ストーリーブック/楽しい魔法教室
Last-modified: 2023-04-09 (日) 19:46:24
楽しい魔法教室
ストーリー
- キリ
- おはようっ!お久しぶりね、シャランさん!
- シャラン
- あっ、はい…おはようございます…。
- キリ
- 忙しかったの?本当に久しぶりじゃない!
- シャラン
- 学校が忙しくて…では、この辺で失礼しますわ。報告書の準備が…。
- キリ
- 報告書?本当に忙しいんだね。あたいでよければ手伝うわよ!
それが終わったら魔法基礎について教えてもらいたいんだけど。
前に教えてくれるって言ったよね。
- シャラン
- そ、それは強引に言わされただけで…。いいでしょう…分かりました。
黒妖精以外の者に魔法を教えることは禁じられてますが、
その情熱を高く評価し、魔法学校の学長として放っておくわけにはいきませんね。
- キリ
- 本当!やったぁこれであたいも火柱を作り出したり出来るようになるのね!
- シャラン
- 高い目標をお持ちなんですね…。そのやる気は素晴らしいですわ。
では、そこにかけてください。ええ、それからこの薬を飲んでください。
そしてゆっくり深呼吸を…。
- キリ
- ………。
- シャラン
- ………。
- キリ
- …もっと分かりやすければいいのに…。
- シャラン
- さぁ、集中してください。誰にでもマナをコントロールできるのです。
才能の差はあるかもしれませんが、
体内の力を扱ったことのある者ならそう難しくはないでしょう。
- キリ
- あたいは銃なら扱ってるけど、体内の力はさっぱり…。
ネンを学びたいと言った時も同じことを言われたけど
その時もさっぱり分からなくてね。
- シャラン
- 天界では有名な戦士だったそうですね?剣を扱う剣士なら…
なおさら体内の力をコントロールしなければならないはず…。
- キリ
- あはははっ…天界では体内の力より体外の力を利用するからね。
この表現が正しいのかは分からないけど。
シャランさんの言いたいことは分かったけど、
体内に潜む力についてはよく分からないから、
どうすればそれを引き出せるのか教えて。
- シャラン
- 黒妖精は生まれつき魔法が使えるのでそれを言葉で説明するのは難しいですね。
そうですね…目を閉じて何か強烈な記憶を思い出してみてください。
その記憶からあなたは何を感じます?
- キリ
- 強烈な記憶…それならやっぱり怒り…かな…。
カルテルめ…暴れまくり、手当たり次第に破壊する無法者どもめ…。
それより許せないのは…裏切り者!
- シャラン
- 落ち着いて!負の感情に陥るのが長くなるとマナが暴走し、
コントロールできなくなるのです!
- キリ
- でも、奴らを思い出すだけで怒りがこみ上げてきて…
天界に帰ることができれば奴らを懲らしめることができるのに!
- シャラン
- …あなたの話を聞くのは初めてですが、天界から来たのは知っていましたが…
そんな事情があったのですね…。
今すぐ天界に帰ることはできませんがいいニュースがあります。
キリさん、あなたには魔法の才能があるようです。
- キリ
- 本当に!?
- シャラン
- ええ、体内の力という慣れない概念に対しての
あなたのマナの流れは悪くないものでした。
激しすぎて魔法の形になる前に消えてしまいましたが。
- キリ
- やったじゃぁ、あたいも魔法使いみたいに空を飛べるかな?
- シャラン
- 先ほども言いましたが、そのためには才能が必要です。
そして…努力も。理論は教えますから焦らずゆっくりやってみてください。
よかった……。正直あなたに教えるかどうか、悩みました。
でも、才能がある人に出会って嬉しいですわ。
お祝いしたいので一杯いかがかしら?
- キリ
- ぜひ!天界でも祝いの席ではお酒と祝砲はかかせないのよ。
どこも同じなんだね。
- シャラン
- 昔は交流がありましたから似たような習慣があってもおかしくはないでしょう。
ところで、祝砲というのは何ですか?
- キリ
- 知らないの?片手にはお酒を、もう片手に銃を持って…
こうやって…空に向けて撃つんだよ!
(調子に乗ったキリが銃を発砲し始めた。
試薬が入った瓶が割れ、寝ていた猫が飛び起きて
逃げる時に煮えたぎる鍋をひっくり返してしまった。)
(シャランの研究室はめちゃくちゃになり、
危険な薬品がこぼれ火事が起きた。)
- キリ
- ……うわぁぁぁ…。
- シャラン
- ……とても素敵な祝砲でしたわね。
…キリさん。わらわの弟子になったなら言わなくても分かりますわね?
その体力ならここを元通りにするのも10分あれば大丈夫そうですね。
- キリ
- 10…分!
- シャラン
- ええ、十分でしょう。
では、わらわはこれから女王様のところに行ってきます。
帰ってくる前に掃除を済ませ、この本を読んでおいてください。
あっ、そうだわ。
あなたが割った試薬の中には触れるだけで姿が変わってしまう薬もあります。
くれぐれも気をつけてください。
- キリ
- すごい!姿を変える薬!
- シャラン
- …ええ、肌に触れるだけで黒く、
テカテカする虫の姿に変わる薬もありますわ。
そうなると猫に食われてしまうかもしれないので気をつけてくださいね。
- キリ
- きゃああああ…。