エリスからの手紙

Last-modified: 2021-09-07 (火) 15:42:08


エリスからの手紙


大災害に関して

女王陛下、

我々は正しかった。常に我々のすぐ近くに存在していたのだ。

何かが月面下に眠っている。そしてそれは我々が考えていたよりもはるかに重要な事柄だった。今の我々では手に負えないだろう。私はピラミッドを見つけた。話に聞いていたものと酷似している。まさに我々が探し求めていたものだ。

ピラミッドは私の心の内に存在する箱を再び開いた。長い間、鍵の掛かっていたその箱には、恐怖と悲しみが詰め込まれている。大昔に葬り去った記憶と向き合わざるを得なくなった。人々、場所、そして邪悪な生物。全てが私の意識に迫ってきた。私でさえこの有様なら、我々の愛する者たちや我々が守ると誓った人々にどのような影響が出るか、分かったものじゃない。

あの夜のことは鮮明に覚えている。空は緑色に燃え、雷鳴が暗黒を切り裂き、希望を喰らいし者が我々の隊列を無残に引き裂いた。無慈悲なハイヴ・プリンス、クロタは、闇の勢力を率いてトラベラーを追跡し、無数の世界で殺戮の限りを尽していた。全ては彼の父、降り立ちし邪神オリックスの意思だった。

バンガードがハイヴから月を奪還するのに失敗したことは永遠に忘れられないだろう。俗に言う「大災害」だ。我々は何の目的も果たせず、数千の犠牲者を出した。再びあのような事態が起こることを、私は恐れている。

今やハイヴは月全体に勢力を拡大している。新たな防衛策や狡猾な陰謀を企んでいるかもしれない。我々は何としてもピラミッドに入り、暗黒と戦うための鍵となるものを見つける必要がある。ハイヴに邪魔されるわけにはいかない。

これは我々の使命だ。運命が私をここに導いた。我々は全てを正す。代償は大きいだろうが、これ以外に方法はない。全ガーディアンの力を集結させなければ、我々に明るい未来は訪れないだろう。

ナイトメアに関して

イコラ、

この悪夢はどうやら我々の心から抽出されたもののようだ混乱をもたらす暴力的な暗示であり、我々を苦しめてきた過去のトラウマだ。悪夢は過去の記憶を利用して我々をおとしめ、精神を詮索し、最も弱い部分を攻撃する。感情に対するこの攻撃は、我々自身とその目的意識を弱めるためのものだ。だが私は決して揺るがない。感情は克服できる。悪夢の力を完全に理解しているわけではないし、それに本当に打ち勝てるかどうかも分からない。だがこれまでに私が勝てなかった敵は存在しない。

どうにも弄ばれている気がしてならない。あの悪夢は我々にとって大きな障害だ。奴らが守っているものから目を離してはならない。

もしかすると、我々を自分自身と向き合わせ、戦うことそのもに疑問を抱かせようとしているのかもしれない。こうして長い間暗黒の中で暮らすことで、私はようやくそこから抜け出すことができた。私は自分を取り戻すために代償を払ったが、二度と同じ経験はしたくない。ピラミッドが我々を試そうと、その程度で屈したりはしない。

ピラミッドは新たな存在も生み出したが、それはこれまでにない種類の危機をもたしている。私の肉体を傷つけようとはせず、その代わりに精神的な戦いを挑んでくる。私はこの手の戦いに慣れている。ピラミッドは厚かましくも私の目の前にサイ・モタを連れてきた。だがそこに彼女の肉体は存在しない。私の決意を揺さぶるのが目的だ。

確かにこの亡霊を見たことで不愉快な気持ちになった。だがピラミッドは私の意思の強さを見くびっている。彼女に再び会えたことに私はある種の喜びさえ感じていた。何者も私の意思を挫くことはできない。そのようなことは何があっても許さない。危機に瀕している状況ならなおさらだ。

我々が揺らぐようなことがあれば、これまでに積み重ねてきた全て――戦い、痛み、苦しみのない世界を実現するという目的も――一挙に失うこととなるだろう。私が経験したことを他の者が味わう必要はない。私がここにいる限り、誰にもそんなことはさせない… 何としても阻止してみせる。

