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ウォーロック・オノール
オノールからのメッセージ
コーモラントレベルの暗号メッセージを以下に記す。音声使用不可。
私はオノール。潜みし者とウォーロックのプラクシック機関に所属している。お前には一度も会ったことがない。だがお前のことは大いに尊敬している。
お前はシティのために多くの偉業を成し遂げ、人類に返しきれないほどの大きな貸しを作った。それほどの若さで大したものだ。
ただ、ガーディアンの本能から言えば、それはお前が寛大だったからというわけではない。力ある者が誰でもそうであるように、お前もさらなる力を欲しているのだ。
放浪者と呼ばれる男はこのことを知っている。あの男は、これまで誰も成し得なかったことを実現してみせた。ガーディアンたちを巧みに操り、彼らを闇に接触させたのだ。
そしてバンガードは今も沈黙を守り静観している。
ザヴァラ司令官とイコラ・レイは彼の正体と考えを理解している。
彼らは未だに、この男が星系内にギャンビットを持ち込むのをそのままにしている。それどころか、プラクシック機関の介入さえも禁じているのだ。
全ての面においてプラクシックの考えに相反している。このまま見過ごすわけにはいかない。我々は今、彼の行動を詳しく調べており、バンガードですら認めざるを得ないような犯罪の証拠集めを進めている。そこでお前に頼みたいことがある。同じシティのガーディアンとして協力してほしい。
彼との仕事はそのまま続けてもらって構わない。とにかく話だけでも聞いてほしい。あの放浪者と呼ばれる男を信用してはならない。
オノールからのメッセージII
コーモラントレベルの暗号メッセージを以下に記す。音声使用不可。
バンガードはその創設以来、人間を絶滅から守るための、シティの最終的な抑止力としてその役目を果たしてきた。そして長年にわたって、それは問題なく機能していた。
だが今のバンガードは、放浪者のような脅威と対峙したことは一度もなかった。シティの記録に確かな経歴や名前も載っていないこの男は、我々の目の前にイデオロギーの戦争を持ち込んできた。彼はハイヴの神やベックス・マインド以上に危険な存在だ。ショットガンを持って別館に行って始末する、というわけにはいかないからだ。
バンガードはそれを認めないだろう。彼らは自分たちにも制御可能なならず者として見ている。
私には権力の座についた犯罪者に見える。
プラクシック機関はバンガードの行動を監視してきた。お前のようなガーディアンが前線での任務を放棄し、放浪者のギャンビットで大騒ぎをしている。
闇のかけらが奴の手に渡るということは、それによって引き起こされる夢見る都市での因果的現象を見過ごしてしまうのと同義だ。そしてそれは、デッドゾーンにいる我々の敵が国境線を圧迫することをも意味する。光の不在によって、月のヘルマウスでさえも動き出している。
このような事態を見過ごすわけには行かない。存在論的な脅威、そして大量虐殺の恐れは別にして、、ギャンビットは暗黒を利用して暗黒と… さらには他のガーディアンと戦うことを良しとしている。
プラクシック機関はシティの創設以来、ガーディアンを暗闇やその他の禁忌に近づけないようにしてきた。我々は最大限努力してきたが、レッド・デスや真紅… そして一部のウェポンズ・オブ・ソロウまでもが… 今でもシティの兵器庫に入り込んでいる。だが、このようなガーディアンキラーでさえも、ギャンビットのイデオロギー的な脅威とは比較にならない。ギャンビットは人々を暗黒へと導く。
暗黒は月のハイヴなのだ。大惨事によって我々をバラバラにしてしまう。暗黒はカバル大戦であり、タワーの崩落なのだ。あの時はカバルによってトラベラーは沈黙させられ、たった1日で地球上の最後の人類が数千人規模で犠牲となった。暗黒は記憶から我々の仲間の存在を消しさろうとするベックスだ。究極の死をもたらす力を持った、1人の男だ。そしてかつては黄金時代の大崩壊でもあった。
暗黒は無数の壊滅によってもたらされる静寂だ。
私はプラクシック機関の剣として、宗教や因果的存在の側面から暗闇に接触する者や暗闇を研究する者を見つけ出さなければならない。ギャンビットに参加することは問題だ。だがガーディアンは銃が集まる場所へ自然と向かってしまうものだ。機関がこの戦いに勝利するには、放浪者が屈する必要がある。あの悪党が危険人物であるという確かな証拠が手に入れば、プラクシック機関は第二の太陽のように彼に飛びつくだろう。
お前が放浪者から色々と吹き込まれていることは知っている。だが忘れるな。
シティのガーディアンにはパワーよりも重要なことがある。
オノールからのメッセージIII
コーモラントレベルの暗号メッセージを以下に記す。音声使用不可。
[ゴーストの残骸の隣に置かれていた記録一式]
このゴーストは、最近シティで起きたプラクシックとの銃撃戦で死亡した背教者のガーディアンのものだった。
