ブレイ研究所記録 - 機密

Last-modified: 2021-05-14 (金) 19:04:02

実験番号: 142 - レディオラリア液摂取

記録: 3923E112$EUR-0.280
件名: セキュリティログE-098
実験番号: 142 - レディオラリア液摂取 - 試験1
ステータス: 機密
個人情報: C・ブレイ I、J・ウォン、患者01
場所: エウロパ – ディープストーン・クリプト

[C.B.] どんな味だ?

[P01] 金属の味です。ざらざらしている。何というか…

[C.B.] 消化できそうか?

[P01] 栄養は… あるみたいです。冷たい。食道を通っているのが分かる。

[J.W.] これは期待できますね。今のところ直ちに影響が出るということもない。

[P01] ええ… いえ… 待ってください。(顔をしかめる)

[C.B.] どうした? 説明しろ。

[P01] まるで… 胃を攻撃されているみたいだ――(吐く)

[J.W.] 心拍数が急激に上昇し、血圧が低下しています。クソ、異常な早さで液が失われていく。

[C.B.] 面白くなってきたな。これからどうなる?

[J.W.] 彼は死にます。それがこれから起きることです。

[C.B.] なるほど。医療班を呼べ。

[J.W.] 安全性を確認できません。伝染しないとは言い切れない。空気感染する可能性もあります。

[C.B.] それを確認する方法が他にあるか?

[J.W.] …医療班を呼びます。

実験番号: 167 - レディオラリア液注入

記録: 4087E201$EUR-0.311
件名: セキュリティログE-127
実験番号: 167 - レディオラリア液注入 - 試験1
ステータス: 機密
個人情報: C・ブレイ I、J・ウォン、患者02
場所: エウロパ – ディープストーン・クリプト

[C.B.] これで2度目だ。直接消費と直接注入はほとんど同じ結果になる。

[J.W.] 空気感染はしないことが確認できました。ただ液体に直接触れるとやはり汚染されてしまいます。

[C.B.] その呼び方はどうだろうな。これは汚染ではない。再プログラミングだ。このセッションにヘルガを参加させたい。彼女の思考回路はエンジニアのそれだ。彼女なら我々の求める回避方法を見つけられるだろう。ユニットはより小さく、素材は強力で、動力源も刷新する。

[J.W.] 私は反対です。彼女は… 科学の追究は彼女にとって必ずしも最優先事項ではありません。

[C.B.] この光景――新時代の瀬戸際――を目にすれば、彼女も歩調を合わせるだろう。

[J.W.] 私は法に支配されたくありません。そもそも我々はそのためにここに来たのでは? 彼女の経歴を考慮すると、人類の倫理組織的なものから追求を受けるのも時間の問題に――

[C.B.] 私がこの件について意見を求めたか? 清掃クルーを送り、次の患者を準備しろ。

[J.W.] …待ってください。腕が… 形が変化しています…

[C.B.] あれを見てみろ。

[J.W.] まるで個体レベルで細胞が置き換わっているかのようです。

[C.B.] 抑制は可能か? 伝播を止める方法はあるか?

[J.W.] 切断はできます。ただこの速度だと、恐らく間に合わないでしょう。

[C.B.] クラリティに曝露させれば速度を落とせるかもしれない。抑制して、腕を調べる必要がある。それでも死ぬようなら、腕を切断して他の患者に移植すればいい。

[J.W.] でもここには今、他の患者は… まさか。

[C.B.] 美しい新たな腕が欲しくないか? 強くなりたくないか? 不死身になりたくないか?

[J.W.] …

[C.B.] そう驚いたふりをするな。我々の研究の目的は承知しているはずだ。

実験番号: 259 - 超時間航行

記録: 4987E230$EUR-0.403
件名: セキュリティログE-205
実験番号: 259 - 超時間航行 - 試験3
ステータス: 機密
個人情報: C・ブレイ I、J・ウォン、参加者01-05
場所: エウロパ – イーブンタイドコロニー

[C.B.] 彼らを送れ。

[J.W.] //参加者は全員前進してポータルの中へ。鎖から手を離さないようにしてください。10数えたら元の位置に戻ってください。//年を取るか若くなるか、どちらに賭けますか?

