征服の鐘

Last-modified: 2021-05-13 (木) 20:00:52

剣の交わりを求める7つ目の鐘の音を聞け。

この種のカバルの戦の鐘は、“征服の鐘”として知られており、スカルサンガス――文字どおりの意味では「血の食刻」――という伝統的な戦闘芸術の際立った例である。スカルサンガスは、カバルがその手を周辺の星系の先にまで伸ばそうとする以前の、鉛の時代によく見られた。それは武勲や個人的な勝利を記念するものだったが、見た目は実に様々であった。僻地の傭兵は、倒した敵の歯に彫刻を施したものを革に縫い付けるという簡単な手法をしばしば使った。より物資に恵まれている者は、敗北した敵の胴全体を保存し、塗料を塗り、胸像として飾ることもあった。

征服の鐘は、持ち主の勝利の記録品としてはさほど不気味なものではない。初めて血を流した戦士には、飾りのない鐘が与えられる。戦士に勝負を挑まんとする者は、その鐘を要求し、7回鳴らす。

勝利を重ねた戦士は、栄光を記念して職人に鐘を装飾させることができた。そのような装飾品は、持ち主が過去の勝利に関連した栄誉ある戦闘の恩恵を求めることを可能にした。獣の試練を完了した者は、訓練されたウォービーストを決闘に持ち込むことができた。皮剥ぎの夜を生き延びた者は、敵の腹部を2回切りつけることが許された。冷たき鉄の口に耐えた者は、腐食性の白い灰で刃を覆うことが許された。

戦の鐘の持ち主を倒した者は、その鐘を自らのものとする権利を得た。鐘の舌には、前の持ち主の死因を表す浅い彫刻が施された。新たな挑戦者たちが鐘を鳴らし、その彫刻が摩耗すると、所有権の移行が完了する。その時点で、その鐘が前の持ち主に授けた特権は新たな持ち主へと移る。このため、手の込んだ戦の鐘は需要が高いと同時に、厳重に守られた。

戦の鐘の風習は銀河植民地時代に入っても続き、鐘の装飾はさらに洗練されていった。貴重な宝石で作られた複雑なモザイク模様は富を象徴し、決闘においてさらなる手当をもたらす一方で、挑戦者にとってはより大きな報酬となった。戦闘の規模が大きくなるにつれ、戦の鐘を要求する行為の兵站上の問題が顕著となった。奪った戦の鐘は、時にまとめて溶かされ、精巧な戦の銅鑼へと作り変えられた。そして挑戦の際にその銅鑼を鳴らすという、宇宙を駆ける競争者たち特有の儀式が醸成されていった。

カバル大戦後、その伝統を遵守するカバルの戦士はわずかであった。征服の鐘は扱いに困る遺物だと見なされていたのである。それでもなお、先祖の戦いの伝統を重んじることを願う者の船の上には、敬意を持って置かれている場合もある。