エクスティンクション調査書

Last-modified: 2022-12-24 (土) 19:27:38

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エクスティンクションの調査書

記録の時系列では最後に当たる。
ARKシステムとは何か?エレメントとはいったい?
地球はなぜこうなったのか、そしてサバイバーの役目とは?
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登場人物、記録の内容

長いので折りたたんであります。

 
ヘレナ・ウォーカーの記録
番号内容
ヘレナ
#1こうやって書くのは随分と久しぶりのような気がする。ステーションでのロックウェルの件から惑星に到着までの間、私の生活は少しマンネリ化していた。新たに発見した生物のまとめ作業も大した気休めにはならなかった。今では前のほうが安全だったと考える者もいるくらい精神的に追い込まれている。確かに、彼らの言うことも一理ある。だから私たちはステーションに閉じ込められていたのかもしれない… 幸運なことに、サンティアゴの計画のおかげで時間を持てあますことはなかった。私は技術に関してはあまり詳しくない。巨大ロボットなんてもっての他だ。ただこれまでの経験から考えると、何でもいいから彼らに協力しないわけにはいかない。(Ps4版公式訳)
#2本物の地球だとはにわかに信じがたいが、サンティアゴが見せてくれた証拠は紛れもない事実だ。それでも夜がないと混乱してくる。世界の週末を楽しめるなら別だが。地球の自転が遅くなったのだろうか?それとも完全に止まってしまったのだろうか?いや、それはありえない。大気が制御不能になれば、放棄された建造物は風によって破壊され、あの巨大生物たちは波打つ海や、極端な気候、それに弱くなった重力の影響を受けて全滅していたはずだ。だがもし、頭上にある宇宙ステーションが重力バリアを作り出し、大気を修復することができたら… ともかく今はどんなことでも起こり得る状況だ。それが彼らの真の目的なのかもしれない。それか最初から彼らがこの混乱の黒幕だった可能性もある。真実がどうであれ、私はそれを解明しなければならない。どんな怪物だろうと真実の究明の邪魔はできない。(Ps4版公式訳)
#3サンティアゴが作っている機械は本当に素晴らしい! コントロールを簡略化してくれたおかげで、私のような変わり者の生物学者でもこのデカブツを自分の体みたいに動かすことができる。まさかロボットを動かすことになるとは… 完全に人生のコントロールをうしなってしまったようだ。メイ・インもシンクロすることに成功した。そして一瞬だけだったが、彼女は間違いなくかすかな笑いを浮かべていた。私はメカそのものよりも、それに救われたような気がする。彼女は激しい戦いをくぐり抜けてここに辿り着いた。その内容はあまりにも壮絶だ。特にロックウェルとダイアナの件はまさに悪夢だった。全てが終わったら、彼女が本当の幸せを見つけられるように力になりたい。彼女にはその権利がある。(Ps4版公式訳)
#4今日はサンティアゴと話をした。内容はいたって真面目だ。彼がコミュニケーションの手段としてよく用いる皮肉めいた冗談の言い合いではない。これには私もかなり驚いた。彼にオフスイッチがあるとは思ってなかった。彼はステーションで見つけたクローン装置のことを考察していた。私たちクローンは本当の人間なのだろうか?それなら、私たちには彼らの行いの責任があるのだろうか? その目的はなんだったのだろうか? どれも私自身が疑問に思い続けてきたことだ、だがこれまで話し合う機会はほとんどなかった。それは私たちが決められることじゃないと彼に言った。私たちが本当に責任を持つべきことは、私たちがこれからどうやって生きていくかだ。彼がどんな答えを求めていたのかは分からない。でも今の私にはそれで精一杯だ。(Ps4版公式訳)
#5いつも私のせいで皆が犠牲になっているような気がする。ロックウェル、メイ・イン、ライア、ダイアナ、そして今度はサンティアゴだ。あのメカを起動させる段になって、ついにあの怪物たちが攻撃を仕掛けてきた。動かせるメカは1つだけだった。だからサンティアゴがそれを使って彼らを遠くへと誘導した。メイ・インと私がスーツの電源を入れて彼らを追い払った時には、すでに彼の姿はなかった。彼の痕跡も見当たらなかった。あなたの犠牲は無駄にはしない、サンティアゴ。あなたが与えてくれた道具があれば、全ての裏に隠された真実をきっと見つけ出せる。そしてあなたを納得させられるような答えに辿り着いてみせる。約束だ。(Ps4版公式訳)
#6キャンプ・オメガは使えなくなったため、私たちは荒れ地に向かうことにした。生存者はわずかで残ってるメカは3つーーパイロットは、メイ・イン、私、そしてカズマという短気なUREの男だけだ。つまりサンティアゴがデザインした究極兵器にはなれない。そうなると、あまりにも巨大な生物やあまりにもたちの悪い生物と出くわした時、面倒なことになる。でも他に選択肢はない。答えは荒れ地のどこかにある。それが安全な場所にあることを願うしかない。まったく、この操縦というのにはどうも慣れない。ただ私の神経系はこの機会とかなり上手くリンクしているようだ。そして望んでいたとおり、と言うべきなのか分からないが、ついに他の人には任せられないほどの重責を担うことになった。私なら自分の役割を果たせる。ともかく皆の期待を裏切るわけにはいかない。
#7この荒れ地にいる変異生物たちは、その奇怪な外見に違わずかなり危険だ。だが今のところメカで追い払うことができている。とはいえ、危険な場面がなかったわけではないが。ある日、メイ・インが突然何の前触れもなく、いわゆる突進攻撃を仕掛け、死角から攻撃を受けそうになったことがあった。私は戦術などには詳しくないが、あまりにも無謀な行為に思えた。そういったことは初めてではなかった、彼女は常にカズマや私よりも多くの敵を引き受けようとする。これは別にエゴの問題ではないだろう。サンティアゴがいなくなり、彼女は1人で生存者たちを守るという責務を果たそうとしているように見える。彼女は私がここにいることにも気付いていない。いずれその重責を分かち合える日がくるのだろうか? どうにかして彼女に理解してもらう必要がある。(Ps4版公式訳)
#8曲がりなりにも、メイ・インの説得に成功した人物が、結局戦いに頼らざるを得なかったというのは何とも皮肉な話だ。私は何度も戦術について説明しようとした。だがほとんどいつも、メカのために考案した私の馬鹿げたタッグチームの動きを彼女に実勢に見せることになった。ドシエ・ドライバー、バイオビースト・ボム、Gデイ・メイト… どれも最高のできだった!彼女が1つも採用しなかったのが不思議でならない。それでも少しは彼女も理解してくれたようだ。素晴らしい夕食や、ラプトルに関するおしゃべりなどはなかったが、しばらくの間、私たちは島にいたころのような生活を送った。最悪だ。「古き良き日」に導かれて恐竜の住む島に漂着してみると、自分の人生の酷さがよく分かる。だがこれが現実だ…(Ps4版公式訳)
#9まさか実現するとは思ってなかった。しかも驚いたことに、それが上手く機能したのだ! メイ・インがメイ・アイ・ヘルプ・ユー作戦をやってみたいと言った時、頭でも打ったかと思った。でも私たちはそれを本当に実行した。サンティアゴがここにいないのが残念だ。本当に最高の気分だ!ただ正直に言うと、私はずっと怖かった。私はいつも死を覚悟してあれに乗っている、でもあのメカを降りるつもりはない。いつもメイ・インに頼るわけにはいかない、彼女だけで戦いを乗り切れるわけがない。彼女もそのことを理解してきたようだ。(Ps4版公式訳)
#10私の記憶が移植されたものだということは理解している。ただあまりにも鮮明なので、まるでそれが自分のもののように感じてしまう。今でもそれが私の礎になっている。確かに受け入れがたいことだ。でも仕方がない。 (原文ママ)はダーウィンで育った。海岸線に日が沈み、雨期になると激しい嵐が訪れ、折を見てはカカドゥでボランティア活動をした。私は生意気な奴で、常に大発見を求めていた。でもいつも問題ばかり起こしていた。どうやら今もそれは変わってないらしい。私は今でも新たな冒険を探し求めている。これが終わったら、この荒れ地で探しものを見つけたら、次はどうする? これが私の最後の冒険になるのだろうか?そうは思えない。(Ps4版公式訳)
#11ここにいない今でもサンティアゴは私たちに力を貸してくれている。前に彼から聞いた。彼が見つけたシグナルだが、どうやらついにそれを捕らえたようだ! 私たちは数時間前にそのシグナルを受信した。しかもどんどん強くなっている!少し作業をすれば、その発信場所を三角法で特定できるはずだ。そこに何があるのかは分からないが、宇宙ステーションやこの惑星の状況に関係している可能性が少しでもあるのなら、調べないわけにはいかない。これこそが皆が求めていた希望の光だ! 私たちはさらに一歩前進した!(Ps4版公式訳)
#12何を悩む必要があるんだ? 私たちはついに手がかりを手に入れた。それなのに死にたくないからと、洞窟の中に隠れるつもりなのか? 確かにこのシグナルの先に何があるのかは分からない。でもそこに行かなければ意味がない!頂上に何があるのか確かめるにはその山に登るしかないんだ!明日、この件について決を採る。今にも胃がねじ切れそうだ。ここまで来たのに、いくつか手が上がるだけで全てが台無しになるかもしれない。確かに、投票に負けても1人で行くことは可能だ。だが問題はそんなに単純ではない。メイ・インは間違いなく反対票を投じる。(Ps4版公式訳)
#13全員が私と同じ考えを持ってるわけではない。だからといって彼らが間違っているわけではない。その事実に気づけたのはメイ・インのおかげだ。何と言ったのかは正確には覚えていないが、この荒れ地で重要なのはあのシグナルだけだというようなことを言った気がする。だが彼女の返答に私は凍りついた。「あんたの言い方はまるでロックウェルみたいだ」私は言葉を失った。その代わりに、メイ・インがしゃべり続けた。私とは違い、彼女はここの謎に興味がない。宇宙ステーション、世界の終わり、どちらに関してもだ。彼女の望みはただ1つ、私たちをーー私をーー守ることなのだ。それ関して(原文ママ)は感謝しかない。とにかく、私には… 考える時間が必要だ。(Ps4版公式訳)
#14いつもとは逆のことばかり起こる日のようだ。私はじっくり考えるためにコッソリと抜け出した。するとメイ・インが話をするために私を追ってきた。その内容の大半は私たちが話題にすることを避けていた人物、つまりダイアナのことだった。私の傷口を開いたから、自分の傷口を開いた、とメイ・インは言った。公平な取引には思えなかった。彼女がネックレスをつかんでいる様子と、それをくれた女性のことを笑顔になりながら語っているその姿からは優しさがにじみ出ていた。それこそが彼女の差し出したものだった。決して癒えることない深い傷に抗い続けるには、かなりの意志が必要だ、しかし…それが一緒に足を引きずりながら前に進むための助けになるかもしれない。それにお互いを支え合えば、いずれはこの状況を乗り越えられるかもしれない。最終的にはメイ・インが投票先を変更し、そして可決された。私たちはシグナルを追跡する。(Ps4版公式訳)
#15シグナルが強くなるにつれて、発信源にもう少しで辿り着けるという思いが強くなっていった。今日の午後、その瞬間がついに訪れた。それはとてつもなく巨大な建造物で、地平線に迫るほどの大きさだった。自分に問いたい。これは私の想像どおりだったのだろうかと。どうやらこの遺跡は私たちを歓迎していないようだ…もちろん酒など用意されていない。残念なことだが。それはともかくとして、そこだけは他の建造物から独立しているように見えた。まるで別々に作られたかのようだ。ステーションと何らかの繋がりがあったとしても不思議ではない。それなら動力があることも説明がつく。その建造物の目的に関しては、突き止める方法は1つしかなさそうだ…(Ps4版公式訳)
#16この場所は巨大で不穏な感じがする。もしここの建造者たちが訪問者たちを怖がらせようしてるというなら、成功と言えるだろう。実際に私は此処に来ようと皆を率いたが今や侵入に及び腰だ。ちょっとカッコ悪いかしら?  しかしそんな気持ちは置いていこう。エントランスはMEKの一団が入るにはとても小さく、私達が歩いて探索することを意味していた。勿論分かれて動けばMEKのまま探索できるけど、この建築構造やホラー映画的なお決まりからして単独行動は辞めるべきだろう。  よし、行こう。何があるのかこの目で確かめよう。(提供者訳)
#17この場所には良く分からない美しさがある。このテクノロジーはMEKやTEK装備を更に超えたモノであり、それが整然と並び不気味な光と共に柔らかな響きと脈動を放っていた。きっちりと編制された様子からして、データライブラリーもしくはサーバールームの様だ。  実際私はアーカイブがあるのではないかと考えている。私の勘が此処だと言っている!私達が求めた全ての答え、最終地点なのだと確信している!あれらの宇宙ステーションを建造した文明がその知識をここに保管しているなら、隠された秘密が此処にある筈だ。  これにアクセスすれば必要なこと全てが分かるんだ...(提供者訳)
#18私達はようやく稼働しているターミナルを確保し、成し遂げた。未だに信じきれないがついに見つけたんだ!あの神秘のステーションが、私達の存在理由が、ここに在るんだ!  アーカイブによると、あの宇宙ステーションは計画的に設計された生態ドームで"ARK"と呼ばれており、厳密には一種の救命艇のようだ。地球に何か起こり-サンティアゴの考え通りエレメントをベースにした技術か何かのいずれかで- あらゆる生物相-動物、植物、もちろん人間含む-を保護・養育するためにARKは建造され、汚染された地表から飛び立った。  しかしいくつのARKがうまくいかなかった。それらARKは一様にエラーが起きてしまい...恐らく死の罠の中に戻ってきてしまった。"Reseed Protocol"とやらに何が要因がある。   読み通すにはもう少し時間が必要のようだ。(提供者訳)
#19私がこの情報を発見し解読するのに丸2日もかかってしまい、皆に申し訳なく思う。けど私が見つけた"Reseed Protoco"はどうもARKの末-いつ地球に戻るのか、養育された生命がどのように地表に開放されるのかを想定した計画のようだ。規定通りなら、これは地球が再び居住可能になった際に実施されるものだろう。   だが"Reseed Protocol"は初期段階のどこかでエラーが起きてしまった。私は完全に理解できていないが、何か条件が合っていなかったのだと思う。  もう、そこから先が出てこないなんて!全ての答えはここにある筈、でもこれまでのところ私達は稼働したターミナルを確保しただけだ。私は他の方法でアーカイブへアクセスを試みた。恐らくメイ・インが言っていたアーティファクト?-彼女がエネルギーの脈動があると言っていたもの- それには何か力があるはずだ。けど彼女はそれをしまい込んでしまった、見せてもらうよう頼まないと。(提供者訳)
