本棚/ピノコニー/『ちびっ子ハヌの大作戦』

Last-modified: 2024-02-16 (金) 04:47:08

クラークフィルムが作った数量限定の漫画本。
「ブラザーハヌ」が体を小さくされた後、ドリームタウンを救う物語が描かれている…本の中には奇妙な会話が挟まれているようだ。

前書き

物語の前書き

これはアニメ『クロックボーイ』に登場するクールなキャラクターの物語である。頭が切れ、はっきりした性格で強く勇敢、危機に瀕しても恐れず、いつも仲間たちを危機から救い、何度となくボス・ストーンの陰謀を打ち砕いてきた……クロックボーイが最も信頼する親友であり悪党たちが最も恐れる相手、ドリームタウンの皆が大好きな——ブラザーハヌ!

いつもおしゃれなコートを着てかっこいい帽子をかぶり、サングラスで鋭い眼光を隠し、一言も発することなくドリームタウンをパトロールしている。博学のフクロウ先生よりも落ち着いていて、人望のあるウッド爺よりも大胆で、派手なノーツガールよりも人気がある。

「今回は二十二匹の『ワニ』がやって来た、全員が重い『尻尾』を抱えて」

前の物語で、ブラザーハヌはドリームタウンをかき乱すハエ一族を打ち負かした。しかし汚くも、ボス・ストーンがどさくさに紛れてフクロウ先生の発明した体を小さくする装置を持ち去ったのだ。ドリームタウンの危機にあって、ブラザーハヌは装置で「ちびっ子ハヌ」に変えられ、屈強な体が使えなくなり、力でボス・ストーンに勝つことはできなくなってしまったのである。

「■■■、自ら戦うのか?」

しかしブラザーハヌの機転を甘く見てはいけない。この寡黙なクールガイは怪力の持ち主だが、今回はそれだけではなかった。親友のクロックボーイと共に知恵と俊敏さでボス・ストーンを打ち負かし、小さな体で皆のドリームタウンをボス・ストーンの手から奪還してくれるだろう。

クールな声で「フン」と言った。
「お前ってやつは、いつもクールだな」

上 第一章

(一)

ハエ一族がドリームタウンを去り、この街にまた活気が戻ってきた。そんな、とあるうららかな日、クロックボーイは広場でいたずらをしていた。

「おい——クロックボーイ、このいたずらっ子!今回こそは許さないチュン!」

怒って膨らんだ赤い小鳥はクロックボーイをつつきながら追いかけている。このとても怒りっぽい折り紙の小鳥を、クロックボーイはうっかり刺激してしまったようだ。

「チクタク!ブラザー・レッド、つつかないでくれよ——僕はフクロウ先生の彫像にちょっとお化粧をしただけだ。お年寄りだし、きっと気にしないさ」

「そんなわけあるかチュン!やつらを絶対に■■■■に入れてはいけないチュン。ここは俺たちが心血を注いで作った故郷だチュン」

クロックボーイの「お化粧」によって、フクロウ先生の彫刻はめちゃくちゃに落書きされていた。特に顔にある文字盤の二本の針がヒゲのように見えて滑稽だった。

「ゴホン、クロックボーイ。フクロウ先生は折り紙の小鳥の師匠であり、わがドリームタウンを建設した功績者だ。こんな風に侮辱してはダメだろう」

街で一番の説教好き、ウッド爺が根っこを引きずりながら歩いてきた。後ろには超「クール」なブラザーハヌもいる。

「ゴホン、ブラザーハヌ。君からも言ってやってくれ」ウッド爺は言った。

「フン」ブラザーハヌは冷たく鼻を鳴らした。相変わらずクールだ。

「敵をこっち側深くに誘い込む計画を放棄するのか?しかし、僕たちの戦力の差は……」

しかし、その「フン」という一声だけで、クロックボーイとブラザー・レッドはすぐにケンカをやめた。

「チクタク、ごめんよ…彫像はきれいに拭いとくよ……」クロックボーイは長針をうなだれさせ、文字盤を下に向けた。

クロックボーイにとってブラザーハヌは最も親しい友人であり、油断ならない相手でもあった。この無表情で寡黙なクールガイを刺激したくなかったのだ。

「分かった、でも絶対に無事で帰ってきてくれよ…■■■■には君が欠かせないんだ」

クロックボーイがおとなしく彫刻につけた針を外すとブラザーハヌはうなずき、身を翻して広場を去って、暗い路地にひとり入っていった。

彼にとって街の争い事を解決するのはたやすいことだった。本当に面倒なのは、街を脅威にさらしている悪党だ——彼らを「フン」の一言で解決することはできない。

だから、ブラザーハヌは日々懸命にドリームタウンを隅々まで調べ、街角に潜んでいる悪行を暴いた。しかしこの真面目さこそがボス・ストーンに付け入る隙を与えてしまったのだった……

