シーズン14

Last-modified: 2021-05-13 (木) 21:28:41

ゼロネイロのシェル

デジタルで夢を見るゴースト用。

ジョルアは腕を広げて集中した。彼の目の前にあるローテーブルの上には、くたびれたブーツが置かれている。手首にはめられたスプライサー・ガントレットのブレードが静かにブンブンと音を立てている。

バスクは彼には目もくれず、空中に浮きながら窓に近づくと、クルーシブルのスコアを確認し始めた。

「この古いブーツを覆う光をイメージしろ」とジョルアが真面目に言った。「この――」

「口に出して言う必要はありません」とバスクは言うと、睨みつけるように目の上のシェルを少し引き下げた。

「屈曲する光をイメージしろ」とジョルアが大きな声で言った。「それが完璧な環を描きながら現実に戻ってくる姿が見える。物理的世界の糸をかき鳴らし、光を曲げ、それを精神の中で再構築する、そして…」

彼はしっかりと目を閉じると囁いた。「ジオマグ・スタビライザー」

ガントレットのブレードが弱々しく音を立てて止まる。彼は目を開くと、ブーツを見て唸り声を上げた。バスクが彼の肩の上に移動した。「私なら市場で中古品を手に入れられます。しかもそれほど――」

「ミスラックスは、我々には自分の思いどおりに光の形を変えられる力があると言っていた」ジョルアはガントレットを調整しながら溜息をついた。「現実のほんの一部を変えるだけでいい。ジオマグ・スタビライザーの“ノー”を“イエス”に変えるだけだ」

「最後にあなたを蘇生させた時に脳の一部を置いてきてしまったのかもしれません」とバスクは言った。

「今、俺には静かにしているお前の姿が見える」ジョルアはそう言うと腕を開いた。「この古いブーツを覆う光をイメージしろ…」