遺物/流星の跡を追う怪盗

Last-modified: 2023-06-03 (土) 22:32:53

詳細

  • 頭部
怪盗の千人仮面
変装用の仮面、卓越した演技力と相まって、本物と見紛うばかりの出来栄えである。
流星怪盗ルブランは、盗みと仮面舞踏会への参加を同じものだと考えている。
身分を隠すことはマナーの1つ。

「何故仮面は身長や声まで変えられるのか?ハハハハ、それは私の特許技術、秘密だ」

怪盗は仮面を使い、社員に変装してカンパニーのセキュリティ会議に潜入し、「怪盗対策」をアドバイスする。
この「同僚」に会ったことがないことをセキュリティ部門が思い出したのは、盗難から半月後のことだった。

盗賊は二重生活を送っているため、人の目を欺ける手段は必須、これは怪盗界の伝統だ。

「ライターに何とかしてもらって、怪盗にずっと仮面を着けてもらえないか?」
同社の映画・テレビ部門のマーケティング担当者は、プロデューサーにこう言った、
「もう一度この仮面のニーズを強調しよう、廉価で大人気だ」


  • 手部
怪盗のワイヤーかぎ爪
ナノ素材を編み込んだ特殊な手袋、どんな指紋でも瞬時に再現する。

流星怪盗ルブランは、痕跡を残さないような潔癖は持ち合わせていない。
彼はいつもミスリードする手がかりや、度をわきまえた挑発を残す。

「なんでカンパニーの人たちは偽の指紋に何度も弄ばれるのか?そうだな、この問題は、私ではなくカンパニーに聞くべきだ」

彼の手袋はあらゆる指紋を生成できる。
その機能はカンパニーの指紋検出技術を役立たずにしただけでなく
、大した手がかりにならない「盗賊の綻び」を大量に残した。
セキュリティ部門は、お宝が保管されていた密室で、
先史時代の翼竜、星間テントウ虫、ラブラドールなど、何百種もの指紋を発見した……

もちろん彼の指紋は1つもなかった。

完全に身を潜めるのは実につまらない。それでは警察ごときに怯えるコソ泥と大差ないではないか。

「冗談だとしても、今時指紋認証システムなんて使ってる奴なんていないぞ」

カンパニーのセキュリティ部門からクレームが入った。

「脚本を書いた奴ら、生活の常識もないのか?」


  • 胴体
怪盗の紋様手袋
ベルト風のワイヤー、バックルにフックと滑車が隠されている。

準備周到な怪盗は救命のワイヤーを常備し、いつも絶望的な状況から無事に脱出できる。

「腰部のワイヤーはどうやって照準しているのか…君は自分がどうやって歩くのかを説明するのか?」

お宝を保管する密室には危険な仕掛けが沢山あるが、怪盗は見事なワイヤーさばきでワルツを踊るように宙を舞う。
かぎ爪は発射後1/3秒で数十メートルある壁に取り付き、滑車が回転し始める、すると怪盗は瞬く間に「獅子座の星」の前に出現した。

腰部のワイヤーで飛び回る、それは怪盗の基本である。

「続編でスタントマンを主演にしたら、予算を節約できるな」
「アクション監督は皮肉を言った。どうせ仮面をつけてるんだ、誰も分からないさ」


  • 脚部
怪盗の流星ブーツ
人体機能を補強する靴。怪盗がビルの間をすたすた歩くのを可能にしている。

怪盗は、わざと眩しい軌道を残しながら街の上を高速で飛び去る。
それが「流星」の由来である。

「高層ビルがなかったらどうやって逃げる?ハハハハ、そんなつまらない問題はもうよしてくれよ」

怪盗は、繰り返される間一髪の脱走には慣れていた。
彼の拠点を知っている者がいない限り、怪盗の流星ブーツに追いつける人はいない。
意外な事に、ボサボサ頭の探偵はコーヒーカップを持ち、ルブランの椅子に座って彼を待っていた。

怪盗の物語はここで終わり、これからは探偵の物語だ。

「誰も私がそう書くとは思わないから、こう書いてやったのさ!」

賛否両論の結末を、脚本家(匿名)が解説した。