イギリス RankVI 中戦車 Chieftain 900

概要
Update 2.51 “Spearhead”にて追加された。
ロイヤル・オードナンス・ファクトリーズ(Royal Ordnance Factories, ROF)が輸出を目的として開発したチーフテン Mk.5/Pの改良型。複合装甲に見えるものは全てモックアップで、中にはChieftain Mk.5がそのまま入っている。
車両情報(v2.51.0)
必要経費
| 必要研究値(RP) | 110,000 |
|---|---|
| 車両購入費(SL) | 620,000 |
| 乗員訓練費(SL) | 175,000 |
| エキスパート化(SL) | 620,000 |
| エース化(GE) | 2,100 |
| エース化無料(RP) | 1,010,000 |
| バックアップ(GE) | 55 |
| 護符(GE) | 2,700 |
BR・報酬・修理
| 項目 | 【AB/RB/SB】 (初期⇒全改修完了後) |
|---|---|
| バトルレーティング | 9.0 / 9.3 / 9.3 |
| RP倍率 | 2.26 |
| SL倍率 | 1.5 / 2.0 / 2.4 |
| 最大修理費(SL) | 4,516⇒6,232 / 4,607⇒6,358 / 5,888⇒8,125 |
車両性能
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 【AB/RB&SB】(初期⇒全改修完了後) | |
| 砲塔旋回速度(°/s) | 19.0⇒37.6 / 11.9⇒20 |
| 俯角/仰角(°) | -10/20 |
| リロード速度(秒) (初期⇒スキルMAX+エース化) | 9.8⇒7.5 |
| スタビライザー/維持速度(km/h) | 二軸 / 75 |
| 車体装甲厚 (前/側/後)(mm) | 86 / 38 / 25 |
| 砲塔装甲厚 (前/側/後)(mm) | 280 / 86 / 45 |
| 重量(t) | 56.0 |
| エンジン出力(hp) | 1,413⇒1,740 / 807⇒912 |
| 2,550rpm | |
| 最高速度(km/h) | 53 / 48 |
| 実測前進~後退速度(km/h) | *** ~ -*** / *** ~ -*** |
| 視界(%) | 88 |
| 乗員数(人) | 4 |
レーダー
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| 倍率 | 暗視装置 | 種類 | 世代 | |
|---|---|---|---|---|
| IR投光器 | - | 有 | - | - |
| 車長 | 1.0x-10.0x | 有 | 赤外線 | - |
| 砲手 | 7.0x-8.0x | 有 | 赤外線 | - |
| 操縦手 | 1.0x | 有 | 赤外線 | - |
武装
| 名称 | 搭載数 | 弾薬数 | 弾薬費 (SL) | |
|---|---|---|---|---|
| 主砲 | 120mm オードナンス BL Tk.L11A5砲 | 1 | 54 | 190, 45 |
| 機銃 | 7.62㎜ L8A2機関銃 | 1 | 6,000 | - |
| 機銃 | 7.62㎜ L37A2 | 1 | 2,000 | - |
弾薬*1
#include(): No such page: 120mm ordnance BL Tk. L11A5 cannon| 武装名 | ベルト名 | 内訳 | 初速 (m/s) | 最大貫徹力(mm) | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10m | 100m | 500m | 1000m | 1500m | 2000m | ||||
| 7.62 mm L8A1 | 既定 | AP/AP/T | 835 | 13 | 12 | 7 | 3 | 2 | 0 |
| 武装名 | ベルト名 | 内訳 | 初速 (m/s) | 最大貫徹力(mm) | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10m | 100m | 500m | 1000m | 1500m | 2000m | ||||