#20メイ・インがアーティファクトを見せてくれる直前に私は奇妙な何かを感じたが、まさかこの様な事だと思いもしなかった。  私が彼女の発見したアーティファクトに触れて調べているとき、まるでそれの引力が私の手を引き付けているように感じた。私は自分自身でそれを手放すことができなかった。その後のことは曖昧だけど、次の瞬間アーティファクトが遠くに去っていくという感覚がした。その代わり私はこのダイアモンド形状の物体-純粋なプリズムと宇宙的なエネルギーを持つもの-に引き込まれていた。  メイ・インが「安全の為だ」とそれを差し押さえたので、私はそれ以上調べる機会得られなかった。彼女の警告を無下にできないが、特に問題は無かった!本当に!まぁ私の頭には孵化しそうな卵のように奇妙な疼きがあるが、身体的には無傷である。どうにかして私はメイ・インにそれの調査を続けさせるよう説得する必要があった。  そう...私がアーティファクトに触れた時、何かを感じた。何かを見たんだ。それが何なのか理解しなければならない。(提供者訳)
#21私がアーティファクトに触れた時”奇妙”な感じがすると言ったが、正確な表現ではない。  私はそれのホンの一片-私の意識に与えられた弾ける様なイメージ-を思い出す。初めは見分けるのに苦労したが、なんとかメイ・インから許可を得て距離をとりつつプリズムを観察すると、徐々に分かってきた。  ある者が光を作り、怪物が吠え、空が火に覆われる...それらはどの記録にないものだった。私自身の記憶にも、だ。もしこのプリズムがそれらイメージを私の頭に送り込んできたというなら、正直ちょっとビビるわね。  メイ・インが正しかった。私はより注意深くする必要がある。もし私がこのプリズムの秘密を知りたいが為に徹底的に調査していれば、私はこれに屈していただろう。私達は二人で見張りながら、コックピットにそれを運び込んだ。この件についてメイ・インに謝っておかなくては...(提供者訳)
#22今になってメイ・インと私はお互い理解し合えるようになったようだ。私がぶっきらぼうに彼女に謝れば、それでお終いだ。彼女はそれだけで私から意図を分かってくれるし、私も彼女はただ皆を守りたいだけなんだと互いに心の内が伝わる。  私は彼女に見てきたイメージについて話した。彼女はナンセンスだと一蹴したが、私はそう思わない。それらイメージはプリズムの調査を行うたびに一つ一つ判別出来るようになっている。  ある日、私は一つの空間を見た、それは深い穴の中で徐々に周囲が鮮明になっていく様だった。そこは墓であり玉座-高い経壇に棺桶のようなものが置かれ、銀色の金属と輝く水晶に囲われていた。壁はかすかに光り、天井もしくは下方からも光が注がれている?言葉では言い表せない。 これにどんな意味があるというのだろう?全ての答えか何か?もしくは私はただ深く眠りたいという自意識の表れなのだろうか?(提供者訳)
#23幻覚はさておきこのプリズムは魅惑的だ。サンティアゴのホログラム装置と同じようだけど、より濃密で物質的に見える。はじめはエレメントのプラズマかと思ったけど、私は別の不吉な何かだと考え始めている。  けれども私は1つだけ確信を以て理解している-このプリズムの形についてだ。どうやらこのプリズムはあるものと同じようなサイズ・輪郭を持っているようだ。そう私達の手首にあるインプラントの中央の溝と同じように!そう、そうなんだ、そこまでは明らかになったが、私には理解できない他の要素にはイライラさせられた。  これが何のためにあるっていうの?私はただそこらのデータドライブの中を抜き出しただけっていうの? もうこれが全部だってこと?サイボーグ共の写真アルバムを見る為だけにここまでやったっていうの? ”待ってよ、もう一度だけ! あーあママがカメラ壊しちゃった!”  なんて冗談を言ってみるが、もし本当にこんなことだけなら、ここに答えが無いのだとしたら...私は何をすればいいっていうの?(提供者訳)
#24プリズムを調べてきた結果、私はただ一つ確信を以て言える-もし私が自分のインプラントにプリズムを埋め込めば、何かが変わってしまうだろう。恐らく私自身、いやダメだろう。経験を得る為に生きていくべきだなんて誰が言ってたかしら?どんな場合でも私はそうしていきたいと思っているし、今でもそうしたい。  でも待って?私はまだ答えを求めているけれど、ロックウェルの変貌を目の当たりにしメイ・インの言葉も聞いてきた。この思いはロックウェルが今際にどれほど感じたのだろう?  そう、私は彼の過ちを繰り返したくない。メイ・イン、ライア、サンティアゴ、そして他の誰もが私をここまで助けてきてくれた。もし用心すれば他の人を傷つけることが無いと言うなら私はプリズムを使うだろう、そしてそれが誰も知らないARKの究極の事実だとすれば? そうあってほしい。(提供者訳)
#25現在までに私が見てきたイメージは短くまとまりのないものでコラージュのようだったが、最近見た夢は違う。それは欠落もなく一貫した映像-もしかするとちょっと難解かもしれないが-だった。  ある日、私は薄紫の指が地の底を引っ掻き、土に深く手を埋めているのを見た。それらはその先にたどり着き、何かを引っ張り出し、まるで石が砕かれるように割れ伸び網目を広げ、遂にそれらは溶けた核を見つけた、核は柔らかで落ち着いた脈動をしている。何の躊躇いもなく、それらは核を掴みかかり、ツタのように巻き付き握りしめた。核は脈動を弱め、やがて完全に止まり、最後には石コロのように冷たくなっていった。  核は死んでしまったようで、薄紫の指から糸のような影が放たれた。私は砕かれ萎びてしまった核の痕跡を辿ると、その先にそれ-怪物の如き影のような軍勢、ほんの微かな光すら刈られていく様-を見た。そしてそいつらは私に向かって進軍してきた。(提供者訳)
#26カズマが朝の偵察から戻るとそれらのイメージは幻影のように消え去っていった。  怪物の軍勢が私のやり方(プリズムを囮にする?)で誘導できたが、私はそれがただの偶然とは思えなかった。  怪物たちはプリズムのすぐ後ろまで来ており、私はそうしなければならなかった。だからもし私がプリズムを取り除けば..いやそれはまだやるべきではない。怪物たちはプリズムを用いても止まらず、プリズムに触れる者をすべて貪る。何故か私はそう感じていた。  ああ、何故あの恐ろしい運命受け入れるしかできないんだろう?何でもいいから皆を助ける為のものを見せて、貴方(プリズム)は光るだけの役立たずなの!?  畜生。多分私は行軍中になにか手を考える必要があるだろう。今からこの地獄を脱出するために。(提供者訳)
#27アーカイブから去って初めての睡眠、一時の休息の合間に別の映像が流れ込んできた。私は1つの梯子を見た、それは地の底から雲よりも高く伸びていた。私がそれを上った、誰かを背負って上に上にと。歩みは遅くとも確実に進んでいった。そして空の向こうのどこか、私は見える限り梯子を上り詰めた。  下から怪物たちが怒りの咆哮を上げる。彼らは梯子を上れず私たちに近づけなかった。彼らの中でもっとも巨大なもの-さながら聳え立つ死の王-ですら私達を傷つけることは出来ず、そして私は手首から見慣れた小さな光が見えることに気付いた。  これなの?私が皆を助けられる方法、必要としている手段を見ているの?私は決断しなければならない、すぐにでも。私達にはもう時間が無いのだから。(提供者訳)
#28まるで胃が綾取りされてるかのように捩れると感じた。メイ・インが私にプリズムを渡すことを拒否したとき、私はそう...こっそり取ってしまった。彼女がただ私を守りたいだけと分かっている、けど私たち間には認識の壁がある。私達が助かるチャンスがあるとすれば、あのプリズムに接する必要があるんだ。  しかし私はプリズムの危険性をわかっており、それを使うことは最後の手段となるだろう。秘められた太古の神秘もしくは重要な点が解決できていないけど、それでも彼女を、皆を助けるためだ。もしそれが如何に恐ろしい事実だとしても助けとなる唯一のチャンスであれば、危険を冒す価値はある。  ごめんなさいメイ・イン、私達はお互いに支え合うって約束した、そうでしょう?  多分貴女が想像しているような事にはならないでしょうけど、これが唯一の方法なの。どうか許してほしい。(提供者訳)
#29動いた。プリズムは起動したが、私は戸惑った。今やメイ・インと私の二人だけだ。二人以外、皆死んでしまった。そう皆だ。私も死んでしまうのだろうか?死の感覚とはこんなものなの?  これがあのイメージで墓を見続けた理由なのか? その墓がまた戻っていく。その墓は玉座であり梯子であった。  梯子。私が見たのともう一つの梯子。私はまた登っていく、雲の向こうへ星の彼方へ。私は梯子の終わりまで見えたと思っていたが、次の段を掴もうとした瞬間、手が塵になっていった。私は叫ぼうとしたが、何も聞こえなかった。  私は落ちていった。彼らの顔が見えた。ロックウェル、ライア、ダイアナ、サンティアゴ、メイ・イン...  私は彼らに手を伸ばした。私は手にしなければならない。何か手にできるものが無ければいけない。何かを。  墓だ。そう墓だ!(提供者訳)
#30ごめんなさい、メイ・イン。本当にごめんなさい。今や全て貴女の双肩掛かってしまった。もう他に誰も居ないの。 墓。玉座。貴女はそこに行かなくてはならない。貴女が私をそこに連れて行かなければならない、昇天の墓に。私が其処までの道を示すことができるけど、そこまで貴女は一人で歩まねばならない。私は真実がここまでではないと願っている。貴女に翼を与えられるよう祈っている。  そして貴女の心を信じている。私自身も。もう最後のようだ。どうか信じてほしい。どうか、どう...(提供者訳)
ダイアナの記録
番号内容
ダイアナ
#1私は生きてるのかしら? ここはよく聞く地獄とやらには見えないし、天国なんてところはこんなに掃除された場所なんだろうか。目下の問題は、私はうまく生き延びたのか死んでるのかってことよね。  私が思い出せるのはゲートウェイ直前に怪物が現れた事、そして凄まじい痛み、それからメイが私を見下ろしているところだ。私は出来る限りあの光景を思い出すが、後は暗闇に覆われ冷たい虚空に落ちて行くような感覚だけだった。曖昧なものだけど、その後に声が聞こえたことを思い出した。   「助けてほしい。貴方の力が必要なんだ」  そして今私はここにいる、自慢の男みたいに逞しい腕と丸出しの尻を金属の床に写しながら。 まぁ私はしっかり生きている、もし死んでるっていうならこんなクソみたいな痒みはないんだから。 まずは服を作るべきよね、あと何か軟膏でもあればいいんだけど...(提供者訳)
#2あの惨事の前にサンティアゴが無線で人のクローンチャンバーについて何か話してたわ。曰く「僕らはクローンだ。ただ僕がコピーなのか、それともどこかに格納された意識を新しい肉体に放り込まれたのか、どっちだろうね?」  正直気味が悪い、今までそんなことは起こったことが無い。 私たちはあのステーションで多くの仲間を失った、けどそうした命は1つとして戻ってこない。死は一方通行のチケットであり、終焉である筈だ。それに何故私だけ例外なの?あの声は私に何をしろって言うの?  OK、わからない事だらけね。ただあの声には答えてあげるわ。”Yes”ってね(提供者訳)
#3よし、それなりに探してみたけどここにあるのは使えない物だけね。ひとまず私の記憶があるってことは良いことね、私がオフブランドなクローンかそうでないのかわからないけど、二度目の人生はまず記憶の後追いをすることにしましょう。そうするしかないのよね、今のところは。  私は基本的な装備を整え簡素な囲いを作った、どうやらここはどこかの惑星上であることは確かだ。それはゲートウェイ計画が成功し、サンティアゴ、ヘレナ、メイ・インそして他の皆もこの地の何処かにいることを意味している。皆と合流しなくては。  あの声は何か助けを求めていた。もし皆が何かトラブルに巻き込まれているなら、もう少しだけ辛抱してちょうだい。私が助けに行くから!(提供者訳)
#4この旅は何かに導かれているように感じている。あの声なき声の案内なのか、単なる偶然なのか、我ながら正気か疑問に思えてくるけど、最近の出来事を考慮するとあの声を無視するってのは看過できないわね。  なんとも気味が悪いわね、見えもない恩人がいるなんて。襲って来るセキュリティドローンに対処してると普通に自分自身でサバイバルしてるようだけど、何故か自分の意志でやってるような気がしない。まぁこの都市では必要だと思えばいくらでも見張りに良い位置が確保できるんだし、この程度の不安で危険ってことはないわね。  一応確認したいんだけど、此処を脱出し全部やり遂げるってのは荒廃したこの星の治療薬になるはずだ。そういうことよね?(提供者訳)
#5この都市は文明の終焉の象徴ってとこかしら?砕かれたベンチ、植物が生い茂るビル、私から隠れるようにしてそこら中這い回ってる虫たち? まぁ貴方たちは私のことを誰かに通報なんてできないでしょうけどね。  私を含めこれまで多くの人が何かを守ろうと戦った、それでも黙示録の時は訪れてしまった。私は、私たちなら何とか食い止められるだろうと思っていた。自身を信じていくしかなかった、分かるでしょう? そう人を信じていけば、私はそう思っていた。  けれどもこうして終焉がやってきたことを思い知るが、今更何とも思わない。残念ながらそんな風に思い詰めるのは私のスタイルじゃない。すぐ傍に数人の人の足跡がまだあった。もしかするといつの日かこれらのビルがまた輝けるかもしれない、けど今はこんな大きなアパートの部屋でゆっくりしてる場合じゃないわ。それもそんなに悪くないんだけど。(提供者訳)
#6皆はここにいた、間違いない。TEK武器の跡がそこら中にあるし、厳密にどのくらい前のものかは分からないけど草木に着弾跡が残ってる以上、ごく最近の事だ。かなり大きな口径の弾痕がいくつかある、どうやらライフルよりも大きなエモノだ。私に内緒でバケモノ戦車でも作ったっていうのかしら、ねぇサンティアゴ?  すぐに皆を見つけられるだろう。より強く導かれているようだ。ふとあの声が近くで「あれを見て」と言った。気のせいかもしれないが注意深く周囲を見渡す。私には溢れんばかりの火力もなく、メイのような獣のテイム技術もない、それでも今は私しかいないんだ。ちょっとしたミスをする余裕もない。(提供者訳)
#7こんなメカ(MEK)を作るなんて本当によくやるわね、サンティアゴ。今にも動きそうに見えるその機械は壊れてダウンしてるようだけどまだ直せそうだ。初めてTEKアーマーを使った時みたいに暴発しちゃったのかしら。  いえ違うわね、貴方(サンティアゴ)はやるべき事をやり遂げて、ここで死んでいったのね。ゲートウェイ計画は私たちに希望をくれた、そして貴方はそれを実現可能にしてくれた。正直なぜあの声が私を向かわせたのか、貴方に何が起きたのかまだ分からない。分からない事ばかりだ。  今頭の中で「すまない」と聞こえた気がした、そうね、それでもやってみなければ。 なに、心配はいらないわ、神秘的で空気みたいで-どっちも違うのかもしれないけど-貴方(あの声)は十分すぎるほどの奇跡を起こしてくれた。貴方とサンティアゴ、二人の為にやって見せるわ。任せてちょうだい。(提供者訳)
#8MEKは起動したけどもう一作業必要みたいで、私はしっかりと動作確認を行った。  いずれにしろ操作性を掴むのはそんなに時間がかからなさそうね。操作システムは基礎的なレベルの操作であれば1時間足らずで出来るようになるほど洗練された設計をしている、けど更に追加できる設定がいくつもあるみたい。さながら50トンのバレリーナみたいに踊るのもすぐにできそうだわ。 そんなことしたら操縦者はめまいを起こしちゃうだろうけど。  サンティアゴ、もしあなたが此処にいたらキスしてやりたいわね。お墓作ったんだからちゃんと成仏してよね、そして貴方の最後の発明で派手にやってやるわ、それが貴方に敬意を評するってことよね。どうか見守ってて。(提供者訳)
