遺物/次元界オーナメント/折れた竜骨

Last-modified: 2024-01-21 (日) 01:09:22

詳細

  • 次元界オーブ
伊須磨州の沈没遺跡
この次元界に封存されているのはタラサの伊須磨州自治区である。
仙舟「岱輿」の残骸が墜落し、伊須磨州の文明を導いた。

「むかしむかし、神々の宮殿が空高くから落ちてきた」

まずは大気圏外の影、それから大気との摩擦で起きた火花、最後にその全貌が露わになった——それは巨大な宮殿であった。伊須磨州中の職人が集まっても、あのような素晴らしいものは造れないだろう。宮殿の落下は非常にゆっくりで、まるで天辺に固まったかのようだった。伊須磨州の海はとても広いが、誰もあの空から落ちる宮殿を収めることはできないと思った。

「ある人たちは散り散りに逃げ、ある人たちは海底と陸にある村に残り、神隕の到来を待った」

墜落した仙舟「岱輿」の残骸はタラサの表面にぶつかった。伊須磨州海域の中心は深い井戸のような窪みができ、7日も経ってからやっと徐々に平穏を取り戻した。壮大な廃墟は静かに海底にそびえ立っている。それは神の遺体のようで、物悲しげで壮麗だった。九死に一生を得た伊須磨州人は元々海底に住んでいたが、彼らは驚愕し、惜しんだ。よく知った家が天外の宮殿に粉々にされたからである。彼らは歓呼し、踊った。「神隕」の後、「岱輿」の残骸が彼らの新しい家になったからである。

生存環境が良くなり、伊須磨州人はより多くの精力と時間を思考に充てることができるようになった。彼らはようやく最も重要な問題にたどり着いた。「彼ら」は誰で、どこから来たのだろう?

この時、伊須磨州人は金属の精錬も、文字も知らなかった。想像力で知識を補い、物語として全てを理解するしかない。そうして、「伝説」が誕生した。伝説が口伝で広まると、「神話」が生まれる。神話は認知を構築し、「文明」が生まれるのである。数百年後、タラサは仙舟同盟の貿易パートナーとなり、伊須磨州の水居者たちは初めて「仙宮」に入り、仙舟の全貌、「神隕」の真相を知った。

教養のある伊須磨州人は自分たちを「岱輿」のある種の存続と見なしている。「岱輿がかつて付き従ったものは、私たちも付き従うべきである。岱輿が立ち向かったものには私たちも立ち向かうべきである」彼らが昔の話をする時、今もこのように始まる——

「むかしむかし、神々の宮殿が空高くから落ちてきた」


  • 連結縄
伊須磨州の千切れたホーサー
墜落した仙舟「岱輿」の残骸は永遠に異郷に停泊している。
もうその係船索を解け、舟を帰航させる時かもしれない。

文明の啓発により、伊須磨州人はもう落ちてきた船の中の遭難者を神だと思わなくなったが、その尊敬の気持ちは少しも変わらなかった。伊須磨州の詩人はこう歌う。「海が吞み込むは凡人、魂は永久に死ぬことなかれ」

伊須磨州の暦によると、毎年の潮騒の月の第二の休息日が「神隕祭」とされる——水居者たちは経文を吟唱し、薬草を食べ、水の流れに沿って奇妙に踊り、自身は死したのに伊須磨州に庇護をもたらした「神」を記念した。現在、「神隕祭」は本来の宗教的な意味を徐々に失い——経文は歌に、薬草は美食に、奇妙な踊りは文化遺産として今に残っている。

ここ数百星暦年で、伊須磨州はその独自の文化を惜しみなく外部と共有し、神隕祭の形式もそれに伴い変化している。

伊須磨州の陸地都市は通常若者の世界である。更に神隕祭の間は朝まで夜通し歌い踊り、賑やかである。外から訪れる客人はよく神隕祭の時期を選んで協力を申し出る。特に仙舟からの観光客はここを好んだ。彼らは都市の炎のように熱く、海の波のように止められない勢いを持つ生き生きとした雰囲気を気に入ったのだ。思春期が過ぎるにつれ、水居者の肺は徐々に委縮し、首にはエラが形成され、手足や両目は海底で生活するのに適したものへと変わる。詩人たちは歌う「伊須磨州人は喧噪と狂喜に満ちた青春を陸に残し、静かで厳かな老年を海に残す」

仙舟の天駆商会の後押しのもと、神隕祭の儀式は1つ増えた——「岱輿」に潜入し仙舟人の遺骨を見つけ星槎に納入し、タラサが所属する恒星に発射する。

伊須磨州人は「岱輿」の歴史に触れ、同時に墜落時の悲劇を知った。仙舟「岱輿」がバラバラになり、すべてが取り返しのつかない状況になった時、岱輿の統率者青竹は即刻決断し、多大な犠牲で寿瘟禍跡の汚染を断ち切ることにした。仙舟連盟は死んだ英雄たちがちゃんとした慰霊を受けることを望み、災難を逃れた伊須磨州人たちも自らの答えを出している。

神隕祭の夜のある時、狂喜は突然止まった——青年、子供と仙舟人は岸辺に座り、年長者は水面に顔を出し、海面を厳粛な面持ちで見つめた。そして、数隻の星槎が水面から飛び出し、海底から恒星に向かって飛び去った。

星槎には美麗な伊須磨州文字が刻まれている——「汝、溺れた水夫のために縄を解くべし。泣くことはない。我の死後、汝は穏やかに航行するであろう」