[C.B.] 年を取るほうだ。ただ若返って戻ってきたら、次は私が入る。

[J.W.] (笑う)自分を実験台にするなら、もっと臨床試験をしてからにすべきです。

[C.B.] 始めるぞ。ポータルに入った。

[J.W.] カウントダウン: 10、9、8、7、6、5、4、3、2、1…//鎖を引っ張って彼らを引き戻せ。//

[C.B.] 皆はどこだ?

[J.W.] 鎖が引っかかっているようです。

[C.B.] もっと強く引っ張れ。

[J.W.] //ウインチで巻き上げろ。//このままだと切断されてしまいます。向かった先がよっぽど気に入ったのかもしれません。

[C.B.] あるいは何かが彼らをそこに引き留めている可能性もある。

[J.W.] 諦めたようです。彼らが戻ってきました。(ムチで叩くような雑音) (水しぶきの音)

[C.B.] おお、こいつは酷いな… 臭わないか? ガラス越しに染み出してくる。あれはいったい何だ?

[J.W.] どうやら、完全に細胞が変質してしまったようです。彼らはただの… ドロドロとした粘液です。それ以上に相応しい言葉が思いつきません。

[C.B.] どうやら私が入るのはまだ先になりそうだな。

[J.W.] 人類にはまだ克服できないものが存在しているということかもしれません。

[C.B.] 本気でそう考えているならそれは間違いだ、ジャスティン。適切な微調整が必要なだけだ。

実験番号: 312 - エクソアーム取り付け

記録: 5002E290$EUR-0.435
件名: セキュリティログE-222
実験番号: 312 - エクソアーム取り付け -試験4
ステータス: 機密
個人情報: H・ラスムッセン、C・ブレイ I、患者32
場所: エウロパ – イーブンタイドコロニー

[H.R.] //人差し指はどう?//

[P32] いや… 駄目です。

[H.R.] 四肢は無反応のままです。//感覚のようなものはある?//

[P32] 幻肢痛だけです。かきむしりたいほどのかゆみを感じます。胸が重いです。まるで誰かに乗られているかのような感覚です。

[H.R.] 神経はアームの機構にしっかりと接続されていますが、活動電位が発生しません。

[C.B.] 失敗だな、ヘルガ。

[H.R.] まだ試験段階です。今はこの結果で満足すべきです。

[C.B.] 基本的に私が満足することはありえない。

[P32] ちょっといいですか? 息が… 苦しくなってきました。

[H.R.] 重度の心筋梗塞です。//医療班を呼んで。//どうやら当初の私の仮説が正しかったようです。現時点で人類の肉体は、この機械部品に求められる身体的条件を満たしていない。

[C.B.] それなら進化するしかないな。

[H.R.] では、そうましょう。即座に私を1億年後までジャンプさせてください。

[C.B.] 霊長類や魚、そして一部の鳥など、転写後変異――遺伝子スプライシング――についてはかなり研究が進んでいる。我々がより強い人類を作り出せるとしたら? この工程にも耐えられると思うか?

[H.R.] 私はエンジニアです。遺伝子学者ではありません。その猿人が金属の腕を扱えるかは分かりません。

[C.B.] 私の提案を随分と無味乾燥にまとめ上げてくれたな。

[H.R.] 彼は死にました。我々は彼を失ってしまった。

[C.B.] 昔からこういう諺がある。もし1回目で成功しなかったら…

実験番号: 088 - 原子力エクソ

記録: 0872E136$SS-0.032
件名: セキュリティログA-123
実験番号: 088 - 原子力エクソ-試験01
ステータス: 機密
個人情報: C・ブレイ I、D・チェンバーズ
場所: モーニングスター軌道プラットフォーム / エウロパ - 座標不明

  • モーニングスター軌道プラットフォーム(MSOP)から通信。通信ID: C・ブレイ---

[D.C.] 準備ができました。いつでも命令してください。

[C.B.] リアクターは安定しているか?

[D.C.] 安定しています。エクソの体に組み込む準備もできています。

[C.B.] これが上手く行けば、今日の成功は数世代に渡って称賛され続けることになるだろう。

[D.C.] 口を挟むようで申し訳ありませんが、我々はあなたがここに来てくれることを期待してました。そうすれば彼らの自信にもなったはずです。

[C.B.] もう一度言うが、クラリティの代替動力源を見つけると主張したのはお前だ。既に上手くいっているにも関わらずな。それに、私の目の前でそのリアクターが爆発すれば、我々の文明は今後数世紀に渡ってこれ以上にないほどの損失を被ることになる。分かったらさっさと始めろ。

[D.C.] 了解しました。//コアをインストールしろ。//しっかりと見えていますか?

