登場しない事を残念がられたり、安直な対応だと批判する声が出ることもある。- また、バランスブレイカーとして知られていることを承知の上でか、
続編でもあえてそのままバランスブレイカーとして君臨させるケースも稀にある。
- また、バランスブレイカーとして知られていることを承知の上でか、
- 逆に弱すぎるアイテムやキャラクターの使用を強要されるなど、
弱すぎるものでもバランスを崩す要因になる場合もある。
これもバランスブレイカーの一種ではあるが、強すぎるものを指すバランスブレイカーとの混同を避けるため、
弱すぎるものをバランスブレイカーと呼ぶことは原則としてない。
- モンハンのメインシリーズについては、オンラインゲームに非常に近いゲームデザインであることから、
バランスブレイカーが初心者救済となる一方で効率厨御用達となることも多く、
これの存在が選択肢を狭めるものだ、と物議を醸すことが少なくない。
またモンハンはラスボスを倒して終わりのゲームではなく、
かといって上で挙げた「クリア後のお楽しみ要素」という概念自体もあまり強くないため、
ラスボスのクエストクリア後に使用できるようなものでも、物によってはバランスブレイカーと呼ばれる。
これらのバランスブレイカーに対する対応については、概ね上記のような処置で対応はされているが、
オンラインアップデートによる調整が行われるようになったのはモンスターハンター:ワールド以降の作品のため、
基本的には各作品におけるバランスブレイカーはそのまま残り続けている。- モンスターハンター:ワールドではメインシリーズでは初めて、
下方修正と上方修正を含むオンラインアップデートが実施された。
従ってネット上等でバランスブレイカーと呼ばれているものも、現在では異なる場合もあるので留意されたし。
公式サイトのアップデート情報も時たま確認する様にしよう。 - 同じくMHW絡みで一風変わった例としてMHW:I発売後に追加された武器・防具である
ガーディアンシリーズ、および防衛隊派生武器というものが存在する。
これは「上位までのストーリーを楽にクリアしてマスターランクに合流してもらう」ためのものであり、
同じ強化時期の各武具と比較した場合は飛び抜けて強力な性能を持っている。
特に最終強化した防衛隊派生武器はあのマム・タロト武器のレア8武器をも超越する性能であり、
上位止まり段階の環境から見れば文句なしにバランスブレイカーと呼べる性能を誇る。
しかし、マスターランクでの強化先が存在しないため、通用するのはM★2程度が限界であり、
マスターランクまで加味した環境では到底バランスブレイカーとは呼べない。
このような明確な初心者救済のためにあえてバランスを度外視した武具の実装は、
MHFを含む他のゲームでは珍しくない現象ではあるが、メインシリーズでは初の事例である。
この事例はどちらかというとインフレや緩和に近いといえる。 - MHR:Sでも同様の装備品として里守用武器とクロオビシリーズが配布された。
こちらではMRの通常装備の性能向上が著しく救済装備は概ねMRに上がればお役御免な環境になっている。
とはいえ下位上位段階では明らかに強く他の装備の作成の意味を薄れさせる事にはやはり批判もある。
- モンスターハンター:ワールドではメインシリーズでは初めて、
- 下記のバランスブレイカーの代表例にMHP、MH2に登場する記述はないが、
まずMHPに関してはMHGの移植+α程度。片手剣の物理火力の強化やガルルガ装備の追加もあったものの
環境を大きく揺るがすには至らず、基本はMHGに準じている。
またMH2に関しては珍しくバランスブレイカーと呼べる際立った武器が存在しないが、
太刀、狩猟笛、ガンランス、弓といった新武器の火力が軒並み異常なまでに低かったことで知られる。
また使用率だけで言えば例えば封龍剣【超絶一門】の使用率が高かったが、
これも「超絶がゲームバランスを変えてしまうほど強い」というよりは、
当時の古龍種が硬すぎて超絶クラスでないとまともに削りきれなかったなどといった
タフネス面で抱える問題に対するプレイヤー側の解答とみるのが妥当だろう。
いずれにせよMH2に関しては「バランスブレイカー」と言える武器こそ確かに存在しないのだが、
そもそものゲームバランスが元から崩れていたと見做さざるを得ない一面がある。
メインシリーズ
何故バランスブレイカーとして有名になったのかなど、詳細についてはリンク先等を参照されたし。
MH
MHG
MHP2
MHP2G
MH3
MHP3
MH3G
MH4(G)
MHX
MHWorld
アイテム/斬裂弾(アップデートにより修正済み)
派生作品
- 完全なオンラインゲームであるMHFにおいては、
バランスブレイカーとなる要素はより大きな問題になりやすい。
またMHF運営が「武具選択の自由が保たれている状態」が最良のバランスであることを度々明言しているため、
