【天に煌めく星のごとく】

Last-modified: 2024-03-28 (木) 09:36:55

・バージョン6ストーリー

【天星の英雄たち】-【暴かれし相貌】-【ふたりの勇者】-【魔眼の月が昇るとき】-【悠久のレクタリス】-【天に煌めく星のごとく】

概要

【Ver.6.5】のメインストーリーにして、Ver.6の完結編。前期・後期と2回に分けて配信される。
Ver.5同様後期が最終章となっており、前期ストーリーが終了しても「これまでのおはなし」に「CLEAR!」表示が付かず、後期と一纏めの扱いとなっているが、さらに本バージョンでは前期ストーリーをクリアしてもクリア称号がもらえない点でVer.5.5と異なる。

ストーリー

前期

【天使長ミトラー】から完成した【神剣レクタリス】【アストルティアの楯】を受け取る。
捕虜とした【ジア・ルーベ】が目を覚まし尋問を行うが、相手が取り乱したため中断し【とこしえの神殿】の地下へ向かう。
地下には【秘伝の間】と呼ばれる場所があり、そこには【天の箱舟】や初期型の神化の光炉が置かれていた。
【デンデロベー】【モーモリーナ】から受け取った鍵で神化の光炉を点火させると【フォステイル】が現れて神化を決意する。
 
フォステイルの神化を待つまで時間が空いてしまったため、【カブ】【三闘士の誓い】【ハクオウ】【時の王者の名残】【リナーシェ】【歌姫の贈り物】【ユーライザ】【魂の形】をそれぞれ依頼してくる。これらのクエストは順不同で進められる。
 
秘伝の間ではフォステイルの神化が終わり、神授の秘密殿への扉が開かれる。
神授の秘密殿では投影機が映し出した空間である【神具解放の審問宮】に飛ばされ、3つの試練が課せられる。
試練を乗り越えると神授の間に着き【女神ルティアナ】の映像から【神授の判定者】を差し向けられる。判定者を倒すとアストルティアの楯の真の力が解放される。
 
【ジア・レド・ゲノス】の宣戦布告を受け主人公達は【創生巨神】に変化し【魔眼の月】の破壊に向かうが、【念晶巨人】が創生のチカラの吸収を開始したためそちらへの対処を優先する。念晶巨人を弱らせ破壊するが、中からコアが飛び出す。コアへ向かおうとした最中に創生巨神の変身が解けてしまう。
【巨人コアを守るジア・クトたち】による妨害に遭うが【勇者姫アンルシア】が駆けつけ、猛攻を耐える間にコアの破壊に成功する。しかしこの戦いで【アシュレイ】が命脈を使い果たし、消滅してしまう。
顛末をミトラーに報告していると神化の光炉にユーライザが身を投げ、意識不明となる。

後期

ミトラーから魔眼の月へ潜入しての破壊工作を提示される。天の箱舟を起動させるためのエネルギーを得るため【クリュトス】と共に【神代の島】へ向かう。神代の島では【いにしえの廃棄物】が襲ってくるが、無事にエネルギーを手に入れる。
 
天の箱舟の起動まで時間がかかるため、【ラダ・ガート】が頼みごとをしてくる。頼み通り地図が完成すると、意識不明から回復したユーライザが迎えに来る。
 
英雄達とユーライザを乗せた天の箱舟は搬入口からの潜入に成功する。
カブ、【ナンナ】【ドルタム】の班、ラダ・ガート、フォステイル、リナーシェの班、主人公、ハクオウ、ユーライザの班の3班に分かれて進むが【ジア・ネブラ】の妨害により、カブとナンナが命脈を使い果たし消滅してしまう。
主人公班は道中に現れる英雄やユーライザの偽物達を撃破し、魔眼砲の破壊に成功する。【要塞の迎撃大隊】の撃退後、第二魔眼砲の存在を知った主人公はゲノスの打倒を決断し、ハクオウに追っ手を任せてゲノスの元へ向かう。
魔眼の中枢に辿り着くと、先に到着した仲間達が全員結晶化させられ、アストルティアの楯も破壊されてしまう。しかしユーライザが結晶化の光を浴びると神化し、ゲノスとの戦闘になる。
戦いに勝利するとゲノスは【ジア・メルド・ゲノス】に変貌して上空に飛び立ってしまう。ハクオウは追っ手との戦いで命脈を使い果たし、最後の力で主人公に神の翼を授けて消滅した。
神の翼でゲノスに追い付くと、ユーライザは戦いの場となる光輪を作り出す。フォステイル、リナーシェ、ドルタムが光輪を維持し、ユーライザとラダ・ガートが参戦しての最終決戦となる。
 