| 7.62 mm L37A2 | 既定 | AP/AP/T | 835 | 13 | 12 | 7 | 3 | 2 | 0 |
車両改良
| Tier | 名称 | 必要量(RP) | 購入費(SL) | 購入費(GE) |
|---|---|---|---|---|
| I | 履帯 | 13,000 | 20,000 | 420 |
| 修理キット | 3,900 | |||
| 砲塔駆動機構 | 13,000 | |||
| II | サスペンション | 11,000 | 17,000 | 360 |
| ブレーキシステム | ||||
| 手動消火器 | 3,300 | |||
| 砲火調整 | 11,000 | |||
| III | フィルター | 9,800 | 15,000 | 320 |
| 救急セット | ||||
| 昇降機構 | ||||
| 弾薬開発3 | ||||
| 弾薬開発3 | ||||
| IV | 変速機 | 13,000 | 20,000 | 420 |
| エンジン | ||||
| 砲撃支援 | ||||
| 追加装甲 | ||||
| 弾薬開発3 | ||||
カモフラージュ
研究ツリー
解説
特徴
Khalidと同じように、チーフテンの弱点であったエンジンを換装し機動力を上げた車両。チョバムアーマーもどきの中にはChieftain Mk.5がそのまま入っている。
【火力】
Chieftain Mk.10と同一で、まずまずの性能。
L23は410mmの貫徹力があり、このランク帯では標準的な性能。
ただし、L23は120mm砲の弾とはいえど弾頭重量は105mm砲のDM33とほぼ変わらないため第3世代MBTの120mm砲ほどの加害力がないこと、L23は傾斜に対して弱くひとたび傾斜がつくとDM33やType93をはるかに下回る貫徹力になること、L23に限ったことではないが素の装填時間が他の西側戦車に比べると長いことといった欠点があることに注意が必要である。
初期弾はMk.3やMk.5と同じAPDSのL15A3とHESHのL37A7。APDSのL15A3はこのBR帯では厳しい性能だが、L37A7は十分通用するため開発後も一発は持っておくと良いだろう。煙幕弾のL34も続投している。
他の装備品としては、レーザー・レンジファインダーが使用可能。一方で暗視装置が赤外線方式で熱線映像装置ではないため、索敵面で同格の他国MBTに大きく劣る。特に同じイギリスで同BR(RB・SB)のOlifant Mk.2の車長・砲手用第二世代サーマルに比べると大きく見劣りする。
【防御】
Chieftain Mk.10と同様に複合装甲を装備していそうな見た目をしているが、残念ながらすべてダミーである。
このチョバムアーマーもどきは厚さ4mmの構造用鋼で、空間装甲としての効果は全く期待できない。そのため中に入っているChieftain Mk.5の防御力で戦うことになる。
8.7帯ではそれなりに信頼のできる装甲だったが、BRが2段階(ABでは1段階)も上がると貫通を許してしまう場面が増えてくる。地上、航空、ヘリコプターと一層の注意をしよう。
弾薬配置の悪さも変わらず、第1次弾薬庫の17発+1発以上の弾薬を乗せようとすると操縦手の左前側から弾薬が配置されるうえ、分離式の薬莢に被弾して誘爆もあるので被弾しない立ち回りでカバーしよう。
【機動性】
本車両の目玉…だが、期待外れと言わざるを得ない。
Chieftain 900の「900」はロールス・ロイス社製のCV12「コンドル(Condor)」ディーゼルエンジンが発揮する900馬力にちなんでおり、実際War Thunder内でもフル改修で900馬力強(ABでは1,600馬力強)を発揮する。
ベースとなったChieftain Mk.5がフル改修で720馬力程度がやっと、出力向上型のChieftain Mk.10でさえ760馬力程度でしかないことを考えれば大きな強化ではあるが、同格のMBT-70やKhalid、T-72Aは平気で1,200馬力以上出している。XM1 (GM)に至っては1,500馬力も出しており、900馬力程度では勝負にすらならない。
トランスミッションもChieftain Mk.5と大差なく、前進58km/h、後退13.4km/h。一方、ベース車両・火力・防御がほぼ完全に一致し同BR(RB・SB)のKhalidはChallenger1のパワーパックにより前進62km/h、後退41km/hを発揮。課金車両であるKhalidの代替と言うにはいささか苦しい性能である。