それが崩れてしまう、つまりゲーム内で指定される装備が1つに固定化されてしまう状況が起こると、
その存在をバランスブレイカーと見なす傾向が非常に強い。- その為、一般的なオンラインゲームで忌避される傾向にある「唯一最強の○○」は、
MHFにおいては実際に数多く指定されるようになるまではバランスブレイカーと見なされることはない。
例えばMHFにおける「最強」と定義されており実際それに恥じない圧倒的性能を持つ辿異進化武器は、
ユーザーの間からは最後までバランスブレイカーと見なされなかった。
ネット上でいくら「ぶっ壊れ」「最強」と言われようが実際に持っている人が極僅かであり、
クエストで指定する人も皆無に近かったからである。
また、特定のクエストでしか指定されないものも、同じくバランスブレイカーとは見なされない傾向にある。
ただし、サービス黎明期に下方修正
(大抵の場合プレイヤーが一方的に不利になる)を頻繁に行っていたことから、
下方修正によるバランスブレイカーの調整については否定的な声が非常に多い。
下方修正してでも是正すべき、という声も勿論少なからずあるが、
その場合もハンターが一方的に不利になる調整は避けるべきとの意見が多数である。
従ってMHFにおいては、修正に数ヶ月単位、つまりユーザーが準備できるだけの時間をかけたり、
あるいは弱体化ではなく対抗馬を複数用意したり他を強化するといった手段を取ることが多い。
対抗馬を複数用意することでいわゆるインフレは加速してしまうが、
それによって「武具選択の自由が保たれている状態」に達する為問題は起こりにくく、
インフレの方が概ねユーザーに受け入れられている。
とは言えこのような積み重ねを行ってきた結果、
MHFのゲームバランスはサービスが始まった2007年とは全くかけ離れたものになったのも事実であり、
ライブサービス型ゲームの難しさを示す一例と言えなくもない。 - その為、一般的なオンラインゲームで忌避される傾向にある「唯一最強の○○」は、
- スマートフォンゲームであるMHXRについても、
マルチプレイ制ということでオンラインゲーム同様バランスブレイカーは忌避されるものである。
ただし、サービスイン前のインタビューにおいて、
原則としては安易な下方修正によるバランス(ブレイカー)の是正はしない
(どうしても必要な場合は、MHFのようにある程度アドバンテージとなる期間を置く)ことが明言されている。
- 純粋なRPG作品であるMHSTシリーズでは、
他シリーズほどバランスブレイカーの存在がゲーム性に影響を及ぼす事はないのだが、
本作には(本筋ではないとは言え)通信対戦が存在するため、それを主軸に据えているプレイヤーからは、
他シリーズ以上にバランスブレイカーとなる要素を問題視する傾向にある(理由については上で述べた通り)。
ただしこちらについてはオンラインアップデートである程度是正されている。- 具体例としては、MHST発売初期段階における
「龍属性攻撃力を高めたジンオウガ亜種による連続龍撃」などが上げられていた。
本作のジンオウガ亜種はストーリー最終盤で入手できる存在であることから、
ストーリー内では活躍の場が乏しく、難易度を極端に崩す存在にはなりにくいのだが、
極限まで鍛えこんだオトモンを連れて行く前提の通信対戦であれば話は別で、
しかも最終盤で入手できるという特性からいわゆる厳選・育成がしやすかったためである。
やはり問題視されたのか後のアップデートで連続龍撃の威力が引き下げられ、
続くMHST2では連続龍撃に当たる特技の存在そのものが削除されてしまうこととなった。
- 具体例としては、MHST発売初期段階における
余談
- 身も蓋も無い話だが、バランスブレイカーと呼ばれる要素を活用した所で勝てない時には勝てない。
一般的にはバランスブレイカーとして批判される要素であったとしても
自分にとってはその力を活用する事によって互角に戦えるのであれば堂々と使うと良い。
それが「バランスが正当に成立している状況」であり、バランスのサジ加減はプレイヤーによって異なる。- バランスブレイカーの乱用によってゲームに面白味を感じなくなるタイミングは
往々にして自分自身で判断できる場合も多いため、自己判断で上手く選別できる要素でもある。
そもそも論として、バランスブレイカーに該当する要素を開放するに至るまでの道程は長く険しく、
それらを開放できると言う事はその時点で相応の技術と知識が身に着いている証でもある。
極端な得手と不得手の間を補完してくれる存在と考えるならば
バランスブレイカーの活用によって全体的なトータルバランスが安定する場合もある。
- バランスブレイカーの乱用によってゲームに面白味を感じなくなるタイミングは
- 多くの場合バランスブレイカーは主人公(プレイヤー)側にあるものを指して言われるが、
アニメなどでは主人公が全く敵わないような圧倒的な強さや存在感を持つものも、