最終決戦に勝利後、制御を失った魔眼の月が落下し始める。魔眼の月の破壊には成功するものの、ドルタムが残骸の処理で命脈を使い果たして消滅。
天星郷に帰り、顛末を報告しているとユーライザの神化が解ける。聖天舎で宴が開かれるが、その最中にリナーシェも消滅してしまう。
聖天舎の外では【ピュトス】が捕虜に襲われて致命傷を負ってしまい、壊された光炉に向かうとルーベとラダ・ガートが戦っていた。
ゲノスの意識が復活し「ジア・ルーベ・ゲノス」を名乗るルーベは神化を試したいと申し出るが、申し出を拒絶した主人公にとどめを刺される。この後ラダ・ガートも消滅し、フォステイルも行方不明になったため、残る英雄は主人公1人にまで減ってしまった。
 
一方その頃、とある神殿にフードを被った少女が現れ、謎の儀式を行う。
To be continued…

ストーリーボス

前期

後期

新エリア

前期

ダンジョン

後期

ダンジョン

初登場モンスター

前期

後期

なし

ストーリーの評価について

批判点に関する記述はこの部分のみに留め、他項目への記述は控えてください。
また、過度に攻撃的になりすぎないよう配慮をお願いします。

ネガティブな内容を含むため畳む

このバージョンをもってVer.6は完結となったが、公開後、おはなし感想広場ではストーリーに対する批判が集中し、炎上する事態となってしまった。
もちろん今作のように大ヒットしているゲームには批判は付き物であり、開発側もそれは覚悟の上だが、おはなし感想広場では、たびたび「主人公が物語に関わる動機が薄い」「主人公に主体性が感じられない」と指摘されていた。
Ver.1~2では「主人公はレンダーシアを解放する宿命のために生き返しを受けた」とされ、Ver.3~5では【主人公の兄弟姉妹】が物語の根幹に関与していた。
だが、Ver.6ではこれらに類する動機付けがなされておらず、「ただ一方的に天使の要請で試練を受けされられた」「【ユーライザ】に案内されるだけ」との印象が強い。

また、天使や【ジア・クト念晶体】の存在が秘匿されたために、アストルティア全体の危機ときているにもかかわらず、既存地域やその関係者の殆どがシナリオ全体を通して完全放置されてしまったことを批判点とする向きもある。
特に【魔界】については、前バージョンの舞台にして主人公が【大魔王】として導いていくことを決意した地であり、その住民からしても今回の敵ジア・クトは「祖先と大地がアストルティアから放逐された元凶であるジャゴヌバのさらなる大元締め」という因縁の相手である。
しかしながら、魔界の住民が今回のシナリオに関わる機会は皆無であり、Ver.5で主人公が大魔王に即位した(盟友にして大魔王という異色の経歴を持つ)こともVer.6のシナリオ中で特段活かされなかったため、特に批判されやすい。
 
