第4章/4-58の2 配光可変型前照灯

Last-modified: 2014-03-30 (日) 22:54:42

審査事務規程 第4章 新規検査及び予備検査
審査事務規程4-58の2(60) -1-
4-58 の2 配光可変型前照灯
4-58 の2-1 装備要件
自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、被牽引自動車、大型特殊自動車、小型特殊自
動車並びにカタピラ及びそりを有する軽自動車を除く。)の前面には、配光可変型前照灯(夜間の走行
状態に応じて、自動的に照射光線の光度及びその方向の空間的な分布を調整できる前照灯をいう。以下
同じ。)を備えることができる。(保安基準第32 条第7項関係)
4-58 の2-2 性能要件
4-58 の2-2-1 テスタ等による審査
配光可変型前照灯は、夜間に自動車の前方にある交通上の障害物を確認でき、かつ、その照射光線が
他の交通を妨げないものとして、灯光の明るさ等に関し、テスタ等その他適切な方法により審査したとき
に、次の基準に適合するものでなければならない。 (保安基準第32 条第8項関係、細目告示第42 条第8
項関係、細目告示第120 条第9項関係)
① 配光可変型前照灯であって、協定規則第123号改訂版6.3.及び7.の技術的な要件に適合する配光
形態の照射光線(以下「走行ビーム」という。)を発するものは、夜間に当該走行ビームを照射し
た場合において、当該自動車の前方100mの距離にある交通上の障害物を確認できる性能を有するも
のであること。 (細目告示第120条第9項第1号)
② すれ違い用ビームは、他の交通を妨げないものであり、かつ、夜間にそれを発する灯火ユニット(配
光可変型前照灯から灯光を発することを目的とする部品のことをいう。以下同じ。)のすべてを同時
に照射させたときに、当該自動車の前方40m の距離にある交通上の障害物を確認できる性能を有する
こと。
この場合において、前照灯試験機(すれ違い用)を用いてア(ア)により光度等を計測したときにイ(ア)
の基準に適合するすれ違い用ビームは、この基準に適合するものとする。また、前照灯試験機(すれ
違い用)による計測を行うことができない場合にあっては、前照灯試験機(走行用)、スクリーン、壁
等を用いてア(イ)により光度等を計測したときにイ(イ)の基準に適合するすれ違い用ビームは、この
基準に適合するものとする。(細目告示第120 条第9項第2号)
ア 計測の条件
(ア) 前照灯試験機(すれ違い用)による計測を行うことができる場合
a 車両が直進姿勢であり、かつ、検査時車両状態
b 手動式の前照灯照射方向調節装置を備えた自動車にあっては、a の状態に対応するように当
該装置の操作装置を調節した状態
c 車両の蓄電池が充電されており、かつ、その原動機が回転している状態
d 前照灯試験機(すれ違い用)の受光部とすれ違い用ビームを発する灯火ユニットとを正対さ
せた状態であり、かつ、配光可変型前照灯の中立状態と自動作動状態との切替機構を中立とし
た状態
e 計測に支障をきたすおそれのある場合には、当該計測する灯火ユニット以外の灯火ユニット
を遮蔽した状態
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(イ) 前照灯試験機(すれ違い用)による計測を行うことができない場合
a 車両が直進姿勢であり、かつ、検査時車両状態
b 手動式の前照灯照射方向調節装置を備えた自動車にあっては、aの状態に対応するように当
該装置の操作装置を調節した状態
c 車両の蓄電池が充電されており、かつ、その原動機が回転している状態
d 前照灯試験機(走行用)を用いる場合には、当該受光部とすれ違い用ビームを発する灯火ユ
ニットとを正対させた状態であり、かつ、配光可変型前照灯の中立状態と自動作動状態との切
替機構を中立とした状態
e 計測に支障をきたすおそれのある場合には、当該計測する灯火ユニット以外の灯火ユニット
を遮蔽した状態
イ 計測値の判定
(ア) 前照灯試験機(すれ違い用)による計測を行うことができる場合
a エルボー点は、すれ違い用ビームを発する灯火ユニットの照明部の中心を含み、かつ、水平
