ティクーの占術
永遠を押し通す3つの点。
2人のリージョナリーは、退陣させられた彼らの皇帝の武器庫を漁った。がれきを脇にどけ、鋭い金属製の弓を持ち上げる。黒ずんだ刃のような薄いフレームを繋ぐようにワイヤーが張られている。
「これはサイオンが狙いを外さないように作ったものだ」
「ほう。どうやって作った?」
「時間を込めたんだ」
「どんな時間を?」
「放てば、必ず矢が当たるような類のものだ」
「絶対に外れることはないのか?」
「外すつもりでない限りはな」
「だがもし外したら、外していない時間にしてくれるということか?」
「そうだ。その時間が外した時間だった場合を除いてな」
✱✱
それは物体結合を始めて3日目のことであった。ティクーの声はかすれていたが、それでも彼はその弓を胸に抱き、頭の中でしっかりと固定させた。
ティクーは思考と無を融合させた。粗悪化したメタコンサート、宙の中のひとつの声――その一時的な調和。
ソーラーの力によってかすかな音を立てる、彼の手に握られた3本の矢。
そして、反響。擦り切れたワイヤーに触れる馬毛の、錆びついた鳴き声。ティクーは弓の弦を弾いた。床に血の雫が滴る。彼が再び弦を弾くと、重苦しい振動が空気を満たした。
彼の指から血が滴り落ち、足元の模様に溶け込んだ。
✱✱
「矢はどうやって作られる?」
「矢は時間から来る。なぜなら以前そこに置かれたからだ」
「放たれた矢は、どうやって自分の刺さる頭を知る?」
「時間の中に入り、常に頭に矢が刺さっている未来を得る」
「でも、どの頭に?」
「すでに矢が刺さっている頭にだ」
✱✱
ティクーの精神は、これから訪れるものの荒波の中で消散しながら、ひとりでに空になった。
時間は彼を取り巻く空っぽの車輪であり、彼の歌によって掴まれ、結合によってあるべき位置に固定された。意思と肉体との調和が織りなす3つの点。
彼の拳が上がった。3本の矢が彼のY字型の瞳孔を貫く。その矢はずっとそこにあったのだ。永遠を通過した3つの点に。
デッドマンズテイル
「長かろうが短かろうが、行き着く先は全て同じだ」――カタバシス
ガエリン4のウォービーストが香しい金星のジャングルの道を誘導する。私たちはライフルを低く構え、ゴーストたちはセントリードローンのように木々の上層部を飛んでいる。
「ビークルが古くなってきた。メンテナンスが必要だ。エンジンをろくに切らずに走りすぎたな」と私は口にした。
ガエリンが横目で見てきた。「あの造船工はまだいるのか? 彼女は秋になるとサイダーを作っていた。私たちを飢えた獣のように束ねていたよ」
ため息をついた。「違う、こっちのことだ」私は自分の身体を撫でた。「それに、私があそこに戻れないって知ってるだろ」私はテックス製のライフルに巻き付けてある革を整えた。
「私が自分をチューニングしてることは知ってるよな?」とエクソのハンターが尋ねた。
「なぜ? 不死身なのに」
「自分だってそうだろう」
「そうだが、私は… 遅い。遅く感じるんだ」
「なるほど」
「前とは違う感じがするんだ。勢いが… 足りないというか。ここも本調子じゃない」私はヘルメットをトントンと叩いた。
「悲劇だな。同情するよ。ギルガメッシュに調整してもらうといい」
私はクスッと笑った。「そうだな… 彼なら喜んでやるだろう」
「また何かもめてるのか?」
私はブンブンと首を横に振った。「毎回同じ状態で戻ってくると思うか?」
「私はそうだ。製造時の状態のままだ」ガエリン4が答える。
「たまに思うんだ… 何かが違うって」
ガエリンが立ち止まり目を細めてきた。
私は頭を下げて、フードを前に垂らした。「説明できないんだが、細かいところが。調整したところとかな」
「彼が手を加えていると?」ガエリンの声は驚きよりも真剣さがにじみ出ている。
すぐに答えられなかった。答えがわからないからではなく、まだ疑っているだけだと思いたい気持ちが残っていたからだ。私は頭を上げた。ガエリンは私と目が合うと、頭上の木々を見上げた。
彼は肩を私のほうへ寄せ、ささやいた。「私のクリップはいい奴だが、ゴーストたちは何も知らないってことを理解しないとダメだ。彼らは我々と同じだ。好奇心を抱くし、問いかけてくる。何かがおかしいと感じたら、じっくり話し合う必要がある」
「ちょっと待て… クリップはお前を――」
「やめてくれ」ガエリンが嘲笑した、「考えすぎだ」彼は振り返り歩き続けると、再び「お前だって生きていれば変わる。彼らもそうだ。何も変わらないのは私だけだ」
ガエリンが拳を上げて、私たちは歩みを止める。彼のウォービーストが空気を嗅ぎ、東へと誘導する。我々は歩き続けた。
「ビーストにはなんて名前を付けたんだ?」
「カスタス」
「スパイダーの本を読みすぎだな」
「面白いやつだってあるんだぞ」
私は笑った。「自分を縛り付けるものはすべて首吊り縄になり得ると言ったのはお前だろ」
「それも昔の話だ」
「奴の仕事は受けてるのか? フォールンの?」
「お前にそんなことを言う資格はない、皇帝のいいなりの癖に。エリクスニーたちも付き合ってみると悪くない」