遺物/次元界オーナメント/顕世の出雲と高天の神国

Last-modified: 2024-03-31 (日) 20:17:31

詳細

  • 次元界オーブ
出雲の禍津衆神
次元界の中に封装されているのは、過去と未来が一刀で両断された出雲。
出雲はかつて言葉にできないほどの残酷な生存競争を経験し、豊かで輝かしい時代も過ごしてきたが…今では一片の荒野すら残されていない。ただ過去を埋葬する剣塚だけがそびえ立っている。

二つの惑星がお互いの悲惨な運命を交錯させ、漆黒の太陽の周りで永遠の輪舞を踊る。

最初、惑星の一つは人類を生み出し、彼らは頭を垂らして足元の土地を「出雲」と呼んだ。そして再び頭を上げ、天上の世界を指して「高天原」と呼んだ。記録にないある日、「八百万の神々」が高天原から降りてきた。神の名を持つ凶獣は空を傾け、海川を燃やし、大地を崩壊させた――人々は、それが支配や略奪のための侵略ではなく、ただ狩りのために来た凶神であることを悟った。

世界存亡の危機に際し、出雲は「神狩」の道を歩み、国を挙げて厄災「都牟刈神」を斬り、その獣体で「詔刀」の原型を作り上げる。その刀に込められた真言を唱えることで、刀の所有者は高天原の神業を手にし、凶神に立ち向かって世界の民を救えるほどの力を得た。これにより、出雲国は長い征討を開始し、無数の犠牲と引き換えに神々を倒し、万千の剣を折り、最後には十二振りの「世守の刀」を鍛えあげた。

残酷な生存戦争の中、出雲国は詔刀の力を借りて未開の暗黒世界を照らし、十琥珀紀たらずで彩り豊かな国を建設した。かつては手の届かなかった高天神国もすぐそこにある――しかしその瞬間、歴史は突如止まり、二つの惑星の存在は一夜にして灰となり、跡形もなく消えてしまった。

今や、辺境の星「出雲」の過去は、宇宙の断片的な言い伝えから推測するしかない。その消滅について、学者たちはさまざまな説を唱えたが、真相は誰にも分からなかった。出雲の歴史は大河のように長かったが、一刀のもとに断ち切られ、過去も未来もすべて空虚の彼岸へと消えてしまった。それは存在しなかったのか、あるいは単なる虚構の物語なのか?それは最初から起きていなかったのか、はたまた因果逆転の浜辺に漂流しているのか?それは「原始博士」による惨劇の実験の一つなのか、それとも「貪慾」が銀河の果てから戻ってくる前兆なのか?

答えを知っているのは、あの漆黒の太陽だけだったが、其は沈黙して、決して語ろうとはしなかった。

なぜなら、起こったことはすべて終わりに向かい、終わったことは再び起こるからだ。宇宙は星神の影の下で永劫回帰する。出雲はただの脚注の省略記号にすぎないのだ。


  • 連結縄
出雲の終始一刀
出雲の人は房を使って刀を腰に結びつけている。
彼らは世界を旅し、刀で神を狩り、そしてまた神の骸で刀を鍛える…このようなことを繰り返し、出雲は繁栄へと向かい、幻滅へと向かい、虚無へと向かうのだ。

二つの惑星が互いの悲惨な運命を交錯させると、天岩戸に過去の歌が響く。

その歌には始まりも終わりもなく、音も気配もない。そして誰の口からも発せられず、誰の耳にも届かない。その内容は次のようなものだ。

高天原は万里遥か出雲のごとく、元は極楽浄土にして地平天成たり。
天地は漆黒の大日によって潮汐を引き起こされ、神々が急いで渡り歩くかのようだった。
八百万の禍神が世に姿を現し、無情に屠殺を行うも、最高権威を奪われることは予想できただろうか。
出雲国は七万三十三の刀を折り、その中から世界を守るための十二振りの世守の刀を鍛えた。

一振り目は「真」。「都牟刈神」を斬って鍛えられたその刀は、人々に真理を見せ、万象を分解して神跡を再構築する。
二振り目は「天」。「天之常立尊」を斬って鍛えられたその刀は、高天を壁に変え、禍津の諸神の行く手を阻む。
三振り目は「鳴」。「建御雷神」を斬って鍛えられたその刀は、雷光で空を裂き、星流の雷撃で天罰を下す。
四振り目は「嵐」。「志那都彦」を斬って鍛えられたその刀は、風で大地を砕き、雲を走らせて雨を轟かせる。
五振り目は「霜」。「天之冬衣」を斬って鍛えられたその刀は、時を凍てつかせ、凍土を永遠のものとする。
六振り目は「命」。「石長比売」を斬って鍛えられたその刀は、不毛の墓から花を咲かせ、生と死を流転させる。
七振り目は「烈」。「迦具土命」を斬って鍛えられたその刀は、業火で俗世を燃やし、天を燎原へと変える。
八振り目は「覚」。「八意思兼」を斬って鍛えられたその刀は、水鏡で過去を映して未来を知り、永遠に虚実を見ないようにさせる。
九振り目は「礎」。「大山津見」を斬って鍛えられたその刀は、列島を天辺に浮かび上がらせ、山や地面を突き崩す。
十振り目は「千」。「大己貴命」を斬って鍛えられたその刀は、人々をつなげ、無数の影を起伏させる。
十一振り目は「束」。「久那止神」を斬って鍛えられたその刀は、間違った道をことごとく籠に入れ、邪悪を一掃する。
十二振り目は「喰」。「八十枉津」を斬って鍛えられたその刀は、常世を朽ち果てさせ、神鬼の区別をなくす。

そして幽世は一掃され、戦いは終わり、十二振りの刀がすべて折られる。
荒魂だけが騒ぎ、黒き太陽は明るく輝き、最後に世を負う二刀を鍛える。
一つは「始」、もう一つは「終」。人に始まり、鬼に終わる。
声は途絶え、花は枯れ、敗者は無に帰し、勝者は…空となる。

足を引きずった僧侶が調子の外れた歌を歌い、神の力を持つ者はまた鬼へと退行していく。
大日の下、かつて「出雲」と呼ばれた土地では、人、神、鬼は…もはや、どこにもいない。