奴らに光の意味を教えてやる。

エリスのファイアチームに関して

女王陛下、

彼らは私を放っておいてくれないようだ。最初はサイだけだった。今はヴェル・ターロウがそこに加わり、私を苦しめている。かつての仲間の死に様を追体験させられている。長い間、彼らの断末魔に苦しめられ続けてきたが、その声を再び聞くことになるとは思ってもいなかった。暗黒は狡猾だ。内側から私を破壊しようとしている。暗黒はこちらの弱点を知り尽くしているのだ。

治ったと思っていた傷が再び酷く痛み出した。何かがその傷口を破って出てきそうだ。大災害の報復のためクロタを追っていた時、その行動にリスクがあることは分かっていたが、それが特攻任務になるとは思っていなかった。正直に言えば、この時のことは二度と思い出したくない。過去を忘れなければ、前に進むことなどできるはずがない。

彼らは暗黒に覆われる前の、私の最後の家族だった。

6名で中に入ったが、出られたのは1人だけだった。

リーダーのエリアナ3――最初に出会った時は、私の嫌いな曲のことで口論になった。エリアナはそのメロディーが好きで、何とかしてその素晴らしさを私に伝えようとした。反対意見に対して正面から向き合うその姿勢を見て、私は彼女を心から信用するようになった。迫り来る狂気を追い払うために、私はよくその歌を暗闇の中で口ずさんだ。

タイタンのヴェルは最初に命を落とした。彼のことを忘れた日はない。辛い時には彼の勇敢な姿を思い出すようにしている。圧倒的に分が悪い時は、とにかく気後れしてはならない。今のような時こそ彼の勇姿を見習うべきだ。

サイのナイフは彼女の頭脳に負けないくらい鋭かった。彼女は危険な状況になると笑った。数え切れないぐらい耳にし、かつては大きな安心感を与えてくれたあの笑い声が、今では苦痛を呼び覚まし、怒りを引き起こすだけになってしまった。どうしてこんなことになってしまったのだろう! 彼女にはもっとふさわしい人生があったはずだ。

かわいそうなオマールはとにかく慎重だったが、それでもその勇ましさを失うことはなかった。ハイヴ・ウィザード、クロタハートに光を奪われた時でさえもだ。全ての希望が失われた時、それに抗えるほどの不屈の精神を持てる者はそうはいない。彼は迫り来る嵐を乗り切るための力を私に与えてくれた。

そしてご存じ、粉砕のトーランドだ。危険なウォーロックで、口をついて出る言葉以上に多くの知識を持っていた。かつては彼を疑っていたが、時間と共に考えが変わった。今では暗黒に打ち勝ち生き抜く方法を模索していた彼の姿勢に敬意を払っている。もっと早くにそうすべきだった。

失った仲間たちが私の前に現れ、記憶を激しくかき乱す。だがこれは私の推測を悪夢が証明したにすぎない。彼らは我々を惑わそうとしているのだ。

とにかく油断だけはするな。

オムニガル・クロタウィルに関して

女王陛下、

オムニガル。

クロタに媚びへつらう狂信者であり怪物。クロタの忌むべき子の母。そして友人であるサイを殺した張本人だ。オムニガルは星々に恐怖をもたらし、無数の命を奪った。彼女の叫び声は弾丸と復讐心の嵐にかき消され、最終的に勇敢なガーディアンのファイアチームによって倒された。

そして今、私の耳は再び彼女の鋭い叫び声に貫かれている。

ピラミッドは手札を使って“全賭け”をするつもりだ。ケイド6ならきっとそう言うだろう。おかしなものだ、彼がいなくなってから彼のことを昔よりも考えるようになった。自分が思っていた以上に、他のガーディアンやバンガードに親しみを感じているようだ。ピラミッドがオムニガルの悪夢を戦場に引きずり出そうとしているなら答えはひとつ、核心に近づいているということだ。

