鳥類や飛竜に見られる飛翔用に発達した前脚。
「翼」と言う場合は全体を指し、鳥類などの翼に生えているのが「羽毛」や「羽根」である。
- なお、昆虫類のものを指す場合は「羽」や「翅」の字を用いることが多い。
目次
概要
- 前足に相当する部位が、進化の過程で飛行に適した形状に変化したものである。
この部位で風を捉える事で飛行を可能にするが、翼だけでは飛行することは出来ない。
自身の体重や翼を動かせるだけの筋力、空気の抵抗などの様々な条件が重なって初めて飛行が可能となる。- 「羽ばたいて飛ぶ」と言う行為は相当大変な行為で、
鳥類の骨(特に翼部分)は徹底的な軽量化が成された構造をしている。
また、翼を動かすための胸の筋肉も強靭な物であり、
下手なボディービルダーなど目ではないほどムキムキと言えるレベル。 - 一方「羽ばたかずに飛ぶ」のは揚力を用いた飛行である。
揚力とは、簡単に行ってしまえば膨張の力である。
物体を挟んで上下で気圧に差がある場合、
気圧が大きい方は小さい方を補い均一化するために膨張するのだが、
これを翼下面の気圧を大きく、上面を小さくすることで、
翼下の空気が膨張して上側の気圧と均一になろうとする。
この力を翼で受け止めることで羽ばたかずに浮くことが可能となる。
この飛行方法には、気流か飛行物体の速度が重要となるが、
これを落下の加速で条件を満たして飛ぶのを「滑空」と言う。
一方、滑空以外で条件を満たすには必然的に外部から速度を得る手段が必要となり、
そのために大体原動機*1が必要となる。
- 「羽ばたいて飛ぶ」と言う行為は相当大変な行為で、
- 一概に「翼は飛ぶ為のもの」と思われがちだが、翼(ウイング)は飛行以外の用途も存在する。
特にその事が解りやすい、と言えるものがモータースポーツで、
タイヤのグリップ力強化のために車重以外の手段で地面に押し付ける力を得る事を主目的として、
車を地面に押し付ける力「ダウンフォース」が重要視されているが、
それを得る手段として、飛行と逆の用途*2に設計した翼が用いられている。- ちなみに「気圧の違いによる膨張」であるが、
これは「気圧の小さい方に吸引される」と言い換える事ができる。
身近な家電の1つとして知れ渡っている掃除機の原理はこれを用いたものである
(こちらも併せて参照されたし)。
- ちなみに「気圧の違いによる膨張」であるが、
翼
- 前述の通り、鳥類や飛竜の翼は前脚が進化したものである。
しかし、古龍種のモンスターが持つ翼は肩や背中から生えており、前脚は健在である。
このため、陸上でも自分の身体をより自在に操ることができ、その一方で飛行能力も優れている。
クシャルダオラやアルバトリオンに至っては、そこいらの鳥よりも余程飛行能力が高い程である。
またシャガルマガラやゴグマジオスでは「翼脚」と呼ばれるほど翼の骨格が発達しており、
そのままでも飛翔が可能である事に加えて前脚と同様に走行や攻撃に使うことができるため、
手足が6本あるも同然の形態をしている。
- 翼というものは空を飛ぶために軽くて薄く柔らかい構造をしているため、
本来ならば様々な部位の中でも極端に弱い箇所の一つである一方、
飛行という過酷な用途に耐えるため、
多くのモンスターの翼の肉質は生半可な斬れ味では弾かれてしまう程の強度を持つ。
また、部位破壊が可能なものも存在するが、爪が欠けたり翼がボロボロになったりこそすれど、
飛行能力そのものを失ってしまうことはない。
部位破壊も特殊であり、片翼を破壊しただけで両翼が壊れるものもあれば片翼だけで報酬が出ることもある。
その報酬の出方も、片翼破壊でも両翼破壊でも部位破壊報酬は1枠だけであったり、