一方で、挙げられる評価点は、過去ストーリーに登場したキャラクターの補完*1過去バージョンでは曖昧だった歴史上の出来事の深掘り*2が中心となっている。
ver.6.3までの悪神化してしまった英雄たちの事跡や苦悩、生きざま、ver.6.4での【レクタリス】周りで語られる神話時代のストーリーは、個々に見た場合にはよく描かれていた。ジア・クト勢力の脅威と無理に絡めなくても、おのおのが単体の物語として十分に成り立つ。したがって、これらがver.6.5前後期のメインストリーリーとうまく合流できていない感じも受ける。本項後述の「英雄たちの扱い」のフォステイルの部分で詳述されているように、フォステイルは物語のカギを握るキャラと思われていた。ただ、ver.5での【魔仙卿】のようにバラバラのストーリーをまとめる役割は果たしていない。
更に言えば、本Ver.における各種設定、ひいては物語の存在そのものが引き延ばしのために無理やり後付けした蛇足なものに感じるという批判もある。
長編ものの宿命ではあるが、当初構想していた伏線やネタを使い切ってなおストーリーを完結させずに展開し続けなければならなくなると、どうしても後付け設定による引き延ばしなどに頼らざるを得なくなり、ストーリーの質の担保が難しくなる。
Ver.5終盤から本Ver.までを見ると、「異界滅神の一族」という文言(すなわちジャゴヌバにジア・クトという同族がいたという設定)自体、それまで示唆する物が全くなかったところにVer.5.5ラストで唐突に言及されている。
また、本Ver.における「青き妖精」や「とこしえのゆりかご滅亡の元凶は別にいる」というのもまたVer.6.5ラストでいきなり言及されたものであり、こちらもVer.7のための伏線づくりと容易に想像できる。
そもそも本作は当初はジャゴヌバの撃破をもって完結としようとしていた節があり、それを示唆するようにVer.5ではこれまでの多くの伏線が回収され、最終決戦後は大団円を迎えるなど完結編として展開されていた。
過去DQのような買い切り作品で例えるなら、Ver.5の時点で「メインストーリー」はほぼ完結しているに等しく、Ver.6は「エンディング後」に相当するものとも言える。
よって、無理に新たなストーリーを考えるよりは、既にメインストーリーは描き切ったものと割り切り、サブクエストを充実させるなどして過去バージョンの丁寧な補完に徹していれば好評を得られたのではないか、とも考えられる*3
 
このように確かに批判は殺到したが、皆純粋にドラクエ10が好きだからこそこうして批判しているのである。
今後、これを次のバージョンにどのようにして活かしていくかが課題といえる。

主な批判点

ここからより一層ネガティブな内容になるため畳む

英雄たちの扱い

所在不明となるフォステイル以外は、結果的に全員消滅してしまう。
元々主人公とフォステイル以外の英雄は「それ以上喋るな」と思わせるほど死亡フラグを建てまくっていたため予想可能であったという声もあり、英雄が消滅する展開自体は賛否両論止まりとは言える。
しかし、それよりも問題視されるのが、退場する過程や必然性が充分に描かれたとは言い切れず、「Ver.7で新たな物語を展開するにあたり邪魔だったからだろう」という邪推が容易にできてしまうほど雑で呆気ない退場の仕方であったことである。
英雄たちの死がなければ成り立たないシナリオになっていれば、もしくはver.6.5後期での英雄の戦死自体がなければ、ここまでの批判はなかったのではないかと思われる。
英雄たちを退場させざるを得ないにしても、その理由は「(二度と帰らない)消滅」ではなく「(わずかでも復活の可能性に含みがある)魂が眠った」などのより穏当なものにできなかったのだろうか(詳細は、本項下部の考察部分を参照)。
そして、英雄たち消滅後のフォローも不十分である。
本ページ「天使」の項で詳述の通り、英雄たちは天使からの一方的な丸投げに基づき戦い、犠牲になった。にもかかわらず、天使から英雄への感謝や敬意は薄く、「天星郷(すなわち自分たち)が無事だったことへの安堵」が非常に目立つ。また「丸投げ」の要因でもある天使の選民思想への反省も充分とは言えない。
 
特に批難されるのは、直前のカブと比べて消耗の描写が弱いにも関わらず大技の反動で消滅したナンナ*4、どうにか無事に天星郷へ帰還し宴席にまで連なることができたと思ったら消えていったリナーシェ*5、ラダ・ガート*6など。
ドルタムも死に様はともかく、落下物の唐突さや、当然起こるであろう津波を一切考慮せずにただ大陸を避けて海に落とさせた展開を指摘する声も。
また、ヴェリナード王家の面々やアンルシア等、英雄たちと交流のあったキャラ達とエンディング後に話しても何ひとつ言及されず、そもそも台詞すら一切変わっていないありさま。
コウリンはアズラン領主の屋敷に居ついているが、ハクオウについて屋敷の面々からは何も言及されない。過去の例を挙げると、Ver.5では【アスバル】【オーディス王子】にその後のやり取りがあったことをエンディング後に聞くことができたが、今期にはそれがない。
なお、ハクオウは上記コウリンの存在のためか、Ver6.5後期時点では英雄の中でただひとり後日譚クエスト【声なきことづけ】が存在するという破格の扱いを受けている*7
ハクオウの消滅は、消耗しきった自らの神の力を主人公に与え、主人公とユーライザだけでもラスボスのもとへ向かわせる、という王道の展開であった*8
最初に知り合ったラダ・ガートが最期に全体を締めて消滅し、物語は終幕となったが、それが逆に「他の英雄は駆け足に消滅させられた」とも感じさせる。
 
