アーカイブ/キャラクター/彦卿

Last-modified: 2024-01-27 (土) 17:05:47

意気揚々とした雲騎驍衛、仙舟「羅浮」最強の剣士。
剣に生き、剣に溺れる少年。ひとたび彦卿が剣を握れば、この年若い天才を侮る者もいなくなる。
その宝剣の鋒鋩を収められるのは、恐らく時間だけであろう。

  • ストーリー詳細1

雲騎軍史上最年少の驍衛、景元将軍の衛兵、工造司の宝剣の収集家…
これほど多くの肩書を持ち、これほど話題になっている天才が、実はまだ子供であるということを人々は想像できない。

物心がついた時から、彦卿は常に景元の傍にいて、共に憂い、共に困難を乗り越えてきた。
そして、景元は彼に剣術と兵法を伝授した。長年の鍛錬を経た彦卿の心智は、その手に握る三尺水のように清く正しい。

雲騎武経の評価によれば、一呼吸の間に6本の飛剣を自在に操る力量は、雲騎軍の教習首席がさらに100年鍛えたとしても辿り着けない境地だという。
彦卿の天賦は実に恐るべきもので、仙舟の先人たちに評される「剣胎武骨」の再来とも言えるだろう。


  • ストーリー詳細2

雲騎軍の軍籍文献には、景元がどのようにして少年を見つけ、様々な異論を排除して軍に迎え入れたのかの顛末が記されている。
しかし、家系の欄だけは空欄のため、彦卿の血脈に関する情報は不明である。

天才と呼ばれる者の多くは、幼少期からその素質の一端を見せている。
この1000年間、巡狩の中で頭角を現した麒麟児は少なくない。
未成年が軍職を与えられたと知った人々も、「将軍は荒唐である」と評価しただけだった。

しかし、この天才少年が初めて戦場に立った時の光景は、すべての反論を黙らせるほどの異彩を放っていた。

遠くの星を巡狩する際、豊穣の民が造り出した巨大な器獣「防風」は、軍を虫けらのように蹴散らすことから脅威とされている。
しかし、少年は相対した瞬間にその頭を切り落とし、敵の勢いを削ぎ、それ以上は戦うことなく勝利を収めたのだ。

その後の戦績としては、景元と共に歩離人の貪狼鉄陣を破り、3人の巣父を斬り伏せた。
また造翼者との激戦では、最終的に空を覆う掌雲艦を墜としてみせた…これらは、彦卿の胆力と剣技を語るうえでの小さな注釈に過ぎない。


  • ストーリー詳細3

彦卿に剣術以外に興味があるものは何かと尋ねれば、簡潔な答えが返ってくるだろう——

「興味は僕の抜剣の速度に影響するだけだよ」

ひっきりなしにおもちゃを買いたがる子供のように、彼はお小遣いを使い果たすことも惜しまず、工造司が出したほとんどの宝剣——
真気で操る飛剣、接近戦用の短刀、伸縮自在の軟剣などを買っている。
それぞれの剣の規格や機能は唯一無二だと考えている彦卿は、常に実戦用と保存用に同じ剣を2本ずつ購入するため、月末には金欠になってしまい、「将軍の脛をかじって憐れみを乞う」ことも少なくない。

少年が剣を愛するのは至極当然の道理だ。
彼が所蔵する仙舟剣器にひとつの夢が映っている――

羅浮で一番…いや、仙舟で一番になる。羅浮の「剣首」、ひいては同盟の「剣魁」の称号を掴み取る。

「飲月の乱」の後、羅浮の雲騎軍で最も武芸に優れた者に与えられる称号「剣首」は、数百年もの間空位となっている——
この称号を手に入れようとした者がいなかったわけではない。
そこには説明が難しい深い理由があるのだ。

先代の剣首は13の奇功を残した伝説の剣士だったが、天律を犯して名前を抹消された。
そして彼女が得た名誉も、他の者には触れられないものとなったのである。

しかし、この意気揚々とした少年にとっては、今こそ歴史のページを捲り、新たな章を書き加える時なのだ。


  • ストーリー詳細4

「第123回対陣:彦卿、景元」
「将軍、もうやめよう!僕疲れた……」
「剣を握れば負けない自信はどこにいった?弱気になっているのか?」
「…護衛対象に切先を向ける護衛なんていないと思うけど。万が一傷つけたら……」
「君の技量が口の半分ほどでも達者だったなら、私は今頃負けていただろう。片手を封じる、早くきなさい」
「いや、両手を封じて!それか神君を封じてくれてもいいよ!」
「天舶司の取引のように値切りができるとでも?…はあ、少し考えさせてくれ……」
「隙あり!くらえ!」
「お見通しだ。はっ!」
「いたたた!くっ、絶好の機会だと思ったのに……」
「戦いで嘘を厭わず奇襲をかけるのはいいことだ。だが惜しいことに、君は剣を振るう時に気を隠せていない。これがいわゆる若者の気概というものかな?」
「将軍、もう1回!今度はできるだけ静かにやってみる……」

景元は手間暇をかけて彦卿を育て上げようとしているが、その姿を見て後継者を育成するためだと考える者もいれば、この子供を秘密兵器として使役しているだけだと考える者もいる。
しかし、景元が意図を明かしたことない。

彦卿の剣術が日に日に洗練され、仙舟「羅浮」で肩を並べられる者がいないほどの剣士になるにつれ、景元はいかにして少年に挫折しない程度の失敗を経験させ、その鋭い矛先を落ち着かせることができるかを考えるようになった。

剛が過ぎると剣身が折れやすく、利が過ぎると剣鋒を損なう。
宝剣には切れ味のいい刃だけでなく、それを納める鞘も必要だ。
彦卿の成長は、景元が思っていたよりも遥かに速かった。
今の彼に必要なのは力ではなく、それを抑える能力と経験である——
しかし、これらを身につけさせるには、彼に時間を与えるしかない。