この悪夢が本物ではないことは分かっている。だが心は騙されやすい。例え一瞬であったとしてもだ。破壊的な力はあらゆる瞬間に存在し、暗黒はそれを利用しようとしている。私も抵抗はしているが、悪夢は力を増す一方だ。

ピラミッドの圧力にいつまで耐えられるかは分からない。記憶にバラバラにされそうだ。慣れ親しんだ疲労による苦しみが、その醜い頭をもたげている。やれることはやるつもりだが、それで何とかなるとは思えない。

最悪の事態が訪れるとしたらこれからだ。

ヒドン・スワームに関して

女王陛下、

クロタの従者が再び現れた。かつてクロタに仕えていたヒドン・スワームが再び結集したのだ。指導者はいないが目的ははっきりとしている。ピラミッドから発生しているエネルギーは、どうやら邪悪な者たちを引きつけたようだ。私でさえこの力の解明には苦しんでいるのだから、ヒドン・スワームは何も分かっていないのではないだろうか。

いずれにせよ、ピラミッドはガーディアンより先に月に到達し、長い間我々から姿を隠し続けた。私はヘルマウスの中に何年も閉じ込められていたが、その間もこの力はハイヴによって隠され、私の足下で眠り続けていた。その時に気づいていればどれだけよかったか。ヒドン・スワームはいつからピラミッドの力を調べていたのだろうか? ハイヴのおかげでどうやらピラミッドの壁はまだ破られていないようだ。

ピラミッドが起動したことでヒドン・スワームは慌てているようだ。ハイヴたちが怒り狂っている。彼らの儀式、そしてクロタの娘、ハシュルドーンの出現はヒドン・スワームが指導者を探してるか、あるいは軍勢を欲している者ならば誰であれ付き従うほどの順応性を持ち合わせているかのいずれかだ。

ヒドン・スワームを見くびってはならない。私はこのハイヴの危険性を熟知している。その凶暴性の前に多くの者が命を落とした。私も… 既に多くを失った。ハイヴのせいで私はゴーストを失った。目を失った。彼らは私に勝ったつもりでいる。だがそれは誤りだ。私は彼らの闇の魔術を使って生き延び、彼らの知識を手に入れた。私はハイヴの弱点を知っている。囁き声だけがそれを教えてくれる。その場所は地下墓地だ。そこに潜んでいる未知の影が、この世で最も邪悪な儀式を執り行おうとしている。

暗黒から生まれた邪悪な力が彼らを導くようなことになれば、これから何が起こるか考えただけでも恐ろしくなる。そのようなことはあってはならない。ハイヴの敗北は一時的なものに過ぎず報復を考えている可能性がある。だが次は我々の番だ。これ以上の躊躇は許されない。中に入るしかない。

ナイトメアの拡散に関して

イコラ、

奴らは広がっている。

ナイトメアは月を越えた先にまで広がり始めた。ピラミッドの力が増しているのだろうか? あるいは我々がその拡散力を見くびっていたのだろうか? いずれにしても危険な状況であることに変わりはない。

ナイトメアの疫病は拡大を続け、ピラミッドはその影響力を強めている。この邪魔者たちを倒すことはできそうにないが、勢いを増すこの脅威を抑制する上でバンガードの力は大きな助けになるはずだ。我々のほうでも陽動を行うことはできる。その間に私は最も取り組まなければならない部分に集中し、ピラミッド内部の謎を解明する。暗黒の中にはさらなる危険が潜んでいるだろう。ピラミッドがこれを止めるための鍵となるはずだ。

時間が過ぎれば過ぎるほど、我々は影響を受けやすくなり、仲間もさらなる危険に晒される。友人たちのことが心配だ。だが、これは必要な代償だ。明るい未来を求めるのであれば、暗い現在を耐え抜かなければならない。奴らが私をひざまずかせたいなら、相応の覚悟をして挑むことだ。