自身ありげな声で「フン」。

上 第二章

(二)

ドリームタウンの街角で、ブラザーハヌは奇妙なテレビを見つけた。

ブラザーハヌは疑惑のまなざしでテレビを観察している。彼の直感が、これは折り紙の小鳥とフクロウ先生のものだと告げていた——このような複雑な機械をいじれるのは彼らしかいないし、この街の住民たちはテレビを見るよりも舞台に集まってノーツガールの歌を聴く方が好きだったからだ。

ブラザーハヌは少し考えて、とりあえずこのテレビをフクロウ先生に返すことにした。しかしテレビに触れた瞬間、奇妙な信号が体に入ってきたではないか。まずいと思った時にはもう遅く、邪悪で粗野な笑い声が聞こえ、目の前の景色がゆがんでいく……

「ハハハハハ、ブラザーハヌ、まんまとはまったな!お前なら、これに触らずにはいられないだろうと思っていた」

「■■■!全ての『ワニ』はお前の方へ泳ぐ!」
「これ以上行ってはダメだ、これはわなだ!」

ブラザーハヌの視界が再びはっきりした時、空はすっかり暗くなっていた。出ていたはずの太陽が一瞬で影も形もなくなっている……いや、何かが太陽を遮っている。

ブラザーハヌが顔を上げると、そこには真っ赤な大口を開けた人物がいた――ドリームタウン最大の敵、ボス・ストーンだ!

ボス・ストーンの体は巨大だった。今までこんなに大きくなったことはなく、それはブラザーハヌを片足で踏み潰せるほどだった。大口を開けたまま覆いかぶさろうとした彼を、ブラザーハヌは軽々と転がってかわす。ボス・ストーンは「うわあ」と声を上げて地面に倒れた。

激しい爆発と衝突音

「いまいましいブラザーハヌめ、今に見ていろ!」

ブラザーハヌは振り返りもせず走った。彼の鋭い野生の勘をもってしても、全く状況が分からなかった。なぜボス・ストーンはあんなに巨大化したのか?なぜ周囲には見慣れない景色が広がっていたのか?まさか自分はまだ、ボス・ストーンのわなにはまっているのではないか?
一体何がどうなってしまったのだろう?

苦しそうな声で「フン」。

上 第三章

(三)

彼はすぐに真相に気付いた——ボス・ストーンが大きくなったのではなく、自分が小さくなったのだ!

まずいことになった。今までは自分の強力なパワーでボス・ストーンを打ち負かしてきたが、こんなに小さくなってはハヌミサイルランチャーすら運べない。どうやって立ち向かえばいいのか?

悩んでいると、ボス・ストーンの邪悪な計画が動きはじめた——ドリームタウンの家々は全て珍しい宝石でできており、ボス・ストーンはこれを最も欲しがっていた。彼は子分のワニを連れて大手を振って街に入ると、住民たちの家を壊しはじめた。

ブラザーハヌの助けがない今、丸腰の住民たちは隅に隠れることしかできない。家を建てた折り紙の小鳥たちは紙の木に集まり、ボス・ストーンに向かって「チュンチュン」と抗議の声を上げている。

「この野郎、住宅地から上陸するとは…発砲できない!」

「ハハハ、チュンチュン言っても意味ないぞ!ブラザーハヌはお前たちを助けられない。ドリームタウンの宝石は全部俺のものだ!」

混乱状態のドリームタウンを見てボス・ストーンは狂ったように笑っている。彼がここに目をつけてから攻撃に成功するのは初めてだった。この太ったワニは勝ち戦の将軍のように、大きなおなかを揺らして堂々と街を練り歩き、そして広場を通りがかった時、すぐにフクロウ先生の彫刻に目を留めた。

「お前たち、このバカな鳥、なかなかいい石でできてやがる。丸ごと持って帰って、俺の彫刻に変えてやろう!」

子分たちが彫刻に手を出そうとした時、思いがけない人物が立ちふさがった——

「チクタク、やめろ、悪党ども!僕の『クロックトリック』を見せてやる!」

クロックボーイだ!唯一のいたずらっ子であるべきは彼で、他の誰かが住民を困らせるのは我慢ならないのだった。

クロックボーイは指で自分の長針を動かそうとしている——これは「クロックトリック」といって、街の全てを彼の文字盤で制御し、心を変えることができ、時間まで戻せる。この不思議な能力によって、クロックボーイもブラザーハヌのような救世主になることができた。

