ウルの最後末裔
アントンの過去を描いたストーリー。
ストーリー
- 彼らが暮らしていた世界は魔界と比べものにならないほど大きく、広かった。
見た目はそれぞれ違ったが全員強靭な力を持っていた。
熱い環境に彼らは適応し、生き残ったのだ。
生存こそ最高の勝利である世界であった。
彼らは小さかったが弱くはなかった。
知恵があり、様々な生存方法を編み出した。
彼らは敗北を受け入れ、ウルたちを神として崇めながら生きた。
彼らはタルタンと名乗った。ウルとタルタン。
二つの種族の奇妙な共存はこの時から始まった。
ウルの体は小さな獲物を探すには効率が悪かった。
それに巨体を維持するために大量のエネルギーを必要とした。
ウルは次第にタルタンに頼るようになった。
タルタンは環境に適応しやすい体を持ち、精神感応能力に長けていた。
特殊な精神連結網を利用し、効率的な狩りを行った。
そしてとうとうウルと種族を超えた精神接触にまで成功した。
ウルの過剰なエネルギー吸収によって…。
すでにタルタンはウルの一部となり、ウルの食欲もまたタルタンの本能になっていた…。
ただ見ているしかなかったのだ。
彼の体はまだ幼く、軽かったため 4本の足を動かして移動することができた。
最後には山となる高齢のウルに比べると動きも機敏で、体も柔らかった。
そしてタルタンもまたそれを知っていた。
動く時が来たことを悟った。彼らは全員アントンの体に乗り移った。
だが、仕方ない。
ここでは生存こそ最高の勝利…。
ウルすら生きられないほどの熱い溶岩地帯をアントンは移動し続け、生き残った。
突然光が差し込み、優しい声が聞こえてきた。
声の聞こえた先へと乗り移った。
彼らの足が新しい大地に触れた瞬間、
ウルとタルタンが共存していた世界は跡形もなく消えた。