アーカイブ/キャラクター/アベンチュリン

Last-modified: 2024-04-18 (木) 18:51:37

スターピースカンパニー「戦略投資部」の高級幹部。「十の石心」の1人で、「博戯の砂金石」という基石を所持している。
個性的かつリスクを好む性格で、常に笑顔を絶やさないが、その本心を人に見せることはない。
運命の賭けによって今の地位を勝ち取った彼は、いつもどこか余裕があり、人生をハイリスク・ハイリターンな投資と見なしている。

  • ストーリー詳細1

「すみません。あの新入社員について、いくつか報告したいことがあるのですが……」

「エルヴィン、何をそんなに心配しているの?」

「公式、非公式を問わず、彼に対する苦情が紙吹雪のように私のメールボックスを埋め尽くしていまして…戦略投資部の一員として彼を迎え入れることについて、再考いただいたほうがよろしいかと……」

「そう…それで、その苦情の内容は?」

「主に彼の身元と…あの目についてですね……」
「彼は昔、ツガンニヤの痩せた黄土にはまだ開発利用されていないエネルギーが隠されていると言って、市場開拓部を騙しました。それがまったくのデタラメだとわかったのは、彼らが巨額の資金を投じて採掘を始めた後のことです」
「また、『エイジハゾ・アベンチュリン事件』について触れているものありました。彼の生き残りが、そこに蟲の王「タイズルス」の遺骸が埋められていると博識学会に信じ込ませた、あの事件です——学会の学者たちは慎重に慎重を重ねながらも、相手の罠にはまってしまった」
「さらにツガンニヤの議員からも手紙が届いています。内容は、彼の部族が決議を破り、人々を不安に陥れ、氏族間の和平に変化をもたらしたこと…そして、それによりツガンニヤとカンパニーの協定締結が何度も延期されたことに対する非難でした。この者がカンパニーに入社した今、また悪い影響が……」

「それだけなら、わざわざ話し合う必要はないわ」

「…もしかして、ご存知だったのですか?」

「どの宝石にも固有の価値がある。そして、それに『投資』するのが私たちの仕事なの」
「そうやって苦情を言ってくる頑固者を宥める必要もない。こうした噂は、いずれ彼の耳に届くでしょうし——いえ、もう届いているでしょうね。ちょうどいいわ。彼がどれほどのサプライズをもたらしてくれるか、見てみるとしましょう」


  • ストーリー詳細2

「小僧、やるじゃねぇか…ふざけた嘘でオレの事業を台無しにするとはな。だが、絶対に降伏したりしねぇぞ。どうってことねぇ、ここを吹き飛ばしてやる…お前には何もできねぇよなぁ?」
イイマニカの「狂牛」は部下に手を放すよう合図すると、テーブルから顔を上げ、襟元の埃を払った。
「偉そうなカンパニーの犬は、流浪者のことなんか心の底から見下してんだろ?だが、オレたちの縄張りにいる以上、こっちのやり方に従ってもらうぜ」

「狂牛」は弾倉を空にした後、弾丸を1つだけ込めた銃を足元に放り投げる。
「6回だ、最大で6回引き金を引く。生死は運次第、やるか?」

彼はしゃがんで銃を拾う。
「僕に銃を向ける人は多い。それどころか、実際に引き金を引いた人だっている…なのに今、どうして僕はここに立っていると思う?」
彼は立ち上がり、「狂牛」の目をじっと見つめながら銃を上げると、自分の心臓に突き付けた。
「最後には、必ず銃が僕の手の中にくるからさ」

「でも、いい加減このゲームにも飽きてきたところでね…6分の1の確率なんかじゃ全然足りない。運命に挑むなら——」
静まり返った宇宙船の中で、6発の銃声が連続して鳴り響いた。硝煙が消えると、彼は再び銃を構え、「狂牛」に歩み寄る。弾倉には未使用の銃弾が1発入っていた。
「まずは自分をダイスの目にしないと」
「——降伏しないんだね。どうしてだい?このくだらない確率ゲームのため?それとも……」
彼は銃口の向きを変え、暗闇の中の一点を指した。
「彼女のためかな?」