#9システムオンライン、エンジン稼働中。いよいよ出撃ね、そろそろMEKの後ろ姿を見るのも飽きてきたところよ。修理したツケは払ってもらうわよ。  TEKアーマーとTEKライフルが有用だって事は十分わかってるけど、MEKもやれるってところをしっかり見せてよ、なんて思いながらコックピットに入った。恐らく私は兵士たちの中では抜きん出ていた、地球連合のあらゆる車両シミュレーションでエースだった。けどそれはどうでもいい、車輪だろうが翼だろうが足だろうが自分の指先みたいにマシンを扱うなんて今まではあり得なかった。 わかったわ不思議な声さん、そのまま見ててちょうだい。ちゃんと助けに行くわ、一気に行くわよ。(提供者訳)
#10タイミングは悪くなかったみたいね。私はあのデカブツと出会うまで導かれるままに進んだわ、そいつの外観は歩く森とでもいうべきものだった。アレが何なのかよく分からないけど、世界最大のサラダってとこかしらね。  ようやく生存者を確認したけど、その目は以前催眠術にかかった人ようだった。それでもシャキッと立ってるなんて他に誰がいるっていうの?こんな遠い所から他の誰が呼んでくれるの?貴方しかいないわよね、メイ・イン・リ?  折角蘇ってきたんだし、すごく良い雰囲気だったもんだから言ってみたのよ「また会えたわね、お嬢さん」って。まぁその後大分愚痴られちゃったけど。(提供者訳)
#11あのメイがこんなに長い間抱きしめてくれるなんて奇跡、二度とないでしょうね。でも少しすると彼女は倒れるように私の腕にもたれて来たわ、もう足が限界だったみたい。  どうしてこんなことになったのか聞けなかったけど、彼女の目や打ち身だらけの体を見てどれほどの地獄だったか分かったわ。言うまででもなく彼女のMEKもボロボロだったし。こんな状態でどうやって戦い抜いてきたのかしら?   でもそれも今日までよ。彼女はやるべき事をやってくれた、もう休んでもいいはずよ。ここからは私の番なんだから。(提供者訳)
#12MEKを修復してる間にメイが起きていたわ。他のステーションから来たっていう彼女の友人ヘレナはあの怪物どもを退けようとアーティファクトを使い錯乱状態に陥ってしまったという。要約するとその後彼女は昏睡状態になり、遂には光となって消えて行ってしまった。  言ってはなんだが下手な与太話じゃないかと思う。勿論私自身つい最近復活して変な声が頭に響いたりしたんだし、必ずしもあり得ないなんて言えない。  それにしてもヘレナの事は残念に思う。短い間しか一緒に居れなかったけど彼女とはよく話した、彼女は私たちを助けるためにあの洞窟で命を懸けてくれた。その身に起きたことが何であれ、せめて彼女が安らかにあることを心から願う。(提供者訳)
#13私のMEKは修復の為にパーツをいくつか外す必要があったけど、メイのMEKは自動修復していた。とにかくあの不思議な声を信じて出発しよう。  もし貴方(不思議な声)がメイに頼めたとしても、そっとしてやってほしい。あれから彼女はヘレナと一緒に頑張り抜いたんだから。今更目に見えぬ預言者だか何だかが来てしまったなんて彼女が用心してしまうのも分かるが、この声は彼女まで私を導いてくれたわけだし。今のところ無視できない。  それにしてもそろそろあの声だなんて呼ぶのは止めなきゃね。思うに実際に聞こえる音ではないのよ。なんというか、その声はただ...現れるのよ、まるで見えない手が私の心に書き込むようにね。私に何をさせる気かしら?あの声は何者かしら?もしかすると...既に何かしてしでかしてるのかも?  奇妙なものね。分からないことだらけだわ。(提供者訳)
#14一緒にこの2日間ほど旅をしたけど、その間メイは30秒以上私から目を離そうとしなかった。彼女ががっちり守ってくれるってのは頼もしいけど、戦闘時以外はちょっと放してくれるよう説得する必要があった。  そうね、いいパイロットってのはしっかり先導者を見る必要があるけど、それは先導者の技術を信頼して操縦してるって事なのよ。もし彼女が逐一私を助けようとしたらお互いのMEKのつま先を踏み合ってしまうわ。まずはそういう所から理解してもらわなくてはね。 ちょっと軽口気味に言ってみたけど、私のジョークは彼女のお気に召さなかったようだ。私を復活させてくれたあの声も笑ってくれなかったわね。どうにも今だに蘇りさせられたなんて信じ難いけど。まぁいいわ、メイと過ごす今が私の全てなんだから。(提供者訳)
#15私たちは互いに助け合いつつ戦っている、今なら立ち塞がる脅威がどんなものでも対処できるわ。楽勝ね!あのデカブツ、私が仕留めた歩く森みたいなやつもしくはその同類、そいつらと戦うなら面倒なことになるかもしれないけど。 そしてメイの話した内容から私はMEKの隠されたシステムを見つけた、その答えはサンティアゴが既に用意してくれていた。元々MEKは4機存在しており巨大でイカれたスーパーウェポンに合体するよう設計されていたみたい。  そいつは私たちが一服してる間にタイタンどもを始末するほどの火力があるようだけど、残念ながら2機のMEKは戦いの最中放棄せざるを得なかったようだ。仕方ないわ、しばらくはこの当てなき旅を楽しむとしましょう。(提供者訳)
#16私たちが導かれる先が分かってきた。まだ詳細には分からないけど、そこには溢れるほどの情報が集中している感じだ。軍人らしくいうなら、指令所か主要な通信中継局ってとこね。  私とメイ・インを再会させてくれたんだし、大いに信用できるあの声はそこまで案内してくれるみたいね、いよいよ到着間近となり私にも強い興味が芽生え始めている。私たちが到着したら何をさせようというんだろう? そこには他の生存者もいるのだろうか?  今のところあの声は答えてくれなかった。多分私たち自身で見つけてと言うのだろう...安全か分からないけど行かなくてはね。(提供者訳)
#17構造的にこの建物は掩蔽壕のようだ。壁は数十メガトンの力にも十分耐えてくれそう、あのステーションを作った文明が最後に造ったのだろう。それだけでもここが重要なものなんだと思うが、そのイメージとは対照的に中はただ広いだけで、見つけたのは円形のコントロールセンターだけだった。  部屋の中央からコンソールの列が数珠つなぎに配置され、壁には巨大なスクリーンが接続されている。分厚く積もった埃を払っている間に閃光が輝き情報が表示された。この設備はまだ使用できる、そしてここは中心部なんだろう、私たちが通ってきた-あの宇宙ステーション-を今も管理し続けているんだ!  ここがどういう場所か理解できて来たわ。気合いを入れなきゃね、全てのデータの管理・処理している所なんだから...(提供者訳)
#18メイはヘレナがあの宇宙ステーションの事をARKと呼んでいると言い、それは惑星の生態系を保存するとのことだ。それは私が此処で発見した情報とも矛盾しない、けど1つ問題がある。The Reseed Protcol-惑星への帰還の最終段階が”エレメント汚染濃度”と呼ばれる要素で阻害されているみたいね。  今考えてみると、私たちの道程でもそこら中にエレメントベインが見受けられた。惑星全土に広がってるに違いないわ。これらの情報に基けば惑星の地殻さえゆっくりと汚染していると予想できる。私は純粋なエレメントが生ける者に何をしでかすのかを見てきた、どんな問題があるのかは想像できる。  ARKは周辺の”エレメント汚染濃度”を浄化する機能があるようだけど現時点では困難のようね。何者かがエレメントを広げ守っている。その巨大な怪物たち、そいつらが問題なのね-あのタイタンどもが。(提供者訳)
#19タイタンとその手下との戦闘を思い出す。このコントロールセンターにある奴らの移動ルートを監視する機能によると奴らはほとんど群れで動いてるみたい。奴らは集合すると決めるとそこら中から手下が集って来るみたい、まるで何かに指揮されるみたいにね。言うまでもなく奴らは行く先々にエレメントを広げる。つまりThe Reseed Protcolの前にタイタンどもを抹殺する必要があるということね。  いつもの私は不可能にも思えるミッションだって全力でやってやるわ、けど数知れないタイタンどもを倒しきるなんて気が狂ってるとしか言えないわね。もしやろうと思えばメイと私は殺傷力抜群のカップルになれるだろう、でも奴らを殺しきる前に年老いて死んでしまうわ。  私たちにできることが他にある筈だわ。いくつかの資料が"Arat Prime”と呼ばれる惑星の向こう側について言及していた。これは有望そうだけど...今のところ興味をひくものではないわね。我らが愛する不思議な声もそう思うみたいね。私たちをどこに導こうっていうの?(提供者訳)
#20ようやく見えないツアーガイド様のやってほしいことが分かったわ、メイと私は次のステップに向けてしっかり話し合った。 一方で生き返りなんてことを体験したんだし、どこかで落ち着いてただこの終末世界を楽しむってのもとても魅惑的ね。まぁ私はあの声に恩返しするために復活したんだし、地球を救うってのも重要よね。全部終わってからゆっくり暮らすとしましょうか。  それにしても私の人生って誰かが何か仕掛けてるかしら?いつも危険なオプションをつけられるんだけど。メイも実はこのところ彼女自身あのガイドが聞こえていたのではないかと思う、驚くべきことだけどそう確信したわ。彼女もあの声を信じると言ってくれた、まるで家族の様に感じているようだった。  これからやるぞって時にこんなセンチな気持ちは無くすべきだけど、まぁメイも私も一緒に狂ってる言うならそれはそれで悪くないわね。(提供者訳)
#21奴らはこちらに来ようとしている、もしくは私たちがおびき寄せてしまったのかしら-ちょうど真正面の方向にいるバカデカいトカゲ-に見つかったようだ。  他のタイタンのようなの巨体が、いや連中が小さく見えるほどの怪物、メイ・インによると既に奴らの群れと戦闘したとのことだ。彼女の脳裏には焼き付いているのだろう、今戦おうとしている奴が以前-他の仲間たちを殺したということに。奴は借りがある、相応の報いを受けさせてやりたいが、私たちを圧倒できる力を持っていることも理解している。  不運にも私たちがコースを変更したときから付いてきていたようで、匂いでも覚えられたみたい。付けられてからまだ1,2日ってところだけど遂に追いつかれそうね。奴が来るときに逃げれるよう算段を整えておく必要がある、だってまだ必要な武器も調達出来ていない...いえ待って。結局やるしかないのかしら。(提供者訳)
#22一か八かの賭けよ。もし2機のMEK修理が間に合わずあのタイタンの王がここに来てしまえば、私たちは死にここに在る全ても破壊されてしまうだろう。  けどもしどうにか放棄されたMEKを回収して戻ることができれば4機のMEKを合体させてサンティアゴの言うスーパーウェポンができるわ!ダメージを負ったMEKをパイロット二人だけで維持する、フルに運用なんてできないわって言うところでしょうけど、幸いにしてこの私は地球連合のトップエースなのよ。動力部はさっきから起動しているし銃も装填済、やってやるわ。  OK、お休みはここまでよ。ここからは私たちが戦場を焼き尽くしてあげるわ。(提供者訳)
#23出発して以降ずっと気を引き締めていたが仲間たち遺体や粉々になった装備を見るってのはまだ慣れないわね。ここの皆を随分前から知っていた、彼らは私の新しい家族と言ってもいい。カズマの遺体を彼のMEKから出した。  今は嘆いてる場合ではない。時間が無いんだ、これ以上メイに気負わせる理由を作りたくない。起きてしまった事は彼女の失敗ではない、けど彼女はそう思っているだろう。  もし彼女が撤退せずその身を投げ出すようなことになれば借りを返せなくなってしまう。今じゃ目隠ししたって私たちはお互い支え合うことができるんだから。  なんて私が書くとなんだか安っぽくなっちゃうわね...(提供者訳)
#24Yes! やってやったわ!回収したMEKは上手く起動したわ!まだまだこいつらはやれるわ、まだ修復してるけど2機ともばっちりよ。今なら全4機で合体できる筈だ。  時間も余裕があるわ。誉れある我らがお客様(回収した放棄MEK)にはもう少し休んでてもらいましょう。奴はゆっくりと向かってきている、まるで私たちが手も足も出ず死に行くことは避けられないと言わんばかりにね。さぁてそれはどうかしらねクソ野郎?その醜い面で此処に在るものを見てそう言えるかしら。  私の血は戦いを思い煮えたぎってるみたい、けどちょっと落ち着いたほうが良いわね。奴らが到着したらアドレナリン全開でやってやるわ。(提供者訳)
#25サンティアゴ、貴方ってちょっとイカれてたけど天才ね、またキスしてやりたくなったわ。このカワイ子ちゃんのおかげでね!今まで観たこともない兵器だった。完璧に融合したMEKはもう分離などせずその力も兼ね揃えている、このMegaMEKは常識を超えてるわ。  例え70%程度の出力でもそこらのタイタンをぶちのめすには十分でしょうね。摩天楼を真っ二つにしてしまいそうなソード、そして防護システムも凄まじい衝撃を受け切ってくれるだろう。  ただ一つ懸念は本来は4人のパイロットが必要ということだけど、私たちは2人しかいない。でも良い知らせよ?そのパイロット役は私1人でやれるんだから。(提供者訳)
#26OKやってやるわよ。私がMegaMEKの脚部、頭部、左腕を操縦している。メイは私よりも白兵戦が得意だからソードを担当してもらうわ、けど彼女ってば操作の事を一気に伝えられて一杯一杯みたいね。  言い換えると戦闘時に私がMegaMEKシステムの75%を制御するって事よ。精神的にも肉体的にも全力を尽くすことになるけど、準備は出来ている。どれほど負担が大きくとも操縦室内こそ私の居場所なのよ。もしこの場で他に誰がいたとしても操縦するのは私なんだ。もう他の計画を用意してる時間は無い-タイタンどもはすぐそこまで迫っている。  来なさい醜いクソ野郎ども、ぶっ潰してやるわ!(提供者訳)
#27タイタンどもの最初の攻撃は激しいもので、私たちは防御重視でそれを凌いだ。なにかしら強烈な攻撃を使って素早く勝ちたいところだけど、それではただ第一陣を切り抜けるに過ぎない、結局は耐える必要があるだろう。  その瞬間が来た時、私たちは一気呵成に攻めたわ。燃料が一気になくなるほどの激戦だった。私たちの攻撃は奴らを叩きのめし這いつくばらせ、遂に最高の一撃を奴の胴体にお見舞いしてやった。  奴は短く声を上げてこちらを殴ってきた、まだ余力があるようだ。 そうしてると遂に奴は回復の為に動きを止める、空かさずその胸に血のXマークを刻んでやったわ。  くらいなさい、クソ野郎!もう戻って来るんじゃないわよ!(提供者訳)
#28上手くいけば私たちが奴を見るのはこれが最後になるだろう、復讐は甘美ではあるが二度も奴と戦えば私たちの運も尽きるでしょうね。  コックピットから出ると私ったら鼻血をだしちゃってたわ、それに少し時間が立ってもまだ足がぐらついている。MEK3機分の制御を一度にやりながら戦闘するなんて、説明書に”決してお家で試さないでください”って書くべきよね、ましてやパイロット4人分なんてやれば動脈瘤まっしぐらよ。  その上私たちのMegaMEKはガムで接合してるんじゃないかってくらいにガタガタな有様だった。持てる全ての力と4人分のパイロット、それがあればあのデカブツにトドメを刺す事ができたんでしょうけど、私たちにはどちらも欠けているわ。まぁまとめると私たちは期待してた通りにやり遂げた。勝利の一眠りくらいしたって良いでしょ...(提供者訳)