フォゴス・アンテイムドに関して

女王陛下、

変異体。アンテイムド。スポーン・オブ・クロタ。我々は奴をそう呼んでいた。

フォゴスは破壊という目的のためだけに生まれた怪物だ。ヒドン・スワームは呪われた復活の儀式を行うことでこのオーガの命をつなぎ止めた。サモニングピットに繋がれたこのオーガは、スワームの危険性を再認識させてくれる。自然の理に反する存在だ。

しかし、その姿を見た時、予期せぬ感情が私の中に湧いた。それは同情だ。

望まぬ生活を強制される辛さはよく分かっている。この怪物は死ぬべきであり、忘れ去られるべきだった。なのにこの生物は、奴隷として生きることを余儀なくされたのだ。時々、私も同じ感覚に陥ることがある。私の使命は誓いであり特権でもあるが、終わりのない戦いの円環に囚われているような気がするのだ。最後には全てが報われるのだろうか? いずれは安らぎの時が訪れるのだろうか?

思っている以上にこの悪夢が重荷となっているのかもしれない。このような考えが頭の中で溢れかえり、私の判断力を鈍らせている。それでも私は任務を全うする。我が女王よ。あなたのお力添えのおかげでここまで来れた。本当に感謝している。

タニクス・スカードに関して

女王陛下、

自分を最も信用してくれている人物に対する忠誠心は本当の意味での忠誠心とは言えない。フォールンの傭兵、タニクス・スカードが私の前に現れた。あれは… 恐らく悪夢だと思うが、タニクスに関しては断言できない。彼はZIVAの戦いでガーディアンに倒されたが、数え切れないほど何度も死から蘇った。

唯一確かなのは、悪夢が力を増しているということだ。私の忍耐力が試されている。こんな経験はヘルマウス以来だ。

タニクスはこの数年で大きく変わった。彼は、フォールン、ベックス、そして人類の技術を用いて、自分を改造し続けている。それしか選択肢がなかったのだ。彼は私と同じサバイバーだ。彼に対する考えを改めようと思ったことは一度もない。だがこうしていると、言葉の意味を理解できない存在に同情してしまう。

ヘルマウスから出られなかった理由をふと考えることがある。私は本当にあそこに閉じ込められていたのだろうか? あるいは自分の意志でそこに留まっていたのだろうか? クロタの暗殺失敗を悔やんで自身を追いやったのだろうか? 数々の失敗を償うために、自ら牢獄に入ったのだろうか? いや。それはあり得ない。

タニクスは始末におえない殺人者だ。道徳心や倫理観などは一切持ち合わせていない。あの時のことはあなたも覚えているだろう。ケイド6が始末したはずだった。だが彼は蘇った――そしてためらうことなくアンダル・ブラスクを殺害した。許されざる行為だ。

こんなの私ではない、私は殺人者ではない。私はより良い未来を手に入れるためにガーディアンと共闘しているのだ。この任務は日を追うごとに激しさを増していく、だが私の意思が揺らぐことはない。

スコラスに関して

女王陛下、

ケルの中のケル。スコラス。私が見たものが事実だとしたら、これこそ本物のナイトメアだ! 我が女王よ、彼の名を出したことで不快な記憶が蘇ったのなら詫びよう。彼がリーフに対して悪しき戦争を起こしたことで、アウォークンは甚大な被害を被り、反乱により数え切れないほどのアウォークンが命を落とし、ハウス・オブ・ウルブズが再編されることとなった。我々は今でも彼らのことを忘れていない。

スコラスの野望はとにかく容赦のないものだった。とはいえ、自身の民に対する忠誠心は中々のものだった。彼は仲間を栄光へと導くためにあそこまで徹底していたのだ。エルダーズ・プリズンで最後の反乱が起こったあと、ガーディアンたちが集結し、彼の野望は永遠に阻止された。だが暗黒が彼のナイトメアを召喚したことで、全てが覆ってしまった。

我々もいつかスコラスと同じように、繋がれ、捕らわれ、友人と仲間を失う時が来るかもしれない。だが希望を失うわけにはいかない… 例え絶望を感じたとしても、暗黒に屈してはならない。諦めてはならない。痛みから逃げてはならない。