面より下方0.11°の平面及び下方0.86°の平面(当該照明部の中心の高さが1m を超える自
動車にあっては、下方0.41°の平面及び下方1.16°の平面)並びに車両中心線と平行な鉛直
面より左右にそれぞれ1.55°の鉛直面に囲まれた範囲内又は前方10m の位置において、当該
照明部の中心を含む水平面より下方20mm の直線及び下方150mm の直線(当該照明部の中心の
高さが1m を超える自動車にあっては、下方70mm の直線及び下方200mm の直線)並びに当該
照明部の中心を含み、かつ、車両中心線と平行な鉛直面より左右にそれぞれ270mm の直線に囲
まれた範囲内にあること。
b すれ違い用ビームを発する灯火ユニットの照明部の中心を含み、かつ、水平面より下方0.6°
(当該照明部の中心の高さが1m を超える自動車にあっては0.9°)の平面及び車両中心線と
平行な鉛直面より左方に1.3°の鉛直面が交わる位置又は前方10m の位置において、当該照明
部の中心を含む水平面より下方110mm(当該照明部の中心の高さが1m を超える自動車にあっ
ては160mm)の直線及び当該照明部の中心を含み、かつ、車両中心線と平行な鉛直面より左方
に230mm の直線の交わる位置における光度が、1個の灯火ユニットごとに6,400cd 以上である
こと。
(参考図)すれ違い用ビームの判定値〔②イ(ア)a及びb関係〕
【照明部の中心の高さが1m以下の場合】 【照明部の中心の高さが1m超の場合】
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(イ) 前照灯試験機(すれ違い用)による計測を行うことができない場合
a すれ違い用ビームを前照灯試験機(走行用)、スクリーン、壁等に照射することにより、エ
ルボー点が(ア)aに規定する範囲内にあることを目視により確認できること。
b (ア) b に規定する位置(当該位置を指定できない場合には、最高光度点)における光度が、
1個の灯火ユニットごとに6,400cd 以上であること。
(参考図)スクリーン等に照射した場合におけるすれ違い用ビームの
配光特性の例
4-58 の2-2-2 視認等による審査
(1) 配光可変型前照灯は、夜間に自動車の前方にある交通上の障害物を確認でき、かつ、その照射光線
が他の交通を妨げないものとして、灯光の色等に関し、視認等その他適切な方法により審査したときに、
次の基準に適合するものでなければならない。(保安基準第32 条第8項関係、細目告示第42 条第8項
関係、細目告示第120 条第9項関係)
① 配光可変型前照灯の灯光の色は、白色であること。(細目告示第120 条第9項第3号)
② 配光可変型前照灯は、灯器が破損し、又はレンズ面が著しく汚損していないこと。(細目告示第
120 条第9項第4号)
③ 配光可変型前照灯は、レンズ取付部に緩み、がた等がないこと。(細目告示第120 条第9項第5号)
(2) 次に掲げる配光可変型前照灯であってその機能を損なう損傷等のないものは、(1)の基準に適合す
るものとする。(細目告示第120 条第10 項関係)
① 指定自動車等に備えられているものと同一の構造を有し、かつ、同一の位置に備えられた配光
可変型前照灯
② 法第75 条の2第1項の規定に基づき配光可変型前照灯の型式の指定を受けた自動車に備える
配光可変型前照灯と同一の構造を有し、かつ、同一の位置に備えられた配光可変型前照灯又はこ
れに準ずる性能を有する配光可変型前照灯
4-58 の2-2-3 書面等による審査
(1) 配光可変型前照灯は、夜間に自動車の前方にある交通上の障害物を確認でき、かつ、その照射光線
が他の交通を妨げないものとして、灯光の色、明るさ等に関し、書面その他適切な方法により審査した
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ときに、(2)の基準に適合するものでなければならない。(保安基準第32 条第8項関係、細目告示第42
条第8項関係、細目告示第120 条第9項関係)
(2) 配光可変型前照灯は、協定規則第123 号改訂版補足第3改訂版5.〔5.3.(5.3.1.及び5.3.2.を除
く。)及び5.8.を除く。〕、6.及び7.の技術的な要件に適合するものでなければならない。ただ
