アーカイブ/キャラクター/アスター

Last-modified: 2024-02-25 (日) 14:17:17

好奇心旺盛で元気いっぱいな少女。名義上は宇宙ステーション「ヘルタ」の所長。
各々の意見を述べるスタッフたちを管理したり、博識学会の無理難題に失礼のないよう返答したりするのは、彼女にとって造作もないことである。
宇宙ステーションの指揮なんて……家業を引き継ぐより簡単よね!

  • ストーリー詳細1

まだ幼いアスターが自分で望遠鏡を選び始めた時、大人たちの称賛がそれとなく伝わってきた。
そして、彼女はそれを誇りに思っていた。
なぜなら彼女は、望遠鏡の主鏡の製造技術や天体自動導入装置のタイプを一目で判別できるからである。

しかし、ある日盗み聞きをしていた彼女は真相を知った。
彼らが称賛していたのは、1人の少女がこんなにも高価なものを選んだということに対してだったのだと。

観客の目に個人の嗜好は存在しない。彼らは彼女を甘やかされて育った娘だと思っている。

「星が好き?ああ、女の子はキラキラしたものが好きだからな」
「えっと…私は恒星胚胎について研究してるの。
いつの日か星を発見して、自分の名前を付けたくて…他の素晴らしい天文学者たちのように……」
「それだけか?それなら今年の誕生日プレゼントは、アスターの名前を星につけるというのにしようか?星2つでもいい、大して金はかからないからな!」
「……」
「おい、アスター?どこに行くんだ!アスター!」


  • ストーリー詳細2

彼女は理解していた。自分と母親がボランティアとして合格かどうかは関係ない。
人々は彼女たちがそこにいることだけを望んでいるのだ。

食糧の分配が終わり、人々がまばらに散っていく中、小さな男の子だけがそこに残った。
彼は右手を怪我しており、その目は狼のように鋭く、睨まれると少し不快な気持ちになる。

「貴方も私にお金を借りたいの?」
「金はいらない。さっきの食事代を払わないといけないのに、今は金がないんだ」

知らない「友達」がお金を借りにくることはあっても、お金を返そうとする人に出会ったことがなかったアスターは、驚きのあまり目を見開いた。
傍にいる母親も笑いを堪えきれない様子だ。

「貴方、まだ子供じゃない。何ができるの?」
「ケンカ」
「それは褒められたことじゃないわね——こうしましょう、私が貴方に仕事を紹介するわ」

——アスターの心の中では、あの時のアーランの食事代は、彼が返したいと申し出た時点で清算されている。


  • ストーリー詳細3

「星は自分の軌道を辿っていけるけど、人間は…人間は本当に自分の運命を掌握できないの?」

恵まれた家庭環境はアスターに星空を探索する力を与えたが、それは同時に彼女を束縛していた。

アスターが大きくなるにつれて、彼女の天文学者になりたいという夢は親族から異端視されるようになった

——彼女は家族会議で親戚と何度この問題について議論したか、もう覚えていない。

ある日の家族会議が終わった後、部屋に人形の少女が入ってきた。
そして、先ほどまで威張り散らしていた親族の1人が、その少女の前では唯々諾々としていた。

「この子だったよね?」
「しかし彼女は……」
「何がしかし、なの?遠路遥々やってきて、あなたたちのくだらない学術報告を聞くよりは、この子とあなたたちの言い争いを聞いてたほうが面白い」
「……」
「3日以内に、宇宙ステーションで彼女の姿を見られるようにして。いい?」

それだけ言うと、人形の少女は振り返ることなく去っていった。


  • ストーリー詳細4

宇宙ステーション「ヘルタ」の所長になってから、アスターの生活は以前よりも格段に忙しくなった。
各々の意見を述べるスタッフたちをまとめ、ヘルタに代わっておびただしい数のメールに返信し、
頻繁にカンパニーと交渉を行い、様々なルートから新しい設備を購入する…
しかし同時に、彼女はここで今までにない自由を手に入れた——

「2号設備部分のニューウェル・イマン望遠鏡を使用。100倍天文単位に設定。前方の『分子雲コア』を観測するわ」
「粒子の密度には特に注意するように。超緻密構造を発見したら、すぐに『恒星胚胎』の分裂過程を記録して!」

アスターには暇になると考えることがある。
それは自分が宇宙ステーションを引き継いでからというもの、ミス・ヘルタが一度も姿を表していないということだ。
以前彼女に尋ねたこともあるのだが、得られたのは「興味深いことや新しいものがなければ行かない」という返答だった。

「……この子とあなたたちの言い争いを聞いてたほうが面白い、かぁ」

彼女は遠い昔のあの日のことを思い出した。ヘルタが何気なく口にした、その言葉を。

記憶の中のヘルタは輝かしい星の中に立っていて、彼女に星と自分の運命を掌握する力を与えてくれているようだった。