また、主人公以外で唯一生き残ったフォステイルについても、英雄として登場させたのは作劇上の失敗だったのではないかという意見もある。
他の英雄は雑な展開になってでもVer.6の中で退場させることが確定していたと思われるが、Ver.1からの登場人物であるフォステイルはそうではない。
しかし、元から「生前の本人がタイムスリップしてくる」という形でいくらでも話に介入させようがあり、裏で暗躍するトリックスターとしていつでも登場する可能性があるフォステイルを英雄の枠に組み込むこと自体に、さして意味がない。
Ver.6内での活躍を見ても、Ver.5エンディングムービー内のVer.6予告に登場し、ストーリーのカギを握るキャラと思わせていたわりには、活躍があまり描かれなかった。はっきり言えば、毎回思わせぶりなセリフを残すのに、ヘルヴェルの正体を暴く場面とルティアナの神気による結晶化防止の件以外に目立った活躍はなく、どちらも別の頭脳担当キャラに代行させても務まりそうなものだった。悪神化もしなかったため内面の深掘りもされず、主人公と絡む場面も少ないため、存在感が希薄である*9
そしておそらくは、Ver.7以降にも登場させるためにフォステイルを消滅させるわけにはいかないという理由から「主人公以外の英雄をひとつの場面でまとめて退場させる」という手段も取れなくなった。無論そうした場面を描くにも相応の理由付けが必須だが、脅威の規模も統一されていないシチュエーションで個別に退場させるよりは、納得できる顛末となった可能性が高い。

ユーザー考察につき畳む

フォステイルのみ消滅しなかった理由は不明だが、考察のひとつして、彼だけは悪神化しておらず「【神殺しの心気】の力を持つ主人公に斬られていないから」というものが挙げられている。
フォステイル以外の英雄達はその時点で即死こそしなかったものの、その影響によって最終的には消えてしまう末路が決定づけられた*10のかもしれない、というものである。

ただし、この考察が当たっているとして、フォステイルと他の英雄の生死を分けた理由が「主人公に斬られたか否かである」と、明言できるだろうか? 
これが正しいとすれば、英雄たちが悪神化してしまってやむを得なかったとはいえ、結果的に主人公が英雄たちを手にかけてしまったこととなる。
過去シリーズでもプレイヤーの判断次第で滅んでしまう町や死亡してしまうキャラは存在するが、「お人よしで、全てを救う存在」という性格と立ち位置の主人公に「戦友を殺してしまう」ことが許されるか? また、プレイヤーはそのような展開を「英雄たちが雑に退場させられた」以上の納得を持って受け止めることができるだろうか?

つまり、「全てを語らず、考察の余地を残す」との『ドラクエ』シリーズのスタンスがかえって仇となり、【パクレ警部の事件簿】と同様の構図で炎上してしまったのではないだろうか。また、あとになって「フォステイルと他の英雄の生死を分けたのは『主人公に斬られたか否かの差』」と説明されても後付け感が強く、【パクレ警部の現実】のように白けてしまう可能性もある。

ただ、この例は先述の通り、主人公が「仲間である英雄たちを手にかけてしまう」ということで、「英雄たちの雑な退場」とは別の意味で、受け入れがたいものになりかねない。
とはいえ、主人公が神殺しの力を持っていること、フォステイルのみ主人公に斬られていないことは、どちらも事実である。