彼のガーディアンは死亡したタイタンの1人で、ある名前で呼ばれていた。
ドレドゲンだ。
このペアはドレドゲン・ヨルの考えに賛同していた。
カバル大戦を経験したベテランであれば、わざわざ後期暗黒時代を振り返る必要はないだろうが、念のために説明しておこうと思う。ヨルは我々の中で初めて、暗闇を不当に利用して身内を殺した人物だ。そうなったらガーディアンでも二度と帰ってはこられない。
近現代に出現した、彼の名を語った無法者の一味は、ヨルの影と呼ばれている。ヨルの思想に完全に同調しているわけではないが、彼ら全員がパワーを求めて暗闇と接触しようとしている。放浪者の前ファイアチームの証言によれば、彼も影の一味だったようだ。今もそうである可能性は高い。
この一味は長い間、表舞台に現れていない。放浪者の要請により、新たな「ドレドゲン」がその後を引き継いだという噂もある。彼らは旧ロシア軍やカバル大戦に兵として参加していた、比較的若いガーディアンで構成されている。古の血筋の者たちではない。
どこまでが彼らの仲間かは分からない。誰にでもその可能性はある。
とにかく、古の血筋は全員街に戻ってきたきたことが確認されている。その手の中にあるゴーストは、かつては彼らのものだった。
影を狩る背教者であり、ゴールデンガンを生み出したあのハンターが、この件の黒幕だったとしても不思議ではない。
影が戻ってきた理由は分からないが、いくつか可能性は考えられる。
放浪者は認めたがらないだろうが、シティのガーディアンがギャンビットという形で暗闇と戯れていることは周知の事実だ。影は積極的に誘い込みたいのかもしれない。彼らはかつて暗闇を利用してガーディアンの兵器庫に侵入しようとしたが失敗した。だとしても、放浪者と影の意見が一致しない可能性がある。あの男は一匹狼であり、根っからの詐欺師だ。ガーディアンのコミュニティの土台を破壊するのと同時に、同じ数の土台を別に構築する。彼は自分自身しか信用しない。もしかすると、自身と同種の存在から身を守るために、ギャンビットの常連を集めているのかもしれない。
あるいは、ドレドゲンがここに現れたのは、仲間である放浪者に手を貸すためなのかもしれない。ギャンビットの運営や、知られざる新たな目的の遂行ために。
信頼の証として、ここまでの情報は全て共有させてもらう。放浪者を信用してはならない。彼やドレドゲンに関わるつもりなら、こちらは一切責任を取らない。すでに彼らの名を背負っていたとしても、まだ選択を正す時間は残されている。
その手の中にあるゴーストと同じ運命を辿るな。あれは無残な死に方だった。
オノールからのメッセージIV
お前は放浪者に騙されている。プライムギャンビットでは一攫千金は得られない、あれは一種の実験に過ぎない。彼はタワーにいる人々をモルモットとして利用しているだけだ。
今日まで機関の幹部らは、かつてバロン、ヒラクスがしたように、放浪者は君主国家を作ろうとしているのだと考えてきた。ハンターバンガードの死と共にな。
だが意外なことに、放浪者が誰かを殺したという証拠は、シティの内外で、これまで1つも見つかっていない(だが、彼が船と呼ぶあの瓦礫の中に巨大な墓地があるかもしれない)。
今回の探索によって、バンガードに現在も忠誠を誓う複数のガーディアンの話を裏づけることができた。放浪者のホールはナインと呼ばれる秘密の力を利用している。
ウォーロックの組織にはこのことに関する情報はほとんどないが、放浪者は光と闇を超越した力と何らかの繋がりを築いているようだ。彼が現れる以前は、アウォークンの女王が唯一、彼らと協力関係にあった。
現時点では、お前がしっかりと監視を続け、信用に足る報告をしてくれることを願っている。放浪者のプライムギャンビットの志願者であるお前は、誰よりも先に奴の狙いを知ることになる。
お前はバンガードの目であり耳でもあるのだ。決して道を誤るな。
オノールからのメッセージV
種類:バンガード死傷者報告書
関係者:2名[2]1名[1]ガーディアンタイプ、クラス: タイタン[u.1]; 1名[1]ガーディアンタイプ、クラス: ウォーロック[u.2]
関連項目:エメラルド・コースト、大聖堂跡、リージョンのフォリー、ケルの墓、「放浪者」、ギャンビット、プライムギャンビット
[u.1:01]何か情報はあるか? あそこを監視しているのはアーサイトだけだ。
[u.2:01]地球、ヨーロッパ・デッドゾーン。ガーディアン3名死亡。
[u.2:02]夢見る都市、リーフ。ガーディアン2名死亡。
[u.2:03]不安定なケンタウルス族、ネッスス。ガーディアン1名死亡。
[u.2:04]リーフ、入り組んだ岸辺。ガーディアン3名死亡。
[u.1:02]…分かってる。
[光を核とする放射によって、フィードに突如としてゆがみが発生]
[u.1:03]お前は失敗した。おかげで壁は台無しだ。
[u.2:05]殴られなくてよかったな、でなければお前もその壁みたいになっていたぞ。奴を踏みつけた瞬間に何が起こったんだ?