絶対にだ。

スコラスは最後の瞬間まで戦い続けた。我々もそうすべきだ。

暗黒を退けるために、我々も冷酷にならなければならない。スコラスがそうであったように、私も仲間を助けたいという気持ちは変わらない。私の戦いを止められるのは、死をもってしてほかにない。

この任務の重圧はかなりのものだが、一歩進むごとにますます重みを増している。必ずやり遂げてみせる。

ガウルに関して

女王陛下、

カバル大戦はそれほど昔のことではない。ガウルの悪夢は、我々の経験した虐殺の不快な記憶を呼び起こす。我々の多くが、この残忍な悪魔の非道な行いにより未だに苦しめられている。彼は人類にかつてないほどの悲劇をもたらした。彼はトラベラーを奪い、その光を手に入れるために、我々の故郷とタワーを破壊し、その過程で幾多の無関係な人々を殺害した。

ガウルが行った中でも最も罪深い行為は、トラベラーを奪おうとしたことではなく、預言者の死に関与したことでもない。自ら冒涜的な幻想を作り上げ、自身がトラベラーの光を受けるに値すると考えていたことだ。裏切りとごまかしにのみ長けたこの乱暴者が、本当にトラベラーの光を受けるに値する存在だったのなら、見当違いの遠征でこれほどまでの無意味な血が流されることはなかったはずだ。

光は自己犠牲と献身の象徴だ。光は調和の取れた平和な世界の希望だ。ガウルは力だけを求めていた。彼が光に選ばれることなどあり得ない。

私は選ばれたのだろうか、あるいはこの人生の旅路の中で自分が選択したのだろうか。時々それが分からなくなる。運命が私を作ったのだろうか、それとも私が運命を作ったのだろうか? いずれにしても確かなことは分からない。間違いないのは、その時々で正しいと感じたことを選択し、その選択が正しいことを祈るほかないということだ。

ガウルがガーディアンの力に屈し、トラベラーに光によって破壊された時、私は安堵した。それはいわば再確認だった。ガウルに同情すべき点はない。不快な怪物が当然の報いを受けたに過ぎない。怒りを原動力にしたあの力への欲望が、我々の大いなる試練を乗り越えられるとは思えない。だが、次に暗黒から現れた者が、ガウルとは比較にならないほどの悲劇をもたらす可能性もある。ピラミッドの中で何が待っていようとも、我々は立ち向かわなければならない。

ザイドロン・ゲートロードに関して

女王陛下、

私は無意識のうちにベックスのゲートロードに同情していたようだ。あの機械は、自分たちの領土を守ることだけを目的としている。崇高かつ理解可能な大義だ。私も自身のに対して同じ考えを持っている。だからこそ私は、今のように限界を感じている時でさえも、暗黒と戦い、苦しみに耐えることができるのだ。我が女王よ、あなたに嘘はつくことはできない。どうやら私の精神はねじれ、すり減っているようだ。

ベックスが内に闇を抱えていることは前々から感じていた。今ははっきりしたことは分からないが、この厳しい局面を乗り切るために、詳しく調べる必要がありそうだ。

ブラックガーデンの古代の守護者は、コードを持っていたと言われている。地点を示す座標ではなく、それ自体を測るための鍵だ。そのコードを手に入れれば過去の恐怖を消し去れるのではないだろうか。逃げることのできないこの苦しみと痛みから我々を解放してくれるかもしれない。

藁にも縋るような話だが、私は苦痛を和らげようとして傷を悪化させ続けてきた。この傷が癒えることは永遠にないのかもしれない。私を苦しめるために過去が蘇ったのだ。愛する者のためであれば私は自わを犠牲にする。だがそのあと私には、一体何が残されているだろうか?

ファナティックに関して

女王陛下、

今はファナティックのフィクルルが見える。あなたの兄弟が洗脳して服従させたさげすみのバロン、そして夢見る都市へのゲートウェイを開くためのユルドレンの計画の操り人形だ。

彼の悪夢の出現によりさらに謎が深まった。なぜ彼なのか? ピラミッドの意図が分からない。

時々フォールンのことを考える。彼らは魅力的な存在だ。かつて巨大な文明を築いたが、暗黒に破壊され、今やその面影すら残っていない。負のスパイラルに巻き込まれ、漁り屋や盗賊に落ちぶれる前まで、彼らは一体どんな人生を歩んできたのだろうか?

