創作図書館/3号館(7)

Last-modified: 2025-10-09 (木) 09:10:10

Pz1C? 第四話

Earth gods
プロローグ

「おら、さっさと歩け! お前らにしっかり歩けるあんよをくれたWG神に感謝するんだ......止まった奴から殺していくからな!」
「ひっ......分かりました......」

私はPz1C、本来ならこの世界に居てはならない存在........
あの日、気づいたら私はこの世界にいました。
あてもなく彷徨って辿り着いた村ではよそ者として嫌がらせを受け、
WG教の下では誰もが平等だから嫌がらせを受けることはないと言われ入った修道院では、結局嫌がらせを受けました。
修道院に入って数ヶ月した頃、市場で偶然耳にした日本ツリー支配領域への密入国の話。
今の生活に嫌気が差していた私は噂で聞いていた場所に行きました、そこで出会った仲介人さんの言う通りに行動した結果がこれです、
正直こんな大変だとは思いませんでした。

「ソ連ツリー支配領域を通れれば楽なんだがなぁ.......ドイツツリーとの小競り合いが毎日の様に発生してるせいで商売の都合上あのルートは使えねぇ、おかげで蛮族共がうようよしてるユーロツリー支配領域を通らにゃならん.......くそったれだなぁ。」
これが売人さんの言い分です、詳しいことは知りませんがこっちの世界ではドイツツリーとソ連ツリーは対立しているようです。

「.........君、これあげるよ。」
ユーロツリーの支配領域から合流してきた男の子が何か渡してくれました。
首飾りの様ですがこれは何でしょうか? 鎌を持った骸骨さんの様に見えますが......
「サンタ・ムエルテっていうんだ、僕ら貧乏人の聖人さ......」
なんと、聖人さんでした。骸骨さんなのに何か以外です。
「そこ、止まるんじゃない! 死にたいのか?」
「すっ すいません!」
なんとか殺されずに済みました......すぐに手を上げるような人じゃなくて助かりました。

「.......? 何の音でしょう、地面が揺れているような?」
「おっと、こいつぁまずいぜ........あれは俺達を殺してブツを奪っていく盗賊だ。散らばれ、走るんだ! とにかく全力で走れ!」
何を運ばされているのか不思議に思っていましたが違法なものだったのですか........
唐突なカミングアウトと襲撃で頭が追いつきません。
「君、こっちへ!」
そこからはもうさっきの男の子に手を引かれるまま走り続けました。
逃げ込んだ先がちょうど窪地になっていて助かりました.........しかし
「.........なんとか逃げ切れたみたいだな、運が良い奴等だ。」
売人さんがいました、しっかりクロスボウも持っています......殺されるのでしょうか。
「.............」
私を庇ってくれているのでしょうか、そんな目をつけられる様なことしなくてもいいのですが。そこで売人さんはクロスボウの持ち手を男の子に向けました、下手すれば自分が撃たれるかもしれないのに......何故でしょうか
「小僧、お前さんは頭が良い、手伝いな........奴等がまだ追ってきていていることに気づいてるだろう? それにだ......あれを見な。」
売人さんが指を指す方を見てみると、
「.......っ!」
串刺しにされているいろんな車両がありました.....酷いです。
「見せしめだよ、盗賊とは言ったが奴等は自分達のテリトリーに入ったヤツを片っ端から血祭りに上げてるだけで、物盗りはそのついでなんだ.........まぁ、ああなりたくないんなら。」
「手伝えと........?」
「そういうこった。分かってるなら...........受け取れ、こっちは矢筒だ。」
男の子は売人さんからクロスボウと矢筒を受け取りました、怖くないのでしょうか。

「あの数は無理だろう! 無茶だ!」
「やっぱりそうかぁ.......足止めできるか?」
「足止めだけなら5分は!」
「よ~し、任せたぞ.........お前さんは俺について来い。」
売人さんは私に着いてこいと言いました、そしたら男の子はどうなるのでしょう........
ええ、分かってます、分かってますが。
「すまないな、チャンスを奪っちまってよ.......」
「チャンスはあるさ、それが僕のじゃなかったってだけで.......君にサンタ・ムエルテの加護がありますように。」

……………少し、複雑な気分です。結構、走りましたね.......後どのくらいで日本ツリーの支配領域に辿り着くのでしょう。
「ここから先はユーロツリーと日本ツリーの支配領域の狭間だ、いわゆる緩衝地帯だな。この先からは自由であり.....地獄だ。悪いことは言わない、引き返せ。それなりの仕事も斡旋してやる、食い物には困らないぞ。」
「戻ったとして......チャンスはあるのですか?」
「..............」
「なら、私は先に進みます。」
「ちっ しょうがねぇな、付き合ってやるよ......」

♪~
何処からか粋な音楽が聞こえてきますね、次は何なのですか!