バランスブレイカーと呼ばれることがある(例:グラップラー刃牙シリーズの「範馬勇次郎」など)。
ただしゲームの場合このような意味でバランスブレイカーと呼ばれることはまずない。
- なおチートやMODなど、
元から存在するルールやゲームシステムに対して後付で追加・改変した要素については、
それが元来のバランスからどれだけ逸脱していようとバランスブレイカーと呼ばれることはない。
モンハンで言えば悪魔アイルーや改造発掘武器などがこれにあたる。
ユーザーから受け入れられるかは別問題だが。
- 一口にゲームバランスといっても開発が考慮することは多岐にわたる。
モンハンで武器種のバランスを語る際にプレイヤーから取り上げられるのは、
作品の性質上どうしても与ダメージ効率や、タイムアタックによる狩猟時間の短縮などに偏りがちであるが、
初級者の扱いやすさや、移動速度など武器の「売り」も本来はあってしかるべきはずである。- 例を挙げれば、狩猟笛はその典型であろう。
狩猟笛のサポートは味方に対価を求めないたちのものであり、
純粋に笛のサポートによって味方の戦力は上がる。
それなのに、単騎での性能も他に並ぶとなればバランスブレイカーも甚だしいだろう。
しかしながら、「あなたの使っている武器はマルチだと強いので基本性能は他より弱くします」
という状況にされて喜ぶプレイヤーなどいないのは明白である。
にもかかわらず数多の部分で弱体化されたのがMHW発売直後の狩猟笛であり、
当時は多くの笛使いから反感を買った。
そのような要素(要はお手軽さ)を含んだものが複数含まれてはいるのだが、
その一方で、モンハンにおいてはやり込み前提、或いは上級者前提
(そのような前提のプレイヤー同士でPTを組む)で各事象が語られることが極めて多く、
結果、上級者間でのバランスだけが話題になりがちである。
故にそこが開発、及びプレイヤー同士での「バランス」が噛み合わない一つの理由となっていると言える。- 例えば、モンハンはプレイヤースキルがものをいうゲームであり、
机上論のDPSをそろえても、実際の立ち回りでどれだけ攻撃できるかに応じてタイムは変わってきてしまう。
そして、プレイヤースキルによってどのような隙に攻撃を差し込めるかというのは変わる。
そのため、「特定のプレイヤースキル層で均衡をとったが、超上級者間のTAがずれてきてしまう」
というのは十分に考えられる。
先述した狩猟笛のソロTAは一部除いて極限まで煮詰めると他武器種より振るわない
(笛使いの方には申し訳ないが)が、これは上記の点を考えるとある意味妥当な部分である。
が、「極限まで煮詰めたソロTA」を前提に考えてしまうと、
「狩猟笛は(火力が低く)バランスが悪い」と主張するプレイヤーが出てくるのも不思議な事ではない。 - また、MHFには「超上級者向け」とも言えるスキルが存在するが、
現在の同作におけるネット上のコミュニティにおいては、
当該スキルの発動を大前提とした価値観が醸成されやすくなっている。
加えて、同じことがメインシリーズ(特にMH4以降)で強く見られるようになっており、
実際のオンラインではそうではないが、
ネット上の意見では火力スキルを重要視すべきという声が強い、
(特定の武器種愛好者には申し訳ない要素となるが)
やりこみ要素の1つでしかない特定の1体のモンスター狩猟のソロTAの結果だけで武器種の強弱を決める*2
と言った極端な動きも見られる。
MHF側については、実際のゲーム内の雰囲気との乖離を指摘する声によって、
メインシリーズ側はMHWorldに於ける体力スキルの強化や、
気絶を始めとした、脅威度が増した妨害要素の対策の有無による狩猟快適さの変化を認め、
「力尽きまくる(=ので火力を活かしきれない)なら生存性を強化すべき」という、
かつてのMHF-G初期で発生したのと同じ意見が見られるようになってきた事によって、
昨今ではこれらの点がプレイヤー同士、
及びプレイヤーと開発側の温度差の大きな原因として考えられるようになった。*3 - また、初期のシリーズ群においてもいわゆるユーザーが考えるバランスブレイカーは
「完全にやり込み切ったハンター」を前提に考えられている節があったのは否めない。
例えばMHP2~MH3の項であげられるものは「バランスブレイカー」として有名だが、
いずれもラスボスの武器、或いはラスボス攻略後の隠し要素を活用して現実的に作成が見えてくるものである。
モンハン自体が全要素を解放しても尚プレイし続けられる魅力のあるタイトルだからが故に起こる事象と言えるが、
逆に他ゲームで言及されるような攻略途上からゲーム性を大きく破壊してしまうようなモノは本シリーズではほぼ見られない。
- 例を挙げれば、狩猟笛はその典型であろう。
- 近年では、MHW:IやMHR:Sの様な拡張コンテンツで続編に相当する作品を出す傾向にあり、
拡張前作品でバランスが悪いなどプレイヤーの意見が多い武器種に対して、
発売前に併せて火力調整が行われている。