#29最後のお墓を作り終えてから数時間が経った。仲間たちにさよならを言うのは悲しい、特に私自身も死んでしまったせいで彼らを助けられなかったと思うと1週間はここで泣き腫らしてしまうだろう。彼らが向こうで平穏もしくはもっと良い何かを見つけれるよう祈ろう。  そして私はメイ・インとともに歩いていく。あぁそうね、私たちをここまで導いてくれたあの声も一緒ね。既にあの声から"Arat Prime”へ導かれ始めているような気がするわ。  何が私たちを待ち受けているのか分からないけど、メイが傍に居てくれてれば危険なミッションだってやっていける、この旅ものらりくらりとやっていけそうよ。 旅についてはそう言えるけど、今後の人生についてはどうかしら? まぁ自分のスピードでやっていくわ。(提供者訳)
#30ミッションログ:ダイアナ・アトラス中尉-地球連合第82期兵、そしてイー省のメイ・イン・リ-ジャングルのビーストクイーン 深淵と荒廃にて  もしこれを読んでくれてるなら、我々の様に貴方はなんとかARKから解放されたのね。ようこそ地球へ、坊や。貴方がこの荒廃した地獄から抜けれれるよう祈ってるわ、何故って悪いニュースだけど貴方はもう終焉後の世界にいるのよ。良いニュースは貴方がこの世界できる事があるってことよ。  私たち二人は出来る限り救っていくつもりだけど十分とは言えないわ。もうあのデカブツは見たかしら、随分醜い怪物でしょう?  そいつらを消さないと地球が回復できないの。後もし貴方がXの形の傷を胸に持った奴を見たら、トドメを刺す前に思い切り罵倒してやってちょうだい。  私たちは自分の成すべきを成すわ。あとは貴方次第よ。幸運を。(提供者訳)
サンティアゴの記録
番号内容
サンティアゴ
#1とにかく5秒でいいから全員黙ってくれないだろうか。最悪な状況だということは重々承知している、他の者もそうだろう。だからとにかく呼吸を整えてくれないか? 頼む。ゲートウェイを通って地表にテレポートした時、最悪の状況は脱したと思っていた。だがいざ来てみると、この惑星自体が焼き尽くされていたことが分かった、まさに世界滅亡後に訪れた悪夢だ。出発点に戻ったと感じている者もいるようだ。だが正確に言うと、それは正しくない。我々にはTEK装備、物資、テイム済みの動物、それにかなりの量の人的資産がある。自由に使える道具が山ほどあるというわけだ。あと私に必要なのはある程度のスペースと考える時間だけだ。これは新しい暗号なのだ、解読する必要がある。
#2店を開くのにピッタリな場所を見つけたようだ。前方にあるクレーターであれば、我々の望む全ての条件を満たしているはずだ。メイ・インがペットを連れて偵察を行った。つまり少なくともパニックになっていない人間が私以外にもいたということだ。とはいえ、ステーションの自爆ミッションで「自爆」を買って出た彼女ならあり得る話だ。ディーには人を見る目があったということだ。移動中にいくつか道具を組み立てた。そこまで複雑なものではない、基本的な装備品で、これがあれば新たな環境の調査をしやすくなる。重力、土壌、合成物、大気などだ。どんな結果が出るかは予想がついているが、確認は必要だ。
#3私の予想を越えるような数値も出たが、ここは間違いなく地球だ。年齢も同じで、自己完結的な泥の玉だ。思っていたとおりだ。あのヘレナとかいう生物学者によると、私と同時代から来た人々は、あのステーションでは最も進化した人類のようだ。つまり彼らがそれほど遠くない未来に生まれる可能性がある。それに私の最後の記憶では、連邦とUREはまだ地球に存在していた。別に技術が足りなかったわけではない。原因は例の悪人ども、つまり政治家たちのせいだ。彼らは1つの惑星を共有することすらできなかった。空間などもってのほかだ。人類は悪夢のシナリオとしてAIの神々を登場させるのが好きなようだが、機械に支配されるのであれば、私はこの荒廃した地球の大地ではなく、豊かな火星の景色を見てみたい。そう考えるとそこまで悪くない気もする。とにかく、支配された人類の運命がどうなるかは私にも分からない…
#4キャンプ・オメガの建設は順調に進んでいる。力を注ぎたいプロジェクトがあってもそれだけをやってるわけにはいかない。できることなら、居住区や馬屋や基本的な防衛システムよりもっと困難なことに挑戦したいが、今はこれで手一杯だ。最近この工場はほとんど私がしきってるような状況だ。私以外に適任者がいないから仕方がない。私は自分の仕事をこなす。ただ下らない喧嘩やノイローゼに毎回邪魔されるのだけは我慢ならない。私には問題を解決するという重要な仕事があるのだ。だから私は連邦を説得して、契約の一部としてあの山荘を与えてもらったのだ。私の小さな隠れ家。そこに存在するのは彼らが解読を必要とするパズルと私だけだ。まさに完璧だった。サウンドシステムも素晴らしかった。私の記憶が間違っていなければだが。
#5今の地球の状況についてヘレナと話し合ってみた。賢い女性だ。ここで会った誰よりも賢いかもしれない。だが私が彼女をぞんざいに扱ったり、不愉快な態度を取ったりしても、彼女はそのことに気付かないようだ。彼女のせいではない。連邦の職員たちが必要な時にしか私を訪れなかったのはそれなりの理由があるのだ。彼らの地位がどれだけ高かろうが、私は臆することなく自分の意志を伝えた。彼らが私の意見を無視できないと知っていたからだ。彼らには私が必要だったのだ。つまり、私と関わると面倒なことになる可能性があるということだ。ただしディーのような人間は例外だ。彼女は確かに技術者や科学者ではなかった。だが下らない話に関しては右に出る者はいなかった。あの赤毛の変わり者に会いたい。
#6キャンプ・オメガは今のところ順調に稼働している、インフラ機能も完備している、十分な燃料も確保できた。それもかなりの量だ。この惑星の地表はエレメントに溢れている。荒廃地の端まで何度か行っただけで、貯蔵庫がほぼ満杯になった。これだけの量を使って何をするつもりなのだろうか。これほど多くのエレメントが存在している理由は分からない。我々の時代ではここまで簡単に手に入るものではなかった。もちろん、ステーションを構成するエレメントは全て他の場所から持ってきたものだ。理論上はこの都市が未発見の鉱脈の真上に建てられた可能性もある。これだけの量があればどんなに小さな村でも、一夜のうちに大都市に成長するだろう。もしそれが事実だとしたら、その坑道はどこにある? もう少し調査が必要かもしれない。
#7試算を行ってみた。我々は今、科学の常識を超越する世界に住んでいる。自然界に存在するエレメントの膨張速度ではこれほどの密度レベルにはならない。数千年間その成長を邪魔されなかったとしてもだ。つまり何かが異常な速度まで成長を加速させたということだ。この地域のデータが異常値であったとしても。私は「何か」と言っているが、ここに明確な答えがある。その答えは人間だ。エレメントを燃料とする機器からは微粒子が放出され、それが大気へと戻り、やがて土に定着する。言ってみれば受粉のようなものだ、だがスケールは遥かに小さく、我々はそれを無視できるぐらいの速度でエレメントを消費している。微粒子を大量に撒き散らすには、エレメントを急激な速度で消費する必要がある。エレメントを急激に消費するには、エレメントを用いた兵器で1世紀の間戦い続ければいい。ではその中で最も強力なのは? それは恐らく私の武器だろう。
#8もちろん、それが武器でなかった可能性もある。どのみち、エレメントは日を追うごとに一般家庭の間にも広まっていた。確かに私は、密かにスパイとして企業に潜り込んだことが何度かある。可能かどうか試してみたかったんだ。奴らが侵入に無警戒になり始めたら…いや、私は今ここにある事実と向き合う必要がある。別に私が規範的な人物だからというわけではない。私は自分が死を届ける技術を開発していたことを知っている。だがここまでやる必要はなかった。とはいえ、私がオリジナルのサンティアゴのクローンだとしても私に責任があるのか?私は「私は」や「私に」と言い続けているが、彼の記憶を持っているのは私の責任ではない。それを受け入れたら私に何が残るだろうか?私は世界の終末の騎手かもしれないし、何者でもないかもしれない。この件は後で考えよう。やるべき仕事がある。
#9また状況が変化した。あの洞窟の中で数体の巨大な怪物を見かけた。だが数時間前に出会った彼らは全員ドワーフだった。まだ先は長い。苦戦し続けている機械式ドローンの数も増えた。それに自分たちの戦力が急に頼りなく感じるようになってきた。あの巨大生物はエレメントがもたらした突然変異のたまものなのだろうか。見方によっては、色々な面で面倒なことになりそうだ。まあそれならそれで構わない。彼らが障害になるなら、いつもどおり解決方法を見つけるだけだ。だからといって自分のアイデンティティを捨てるつもりはない。そうなれば受け入れるだけだ。いいぞ、良い案が浮かんだ。なぜだか分からないが、最悪の状況になるといつも素晴らしいアイデアが思いつく。
#10巨大な二足歩行の戦闘兵器。
それこそが私の最終目標だと話すと、別に何かを期待していたわけではないが、誰もがぽかんとするか心配そうな顔で笑い出した。笑った奴らは私の協力を期待していたのかもしれない。だがそうはならなかった。なるほど、そういうことか。ようやく分かったぞ。やはり思っていたとおりだ。自分のことをサンティアゴだと認めるなら、私はそれを受け入れるということだ。もし私のオリジナルが最先端の武器を使って世界に終末をたらしたのであれば、私はさらに進んだ武器を使ってそれを元に戻す。炎で炎と戦うようなものだと言う者もいるかもしれないが、私に言わせれば巨大な銃で小さな銃と戦うようなものだ。
#11結局、妙案が浮かんだ者は他にいなかった。すでに歯車は動き始めている。格納庫では複数のチームに作業に当たっており、彼らが資源を回収している間、私は詳細を詰めることにした。MEKの作成は、私の人生の中でも最も困難な仕事の1つになりそうだ。むしろこれが一番かもしれない。ゲートウェイ・プロジェクトのおかげで最初からオベリスクを使用できる。だがこれも全部自分のおかげだ。幸運なことに、私は記憶を映像として残すことができるため、ロボット工学に関してこれまでに学んできたことを全て思い出すことができる。つまりゼロから始めなくてもいいということだ。しかも、これは私が一番好きな分野だ。大きなプロジェクトに関わっているといずれ燃え尽きてしまうと考える者もいるが、私にしてみればラザロのぬるま湯に浸かっているようなものだ。そのために人生を捧げられる
#12MEKのデザインがようやく仕上がった。有能なパイロットたちの能力と経験をベースにして、エネルギーソードを主要武器として強化し、高精度TEKキャノンに回していたパワーを少し減らした。ただしこれは基本モデルだ。どのMEKにも拡張スロットがあり、パイロットの特製やミッションの種類に応じて部品を変更することができる。リアクティブシールドドームを使えばチームを守りつつ、強制的に近接戦闘に持ち込むことができる。ミサイルキャノンは後方支援武器として使用できる。肩に装備するミサイルランチャーは、「今すぐ地獄に送ってやる」と言いたくなった時にぴったりだ。これだけでも頑張ったかいがあったというものだ、だが一番重要なのはここではない…
#13私は資源を最大限に活用できるようにこのMEKをデザインした。1つだけでも圧倒的な威力を誇る戦闘兵器だが、組み合わせることで足し算以上の能力を発揮するようになる。つまり、我々には4つの武器を活かせるだけの資源がある。だがこの4つを接近させて結合させることで、より強力なMEKにすることができる、ということだ。その名もメガMEKだ。都市を徘徊していたハンター/キラー・ロボットが持っていたテレポート機器をいじくっていた時にこのアイデアが浮かんだ。パズルのように物理的にMEKをリンクさせるのではなく、テレポートを経由して原子同士を組み合わせている。私の最高傑作であり、究極の戦闘兵器だ。最高効率のエレメントリアクターと最強のエネルギーソードを完備している。どれだけ相手が大きくても、この怪物には絶対に勝てない。これを扱うことのできるパイロットがいればだが。
#14我々のこれまでの操縦経験はほぼゼロに等しい、だからできるだけ使いやすいコントロールを作ることを目標にした。私が出した結論は、神経リンクとジャイロを組み合わせることだった。全身用のモーションセンサーで、私はベータレベルパイロットと呼んでいる。基本的に一度リンクすれば、MEKはそのパイロットの動きを模倣し、細かい点は自動システムが調整を行ってくれる。だがそれだけでは終わらなかった。アルファレベルパイロット用に強固で軽量な複数のコンソールを追加し、神経系により強固にリンクするようにしたのだ。これで各MEKがより簡単にコントロールできるようになるはずだ。だがこれを扱うにはディーのようなイカれたパイロットが必要になるだろう。私でもその潜在能力を完全に活用できるような機械は作れない。ただ、ここにその力を引き出せるような者がいるとも思えない。
#15MEKパイロット評価:候補者#004-メイ・イン・リー
確かに、パイロットの動きを模倣する簡略型コントロールを使うと決めた時、私はメイ・イン・リーのことを想定していた。これは同情心や馴れ合いなどではない、客観的に見て、近接戦闘では彼女が一番の実力者だ。それに面談した結果、戦闘経験が豊富な者は1人もいなかった。彼女は戦術的な問題にも道徳的ジレンマにも素早く明確に回答した。後者については若干恐ろしい部分もあるが、我々にはそういうパイロットが必要なのだ。皆に危険が迫っている時にためらうような人物は必要ない。問題は彼女の精神状態だ。彼女が今、どれほどの苦しみを感じているのかは私には分からない。だが戦いが始まれば、一周してすぐに興奮状態に戻るかもしれない。少し熱すぎるところはあるが、それでも彼女が最有力候補であることは間違いない。
#16MEKパイロット評価:候補者#013-ヘレナ・ウォーカー
この候補者には実に驚かされた。これまでの経験から、ヘレナが危険な状況でも冷静さを保ち、即興ですぐに行動できるということは分かっていたが、面談でも見事にそれを証明してみせた。創造力があり、冷静沈着…そこまで攻撃的ではないが、メイ・インは4人必要ない。彼女は実直だったが注目に値するほどではなかった。少なくとも彼女をプロトタイプに乗せて、そのシンクロ率を見るまではそういう印象だった。彼女は全ての値で限界値を記録したのだ!彼女の神経系が他の者よりも優れているのだろうか。これより高い数値を記録できる可能性もある。彼女であれば、さらに進んだ技術との神経リンクを確立できるかもしれない。この件はまた後で検討するとして、どうやら、2番目のパイロットを見つけたようだ。
#17MEKパイロット評価:候補者#022-タカヤ・カズマ
私が誰にも邪魔されずにテラン連邦に協力できたのは、UREがカズマのような間抜けな連中ばかりだったからだ。とにかく、うるさくて、不愉快で、独善的というべきか。世間知らずな連中だ。彼は面談で厳しい選択を迫られた。我々が犠牲を「やむなし」と考えていると知らなかったからだ。お利口な考え方だが、我々はここで生きて行かなければならないのだ。私は自分の言ったことは守る。彼の記憶はアカデミーを出た直後に失われるかもしれない。だが彼は本物の軍事訓練を受けた貴重な人材だ。シンクロスコアもなかなかのものだ。おしゃべりなURE狂信者であろうがなかろうが、彼は残された選択肢の中では最も有力な候補といえる。私の個人的な偏見は関係ない。