「ふざけんじゃねぇ、ここにきてエグゾ共かよ......」
「........エグゾ?」
「密入国者狩りのクソ野郎さ......ぼやぼやしてないで走んな! 一直線に前へ!」
「............」
「チャンスってのがあるんだったな、それが俺のじゃあなかったってだけだろ。さぁ行け!」

売人さんはそう言ってナタを取り出しました、1人でなんて無茶ですよ......
「これでも元々はドイツツリー屈指の駆逐だったんだぜ? phönixって言えば分かるか? 同郷のお嬢ちゃん。」
「........!」
「じゃ~な。」
私は泣きながら走りました。それはもう、今までにないくらい全力を出して走りました。

「どうせ逃げる奴の背しか撃ったことのないヘタレばっかだろ! 当ててみろやぁ!」
「こいつ! 馬車をひっくり返しやがったぞ!?」
「ぐわぁ!?」

「あの娘にサンタ・ムエルテのご加護を......」
後に聞いた話では、売人さんは結構奮戦したそうです。敵さんも有効打を与えられずに取り逃がしたそうですが.......その後売人さんを見た人は居ないそうです。

「はぁ....はぁ.....」
私は夜通し走り続けました、そしてようやく辿り着きました。
日本ツリーの支配領域へと

夜明けの光に照らされる村は、私の知る建物とは全く違う建築方法で作られた建物で構成されていて、畑では日本ツリーの車両たちが農作業をしています。
「.........あぁ」
私は安堵してへたり込んでしまいました、立ち上がろうにも足に力が入りません。
そうして強制的に?休まされた私はしばらくした頃にその村に向かうことにしました。
日本ツリーの車両は皆優しいと聞いています、きっと大丈夫なはず、です。

エピローグ

14-3-29 Pz1C

今私は崖に居ます。
この崖の先にある太陽神の祠の調査に来ているのです。
厳密には崖......というよりはごつごつした岩で構成された急斜面といった感じです。

「......はぁ.....ふぅ....」
結構進んだはずですが.....かなり長いですね、休憩しようにもそれができるだけの
スペースがあるところがありません。どうしたものでしょうか......

「あ.......あれですかね.....」
ようやく祠が見えてきました、これで一安心というもn…….!?
山の経験はそれなりにあったのですが.......落石に気づかなかったのは迂闊でしたね.....
次は気をつけなければなりません.....いえ、次などないのでしたね。

先程の落石で私は足を滑らせてしまっていたのです.....結構思考って加速されるのですね....
命の危機の時等に景色がスローで見えたり、凄まじい速度で思考できたり、という話を聞いたことがありましたが本当だったとは.........こんな時に私は何を考えているのでしょうか。

斜面の下は海面です、しかしその下に岩礁があることは地元民の話で聞いています、
助かる可能性は限りなくゼロに近いでしょう.............ああ、もう目の前に海面が.........
「...........少し、いえ......かなり無念です......」

ここは祠近辺の村、その村のとある建物の一つで.......
「あの嬢ちゃん帰ってこんなぁ.......大丈夫やろか?」
「どうでしょうねぇ.......学者さんだったようですし、研究に没頭してるんちゃう?」
ha-goの老夫婦が縁側で日を浴びながら談笑していたが、
「おぉ! ハ号のじーちゃんとばーちゃんじゃんけぇ、大変だ!」
そこにke-niが何やら慌てた様子で走って向かってきた。
ha-goのお爺さんがke-niに心配した様子で何事かと尋ねる。
「どうしたんじゃ、ケニ坊や、そんな慌てて......」
「学者のねーちゃんが海に落ちとって.......」
「まさか!」
ke-niから返ってきた返事は衝撃的なものだった。
「........逝ってたわ........」
それはPz1Cが死亡したという旨であったが、老夫婦は意外なことに動じていない。
「そうか........南無南無.......婆さんや、あの娘が出発する前に言ってたこと
覚えとるかい?」
「あぁ、確か自分が死んだら手紙を送ってくれと言っていましたね......」
「そうそう、Chaffee camoって何だったけなと思っとったんじゃ.......
住所ってどこだったかの?」
「忘れっぽいんですから......もう!」