これも私の遺産なのだろうか? 私は失敗する運命であり、暗黒の気まぐれに利用されているだけなのだろうか? それがフィクルルのもたらした悪夢なら、私にはどのような選択肢が残されているだろうか? 私は既に光を失った。私が拒否しなければ、暗黒はいとも容易く私を支配するだろう。あるいはそうすべきなのだろうか?

この戦いに負けるようなことがあれば、我々はフォールンと同じ運命をたどることになるだろう。追放され、失われた希望と理想を、目的もなく求め続ける。

光を見つけるのが次第に難しくなっている。

オリックスの息子クロタに関して

女王陛下、

最悪の事態だ。どうにも… 感情をコントロールするのが難しくなってきた。だが、恐怖を抑えられないわけじゃない

クロタの悪夢に自身の失敗を責められると、制御できない怒りがフツフツと湧き上がってくる。私は失敗ばかりしている。

大災害により数え切れないほどの命が失われた。私のファイアチームも、私の人間性も失われた。そしてそれらが一斉に蘇った。私は木の枝で滝を止めようとするような、無駄な努力を続けている。私に勝ち目はない。私はまた失敗する。

希望を喰らいし者はトラベラーを追跡し、世界に崩壊をもたらした。我が友人たち… 彼の剣は友人たちから光を盗んだ。彼らの、光を。

クロタを許すことなどできなかった。何としてでも… 排除するしかなかった。

彼がガーディアンに倒されたことを知った時はとにかく安堵した。彼の死に満足した。喜びすら感じていた。

いずれは暗黒が勝利するだろう。既にその兆しは見てとれる。

私は先へ進むと誓った。これ以上は約束できない。私は失敗ばかりだ。

私を解放してくれ。

ピラミッドに関して

[未送信、削除済み]

女王陛下、

私は… もうダメかもしれない。これほどの絶望を感じたのは初めてだ。あまりにも孤独だ… 先が見えない。こんなことを言うべきではないのだろうが、暗黒に魅了される者の気持ちが理解できる。全てから解放される快感は、抗い難い感覚だ。私の砕け散った精神は、後先考えず、希望を捨てることを求めている。その考えを否定することは難しい。私は弱かったのだ。今ならそれが分かる。

私は確かにつまずいた。だが耐えてもいる。
私の弱さを裏切りだとは思わないでほしい。今はそれよりも優先すべきことがある。

[送信済み、再構築済み]

ついにこの時が来た、我が女王よ。

ついにこの時が来たのだ。

我々は操られていた。我々は誘導されているのだ。全ては暗黒の意思だ。綿密に計算された悪夢に導かれた我々は、今や弱点をさらけ出し、完全に無防備な状態となっている。

暗黒は我々を利用しようとしている。我々に抗う術はない。私はそれを阻止する術を知らない。

我々の宿敵は恐れを知らない。我々など気にもとめていない。我々は相手の脅威にならない。

暗黒に我々の光を恐れさせる理由が必要だ。私がその理由を与えよう。

私はこれまで内にいた。今は美しい言葉と暴力的な言葉しか思いつかない。あなたの玉座で会おう。

[送信済み]

イコラ、

全てが明らかとなった今、これまでに分かった情報を全て共有しようと思う。他の者が疑いを持つ一方で、お前だけは最後まで私を信用し協力してくれた。私は多くの悪魔に苦しめられてきた。そしてようやくその終わりが見えてきた。

苦しみが完全に癒えることはない。それを受け入れることで強くなれると信じて、共存していくしかない。それを隠すことも、それから隠れることもできない。それを認めることで、新たな力となる。

そうすれば勝利は我々のものだ。絶望する必要はない、我々は正しいことをしている。

私は過去や失敗、トラウマには屈しない。その反対にそれらを利用し己を高め、光の中に足を踏み入れる。