ガーディアン・ゲーム

Last-modified: 2021-05-17 (月) 22:04:33

「その拳があるのに、銃など必要か? お前ならやれるはずだ!」――シャックス卿

プラクケシュは、タワーの基底部のいつもの場所に停まっている、自分の灰色蜂に腰掛けていた。元ガーディアンである彼は、フードカートで購入したキムチブリトーを片手に持ちながら、もう片方の手でクルーシブルの対戦結果をスクロールしていた。ガーディアン・ゲームには常に多くのギャンブラーたちが集まってくるため、彼はどのファイアチームが優れているのかを知る必要があった。その年はギャンブルビジネスの当たり年になりそうだった。

胴元を守る巨躯のボディーガード、トゥルニクが、タワーに寄りかかりながらカバルのピンナップを見ている。元コルセアが舌を使って警告音を発した。プラクケシュの注意がブリトーから、重々しくこちらに向かってくる3人組の巨大なタイタンたちに注がれた。彼の毛皮のベストにキムチの汁がポタリと落ちた。

そのファイアチームのリーダーであるサンブレーカーが胴元を見下ろした。「お前の、その… 毛だらけのシャツに何かついているぞ」

プラクケシュがブリトーの残りを後ろに放り投げると、タワーの側面にぶつかってグシャリと潰れた。「ああ。これは… アルパカだ」と言うと、彼は染みを隠すように両手を組んだ。「それで何の用だ?」

センティネルが歩み出た。「次のゲームでハンターが勝つほうに賭けたい」

プラクケシュが大きく目を見開いた。「本気か? 八百長でもするのか? これは驚いたな」と言うと、彼は内緒話をするかように体を乗り出した。「ザヴァラはこの件を知らない… そうだな?」

タイタンたちが混乱した様子で視線を交わした。ストライカーが話し始めた。「ザヴァラは知らない。我々はハンターに賭けたい」

胴元が眉をしかめた。「そうか。お前たちはハンターに賭ける、なぜなら試合を放棄するつもりだからだ」表情のないヘルメット越しの視線が彼に詳しい説明を促した。「つまりだな、お前たちはわざと負けようとしている… ってことだろ?」

サンブレーカーが驚いた表情をしている。「タイタンがハンターに負けることはない」

「そうだ、戦いでは我々のほうが遙かに優れている」とセンティネルが同意した。「ハンターは小さなナイフを手に飛び回るか、煙の中に隠れるだけだ」と言うと、彼は狂ったように手を振り回した。「そうなったら私が壁を作る、そしてタニシェが奴らを殴りつける。思いっきりな」

「そのとおり」とストライカーが熱を込めていった。「私のパンチは痛いぞ」

「つまり、勝つつもりなのか」とプラクケシュが言った。3人組が力強くうなずいた。「ならなぜ」と胴元はゆっくりと問いかけた。「ハンターに賭けるんだ?」

センティネルがあざ笑った。「サプライズの一種だ。気付いたころには手遅れだがな」と彼は言うと、サンブレーカーと拳を合わせた。

「だが賭けの内容を明かすのは信義に反する行為だ」とプラクケシュが説明した。

「信義がなければ我々はここにはいない」とサンブレーカーが自慢げに言った。

プラクケシュは自分の鼻筋を押さえた。頭痛がしてきた。「つまりだな、賭けの内容は全て秘密にされる。誰がどこに賭けたかは誰にも分からないんだ」

「そのとおりだ」とサンブレーカーが見下すように言った。「皆が知っていたらサプライズにならない」

センティネルが自分のこめかみを大きな指で叩いた。「分かったか? 手の込んだアイデアはウォーロックの専売特許ではない」

プラクケシュは降伏を示すように両手を上に投げ出した。「分かった。その賭けを認めよう」というと、彼はデータパッドを取り出した。「ただ、これだけは言っておくぞ。タイタンがガーディアン・ゲームに勝利したら、お前たちは二度とこのグリマーにお目に掛かれないからな」

「グリマーよりも大事なものがある」とサンブレーカーが言った。「奴らの驚いた顔を見るのが楽しみだ」

胴元が肩をすくめた。「それじゃ、取引は成立だ。幸運を祈ってるぞ… 一応な」