「そうか.......もう残るのは僕だけなのか。」
「どうしたんですか先生、手紙なんか読んじゃって......」
「ただの訃報さ......そういえば準備は出来ているのかい? 明後日は次の調査に
行く予定があるのだが?」
「!? そそそっ それは一応.....ええ、はい.......」
「しっかり準備しておかないと後悔するぞ? 結構な長旅になる予定だからなぁ。」
「肝に銘じておきます......」
「..........僕もすぐそちらに行くことになりそうだ.......」
「先生?」
「なんでもないさ......」

M5 Stuart,UE 57 番外編

Magic

『ティア5未満の者は異郷戦へは参加できぬ、WG神からのお告げである! 速やかに立ち去れぃ!』
アルペンシュタット近郊の森のはずれ、歪な一本の木で形成された、ぐにゃりと曲がった長方形の内側に薄い緑色の膜でできている「門」があった。その左右に侍る稲妻を模した石像から声が発せられる。声をかけられたのは..........

「黙れ石像如きが.......! 神なんぞ知らんわ、確かに様々な車両が「調整」とやらを受けているが、それを直接WG神と結びつけるのは違うだろう。もう一度言う、神なぞ知らん。だからそんな奴の言うことなんざ聞かねぇ、通らせてもらうぞ!」
小さなM5Stuartだった。見た目とは打って変わって結構荒い口調だが.....
『ダメだダメだ! 通らせるわけにはいかぬ! とどまれい!!』
「うるせぇよ、だから何で言うこと聞かないといけねぇんだ? じゃ~な。」
M5Stuartは石像の静止を振り切り、強引にゲートの向こうへ転移していった。