[u.1:04]あのガーディアンたちはリスクを承知していた。我々は外縁部を襲撃する時や攻撃を実行する時は必ず彼らを連れて行く。ギャンビットも同じだ。これは「トルン」の事件とは違う。どのケースも、ガーディアン以外の敵から襲撃を受けてゴーストを捕らえられている。クルーシブルは我々のものだけではないということだ。
[u.2:06]奴はお前のようにアリーナを眺めたりはしない。もっと無鉄砲だからな。
[u.1:05]我々には奴が必要だ。今のところ上手く行っている。
[u.2:07]またガーディアンを失うことになれば、次が最後だ。この戦争の最初の夜に、どれだけの仲間が死んだか忘れたのか?
[u.1:06]夜明け前に見つけた死体はこの手で1つ残らず埋めた。
[u.2:08]ならガーディアンを埋めるのはもうやめにしようじゃないか。奴を呼び出せ。でなければ奴とそのゴーストを直接始末してやる。
コーモラントの暗号メッセージを以下に記す。音声使用不可。
あの記録は私が盗んだ。どうしてもお前に見せたかったんだ。
お前の友人たちは放浪者の目の前で命を失っている。お前とていずれはそうなる。
機関は完全に麻痺している。我々の半数は、バンガードと放浪者からゴーストを取り上げ、プラクシックの正義に基づき彼らを裁くべきだと考えている。だが、そうなればシティは取り返しがつかないほどの混乱に陥るだろう。
一方で、ヨルの影は今なおシティで存在感を示している。彼らを抑えるのに必要なゴールデンガンも見当たらない。どうやらあの男は忙しいようだ。
この街の運命はまたしてもお前の肩にかかっているようだ。この先のお前の選択は、これまでにお前が撃ってきた弾丸以上の大勢の人々に影響するだろう。
だからこそよく考えろ。
放浪者は人々の精神を穢し、ただ漠然と「トラベラーの教義」と呼ぶものからガーディアンを遠ざけようとしている。彼によって多くの者が、暗闇を利用価値のある道具だと考えるようになった。
シティは暗闇と戦うことを目的に築き上げられた。序列の排除、つまり個人の力ではなく共通の利益を優先するという考えに基づいている。ハイヴと宿られた兵は自分たちの神に仕えるために存在している。トラベラーは人間に生きるための力を与えている。
放浪者は認めないだろうが、彼は星系を支配しているわけではない。彼が「天誅」と呼ぶそのアーマーは、彼が作りあげようとしている星系における選択肢の象徴でもある。彼は単に、自然の秩序を乱し、自らの利益を得るためにここにいる。そして目的を果たすためなら、いかなる犠牲も問わない。
バンガードはかつてないほどお前を信頼している。放浪者と戦え。彼らと戦うのだ。
何をやるべきか分かっているはずだ。
ドレドゲンを始末しなければならない。
オノールへのメッセージ
プラクシック機関のオノールに宛てた暗号化したメッセージ。メッセージには簡潔な共同声明文と放浪者との会話の記録、そして放浪者の「プライムギャンビット」と「天誅」の詳細なデータを含めた。
また、ゴーストは改良されたギャンビットの貯蔵器に関する情報も送信した。あなたが「ホール」の中で? いや、上で? …とにかくその場所で目にしたものだ。そこにはエングラムのプリントもあった。放浪者の指示で作ったアーマーのものだ。
バンガードと潜みし者もこの事実を知るべきだろう。放浪者の物的資源が目に見えて増加している。光と闇だけでなく、彼がホールの中で見つけた——もしくは作り上げた——不可能世界の未知の存在も含めて。ゴーストのスペクトラル分析によれば、少なくとも前に亜空間で見たようなものではないことは確認されている。だがそれによって彼は、ナインとして知られる存在の試練の場、3番目のスパイアに気付いた。
未来がどうなるかは分からないが、善悪の判断を間違えてはならない。
オノールからのメッセージVI