し、平成21 年7 月11 日以降製作された自動車は5.3.1.を除く。 (細目告示第42 条第8項関係、細
目告示第120 条第9項関係)
(3) 次に掲げる配光可変型前照灯であってその機能を損なう損傷等のないものは、(2)の基準に適合
するものとする。(細目告示第120 条第10 項関係)
① 指定自動車等に備えられているものと同一の構造を有し、かつ、同一の位置に備えられた配光
可変型前照灯
② 法第75 条の2第1項の規定に基づき配光可変型前照灯の型式の指定を受けた自動車に備える
配光可変型前照灯と同一の構造を有し、かつ、同一の位置に備えられた配光可変型前照灯又はこ
れに準ずる性能を有する配光可変型前照灯
4-58 の2-3 取付要件 (視認等による審査)
(1) 配光可変型前照灯は、その性能を損なわないように、かつ、取付位置、取付方法等に関し、視認そ
の他適切な方法により審査したときに、細目告示別添52「灯火器及び反射器並びに指示装置の取付装
置の技術基準」に定める基準及び次の基準に適合するように取り付けられなければならない。(保安
基準第32 条第9項関係、細目告示第42 条第9項関係、細目告示第120 条第11 項関係)
① 配光可変型前照灯であって走行ビームを発するものは、走行ビームを発する場合に照射する灯火
ユニットの総最大光度が430,000cd を超えていないこと。
② 配光可変型前照灯であって走行ビームを発するものは、走行ビームが自動車の進行方向を正射す
るものであること。
③ 走行ビームを発する灯火ユニットは、走行ビームの点灯操作を行ったときに、自動車の車両中心
線を含む鉛直面により左側又は右側に区分された部分当たり1個以上の灯火ユニットが同時に点灯
するものであり、かつ、すれ違い用ビームの点灯操作を行ったときに、すべての走行ビームを発す
る灯火ユニットが同時に消灯するものであること。
④ 走行ビームを発する格納式灯火ユニットが4個備えられた自動車にあっては、道路交通法第52 条
第1項の規定により前照灯を点灯しなければならない場合以外の場合において、専ら手動により短
い間隔で断続的に点滅させること又はすれ違い用ビームを発する灯火ユニットと交互に点灯させる
ことを目的として備えられた補助灯火ユニットは、格納式灯火ユニットが上昇した場合には点灯し
ないものであること。
⑤ すれ違い用ビームを発する灯火ユニットに放電灯を用いる場合において、当該灯火ユニットは、
走行ビームが点灯している間、消灯しないものであること。
⑥ 自動車の車両中心線を含む鉛直面を挟んで左右対称に配置された2つのすれ違い用ビームを発す
る灯火ユニットは、すれ違い状態の配光形態において、少なくとも1組がその見かけの表面の上縁
の位置が地上から1,200 ㎜以下であり、かつ、下縁の位置が地上から500 ㎜以上となるように取り
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付けられていること。
⑦ 配光可変型前照灯に補助灯火ユニットを備える場合には、補助灯火ユニットは、その位置に最も
近い位置にある灯火ユニットから水平方向に140 ㎜以下(図中のE による。)及び鉛直方向に400
㎜以下(図中のD による。)の位置に配置されていること。この場合において、2つの補助灯火ユ
ニットを自動車の車両中心線を含む鉛直面を挟んで対称に配置したときは、当該灯火ユニットから
水平方向に200 ㎜以下(図中のC による。)の位置にあればよいものとする。
⑧ ⑦に規定する補助灯火ユニットは、いずれも、地上から250 ㎜以上(図中のF による。)、1,200
㎜以下(図中のG による。)の位置に配置されていること。
⑨ すれ違い状態の配光形態において、すれ違い用ビームを発する灯火ユニットの見かけの表面の外
縁は、車両の最外側から車両中心線側に400 ㎜以下(図中のA による。)の位置にあること。
⑩ 灯火ユニットの基準軸の方向の見かけの表面の内端の距離は、600mm 以上(図中のB による。)
であること。また、全幅が1,300mm 未満である場合にあっては、400mm 以上であること。
ただし、専ら乗用の用に供する自動車であって乗車定員が10 人未満であるもの及び貨物の運送の