どちらにせよ、公式に作中で理由が明言されるまでは、あくまでも各々ユーザーによる考察の域でしかない点を留意しよう。

天使たちの態度・言動

【天使】の項目にもある通りそういう設定としてデザインされているのだが、天使たちのアストルティア民に対する不遜な態度、見下したような言動には、Ver.6.0開始当初から批判が多かった。
それでいて戦闘面ではまるで役に立たず、一方的にやられたり、主人公や英雄たちに丸投げする場面が目立つ(作中でも言及されている)。
挙句に、事態収束の先陣を切るべき【天使長ミトラー】が真っ先に自暴自棄になり、天使長の役目を放棄してグレてしまうという体たらくで、「そんな流れで【魔窟アラモンド】のストーリーを展開するくらいなら、英雄たちやジア・クトをもっと掘り下げてほしかった」という声も上がっている。
ジア・レド・ゲノスとの最終決戦は天使たちも加わる総力戦になると言及されるも、結果的に「討伐を目指さず離脱するように」と制止されていたラスボスとの戦いにもつれこんでそのまま撃破する展開のため、天星郷はエンディングまで万事無事であった。
 
ストーリー進行とともに態度を軟化させたり、反省や英雄への感謝を見せる者もいるのだが、全体的な悪印象を覆すには至っていない。特に、最も主人公に対して悪意を向けていた天使【ピュトス】が、はっきりとした謝罪も改心もしないままで退場してしまったため、怒りのぶつけどころを失ったと感じるユーザーもいる。
 
ラスボス戦を終えた天星郷への帰還時には、多大な犠牲の上での勝利に哀悼を示すべき場面で【デンデロベー】【モーモリーナ】によるギャグシーンが入り、それに対するユーライザのリアクションもギャグ調。
その様子を見て笑う天使たちを、フェディーラが「ここ笑うところじゃないのよ~」と諫めるが、天使側に共感して笑ったプレイヤーは皆無と思われる。
 
メインストーリーのラストとなるクエスト【その翼は未来へと羽ばたく】も、リンク先の通り、受注条件が非常に多岐に渡り、かつVer.6.5後期エンディング後に多数解放されるクエストの一部をクリアすることも条件である。そのため「Ver6シリーズ全体のフィナーレ」として位置付けられていると思われる。
しかし内容は「気落ちした審判の天使たちを元気づけるためのお菓子作り」で、結末は「【ヴェル】の誕生」。主人公への依頼内容とヴェルの誕生とは直接関係していないため、どうにも唐突さを感じさせる。
総じて、フィナーレと呼ぶには内容が、内容のわりには受注条件・解放タイミングが、そしてこのクエストの展開そのものが、それぞれチグハグな印象を禁じ得ない。
そして、フィナーレにもかかわらず、消滅した英雄たちへの感謝や敬意、天使の選民思想への反省が正面から描かれることはなかった。
後日譚クエスト群でこれらの点をしっかりと描いていれば、プレイヤーの天使への悪印象も好転したかもしれない。

ユーライザについて

【ユーライザ】も、Ver.6.0開始当初より、「ストーカーじみている」「出しゃばりすぎ」との批判が強かった。
ユーライザの主人公に対する強すぎる思入れは、Ver.6.4メインストーリー【悠久のレクタリス】、クエスト【悠久の時を超えて】【大空の向こう側で】で明らかになったように、「ユーライザはレクタリスの転生」だからである。
ユーライザの主人公に対する態度は、レクタリスの強すぎる思いが転生時にユーライザにうまくなじめず暴走した結果であり、また【大空の向こう側で】でユーライザの中からレクタリスとしての記憶が消失したことによってユーライザの魂が正常化し落ち着いて、今後は不必要に出しゃばることもなくなるのではないか、との批判的な願望に近いような考察もある。
 
彼女については、Ver.2~5の「相棒キャラ」というべき、【勇者姫アンルシア】【エステラ】【キュルル】【ユシュカ】と比べて、「主人公と『相棒』としての絆」を築く過程が希薄であった。
結果論になってしまうが、主人公とユーライザがVer.6.3までに(レクタリス関係なしに)「『相棒』としての絆」を築く過程が丁寧に描かれているか、ユーライザが「(後に主人公が深く関わる)レクタリスの転生」であることが暗示されていれば、好感度がもうすこし上がったかもしれない。
 