左右の翼でそれぞれ部位破壊報酬が出たりなど、モンスターによって異なるので注意。- 現実に於いても、航空機の翼はある程度の柔軟性、謂わば「硬さと柔らかさ」を兼ね備えている。
何故こうなっているのかと言うと、
単純に強度だけを高めても、強い力が加わると簡単に破壊が起こってしまうためで、
これを防ぐためには、加わった力を上手く逃がす柔軟性を有している必要がある。
最も硬い物質と言われているダイヤモンドをトンカチで叩くと簡単に砕ける話は有名だが、
これはダイヤモンドの劈開性(特定の方向の力が加わると割れる特性)に従って力を加えた際、
その力を逃がす柔軟性(加わった力を上手く逃がす特性)が殆ど無い結果、
簡単にその方向に向かって物質の移動(ズレ)が起こり、結果として割れてしまうためである。
飛行時、翼は常に強い力に晒されるため、
上述した「硬さと柔らかさ」を兼ね備えた構造は、飛行に於いて極めて合理的な構造なのである。
この点を踏まえると、モンスターの翼が「硬さと柔らかさ」を兼ね備えているのも納得がいくだろう。
- 現実に於いても、航空機の翼はある程度の柔軟性、謂わば「硬さと柔らかさ」を兼ね備えている。
- 素材として扱うことができる翼を持つモンスターは、
大型の鳥竜種の他、飛行能力に長けた飛竜種や古龍種が多い。
しかし、退化しかけているバサルモスの翼や、飛行能力を失っているグラン・ミラオスの翼は素材として使え、
逆に飛行能力がそこそこ高いベリオロスの翼は素材としては扱えなかったりと、例外も多く存在する。
また、ラヴィエンテからは「大巌竜の翼」と呼ばれる素材が得られるが、
これは翼と見紛うほどの大きさを持ったヒレ状の器官であり、本当に翼かどうかは不明である。
シャンティエンも翼は有するが、霊毛から放出する「翔気」によって飛行しており、翼は用いない。
翼は素材として使えなくても、翼膜を素材として使うことができるモンスターもいる。
- 飛竜と呼ばれるモンスターは大半が翼を持っているが、
旧作品における飛竜は飛行能力が優秀と言えるモンスターは少なかった。
- MHWorldにおいては、翼のアイコンが新規に追加された。翼膜のアイコンも翼と同様。
- モンスターハンターシリーズのモンスターは翼は一対であることが多いが、複数対のモンスターも存在する。
例えばハルドメルグは流体金属を利用した翼を4対、合計8本持つなど特徴的な体格をしている。
羽根
- ヒプノック、クルペッコ、ファルノックなどの羽毛を持つ鳥竜種のモンスターから得られる素材。
主に武具の装飾として用いられる。また鮮やかな見た目のものが多いため、高値で取引されている。
一般人向けの衣料品や装飾品にも用いられる事が多く、華やかな見た目もあって人気が高い。
同じくそれをあしらった逸品もかなりの高級品である。- しかし大型モンスターの羽根を一般人が自力で入手するのは至難の業。
そのため、ハンターにはこれらの羽根目当てに、
ヒプノックやクルペッコを狩猟してほしいという依頼が後を絶たない。
- しかし大型モンスターの羽根を一般人が自力で入手するのは至難の業。
- ビシュテンゴは牙獣種でありながら「腕羽」と呼ばれる羽を有している、
極めて珍しい特徴を持ったモンスターである。
もちろん飾りなどではなく、短距離ならばこの羽を用いて滑空でき
不安定な体勢での姿勢制御にも役立っているという実用的な羽である。
- ホロロホルルやアケノシルムは「羽鱗」と呼ばれる素材を持つ。
説明文には“羽状の鱗”と書かれておりどちらかと言うと鱗に近い素材らしいが、
ホロロホルルは羽鱗以外にも羽素材を持ち、アケノシルムは普通の鱗も併せ持っている。
どうやら他の羽や鱗とは明確な差があるらしい。
- ちなみに、ガーグァから入手できる羽毛は「丸鳥の羽」である。
「羽」と「羽根」の違いはどこからなのだろうか?