コーモラントレベルの暗号メッセージを以下に記す。音声使用不可。
これは重要なケースワークだ。
お前が道を踏み外さなかったことを嬉しく思う。カバル大戦の英雄が、ならず者として放浪者と手を組むなんて最悪のシナリオだ。
お前は放浪者の計画について重要な情報を提供してくれた。だが、彼の協力者を突き止めなければならない。誰かが装備品を作るための素材を供給しているはずだ。彼のシティの口座に、それだけのグリマーがないことは既に分かっている。ギャンビットがタワーの娯楽として受け入れられるようになってから、バンガードのテリトリーはならず者で溢れかえるようになった。つまり容疑者は無数にいるということだ。
私のゴーストがお前のためにマイクを作った。プラクシックの力が吹き込まれている。かなり厳しい耐久テストも行っておいた。
サンブレーカーのハンマーに直接叩かれさえしなければ、いつまでも記録を残せる。
別館にある放浪者の小屋にこれを仕掛けて、物資の提供者を突き止めろ。私はシティの下層部に向かう。上手くいけば放浪者の邪魔ができるかもしれない。
プラクシックの炎と共にあれ。
オノールからのメッセージVII
コーモラントレベルの暗号メッセージを以下に記す。音声使用不可。
お前のゴーストからフィードを受け取った。
今どこにいるのかは分からないが、とにかくタイタンへ向かえ。放浪者とスパイダーの協力関係は今に始まったことではない。だが、星系内で放浪者の影響力が強まっても、スパイダーには何の得もない。それなのになぜ協力する?ヨルの影が関係しているのかもしれない——リーフへの圧力が放浪者の利益に繋がるのか?
現地のハンターたちから、岸辺に背教者が現れたと報告を受けている。ケイドが死んで以来、あそこには行っていない。ギャンビットのせいで事務作業が増える一方だ。
この件はこちらで確認する。
オノールからのメッセージVIII
コーモラントレベルの暗号メッセージを以下に記す。音声使用不可。
放浪者は頭に弾丸を撃ち込まれたいのか?バンガードの規定がなければ、間違いなく今夜実行に移していた。
お前がタイタンに行ってくれたおかげで、入り組んだ岸辺にいたドレドゲンのなりそこないを数名取り押さえることができた。死者は出なかった。市民にも、ガーディアンにも。6名の容疑者とそのゴーストが逮捕された。放浪者は彼らに金を払い、かけらを岸辺に運ぼうとした。
闇のかけらがギャンビットにあるかぎり、私には打つ手がない。バンガードの規定では、放浪者は潔白だ。規定に反する方法でかけらを運んでいる者がいたら、すぐにでもあの男の前に連れ出すべきだろうか?彼らの光は私のものだ。
あの6名はプラクシックの正義によって裁かれる。誰かを留置するのはこの数十年で初めてのことだ。
バンガードがもし放浪者の関与を認めないのなら、もう私にはどうしようもない。そうなれば我々はこれから先も彼らの不祥事の後始末をし続けることになるだろう。
お前はよくやっている。大した仕事ぶりだ。このまま続けるつもりなら、これからも放浪者のゲームに参加し続けてくれ。お前は私の目だ。彼ならお前を受け入れるはずだ。あの男は追い込まれている。恐らくこれまでも常に誰かに追われていたのだろう。
私はその間に、もう一度ナインを調べてみる。ホールは十分な動機になる、それにしてもあの声を聞いたか?あの声は彼らの使者だ。彼女のことはよく知らないが、どうやらこの混乱に巻き込まれているようだ。
監視記録
種類:監視記録
関係者:2名[2]ガーディアンタイプ1名、クラス: マルチ[u.1]ガーディアンタイプ1名、クラス: タイタン[u.2]
関連項目:放浪者、デレリクト、暗黒時代、爆発の危険性があるリンク
[u.2:0.1]仕事は終わったのか?
[u.1:0.1]ああ。今朝、種まきは終わった。
[u.2:0.2]まったく。
[u.1:0.2]そんな目で見るな。何が言いたいんだ?
