本棚/ピノコニー/従業員ハミルトンのメモ

Last-modified: 2024-02-22 (木) 03:45:39

シングラーと一緒に夢境ホテルの異変を調査していた時に見つけた小さな手がかり。ハミルトンという名前のホテル従業員から受け取った。

従業員ハミルトンのメモ・1

その1

ついにこの時が来た。

今日夢に入る前、リーダーが私を見つけて親切にたくさん助言をしてくれた。早口だったので半分も聞き取れなかったが、何を言いたいのかは大体分かった。私は今回の夢に対して「見通しが暗い」と思っている。うまく任務を遂行できなければファミリーに追い出されるかもしれない。しかし彼は私を非常に評価してくれている。私のように謙虚で努力家で一生懸命に仕事をする若者は少ない、順調に試練に合格することを願っているとまで言った。

私は少しお茶を濁し、それから部屋に戻って夢に入る準備をした。緊張していないといえば絶対に嘘だ——でも、私に何ができるというのだろう?黙って受け入れるしかない。私は目を閉じて無理やり眠り、夢を見ないで休んだ…あんなことをするには、とにかくまず体力をつけて心の準備をしておかなければ。

従業員ハミルトンのメモ・2

その2

私は夢に入った。するといつもと同じホテル・レバリーの従業員宿舎で目が覚めた。

しかし雰囲気が全くなじみのないものになっている。周囲の人たちは何かに気付いているようで、私に向けられている目が少し他と違うように感じた。もちろんただの思い込みの可能性もあるし、本当のところは分からない。

普段は全く交流のない人に突然肩をたたかれ、激励されているようだ…しかし彼が何の仕事をしているのかさえ思い出せない。ドリームサポーターか?ああ、私の記憶は何者かに消されてしまったようだ……

私はジェリミと少し言葉を交わし、夢境ホテルで起きた一連の奇妙な出来事について話した。突然現れた絵画、客を襲う楽器など、聞いていると寒気がしてくる。おかしなことだが、彼と私は近しい間柄にもかかわらず、私が今日何に立ち向かわねばならないか全く知らないようだった…以前伝えるのを忘れていたのだ。大丈夫、それでもいい。心配する人が一人減るだけの話だ。

私は黒ずくめの服装に着替えた。黒は安心感を与えてくれる。宿舎で長い間待っていたが、その間は緊張でいてもたってもいられず、部屋を何周したか分からない。

そして、ドアをノックする音が聞こえた。

従業員ハミルトンのメモ・3

その3

本当に信じられないことだが、なんとシヴォーンさんと直接会って話す機会を得たのだ……

アイリス家の著名な人物で、地位は当主の次といったところだろう。いつもは一人でいることを好み、めったに人前に姿を現わさないと聞いたことがある。こんな所に出向いて、しかも私のような無名の小物と話をしてくれるなど思ってもみなかった……

最初は緊張して、一言も発することができなかった。しかしシヴォーンさんはまるで魔力を帯びているかのように、すぐに私を落ち着かせた。彼女はたくさんの重要なことを説明した。最近夢境ホテルに異変が起き、ファミリーは怪奇現象に対処するため努力していること、従業員はどんなことに注意すべきか、など…大きな事から小さい事まで詳細に話し、私も奇跡的に集中力を切らすことなく彼女の一言一言に聞き入った。

彼女は最後に、未知の危険を前にしてアイリス家の全員——いや、ファミリーのメンバー全員が武器を持って戦う覚悟が必要だと言った。VIPたちを守るため、我々は脅威をもたらす相手の前に立ちふさがらねばならない……

正直、自分にその準備ができているかは分からなかった。

従業員ハミルトンのメモ・4

その4

ついに成功した!デウムを賛美せよ!私は自分の仕事を守った——自分自身をアイリスと呼ぶことさえできた。

その過程は本当に恐ろしいものだった。三回試し、最初の二回は五秒と持たなかった…しかし最後の一回で奇跡的に成功したのだ!

微弱な調和エネルギーを頼りに、自らの思想とあのクソみたいな皿と気持ち悪いスポンジを協調させた。二十秒間継続し、皿を汚れ一つなく磨き上げることができた。さらに思念によって蛇口をひねり、皿に残った泡をきれいに流しさえした。

周囲の全ての人たちはまだ拍手している。私の姿はシヴォーンさんの目にも届いたようだ。これをクリアした今、もはや取るに足りない実習生ではない…誇り高きアイリス家の一員だ!永遠に!