「へぇ......ここが異郷ってやつか、なんか大して変わらんな。」
「そりゃそうだ、この異郷は各車両に特殊スキルが「付与されるだけ」の異郷だからね。まぁ今のところはそれ以外にも2回まではデスペナ無しでリスポーンできるらしいけど。」
ゲートから出た後すぐに周囲を探索し始めたM5Stuartの独り言に、何処からか言葉が返ってきた。
「........見えない、駆逐か軽の類かなぁ?」
「正解! UEたんことUE57だよ! というか何で低ティアの子が.....?」
「人のこと言える立場じゃないだろ........お前こそ何でまた?」
「やっぱさぁ、通常戦じゃ出来ないようなことができるって聞いたら........ね?」
「何だよ、同志じゃねぇか......お前はもう戦ったのか?」
「いや、高ティアの試合に潜入して観戦してるだけ! そもそも戦える相手いないし....」
「.........もしかしてティア3で異郷に来たのって私等だけ? まさかそんなこt」
「そ う だ よ !」
M5Stuartの問いにUE57は答えた、迫真に。
「まじか......」
確かに立ち入りが禁止されているとはいえ、それなりに居ると予想していたM5Stuartは驚いた様子でUE57の話を聞いていた。
「まじです!」
「ティア1~4は.......?」
「いませんでした!」
「えぇ.......じゃあ、やる?」
「流石にタイマンじゃ勝ち目ないって......」
タイマンの提案をしたM5Stuartだったがすぐ断られた、まぁそうだろう。
DPMにHPでも差があるのだ、おまけに自身の能力を把握できていない現在ではタイマンの勝者はほぼM5Stuartと決まっている。UE57が提案を受け入れるわけがないだろう。
「うーん、なら観戦しかやることないよなぁ.......まあ何かしらの参考にはなるか。」
「それなら、さっきあっちでドンパチやってるティア8達を見たよ! 行く?」
「巻き込まれなきゃ良いな。腕はそれなりにあるが、高ティアに通用するかどうか.....」
「とりあえずどっちかが優勢になったら私等も参加して自分の能力くらいは調べてみようぜ?」
タイマンの代わりとして高ティア車両達の観戦をすることになったM5Stuartは、UE57の案内について行くことにした。しばらくしたところで、何やら音が聞こえてくる。
「あれ? さっきはティア8だったんだけど......ティア10車両達が戦ってる?」
「貴族共か、良いやつもいなくはないが好きになれんな.......」
「う~ん、言ってることはアレなんだけど同感なんだよね......観戦やめる?」
「無料で貰えるもんがあるなら貰っておくべきだ、見るに越したことはねぇ。」
どうやらUE57の想定とは違って、ティア10車両達が戦っているようだ。
そして、定期的に何かが破裂するような音が聞こえてくる。
「ん~? 何の音だぁ? 貴族共は変わった武器が好きだとは聞くが.......」
「最近発明された私達の「特性」を活かせるって武器じゃないっけ?」
「あ~ どこぞのフランス軽戦車が解明した私等の種族の色々を参考にしたっていう....」
「そうそれ! ほんと凄いよね~」
「どっちだぁ? 学者と職人、どっちを褒めてるんだ? 主語がないと分からないぞ。」
「どっちもだよ! まぁ確かに分かりにくかったけども.......ともかく早く見ようよ、終わっちゃうよ!」
「おっ 丁度片方が勝ちムーブしてるぞ、割り込んで能力のチェックも済ませようぜ!」
「何か言われなきゃ良いなぁ.......」
「陰でコソコソしてればバレないでしょ......たぶんな!」
UE57とM5Stuartはこっそりと稜線を超えて茂みの中に入り込む。どちらも小柄な車両なので、一緒に入ってもすっぽり茂みの中に収まった。
「えーと.....おっ 私は「装甲再生機」か。 なにこれ?」
M5Stuartは早速、能力の確認をしていたが、能力そのものについてはよくわからない様だ。
「あれ? 聞いてた話と違うなぁ......確かその能力が使えるのって転生戦じゃなくてマッドゲームじゃなかったっけ?」
UE57は、自分が事前に入手していた情報と一致していないことに疑問を唱えた。
だがそんなのM5Stuartが知るはずがない、UE57に向けて面倒くさそうに返事をする。
「何も知らん私に聞くな、というか異郷戦にも種類があるのか? ややこしいな。」
「何種類かあるらしいよ~ 今知ってるのはマッドゲームと転生と重力かな、説明いる?」
「今はいい、見りゃ分かるしな。ところで......能力使えないんだが?」
「装甲再生機は敵に撃ち込まないと発動しないよ? 敵にダメージを与えるとその分自身が回復する能力って聞いてるよ!」
M5StuartはUE57の説明を聞いて何か複雑そうな顔をしている。
「ほ~ん......便利そうで便利じゃなさそうだなぁ。お前は能力の確認しないのか?」
「あっ 忘れてた.......えーとぉ?「サボタージュシステム」だって!」
「結構気になる名前してるな............内容は?」
「確か発見状態が物陰とかに入るとすぐ切れるってやつ、隠蔽高い私からすればいらないかなぁ。」
UE57は自分の能力に不満があるようだ、しかしそこで急にハッと顔をあげる。
「........今私達が持っているのはマッドゲームの能力、でも......」
「あ? どれがどうしったていうんだ?」
「マッドゲームズでは2個能力が持てるんだけど.....常時発動の能力と好きなタイミングで発動できる能力、因みに後者はクールタイムがあるよ。それがね? 私達は、常時発動の能力しか持っていない.........」
「............どういうことだぁ? 1個しか持てないってヤだなぁ。」
UE57から詳細を聞いたM5Stuartは不機嫌そうに舌打ちをした。そこで

「何だこりゃ? UE、これお前知ってるか?」
M5Stuartが地面に半ば埋まっていた石でも金属でもない何かで作られた板を掘り出して、UE57に質問した。UE57は体の良い辞書扱いされていることに気づき、若干苛つきを覚えたが質問に答えた。(明るく振る舞っているUEだが普通に怒ることはあります。
「ううん、知らない........でもなんて書いてあるかは読めるよ!」
「なんて書いてあるんだぁ? どことなく意味は分からなくもないんだが.......」
「『汝の欲する所を為せ それが汝の法とならん』って書いてあるよ?」
「.........なぁUE。私等は、当たりを引いたのかもな?」
「どういうこと?」
「もう一つの使えないはずの能力、それはこの言葉の先にある。あくまで推測だがな?」