[u.2:0.3]もっと簡単な方法もある——
[u.1:0.3]何でも簡単にすれば良いってもんじゃない。
[u.2:0.4]そういうのを臆病って言うんだ。ここぞという時は相手から目をそらすな。
[u.1:0.4]ふん。それで失敗したら?
[u.2:0.5]その時は諦めるしかない! 全てご破算だ。で、それがどうした? お前は不死身だ。絶対に殺されることはない。
[u.1:0.5]タイタンらしい大ぼらだな。知ってるか、暗黒時代の頃は——
[u.2:0.6]「当時はクラスなんてものは存在しなかった」やら、「教義」がどうとか。あとは新人たちに任せろ。シティとデレリクトのシェルターに飽きたなら、いつだってフロンティアがお前を待ってる。
[u.1:0.6]確かにな。それは間違いない。
種まき完了=種をまくこと、アイデアを植え付けること、爆弾を設置すること
ここぞという時は相手から目をそらすな=誠実に振る舞うこと、暴力的行為を実行すること
全てご破算=失敗すること、爆発物を爆破すること
シェルター=爆発物の爆風に耐えられるように作られた建造物
直接的な脅威は発見できないが、繰り返し爆発物を比喩に用いていることから現地調査をする必要性を認める。
オノールからのメッセージIX
コーモラントレベルの暗号メッセージを以下に記す。音声使用不可。
そちらのゴーストがまた記録を送ってきた。デレリクトに入ったのか? 良い勘の持ち主のようだな。
どうやらあの放浪者は弟子を選んだようだな。恐らくあれもまた若き戦争の英雄なのだろう、お前のようにな。奴が「教訓」を書き留めるような人物なら、奴の罪を咎めるための証拠のひとつでも見つかるかもしれない。残りの「記録」を探せ。
それと、仲間と一緒にナインについて追跡調査を行った。かつては数年ごとに起こっていた現象なのだが、シュールと言葉を交わした者が、ナインの謎を解き明かす役目を背負い込もうとするんだ。そして彼らを探しに行く。大半がクリプトアーキだ。稀にガーディアンもな。カバル大戦の最中に光が消滅し、残された唯一の野心家が神を求めて探しに出た。オリンという名のサンブレーカーだ。
やがて彼女は使者として戻ってきた。ナインは試練を作り出した。最も価値ない者を見極めようとしていたようだが——理由は分からない。彼らは強い戦士が好きなのだろう。それ以来、新たに失踪する者はいなくなった。そうした失踪を「誘拐」と呼ぶ者がいることにも触れておいたほうがいいだろう。
アドバイス? 報告書には感情的な言葉を使わないようにしろ。
プラクシック機関の知るかぎりでは、ナインは暗黒の仲間というわけではないようだ。リーフの諜報員からの報告で、アウォークンの女王は現在、星系外で彼らと協力関係にあるという情報を得ている。良からぬことを考えている可能性がある、ただ——それが何であれ、夢見る都市のあらゆる苦難よりも重要であることは間違いないだろう。これまでに会ったどのコルセアも同意見だった。私は彼らが信じるものを信じる。アウォークンは悪しき指導者のもとで生きるには自尊心が高すぎる。言うまでもないが、悪名と評判は異なるものだ。
いずれにしても、ナインやその使者がお前に危害を加えるとは思えない——少なくとも今のところはな。できればナインと放浪者の目的を知りたい。ただ… 調査はお前に任せる。調査中に面倒に巻き込まれた場合は知らせてくれ。
時空の基本構造が変化し始めたり、奴らに何かされそうな時は我々のことを思い出せ。
オノールからのメッセージX
コーモラントレベルの暗号メッセージを以下に記す。音声使用不可。
お前のゴーストに礼を言ってくれ。お前たちの分析結果は、プラクシック機関にとって非常に価値のあるものだ。バンガードにこき使われているなんてもったいない限りだ。
これで我々の調査は終わりだ。
今回発見した記録には、我々が長年探し求めていた真実の断片が含まれていた。我々が想像していた以上のものだ——以前からあの男は危険な思想の持ち主だと考えていた。生きること、息をすること、そしてドレドゲン・ヨルのような悪。その代わりに私が得たものは… 何だ? 悲劇? 同情か?