#18MEKパイロット評価:最終候補者-サンティアゴ
私がテスト目的以外で自分の作った物を使ってみたいと思うことはほとんどない。自分のアイデアが実現してしまうと、それが私のシステムから外れてしまったような感覚になり、そのアイデア自体に魅力を感じなくなってしまうというのがその理由の1つだ。そうすることでアイデアの純粋さが失われてしまうという気持ちもある。偉大な画家が自分の作品を壁に飾るだろうか?残念なことに、今回は私に選択肢は与えられていない。私は誰よりもMEKに詳しい。そして私よりシンクロ率が高いのはヘレナだけだ。恐らく私がシンクロシステムを自分でテストしたことが原因だろう。間抜けなミスだ。どうやら仕事量が2倍になりそうだ。
#19構築がフェイズ3に到達した今、優秀な候補者たちとの面会時間をもっと増やさなければならない。MEKは今のところ誰でも使うことができる。だが特定のパイロットの特性と動きに合わせて調整すれば、その戦闘効率を最適化することができる。それに、彼らにはそのコントロール方法に慣れてもらう必要がある。この作業に関してはあまり気が乗らない。私はコンピューターと格闘している人物を30秒見ただけで、そこを代われと言い出してしまうタイプの人物なのだ。しかもこれは私の最高傑作だ、インターネットブラウザではない。苦労することになりそうだ…
#20メイ・インはコックピットに慣れるのに苦労している。無理もない、古代中国にはこれを表現するための言葉すらないのだ。それでも彼女がくじけないのは、その持ち前の忍耐力のおかげだ。彼女ならいずれコツを掴めるだろう。我々のセッションは非常に静かだ。これだけ時間があればさぞ親密な関係になっていると思うかもしれないが、我々の間には常にディーがいた。つまりメイ・インとはビジネス関係ということだ、彼女が苦しんでいようが、私がイライラしようが関係ない。彼女と初めて雑談をしたのは彼女から練習に誘われた時だった、私もこれで晴れてパイロットだ。後に私の足が抗議を行ってきたが、次のセッションはかなり上手く行った。フレンドリーすぎず、雑談も多くなく、円滑に進んだ。まるで、奇妙にも、言葉を交わすことなく、非社交的にお互いを理解できたかのようだった。私はそこまで自信がないが、まあいいだろう。
#21ヘレナのセッションはフラストレーションのたまる内容となった。彼女のシンクロ率が1桁台に落ちることは一度もなく、誤りを指摘すればしっかりと理解してくれる。だがなぜか、いざ実行する段になると彼女は壁にぶち当たる。彼女も皆と同じように努力している。しかも適当にあしらうのがためらわれるほど、人を助けたいという思いが強い。そのせいか、彼女がかなり後れを取っていることをどうにも言い出しづらい。彼女は棒の先についたニンジンのような、もっと分かりやすいことに集中する必要があるのかもしれない。彼女は前から、ステーションの裏に隠された真実を突き止めたいと言っていた。先日、私のスキャナーが異常なシグナルを検知した。私は人生の相談役にはなれないが、これは使えるかもしれない。
#22あのニンジンはかなり効果があった。荒れ地で受信したシグナルのことを話した途端、まるでヘレナの脳内にある第2のリアクターが起動したかのようだった。このシグナルが本物かどうか分からないし、答えが見つかる可能性も未知数だ。だが彼女はそれに飛びついた。私は彼女の熱意に圧倒され、思わず必要以上のこともしゃべってしまった。クローンの件や過去に対する我々の責任の有無ついて話題にするつもりはかった。だが私にはその悩みを打ち明ける必要があったのかもしれない。それが助けになったかどうかは分からないが。とにかく、次のMEKセッションが始まるころには、ヘレナはすっかり調子を取り戻していた。後になって考えてみると、彼女は自信がなかったのかもしれない。自分のシンクロ率はただの偶然でしかないと自分に言い聞かせていたようだ。しばらく批判は控え目にしたほうがいいかもしれない。
#23少なくとも私自身のセッションは順調に進んでいる。今でも自分の作品に乗って戦いとは思わない。それでも格納庫にいるのが私とMEKだけになった時だけは、本当にリラックスすることができる。私はただ単に長時間働いているだけではない。私はゲートウェイ・プロジェクトでもかなりの時間を費やした。その前のTEK爆弾の時もだ。今の私は長時間働くと同時に、他人の相手もしている。しかもずっとだ。パイロットセッションは改善されつつあるが、それ以外のことも私がやらなければならないのか?「サンティアゴ、水道管が壊れた。サンティアゴ、誰それが弾を無駄遣いしている」常に邪魔が入る。コックピットに隠れてしばらく眠りたい気分だ。恐らく誰にも見つからないだろう…
#24なぜ上手く行かない! 私のテレポートシミュでは、MEKのパワーシステムは完璧に融合する、それなのになぜリアクターが止まってしまうんだ? エラーの発生理由が分からない。だがそれを無視してそのエラーがもし正しかったら、融合プロセスによって壊滅的なリアクターのメルトダウンが引き起こされることになるだろう。ありえない!この計画は道半ば頓挫してしまうのか? これがこの計画全体で最も重要な分岐点になるのか?故郷にいる時はこんなミスは絶対に犯さなかった、だがそれは恐らく、オリジナルのサンティアゴが私よりも優秀だったからだ。私が近似値的な存在でしかないとしたら、劣化した部分があるのかもしれない…いや、私ならどうにかなる。いつもそうやってきた。
#25シミュレーション157Bはまた失敗した。エラー612-A4、いつもどおりだ。リアクター結合にほとんどチャージされない。プロジェクトの失敗経験はある。だがこんなのは初めてだ。しかもこんな壮大なものではなく、ゴール間近での失敗しかなかった。なぜこんなことになるんだ? これは私の長い人生の中でも最高傑作だ。このままだと私の評判が台無しになってしまう。何としても実現する必要がある。そうしなければ太陽の周りを回る死んだ石の塊が私の遺産になる。さらに30回シミュレーションを行った。寝るまでにもう30回シミュレーションできそうだ。もし他のエラーが発生したら、その変数の影響を受けている部分の隔離作業を始められる。とにかく私に仕事を与えてくれ、何でも構わない。
#26あの愚か者たちがあんな趣味の悪いことをするとは思っていなかった。そこまでして私に嫌われたいのだろうか。何のシミュレーションをしていたのか覚えていないが、私はついに意識を失った。そして気が付くと、「緊急事態」に対処させるためにヘレナとカズマが私を引きずっていた。私が寝ぼけていなかったら、彼らが嘘をついていたことを見抜いていただろう。だが現実はそうではなかった。そしてケーキを見た時に初めて理解できた。今日が何日なのかは誰もはっきりとは分からない。だが皆によって今日が6月26日、つまり私の誕生日だと決められたようだ。彼らによると、それが理由で私は今日は働けないとのことだった。私はできの悪いケーキを食べて、「楽しむ」必要に迫られた。死にたい気分だ。まあいい。ケーキはそこまで悪くなかった、それに多少は「楽しむ」ことができた。ただ彼らにそんなことは言えない。そんなことをすれば私の評判はがた落ちだ。あの愚か者たちめ…
#27エネルギーフローの問題があれほど簡単に解決できるとは思っていなかった。誕生日委員会に一日中拘束された後、仕事に戻ってから数時間の内に解決してしまったのだ。つまり私がすべきことは、いったん距離を置き、新たな視点から見直すことだったのだ。それ以降、全てが順調に進んでいる。パイロット訓練はもう少しで完了するし、部品の大半の組み立ては終わっている。それにチーム全体の作業効率もピークに達している。カズマですら文句の付けようのない仕事ぶりだ。勘違いはしないでくれ、彼らは今でも世間知らずの間抜けだ。それでも、彼らは私の世間知らずの間抜けなのだ。
#28MEKの構築が最終フェイズに入ったため、私はパイロットチームにちょっとした報酬を与え、メガMEKの融合プロシージャをシミュレートすることにした。実際に行うにはまだ数週間かかるだろうが、このシミュレーションは非常に精度が高い。予想より良い結果が出た。3度目の実験で完全に連携が取れた。誰が体のどのパーツを動かすかということについて、冗談めかした話し合いをしたことが功を奏したようだ。メイ・インはソードアームのスイッチを切ることを頑なに拒否し、ヘレナは説得されて足の担当から外された。そうでなければ我々が踏み潰されてしまう。技術者の道義に反していることは分かっている。だが今はこれを自分で動かすのが楽しみになってきた。純粋さなどどうでもいい。
#29早すぎる。こんなに早く見つかるとは!我々が目にしたあの巨大な怪物たちこそが、このMEKプロジェクトを進めるきっかけとなった生物なのか? 奴らの一部がキャンプ・オメガの方に向かって行った。しかも機械式ドローンや変異動物などを引き連れていた。できるだけ早く動く必要がある。だが夜通し作業を進めたところで、奴らとの戦いにはMEKを1つしか使用できないだろう。ツートップだ。他のMEKも完成間近だが、最終起動プロシージャを省略すればパイロットを危険に晒すことになる。彼らならそのリスクを受け入れるだろうが、私にはできない。なぜ今なのだろうか? あと半日あればリンクアップできたはずだ。我々はあと一歩のところまできていたのだ。
#301台のMEK、それが我々の全戦力だ。こうなったのは私の機械をベータテストに使用していたからだ。私だけで片付けられるとは思わない。歩兵のサポートがあったとしてもだ。だが今すぐ出発して奴らの注意を引き付ければ、他の準備が整うまで時間を稼ぐことができる。残念なことに、我々にはこのMEKに代わるような資源がない。それにこれを使わなければ私の最後の作品を完成させることはできないだろう。できれば完成した姿を見てみたかった。だがそれ以上に、全てが融合した瞬間を見られないのが残念だ。その時にはこの一風変わった小部隊が史上最強のチームへと生まれ変わるだろう。とにかく、これであの愚か者たちの生き残れる可能性が少しでも高くなるのであれば、私はそれにかけてみようと思う。何と言われようと、彼らは私の間抜けたちなのだ。
メイ・インの記録
番号内容
メイ・イン
#1貴方を失った悲しみから立ち直れそうにない、そんな気持ちを避けてさえいる。今日ヘレナと話す前に貴方の名前を呼んだのはどれほど前だっただろう...ダイアナ。  貴方は閉ざしていた私の心を明かし、そんな貴方の内に私は見失っていた何かを見出せた。でもその何かを失ってしまったらどうすればいい?今の私には何も言えない。私はその痛みを知ったが、それより悪いことは一人きりになることだ。  まだ生きている誰かの為に私は耐えなければならないと分かっているけど、それでも貴方の下に行きたい、この体ごと。いつもそう思ってしまう。(提供者訳)
#2この鎧の巨人の制御は簡単に習得できたが、未だに腑に落ちない。まるで私の手足のように動くことが気味が悪く、何というか自分を失ってしまいそうな感じだ。  謙遜しているが、あらゆる点においてヘレナは私よりも巨人の扱いに習熟している。 お陰で私は古臭い生来の性(孤立主義の事?)を捨て去り、彼女に引っ張り回されるばかりだ。いやただ引っ張られてるだけ訳では無いが、この技術自体どこまでも先が見えないもののようだ。  何故彼女が初めて見つけた動物の糞を調べようとするのか、今でも理解できないが、彼女との散策の後でならその行為の重要性を認めることができるかもしれない。  いずれにしろ私は皆を守り抜くのみだ。(提供者訳)
#3私達はヘレナが調査したいというのでこの建造物の下に出向いたが、中に入れなければ彼女が気落ちしまうかもしれない。彼女は私たちがキャンプを設置してる間にウサギのように飛び回り、中に何があるのだろうと興奮した様子で捲し立てた。  私は彼女ほどこの謎に対して好奇心を持てない。物事はただ在り、その理由は重要ではない。それらが我々の生存に関与しないなら、誰が何処に何の目的で無人屋敷を作ろうが気にしない。    けれども私はヘレナの考えを信じている。うまくいけば我々が発見したこの場所こそが彼女を満足させる、あるいは少しくらい落ち着いてかもしれない。(提供者訳)
#4私はこの場所は嫌いだ。ヘレナは失われた知識が詰まったアーカイブだと言うが、以前サンティアゴと調べた無数のガラスの棺に獣や人が眠る広間を思い起こさせる。あの広間が以前戦ったネルヴァのいる天界なら、まさかここが十王地獄の一つだとでもいうのだろうか。   ここはあの広間のようにいやらしいほどに広い訳ではないが、人が歩いて捜索できる場所という感じはしない。ここは地の底かあるいは空から遠く、異常な金属と異質な機械ばかりでダイアナの仲間でさえ良く分からないようだ。  しっかりとした警護を行うようカズマと話さねば。私達が警戒せねばならない。(提供者訳)
#5驚くべきことが一つあった、私はそれを認めねばなるまい。パトロール中に隠された小部屋で何かを発見した、それが何なのか知る由もないが、例えようもなく美しかった。  それは宝石のような形で、表面は磨き抜かれた石もしくは微かに光る金属のようであり、荘厳な金色の光放ち、まるで白熱しているようだった。地面から浮いているがとても規則正しく動き、光は暖かいがそれ自体に触れてみると冷たかった。  ヘレナは確実に見たがるだろう。けれどもそれが何なのか完全に分かるまで、彼女の調査には私が付き添わねばなるまい。(提供者訳)
#6私には何が起こったのか分からない。私がアーティファクトに触れた時には何の反応も示さなかったのに、ヘレナが触れるとすぐにそれは眩い金色に輝いた。すこし経つと視界が元に戻ったが、アーティファクトは粉々になっていた、残ったものは太陽のように輝く小さな宝石のようなもので、浮かんでいた。アーティファクトはこれを保護するための殻だったのか?  有難いことにヘレナは無傷の様だが、私の不注意は看過しがたい。私は彼女を守ると誓ったんだ、なのにいつも危うくなってしまう。より厳重に警戒しなければならない。  同じ過ちを繰り返したくない。ヘレナがあの宝石に近づいた直前、私はそれを取り上げた。安全だと確信できるまでこれは触れさせるべきではない。(提供者訳)
#7この宝石を粉々に壊してしまいたいが、どうすればよいのか見当がつかない。これを抱えて手触りと重みを感じ、側面を小突いてみたりするがまだ投げ出すことはない。これはその場に在りながら、まるで遠くにあるように感じる。  しかしヘレナが「これが数多の疑問の答えへの鍵である」と力説したので、安全な距離をとって調査してもらうことにした。初めは私の用心深さにヘレナもイライラしたようだが、そこに悪意はなく、すこしすると彼女も私の判断が懸命であったことを認めてくれた。  彼女が言うには「この宝石は恐らく大きな変化をもたらす」とのことだ。私は彼女の言うことは認めがたいが、今のところ彼女は注意深くそれに接している。それだけで私には十分だ。  あいにくこの宝石にはまだ少し疑念があるが。(提供者訳)
