螺旋の影

Last-modified: 2021-05-17 (月) 22:16:09

「お前は本当に強く、大きくなった。素晴らしい」――カバルの皇帝カルス

ワシの知っているカバルは指導者の才覚を持っている者ばかりだった。教養を促す技量があった。戦いに優れているというのは、気品がある証拠だ。ワシの討論室は戦場ほどに輝かしい。

それが見ろ。レッドリージョンを混沌に導いているこのバルスとは何者だ? どうしてもその名前を覚えられない。こやつがいなければ、このカバル達をワシが包み込んでやったというのに。もしかすると、ワシがレッドリージョンを挽回させてやれるかもしれない。

カバル大戦の前は、カバルには少なくともドミヌス・ガウルという指導者がいた。

今まで以上に、帝国がワシを必要としている。お前を必要としている。

お前のガーディアン族の影が、カバル達にかつての栄光を思い出させてくれるだろう。誇りと、不屈さと、戦いでの獰猛さと、平穏の中での教養を。そして、お前が既にやっていることをすればそれを達成できる。

前へ進み続けろ。あやつらを駆り立てろ。変わらせろ。でなければ、死だ。

――カバルの皇帝カルス

「先導者。精鋭歩兵。勇ましい指導者。お前の一派は素晴らしい影となるだろう」――カバルの皇帝カルス

ワシの知っているカバルなら、お前のシティを、タワーを奪い返されることはなかった。宇宙の果てへ流刑される前なら、「神聖なる権力の名の下に!」とワシは言っただろう。あれからワシはそんなものが存在しないことを学んだ。終結しかないことを学んだのだ。それなら、何が違っていたのか? 教養だ。

お前の種族は光のお陰でカバルに勝利できたのではない。我々はお前が現れる前に光と戦ったことがある。今までは光で勝利してきたかもしれないが、光を奪うことなく打ち負かす方法が存在するのだ。レッドリージョンはその方法を忘れてしまっただけだ。

お前とお前のガーディアン族は前よりも鍛錬を積み、理解している。この太陽系で史上最強の戦力だ。そして、その粗野な偏愛にもかかわらず、お前には教養がある。精鋭だ。一部の例外を除いては、お前達は手に入れたものを維持している。そして、繁栄している。確かに、レッドリージョンはシティの征服に成功した。だが、最後にはお前に全てを奪われた。そして、お前の守りは前よりも固くなっている。

お前のガーディアン族の影は、帝国の兵士を訓練するに相応しい人材になるだろう。激しい打撃で壊してから新しく作り出してくれるだろう。その広く強い肩を持つ兵士を。

――カバルの皇帝カルス

「もう少し強くなれ。もっと力強い心構えを持つのだ。お前は... もう少しで影を落とすに相応しい存在になろうとしている」――カバルの皇帝カルス

ワシの知っているカバルは精神の強化が大事であると理解している。サイオンの念力のことを言っているのではない。ワシに仕える歩兵達が奮い起こす意志の力のことを言っているのだ。ワシのロイヤリストでさえ、この何年かで軟弱化してしまった。啓発から遠ざかっている。

だが、お前のガーディアン族を見ると、ワシの知っているカバルの輝きが見える。戦闘に飛んでいく姿。お前の体が武器なのだ。お前の種族は理由もなく死ぬ。それを見たことがある。

お前の死は永遠には続かないが、だからと言って死ぬという体験が楽になるものか? ウォービーストに引き裂かれ、サイオニックエネルギーでバラバラにされても、もう痛くなくなったと言えるか? 最強のガーディアンでさえも、頻繁にゴーストに体をつなぎ合わせてもらっている。それでも、お前は毎回同じ情熱を持って戦闘に飛び込んでいく。

お前のガーディアン族の影が、この利他的な姿勢を帝国に復活させてくれるだろう。ワシのロイヤリストがしっかり学ぶように事前に話しておこう。

――カバルの皇帝カルス

「ワシがこれまでいくつかの種族と出会ったが、その中から影となれたのは種族ごとに1人だけだ。こんなにも多くの光が存在しているのに、ワシに残された時間は残り少ない」――カバル皇の帝カルス

ワシが覚えているカバルは接近戦で敵を圧倒した。考えの凝り固まった数々の種族から技術を学び、それを共有した。だが、それは昔の話だ。レッドリージョンの訓練は、レッドリージョンの武器と同じ。派手な爆発と大きな音だけだ。ガウルは... まあまあだった。だが、ガウルは特別だった。

我々の固い骨を敵の柔らかい組織に投げ込む時のあの高揚感。我々はもっと破壊力のある投げ方ができるように精巧な方法を考え出した。お前のように。

お前のガーディアン族は1つ1つの攻撃に大いに敬意を表している。お前達にとっては芸術なのだ。1発1発を大事に打ち出しているのを見ればそれが分かる。お前は味わいながらやっている。お前の骨が敵の骨を砕き、血が飛び散る瞬間を。

それに光を加えれば、お前の破壊力はさらに大きくなる。

偽の帝国が光を手にすることはない。もう二度とな。だが、お前のガーディアン族の影なら彼らを導き、もう一度自分をどう動かせばいいのかを教えられるだろう。どのやって骨を投げ込むのかを。

――カバルの皇帝カルス

「これを見ることで、偽りのカバルはお前が私に仕えたことを知るだろう。表には出さないが、奴らはお前を恐れるだろう。当然だ」――カバルの皇帝カルス

お前はレッドリージョンにワシの旗を翻している姿を見せた。時が満ちれば、いちいち頼む必要などなくなるだろう。お前はワシの味方だ。

お前が敵を粉砕してやるのを見ればそれが分かる。その拳が敵の顔の一部となる時、その光で奴らを叩き潰す時に確信できる。思わず見とれてしまう。だが、地球は影を落とさない。今はまだな。

時が来れば、お前は素晴らしい存在となる。ガーディアンの中のガーディアン。影の中の影。

終結が来る時、最後に立っているのはこのワシだ。そして、そのためにはお前が傍に必要だ。

お前はもう少しのところまで来ている。

――カバルの皇帝カルス