ストーリーブック/戻らない森

Last-modified: 2023-04-09 (日) 18:32:36

戻らない森

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大火災より少し前のストーリー。この後どうなるかは、クエストで語られた通りである。

ストーリー

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美しい森グランプロリスには複数の種族が仲良く平和に暮らしている。
アラドが造られたその時から暮らす知恵の種族妖精と、
巨体と強い力を持っているが純粋で賢いタウがその代表的な種族と言える。
 
彼らは力を合わせマイアが造った大魔方陣を守りながら平和な日々を送っていた。
時折訪れる招かざる客もいたが森に守られ、大事には至らなかった。
 
そんなある日、獣たちの王という称号を持つ偉大なるタウの王、ウムタラは
辺りを見渡しながら誰かを探していた。
 
ウムタラ
ここにいたのか。探したぞ。
 
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彼が探していたのは妖精の長老であった。
妖精同士はお互いの魔法のオーラで簡単に見つけることができるが
魔法に疎いウムタラは直接探すしかなかったのだ。
 
妖精の少女
こんにちは、ウムタラ様。
 
妖精の長老
ご無沙汰じゃな、獣王よ。ワシに何かご用でも?
 
ウムタラ
ちょっと相談事があってな。
 
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いつもと違い遠回しな言い方をするタウに妖精少女が気を利かせて立ち上がった。
 
妖精の少女
そうだ、本を返さなきゃ。長老、ウムタラ様、お先に失礼します。
 
ウムタラ
悪いな。
 
妖精の少女
いえ、私のことはお構いなく。
 
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少女の姿が消えると長老が静かに聞いた。
 
妖精の長老
で、何があったのじゃ?
 
ウムタラ
近頃外からここに来る人間が増えている。
冒険者や旅人なら気にしないが体中鎖を巻き付けた奴らをちらほら見かける…。
 
妖精の長老
それならワシも気になっておった。念のため、弓使いたちを多く配置しておこう。
 
ウムタラ
それは非常に助かる。ところで、あの人間たちは一体何者なんだ?
 
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ウムタラの声には警戒の色が入り混じっていた。
うまく説明はできないが獣王らしく本能で危険を察知したのかもしれない。
 
妖精の長老
軍人らしき者だった。狙いが何なのか分からないが何かを調べているようだった。
 
ウムタラ
まさか魔法陣を…!
 
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グランプロリス森を囲む大魔方陣は人間ではあるが妖精からも慕われる
大魔法使いマイアが彼のすべての魔力を振り絞って作ったものでった。
 
領土を広げようとする人間の欲望により追い出された妖精たちが今のように森の種族として
生き残れたのは彼が作った魔法陣がこのグランプロリスを守ってくれているからである。
 
また、それだけではなく古くて広い森には多くの動物と木が育っている。
アラド全体の生態を維持するための最も重要な役割を
果たしていると言っても過言ではない。
 
妖精の長老
まさか。マイア様の魔法陣が破壊されれば彼らもまた大きな被害を受ける。
いくら愚かでもそんなことはしないだろう。
 
ウムタラ
だが、人間は昔からこの森を破壊し、略奪し続けた。
アラドは人間で溢れ返っている。頭のおかしい奴が一人二人いてもおかしくはないだろう。
 
妖精の長老
そのために警戒しているのだ。
妖精だけではなく力強いタウもここを守っておる。
我々が力を合わせて警戒を強めていけばご心配されるような事態にはならんじゃろう。
 
ウムタラ
うむ…だが、悪い予感がする…。いや、何でもない。
 
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そういうウムタラは立ち上がり、愛用の巨大なハンマーを持ち上げた。
人間や妖精なら到底一人では持ち上げられないものである。
妖精の長老はその凄まじい力に舌を巻いた。
 
ウムタラ
では、これから偵察へ行ってくる。軍人以外にもいるかもしれんからな。
森の外郭周辺を見てこよう。
 
妖精の長老
しばらく会えなくなりますな。くれぐれも気をつけて。
 
ウムタラ
心遣いに感謝する。戻ったらまた連絡する。
 
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妖精の長老はウムタラの大きな体が森の奥に消えるまで見送った。
この静かな森はタウの王すら小さく見えるほど古い巨木が多い。
人間たちがどんな手を使ってもタウと妖精が守っている限り、この森は消えないだろう。
 
だが、何をしだすか分からないのが人間…。
妖精の知恵でも予測できない彼らの突発的な行動に戸惑いを隠しきれないのも事実である。
 
若い妖精たちは人間と戦うしかないと主張する…。
だが、人間より遥かに頭数が少ない妖精に勝てる可能性は無に等しい。
 
すべての種族の平和と共存を願っていたマイアのように
人間たちが目先のことだけではなく、全体を見てくれたら…。
 
妖精の安全のためではない。このグランプロリス森はアラドのためにもなくてはならない存在なのだ。
この森が襲われ、大魔方陣まで破壊されてしまったら…その後のことは想像もしたくない。
 
一度破壊された森は二度と元には戻らない。
妖精の長老は森とアラドのためにウムタラの不安が現実化しないことを切に願った。