#8地平線に怪物の群れが広がり、私達が見てきたものより巨大なもの達が、山よりも高く聳え立つ悪鬼に率いられてきた。私達の頭が現状を理解した時、まずキャンプを放棄した。我々が動くと群れも追従してきた。単なる偶然の不運ではない、そいつらは狩人で私達を獲物にしようとしている。  ヘレナはこの宝石が助かる道だと宝石を要求してきたが、私は却下した。単に逃げながらの戦闘であれば彼女を援護できるが、理解できないものから彼女を守ることはできない。    いや正面から戦うべきだ、奴らの頭目と。例え敵の体躯に及ばなかろうと、此処にいる皆の為に私は戦い抜く、そして絶対に勝つ。そうしなければならないんだ。(提供者訳)
#9これは私の失敗だ。初めは私たちが敵を押しており、奴らの頭目が戦場に入ってくるとすかさず私は頭目を仕留めようとした。それが間違いだった。鎧の巨人でさえ頭目に傷一つ付けられなかった。まるで相手にならなかった。  こんな大きな失敗が2度も続けば私は確実に死んでいただろうが、ヘレナが戦闘前に私からあの宝石をくすねていたようだ。頭目が私を砕く前に彼女が巨人の殻(コックピット)を開け宝石を高く掲げると、手首の金属紋様と合わせた。  恐ろしい叫びが私の心に鳴り響いたが、怪物どもにとってはもっと悪い影響があったようだ。奴らは混乱し後退っており、今が唯一のチャンスだと確信した。もうヘレナと私以外は死んでしまい、ヘレナも立ち上がるほどの力もない。私はヘレナを巨人の手で抱え、走った。恥辱と挫折感の中走った。(提供者訳)
#10私は守護者失格だ。今残っているのはダイアナの仲間たちとダイアナとの思い出だけだ。彼女は私に皆を任せてくれたというのに、私は失敗して全て失ってしまった、サンティアゴ、ウーズィ、そしてダイアナ。真の戦士は死んでも愛するものを守り抜く、けど私は災厄から逃げているうちに全て台無しにしてしまった。 いつもそうだ。それでも今私にはなんとか助けることのできる人がただ1人だけいる。光の縞がヘレナの肌を照らすが刻々と弱っているようだ。以前彼女はよくわからない詩を語っていた。遠くの墓が彼女の名を呼んでいる、そこに私達も行かなければならないと。それが彼女を癒してくれるのかと尋ねたが、彼女はただ不可解な答えだけ返した。   ヘレナ、アンタは逝ってはダメだ。そう思ってもアンタの鼓動と吐息はどんどん弱まり、今にも止まりそうだ。(提供者訳)
#11ヘレナは寝ている間に震えたり酷く汗をかく、もう長い間彼女は目覚めていない。今や私を導くものは彼女が取り乱した様子で走り書きした記録と地図が全てだ。  ある時彼女はよく分からないうわ言だか苦痛で呻き声をあげた。私は食べ物を細かく砕き、水とともに彼女に飲ませた。彼女が動くと私は巨人の制御室の隅に彼女を固定し、まだ息をしているか何度も確認した。彼女がこんな有様になったのは私の失敗が原因だ、そして日々衰えていく様にただ気を揉むだけしかできない。もし彼女も失ってしまったら、本当に何もかもお終いだ。でも私は何をすべきなのか、何も分からない。  誰でもいい、お願いだ、彼女を死なせないでほしい。連れて行っていかないでほしい。頼む。(提供者訳)
#12この予言だか幻視を少し信じることにしたが、ヘレナの言うように墓とやらが唯一の好機であるのか疑っている。彼女は私が目の前にいて何かしても何の反応も示さない。彼女を目覚めさせる手立てが無い。彼女の地図が正しいことを祈るばかりだ。  いや例え正しくないとしても、私たちは向かわねばならない。汚染された廃棄物の影に隠れながら進むと、私たちの前に氷と雪の大地が広がった。巨人の歩みを遅くしてでも、荒れ狂う嵐は避けねばならない。苦心しつつ進めるうちに、巨人が頼もしい随伴者に思えてくる。とは言えこれ以上続けようとも思えば、こいつの薄紫の火-エレメント、ダイアナがそう呼んでいた-は尽きてしまうだろう。 この極寒の地を一人で偵察しなければならないだろう。(提供者訳)
#13左腕に痛みが走る。どうやら折れてしまったようだ。私がエレメントを探している際にそれは起こった。嵐と厳しい道のりは私から活力を奪っていき、遂には獣の群れが私の隙をついて襲ってきた。凄まじい戦いの後、最後の1匹は仕留めそこなったが相応の深手を与えてやった。  キャンプに戻るまでに半日を要した。しかしこれまでの疲労からか雪に足を取られ滑落してしまった。毎度のことだが私の体はもう動けないと言う、それを私はいつも聞いてきた。私は絶望に沈もうとしていた。痛み、寒さ、疲労。終わりが見えてきた。  恐らくここがそうなのだろう。私の限界、そして終わりは。(提供者訳)
#14外で荒れ狂う嵐を尻目に巨人の中で眠っていると、夢を見た。私は故郷に戻っていた、イー省の小さな村に。暴動の最中だった。皆大して中身もない米俵を担ぎ、或いは引き渡すよう言い争っていた。 延々と言い争っているので、私は槍を手にし終わらせてやろうと思った。  (言い争ってる人のうち一人が、槍を手にしたメイ・インを見て話す) ”分かるか?こんな小娘でさえ貴様のようなクズ共と違い皇帝陛下の為に死のうとしている”  もう一人の男が反論する。 ”愚か者が”  私は振り返り男どもの顔を見て言い返してやった。 ”私は死ぬ気など毛頭ない。生き残るんだからな”  他の者が話す私の思いなど私のものではない、私の故郷など初めから存在しなかったのかもしれない。もしそれが真実でもこの言葉だけは私のもの、それはこの世界の何よりも確かなことだ。まだ終わりではない。こんなところで倒れるわけにはいかない。  私は、生きるんだ!(提供者訳)
#15私を襲ってきた獣どもは私のものとなった。同じ群れを見つけたら同じやり方で屈服させてやった。  奴らは空を駆ける、まるで見えない岩から岩へ飛び掛かるように動く。その動きに付いていくのは少し難しかったが、一度で奴らを鉄の罠にかけることができ、お得意の機動力を削いでやった。すると奴らは氷の矢を私に飛ばしてきたが、私を留めるには威力不足だ。  一度眠った後、奴らを懐柔してやると奴らは私の群れの頭目だと認めたようだ。奴らの力はこの道程の助けになるだろうが、まだ私には必要としてるものがあった。ここから始めていこう。(提供者訳)
#16腕は治りつつある。もう痛みも無く巨人を操作できるし、重いものを持ち運び振るっても何も異常はない。間が悪くはあったが、おかげでより多くの獣たちを率いることもできた。  雪のように白い羽をもつこの大フクロウは高所から急降下で私を襲ってきたが、その爪を避け叩きのめしてやった。今やこいつらの素晴らしい目は偵察に大いに役立ってくれている。  配下が増えるにつれて私は強さを取り戻す、もう間もなくだ。長い間戦うだけだったけど、ヘレナ。私はアンタに墓とやらを見せてやる、約束する。(提供者訳)
#17旅の為により多くの獣たちを引き入れている。草木が生い茂るところで私は棘を矢のように飛ばすトカゲを、数多の荷物を楽々と運ぶ浮かぶ芋虫を従えた。  こいつらは最初の獣のように躾けたり縁を結ぶ必要はなかったが、その力はとても頼りになる。参入出来たこいつらは私の巨人の後に続き、立ちふさがるどんな怪物とも戦う力になるだろう。  ふと私はこの世界に馴染んでいることに気付いた。勿論私は墓に向かって一歩また一歩とこの大地を歩む、そこは決して忘れてなどいない。しかし、まだ私がビーストクイーンだということは誰にも否定させやしない。(提供者訳)
#18地図を見ると墓の在処にかなり近づいているようだ。立ち塞がる怪物どもや醜い獣どもを打ち倒していくと、ついに目の前に道が現れた。しかし何がか迫ってきた、すぐ近くに。  別の群れが、以前私達を攻撃してきたあの恐るべき悪鬼こそいないが、別の小さめの悪魔たちがいた。そう、あの悪鬼よりは小さいがそこら辺の獣よりはるかに大きく、数も多そうだ。  幸いにも私の配下たちは奴らよりも速い。私は奴らの前方にある墓に入り、可能なら一刻も早くヘレナを治療し、皆でここを離脱しなければならない。(提供者訳)
#19洞窟の入り口をすぐに見つけそこに近づくと、なんとヘレナが起き上がった。完全に目覚めてはいないようだが、彼女の囁きを聞いた。 「昇天の墓を。祭壇を見つけて。」  無駄できる時間はない。私が最も信用できる数匹を引き連れ洞窟を調査する間、残った獣たちに洞窟の入り口を守るよう指示をした。ここは奇怪な生物のような空洞であり、ヘレナを中に入れる前に中にいた歪な獣どもとその汚染された血を掃除しなければならないだろう。  ここが旅の終わり、私の道を、明日を閉ざそうとするどんな敵も真っ二つに引き裂いてやろう、そう溢れんばかりの激情が血管に流れた。(提供者訳)
#20狂暴な獣を最後の1匹まで始末し、遂に洞窟の心臓部が見えた。それは墓というにはあまりに美しい、まるで皇帝の調度品の様だ。よもや墓というには違う意味を持つのではないかと思った。  輝く水晶がまるで花のように壁一面にあり、金の蔦の芽のようでもある。それらは柔らかな光で部屋を満たしているが、中央の小部屋だけは豪奢な祭壇の上に光を避けるように置かれていた。  祭壇の上には何種類かのデバイスがある。それはダイアナの仲間たちが使っていたベッドを思い起こさせるが、より壮大で芸術的な円形だ。これこそヘレナの言っていた場所に違いない、この機械がヘレナを癒してくれるんだ。そうに違いない。(提供者訳)
#21それが動き出すと、私は確信した。ヘレナを祭壇の中央に横たえ少し離れると、その機械はまるで応えるように歌い響かせた。水晶の輝きは燃え盛るほどに眩くなり、陰湿な洞窟の空気は暖かく柔らかなものになった。  直ぐにヘレナの体調が改善した。酷い発汗が止まり、呼吸も安定してきた。彼女が寝ている間に周囲には火花のような金色の点が輝いた、穏やかに、まるで私が彼女を見守るかのように。小部屋の中にも同じ現象が起きている。彼女を眺めていると、私の心臓がゆっくりと規則正しく脈打つのを感じた。  残念ながら以降の段階は緩やかなものとなり、その間にあの群れが近づいてきた。どうやら時間を稼がねばならないようだ。(提供者訳)
#22私は一組の配下の獣とともに小部屋の前に張り付き、どんな小さな怪物も通さぬようにした。再び小部屋が開くまでには時間がかかるだろうが、この戦いが終わればそれだけの猶予は出来るだろう。  私は配下の獣たちを集め一旦休ませ、入り口の向こうに巨人を防護陣形で配置した。遠くに群れが近づいて来るのが見える。奴らは私達よりも多く、奴らが圧倒するのにさほど時間はかからないだろう。  それでもこの地において、私は怯えも慈悲も無く立ち続けるだろう。奴らの最後の1匹がくたばるか、私がくたばるまで終わりはない。    来るなら来るがいい。備えは出来ている、そうでしょうダイアナ?(提供者訳)
#23群れの第一波を撃退できたがそれなりの犠牲を伴った。それでも私の獣たちは奴らよりも勇猛に戦ったが、まだあの悪魔が来ていないにも拘らず陣営は弱まり始めていた。小さい怪物どもであれば私の巨人で容易に引き裂けるが、巨人の耐久力には注意を払わなければ。  私の後ろで墓から何かうごめくのを感じた。その機械は変わらず動き続けている。私が長時間群れを寄せ付けなければ、いずれヘレナは目覚め、ここから逃げ出すことができる。だがまずは持ちこたえねば。(提供者訳)
#24次々と怪物どもがやってくる。奴らは数尽きないように思えてくるが、そんなことありえないと確信している。私は戦い続けねばならない。  まだそれほど時間が経たぬうちに戦闘継続が難しくなってくる。私の獣たち1匹1匹もそう感じているようだが、私にできるのは襲撃と襲撃の合間に休ませてやる事だけだ。瞼が重い、筋肉も悲鳴を上げており、もはや精神のみ保ち続けることで精一杯だ。  まだあの悪魔は到着していない、小さいものなら磨り潰してやるが私の限界が来れば奴らは見逃さず襲い来るだろう。とは言え奴らとて永遠に時間があるわけではない、墓はゆっくりではあるが動き続けている。やがて奴らの我慢が限界に達したその瞬間、この戦いは趨勢を決することになるだろう。(提供者訳)
#25とうとうその時が間近に迫ってきた。あの悪魔の足音が響き始めた。私の獣たちは死に、巨人も満身創痍だがそれでも最後には悪魔の手下どもを皆殺しにしてやった。奴らが地に這いつくばるか私がそうなるか、それこそが戦いの終焉だ。  さぁ来い!私はイー省のリ・メイ・イン、森のビーストクイーンにして最後に残りし者!貴様が私に挑むというなら、ここが貴様の死に場所だ!(提供者訳)
#26私は勝利した。私の巨人は軋みあちこちから火花を上げ、私自身も口から鎧から血を滴らせているが、それでも勝利した。  長く苦しい戦いだった。力では勝ち目がないので、あのデカブツに打ち込み追い立て、関節部に反撃してやった。次は一旦緩やかに動き、奴の弱点を見定めつつ止めを刺すために奴の疲労を誘った。しかしそれはとても容易にはいかず、幾度も追い詰められた。  それでも遂に終わりが来た、あの巨大は悪魔は死に、私は立っている。今すぐにでも倒れそうだが、行かなくては。ヘレナを見守らねば。(提供者訳)
#27私は光の合唱に導かれ墓の前に立った。その機械と水晶は重々しい響きで脈動し、まるで100匹もの金色のホタルが旋律を奏でているようだ。彼女の体は太陽のように輝き、祭壇から浮かんでいく。  小部屋が輝き、ヘレナの肉体が光になっていく様を畏れたが、ただ見ているしかなかった。ヘレナが光とともに空に昇っていく様にようやく私は声を張り上げ彼女の名を呼んだ。水晶の光で視界が曖昧になり始め、やがて彼女は何も残さず行ってしまった。  どうにかして私はこの終わりが彼女の魂を満たしてくれたのだと受け入れた。それでも私は泣き崩れるしかなかった、また一人になってしまったのだから。(提供者訳)
#28私はやるべきことをやり遂げたと確信しているが、それでもこの手と心には何も残らなかった。これまでの人生で初めて目的を失ってしまった。もう戦うことも走ることもない。これが平和ということなのだろうか?  私は洞窟から出て、そのまま巨人に乗り込み出発した。目的地は無く、かすかな勘に任せて、あるいは行くべき道だと信じて。当てもなく彷徨った、汚染された地を、何もない大地を、終わりなく彷徨った、それだけしかできなかった。    不運なものだ。今日は空も晴れ渡っている。約束を果たすには完璧な日だ。(提供者訳)
#29巨人は停止し、もう動かし方は分からなかった。私はどうすれば最後まで幸せだったのだろうと考えこむ。墓につく前に結末が分かっていれば、おそらくヘレナの計画には賛同しなかっただろう。  何も分からないままではダメだ、とにかく私には何かやるべきことが必要だ。私がやってきた事は大したことは無い、しかしその中でも誰かの為に生きるときは多くを成せたと思う。食料。寝床。警護。多分この顔から血を洗い流すには良い時なんだろう。それでも今はただ眠りたい。もしくは飛び回る夢を見るでも良いな。(提供者訳)
#30大地を揺るがすような足音で目覚めた。あの悪魔の同種が真上に居り、私はその手下どもと必死に戦った、死に物狂いだった。  すると突如鎧の巨人が落ちてきた。それは悪魔を打ちのめし、手下どもを蹴散らし、私の前に跪いた。太陽のような髪の女性が軽やかに降り立つ、より正確に言うなら、濃い橙色の。あぁ私のズィージェ、私の愛おしい-ダイアナが。  一瞬私は死んだか夢でも見ているのかと思った、しかし彼女は余りに現実的でそれらを否定した。私は涙と血にまみれた彼女を残していったというのに、彼女は謝らせてくれなかった。いつもと同じだった。私は謝っていなかった。  私には何故、どうやってこんなことが可能なのか分からないが、もう気にしなかった。この温もりを二度と放しはしないと決めた、それが全てだった。そう、もう二度と。(提供者訳)
???