後にMHWorldで登場したクルルヤックの素材の名前が「飾り羽根」ではなく「飾り羽」なところを見るに、
モンハン世界では飛行に直接使用されない部位を「羽」と称している可能性がある。- しかし飛べる鳥竜種であるホロロホルルの素材の名称は「尾羽」「金羽」であり、“羽根”ではないのだが…
あまり気にしない方がいいのかもしれない。
- しかし飛べる鳥竜種であるホロロホルルの素材の名称は「尾羽」「金羽」であり、“羽根”ではないのだが…
羽
- 飛行能力を持つ甲虫種のモンスターから得られる素材。非常に薄くて軽く、そして脆い。
過度に力を込めると簡単に破れてしまい、使い物にならなくなってしまう。
そのため、小型モンスターの素材の中では最も剥ぎ取りにくい素材と言える。
しかしその薄さ故に軽く掠めるだけで肌が裂けるほどの鋭さを持つ。
この素材から加工された武器はとても軽く、取り回しと斬れ味に優れたものが多い。
「翼」「羽根」「羽」の素材を持つモンスター
- 甲虫種
- ランゴスタ - ランゴスタの羽・刃羽(~MHP)/薄羽(MH2~)・斬羽
カンタロス - カンタロスの羽・刃羽(~MHP)/薄羽(MH2~)・斬羽
ブナハブラ - 飛甲虫の羽・斬羽
アルセルタス - 徹甲虫の羽・薄羽・斬羽(通常種)、斧甲虫の斬羽(亜種)
- 牙獣種
- ビシュテンゴ - 天狗獣の腕羽・上腕羽・豪腕羽(通常種)、緋天狗獣の豪腕羽(亜種)
- 鳥竜種
- イャンクック - 怪鳥の翼膜・剛翼(MHP2G・MH4G)/厚翼膜(MHXX)、青怪鳥の翼膜(亜種、MHG・MHPのみ)
ゲリョス - 毒怪鳥の翼膜・翼・厚翼膜(通常種)、紫翼・紫剛翼(亜種)
イャンガルルガ - 黒狼鳥の翼・剛翼・紫翼(HC素材)・大翼(MHFのG級)
クルペッコ - 彩鳥の羽根・翼・剛翼(通常種)、紅彩鳥の翼・剛翼(亜種)、極彩色の羽根・艶羽根、きれいな尾羽根(特産品)、
ド派手な尾羽根(希少特産品)
ガーグァ - 丸鳥の羽・特上羽
ドスマッカォ - 王者の冠羽*3・偉大な冠羽
ホロロホルル - 夜鳥の翼膜・翼・大翼・尾羽・刃尾羽・金羽・黄金羽(通常種)、朧隠の大翼(二つ名)
クルルヤック - 掻鳥の飾り羽・大飾り羽
プケプケ - 毒妖鳥の羽根・翼
ヒプノック - 七色尾羽根(通常種)、銀色尾羽根(希少種)、眠鳥の尾羽根・金粉尾羽根(辿異種)
ファルノック - 蛍色尾羽根
フォロクルル - 華鳳鳥の翼膜・翼
トリドクレス - 照雷鳥の羽角片・羽角・翼殻・上翼殻、照雷鳥の極翼・極上翼・極剛翼・極絶翼・整羽角・麗羽角・
輝麗羽根(辿異種)
- 飛竜種
- リオレウス - 火竜の翼膜・翼・剛翼(通常種)、蒼火竜の翼(亜種)、銀火竜の翼(希少種、MHP2(G)のみ)・翼膜(MHF)、
火竜の極翼・極上翼・極剛翼・極絶翼(辿異種)
リオレイア - 雌火竜の翼膜(MH3以降)・雌火竜の厚翼膜(MHXX以降)、金火竜の厚翼膜(希少種、MHR:Sのみ)
バサルモス - 岩竜の翼・剛翼(MHP2G・MH4G・MHXX・MHR:S)・翼膜(MHSTのみ)・豪翼(MHFのG級)、
桃岩竜の翼・剛翼(亜種)
グラビモス - 鎧竜の翼・剛翼、黒鎧竜の翼(亜種、MHFのみ、G級希少素材)、重翼(辿異種)
フルフル - ブヨブヨした翼膜・真珠色の翼(通常種、MHSTのみ)・アルビノの柔翼・上柔翼(辿異種)、
魅惑色の翼膜・剛翼(亜種)・壮翼膜(MHFのG級)・翼(MHSTのみ)
ティガレックス - 轟竜の飛膜(MHFのG級)
ナルガクルガ - 迅竜の刃翼・鋭刃翼・剛刃翼(通常種)、緑迅竜の鋭刃翼・剛刃翼(亜種)、月迅竜の透刃翼・朧月の欠片(希少種)
ライゼクス - 電竜の帯電膜・高電膜・超電膜
パオウルムー - 浮空竜の翼膜・翼
レイギエナ - 風漂竜の翼膜・翼・剛翼(通常個体)、冷厳なる翼(特殊個体)
バゼルギウス - 爆鱗竜の翼・剛翼(通常個体)、天を焦がす銀翼(特殊個体)
エスピナス - 棘竜の重翼(辿異種)
ベルキュロス - 舞雷竜の上翼
ドラギュロス - 冥雷竜の上翼、冥雷竜の憐翼・焼爛翼(辿異種)