鈍重なチーフテンにとって僅かな機動力向上でも価値はあるが、いざ同格戦車と戦うとなると厳しいものがある。Khalidレベルの機動力は期待せず、今までのチーフテンの経験を活かして戦おう。
【総評】
機動力を強化したチーフテンとして課金車両であるKhalidの代わり、言わば"ジェネリックハリド"として期待された本車両ではあるが、その頼みの綱の機動力は素のチーフテンと大差なく当然他国以下。防御力も厚さ4mmのチョバムアーマーもどきが追加されたのみと、これも素のチーフテンとほぼ変わらない。
現状Chieftain Mk.10の弾薬が使えるようになったChieftain Mk.5でしかないが、なんと実装時全モードで9.0だったBRがRB・SBで9.3に上げられてしまった。9.3には完全上位互換のKhalidがいるにもかかわらず、である。
英陸9.3は極めて層が厚く、火力ではOlifant Mk.2が、機動力ではVFM5やRooikat MTTD、課金車両のKhalidが、装甲ではChieftain Mk.10が、それぞれ同格トップクラスの性能を誇っている。この強力なデッキにChieftain 900が入る余地は正直無いが、それでもここまでチーフテンに乗ってきた英国戦車兵ならば活躍させることができるだろう。健闘を祈る。
史実
|
| チーフテン900。Pinterestより引用。 |
扱いづらかったチーフテンに替わる輸出向け戦車の開発が求められ、ロイヤル・オードナンス・ファクトリー(Royal Ordnance Factory, ROF)が需要に応える形でチーフテン Mk.5/Pを輸出のために改良。その試作車両がチーフテン900である。
◆時代背景
1960年代、ミサイル万能論の最中に配備された西側戦車の多くは当時仮想敵とされていたソ連の主力戦車に対して力不足だった。T-55の100mm砲に耐えるように設計されたM60は115mm砲を搭載したT-62や125mm砲を搭載したT-64やT-72の攻撃に耐えられず、装甲を限界まで削りHEATの高い貫徹力や誘導兵器に機動力で対応するコンセプトのレオパルド1も高度に発展しつつあった火器管制システムの前には無力とされた。
そのような中で、唯一ソ連の主力戦車に真っ向勝負が可能だと考えられていたのが新型戦車のFV4201 チーフテン(Chieftain)である。当初から大口径高貫徹砲による攻撃を想定し砲塔を重装甲化、低姿勢化のために操縦手席をきつく寝かせたデザイン、絶大な破壊力を誇る120mm砲の採用、高度な火器管制システムなど、将来の第三世代主力戦車に通じる数多くの先進的な技術を取り入れたチーフテンは間違いなく当時の世界最強戦車の一角であり、ソ連の目に大きな脅威として映った。
…が、実際にはエンジンとギアボックスの信頼性が壊滅的であったり、重装甲化で増えた車重に足回りがついていけず機動力が破滅的であったり、兎にも角にも様々な深刻な問題を抱えていた(詳細はChieftain Mk.3の史実欄へ)。海外輸出にこそ成功していたものの、運用国のイランやクウェートはチーフテンの扱いづらさに頭を抱え、イギリスとしてもこれ以上の輸出は望めそうになかった。
これらの問題は1980年代のイラン・イラク戦争でT-72に文字通りボコボコにされたことで広く一般に知られることになるが、軍事関係者にとっては1970年代にはもう周知の事実。
輸出向けのより強い、より扱いやすい戦車の開発が求められていた。
チーフテン誕生と時を同じくして、イギリス・チョバムにある軍用車両・工学研究所(Military Vehicles and Engineering Establishment, MVEE)で、ある複合装甲が開発された。のちに「チョバムアーマー」と呼ばれ、FV4030/3、チャレンジャー1、チャレンジャー2、M1エイブラムスに採用されていくこの装甲が実用化されたのは、1980年代前半とかなり後の時代。
それでも1970年代には、戦車設計を根本から変える革新的な複合装甲は今後のスタンダートになると目されていた。
チーフテンに替わる輸出向け戦車の開発が求められ、チョバムアーマーが実用の域に達しつつあった1970年代。ロイヤル・オードナンス・ファクトリー(Royal Ordnance Factory, ROF)はその需要に応える形でイラン向けのチーフテンMk.5/P(Pはペルシアの意)をベースに新型戦車を開発する。
それが「チーフテン800」である。チーフテン900じゃないの?