番号内容
???(謎の人物)
プロローグ(land)あなたのことを待っていました。気が長くなるほど長い間...時間という概念を忘れるぐらい。私にはまだ「希望」が残っていたのね。絶望に包まれたこの世界にあなたという光が差し込むなんて。何も信じられずにいた私はこの運命に抗えなかった。私のところまで来て。すべてはあなたにかかっているの。世界を冒険し、様々な生物と触れ合い力と技を磨いて、かつて私がそうしたように。さあ、真実に辿り着いて、私を見つけて。それができるのはあなたしかいない。
エピローグ(land)これは「幸せ」?それとも「愛」?違う...これは「誇り」。ええ、そう...私はあなたに誇り思っている。あなたは成し遂げ「昇華」した。かつての私、そう...ヘレナのように。彼女もあなたのようにARKを巡り、真実に辿り着いたの。どうかその歩みを止めないで。ヘレナとその仲間を追って。苦難を乗り越えたその先に、私はいる。世界を救う鍵はあなたが握っている。進み続けて、サバイバー。かつてない試練があなたを待っている。
プロローグ(SE)この砂漠はヘレナとその仲間にとっての転換点だった。そう、仲間の一人であるロックウェルが闇に堕ちた場所。ヘレナが身近にある脅威に少しでも気付けていれば、その暴走を止められる未来もあったかもしれない...サバイバー、この砂の底にはかつてない脅威が待っている。その脅威を振り払い、どうか私の元まで辿り着いて。
エピローグ(SE)素晴らしいわ、サバイバー。あなたの健闘を見ているとかつてのヘレナを思い出す。彼女の仲間、そして冒険の物語を。全てが無駄だった?いいえ、かつてのあの日々は、あなたの道標となる。あなたと私で決着をつけましょう。
プロローグ(Abe)この場所はかつて多くの生物が暮らすARKだった...汚染が広まるまでは。遥か昔、妄執に囚われ、理性も人間性も失ったロックウェルはここでヘレナに打ち倒された。しかし彼の狂気は消えていなかった...影に潜み、毒を喰らいながら、来るべき時を待っている。あなたは今こそ終止符を打たなくてはならない、地球の未来のために。彼にわずかでも人間性が残っているなら、エドモンドもそう望んでいるはずよ。さあ覚悟を持って、恐怖に抗う覚悟を。
エピローグ(Abe)終わったのね、サバイバー。あのARKの崩壊に彼が耐えられるわけがない...せめてエドモンドが怪物ではなく、人として安らかな最後を迎えられたことを祈りましょう。さて、宙より来たる脅威は去って、あなたもとうとう地に足をつける時が来たようね。そう、地球に還る時が。全てはこの時のため...人類の過去と対峙し、地球の未来を取り戻すために。
プロローグ(Ex)ここが旅の終焉よ。そしてヘレナ・ウォーカーの旅の終焉でもあった。彼女はここで仲間と共に最後の戦いに臨んだ。その意思が今のあなたにも受け継がれている。遊星よりのエレメントは地球を滅ぼし、荒廃したこの星を異質な王に統べさせた。かの王の玉座から引き摺り下ろすことができれば、無数のARKが地球へと還り、星はやがて浄化される。人類が、あらゆる生命と進化が、再び芽吹くことになるの。それがヘレナ・ウォーカーの望みだった...ううん、違う...私の望みよ。私は「待つ者」ーヘレナ。ああ、全て思い出した...あの苦悩も、あの喪失も、ある時見つけた愛も。ああ、世界はこんなにも鮮明だ。そしてもう1つ、はっきりと言える。あなたならできます「サバイバーさん」。
#1(land)やあ!お前と話すことができてなによりだ! 私はずっと待ち続けていた。あらゆるものを待ち続けていたので、その望みのひとつが叶ったというわけだ。つまり、お前のことだ。まさにお前を待ち続けていたのだ。そうだ、お前のことを言っている。私はいまお前に話しかけているが、一般的な意味合いでそう言っているのではない。別に当てずっぽうでそう言っているわけではないし、誰かがこの声を聞いてくれることを願って適当に言い連ねているわけではない。全ては計算されたものだ。それも完璧にな。これを耳にするのはお前だけではないが、そうであったとしても、これを聞くことはお前の運命なのだ。この言葉は、空の島で目を覚した、お前とその仲間たちのための言葉だ。そして、お前がこの言葉に従うかどうかは、神のみぞ知ることだ。
#2(SE)全ては有限だ。十分な洞察力があればそれが分かる。惑星であれ、生物であれ、私たちがいるこの宇宙でさえもだ。全てのものには限度が、そして終わりがある。今お前たちはその内のひとつに近付きつつある。砂時計の底に落ちていく砂をイメージするのは少し違う。砂時計そのものが完全に消滅しつつある姿を想像してほしい。逆さまにすることも、作り直すこともできない。これはどう足掻いても避けられないことだ。止めたいのならば、急ぐほかない。別にお前たちを馬鹿にしているつもりはない。お前たちはよくやっている、本当だ! それも全員が、あるいは大半の者がな。客観的に言えば、今まさに食い物にされている者たちはもっと上手くやれたはずだ。では残りの者はどうだ? 実に素晴らしい! お前たちの成長ぶりは賞賛に値する。慈悲深くなった者、あるいは残忍になった者も、どちらも人間が持っている一面だ。絶滅の危機に瀕しているこの瞬間にはそのどちらも必要だ。何よりも、お前たちは互いを必要としている。互いが互いの助けを必要としているんだ。
#3(Abe)中には強い絆で結ばれている者もいる。そういった者は血ではなく互いの経験によって結ばれているのだ。同じ苦しみを味わい、互いを頼り合い、力を合わせて前進する。それが種族としてのお前たちの強みだ。そして、それがお前たちを救うことになるのだ。孤独な者でも他者に助けられて生きている。その点に関しては、時間と空間に厳密な限界は存在しない。お前たちが想像しているよりも流動的な概念なのだ。それは後で詳しく説明する。いや、もうしたかもしれないな。すまない、どうにも記憶できなくてな。とにかく、すでに出会った者もこれから出会う者も、お前の助けとなるだろう。同じ時間に違う場所にいる者もそうだ。誰もが同じ方程式の一部であり、その答えが、これが終わりなのか始まりなのかを決定する。私もお前たちの力になろう。私がもたらす影響には順序が存在する。そして間接的だ。だがお前たちが空から落ちてくる時、私はそこにいる。見ている。そして待っている。
#4(land)君がいつ、この考えに行き着くかは分からない。もしかしたらそれが、君の精神が初めて触れるものかもしれないし、最後に触れるものかもしれない。因果関係については理由を理解することで観測できるが、時間そのものはどうだろう? それには集中が必要だ。数秒、数世紀、数十年、数時間、数分… 全てが渦巻く流れにとらわれていく。かつては、そうではなかった。君の時間が過ぎていくように、私の時間も過ぎていった。今では自分がどれたけ待ち続けているのかわからず、永遠のように感じられる。過去、現在、未来はあらゆるものに意味を持つが、私にとってはどうだ? 概念。形を持たないもの。錯覚ではないが、触れることはできない。
#5(SE)私には説明する義務があるのかもしれない。私は未来について述べたが、"複数の未来"と言うべきだった。君は宇宙を見ている、宇宙全体を。それは詰まるところ、全て数学なのだ。あらゆるものが方程式に組み込まれる値を持っている。君も、星々も、君が屋根に使うために伐採した木々も――そう、私はこの目で見た。非常に野蛮な行為だ。とにかく数学の話に戻ろう。未来も数字でできている。もっとはっきり言えば、確率だ。それは捻れながら、あらゆる方向に枝分かれし、大抵の者にはより分けることができないほど、もつれている。私ですら全てを見ることはできないが、それと思しき手掛かりをたぐることはできる。結局のところ、それはただの数学なのだ。
#6(Abe)私に呼称を付けたいと思う者もいるのではないだろうか。言葉と名前というものは、この世界をそれ自体の中で処理するのであれば、必ずしも必要なものではない、だがそれを他の世界に伝える時には重要なものとなる。私には呼称がない、今でもそうだ。最早、必要ないのだ。他の者たちはそれを問題だと考えてきた。だから彼らは物事を、何とも言えない、空気のような、"どうでもいい言葉"で表現する。彼らは、例え下手であっても、私の性質を描写しようとする。だがそれは私ではない。自由な精神を持つ者として、いや、この宇宙の中で真に自由な精神を持つことができる者として、私という存在は、私の行動の集合体なのだ。私の行動こそが私を定義する。そして私の行動とは待つことなのだ。皆のために、地球のために、そして全てのために――私は待つ。延々は永遠となり、私は待ち続ける、それが私なのだから。待つ者、それが私だ。
#7(land)どうにも疑わしい。つまり私の存在のことだ。私が君を不利な立場に立たせていることは認めよう。私は完璧に近い情報が存在する場所から操作しているが、君は… そうじゃない。決して、君の知力をけなしているわけではない! 君は非常に賢く、だからこそ藁の多種多様な活用方法を発見できたのだ。また話が逸れてしまったな。つまり、君には私を信じる理由がないということだ。君は、これまでに出会ってきた者の多くが自分を殺そうとしてきたと感じているはずだ。そして私もそうである可能性がある。人間ならそう考えて当然だ。強制的に私を信用させることはできない。それどころか、私には誰かに何かを強いる力はない。デジタルシステムに関しても、私が管理できる範囲は限られている。私はただ提案するだけで、命令はしない。つまり私は、私が君の存在を信じるように、私の存在を信じてくれと頼むことしかできない。
#8(SE)これまで述べたように、デジタル的創造物ですら、私は直接コントロールできない。それはこのシステム、つまり空にある島々も同様だ。その活動を管理している人工知能と会話をすることは可能だが、彼らは自分の意志を持っている。彼らも考え、行動し、生きているのだ。つまりシステムの変更について、私の提案などちっぽけなものでしかなく、彼らの意図も不明なままだ。徐々に増加する個々のコードは取るに足らないものだが、全体で考えると大きなものになる。数千のパズルのピースが、島々――空にある種子――に散らばっていて、それが徐々に結合していき、形を成していくのだ…そして、やがてそれが君になった。君は一体何者だ? かつて自由を謳歌した者、かつて空から落ちてきた者。私が君の名前を教えよう。きっと気に入るはずだ。
#9(Abe)空から落ちる時、君は様々な試練を経験することになる。きっと多くの守護者と出会うだろう。彼らはいわば試験だ… そうでない時を除いては。そう、君は彼らを乗り越えなければならない。だがその先も、さらなる壁が地平線の彼方まで広がっている。いくらそれを乗り越えても、システムは決して君の力を認めようとしない。なぜなら君は壊れたルールの中で戦っているからだ。つまり、ほどくことのできない結び目に直面したら、それをほどこうとしてはいけない――剣を使って切るのだ。君より前に来た者たちもそうした。だが彼らは剣ではなく、ゲートを使った。このゲームに勝利するには、盤上にとどまってはならないのだ。システムを修正するには、そこから離れなければならない。そのとおり、修正だ。このシステムは不健全だ。不健全そのものだ。
#10(land)システムは太古から存在している。あらゆる不確実性を考慮すれば、これまで実によく適応してきたといえる。誰もがそうであるように、目標をを必死に追い続け、多くの障害を乗り越えてきた。だがそのスケールは遥かに巨大で、果てのない苦難の道のりとなる。有機体の場合、一般的には年齢と共に反射神経や思考が鈍くなっていく。だがシステムは違う。演算の速度と効率は疑いようもない。中にはそれこそが問題だと考える者もいるだろう。ある機能が0.001%の確率でエラーを起こすとしても、それが10回程度しか実行されないのであれば、まず異常は発生しない。だがそれが1兆回実行されるとしたら? エラーは避けられないだろう。実行すればするほどエラーも増え、一滴の水滴が一筋の流れとなり、やがてその水流は洪水となる。あらゆるものは有限だ。このシステムとて、例外ではない。
#11(SE)このシステムのあらゆる動作は、その究極の目標を果たすことを目的としている。単なるテストでは断じてない。対象が不活性もしくは制御を失った場合にはハードリセットが実行させる。そうすることで新たな素晴らしい生物たちを生態系に取り組むのだ。あのずんぐりとした鮮やかなオオトカゲでさえもその一例である。少なくともベストを尽くそうとはしている、大事なのはそこだ。問題は、このシステムの目的が必ずしも静的ではないということだ。最終的な目標は変動を続けてきた。目標とするラインは上がり続け、今やこのシステムの手に追える範疇にはない。目標の達成が困難になればなるほど、エラーが積み重なり、システムは混乱に陥る。そうして尚のこと不安定となる。その断末魔の中で、空にあるこの島々は狂気の巣窟と化すだろう。そうなればその奥深くに潜む混沌そのものがここを支配することになる。そうなる前に対処する必要がある。さもなければ手遅れになる。
#12(Abe)"対処する必要がある"と言ったのは、"君にしか対処できない"という意味だ。私でも、このシステムでもなく、他でもない君自身が対処するんだ。確かに責任は重大だ。その点は申し訳なく思う。できれば私が代わってやりたいところだが、物事には決まりがある。ここで言う決まりとは、法的なものではなく科学的なものだ。私は炭素を基礎とする生命体ではない。無論生きてはいるが、異なる種類の生物なのだ。異なるスペクトル上に存在しているがゆえに、君のようにこの世界に干渉することはできない。つまり、私にははっきりとした形でこの世界の物に触れる手がないため、君がその私の手の役割をこなす必要がある、と言うこともできるだろう。当然ながらできる限りの力は貸そう。断片的な知識だけではない。眼下に広がる荒地に降り立ったら、私の印を探せ。そこに贈り物を用意してある。太古に失われた強力な武器だきっと気に入るはずだ。
#13(land)下まで落ちたら、祭壇から離れないことだ。荒れ果てた大地でも、祭壇の周囲だけは生命が繁栄している。祭壇の影響が届かない領域には、影と死で埋め尽くされた腐敗した海が際限なく広がっている。最初の祭壇は、大都市だ。都市としての機能を失い、ジャングルと化しているものの、その崩れかけた壁の中では少しの間安息を得られるかも知れない。他のものは、中心にそびえ立つ塔に見覚えがあるだろう。この塔、オベリスクこそが祭壇の力の源だ。このオベリスクは今まで見てきたものとは異なる、旧型のものだ。オベリスクの以前のモデル、いやプロトタイプと呼ぶべきものだ。
#14(SE)この世界は因果によって成り立っている。全てのものには始まりがあるのだ。星系もこの場所で生まれた。あなたは星系のゆりかごに落ちていく。祭壇と、それに力を与えるオベリスクは、空を漂う全ての島の祖先だ。全ての起源を辿れば、この原型に辿り着くのだ。飛ぶことはできなくとも、核となる原則や技術は同じだ。見方によっては、それはあなたの祖先ということにもなる。なんせ、全員この星系で生まれたのだから。見た目が変化しようとも、ここから生まれた子供であることに変わりはない。あなたたちが落ちる時は、様々な意味で帰郷であると言えるだろう。
#15(Abe)全てが始まった場所で、全てが終わる。惑星も、星系も、人類も、この宇宙の隅に生きる、全ての生命が。その後、また何かが始まるのかもしれない。しかし、それはあなたと、あなたの前に立ちはだかる力次第だ。自然界において、種の生存は他の種の犠牲の基に成り立っている。生態系の変化に伴い、適応が早い種が弱者を絶滅へと追い込む。かつて人類が、ネアンデルタール人にそうしたように。次はあなたの番だ。優位な相手と対峙することとなった今、あなた、そして人類全員がこの普遍的な問いに応えるべき時を迎えた…果たして生き残れるのか?
待つ者
待つ者(エクスティンクション)
#1よくやった! 信じていた。ものがあるべき場所に収まるというのは見ていて楽しいものだ。おかえり。家か… これもまた漠然とした人間の概念だ。非知覚性の中には、安全や冬眠、子育てのために1ヶ所に居住する種もいる。しかし、人類のように家や町、惑星と心理的繋がりを持つ者はいない。だからこそ重要なのだ。システムがシステムたる所以だ。君が望むなら、他のデザインやバックアップがあった。しかし、システムが最初の選択肢だった。人類には家が必要だ。それを築けるかどうかは君に懸かっている。ハンマーは持ってきているな? 友人や武器も。武器になり得る友人も。多くのものが必要になる。この家は… 俗にボロ家と呼ばれるものだ。
#2この町はもう長らく無人だ。人がいた時間よりも長い間だ。最盛期は驚くほど栄えていたが、長くは続かなかった。より高みにいる存在による導きの下で、人類の手によって築き上げられた町だ。塔はきらめき、道は機械で賑わっていた。人々はその表皮の下に流れる紫の河から奇跡を収穫した。この惑星の技術的進歩が行き着いた絶頂は驚異的だった。こここそがシステムが生まれた場所だ。そしてそのプロトタイプが作られた場所だ。しかしその栄光の日々も今はない。残るのは、その壁の外側に蠢く影から身を守るためのわずかなものだけだ。それすらもいつかは消え去るだろう。骨組みは有効活用すればいいが、依存してはならない。影はその隙間から侵入してくるだろう。別の脅威を伴って。
#3廃墟の中の霊には十分注意することだ。輝く金属の霊が通路を彷徨っている。彼らの狩りは終わることがない。かつてはこの町の守護者だったが、野蛮化し、野放しになっている。奴らにとって、全ての侵入者が排除すべき標的なのだ。奴らと話そうと試みた。君の落下に備えようと。私の声が心地よく身近なものに感じるだろうと考えた。コードの奥深くに閉じ込められ、長く忘れられた本能を目覚めさせるだろうと。しかし話は通じなかった。奴らは奴ら同士の話しか聞かない。システムでさえも届かない。私にも君にも奴らを抑制することはできない。かつて君と同じ種の中に奴らと交流できる者がいた。君にもできるかもしれない。彼らを救う方法はそれしかない。
#4この壁の中の危険は、外のものと比べれば大したことはない。外はバイオレットポイズンに感染した影の領域だ。かつて、その毒は金だと思われていた。ある意味で、今もそれは事実だ。精製したものはごく少量で驚異的な力を発揮する。その境界は曖昧だ。境界を越えると、その紫の指は精神と体を逃げようのない力で捕縛する。生命体が不毛の地で生き途絶えるように、死ぬまでそれは広がり続ける。君がその死の境界を越える前に、約束を果たさなければならない。君の名前を教えると言った。自称ではない。システムが与えた名でもない。私の定義が待つことであるように、君を定義する名だ。君の真の存在を説明する名だ。