[C.B.] 固唾をのんで見守っている。

[D.C.] 推定距離、3ミリメートル… 2ミリメートル… 1ミリメートル… 設置完了。//シャーシをロック。オルタネーターのスイッチを入れて電力経路を切替えろ。//

[C.B.] 何も起こらないぞ。

[D.C.] (溜息)どうやらそのようです。

[C.B.] 原子力が動力源として不十分なら、もしかしたら他に使い道が…

[D.C.] 少なくとも、互換性はありません。

[C.B.] 実に興味深いことだが、このシャーシは同等の破壊力を秘めた様々な力にも対応できるようだ。つまり歩く爆弾を手に入れたと言っても過言ではない。

  • 通信終了---

実験番号: 109 - 栄養補給

記録: 1224E209$SS-0.113
件名: セキュリティログA-280
実験番号: 109 - 栄養補給 - 試験15
ステータス: 機密
個人情報: C・ブレイ I、A・フォルツコグ、患者27-31
場所: モーニングスター軌道プラットフォーム

[C.B.] よし、アガサ、状況を報告してくれ。

[A.F.] 命令に従って作業を行ないました。十分な栄養素とタンパク質を蒸留して濃縮し、それを1つの錠剤にしました。これを平均的な患者に投与すれば、10年は食物を摂取せずに済むはずです。

[C.B.] そこはまだ始まりだ。できればその年数をさらに延ばしたい。食事に時間を取られるのが面倒で仕方ないんだ。この錠剤がもたらす生産性を想像してみてくれ。軍事的な作業効率にも当然大きく関わる。次なる削減対象は睡眠だ。

[A.F.] この錠剤を24時間前に5人の患者に投与しました。

[C.B.] 彼らの順応度はどうだ?

[A.F.] //患者27、食欲はありますか?//

[P27] 食欲はないです。食べ物は欲しい、でも恐らく習慣的なものでしょう。

[A.F.] //患者28はどうですか?//

[P28] 満腹です。

[P30] むしろ満腹すぎる、といった感じです。

[A.F.] //他に同じような感覚がする者は?//

(複数の同意の声)

[C.B.] 予想どおりといったところか。奇妙な感覚なのだろうな。

[P29] その… 実は、かなり気分が悪いです。(うめき声)

[P31] トイレに行ってもいいですか?

[A.F.] //確認作業が終わってからにしてください。//

[P27] それまで持ちそうにありません。

[P28] クソ… 腹の中で…(うめき声)何が起こってるんだ…

[C.B.] 彼らの胃が拡大し続けている。修正しろ。

[A.F.] 私では… ああ、無理です。

(うめき声) (吐く音) (悲鳴) (破裂) (破裂) (破裂) (破裂) (破裂) (液体が飛び散る)

[C.B.] アガサ、どうやらまだ解決策は見つかっていないようだな。この混乱の処理は任せるぞ。役立たずなお前にな。このような光景を二度と私に見せるな。実に不愉快だ。

実験番号: 140 - クラリティコントロール曝露

記録: 1560E308$SS-0.287
件名: セキュリティログA-322
実験番号: 140 - クラリティコントロール曝露 - 試験03
ステータス: 機密
個人情報: C・ブレイ I、M・ムニズ
場所: モーニングスター軌道プラットフォーム

[M.M.] クラリティコントロールから報告です。

[C.B.] 時間どおりだな。それで?

[M.M.] 彼らは死にました。

[C.B.] 何人だ?

[M.M.] 全員です。

[C.B.] 全員が物理的に接触したのか?