しかし、この物語の主役はブラザーハヌだ。

クロックボーイが針を動かすよりもボス・ストーンの手下の方が早かった。奇妙な液体を彼の頭にぶちまけたのだ。

「チク…タク…どうしたんだ…動けない……」クロックボーイは全身ネバネバになり、針も文字盤に貼りついてしまった。

「やっぱり僕は君ほど戦場を指揮するのはうまくないよ。■■■…君には無事でいてほしいんだ」

「ハハハ、クロックボーイよ。これはお前のために準備した強力接着剤だ。ここで新しい彫刻になるがいい!」

「チクタク……」

接着剤が固まり、かわいそうなクロックボーイは広場に固定されてしまった。隠れている住民たちはパニックになっている。今となってはいまだに現れないブラザーハヌに望みを託すしかない。

しかしブラザーハヌはどこに行ったのだろう?

「待って、彼の声が聞こえる……」
低い声で「フン」と。

上 第四章

(四)

ボス・ストーンはドリームタウンを占領し、ウッド爺の屋敷も奪い取った。巻き上げた宝石が部屋いっぱいに積み上げられている。

「ドリームタウンを『ストーン町』に改名するか…いや、ちょっと地味だな。『ストーンキングダム 』にしよう、ハハハ!」

彼の貪欲な大口からよだれが垂れている。頭は未来の妄想でいっぱいで、面倒事がまだ一つ解決していないことを完全に忘れている……

この時ドリームタウンの辺境では、勤勉なフクロウ先生が街の新しい建物の設計に夢中になっていた。過去の作品が今まさにボス・ストーンによって破壊されているとはつゆ知らず、森でのんびりと適当な石材を探している。

「■■■、大丈夫か!?」
「分かっている。こいつがスフェロイドのガラクタと一緒に死ぬはずがないとな」

突然、地面に置いてある石が動いていることに気付き、彼は興味を引かれた。長く生きてきたが、動く石材など見たことがない。すぐに飛んで行って石をくちばしにくわえたところ、それは妙にふにゃふにゃしていた——なんと、ブラザーハヌだったのだ!

フクロウ先生は慌ててブラザーハヌを放し、いぶかしげに尋ねた。「ホーホー、ブラザーハヌ、どうしてこんなに小さくなったんだホ?私の教え子たちよりも小さいじゃないか!」

ブラザーハヌは仕方なさそうに「フン」と言った。

フクロウ先生はすぐに事のいきさつを理解した——自分が発明した体を小さくする装置はハエ一族が侵入した時に奪われた(注:『クロックボーイとハエ』のお話を参照。夢の泡シリーズは各夢境で好評発売中)。おそらくそれが悪人の手に渡り、ブラザーハヌがこのような姿に変えられてしまったのだろう。

「フフ、敵の旗艦に飛び込んでくるなんて、本当に運がいいな。」
「でもその傷では…もう戦えないだろう」
「ホーホー、体を小さくする装置がなければ元には戻れない。ボス・ストーンの手に渡ってしまった今、面倒なことになったホー……」難題に直面し、賢いフクロウ先生でもどうすればいいか分からない。

しかしブラザーハヌにとっては全く問題ではなかった——街を救うために元に戻る必要があるなら、何とか方法を考えよう。そのためにボス・ストーンを倒す必要があるなら、小さな体で何とかして倒すしかない。

サングラスの下にブラザーハヌの強いまなざしを見て、フクロウ先生は彼の決心を感じた。

「待て、『ワニ』のおなかの中で、けが人に計画を実行させるなんて無茶だ!」
「でも彼が言っていた通り、今はもう選択肢がない」

「分かっているホー。君の勇敢さ、さすがはわがドリームタウンの英雄だホー!」

フクロウ先生はブラザーハヌがボス・ストーンを倒すのを手伝うことに決めた。まず折り紙の小鳥に偵察に行かせて居場所を探るとともに、ブラザーハヌを助けるためのからくりを仕掛けさせた。

全ての準備が整ってから、フクロウ先生は再びブラザーハヌの小さな体をくわえた。フクロウ先生と折り紙の小鳥たちは皆、この小さな体が街を丸ごと救ってくれると信じていた。

「行こう、私がボス・ストーンの所まで連れて行ってあげるホー!」

ブラザーハヌはうなずくと、鳥たちと一緒にドリームタウンの方へと飛んでいった。

「分かった…じゃあ君に任せたよ。みんなの夢をもう一度背負ってくれ」
(固い決意の)「フン」