◆チーフテン800
War Thunderプレイヤーの諸兄もご存知の通り、チーフテンはめちゃくちゃ扱いづらい戦車である。これは史実でも同様で、特に先述したエンジンとギアボックスの信頼性の低さと出力不足による機動力の悪さは最大の問題であった。この問題はあまりにも重大かつ深刻で、度々チーフテンの海外輸出を阻んできた。チーフテンMk.3の史実欄に記載されている通り、イギリス本国でさえ手を焼く始末なのだから無理はない。
そこでロイヤル・オードナンス・ファクトリーは新型戦車の開発にあたり、諸悪の根源であるエンジンを換装することとした。具体的には、粗悪な燃料でも動くが信頼性が極めて低く、燃費も悪く、おまけに重いチーフテンのエンジンとしては非力であったレイランド社製のL60多燃料ディーゼルエンジンを、ロールス・ロイス社製のCV12「コンドル(Condor)」ディーゼルエンジンに換装。この「コンドル」が発揮する800馬力にちなみ、新型戦車は「チーフテン800」と命名された。
ちなみにこのロールス・ロイス CV12「コンドル」ディーゼルエンジンはチャレンジャー1を筆頭に同時期の他車両にも採用されているほか、現在でも改良の上でチャレンジャー2のエンジンとして、ひいては2027年正式配備予定のチャレンジャー3にまで搭載される予定である。
なお、チーフテン800を保存しているボービントン戦車博物館によると、チーフテン800は開発初期の段階ではチョバムアーマーもどきは搭載せず、素のチーフテンMk.5/Pに近い見た目であった。
さて、チーフテン最大の弱点であったエンジンを換装し、世界水準に追いついたチーフテン800。見た目も境遇もハリドとよく似ている(後述するが、実際に関係しているかも?)チーフテン800は1980年に英国陸軍装備展示会(British Army Equipment Exhibition, BAEE)で展示され、世界各国へ売り込みを図ったが…残念ながら顧客の関心を得られず、これは空振りに終わってしまう。
確かに良くはなったが、所詮チーフテンはチーフテン。チョバムアーマーのような複合装甲の実用化が見えつつあった時代にほとんど素のチーフテンを買う、そんな物好き国家はいなかった。
この結果を受け、ロイヤル・オードナンス・ファクトリーはチーフテン800のさらなる改良を決心した。そうして開発されたのが、「チーフテン900」である。
◆チーフテン900
チーフテン800では、L60ディーゼルエンジンがCV12「コンドル」ディーゼルエンジンに換装された。先述の通り800馬力を発揮していたが、チーフテン900では「コンドル」を高出力のモデルへと変更。その名が示す通り900馬力を発揮し、機動力のさらなる強化がなされた。
チーフテン900の特徴はもう一つある。1980年代にもなるとチョバムアーマーはほとんど実用段階。今後の戦車においてスタンダードになるこの複合装甲の採用は、輸出する以上必要不可欠である。ロイヤル・オードナンス・ファクトリーはチョバムアーマーの全面的な採用に踏み切り、素体となるチーフテンMk.5/Pの車体・砲塔全体をチョバムアーマーで覆…わなかった。
というのも、曲げ加工が難しく、そもそも曲げてしまうと被弾時の強度が落ちやすい(さらに言えば複合装甲であるため被弾経始を考慮する必要がない)チョバムアーマーをチーフテンの被弾経始に優れた曲面主体の砲塔・車体に搭載することは難しく(ただし複合装甲の搭載に関してはチーフテンMk.10のスティルブリューで実現している)、必然的に車体・砲塔は新規設計、または改設計となるが、ごく短期間展示するだけのモックアップにそこまでコストをかける必要はない。
形が似ていればそれでよい、ということでチーフテン900は鋼板を切って曲げて貼って作ったチョバムアーマー"もどき"で覆われることになった。
王立造兵廠リーズ工場は1981年にこのチーフテン900を発表。このときチーフテン800にもチーフテン900に見た目を似せるよう改修が施され、同じようなチョバムアーマーもどきが貼り付けられた。こうして見た目を揃えたチーフテン800とチーフテン900の2両は万全の態勢で1982年の英国陸軍装備展示会に臨む。しかしその結果は…
◆計画中止・そして今は