まあいい。
奴は哀れな存在だ、それは間違いない。
機関に最終報告を行ったところ、次のような判断を下した。私はその結論に満足している。放浪者については今後も入念に調査を行っていくが、彼がバンガードおよびシャックス卿と協力関係にあるかぎり、直接的な脅威とはならないとのことだ。これはバンガードに対する評価と一致する内容だ。
ギャンビットに騙されて姿を現したヨルの影は、銃とゴーストを持ったゴロツキの一味だ。かつてのドレドゲンに比べれば危険性は低い。シン・マルファーが姿を現さなかったのも当然だ。奴らにその価値はないからな。
私はこの件を危険予測の教訓として心にとめておくつもりだ。だが、ひとつ言わせてもらうなら、放浪者はどうにも胡散臭かった。それは今も変わらない。
また現場で会おう。まずは書類を片付けなければ。
岩塩坑
トロストランドの岩塩坑の崖上にあるキャンプで、ゴールデンガンを持った男が2人のガーディアンを人質に取っていた。背後の岸壁近くで、灰色のシルエットが燻っていた。
「チャンスは十分に与えた」ゴールデンガンを持つ男が言った。「言い残したことはあるか?」
人質の1人が顔を上げると、大きく深呼吸をした。言葉を発する前に、男の頭蓋骨はアークライトの輝きと共に爆発した。ボイドの矢が空を貫き、2人目の人質の喉に突き刺さった。彼は仲間の死体にもたれかかるように崩れ落ちた。
男はその矢が飛んできた方向に視線を移した。ゴールデンガンが手の中でまばゆい光を放っている。
死んだガーディアンのゴーストが2人を蘇らせるため姿を現した——だが、森の中からかん高い音をたてながら飛んできた2つの拘束バンドにその炎を抑えられた。
ゴーストはそのバンドから流れるアーク信号によって地面に落下した。
小石が絶壁からパラパラと落ち、黒い衣装に身を包んだ6名のウォーロックが一列に並んでキャンプに姿を現した。全員がクイットクレーム・ショットガンを持っていた。
男は動かなかった。
ウォーロックの一団の先頭に立っていた女が男に近づいた。炎を上げる彼の銃の光に臆することなく、彼女はコーモラントの印を差し出した。「オノール。プラクシック機関だ」
「お前のせいで重要な仕事が台無しだ」と彼は言った。
「それはこちらの台詞だ」と彼女は答えた。「このゴーストは我々が引き取る。殺しはもう終わりだ。いくら評価されていようが、何をやってもいいわけじゃない」
「お前の権限が及ぶのはシティ内だけだ」と応じた。「この2人は私にとって解決しなければならない問題だ」
オノールは顔をしかめた。「彼らは第3級の犯罪者だ。物的なレベルに留まっているとはいえ、暗黒と接触し、違法なアーティファクトを収集し隠匿していた。必要であれば彼らを回復させ再教育する」
「そして彼らはお前の見ていないところでまら同じことを繰り返す。もう中毒になって抜け出せない。パワーが汚染されている」
お前に任せれば我々はゴーストを失う——それは人類が敵と戦うための手段を失うことを意味する。このガーディアンたちがドレドゲンになる可能性があるというだけの話ではない——」
「こうした者は人を精神の内から破壊する」
「1人の男が犯した罪のせいでか?」
「私はお前以上に苦しんできたのだ、オノール。これが原因でプラクシックの秩序が失われ、最後の都市が塵と化すかもしれないのだ」
「お前に、シャックスに、バンガード、それとあらゆるブローカーが、シティを危険に晒している」
男はゴールデンガンを逆の手に持ち替えるとため息をついた。オノールはクイットクレイムを下ろした。他のウォーロックも彼女に従った。
男は立ち上がった。「お前たちが細切れになって帰還すればシャックスは喜ばないだろう。奴らを連れて行け。だが監視はさせてもらう。奴らは間違っている。何より私の獲物だ」
彼は拳を燃え立たせたまま、森の中へと分け入り、そのまま姿を消した。そしてキャンプは暗闇に包まれた。
「ゴーストを確保しろ」オノールはチームに命じると、キャンプ場をくまなく調査するために武器をホルスターにしまった。
第125区
影は彼女のゴーストを押さえていた。彼らはどういうわけか拘束する術を持ち合わせていた——プラクシックの技術だ。
彼女もいずれはその技術を把握する必要があるだろう、生きていればの話だが。
ゴールデンガンを持った男はいない。ファイアチームも、援軍も。
彼女は新たなドレドゲンの手掛かりを追うべく、スパローに乗ってヴェリディアン橋を越えた先にあるジェンシム研究所に向かった。だが、影が彼女を待っていた。