用に供する自動車であって車両総重量が3.5t 未満であるもの並びにこれらの形状に類するものに
あってはこの限りではない。
⑪ 配光可変型前照灯は、車幅灯、尾灯、前部上側端灯、後部上側端灯、番号灯及び側方灯が消灯し
ている場合には、点灯できないものであること。ただし、道路交通法第52 条第1項の規定により前
照灯を点灯しなければならない場合以外の場合において、専ら手動によりすれ違い用ビームを発す
る灯火ユニットを短い間隔で断続的に点滅させるとき又は交互に点灯させるときにあっては、この
限りでない。
⑫ 配光可変型前照灯のすべての灯火ユニットは点滅するものでないこと。ただし、⑪ただし書に該
当する場合は、この限りでない。
⑬ 配光可変型前照灯の直射光又は反射光は、当該配光可変型前照灯を備える自動車の運転操作を妨
げるものでないこと。
⑭ 配光可変型前照灯は、その取付部に緩み、がた等があることにより、その照射光線の方向が振動、
衝撃等のために容易に変化するおそれのないものであること。
⑮ 配光可変型前照灯は、4-58 の2-2に掲げる性能を損なわないように取り付けられていること。
この場合において、灯器のレンズ面等に光軸を変化させるものを貼付するなどすることにより配光
等が著しい影響を受けているものは、この基準に適合しないものとする。
⑯ 配光可変型前照灯は、走行ビームの点灯操作状態を運転者席の運転者に表示する装置を備えたも
のであること。
⑰ 配光可変型前照灯の配光制御信号(当該配光可変型前照灯の照射光線の光度及びその方向の空間
的な分布を制御するために入力される信号をいう。以下同じ。)の異常な作動を検知したときに、
その旨を運転者席の運転者に警報する非点滅式の視覚的な警報装置を備えたものであること。
⑱ 配光可変型前照灯は、その作動状態及び不作動状態に係る制御を自動で行う場合には、次に掲げ
る要件に適合しなければならない。
審査事務規程 第4章 新規検査及び予備検査
審査事務規程4-58の2(60) -6-
ア 周囲の光の状態及び対向車又は先行車から発せられる灯光又は反射光に反応すること。この場
合において、対向車とは対向する自動車、原動機付自転車及び自転車を、先行車とは先行する自
動車及び原動機付自転車とする。
イ 当該制御を手動により行うことができ、かつ、手動により解除できること。
ウ 当該制御を自動で行う状態であることを運転者席の運転者に表示する装置を備えること。
(図)配光可変型前照灯の取付要件
(配光可変型前照灯の灯火ユニットの見かけの表面、1 から11 の例)
ア 特定の配光形態において同時に照射される灯火ユニット( + )
ここで
No.3 及び9:(対称的に配置される2個の灯火ユニット)
No.1 及び11:(対称的に配置される2個の灯火ユニット)
No.4 及び8:(2個の補助灯火ユニット)
イ 特定の配光形態において照射されない灯火ユニット ( + )
ここで
No.2 及び10:(対称的に配置される2個の灯火ユニット)
No.5:(補助灯火ユニット)
No.6 及び7:(対称的に配置される2個の灯火ユニット)
(注) 「対称的に配置される2個の灯火ユニット」とは、自動車の両側に1個ずつ配置された合計2個
の灯火ユニットであって、これらの見かけの表面の重心が、自動車の車両中心線を含む鉛直面から、
それぞれ公差50 ㎜以内で同じ高さ及び距離に配置されるものをいう。
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審査事務規程4-58の2(60) -7-
(2) 次に掲げる配光可変型前照灯であってその機能を損なう損傷等のないものは、(1)の基準に適合す
るものとする。(細目告示第120 条第12 項関係)
① 指定自動車等に備えられたものと同一の構造を有し、かつ、同一の位置に備えられた配光可変型
前照灯
② 法第75 条の2第1項の規定に基づき灯火器及び反射器並びに指示装置の取付装置について型式の
指定を受けた自動車に備える配光可変型前照灯と同一の構造を有し、かつ、同一の位置に備えられ
た配光可変型前照灯又はこれに準ずる性能を有する配光可変型前照灯
4-58 の2-4 適用関係の整理
なし。