また、彼女の言動を振り返ってみると、他の天使や初期のユシュカ並に自身の正義を押し付けたり、感情のままに身勝手な行動をする描写が多く、彼らのような傲慢さを持っているとも取れる。
しかし、作中でそれが問題視される描写は希薄であり、「結果的に彼女の選択が正解だった」という流れになる場面が多く、最終決戦では(前世レクタリスの助けによる一瞬だけのものとはいえ)英雄的人物にのみ可能なはずの神化まで果たしている。
成長描写が乏しい割にやたらと肯定されて持ち上げられている節があることも、ユシュカたちのような高い好感を得られなかった要因のひとつと言えるだろう。
 
ユーライザは、ver.6.5前期で意識不明になり、ver.6.5後期では「回復の見込みが立たない」と明言されたにも関わらず、主人公とラダ・ガートを呼びに自力で白灰の試練場までやってくる、という復帰の仕方が唐突だとも指摘される。主人公がユーライザの治療のため薬作りを手伝うなどのイベントがあればまだ不自然ではないのだが、そうしたフォローが一切ないため、偽物や罠の可能性すら疑ったというユーザーもいる。
 
Ver.6シリーズ通して安西Dのユーライザ推し*11が強すぎて逆に寒い、白けるという意見も殺到している。
後日談クエストにまで言及すると、そのコンプリートにおいて【ユーライザの思い出】のプレイが必須になっている点も批判対象となっている。
 
製作陣がヒロイン等の特定のキャラに入れ込み過ぎて客観的な視点を失った結果、押し付けや贔屓を感じたプレイヤーからむしろ悪印象を持たれてしまうという失敗は数多くの創作で存在するが、ユーライザもこれに当てはまってしまったと言えるかもしれない。

ラストダンジョン・ラスボス

ラストダンジョンである【魔眼の月】が、敵本拠地でありながら雑魚モンスターもおらず、ほぼ一本道の通路が3本あるだけでスカスカな印象。
しかも施された仕掛けが子供だまし的であるため緊張感を削いでしまっており、ジア・クトという種族そのものに対するイメージを矮小化させてしまっている。
Ver.3あたりからほぼ毎シナリオ何かしらのパズル要素やミニゲームが取り入れられているが、今回についてはボス戦とミニゲーム以外の探索要素などがほぼ存在しないことと、ここの仕掛けはこれまでに比べても難易度が低く、かつ同種のミニゲームが繰り返される展開となっていることが大きいと思われる。
ミニゲームがプレイ時間を占める割合が高いがために、その歯応えのなさや単調さ、拘束時間によるテンポの悪さが目立ちやすく、これに強いストレスを感じたプレイヤーから批判されてしまったと言えるだろう。
 
また、物語中で散々大勢力である事を匂わせ、Ver.6.3では実際に宇宙を埋め尽くすほどの大軍勢で英雄を苦しめたのに、最終決戦では投入されていない。
ラスボスであるジア・レド(メルド)・ゲノスも、Ver.1~5まで長きに渡り君臨した【大いなる闇の根源】以上の脅威として描写されておきながら、実際の強さは過去バージョンのラスボスと比較して大したことがない*12うえ、ストーリーにおいても【キュロノス】【異界滅神ジャゴヌバ】より短絡的な面が目立つ、彼らほどの絶望感ある被害をアストルティアにもたらせていないといった理由から、「強敵」という印象があまり残らないのも批判点になっている。
 