13年後
とある地下施設にてUEとM5Stuartは椅子に座りながら会話していた。
M5Stuartは新聞の日付を見ながら懐かしそうにキンキンに冷えたコーラをがぶ飲みしている。
「私等出会ってもう13年経つのかぁ......早いもんだなぁ。」
「時が経つの早すぎない? にしても、私達結構ビッグになったよね.......魔術結社のボスになるなんて思わなかったよ。」
対するUEはコーラではなく、コーヒーとクロワッサンを食していた。どばどば砂糖をコーヒーに入れているのは御愛嬌だ。
「感謝すべきはあの「原典の板」とEnduranceだな。彼女がいなきゃまず私達は能力.......という名の魔術を扱えなかった。」
「そういやM5ちゃん最近新しい魔術を開発したとか言ってなかった? どんなのか聞いても良い?」
「あ~ 「無情な嵐は慈愛の雨に」のことか?  UEみたいに凄いやつじゃないぞ?」
「良いから良いから! そもそも魔術を生み出せる時点で凄技なんだよ?」
「お前はそれが出来て、かつ強力な魔術を扱えるだろ? 敵うわけがない.......あぁ、肝心の内容だが聞いて驚くなよ? 期待するなよ?」
「もっと自信持っても良いのに........」
「自身が攻撃と認識とした現象によって自身が傷ついた場合、それを回復という現象に反転させる魔術。因みに常時発動な、欠点は寝てる間は効果がないところ。
意識ないのにどうやって攻撃を認識すんのってとこ。改良していきてぇな~」
「じゅうぶん凄いでしょ........自身はダメージ受けないどころか回復するんでしょ? 敵からすればたまったもんじゃないよ!」
そこに、彼女等の部下であるアヒルことAMX40がやってきた。何かを報告しに来た様だ。
「ボス~ WG神の一部の召喚儀式が成功しました! これでアレができるようになりますよ!」
「へぇ........じゃあ早速取り掛かろうかぁ。」
AMX40の報告を聞いてUEはにやりと笑う。そして次の指示を出した。
「UE、本当にやるのか? Enduranceから聞いているだろう、下手に手を出すと........」
M5StuartはUEに確認を取った。かなりの危険性の有る実験らしく、M5Stuartは心配そうにUEを見ている。
「大丈夫大丈夫! WG神を直接操ってやるんだから足がつくことは.......多分ない!」
「不確定はまずいだろ! ちょっと私は気になるからしばらくは潜らせてもらうぞ。」
M5Stuartは身の安全を優先するようで、しばらくは戻ってこない旨をUEに伝える。
「う~ん、戦力減少は避けたいけど実験が成功したんだから乗るっきゃないし........」
UEは少し迷ったような素振りを見せたが、実験を進める方向で行くことにしたようだ。
M5Stuartに向けて、いつ帰ってきても大丈夫だよとUEは.......言えなかった。
いつの間にかM5Stuartの姿は消えていて、今まさに閉じようとしているドアがUEの眼の前に残った。

木星の衛星タイタンの周回軌道上にて
『 システムノ不正利用ヲ検知 危険因子ヲ排除セヨ 』
『 不正利用元ハ地球 地球ノ衛星軌道上ニテ待機中ノ防衛部隊ヲ投入セヨ 』

『 不正利用ノ規模ハ極メテ小規模 大型艦艇ノ投入ヲ禁ズ 』
『 GSデ制圧ヲ実行スルモノトシ、精密誘導、威力調整、小型弾頭ヲ使用セヨ 』

『 座標設定終了 カウント開始 発射3秒前 3 2 1 0 発射 』

地球 とある森にて
突如、轟音を伴う一筋の光が空の上から降ってきた。
それは地面に堕ちた瞬間、凄まじい衝撃を発生させ、地震とも思えるくらい強烈な揺れを引き起こした。
「ったく、UEの奴大丈夫k……ぐおわああああ!?」
森の中を歩いていたM5Stuartは不整地ということもあり、突然の揺れに対応しきれずに
転んでしまう。揺れが収まった後すぐに事態の把握をしようとして起き上がる。
その時に無意識に地下施設があった方向を見てしまう。

そこには爆煙とも形容できるくらい大きな土煙があった。
「死んでねぇだろうなぁ.........助けに行ってもいいが追撃がある可能性もあるし...........
クソッ!」
M5Stuartは後ろめたさを感じながらも、元々目指していた方向へそのまま走っていった。

「う~ん、やらかしたなぁ..........ここにもwotb警察が来そうだし、皆をかき集めて逃げるかぁ。」
「ボス、全員の生存を確認しました。現在は使える魔道具や資料をまとめています。」
「了解~ 準備ができ次第出発するよ、目的地はマヤ遺跡。そう伝えておいてね?」
「分かりましたボス!」

「M5ちゃんとはもう会えなさそうだねぇ........最後にお別れくらい言えたら良かったなぁ.........」