グレンゼブル - 蛮竜の翼・上翼
UNKNOWN - 飛竜の黒翼
アノルパティス - 暴鋸竜の翼膜、暴鋸竜の蒼翼・極蒼翼(辿異種)
ゼルレウス - 輝界竜の光翼
ポボルバルム - 創音竜の翼膜
グレアドモス - 水砦竜の翼・潤翼
一部の変種 - 飛竜種の翼・上翼・剛翼
MHFのG級個体 - 上竜翼
- 古龍種
- クシャルダオラ - 鋼龍の翼膜・翼(MHWorldから)・剛翼(通常個体)、朽ちた龍翼・錆びた龍翼、暴風の破翼、
錆びた重翼・鉛翼・剛翼(HC素材)(錆び個体)
テオ・テスカトル - 炎龍の翼膜・翼(MHWorldから)、炎王龍の灼翼(覇種素材)
ナナ・テスカトリ - 炎妃龍の翼膜(MH2、MHFのみ)・翼(MHWorldから)、炎龍の翼膜(MHP2以降)、
オオナズチ - 霞龍の翼膜・剛翼
アマツマガツチ - 嵐龍の飛膜・厚飛膜
シャガルマガラ - 天廻龍の虹翼・上虹翼・光虹翼
ゴグマジオス - 巨戟龍の筋繊翼
バルファルク - 天彗龍の槍翼・撃槍翼
奇しき赫耀のバルファルク - 赫赫の槍翼・撃槍翼
ゼノ・ジーヴァ - 冥灯龍の幽翼
イヴェルカーナ - 冰龍の剛翼
ムフェト・ジーヴァ - 赤龍の剛翼
メル・ゼナ - 爵銀龍の剛翼(通常個体)、銀光の盾翼(特殊個体)
ルコディオラ - 極龍の雷膜・翼・磁翼膜・朱翼膜、極龍の極翼・極上翼・極剛翼・極絶翼(辿異種)
シャンティエン - 天翔龍の翼
レビディオラ - 雷極龍の輝雷膜・翼
ディスフィロア - 熾凍龍の翼
ガルバダオラ - 金塵龍の翼膜・黄金翼
ハルドメルグ - 司銀龍の翼・重刃翼、司銀龍の鋭鎬翼・翼操核(辿異種)
トア・テスカトラ - 凍王龍の翼・剛翼
グァンゾルム - 帝征龍の翼
一部の剛種 - 古龍種の翼・上翼・剛翼
ミラボレアス - 黒龍の翼膜・翼・剛翼・邪翼(MHFのG級)
紅龍ミラボレアス- 黒龍の紅翼・剛紅翼・紅焔翼(MH4Gの特殊個体)・焔翼(MHFのG級)
祖龍ミラボレアス- 祖龍の翼膜・剛翼、祖龍の烈空翼(MHFのG級、狩煉道の超特殊アイテム交換で入手可)
アルバトリオン - 煌黒龍の翼膜・邪翼
グラン・ミラオス - 煉黒龍の重翼
余談
- ちなみに「翼」と「羽」の違いだが、日本語としての厳密な定説は無い。
もっとも広く一般認識されている暫定的定説としては
「翼」は鳥の飛空機構、「羽」は虫の飛空機構…とされている。
「広く認識されているが定説では無い」と断わりを入れた理由は、
鳥(正しくは鳥竜)なのに「翼」と「羽」の両素材が存在する場合もある兼ね合いである。- 虫より生物的構造が複雑な生物が「羽」の生態構造を持つ理由考察としては
飽くまで俗説としての範疇だが、見栄えが目的とされる論旨が多い。
異性を引き付けたり、警戒色として視覚的に牽制したり、時には大きく広げて威嚇したりと
その用途は飛行以外の活動に広く活用される。
実際ホロロホルルやドスマッカォは、怒り時には「羽」を大きく広げる特徴がある。 - また、鳥竜種で両素材を持つ者は「翼」と「(尾)羽」で攻撃を使い分ける事もあるが、
「(尾)羽」は攻撃が目的で発達した物では無いため、尾の威力もそれほど大きい物では無い。 - ちなみに、英語では「翼」は" Wing "で「羽」は" Feather "となる。
- 虫より生物的構造が複雑な生物が「羽」の生態構造を持つ理由考察としては
- 虫の飛行機構としての「羽」は別物として、
鳥などの「羽」と「羽根」の違いについては、羽軸の有無による。
現実世界で鳩や烏の羽根を拾った経験から想像して頂ければ分かり易い。
ふさふさの毛を支える骨状の硬い棒が、つまり、羽軸である。
人間が装飾品に加工する際には、この羽軸を芯として安定させる場合が多く、
羽軸が折れてしまったり、加工に耐えられない物は「羽根」とは認められないのかも知れない。
骨状の棒では無く、ふさふさの毛の方に用途を求める場合には羽毛となるが
モンスターハンターの世界で、素材として扱われる羽毛は一種のみである。- 英語では「羽根」は"Feather"、羽毛は"Down"となる。