1982年の英国陸軍装備展示会の結果は芳しくなかった。チーフテン800とチーフテン900の2両を展示し全力で売り込みを図ったが、またしても顧客の関心を得ることはできなかった。チーフテン800/900と同じくチョバムアーマー・CV12エンジンを採用したチャレンジャー1の運用開始は1983年。全く同じ構成のベース車両、FV4030/3に至っては1978年にプロトタイプが完成している。
同じ輸出用戦車でも競合相手が存在しており、ヴィッカース社が開発したヴィッカース Mk.4「ヴァリアント(Valiant)」(ちなみにヴィッカース Mk.7の砲塔の元の持ち主である。詳しくは後述)が1980年の展示会に出品されていた。ヴァリアントは装甲部材としてアルミ合金を全面的に採用したことにより、チョバムアーマー・CV12エンジンを搭載しながらも40トン級にまで軽量化を果たしている。
イラン直々の指名により開発されたFV4030/3とその完成形にして正真正銘の第3世代主力戦車であるチャレンジャー1、軽量化によりイニシャルコストとランニングコストを圧縮し中小国への輸出も可能としたヴァリアントに対して、チーフテン800/900はどのように見えたのだろうか。
結局その後も声はかからず、1986年、ついにロイヤル・オードナンスはチーフテン800/900計画の中止を決断。チーフテン800とチーフテン900、ロイヤル・オードナンスの夢はここに潰えた。
計画中止後、チーフテン800は1988年にボービントン戦車博物館に寄贈され、しばらくの間、第一次湾岸戦争で使用された改修型チャレンジャー1として展示されていた。当然そんなわけはなく、要はなりすましである。無理があるだろ流石に。その後、1991年初頭にマルコーニ(Marconi)社によって「セントー(Centaur)」目標捕捉システムの試験に用いられたのち、元の姿(チョバムアーマー"もどき"の姿)に復元され再び戦車博物館に収蔵された。現在でもボービントン戦車博物館にて保存されている。
|
| 最近のチーフテン800。Pinterestより引用。 |
チーフテン900は砲塔を外され、ラルワース射撃演習場で実射標的として用いられた。砲塔含め、外されたパーツはBAEシステムズによってチーフテン改修計画に用いられたとされている。
ここで開発元がBAEシステムズとなっているのは、ロイヤル・オードナンス・ファクトリーがロイヤル・オードナンス社として民営化の末にブリティッシュ・エアロスペース(BAe)、後のBAEシステムズに買収されたためである。その後もロイヤル・オードナンスの名は20年近く使用されたが、2004年にBAE システムズ・ランド・システムズ(BAE Systems Land Systems)に組み込まれ消滅している。チーフテン900を発表し、その後チャレンジャー1、チャレンジャー2を製作してきた王立造兵廠リーズ工場も、2018年頃に解体されている。
ちなみにこのBAE システムズ・ランド・システムズ社は、紆余曲折あってチャレンジャー3の開発を担当するラインメタルとBAEシステムズの合弁会社、ラインメタル・BAEシステムズ・ランド(RBSL)社の母体となっている。なおヴァリアントを開発していたヴィッカース社も最終的にはBAEシステムズに取り込まれており、これらの事柄からはイギリス軍需産業の再編と統合、通ってきた困難な道のりが窺える。
挑戦に挑戦を重ね失敗し、最終的には会社ごと消滅、自身は実射標的になるという悲惨な末路を辿ってしまったチーフテン900。しかしながら、ここで培われた技術は他のチーフテンの改修に活かされたほか、確実に今に繋がっている。先人たちの努力に思いを馳せながら、War Thunderで活躍して憂さ晴らしをしよう。砂漠迷彩でチャレンジャー1になりすましてみるのも良いかもしれない。
◆おまけ:同期の英国戦車たち
FV4030/3のページと被る点も多いが、本車両のように将来的に実装される可能性を見据えて長めに紹介する。
・ヴィッカース Mk.4
1977年末に開発がスタートした、のちにヴィッカース 「ヴァリアント(Valiant)」として知られるようになるヴィッカース社製のMBT。