交差路の上に隠れていた高台から、1発のロケットがショルダーマウント型のランチャーから発射され、彼女の目の前の道を完全に破壊した。彼女はそのままマシンから投げ出されてしまった。
その瞬間、彼女はバハグハリが光のビームで自分を捕まえようとしているのを目にした。かん高い音が鳴ると同時に、拘束バンドが彼女のゴーストを沈黙させた。そして彼女は落下した。
彼女はうなるような風に向かって身を乗り出すと、落下姿勢を取った。衝撃に体は震え、水温によって真まで冷え切った。辺りの水面には雨のように瓦礫が降り注いでいた。
彼女は岸に向かって長い距離を泳ぐと、交差路へと続く道に向かった。
✱✱
奪ったパイクに乗って交差路まで行くと、1時間前に自分が落ちた場所で煙を上げている橋の残骸を見下ろした。バハグハリは見当たらなかったが、ヘルメットのバイザーが狙撃ポイントから発せられるボイドエネルギーの残響を検知した。それはショルダーマウント型のカウンテス SA/2が発するエネルギーパターンと一致していた。
放浪者にその情報を伝えると、彼はそのエリア付近の影のアジトと思われる3つの座標を伝えてきた。バハグハリがいないため、彼女はそれをトラッカーに手動で入力しなければならなかった。
最も遠い座標を選択すると、彼女はパイクを飛ばした。
✱✱
第125地区にある廃屋に辿り着いたころには、影はすでにいくつかのシティの周波数を通じて彼女のゴーストの引き渡し条件を提示していた。彼らは深夜までにこの星系から脱出させることを条件にしていた。脱出を認めなければ、バハグハリは始末されるだろう。
バンガードはその要求を無視した。背教者とは交渉しない。オシリスであってもそれは変わらないが、この影はオシリスですらない。
コア・イースト発の高速列車が頭上のレールで轟音を鳴り響かせた。次の列車が到着するのは深夜だろう。
赤さび色の建物の最上階を見ると、明かりと共に数名の人影が見えた。
「私はその階にはいません」とバハグハリが言った。オノールは飛び上がった。
「どうやって——」
「拘束具をハッキングしました。プラクシックの技術です。機関に背教者がいます」
「その件は後回しにしよう。最上階にはいないと言っていたな?」
「はい。地下です。道の下にあります。建物には私たちしかいません。強行突破しようなんて考えないでください。チームか、あるいはギャラルホルンが必要です」
「ビッグハリ、残念だがそのどちらも見当たらない」
「絶対に無茶はしないでください」
「私は何も言ってない」
「私をそう呼ぶ時は、決まって馬鹿な真似をしようとしている時です」
✱✱
磁気浮上列車を操縦したのはその時が初めてだった。彼女は先頭車両でその加速力を身体中で感じ取りながら、嘘みたいなスピードで通り過ぎる景色を楽しんでいた。
列車には誰もいなかった。操縦を奪う前に、乗客と運転士には降りるように命じたのだ。コーモラントの印のおかげで人々を説得するのにさほど時間はかからなかった。
カーブが目の前に迫ると、彼女は手首で操縦を制御した。
レールとそれを守るバリア上に置かれていた複数の近接地雷が爆発し、列車は煙と炎の中を突き進んだ——
遥か眼下に見える、赤さび色の建物に向かって。
✱✱
バハグハリに見えるものは彼女にも全て見える。たとえ死んでいる時でさえもだ。
建物のなかにいる者たちは、まるで世界の終わりのように感じただろう。
彼女のゴーストはそうした中を抜け出し、アジトの最上階に突き刺さった列車の先頭車両に一直線に向かっていた。ぐったりとしたオノールのもとに辿り着いた時、生き残っていた手負いの影たちが、彼女の背後に迫っていた。彼女の瞳は光とともに眩く燃えていた。
オノールは光の柱から飛び起きると、影の強烈な一撃をかわし、その腹に焼けるような掌底を撃ち込んだ。彼女は男を焼き尽くし、そのまま前転して、2人目の影が放ったハンドキャノンをかわした。
前転の勢いを利用して、固まっている敵に迫り、無防備な男の足を砕いた。男が崩れ落ちると同時に馬乗りになり、燃えさかる肘を何度も打ちつけ相手を気絶させた。
バハグハリが彼女の背後に近づいた。「まだ3人残っています… この列車の下に。どうしますか?」
オノールは立ち上がると、体中が血と灰にまみれていた。
「奴らのゴーストを奪う。バンガードに連絡するんだ。5名の背教者を捕まえたとな」