銃口を向けた先から、同じく銃を構えた女性がゆっくりと姿を現す。彼女を視界に捉えた「狂牛」は、まるで命綱を手に入れたかのような顔をした。
「ジェイド、これじゃ話が違うじゃねぇか……」
次の瞬間、2人は同時に引き金を引いた。それぞれの背後の暗がりで、2人の黒服が銃声に呼応するように倒れる。

「カンパニーの敵はどこにでもいるでしょう?」女性は落ち着いた様子で拳銃をしまうと、手鏡を取り出して自分の身嗜みを確認する。
「自分たちの命をエサに彼らを誘き寄せ、内輪揉めだと思わせて一網打尽にする…悪くない計略だけど、少しスリルがありすぎるね」彼は笑顔で彼女を迎えたが、その両手は微かに震えていた。

「計略?いいえ、これはただのテストにすぎない」
女性は優雅に手を広げた。彼女の手のひらには、不思議な色彩を放つ「砂金石」が静かに横たわっている。
「何もおかしくはないわ。望まれ、求められ、切り分けられ、売られる…これが宝石の宿命だもの」
「でも、あなたにはまだやるべきことがある。すべては自分自身をどう見るか次第よ」


  • ストーリー詳細3

廊下の一番奥にある部屋に入った時、彼は前回ここに来た時、自分がまだ憎らしい顔つきの囚人だったことを思い出した。しかし今、彼はここに立ち、部門の頂点に立つ人々と向き合っている。

彼は金髪の女性が読み上げる、長くてつまらない報告を聞いていた。その冷たい数字は、彼が生死の縁を歩いたスリルを伝えることも、その過程でどれだけのものを失い、どれだけのものを得たのかを伝えることもできない。彼が気になっているのは、彼女が人間なのか、それともオムニックなのかという点だけだ。

そして、権力と未来を象徴する「砂金石」が彼に正式に渡される——命懸けで手に入れたものだが、手に入れた瞬間、彼にとっての魅力と価値は失われてしまった。

「『アベンチュリン』、他に質問はある?」会議の最後に、ジェイド——この場中で唯一知っている女性——が尋ねた。

「ツガンニヤのエヴィキン人は…その後どうなった?」

「残念だけど、もうツガンニヤにエヴィキン人はいないわ。あなたが唯一の生き残りよ」

「じゃあ██星で僕を助けてくれた人たちは?今なら彼らに恩返しできると思うんだ」

「彼らももういないわ」

……

彼はぼんやりしながら自分のオフィスに戻った。机の上で、あの砂金石が奇妙な光を放っている。それは彼を祝福しているようにも、嘲笑っているようにも見えた。
「運命と戦う時…君は本当に幸運なほうなのか?」


  • ストーリー詳細4

「ピノコニー…『ダイヤモンド』はついにピノコニーに手を出すことにしたんだ?」
机の上のミニチュア模型はぐるぐると回り続け、透き通った憶泡から小さな泡が放たれている。

「これは想像を超える歴史的な不良債権だからな。その裏にある利益は…驚くほど大きい」
目の前の人物は彼に背を向け、ピアポイントの黄昏時の赤紫色に染まった空を見つめている。

「でも、どうして僕なんだい?」
その人物は依然として背を向けている。彼の目は物事の真意を捉えるのに長けているが、今回の決定の意図を推し量ることはできなかった。

「本来なら私のはずだった。だが『ダイヤモンド』は、ファミリーにはまだ協力する価値があると…少なくとも、この問題は平和的に解決する余地を残したいと考えている」
「色々と考えた結果、私も君が適任だと思ったのだ」

「へえ…まだ2回しか話したことがないのに、そんなに信用してくれてるんだ?」

「勘違いするな、私は君を信用しているわけではない——『ジェイド』なら信じるかもしれないが、私は違う」
「今回、運は君の味方をしないかもしれない。それどころか、これまでの過ぎた幸運の代償を支払うことになるかもな」

目の前の人物がついに振り返った。オルゴールが鳴り響く中、遠くのビルがオパールのような虹色の光を反射している。
「だが…それこそが君の望みなのだろう?」