アーカイブ/キャラクター/御空

Last-modified: 2024-01-27 (土) 10:12:13

仙舟「羅浮」天舶司の主司。性格は温和で、物事の処理に手慣れている。
若い頃は飛行士として戦争を経験し、優秀な成績で主司になったが、とある凄惨な戦争のために飛ぶことをやめた。
今は落ち着いた性格になり、公務に専念しているが、「羅浮」の航行の上には常に彼女の影がある。

  • ストーリー詳細1

「知ってるかしら?天舶司に入れる人は、3種類よ。
口が達者な人、刺激を追い求める人、星空に戻ることを渇望する人──この3種類で、他にはいないわ」

私たちは尽きない程寿命がある仙舟人とは違うわ。
狐族も「長生種」と言われるけど、寿命は300年ほどしかない。
だから、私たちの多くは生活を楽しんでいる──全身全霊で生活の究極を追い求めている。

私?私は、246歳よ。楽しむ年齢はとっくに過ぎているわ。
棺桶に片足を突っ込んでる年齢ね。
あなたも私が若い頃は、気が強く、激しい性格だったことを知っているかもしれないわね。
年老いた仙舟人から、私が赤信号を6個も無視した話を聞いたでしょ?

あの頃、私は成人したばかりだったわ。
将軍の前に引きずり出されて…どうなったと思う?彼は、私に天舶司に入って欲しいと言ったのよ──
私があまりにも星槎を上手に運転していたから、天舶司に入れば大いに活躍すると思ったらしいわ。

あの時、彼は私を「不良少女」と呼んでいたけど、その呼び方はいつの間にか、「王牌」に変わっていたわ。


  • ストーリー詳細2

「老いた老人は百に一の用なし。木の棒に引っ掛かったみすぼらしい服のよう」

昔、このような外から伝わった古詩を聞いたことがあるのよ。
この詩は、仙舟の詩とは韻律が違っていて好きではなかったけど、この一節だけはいつまでも心に残っているわ。
まるで魂のようにね。

殊俗の民が老い衰えていく姿を見たことがあるわ。
皮膚と筋肉が緩み、大脳に不可逆の退化が生じ、骨は脆くなって、目は濁っていく…

彼らが私たちを羨むのは理解できるわ。
私も昔は彼らと同じように、自分は老い衰えることなく、永遠に変らないと思っていた。

毎回出征する前、私は戦友に約束していたわ。
「あなたはしっかり武器を握りしめて、私があなたを仙舟に連れ帰る」

でも、私は約束を破ってしまった。
あの戦いの後、私だけが傷ついた身体を引きずって天舶司に戻ってきた。

私は戻れない。火を見るより明らかよ。

それ以来、私は公務に集中し、空に戻るような空想をすることはなくなったわ。

私は年老いたのよ。


  • ストーリー詳細3

「この物語はあなたたち仙舟人とは真逆ね」
この物語は仙舟の外から伝わってきたものよ。
あるところに、神と取引して、自身の長生きを願った若者がいた。
神は彼の願いを叶えたわ。彼は死ななくなった、でも彼の肉体は老い衰える。
彼は永遠に老い衰えるという苦行に耐えられなくなった。
これは、彼が口内身体を手に入れようとしたことが原因である。

物語の最後、私に物語を語り聞かせた老人はそう言っていたわ。
おそらく、仙舟は殊俗の民にとっては星の海を漂う至宝が乗った船よね──
ここで、人々は無限にある楽しみを享受し、廃れ滅ぶ苦しみを知らないと思われているのね。
私からみて、それらは全く違うわ。

仙舟人は、まさに永遠の老い衰えを経験しているわ。
確かに、私は50歳の時と同じように元気よ。
星槎を運転して渓谷を超えることができるし、何時間も踊り続けることもできる、歌うことも可能よ──信じられないかしら?
私は長楽天の芸能人よりも上手に歌えるのよ。

残念ながら、私はもうそんなことしないけれど。
もうしたくないのよ。楽しくないの。
私を楽しませてくれるものはもうないわ。

これが私たちの老い衰えよ。これは全ての仙舟の住民の老い衰えよ。


  • ストーリー詳細4

「紙鳶は落ちて亡くなった飛行士をしのぶ物なのよ。
しっかり持ってて——空に戻れない飛行士たちの代わりにもう一回飛んで」

燃え盛る星槎の残骸の中から私が這い出した時、血も涙もない、星の大気に飾られていない空が見えたの。

あれは、私が見た中で最も美しい空だったけど、感じたのは耐えがたい悲しみだった。
私は無力な蟻のように地面に這いつくばって、空を見ているしかなかった。

夢の中で、私はその日に死んだの。

たくさん考えたわ。私は過去を思い出した。
死んだ太陽を見たことがある。活性化した星を見たことがある。
帝弓の司命の光矢を見たことがある。
あまりにも多くの星を、命か消える瞬間を見てしまった。
多くの命が生まれるのを見た。見たものが多すぎた。
私は年老いた。私は年老いたい。私はいつか死ぬ。
私の翼は折れた。私は戻れない。
私は年老いた。私は戻れない。私は死ぬと思う。
私はもう飛べない。私の翼は折れたと思う。
私は戻りたい。私は空に戻りたい。
私は戻りたい。私は空に戻りたい。
私は戻りたい。

私は夢から覚めた。

戻りたい。戻りたい。戻りたい。

私は必ず戻らなければならない。
星空は私の物よ。私は星空に戻ることを渇望している。

私は人生最後の飛行を終わらせるわ。