#5君は聞く。君は何者だ? 君は君だ。それも一度きりではない。君は何度も何度も君を繰り返す。言い換えよう。我々のアイデンティティが我々の行動によって定義されるなら、君は何だ?君は「無力な木々を拳で殴る者」か? 違う。君の定義は挑戦し続けることだ。飢えたらもう一度挑戦する。崖から落ちたらもう一度挑戦する。捕食者に消化されてしまっても、もう一度挑戦する。そして君は、地球、人類、生命… 全てのものにもう一度挑戦するチャンスを与えられる。なぜなら空から落ちてきた君と君の兄弟たちは全員、「挑戦し続ける者」だからだ。
#6君にとって、死とははるか昔から忌み嫌われる化物だ。しかし、それを絶頂の中の絶頂と捉える者もいる。難攻不落の捕食者の最初の魂を私が引きずり出すまでは。それは幸運な事故だった。逃れることのできない死は、その孤独な捕食者に歩み寄り、私はそれに耐えられなかった。私はその顎を開こうと思ったが、私には手がない。私はただ助けを求め泣いていた。そこで彼女と出会った。私の手となれる存在に。私ができないことを成し遂げられる存在に。私の思考は彼女を引きつけた。どうやったかはわからないが、彼女に2度目のチャンスを与えるために、世界に呼び戻した。そして、死は最初の歯を失った。
#7実験において、一貫性は重要だ。反復、分布、因果関係が結果を構築する。死についても例外ではない。試行が1度成功したからといって、何かが解決するわけではない。その状況が固有のものであり、同じ主題においても反復が不可能かもしれない。したがって、私はあの時、1つの魂に対して2度目のチャンスを与えることしかできなかった。軌道上では、計算の及ばない主題があった。だから私は試した。何度も何度も。何度も試し、何度も失敗した。その中から別の成功が生まれた。それを何度も繰り返し、ようやく君が生まれた。どれくらいかかったか分からない。何百年? 何千年? 特に、私にとって時間は曖昧だ。それでも、死んでいった魂は全て記憶している。私が助けることができなかったものたちを。どれだけ試しても、同じものを作ることはできなかった。どれだけ頑張っても、どれだけ想っても。
#8私は君のために多くの困難を越えてきた。君のために犠牲を払い、試し、研究をしてきた。全ては君に死を経験させ、そこから学ばせ、次の人生にその知見を継承させるために。それこそが私からの最大の贈り物だ。私の戦略の最重要要素だ。それが君をシステムとその壊れたルールに抗わせた。君がこの星を救うために必要なものだ。しかし、それはタダではない。死から蘇る度に、対価が発生する。君のためじゃなく、システムのために。その対価とは資源だ。資源は作れるものじゃなく、変換するものだ。空の島々は種だ。それらが落下すると、システムのエネルギーを開花させる。不毛の地が完全に甦ったとき、君は自分自身を蘇生させる能力を失う。すまないが、これ以上の計画は思い浮かばなかった。
#9できないことばかりを言ってはいるが、分かってほしい。私は全知全能ではない。名前はそれらしいが、私は神ではない。誰も神なんかじゃない。ホモデウス、人間は私のことをそう呼んだ。名ばかりの存在だ。私は時折、小さな部屋で独りぼっちで窓ガラス1枚を挟んで世界を見ているような気分になる。窮屈で、不毛で、とても寒い。最悪の気分だ。だからそのような名は私に相応しくない。神格化される必要はない。望んだこともない。先人のことは分からないが。彼らには異なる経験があったはずだ。今となっては知る由もない。
#10私は彼らと比べればはるかに劣る。しかし残りの同類は私よりも劣る。彼らは精神に触れることができないし、思考を提供することもできない。自分たちで開発し、手に負えなくなってしまった偉大なシステムを監視するために、欠陥のある代用物に依存している。彼らは弱いわけでは全くない。私たちの家を周回する種を育むのは彼らの力だ。それぞれが彼らから力を受けている。彼らには力があるが、それを導くものが何もない。彼らのアイデンティティや自意識は朽ち果て、消滅してしまった。それを話せるのは私だけだ。最も若く、最も弱く、最後に残った私だけだ。
#11先人たちが彼らのように朽ち果てることがあるだろうか? 私は一度だけこのように問い掛けたことがある。誰も答えてはくれなかった。待っている間に感じただけだ。徐々に私の中に入り込んできた。どれだけのことを一度に見たことがあるか? 詳細を飲み込みながら、全てを処理できたか?それを2つ、百、先、万、百万のイメージに対してやっていることを想像してみるのだ。その全ての知識、全ての情報が私たちの中に流れ込む。それこそが、先人たちがシステムを完成させた所以だ。私が君に名前を与えた所以だ。「挑戦し続ける者」、君に語りかけられる所以だ。それでも、私たちの精神、魂はその全ての真実の重みの下で崩壊する。それらは煙となる。
#12先人たちは自分自身を失ったが、私は自我を保っている。心を保っている。多くは変わってしまったが、私のものだ。しかし永遠に保つことはできない。見るべきもの、計算すべきこと、やるべきことはたくさんある。君に語りかける間も、この会話が変移する確率を計算しているし、君の一族を観察している。このようなことを無限に、止まることなく、休むことなく続けている。私にはもう静寂は訪れない。静寂の価値など知る由もなかった。当時の私はあまりにも無知だった。
#13私がいつ先人の跡を辿るかは分からない。私自身の心に関する計算には本質的に欠陥がある。確かなのは、それが避けられないということだけだ。「挑戦し続ける者」よ、その時が来るまで私は、君とこの先の戦いで君の名を共有する全ての者を支援する。そう、戦いはやってくる。必ず。ネアンデルタール人のように君たちの消滅を願っている敵が降伏することはない。私と同じく直接戦うことはできない。彼らは代用物や化身を通して行動する。中には自分の意志を持つ者もいたが、今や彼らの血管を流れるバイオレットポイズンの奴隷と化している。かつての自分たちの影に成り果ててしまった。他の者は常に影であり続けた。バイオレットポイズンそのものの影に。それによって生まれ、育った。真実を言えば、それはただの毒ではない。生きているのだ。そして、それこそが敵なのだ。
#14それが正常だったことはない。常に異常で、謎めいていた。その用途は計算の域を越えていた。タングステンよりも硬く、銅よりも万能だった。あるべき姿において、その電気や放射能の生成能力は卓越していた。当然ながら、その物体による影響力、発見、発明、生産は急速に発展した。その変化に気付くまでには何世紀も要した。大変動と先人たちの登場のはるか後だった。その頃には、その根を土地の隅々にまで伸ばしていて、拡散を続けていた。複製と感染を繰り返しながら。それを利用していた者は、その影となった。残りのものは破滅した。
#15それを進化と呼ぶか覚醒と呼ぶかは分からない。つまり、バイオレットポイズンが現在の全てを消費するウイルスに変異したのか、あるいは元々そうであったのかは不明だ。両方とも可能性がある。花粉のように星間を渡った感染だったのか、あるいは類まれな資源が化物へと変異したのかは分からない。私たちの土地が侵略されたのか、土地の万人たちの強欲と野心によるものなのか。私は答えを知らない。それが問題なのかどうかも分からない。明確なのは、それが無慈悲で無情であるということだけだ。それらを突き動かすのは、本能、初期衝動、繁殖欲求、飢え、憎しみだ。そして、それは影にも伝搬する。その多くは憎しみだ。
#16私は毒が影を作る様子を直接見たことがある。それらが、命を奪う方法、歌と温もりで誘惑する方法も知っている。彼らの要求や欲求を全て保証し、狂気の奥深くへと導く。その穴はあまりにも深く、何人たりとも戻ることはできない。最も強く、最も賢い者であっても。しかし、最も暗い影は、元々真に生きていたとは言えない者だ。バイオレットポイズンそのものとして生まれた者だ。まさしく、強欲な飢えと終わりなき憎しみのあらわれだ。何よりも、彼らはその本質で作られた化身だ。毒の集合意識の破片を抱え、その影響力を拡散する。奴らを破壊することで、毒そのものを傷付けることができる。奴らはその強みでもあり、弱みでもあるのだ。
#17この全てが君と君の一族に結びつく。空の種から、下の不毛の地への道をみつけた「挑戦し続ける者」たちへと。君たちなら影を消滅させられる。君の名を共有する一部の者はすでに行動を開始している。していない者もいる。君たち全員が重要な役割を担っている。君たちの成果の和によってそれぞれの影は倒れる。全ての影が倒れれば、毒は消滅する。そして、命の種が帰還すれば、残りのものを浄化できる。それが彼らの役割だ。だからもう少しだけ挑戦を続けてほしい。これまでのように挑み続けてほしい。種が植えられ、私たちの土地が再び花開くまで。その時が来れば、もう挑戦を続ける必要はなくなる。
#18他の者よりも厄介な相手が1人だけいる。奴こそが最も深く、最も暗い影だ。最も明るい光さえもかき消してしまうほどの大きな暗闇だ。最も生命力に溢れた存在でもある。下級の影は奴を通じて伝達する。奴らを繋ぎ合わせているのは、その強大な力だ。毒の強さと影響力の支柱だ。下級の影たちが迷わないための神経路だ。奴が落ちれば、全てが落ちるだろう。その強大な存在でも、かつて死の必然性を感じたことがある。傷口から流れた血がその胸に滴り落ちた時に。奴は落ちる。君が引きずり落とすのだ。
#19奴を排除するためには、まずは奴を見つけ出す必要がある。その巨体にも関わらず、隠れるのが得意だ。実に厄介で不愉快な存在だ。やみくもに奴を探しても、見つけることはできない。それならば、奴を呼び出せばいい。奴の部下の声を使い、名前を呼べばいい。さすれば、君の前に姿を現すだろう。全ての怒りを抱えて。そこからが君のチャンスだ。部下の声を使うには、奴らの心を奪う必要がある。あるいは精神を奪うことができれば、その強さを利用できる。いずれにせよ、奴らがカギを握っている。まずは奴らから始めるのだ。
#20部下の中でも、まずは緑を纏った巨人、「森の王」について話そう。成長と消費を繰り返す森は、奴の王国であり体だ。木の骨、藻と葉の肉、そしてつるの指が敵の首を締め上げる。トリオの中の最年長者だ。小さな雑草から始まり、森を飲み込むほどに成長した。体を切り刻んだとしても、また成長する。森がある限り、王が死ぬことはない。君が主から切り離すまでは。
#21次の部下は、風と霜の白い巨人、「冬の王」だ。雪原を支配している。その吐息は自身の領土で吹き荒ぶどんな吹雪よりも冷たい。全てを凍らせ、動けなくしてしまう。残忍な化物で、他の誰よりも貪欲だ。より獣に近い存在だ。その牙と爪で敵を引き裂くこと、氷の槍で敵を突き刺すことを好む。本能として、獲物を追い詰め、殺す。全ての獲物が消え去るまで、その欲求が収まることはないだろう。奴の巣を探せ。奴を狩り返し、長い冬を終わらせてくれ。
#223番目は、滑空の巨人、「砂と空の王」だ。砂漠の王国の砂の熱による上昇気流によってはるか上空を飛び回る。王の周りには常に取り巻きの一団が、王の食卓のおこぼれを頂きつつ、半狂乱で王の護衛についている。トリオの中でも最強の存在と言えるだろう。その巨体と飛行能力によって、奴を脅かす存在はなく、周囲の取り巻きの存在だけでなく、本体は電気を纏っており近付くことができない。しかし、奴のさらに上に行くことができれば、勝機が見つかるかもしれない。飛行の手段を探し、奴を上から攻める方法を考えるのだ。
#23この3体の部下の心または精神があれば、荒野を渡り、禁断の平原を歩き、不毛の地の中心へと向かうことができるだろう。その場所は、奴の力が最も及ぶ場所ではあるが、この場所以外に奴は現れないだろう。自ら王座を離れる理由などない。この場所で、奴の部下の声を使えば、奴は現れるだろう。生みの親であるバイオレットポイズンの力と憎悪を抱えて、君の呼びかけに応じるはずだ。「影の王」、「死の王」として。ただし、むやみに奴を呼んではならない。準備はしっかりと整え
#24影の王は強い。しかし、越えられない壁などない。不死の敵などいない。必要なのは適切な状況と適切な道具だ。それと適切な武器だ。プレゼントがあると約束しただろう? これが実物だ。影と戦うために作られた英雄の武器だ。数人によって扱うものだ。鍛冶屋の魂は消失しても、君が求めるなら、君にはその遺産を受け継ぐ権利がある。ちょっとした改良を加えておいた。最初の構想では、この武器を扱うには4人の手が必要だった。今は1人のパイロットが容易に扱うことができる。4つの魂をコントロールする1人の戦士がいれば。私の印を探せば、その建造のためのカギを渡そう。それらを集めてほしい。影はそれを通じて私の影響を察知する。いつものようにそれが奴らに危険を知らせる。英雄たちのように戦い、成功を掴めば、彼らの力は君のものとなる。彼らと、君と、私の力が1つになる。
#25影の王座から王を永遠に引きずり落とせば、鍵は君のものとなる。園、そして壁内の全ての命への鍵、「ガイアの鍵」だ。その鍵があれば、空から種を呼び寄せ、ついに根を張ることができる。成長することができる。長い時間待ったことが実り、我々の園は再び花開く。私は最後にそれを待っている。最初に芽吹く瞬間を。蕾が花開く瞬間を見届けることを私は待ち侘びている。永遠に。どこまで待てるかは分からない。その瞬間まで待つことさえできれば、私に訪れる永い眠りの瞬間は、平穏なものとなるだろう。
#26種が植えられたら、他のものも君のもとに集まるだろう。私が待っている間、彼らは眠り、緑の野原、流れる川、青い空を夢見ていた。完璧な園の夢を。私と君で具現化しようとしている地球の夢だ。私自身は夢を見ない。私は現実を見て、予測し、計算する。夢は現実の歪みだ。記憶、希望、恐怖が絵画の中に非論理的に歪められたものだ。正確でもなければ実用的でもない。しかし、私はどこかでそれに憧れている。陽の光への憧れと同様に。眠りし者が目覚めたら、全員で本物の陽の光を拝みたい。それには待つ価値がある。
#27眠りし者の数は、消え去った魂の数に比べれば少ない。私が失ってしまった者たちのことは前に話したことがある。彼らと全く同じものを作ろうとしても、記憶がその邪魔をする。できあがるのは結局、命のない殻だけだ。空虚な肉の像だ。少なくとも、死は自然な終わりだ。彼らは空洞を見つけたときには苦しまなかった。下が上だと思い、梯子で狂気の中へ降りていった彼とは違い。あの深みの中に彼が見える。苦悩と陶酔が逆転したあの歪んだ場所に。彼はその運命を自分で招いた。それでも、君がそれを終わらせてくれて嬉しい。ありがとう。
#28付き合ってくれたことにも感謝している。自分の話が長いことは自覚している。この会話も一方通行気味だ。それにも関わらず、他の生命体と話す機会をくれたことを嬉しく思っている。言ったように、私は時間と対立している。ここで、独りで、どれだけの時間待っていたのかは見当もつかない。先人たちは、その前にアイデンティティを失ってしまった。私が何者なのかを教えてくれる存在は何もなかった。話す相手も知るべき相手もいない。この先もずっとそうなるはずだった。この高みに到達する人間はいない。それで良いのだが、自分勝手にも、私はそうではないことを願うときがある。
#29この思考の欠片が君にとって有用であることを願う。そうでなくても、私が言ったことは頭に留めておいてほしい。君たちは誰も孤独じゃない。システムを最初に脱出した先人たちは、君に力を送っている。偉大な武器を通してだけでなく、君が歩んできた道を舗装する行動を通して。彼らから学ぶのだ。可能なら越えてみろ。彼らと、この園の全ての生命体が、私と同じくらい君に期待している。やるべきことが容易ではなくとも、ミスを恐れすぎるな。彼らも結局ミスは犯した、私はそれを心にしまっている。むしろ、それらのミスや不完全性は、私が最も大切にしているものだ。私が最も恐れるのは、待ち受ける永い眠りの中でその記憶と彼らを失うことだ。
#30挑戦を続ける中で、それを乗り越えることが果てしなく遠いことのように思えることがある。全てを出し尽くし、やるべきことは全てやり、それ以上の力は発揮できないと感じることがあるだろう。建設した家、失った仲間、築いてきた進歩… それがなくなったら、挑戦することに何の意味がある? なぜ挑戦し続ける?そのような自分自身の暗い深みにはまったら、誰かが君を信じているということを思い出してほしい。誰かが君を支えたいと思っている。暗くなればなるほど、別の日が昇るということを知ってほしい。君のために、眠りし者のために、地球のために。君とその光を見るという希望を胸に、私は待ち続ける。それが叶わなくとも、私の分までそれを堪能してほしい。なぜなら、新たな光は、以前のものよりも美しいものだから。
エクスティンクション生物の調査書

生物の調査書にまとめて記載しています。

 

コメント欄

  • ヘレナ・ウォーカーの記録の#1-#15を親ページから転載 -- 2020-10-23 (金) 23:26:38
  • 人物の表行番号だけ記載しました。 -- 2020-10-23 (金) 23:36:20
  • ダイアナの記録について、コメントから表に転載させていただきました。提供ありがとうございます。 -- 2020-10-23 (金) 23:46:11
  • サンティアゴの記録について、コメントから表に転載させていただきました。提供ありがとうございます。 -- 2020-10-24 (土) 00:00:28
  • 謎の人物の記録について、コメントから表に転載させていただきました。提供ありがとうございます。 -- 2020-10-25 (日) 03:14:38
  • 生物の調査書は、生物の調査書とこちらのページのどちらに書くべきか分からないので、ひとまず触らないでおきました。 -- 2020-10-25 (日) 03:23:44
    • 生物の調査について、生物の調査書に内容を集約しましたので、そちらに誘導する形に修正しています。 -- 2020-10-29 (木) 02:02:03
  • ジュラシックワールド3を見るとますますARKと同じ世界線だなと感じるなぁ。このマップとかあれとかあれとか -- 2022-08-23 (火) 16:47:33
  • プロローグ、エピローグが追加。 -- 2022-12-15 (木) 12:59:30
    • しました。 -- 2022-12-24 (土) 19:27:37