アプローチ・インフィニティ
限界は存在しない。
「猛スピードでスパローを操縦していると、自分は生きているんだって思える」
これって本当に典型的なハンターの言い回し。ハンターを見下しているわけではないけど、理解できない(でも言わせてせ。理解しようと頑張ったの)。自分が生きていると思い出させる必要がどこにあるのか。私は死ぬたびに思い出している。
私がスパローを猛スピードで操縦するのはこの宇宙での私の存在を思い出すため。私に伝わる全ての力、私が破ることができない運動の法則とできる法則の間を思い出させる。個人的に私が破ることができないものに興味があるんだけど。自分自身を常軌を逸した物理学者だと考えると、際どい境目を見極めるのが好き。その境目を避けるためじゃない。その境目を見つけることに...何て言うか、興奮をするの。
そして、見極めるためにあのベックス液の滝をスパローで超えなければいけないなら、もちろん、やってみせる。
暁旦のお祝い
伝統の中には真実にしては話が出来過ぎているものがある。
「これは何?」
カシムはにやりと笑い、子供たちが彼のスパローをよく見られるように後ろに立った。「クリングルのそりだ」
「それって誰?」ルナが大声で言った。11歳で、このグループの最年長だ。
「クリングルさんだ」崩壊前の伝統についてよく勉強していたカシムが言う。「暁旦が来ると、クリングルはシティの良い子の家に来る。夜にやってきて、みんなが寝ている間に家にプレゼントを置いていくんだ」
「でも、ドアには鍵がかかってるよ。変な人がいるから」と、トーマスが言った。
「彼は煙突をすり抜けるんだ」カシムは言った。いや、滑り降りるだっただろうか?
「どうやって入るの?」最年少のマツコが言った。
「そうだな」カシムはためらった。「彼は魔法使いだ…」
「それじゃ、ガーディアンなんだ」ルナが言う。
「違うよ、ガーディアンじゃない」
子供たちは顔を見合わせて一斉にけたたましくしゃべり始めた。
「暖炉に火がついてても入ってこられる?」トーマスが心配そうに言った。
「彼は火傷しないんだ」カシムは疲れてきていた。「いいか。彼は——」
「火なんてなんともないのね」ルナが真剣に言った。
マツコは泣き始めた。トーマスがスパローを蹴った。「こら!」とカシム。「いいか、彼は実在しない、いいな? クリングルは実在しない。作り話だ」彼はスパローを子供たちから離した。「今の話は… 全部忘れろ」
ルナは去っていくカシムを見送った。「心配しないで」と、マツコに言った。「クリングルはシャックス卿が止めてくれるから」
灼熱
火には火をもって戦え。そして、他の全てのものに対しても火で戦え。
「...これって火がついてるものなの?」
マーカスはズボンが煤だらけなのを気にせず、手を洗った。「いやそんなはずじゃない」彼は認めた。「だけど、燃えるのを止められないんだ」
アリアドネは頭を傾けながら、炎を見ている。「どうして?」
アナが統合するのを手伝った、ソーラーエネルギーのせい」彼は言った。「全く...抑制が効かないんだ。でも走るには問題ない。試してみたし」
「その火、外に漏れないの?」
「見た限りではね」
「ふむ」アリアドネは手を組んだ。「危なそうだけど」
「まあね。さっきも言ったけど、今のところは大丈夫。走れると思う。でも、どれだけ持つかは分からない。突然爆発することもあり得る」
彼らは無言で黒焦げのスパローが燃えているのを見ている。
「カッコいいけどね」アリアドネが呟いた。
マーカスは笑った「だろ?」
ダークホース
そこには印らしき印はなかった。ただ1のマークが側面に押されていた。
初っ端から、マーカスがリードしている。
エノックのスピードに合わせるために減速しながら、今夜の祝勝パーティーを計画している。
「いいってことよ」彼は叫んだ。「良い眺めだろ!」
彼は前方で音を立てながら、笑っている。次のラップでエノックの横にまた並ぶのを待っているのだ。ディディがアナウンスフィードの音量を上げようとしているが、マーカスは聞きたくないみたいだ。彼は音を小さくした。
「頑張れ、レン」エノックがうなっている。「グリマーを賭けれたかも」
ヘルメットの下で、マーカスはにやりと笑っている。「この勝負はカメとウサギの様にはいかないぜ」彼は言った。「俺が—」
スパローがあまりに早く進むためにマーカスはバランスを崩しかけた。
そして直ぐに、彼は前を見つめた。そしてハンドルバーに対して身体を並行にして、スラスターをふかした。スパローもライダーも認識できない。だが、彼が距離を縮めればそれは問題じゃなくなる...
半周の所でも、彼はまだ巻き返しを図ることができない。ライダーはどんどん前に進んでいく。
今回は、マーカスはディディがアナウンスフィードの音量を最大にするのを止めなかった。「レンが今日は後れを取りそうです!」
勝利は賞金を要求しない「ジェーン・ドエ」のものとなった。
ブロンコ
「男の価値はそのものの操作技量で決まる」——テックス99-40
「彼らはかつての様な状態で作ったりはしない」
テックス・メカニカで、銃について何年も語ってきた。近頃のテクノロジーの発展で、人々は何が新しい、何が次に来ると、夢想的になってきている時に、しっかりとした機械とスマートなデザインが純粋な火力に毎回勝ってきた。だが、それもいつもそういものではない。そして、テックスの銃ににおいても、そうならなければということは全くない。
私達は銃があるべき姿である、早く、強力で、頑丈な銃を作る。
そして今、私達は新たな地を目指している。その通り、鞍を付けて、乗る準備を始めたのだ。テックス・メカニカはスパローの業界に進出する。
ガーディアンが頭に描く本当の体験をもとにデザインした。この美しき機体は、あなたの道に忽然とある、廃棄物など横たわっている、起伏の多い地形においても活用でき、素早く走ることができる。
私の性格は、企業のブランド・アイデンティティーから成った金属の古い塊みたいな性格をしているかもしれない。だが、品質に関してはよく理解しているのだ、ガーディアン。そして品質を追求したたいと思うのなら、テックス・メカニカがあなたのお供となる。
もし遊ぶのなら、真剣に勝負しようという、私達のモットーのように。