[M.M.] いえ。近くにいただけの者もいました。記録もあります。もし興味があればですが。

[C.B.] 今すぐ見せろ。

  • 録画再生---

「ねえ… 今の聞こえた?」

「何が?」

「その声は… ママ? ママなの?」

「駄目だ! そこに近づく――」

(言葉にならない悲鳴) (息切れ) (液体が飛び散る)

  • 録画再生終了---

[C.B.] 興味深い。どうやら彼らと対話していたようだ。彼らに何と言ったのだろうか…

[M.M.] 許可をいただけるなら、このエリアを隔離して全てのアクセスを制限したいのですが。

[C.B.] 他の方法を試してみよう。他の者を送れ。彼らには何も言うな。距離を保てとだけ伝えておけ。あれがどんなことを言うか知りたい。

実験番号: 167 - 特別付属物

記録: 6880E465$EUR-0.832
件名: セキュリティログE-411
実験番号: 167 - 特別付属物 - 試験08
ステータス: 機密
個人情報: C・ブレイ I、D・チェンバーズ、患者103
場所: エウロパ - イーブンタイドコロニー

[D.C.] 私たちはこの問題を切り離して解決できたと確信しています。

[C.B.] 絶対に成功する。私の経験がそれを証明している。

[D.C.] ええ、以前にあなたが言っていたとおりです。例の変遷は衝撃が大きすぎたようです。今回は患者の記憶の一部を改ざんしました。これなら彼らは、追加された腕が自分のものであると信じるはずです。

[C.B.] なるほど。非常に高価なエクソが自壊する姿は二度と見たくないからな。

[D.C.] //患者をオンラインにしてくれ。// 既に初期起動セミナーは終了しているのですぐに開始できます。

[C.B.] 彼らはあの塔を見たのか?

[D.C.] はい。//体調はどうですか?//

[P103] あまりよくありません… ここはどこですか?

[D.C.] //立ち上がって体の可動域を確認してみてください。//

[P103] 何をすればいいですか?

[D.C.] //両手を上げてください。//4本の腕は全て機能しているようです。

[C.B.] 祝杯をあげるのはまだ早い。腕が同じ動きをしている。個々に動かすことはできるか?

[D.C.] //腕を動かしてください。個別にです。//

[P103] む… 無理です。できません。不可能です。これは――私の腕ではない。これは。離れろ! 離れてくれ!(悲鳴)

[C.B.] どうやら精神崩壊寸前のようだ。

(金属の裂ける音) (悲鳴)

[C.B.] ドクター・チェンバーズ、次に実験を行なうときは患者と同じ部屋にいろ。分かったな?

[D.C.] …了解しました。

実験番号: 512 - 氷の操作

記録: 6882E467$EUR-0.838
件名: セキュリティログE-419
実験番号: 512 - 氷の操作 - 試験03
ステータス: 機密
個人情報: C・ブレイ I、J・ウォン、エクソ98
場所: エウロパ - CMC

[C.B.] 我々のエクソを未来に紹介する準備はできたか?

[J.W.] エネルギー転送を開始しました。

[C.B.] たまらない音色だな。進展の音だ。

[J.W.] 現在15%。

[C.B.] 彼の手を見てみろ。素晴らしい。

[J.W.] 手のひらの中で氷が凝縮されています。現在20%。

[C.B.] 今、アブラムがここに入ってきたら、どんな顔をするか想像してみろ。あいつには先見性がない。あの手の奴は信用できない。

[J.W.] おっしゃるとおりです。閾値現在25%。恐らくこれが最適値です。

[C.B.] 彼に何ができるか確認してみよう。//エネルギーを集中させて小規模な爆発を発生させてみろ。//

(大きな共鳴音) (爆発) (衝撃)

[C.B.] 壁を貫通したぞ。

[J.W.] シャンパンで乾杯しましょう。現在30%。そろそろ止めますか?

[C.B.] いや、続けろ。彼にシャンパンを冷やしてもらおう。(笑う)

[J.W.] 35%を越えました。氷が腕にも発生し始めました。ここでやめておいたほうがいいかもしれません。

[C.B.] いや。続けろ。//もう一度爆発を発生させろ!//

(大きな共鳴音) (共鳴音が大きくなる)

[C.B.] 爆発させろと言っているだろう! 今すぐ爆発させるんだ!

(共鳴音が大きくなる)

[J.W.] 氷が体全体に広がっていきます。

(共鳴音が大きくなる)

[C.B.] このままだと氷柱になる。//爆発させろ!//

[J.W.] 反応がありません。信号を切断します。

(共鳴音がおさまる)

[C.B.] まだ生きているか?

[J.W.] ガチガチに凍り付いています。まだ機能する可能性はあります。

[C.B.] 素晴らしい。我々は厳重な管理のもとで着実に進歩している。この力を何としても制御したい、そのためであればどんな犠牲もいとわない。