チョバムアーマーを採用しているが、アルミ合金を全面的に採用するデザインにより60トン級のFV4030/3やチーフテン、チーフテン800/900(チョバムアーマー装備状態の推測)、50トン級のMBT-80よりはるかに軽量な40トン級に仕上げイニシャルコストとランニングコストの双方を圧縮。FV4030/2やFV4030/3、チーフテン800/900と同じエンジンを採用し機動性(ただし最高速度はあまり出なかった)は確保しつつ、財政的に余裕がない中小国や第三世界諸国でも運用できるように工夫されている。また「ユニバーサルタレット」と呼ばれる新開発の砲塔は、西側の砲であればなんでも搭載可能という、まさにユニバーサルを体現した砲塔であった。
1980年の展示会以降も活発に活動。1983年にはアラブ首長国連邦でのトライアルに参加し、チャレンジャー1、AMX-40と対決したが、良い成績を残したものの頻発する故障に悩まされた。もっともAMX-40に関しては試験期間中に1週間の修理を余儀なくされており、まともに動けたのはチャレンジャー1程度である。なおアラブ首長国連邦はルクレールを購入した。えぇ…?
その後も良好な性能を武器に売り込みを続けたが成果は得られず、それでも精力的に活動を続けたが、なんと輸送用トレーラーから落下しひっくり返るという衝撃的な幕切れを迎えてしまう。アルミ合金の車体は歪んでしまい使用不能となってしまったが、砲塔や内部機器はまだ使えると判断されたため、それらをレオパルド2の車体にドッキング。ヴィッカース Mk.7が誕生した。
このヴィッカース Mk.7も売れなかったが、それはまた別のお話。詳しくはヴィッカース Mk.7の史実欄へ。優秀なFCSや砲塔設計など、技術的にはチャレンジャー2に繋がっているとされている。
|
| ひっくり返るヴァリアント。Redditより引用。 |
なお、ブラジルで試作された主力戦車のEE-T1 オゾーリオはBAEシステムズが開発に協力しており、どことなくヴィッカース Mk.4の面影が残るデザインとなっている。軽量、選択可能な砲、コスト圧縮による中小国への売り込みと、コンセプト的にも近いものがある。こちらも試作止まりになってしまったが。
開発元のヴィッカース社は紆余曲折を経てBAEシステムズの一部となった。
・FV4030/2 シール1(Shir 1)/ハリド(Khalid)
チーフテンMk.5/Pの性能に満足できなかったイランの要望によって開発された、チーフテンの改修車両。運用したのはヨルダンである。
本国のチーフテンが搭載するレイランド社製のL60多燃料ディーゼルエンジンは粗悪な燃料でも動く優れものであったが、信頼性が極めて低く、燃費も悪く、おまけに重いチーフテンのエンジンとしては非力だった。そこでFV4030/2・FV4030/3ではロールス・ロイス社製のCV12ディーゼルエンジンに換装。L60の2倍近い出力を発揮するこのCV12の搭載とパワーパック自体の見直しによって機動力は飛躍的に向上した。
FV4030/2の改良点は基本的にはこの足回りだけであったが、防御力というチーフテンの強みはそのままに、機動性という弱みが強みに転じたことから、総合的な戦闘力は大幅に強化されている…と聞くと、ここまで読んできた方ならチーフテン800を思い浮かべるであろう。
これに関しては、「チーフテン800/チーフテン900はイランの要求性能に準拠するように開発された」としている記事が存在しており、真偽不明ではあるが関連性がある…のかもしれない。
当時イランが発注した戦車の数は、700両以上のMk.3PとMk.5P、少なくとも180両近いFV4030/1(Mk.5Pの小改良型)、125両のFV4030/2、そして1,225両のFV4030/3であった。この発注数も分かるようにイランの本命は足回りの改良のみを施したFV4030/2ではなく、足回りを含めたチーフテンの全てを根本的に見直し改良した発展型のFV4030/3であった。
しかし、イラン革命によりパフラヴィー朝は崩壊。この革命によってイランとイギリス含む西側諸国との関係は修復不可能になり、当然兵器の輸出などもってのほか。イギリス政府は急遽各国にFV4030/2・FV4030/3の売り込みをかけ、そこで手を挙げたのがヨルダンであった。