また、MMOであるにもかかわらず、ラストダンジョン突入からラスボス撃破に至るまで他のプレイヤーとパーティを組めない点も批判対象となっている。
複数のNPCをパーティインさせたり、複数の操作キャラを切り替えさせたりといった展開は、多数の登場人物にまとめて出番を作るには有効だが、他者や複垢でパーティを組んでプレイすることを許容すべきMMOの在り方とは相性が悪い。
本作は当初「ドラクエをMMOではやりたくない」と言う批判もある中スタートし、「ひとりでも、他の人と協力しても、どちらも楽しめる」ことを実現したゲームであり、この11年間で様々なコミュニティやプレイヤー同士の交流が生まれてきた。
日課やストーリーの大半はソロでこなしていても、イベントやラスボスはフレンドとクリアして楽しんでいたプレイヤーにとって、今回の流れは最悪なものになっただけではなく、「MMOだって面白いよ!」ということを全面に出してスタートした本作のスタンスを運営自ら否定したものとなってしまった。
これはそうした演出をメインストーリーに取り入れたVer.5から賛否分かれてきた点であるが、今回はさらにラスボス戦にまでその制限が入り、その割にラストダンジョン入場時までその旨が告知されなかった。
ラスボス戦での編成制限は「特別な大技でラスボスに止めを刺す」演出を戦闘シーンで表現するためのものであるが、Ver.3~5ではそれをイベントシーンで解決してきた前例があり、プレイの幅を制限してまで行う必要性が感じられない。
さらに告知が突然されるために、プレイヤーの不満や違和感が加速することとなってしまった。目覚めし冒険者の広場であらかじめ告知したり、ゲーム内でもVer.6.5後期メインストーリー進行開始時に告知のメッセージを出したりといったプレイヤーへの配慮がなされれば、批判ももっと小さかったかもしれない。

運営・開発チームの反応

Ver.6完結後初のDQXTVにおいて、安西Dが「寄せられた意見については受け止めている」「傷ついてしまった方には申し訳ないが、物語には過去や未来があり、今が全てではない」と言及した。
ただ、この発言についても「認識がズレている」との意見がある。
実際は「英雄が消滅する過程が雑である」ことが不評の主な要因なのに、まるで「英雄が消滅した」ことが不評であるかのように解釈しているようにも見受けられる。
2023年12月に配信された『超ドラゴンクエストXTV 冬物語』内『ネタバレイトショー』でも、「Ver.6では多くの素敵なキャラクターと出会ったのに、すごく唐突に悲しい別れになってしまい、それを受け入れられずモヤッとしたものを感じたユーザーから多くの厳しい意見をいただいている」との旨の発言があり、この点もおはなし感想広場でさらなる批判を招いた。



*1 【キャスラン】との因縁の決着、【パドレ】の救出、【大エテーネ島】の錬金術師たちの活躍、等
*2 【レクタリス】周りで語られる神話時代の様子、Ver.4では舞台に選ばれなかった【エルトナ大陸】【ウェナ諸島】の過去、【盟友】という称号が生まれた経緯、等
*3 事実、FF11は「アルタナの神兵」までは1年半間隔で拡張データディスクを発売していたが、「アルタナの神兵」発売後はサブコンテンツの充実などに時間を費やす方針にした結果、「アドゥリンの魔境」まで5年半もの間拡張データディスクが発売されなかった。
*4 これまでのおはなしには「生命力をすべて武器に込めた」とあるが、毒に冒され歩くのもやっとの状態から敵の妨害装置を破壊し爆発に巻き込まれたカブと比較すると、描写ではどうしても見劣りする
*5 消滅した英雄中、彼女が最もダメージを受けていないと思われる
*6 数々の戦闘でダメージが蓄積し、ついに限界を迎えてしまった、と受け取れなくもないが、先に消滅したカブやハクオウと比べるとダメージを負った様子はない
*7 しかし「消滅後にフォローがあった」という“されてしかるべきこと”が「破格の扱い」になってしまうこと自体が問題ともいえる
*8 ただ、後述の「ラストダンジョン・ラスボス」の項で記述されているように、ジア・クト勢力があまりにも弱すぎるという面からの批判もある
*9 登場時から“謎多きトリックスター”だったとはいえ、Ver.4の【メレアーデ】にあったような主人公と別行動中の活動についての事後報告さえ、特定のタイミングで話しかけたときにあいまいな概要を教えてくれる程度で、何を目指して何をしていたのかはっきりと知ることはできない
*10 【英雄】の項でも記述されている通り、英雄たちに与えられたのは「かりそめの体」である。主人公の「神殺しの心気」の力で斬り付けられたことと、数々の戦闘により、その「かりそめの体」が耐え切れなかった、とも考えられる
*11 特に、目覚めし冒険者の広場の最新情報コーナーに毎回「ユーちゃん、マジ天使」と書く行為
*12 Ver.6.5後期内だけなら最初のボスの【いにしえの廃棄物】のほうがよほど強い