オノールは焦げてボロボロになった列車の運転室で自分のコートを見つけた。彼女はそれを羽織ると、コーモラントの印を握りしめ、倒れている影のそばに座り、彼らのゴーストが現れるのを待った。
無線から音が聞こえた。
「死者はいない。上出来ね」とイコラが言った。
「ウォーロックのリーダーとして言っているのか? それとも潜みし者としてか?」オノールが尋ねた。
「友として。あなたは失敗した。だけどその分はきちんと取り返した。ザヴァラも私も、あなたの協力には感謝している。とはいえ——」
「あの放浪者とギャンビットの件はまだ終わっていない、間違いなくね」
「オノール」
「何だ」
「不満はない? 私たちはあなたに頼ってばかりで」
「お前の仕事だって楽じゃないのは分かってる。それにシティはあの男のコネクションと能力を必要としている。彼がオリンを取り戻せるのなら…」
「ええ、続きは朝になってからにしましょう」
彼女は頭上の燃えさかる線路を見上げ、自分の周りを見渡した。
彼女は今になってようやくこの現実を受け入れた。
市民アトリウム南
放浪者はバザーの角を曲がると、店先に吊されていた布を掴んだ。
身を低くして門をくぐると、ほとんど使われていない出入り口から民間用の通路に入った。歩きながら、頭と顔を隠すように布を体に巻き付けた。歩きながら、徐々に歩幅と姿勢を変え、最終的にはゆっくりとした足取りで、少し屈んだ姿勢になっていた。次のアトリウムに入る頃には、まるであれから60年が経ったかのような姿になっていた。
そこでは老人たちが太陽の光を浴びていた。彼はその仲間であるかのように、よろよろとした足取りで近づき、その場に腰掛けた。
「ここは初めてか?」中の1人が声をかけてきた。
「いつだって初心は忘れないようにしてるんだ」彼はひょうひょうと答えた。
「その気持ちは分かるよ」その老人はそう言うと、目の前を通り過ぎて行くタイタンの集団を見つめた。身に着けているアーマーが太陽の光を反射させていた。「彼らはいつも変わらない」とその集団を示しながら言った。「だが彼らの周囲にあるものは彼らの気分次第で変わる。良くも悪くもな」
「確かにそのとおりだ」。それは彼が意図したことではなかった。人通りが落ち着いたことで、別館まで真っ直ぐ向かうことができた。ギャンビットのルールや配当の変更で、彼を悩ませるガーディアンは1人もいなかった。
彼は光と一緒にそこを訪れるのが好きじゃなかった。彼らの生真面目さにはうんざりしていた。どうしても食事が必要な時だけ行くようにしていた。彼のギャンビット好きには理由があった。そしてそれは唯一の理由でもだった。闇のかけらに魅了されていたのだ。
彼の隣に誰かが腰掛け、ベンチが軋んだ。彼は顔を上げようともしなかった。彼らはいずれいなくなる。
「お前の情報は正しかった」とその声の持ち主は言った。「驚いたことにな」
顔を上げると、1人の女性がいた。肌は褐色で、鼻は曲がっていて、理知的な目でこちらを見ていた。彼女は黒いコートを羽織り、その下にはライトアーマーをつけていた。ウォーロックだ。知らない顔だ。「人違いをしているようだ」震えた声でそう応えた。
彼女は複雑な装飾を施された、タイタンのこぶしほどの石版を彼に見せた。コーモラントの印だ。
「お前から買った影に関する情報は正しかった」と彼女は繰り返した。「まさか寝返ったのか?」
彼は瞬きをした。ごまかしても意味はない。演技をやめ、背を伸ばして座り直した。「俺は自分しか信用しない。連中は生きているのか?」
右手に座っていた老人たちは顔をしかめ、ひそひそと仲間内で話し始めた。
「1人を除いてな。着いたころには私たちの共通の友人が仕事を始めていた」
「あの3人は間抜けだった。夢見事を追いかけてただけだ。他人に害を及ぼすような連中じゃない」
「甘い考え方をしているようだな。奴らは今や捕らわれの身だ」
「話は終わりか? 時間はもっと有意義に使いたいんだ。このブランケットや、無愛想な仲間たちと一緒にな」
「お前の弟子の記録は聞いた」彼女は言った。
「クソ野郎」彼は怒りを込めずに言った。
「バンガードはお前を利用できると考えている」
「お前はどう思う?」
「お前は信用に値しない罪人だ。ただ… オリンはお前にチャンスを与えた」
彼は彼女の方に向き直った。
「お前なら彼女を連れ戻せるかもしれない」と彼女は続けた。彼は何も言わなかったが、目を逸らそうともしなかった。
オノールは立ち上がった。「お前と同じようにな」