シール1から「ハリド(Khalid、剣の意)」に改名したこの戦車は、1981年よりヨルダンに配備。現在はルクレールやアル・フセイン(Al-Hussein、チャレンジャー1のことで現在は保管中)に置き換えられる形で退役し保管されている。
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| ヨルダンのハリド。Redditより引用。 |
・FV4030/3 (Shir 2)、FV4030/4 チャレンジャー1
イラン向けに設計された最新技術満載の第3世代主力戦車。FV4030/3 シール2から紆余曲折を経てFV4030/4 チャレンジャー1が生まれた。
ここに書ききれないくらい内容が濃いため、詳細は各車両のページから確認してほしい。
・MBT-80
チーフテンの後継車の開発をスタートさせる時期の1970年代後半。その頃開発・計画されていたFV4030/2、FV4030/3はイラン向けの戦車、ヴィッカース Mk.4、チーフテン800/900は輸出向けの戦車、どれもイギリス国内で使うわけではない。そのためイギリス国内向けに「チョバムアーマーを採用しチーフテンよりも防御力は高く、新エンジンを搭載してチーフテンよりも軽快」といった戦車の開発計画が持ち上がる。
こうして、1978年にイギリス軍次期主力戦車としてFV4601 MBT-80の開発計画がスタートした。主砲には新設計の120mmライフル砲を採用。チョバムアーマーを全面的に採用し、逆に車体はアルミ合金に変更し軽量化。防御力を維持しつつ軽量化を成し遂げ、兵站を容易にするとともに行動可能な範囲を拡大する目的があった。足回りにはFV4030/2やFV4030/3のものを更に強化したものを搭載、熱線映像装置や極めて高度な射撃管制システムなど、イギリスの戦車技術の全てを込めた意欲作であった。第1次試作車(ATR-1)の車体はチーフテンのコンポーネントを、第2次試作車(ATR-2)はFV4030/3のコンポーネントをそれぞれベースに、砲塔は新規設計のものを搭載していた。
しかし、兵器に限らず、新機軸や最新技術をふんだんに盛り込んだものはコストが嵩み、往々にして開発が遅延し、少なくない割合がそのまま表舞台から姿を消してしまう。MBT-80はまさにその典型例で、極めて高度な射撃管制システムや防御力を維持しながらアルミ車体で軽量化する試み、強化されたエンジンや新規開発の砲など、多くの要素が複合的に絡み合って開発が遅延していた。結局、十分な性能で既にほとんど完成しており、なおかつイラン革命により宙に浮いた状態のFV4030/3が次期主力戦車として選定。FV4030/3の選定後、MBT-80計画は中止された。
試作車はチーフテン800とともにボービントン戦車博物館で余生を送っている。
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| 最近のMBT-80。Redditより引用。 |
出典
Chieftain. Tank Encyclopedia's Archives. 2026年02月11日閲覧.
Shir-1. Tank Encyclopedia's Archives. 2026年02月11日閲覧.
Challenger I. Tank Encyclopedia's Archives. 2026年02月11日閲覧.
FV4601, MBT-80. Arcane Fighting Vehicles. 2026年02月11日閲覧.
Chieftain 800. Arcane Fighting Vehicles. 2026年02月11日閲覧.
Vickers Mk.4 Valiant. Tank Encyclopedia. 2026年02月11日閲覧.
The Brazilian EE-T1/T2 Osório Main Battle Tank. TankNutDave .com. 2026年02月11日閲覧.
小ネタ
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外部リンク
コメント
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